2011年02月28日

サバイバル!

(期間限定のお知らせ) 2011年6月モンゴル植林ツアーへのお誘い記事はこちらです。



前々回に続き、またまた書斎カテゴリ・・・アウトドア本のご紹介なのでありますが・・・


今回はタイトルもサバイバル!・・・

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服部文祥著「サバイバル!~人はズルなしで生きられるのか~」(ちくま新書2008年刊)であります。

表紙にある本文の一節、わたくし、これに魅かれました・・・うーむ・・・痛いところを・・・

ちなみにこの著者によるデビュー作である「サバイバル登山」(みすず書房刊)については、
前々回記事でとりあげた「野宿モノ~」のなかでも紹介されてました。











例によって目次だけ・・・

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ご覧のとおり、こちらのメイン記事は第二章の、日本海から上高地までの縦断記録なんですが、
ここで語られているウンチク(とゆーかグチとゆーか・・・)もなかなか面白かったのであります。

装備は最小限、とゆーより、現代登山の常識では考えられない軽装備で、整備された登山道を避け、
岩魚や山菜を採りながら縦走するのですが、そのときどきの感想や考えたことが記事になっています。

また、第三章以外では、これまでの著者の生き方や考え方が書かれており、
正直、こんな自分勝手なやつが部下や上司にいたら困るだろうな、とは思ったのですが、
逆に、ふだんの仕事や家庭では、人とうまくやっていく能力の高い方なのかも知れませんね。

前々回記事で取り上げた本は、けっこう都会での野宿サバイバル記事も多かったのですが、
こちらは100%自然の中での、かなりワイルドでハードな、しかも野遊びとしての野宿サバイバル・・・

サブタイトルにもあるように、なるべくズルしないで(他人や文明の力を借りないで)、
自然と向き合うことによって極限の状況を作り出そうとしておられるようであります。

本文にありましたが、ヒラリー卿らが命がけで初登頂した時代とはエベレストもずいぶん異なり、
健康で、ある程度の体力と登山技術さえあれば、(二ケ月のヒマと600万の金は要るそうですが)
著者のいう「お客さん」として、チタン製の酸素ボンベなどあらゆるサポートを受ければ、
天候条件がよい限り、まあ誰でもエベレストに登頂できる時代になってしまったそうで、
できるだけ自分の体力と知恵だけに頼るサバイバル登山というものに、
登山家である著者がハマっていった、というのは、何となくわかるよーな気もしました。

また、著者がサバイバル登山に行きついた原点が、フリークライミングだったということも興味深かったです。

わたくしは人工登攀や安全確保を必要としない程度の岩や沢しか経験がありませんが、
それでも滑落すれば死んだりするので、一般の登山道よりはるかに知力体力を集中したわけで、
それをより困難な岩壁で安全確保のうえ、自分の知力体力だけを頼りにやるのがフリークライミング、
この「ズルしない」とゆー思想で、登山でも個人の存在をとりもどすことができた、とのことのようであります。

ちなみに著者によると、フリークライミングは「命がけゴッコ」、「擬死冒険ゲーム」だそうで、
ルートの途中で一度も安全確保用ロープの世話にならずに登れればオンサイトとしてセーフ、
途中で一度でも滑落すれば、その時点で(確保がなければ)死んでるはずだから基本的にアウト、
とゆーことらしく、これはわたくしが一時期ハマっていたサバイバルゲームとなんとなく似てる・・・

そう、実銃で撃ち合えば確実にどちらかが死にますが、怪我しない程度にレギュレーションを決めて、
真剣にやる「戦闘ごっこ」というのは、疑似的に命がけで自分の知力体力を試せるわけで、
さらにチームワークや戦術といった要素もありますが、究極は自分がやるか、やられるかの世界、
しかも自分がヒット(被弾)したかどうか、つまりアウトだったかセーフだったかはあくまで自己申告、
この点からも、自分自身にズルしないというフェアさも問われる「ごっこ」なわけで、
岩壁相手にそれをやるのがフリークライミング、というような理解をわたくしはしたのですが・・・

そのフリークライミングから、「疑似的な要素」つまり他人に安全確保してもらうことを取り払い、
さらに文明の利器の持ち込みも限りなく制限することによって自分の知力体力だけになる、
というのがサバイバル登山である、と考えれば確かに面白そうな野遊びのひとつですね。

もちろん自分の知力体力だけとはいっても、すっぽんぽんで入山するわけでもないのですが、
持ち込む食糧は基本的に米と調味料のみ、電池を使うライト、ラジオ、時計類はもちろん、
バーナー、テント、燃料さえ持たずに、中部山岳地方のハードな山々を10日間で縦走した記録と、
その時に感じたことの記録は素直に面白かったのですが、ま、このサイトはモノの紹介が基本ですので、
以下は第三章中の「装備」を中心に、特になるほどと思ったあたりをいくつか・・・



著者がサバイバル登山の最重要装備として挙げていたのが、
ナイフ、鍋、ライター、まな板、ザック、ノコギリ、ビニール袋、の七点であります。

わたくしが「ファミリーキャンプ入門」カテゴリで何度も書いているキャンプ専用の七つ道具
(テント・マット、タープ、イス・テーブル、バーナー、クーラーボックス、水タンク、ランタン・懐中電灯)
とはえらい違いで、また一般的なサバイバルキットともかなり違いますが、なるほどと感心しました。

で、さらに、刃物をひとつだけにするならノコギリがわりにもなる剣ナタを多数の人が選ぶだろうが、
季節や場所によってはノコギリが燃料確保用には必携とか、納得できる内容だったのであります。

意外だったのは「まな板」ですが、自然の中で「平面」はめったになく、加工食品を持たなければ、
採った食材を食べられるようにきちんと調理することは絶対条件になるし、ベニヤ板一枚あれば、
テーブルにも火を熾すウチワにもなるので必携、とゆーことなのでありますね。

それとビニール袋・・・
これは「防水できる軽い容れ物」を自然の中で作りだすのは極めて困難、ということであり、
液体や食糧、乾いた衣類の持ち運びには「防水できる軽い容れ物」はきわめて貴重な存在、
昔はこれで苦労しており、今でも世界各地の山奥では、空きペットボトルやビニール袋は、
まだまだ貴重品として大事にされているとのことで、これもなるほどと感心した次第であります。

いやあ、いくら防水の重要性はわかっていても、都会の日常ではごく当たり前に使ってますから、
そういわれれば確かにそのとおり、自然界ではあり得ない便利なものなんですねえ・・・

ちなみに、やはり本文にあった「雨を遮るものがあって、乾いた服があれば、人は簡単に死なない。」
とゆーのも山歩きの基本だと信じてましたが、この著者にきっぱり書かれると、やはり迫力がありました。

これらの「最重要装備」の次に「重要装備」がくるのでありますが、ま、興味のある方はご一読を。


んで、その次の項目が、わたくしが気になる「食料」・・・

著者が持参する食料は基本的に米と調味料のみ、あとは岩魚や山菜やキノコとなるわけですが、
わたくし、「究極の選択シリーズ」記事で、一つだけ持参するとした場合の主食は米か小麦粉か、
調味料は塩コショウか醤油か・・・とか、いろいろ空想しましたが、こちらはまさに実践・・・

彼は扱いやすさ、カロリー、栄養バランスから「七分搗き米」を選択しており、さらに長い山旅になると、
期間中のビタミン補給も考えて胚芽米や三分搗き米にするそうであります。うーむ・・・なるほど・・・

で、調味料は塩とコショウを選択、やはり保存、防腐、食欲増進効果から、とゆーことでした。
ただし、岩魚の刺身や山菜用の醤油、好物のチャイ用の砂糖(非常食にも)とミルクパウダー、
調理の幅が広がる「ごま油」などは、甘えて持参することが多くなった、というのもまたうれしい・・・


ちなみにバーナーや燃料は持たず、すべての調理は焚き火ですから、
焚き火のコツや焚き火でのご飯の炊き方のコツについても書かれてましたが、
わたくし長い間、焚き火でご飯を炊いていないので、ふきこぼす前提で水を多めにする、
焚き火の近くで蒸らす、といったテクニックをすっかり忘れておりましたねえ・・・

他にもシカにイノシシ、ヘビにカエルなどの食料についても記載がありましたが、
ま、こんなのがなくとも、人様からいただいたMREが日数×三食分とラーメンがあれば・・・げひげひ

まあ、本人も書いておられましたが、あくまで野遊びとしてのサバイバル登山なんですが、
そのことで、自分をごまかさない、ズルをしないで生きるという思いを追及しているとしたら、
これはある意味、「自分と向き合うための修行」とも言えるんでしょうが・・・
ま、野遊びのひとつとして楽しむとしても、かなり「命がけ」な野遊びであることは確かであります。


で、さてさて、次回のOFF会キャンプは、ひとつ「サバイバル!」とゆーことでですね・・・

って、そーいや今までのOFF会だって、けっこう生き残りをかけた「サバイバル!」だったりして・・・






m98k at 22:11│Comments(6)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 書斎 | その他アウトドア

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この記事へのコメント

1. Posted by 二日酔いの猫   2011年02月28日 23:25
この手のネタには飛びついてしまう猫でございます(笑)

>最重要装備として挙げていたのが、ナイフ、鍋、ライター、まな板、ザック、ノコギリ、ビニール袋、の七点

マッチではなくライターと言うのが?ですが、私ならファイヤースターターになりますね。多分
あと新聞紙も欲しいところです。

でもこの手の野営は自然へのインパクトetcを考えるとどうなんでしょう。
遊歩大全を読んでからは必ずバーナーを持参するようにしています。(いずれにせよみんなが真似をする・出来るとは思いませんが。)
読んで疑似体験&知識として吸収するには面白い読み物みたいですね。

灯りと火とナイフがあれば何とかなると思ってますので通勤リュックに常備してます・・・・あと皮手とパラコード、救急キットも(苦笑)
2. Posted by 98k   2011年03月01日 00:09
二日酔いの猫さん、素早いコメントをありがとうございます。

>マッチではなくライター
最重要装備の項では、著者は発火石式の100円ライターを使用しているとのことでしたが、
次の重要装備の項では、メタ(石油系のゴミ、ガムテープで代用可)、新聞(岩魚の燻製の包用、焚きつけ、暇つぶしetc用)
などの記載があり、別にマッチライターなしでの火の熾し方の項がありました。

登山の自然へのインパクトについても、本文のあちこちに書かれてましたが、
流木や枯れ枝などで焚き火するのと、化石燃料を燃やすのと、
日本の沢なら、どちらがトータルインパクトが少ないのか難しいところですね。特にソロの場合は・・・

>灯りと火とナイフがあれば・・・
通勤リュックにですかあ・・・って、わたくしの通勤カバンにも入ってます、ええパラコードも救急キットも・・・
3. Posted by red-bicycle   2011年03月01日 05:02
サバイバル!

私の場合憧れつつもそれは安全が担保されている状況での話であって、ガチでそのような状況におかれると生き抜く自信がありません。

なんせ糖分が切れると即アウトな体質ですから(;^_^A
4. Posted by TOMO   2011年03月01日 14:07
野遊びとしては最高に面白いんでしょうね。それを実践する体力・知力にも感嘆します。
でも、普通の社会にどっぷり浸かってしまっている身としては、猫さん同様、直火の自然へのインパクトが気になってしまいますし、イワナにしても、漁期は?遊漁許可は?と世間じみた心配が先に立ってしまいます。
それに、家族持ちとしては、万一の負傷や遭難のことを考えると、とても現実的ではありませんね。
ある日突然、何らかの偶然で、ロビンソンクルーソー的生活を強いられることになったら、こういう本は最高に参考になるのかもしれませんね。
5. Posted by 川端   2011年03月01日 19:41
まあ、あくまでもなんとなくですが、

①こんなときどうすれば生き残れるのか例題的に試しに行ってみる?

みたいのが、耐寒とかで我々がやってきたキャンプなら、

②こんなときどうすれば生き残れるのか思いついて、かつ実際できなければ死ぬけど行ってみる?

みたいのが、いわゆるサバイバルかとm(_ _)m


①って自分なりにでも大真面目に備えてやってみると楽しかったりしたのですが、、、

②って、たぶん辛いだけだと思うんですよね。。。


アタシにゃ②の楽しさはイマイチわかんねース(^^;
6. Posted by 98k   2011年03月01日 22:40
red-bicycleさん
ライト仲間の中で、わたくしの知る限り、体力的にこの著者に一番近いのはあなたです。ええ、きっぱりと
この著者も、めっちゃ甘いミルクティーが大好物なようですので、その点でも共通点が・・・


TOMOさん
この著者は裏表紙にもあるとおり、K2にも登頂したプロの「登山家」ですから、
一般人とは生き方も異なるのでしょうが、「登山家」のなかでもかなり異色の存在かも知れませんね。
ただ、地元の猟師もめったに入れないような沢で、自分が食べる分だけ天然の岩魚や山菜を採り、
自分が煮炊きする分だけ薪(立木は絶対採らないそうです)を集めるだけなんですが、
それでも野遊びだから、生活じゃないから許されるべきではない、とまで言い切れるのかどうか・・・
これを文明の利器を最大限利用してやるとしたら、もちろんルール違反だとは思いますが、
ここまで徹底してやるのは、なかなか真似できるものでもないし、
わたくしは心情的には理解できるような気がしました。
ま、それでも山で遭ったら「世間じみた」説教をするかも知れませんが。



川端さん
まったく同感ですねえ。
まあ、この本の場合は、自分の知力体力を世界のトップレベルにまで鍛え上げた著者が、
「できなければ死ぬけど、ぎりぎりできる限界点あたりで、自分を高めてみない?」
と誘ってるような気がしましたが・・・
まあ我々のキャンプ宴会は、安全確保したフリークライミングとか、
怪我しない程度のエアガンでゴーグルを着用したサバイバルゲームとかのような、
あくまで「サバイバルごっこ」程度にしておいてですね、ほんとのサバイバルは・・・げひげひ

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