災害避難について8BE-PAL(ビーパル)2011年5月号!

2011年04月07日

災害避難について9(まとめ)

関西のライト仲間の雄red-bicycleさんが、兵庫県の募集したボランティアの一員として、石巻市に出発されます。
red-bicycleさんといえば、関西のライト仲間の中では、その並はずれた体力、並はずれた糖分摂取量、
そして並はずれたDOP-11MGの数!で有名な方ですが、今回はその並はずれた体力を活かして、
主として冠水した住宅の泥かきなどに従事されるそうです。

わたくしやwingさん、川端さんの分までしっかりと四人分、活躍してきて下さい!!!
五月になったら、熊野でおいしいMREでもご馳走しますので・・・
(行動力のあるred-bicycleさんですが、個人でボランティアの受け入れ先を探すのはまだ大変なようで、
自治体など公的な団体の呼びかけに応募するか、確実な受け入れ先を確保してから、もちろん衣食住など、
すべて自分で賄えるような完全装備で行くように、勝手に行くと、かえって迷惑ですから、
とのご忠告をいただいております。さすが阪神淡路大震災からのベテラン災害ボランティアであります。)

2011年4月8日追記です。
昨日の大規模な余震により、兵庫県からのボランティア派遣そのものが延期になったようです。
red-bicycleさんご自身は、余震への対策装備についても充分されていたので、すごく残念だったようですが、
ま、その分、こちらでできることもあろうかと思いますので(MRE解説とか・・・)、あまりめげないで下さいね。




さて、前回まで8回にわたって、災害時の避難について、わたくしのアウトドアでの経験から、
そのポイントや装備について、思いつくままメモにしてきました。

災害といっても、その種類や規模は様々ですし、避難といってもその避難先や期間も様々ですから、
どんな災害でどんな避難をするのかによって、そのポイントや装備も変わるのが当然ですが、
なにせ「思いつくまま」のメモでしたので、いろんなケースがごちゃまぜになってしまいました。

そこで今回は、これまでのメモをわたくしなりに整理してみたいと思います。
わたくしはサバイバルの専門家でも何でもありませんから、お気づきの点はぜひコメントをお願いします。


1 災害避難の優先順位


災害避難の基本は、やはり米海軍パイロットのサバイバルマニュアルにある「優先順位」の認識だと思います。

第一順位 酸素の確保
酸素がなければ人は3分で死に至ります。
ともかく何をおいても、まず窒息しない場所へ逃げるということ、つまり地震なら圧死しない、
津波なら溺死しない、火災なら焼死(窒息死)しないところへ、逃げることを最優先します。
逃げるといっても、自宅や職場、外出先など居合わせた場所がその災害に対して一時的に安全なら、
その場でとりあえず災害に対する対応(地震なら机の下に隠れるなど)をすることになります。

第二順位 シェルターの確保
災害から逃げたとしても、ずぶ濡れのまま吹きさらしで一晩過ごせば、真冬でなくても死に至ります。
逆に、乾いた衣服で雨風をしのげるシェルターさえあれば、そう簡単には死にません。
一時避難できれば、とりあえず手持ちやありあわせの材料で身体を濡らさない(乾かす)工夫をする、
雨風をしのげて休める(少しでも眠れる)シェルターを確保することを考えましょう。

第三順位 水の確保
安全なシェルターを確保して一日二日は生き抜いても、人は水がなければ三日で死ぬといわれています。
ですから三日以上救助される見込みのない場合は、酸素、シェルターの次に水の確保が必要になります。
非常持ち出しできなかった場合、安全な範囲で、どこに飲める水分が残っている可能性があるか、
そのまま飲めない水があれば、どうすれば飲用可能な水にできるのか、あらゆる工夫を考えましょう。

第四順位 火の確保
「火」は状況によってはシェルターや水の確保にも大きく関わってきます。
寒さを防いだり、乾いた衣類や飲み水の確保などが、火がなければできない状況であれば、
火の確保は第二、第三順位となりますし、次の食料の確保にも関わる場合があります。
火種と可燃物さえあれば、かなりの悪条件でも焚き火は可能なので、決してあきらめないで下さい。

第五順位 食料の確保
人は三週間程度は食べなくても生きているといわれており、あわてて食料を確保する必要はありませんが、
ずっと食べなければ、確実に体温や体力が落ちてきますので、動けなくなる前には確保する必要があります。

酸素、水、食料の順位は、「3分、3日、3週間の原則」といわれ、一般にはサバイバルの基本とされてますが
水や食料を求めてあえて危険を犯すよりも、ともかく一時避難したら、乾いた衣服とシェルターを工夫する、
ということを、まず頭に入れておいて下さい。

そして、現代の大規模災害を生き抜くための特徴的な項目として、これらとは別に、
「情報の確保」という項目も覚えておいてください。

的確な災害情報や救援情報を得られるかどうかは、場合によっては生死を左右しますし、
現代の情報は、ツールさえあれば比較的容易に入手することができるはずです。



2 災害避難の装備


1の優先順位を考えて、あらゆる災害に対処できるような装備を・・・といっても、
そんな完全装備で外出するわけにもいきませんし、職場や自宅の非常持ち出し袋にも、
大量の装備が入ってたら、とても迅速な避難はできません。

これまでのわたくしの記事と、いただいたコメントを総合すると、最低限の装備は以下のとおりです。
ただし、震災後の物流の少ない、高価になっている時期に、あわてて購入する必要はありません。

まず、いつも身につけている(EDC)、あるいはそばにあるべきものとしては、
衣服、靴、手袋、ツールナイフ、鞄またはリュック(頭部保護にも)、コード(ひも、針金類)、小型ライト、レスキューシート、
ライター、ビニール袋(水筒用、呼吸用)、小型ラジオ、ハンケチ(バンダナ)、ポケットティッシュ、救急セット、現金、アメ、
ということになりました。

ただし、ナイフなどをいつも持ち歩くのは、銃刀法や軽犯罪法に触れるおそれもある、とのご意見もいただきました。

まあ、小型のツールナイフなどは、他の救急キットやレスキューシートなどと一緒に、
明らかにエマージェンシーセットとわかるような小型のケースに入れておけば、
よほど怪しい時間に怪しい場所を徘徊していない限りは、わたくしは問題ないと思っています。

それと自宅と職場、常時使うならクルマにも用意すべき
非常持ち出し袋には、これらにプラスして、
水と食料と燃料を三日分、あとはヘルメットと雨具
があれば、ということなります。
もちろん、自宅と職場の非常持ち出し袋には、通帳など重要書類、常用薬といった貴重品も入れておきます。

水については一日2リッターといわれてますが、そんなに持てませんので、500mlペットを数本が限度でしょう。
その上で、小型の浄水器や浄水薬を入れておく、といった方法もあると思います。
食料についてもエナジーバーなど非常食を数食分、燃料についてもチューブ燃料か固形燃料をひとつ、
これは焚き付け用として、あとはシェラカップなどの小さなクッカーがあれば、
温かい飲み物で暖をとれるだけでなく、水や食料の確保にも役立つはずです。

で、長距離を徒歩で避難する場合は、ハイキングシューズやストックなどの歩行用装備、
体育館など一時避難所での集団生活にはドーム型テントがあれば暖かく家族が落ち着くこと、
長期のテント生活になっても、当サイトの「ファミリーキャンプ入門」カテゴリにある、
キャンプ専用の「七つ道具」が無事であれば、ある程度はそのまま活かせることも書きました。

さらに避難のひとつの方法として、電気、上下水道、ガスなどのインフラが破壊されても、安全確保できるのであれば、
トイレなどの衛生面を工夫して、自宅で「籠城」するといった選択もあると、いくつかのコメントをいただきました。

もちろん、余震等に対してある程度は安全な自宅、ということが大前提となりますが、その場合に備えて自宅に
ある程度の水、食料、カセットボンベなどの燃料があれば、キャンプ用のバーナーやランタン、簡易トイレなどで、
テント生活や避難所生活より快適な避難生活も工夫によって可能になると思います。


今回のような広域的な大災害の場合は、「最初の三日間だけ自力で生き抜く」、
「その後は公的な救助活動により救助される」、そして、「指定避難所では一定の支援が受けられる。」
といった、今までの前提条件が覆されましたが、それでも基本は、まず初動の一時避難による酸素の確保、
その後のシェルターの確保、水の確保、火の確保、食料の確保、という順番には変わりはありません。

結局災害への備えとしては、コメントでもいただきましたが、家族にとっては、やはり自宅の防災化が第一、
その上で、家族の集合場所や一時避難場所、安否確認の方法などを話し合っておくこと、
そしていつも持ち歩く(EDCする)もの、非常用持ち出し袋に用意しておくものの確認、
インフラ潰滅時のテント生活や自宅での籠城に備えて、慣れておくこと、できれば備蓄しておくこと、
ということになってきます。

それぞれの項目については、今回の一連の記事を見ていただきたいのですが、
今の一時的なモノ不足の時期に、あわてて災害用にアウトドア用品を買い揃えたり、
保存食や燃料などを買い占めても、被災地に迷惑なだけで、ほとんど意味はありません。

もっと大切なことは、被災時には最初に書いたサバイバルの優先順位を意識して行動すること、
そして道具の使い方も含めて、やはりふだんからアウトドア生活に慣れておくことだと思います。
そのために、最低限必要なものを少しずつ買い足していき、その都度その使い方や、
食料なら消費のサイクルなどについて、時間をかけて慣らしていくことをお薦めします。



m98k at 00:15│Comments(9) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 災害避難とか | その他アウトドア

この記事へのコメント

1. Posted by 川端   2011年04月07日 18:11
正直、空軍パイロットとか、「酸素」「シェルター」なんてーと、個人的にはピンとこなかったりだったのですが、

こうして回を重ねてご解説願えると納得m(_ _)m

たぶん、まずは普通に息出来るところまで逃げて、とりあえず雨風しのいで休みやがれってなことなんでしょうね。

でないとあとのことを考えるも何もねー。とか?(^^)

てなことで、

酸素
×3分

シェルター

×3日



食料
×3週間

「酸3シ水3火食3」ですね。

えーと、

酸3シ水3火食って3(さんさんしみずさんひくってさん)

とか。覚えとこうと思います\(^^)
2. Posted by 98k   2011年04月07日 19:53
川端さん
うーむ、正確には、
酸素3分、シェルター1晩、水3日、食料3週間で、火は条件によりシェルター、水、食料の確保に必要、
とゆーことになりますね。
ちなみに「3分3日3週間の原則」とゆーのは、あちこちの防災記事でも紹介されてますが、
シェルターや火の確保とゆーのが、世界中あらゆる場所で遭難する前提の米軍パイロットらしいです。
国内で条件さえよければ、シェルターや火がなくても死なない場合もありますが、
やはりサバイバルの条件として、頭に入れておくべきでしょう。
3. Posted by TOMO   2011年04月07日 20:14
長きにわたる連載、お疲れ様でした。
私は、この連載を通じて、改めて頭の中がまとまったような気がします。
「とにかく逃げろ、それから避難場所の確保」という感じでありましょうか。
私の所は低平地で、災害で一番怖いのは「水害」であります。勾配もほとんどないような土地ですので、家を押し流すような濁流の可能性は低く、ひたひたと浸水していく感じになると思います。その分、一度出水すると引くのにも時間が掛かるでしょう。
ですから、テントや寝袋、調理器具や燃料、非常食や水などは、全て二階に蓄えてあります。これは地震の際に万一家がつぶれても、一階の上に二階がのしかかるようになるでしょうから、二階の方が取り出しやすいという点もあります。でも、一階に居るときに家がつぶれたら、どうしようもありませんね。
とりあえず、自分の住んでいる周辺の様子や自宅住居の状況に合わせて、これからも少しずつ備えをしていきたいと思います。
あ、今、あわてて防災用品を買うのはいけませんね。私の方でも、とうとうミネラルウォーターや乾電池が品薄になってきています。
4. Posted by 98k   2011年04月07日 22:53
TOMOさん、ありがとうございます。
>ひたひたと浸水していく感じに・・・
わたくし河原のキャンプで、いわゆる鉄砲水のほかにも、ひたひたと増水してきた経験があります。
気持ちよく飲んで食べて、GIコットでお昼寝している間に河原が水浸しになってきました。
天気はよかったので、かなり上流で大雨になってたんでしょうねえ。避難直後に大雨になりましたが。
二階建てなら、屋根に上がるハシゴなどを準備しておくと、三階の高さまで避難できることになりますね。
>一階に居るときに家がつぶれたら・・・
まあ、二階にあるテントや寝袋さえ無事ならいい・・・こともないですが・・・
たしかに非常用装備は二階のほうが確実でしょうし、万一の場合も取り出しやすいのは確かでしょうね。
>とうとうミネラルウォーターや乾電池が品薄に・・・
増産してるので一時的な現象だとは思いますが、急に需要が増えたのも事実、
そりゃあ、これほどの災害と東日本の計画停電となると、ふつーの人でも心配になるんでしょうが、
備えは少しずつ着実に、モノがなくても工夫次第でなんとでもなる、むしろ経験とか知識の方が重要かも知れません。
5. Posted by タイガー   2011年04月08日 20:14
放射線対策は万全なんでしょうか?
風は岩手の方に向く危険性もあります。
日本の発表はあてになりません。
ドイツ、フィンランドの汚染地域を念頭に入れるようお伝えください。
場合によっては保護具の着用を。
6. Posted by 98k   2011年04月08日 21:59
タイガーさん、貴重なご意見をありがとうございます。

ご指摘のとおり、このサイトでは、今回の核汚染対策については全く触れておりません。
わたくし、自然災害に関しては、自己の経験と知識の範囲で判断し、自己の責任において、情報を発信していますが、
核汚染対策については、どの情報が正しく、どの情報が間違っているのか、判断できるまでに至っておりません。

もちろん、岩手県への風向による影響についても、情報収集はしておりますし、
日本政府を含む各国政府やNGOの情報についても、特に核(N)と生物(B)と化学(C)の被害に関しては、
サバイバル研究の一環として、数十年間にわたり情報収集は続けておりますが、
残念ながら、未だ責任のある情報発信ができる段階ではありません。

たとえ、こんなお気楽なブログ記事であれ、それに対するコメントであれ、サバイバルに関して発信する以上は、
不用意な発信はできないと考えておりますので、どうかご理解をいただきたいと思います。
7. Posted by タイガー   2011年04月08日 23:04
出すぎたことをして申し訳ございません。正確な情報側からない限り最悪の事態は予想すべきと考えています。
最悪にならなかったら良かったと考えるべきかと。
悪い情報で1号機に窒素封入をしています。強い放射線物質が以前より大気に多く出ることは間違いありません(単に水素爆発を避けるためだけですので)。
より風向きに注意が必要です。中部関西も例外ではありません。
ホウ素注入という言葉が出たら核爆発を覚悟しております。不安を煽るつもりはないですが、責任云々より起きてからでは遅いという感覚が強いと考えますのでコメントさせていただきました。



8. Posted by タイガー   2011年04月08日 23:16
間違えました、放射線汚染風向き情報はドイツとノルウェーでした。訂正します。
なぜ、毎日気象庁が予想しないのかが不思議です。圧力でしょうか?怠慢でしょうか?
9. Posted by 98k   2011年04月08日 23:49
タイガーさん
>最悪の事態は予想すべきと考えています。最悪にならなかったら良かったと考えるべきかと。

アウトドアでも、「軽装備で遭難すればニュースになるが、重装備で無事帰宅してもニュースにはならない。」
といわれており、これは確かにおっしゃるとおりだと思います。

ただ、本当に信頼できる情報については、それぞれの目的に応じて発信されていますし、
特にサバイバルに関する情報については、あきらかにその目的が異なります。

たとえば気象情報でも、気象庁と海上保安庁と自衛隊と国土交通省でも内容が大きく異なりますし、
米軍向けの気象情報は、サバイバルに関してはもっと大きく異なる発信となっています。

当然、ドイツ政府が自国民向けに発する情報と国防軍向けに発する情報は異なりますし、
ノルウェーの公的機関が発信している気流や海流の情報も特定の対象が目的だと思います。
それらには当然、様々な意図的な圧力や、ごまかしや隠ぺいもあるでしょう。

その中で、自分の現在の状況に応じた情報を選択する専門能力がない場合は、
やはり最悪を想定することが必要かも知れません。

ただ、それを自ら発信する場合は、たとえ善意であっても、不安を煽らないようにすべきだと考えます。

本日の雨に濡れただけも危ない、といったレベルから、調査した結果として国外避難すべきといったレベルまで、
いろんな情報があるのは事実ですし、そのこと自体、意味のあることだとも思いますが、
わたくしのブログサイトでは、自分の経験と知識の範囲内でしか発信しておりません。

いずれにせよ、ご忠告ありがとうございました。


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