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2012年01月22日

父は空 母は大地

ひさしぶりに感銘を受けた本を一冊、ご紹介します。

まあ、うちの奥様が図書館から大量に借りてきて、食卓に積み上げてた中の一冊なんですが・・・











RIMG6648


「父は空 母は大地」 寮 美千子 編訳 2002年パロル舎刊の日英対訳版であります。


原文は1854年、3年間にわたる戦いに終止符を打ち、指定された居留地へと移動していった、
スクオミッシュ族とドゥワミッシュ族の代表首長であったチーフ・シアトルが、当時のワシントンの大首長
(第14代大統領フランクリン・ピアース)に伝えてほしいと語った言葉を、白人入植者が英語に訳したもので、
彼の名前(シアトル)がその地名になったほど、非常に有名な演説だそうですが、わたくしは今まで知りませんでした。


土地は買収するからお前らは居留地以外には出るな、という理不尽な条約を突きつけてきた白人政府に対し、
無益な戦いを止めて敢えて従う際に、自分たちが暮らしてきた空や大地についての、いわば「申し送り書」や、
「引き継ぎ書」みたいに語られたものと、わたくしには感じられました。



土地を買収して自分たちだけのものにする、ということ自体がわからない・・・
空や大地、風の匂いや水のきらめきを、あなたはどうやって買おうというのか・・・



という部分からはじまり、編訳者による名文が続きますが、原文にも50種類以上の異なるテキストがあるそうで、
特に人間と大地に関する部分を中心に訳者の「編訳」として、シンプルな原文との対訳版にされたようです。




さすがに訳文の画像を載せたりすることはできませんので、ぜひご一読をお薦めする次第なんですが、
わたくしが特に印象に残った、川と湖に関する部分の原文だけ、ちらっとご紹介させていただきます。

(1/24追記修正)
松永洋介さんからいただいたコメントで、編訳者ご本人が、一人でも多くの方に知っていただきたいとの趣旨から、
ご自身のHPに訳文全文を公開されておられることを知りました。松永さん、ありがとうございました。
ご本人のHPにあった指示どおり、以下に紹介させていただきます。(原文サイトへのリンクもあります。)

「父は空 母は大地」の全文はこちらをごらんください。









RIMG6652





RIMG6653







英文そのものは、聞き書きを訳したシンプルなものですが、編訳者の訳文は、自然とともに生きる、
彼らの思想までが伝わってくる文章で、その後のシアトル一帯の大開発を思うとなんとも哀しくなってしまいます。

まあ、現在のシアトル市が、世界をリードする環境先進都市になっているのが、せめてもの救いでしょうか・・・







m98k at 16:22│Comments(6)TrackBack(0) mixiチェック 書斎 | 沙漠緑化・熱帯雨林再生

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この記事へのコメント

1. Posted by 川端   2012年01月23日 18:22
う~ん・・・ なんとなーく知っているけれど、読んではいない。です(^^;

どのタイミングで、誰の利害によって、どういう道徳観に則って。たぶん、こういう事ってそういうことによって解釈が変わるので、一概に善し悪しとか正否って無いし、グローバリゼーション的な発展とか言っちゃえば「正しい歴史」なんでしょうけれど。

それでも、アタシはというか、アタシもというか、やっぱり大航海時代的なものとかネイティブアメリカン関連の書籍で人道懐古的なものなんか読んじゃうと、なんていうか、こう、見つかっちゃったのが不運というか、そっとしといてやりゃ良かったのにというか。ついそういう感想を抱いてしまいます。
それはたぶん、歴史とかでいえば瞬間、あるいは小さな点でしか無くても、辛かったり悲しい思いをした人が確かにいたんだよ。みたいなお話だったりするからなんでしょうね。。。
2. Posted by 98k   2012年01月23日 23:25
>ディープサウスの大首長、もとい、チーフ川端さん
おおっ、やはり知っておられましたか、この「Chief Seattle's Speech 1854」・・・
なんとなく、そんな感じはしてましたが・・・
おっしゃるとおり、価値観や道徳観なんて、特に近代から現代にかけてころころと変わってますから、
どっちが正しいなんて云えませんし、その後のシアトルの大発展によるボーイングとかマイクロソフトとかの人類への恩恵もはかり知れません。
>見つかっちゃったのが不運というか、そっとしといてやりゃ良かったのにというか・・・
今でもそう思えるような事象は世界各地で起きてますし、モンゴルやボルネオの現地で、実際そう感じたこともあります。
そこの現代ゆえの貧困をなくしたいと素直に考えた場合、やはりある程度は、西洋文明との共存しかないのかとも・・・
ま、最近のブータンとゆー国が、なんとなくうまく共存してるような気もしてて、今後に興味を持ってます。
まあ、あちらも電力などの天然資源があるから、何とか維持できてるんでしょうか・・・

3. Posted by 松永洋介   2012年01月24日 10:19
こんにちは。『父は空 母は大地』は、全文を寮美千子のサイトで公開中です。英文もあります。ぜひこちらを。
http://ryomichico.net/seattle.html
4. Posted by 98k   2012年01月24日 21:26
>松永洋介さん、はじめまして
貴重なご教示のコメント、ありがとうございました。
先ほど、記事本文を追記修正し、リンクを貼らせていただきました。

5. Posted by TOMO   2012年01月24日 22:42
シアトル市が先住民のチーフの名前からというのは、どこかで
読んだ覚えがあるんですが、この話は知りませんでした。
(そういえば、学生時代にsoundに「湾」という意味があるのを
知ったのも、シアトル近郊のピュージェット・サウンドのことを
何かで読んだからでした。)
リンクの方も読ませていただき、感銘を受けました。
自然と共に生きる純粋な魂が、齢を重ね、そしてチーフという
スピリチュアルな立場に立ったとき、こういう言葉が出てくるん
でしょうね。彼らの時代から年月がたつほど、重みと深みを
ます言葉だと思います。

ちなみに、私の高祖父は、1871年に北海道に集団移住し、
食料もろくになく秋を迎えたとき、現地のアイヌの知恵と助けで
食料の確保ができて最初の冬を越すことができたのであります。
すなわち、サケを捕ったり、山に入って食べられる植物を集めたり。
ところが、その後、アイヌの土地を奪って農地や牧草地を広げて
行ったわけで....。
(吉永小百合主演の「北の零年」という映画はこの実話に基づく
ものなのであります。)

ふ~、私にも罰当たりの血が流れてるんだなあ。
6. Posted by 98k   2012年01月25日 21:49
>TOMOさん
そーいやわたくし、○○サウンドとゆー地名があるのは知ってましたが、「湾」の意味だとは今まで知りませんでした。
うーむ、サウンド・オブ・ミュージックは「音楽湾」、サウンド・オブ・サイレンスは「沈黙湾」」のことだったんですね!(違)

まあ、自分たちの最低限必要な分以上に収奪しなければ、豊かな大地はそのままで恵みを与えてくれますね。
そこでは過去からの知恵さえあれば、狩猟採集だけでもなんとか生きていけるわけで、
つい最近まで、人類はそうしてきたんですが、そんなところで農耕や牧畜がはじまり、
やがてクニができ、産業が生まれ・・・自分たちが必要とする以上に収奪するようになり・・・

川端さんへのコメントにも書きましたが、一方で農耕や近代産業の恩恵も受けていることも事実・・・
ですから、TOMOさんの御先祖さまが蝦夷地で成された開拓の歴史を、今まさに熊襲の地で再現されてるわけですね・・・

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