京都

2013年11月28日

2013秋・八重の紅葉?後篇

当サイトの過去記事を画像付きで一覧できる「HISTORY VIEW」はこちらです。


前回記事からの続きであります。

会津では八重さんのスペンサーライフルのターゲットだった山縣有朋の別邸「第二無隣庵」での、
真っ昼間からの大宴会を終えた御一行、いつもどおり酩酊状態になってからの庭園鑑賞も終え、
今年は八重の桜ツアーじゃあ!!!と、新島襄の旧邸までふらふらと歩きました・・・
ま、飲み放題の制限時間いっぱいまで飲んでたため、内部見学の受付は終了してましたが・・・

その後は寺町御門から「京都御苑」へふらふらと入り、「京都御所」の東端をふらふらと北上します。

そう、このあたり、わたくしがこれまで、てきとーに「御所」と書いてきた場所なんですが・・・

まず、東は寺町通、西は烏丸通、南は丸太町通、北は今出川通までの、築地や石垣に囲まれた広い範囲、
ここは明治初頭まで宮家や公家の邸宅街だったところで、遷都などで荒廃したため大部分が緑地に整備され、
今は環境省が管理する公園となっており、こちらは正式には「京都御苑」という名称なのだそうです。
で、その中にあって、さらに築地に囲まれた狭い範囲、春と秋の一時期のみに公開されるところが、
歴代天皇の住まいだった「京都御所」で、こちらは宮内庁の管理なのであります。

まあ、京都の人も全体をてきとーに「御所」と呼んでるようですし、御苑が整備された明治10年から、
公園として開放される昭和24年までは、全体が二重の築地に囲まれた「御所」だったわけで、
別にどちらでもいいことなんでしょうが、ま、いちおー誤解のないように・・・




閑話休題




とーとつに「京都御苑」でロケ中だった、オダギリ・ジョーと綾瀬はるか・・・

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なのかっ???






もとい、こちらこちら・・・

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寺町通で開校してから一年後に移転してきたという、今出川キャンパスに入って行くと・・・






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すぐ目立つところにありました・・・ここの掲示板、昔は休講の貼り紙とアジビラだらけだったんですが・・・

ちなみにドラマ前半のポスターでは、綾瀬はるかがスペンサーライフルを構えてましたねえ・・・
さらにちなみに、このポスターではキャッチコピーが「明日も咲いている。」になってますが、
前半のポスターでは、「この時代、咲いてみようじゃないの・・・」でしたね・・・


さらに閑話休題


今回はリタイア後に再入学して史学をやってる先輩とキャンパスで合流し、案内してもらいました。

この今出川キャンパス、もとは新島襄が山本覚馬から寄贈を受けた、旧薩摩藩邸跡地なのですが、
ドラマの中でも、京都府顧問となった山本覚馬が薩摩の西郷隆盛から、ここを託されるシーンがありましたね。
わたくし長年、このキャンパスすべてが旧薩摩藩邸跡だと思っていたのですが、先輩の解説によると、
お隣の相国寺からの借地部分や、京都府などから購入した部分も多いそうです。

「そやから今の相国寺さんは、きん、ぎん、どう、で支えられていると云われてるんや・・・
そう、金閣寺と銀閣寺からの観光収入と、同志社からの地代や・・・」と、先輩によるオチ・・・

そーいや、金閣寺も銀閣寺も臨済宗相国寺派に属してて、管長も相国寺の管長が兼務でしたね。


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みんな感心して案内板を見てますが、奥に見える茶室「寒梅軒」の案内板であります・・・




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キャンパス内に由緒ある茶室があったなんて、先輩に教えてもらうまで誰一人知りませんでした・・・
ええ、当時の学生食堂の位置や定食のお値段は、全員が正確に覚えてたのですが・・・






以下、八重さんの時代に建てられた重要文化財も多く残るキャンパス内をさくさくっと・・・

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新築校舎の中に入ると、こちらが新しい・・・

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学生食堂・・・そう、教室よりも重要な大学の根幹施設であります。ええ、きっぱりと








で、こちらもすっかり新しくなった・・・

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学生ラウンジ、こちらも教室より重要で・・・わたくしが過ごした時間は教室より長かったはず・・・

先輩によると、我々の時代の汚い学生会館(学館)にあった、汚いラウンジの汚いテーブル天板が、
メモリアルとして、この新しいラウンジの一部にも使われているらしいのですが・・・
どこに使われているのかまでは、よくわかりませんでした。どなたかご存知なら、ぜひコメントを・・・
ま、わたくしの落書きなんか、もちろん消されてるんでしょうが・・・






とか、ふらふら彷徨ってると・・・

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今出川キャンパスの西端、烏丸通に出てしまいました。

正面が、わたくしが授業にも出ずラウンジでごろごろしていた学生会館(学館)のあったところ・・・
現在は高級イタリアン・レストランも入っている、眺めのいい校舎建物になってます。






こちらは準備に大わらわのEVE祭(学園祭)の実行委員・・・なのでしょう・・・

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今年で学園祭も138回目になるんですねえ・・・

ちなみに開校日が11月29日で、その前夜祭として始まったのでEVE祭・・・だったはずです・・・







んで、いったんキャンパスを出て、うしろを振り返ると、大きな木に電飾が施してあり・・・

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5時になれば点灯するとのことで、待つこと5分・・・



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きっかり5時に点灯しました・・・


一部に工事中の部分もありましたが、建物の修復や新築もほぼ完了し、昨年より落ち着いた感じでした。
やはり「八重の桜」の影響でしょうか見学者も多く、より清潔でおしゃれで華やかになってて、我々の時代とは、
さらにギャップが大きくなってましたが、EVE祭の迫った夕方の慌ただしい雰囲気は昔と全く同じでした・・・




その後、御一行はキャンパスを出て、四条河原町の路地にある、学生時代からおなじみの居酒屋へ・・・

その昔、京大の学生だった小松左京氏が山崎正和氏、高橋和己氏らと毎夜激論を戦わせていたとゆー、
いつもの古めかしい居酒屋であります・・・

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貸切にした2階に、一学年上の先輩たちも次々と集まり、いつもの阿鼻叫喚!!!二次会となったのですが、
先輩たちは琵琶湖のホテルで、さらに一学年先輩たちとの泊まりがけ三次会があるとかで早々に退散・・・
(ちなみにわたくしが二回生の時に四回生だった、憧れのおねいさまも参加していると聞き、一瞬、
そっちに行きたいっ!!!とも思ったのですが、ま、憧れは憧れのままでもいいかと・・・)




で、後には同級生のさらに一部だけが残り・・・

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ゆったりしたところで、いったん空き瓶や取り皿なんぞを片付けて、あらためてビールやあてを追加・・・








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そのまま三次会に突入したとゆー次第・・・

ま、このようにして、今年も京都の秋の夜は更けていったのであります・・・めでたし、めでたし、と・・・



開き直りのP.S.
八重の桜とか紅葉とかいいながら、八重さんゆかりの画像や紅葉の画像は殆どありませんでしたが、
いつもどおり、本人は飲んだくれて充分楽しんでるので、これはこれでいいのであります。


「この時代、咲いてみようじゃないの・・・」がははは






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2013年11月25日

2013秋・八重の紅葉?前篇

当サイトの過去記事を画像付きで一覧できる「HISTORY VIEW」はこちらです。


今回はとーとつに「八重の紅葉」であります。


???


じつは毎年秋の恒例となった、学生時代のサークルの同窓会で行く京都の散策記事なんですが・・・

今年はNHKの大河ドラマ「八重の桜」が放映中ですので、記事タイトルも「八重の紅葉」にした次第・・・




って、そんな紅葉あるのかっ???




ま、あちこちのサイトでも紅葉記事がアップされてますが、こちらでもさくさくっと紹介していきましょう。



23日のお昼過ぎ、京阪電車の三条で下車、川端通りを北へ上がって西へ、鴨川を御池通りへと渡ります。

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橋から見た、下流側の様子・・・正面が三条大橋であります。

八重さんが上京して(東京ではなく京都です)、新島襄と再婚するまで家族で暮らしていたのが、
「京都ホテルの西南向かひ」にあったという、兄・山本覚馬が新門辰五郎から買った家なのですが、
京都ホテルオークラの西南というと、拡幅された河原町御池の交差点あたり、画像右側(西側)奥になります。





で、河原町通りまでは行かずに、木屋町通りを高瀬川沿いに北へ、もと角倉了以の別邸で、
明治になって山縣有朋の別邸「第二無鄰菴」となった、いつものがんこ二条苑へ・・・

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鴨川から角倉了以の開削した高瀬川へ分流する源流に位置し、豪邸と名庭園が有名であります。

後に内閣総理大臣となる長州の山縣有朋ですが、戊辰戦争の際は会津征討総督の参謀ですから、
会津城に籠城してスペンサーライフル(カービンモデル)で戦っていた八重さんの、まさに重要ターゲットの一人、
その宿敵の別邸での宴会なのでありますね。



ま、こちらも毎年恒例なんですが・・・

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昼宴会は、お安い会席コースと飲み放題のパックなのであります・・・





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いやあ、がんこも、もう50周年なんですね・・・






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鍋の中身が、できたての湯葉と豆腐だけ、とゆーのは、ちとさみしかったですが・・・





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コーヒーとデザートが出て・・・






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完食であります・・・って、まだ刺身醤油でビール飲んでたりして・・・げふっ






今年は大庭園に面した座敷ではなく・・・

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中庭に面した座敷でしたが、やはり風情がありますねえ・・・





宴会後は、これも恒例となった泥酔状態での名園散策・・・

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お天気はまあまあよかったのですが、紅葉まっ盛りにはまだ少し早い、とゆー感じでした。





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右手奥が鴨川から水を取り入れている高瀬川の源流になります。





それにしても・・・

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オートモードだと、ひどく眠い画像になりますね、ニコンP330・・・





で、ようやくお店を出たら、すぐ近くのお寺に紅葉が見えたので寄ってみました。

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やはり紅葉を見た目どおりに撮るのは難しいですね・・・






(11/27追加です。上の画像、はじめてニコンのおまけソフトでレタッチしてみました。)

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(カラーブーストとコントラストの調整だけですが、見た目はこんな感じの、見事な紅葉でした。)






ふらふらと散策してると、こんな看板も・・・

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大般若経の版元なんてあるんですねえ・・・






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けっこう有名なお茶屋さんです・・・







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京都など古い町並みには、行き止まりの路地が多いですね。








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行願寺を過ぎ・・・






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下御霊神社を過ぎると・・・





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京都御苑が見えてきました。



いつもはふらふらと御苑に入るのですが、なにせ今年は「八重の桜」ツアー、さらに寺町通りを北へふらふら・・・



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同志社校友会の建物の北側にある・・・




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新島襄旧邸であります。

昼宴会が長引いて、内部見学の受付はすでに終了してましたが・・・





ま、外観だけでも・・・

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ここで、京都初の洋式キッチンやダイニング、ベッドなどを備えた新婚生活をはじめられたとか・・・




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大河ドラマにちなんで、桜の苗木なんぞも植えられてました。

じつは、ここが新島襄が最初に開校した同志社英学校の跡地なのであります。

で、この北側には、わたくし憧れの「禁断の花園」だった、同志社大学の女子寮「松陰寮」があり、
さらにその北側にあるのが京都府立・鴨沂(おうき)高等学校で、その前身は日本最古の旧制高等女学校、
さらにその前身が八重さんが教えていた、これまた日本で最初の女学校、「女紅場」なのでありますね。





ま、せっかくなので・・・

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女紅場で八重さんから教えを受けていたといわれる三人娘・・・わっ、ぼかっべきっぐしゃっ

も、もとい、

もう少しだけ、時代が下ってから・・・わっ、ぼかっべきっぐしゃっ

つ、つい最近まで、「禁断の花園」に咲き誇っていた、わたくしの同級生たちであります。





その後、御一行は鴨沂高校の手前で西へ、寺町御門から京都御苑に入り御所を目指します。

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ええ、禁断の花園たちに、ぼこぼこにされながら・・・



(後篇に続きます。)



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2013年01月31日

森見登美彦作品を読む1

遅ればせながら今回は、森見登美彦氏の作品をいくつか、独断と偏見で紹介させていただく次第。

といいつつ、デビュー作「太陽の塔」は次男に貸してて手元になく、表紙画像が撮れてましぇんが・・・

ひょんなことから、偶然この作品の存在を知り、読んでみてすっかりハマってしまい、最近は氏の作品を、
(あくまで古本屋で)見つけては楽しんでいるとゆー次第。

とりあえず今までに読んだ作品の一部をさくさくっと、しかも思いつくままご紹介します・・・

このサイトの「書斎」カテゴリでは、アウトドア関係以外はなるべくアップしないようにしてるんですが、
ひさしぶりにハマってしまったもので、みなさんに感想を伝えたくなって、ついつい・・・

以下、あらすじ部分や引用部分もありますので、初心で読みたい方は青色部分をとばしてお読みくださいね。





「太陽の塔」

1970年、一面の竹藪だった大阪・千里丘陵を切り開いて開催された「日本万博」のシンボルモニュメント・・・
を、タイトルにした小説であります。・・・

2003年・新潮社刊、2006年・新潮文庫刊の作品であります。わたくしは文庫版で読みました。

氏のデビュー作で大学院在学中に出版されたもの、2003年のファンタジーノベル大賞受賞作品であります。

お話は・・・

3回生のときに、彼女ができかけたもののやがてフラれ、それから2年間、ほぼ自主休学状態となり、
四畳半の下宿に籠って、なぜ彼女は自分と別れたか、なぜ自分は彼女に恋したか、とゆーテーマについて、
研究レポートをまとめるため・・・と称し、彼女の生活を日夜観察し続けている5回生の日常生活のお話・・・
って、これ、世間一般ではストーカーなんですが、本人はあくまで学問的研究対象に過ぎないと主張している・・・
とゆー設定からして、まず面白いんですよね・・・
で、サークルの風変わりな先輩や後輩との不可解な関係、さらにモノに対する執着やそのウンチクがあったり、
不思議な場所に現れる叡山電鉄と彼女の出現とが交錯したりと、ファンタジーとしての展開もあったりで・・・


夏目漱石の草枕の冒頭を彷彿とさせるような、古今東西の博識に基づく格調高い文体によって描かれる・・・
文庫版解説の本上まなみ氏によると、「へもい」若者の、まあ、じつにしょーむない日常なんですが・・・

舞台は京都の出町柳から百万遍あたりを中心に、せいぜい半径1km程度の範囲で、下宿と大学の周辺、
たまに四条河原町あたりの繁華街や大阪・梅田あたり、それにタイトルの太陽の塔までは出てきますが、
まあ、著者のゆーところの「スモールワールド」のお話であります。

京都で「へもい」学生生活を送った者なら、思わず「うぐぐぐ」となってしまいますし、その経験のない方でも、
ともかく「へもい」青春の経験者なら(まあ、大部分がそうでしょうが・・・)、「うぐっ」ぐらいは必ずなるでしょう。

作品の時代とわたくしが過ごした時代とでは、30年近いズレがありますが、下宿やサークルの雰囲気、
風変わりな先輩や後輩、じょしへの憧れなど、まったく時代のズレを感じさせない「へもさ」なのでありますね。

わたくし以前、某サークルの創立40周年記念行事に参加したことがありましたが、そのとき現役生に抱いたイメージ、




「キミたち、まったく進化とゆーもんはないんかいっ!!!」



といった、なんともいえないムズ痒さと懐かしさを感じさせてくれる作品で、ファンタジーとしても楽しめました。
現物が手元にないため、とりとめなく書きましたが、ともかくこの一作で、氏の作品にハマってしまった次第。









「四畳半神話大系」

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2008年・角川文庫版であります。氏の第二作で単行本は2004年・太田出版の刊行であります。

ご覧の文庫版表紙(カバー)絵のとおり、下鴨神社と糺の森とラーメン屋台に囲まれた古い下宿が世界の中心、
とゆー舞台設定はまったく同じで、主人公や登場人物もほぼ前作同様なのですが、さすがに第二作になって、
主人公の「へもさ」がより洗練され、物語や他の登場人物も、さらにエスカレートしています。

2010年にアニメ化、テレビ放映されて評判になり、当年度の文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で、
なんと大賞を受賞したようですが、わたくし当時はこの作品そのものを知りませんでした。
最近になって知人のDVDで、全11話をいっきに観ましたが、小説とは別の作品としてもけっこう楽しめました。
アニメ作品としての質も高く、製作スタッフのセンスのよさが窺われ、大賞を受賞したのも頷けました。

まあわたくしのトシでは、登場人物が小説に較べてちと軽すぎて、もう少し硬派のキャラにしてくれたら・・・
とゆー感じはしましたが、ともかく面白くて表現も新鮮、こちらも一見の価値はあると思います。
DVDとブルーレイで出てるようですので、機会があればアニメ作品もぜひ・・・



で、小説のほうは、全四話がそれぞれ「パラレルワールド」になっており、主人公が3回生の春に、これまで2年間、

「異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石をことごとくはずし、
異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの打たんでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきたのは
なにゆえであるか。」

と、自問自答し一回生の春に遡って、それぞれ異なるサークルに入会するところから、各話がはじまります。

「 」内は本文をそのまま引用しましたが、主人公の独白は全編こんな感じで、この格調の高い文体と、
あのとき、こっちのサークルに誘われたのが悪い、あっちのサークルに入っておれば・・・うじうじ・・・といった、
なんとも情けない、あまりにも「へもい」行動との対比が、わたくし大好きになったのであります。


で、一回生の春の時点で、第一話は怪しい映画サークルに入った場合、第二話は怪しい先輩の弟子になった場合、
第三話は怪しいソフトボールサークルに入った場合、第四話は怪しい秘密組織に入った場合、と設定が変わり、
(ま、選択するシチュエーションの狭さそのものが、いかにも主人公の「へもさ」を表わしており・・・)
それぞれ物語が展開していくのですが、どの世界でも、結局は同じ悪友や怪しい先輩らと知り合うことになり、
特に第四話では、この四話の世界を含む無限パラレルワールドに踏み込むことになるのですが・・・
どんなシチュエーションになっても、なんら大きな変化のないまま、無為に三回生の春を迎えていたとゆー・・・

まあ、各話のラストで「恋の予感」の暗示があるのですが、なにせ3回生の春の出来事ですから、
そこから前作「太陽の塔」の冒頭に続くとしたら、すぐにフラれて、もっと「へもい」生活になるわけで・・・


パラレルワールドもので、徹底して狭隘な世界に終始する作品とゆーのはわたくしはじめて、読み返してみて、
あっとゆーよーな想定外の展開を、主人公自身がさりげに排除しているのに気づいた時、この作品の巧みさと、
与えられた条件が変わっても、同じ(へもい)方向に向いてしまう、主人公の恐るべき「へもさ」に魅了されました。

各話が交錯する構成もよくできており、その点でも楽しく読めましたが、やはり散りばめられた小道具が秀逸で、
これが京都の風物詩と四畳半の下宿とゆーキーワードで、じつにうまく繋げられているのにも感心しました。

また、これは「サマータイムマシンブルース」とゆー映画作品を見たときにも、なんとなく感じたことなんですが、
「SF小説のほんとの面白さを知っている人」が、それをわざと外して作ったのでは、と、勘ぐってしまいました。










「夜は短し歩けよ乙女」

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2006年・角川書店刊、こちらは単行本ですが、2008年・角川文庫から文庫版も刊行されてます。

ご覧のとおり、こちらはダ・ヴィンチのブックオブザイヤー各部門1位や山本周五郎賞、本屋大賞2位になった作品。
また、この作品は直木賞候補にもなってて、まさに総ナメ作品だったんですね・・・わたくし知りませんでした。

こちらも舞台は同じ、主人公は3回生で、1回生の黒髪の乙女に恋する設定、カブる他の登場人物も多いです。
主人公の妄想と現実がよりエスカレートしてるとゆーか、設定そのものがファンタジーになってるのに、
あくまで舞台や登場人物は一作目二作目と同じく狭い世界・・・とゆーのがなかなかへもいすごい。

また、この作品は、「私」の独白と「彼女」の独白が交互に出てくる独特の構成になっています。
この手法で二人の内面と現実のスレ違いなんぞをうまく描いているのもなかなかのもの・・・

で、お話は・・・

第一章は、当初は独立した短編として発表されたもので、京都の木屋町や先斗町あたりの繁華街が舞台・・・
3回生の5月の終わりに、同じクラブの1回生である「黒髪の乙女」に話しかけるきっかけを作るために、
彼女も出席する(かも知れない)クラブのOBの結婚祝賀会へ、いそいそと出かけるところから始まります。

で、その夜一夜の、「私」と彼女の行動が、交互の独白によってリアルタイムに描かれています。

わたくしには、宴会になじむ学生となじめない学生の様子も懐かしかったのですが、やはり読ませるのは、
祝賀会終了後、しばらく躊躇した末に、木屋町や河原町あたりの狭い路地なんぞを、一人で飲み歩く決心をして、
一人で店に入ったり、様々な人々と出会ったりして、結局、夜明けまで楽しくさわやかに飲み歩いてしまった、
黒髪の乙女である一回生じょしの独白、とゆー部分で、これがとてもかわゆくて新鮮でした。


こりゃあ、主人公が一目惚れするはず・・・と思わせるような、素敵なじょしの素敵な一夜として描かれており、
彼女が主人公の短編としても、たしかに素晴らしい作品になっています。
その分、この章の「私」のほうは、酔いつぶれて終わるだけの、どーしようもない「へもい」存在なんですが・・・

第二章は、その夏の下鴨神社での古本市が舞台・・・
彼女が古本市に来る(かも知れない)、との情報を得た「私」が、やはり彼女と話すきっかけを作るため、
今度は彼女が手を伸ばした本に、偶然を装って自分も手を伸ばしてから、やさしくその本を譲り、
それをきっかけにラムネを飲みに誘うとゆー、きわめて用意周到な計画!を立てた上で、
いそいそと彼女との出会いを求めて、古本市に出かけるところからはじまります。

この、彼女を誘うための計画についての「私」の妄想を、本文そのままで引用させていただくと・・・、

「天が私に与えた才覚を持ってすれば、事はきわめて容易だ。万事はおのずから私の思い描いた通りの
経過を辿らざるを得ない。その先にあるのは黒髪の乙女とともに歩む薔薇色のキャンパスライフである。
我ながら一点の曇りもない計画で、じつに行雲流水のごとく、その展開は見事なまでに自然だ。」

と、例の格調高い文体で自画自賛しているのですが、やろうとしていることはじつにしょーもないことで・・・

この章では物語としての展開もありますが、わたくしには、本に執着する人たちの描写や、登場する本たちが、
ひょっとして著者の趣味と合うのか、はたまた本好きなら誰でも同じ道筋なのか、やたら共感をよびました・・・

で第三章は、その年の秋の学園祭が舞台・・・
この半年間、彼女と話すきっかけを作るためにあらゆる努力をしてきた「私」が、学園祭で盛り上がるキャンパスを、
ひたすら彼女を探してひとり寂しく彷徨い、やがて、客観的に見ればアクションスターばりの状態となって、
(本人はきわめて冷静沈着なつもりで)必死に彼女を追いかけるとゆーお話なんですが・・・

交互に出てくる彼女の独白は、あくまで、はじめての学園祭に萌えた乙女のお話として描かれています。
学園祭独特の雰囲気と、それになじむ学生となじめずに孤立する学生の様子がじつにいきいきと描かれ、
やはり懐かしさで胸がいっぱいになりました。まさに甘酸っぱくて、ほろ苦い青春・・・
って、わたくしにそんな青春あったっけ・・・思い出すのはほろ苦さだけやないかいっ・・・ううっ

第四章では、冬になり風邪をひいて高熱状態となった「私」が、いよいよ妄想と現実の区別がつかなくなり、
開き直って、逆にそれを利用して物語を自分に有利な方向へと展開していこうとゆー・・・
お話そのものも、現実と妄想の区別がだんだんつかなくなっていく構成になっています。
で、ラストは二人の初デート、とゆーハッピーエンド・・・なんですが・・・
この作品でも、主人公は三回生ですから、ここからも第一作の「太陽の塔」に続くとすると、やはりフラれて、
「へもい」生活に戻るわけで・・・ひょっとして、全てが「へもい」メビウスの輪になってたのかっ???

この最終章の展開には、人によっては物足りなさがあるかも知れませんが、わたくしはファンタジーとして、
きわめて上質の作品になったと感じましたし、ラストの余韻にも感動してしまいました。


前二作とちがって、彼女の独白があるため、同じ状況なのに、それを純真に素直に受け入れていく素敵な彼女と、
その状況をひねくれて受け止め、いろんな妄想を繰り広げては行動が遅れてしまう「私」との対比が面白く、
今までの大学の先輩、後輩、友人といった人物以外にも、けっこう個性的な役割を与えてるのも新鮮でした。





今回は京都での「へもい」学生生活が舞台の3作を紹介しましたが、現在のところ、あと3作ほど読みましたので、
いずれまた機会があれば、紹介させていただきたいと思っています。




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2012年12月10日

2012秋・京都散策その3

前回、前々回からの続きであります。

京都・伏見を散策し、午前中から試飲専門の酒屋さんで呑み、午後からは木屋町二条まで移動して、
もと角倉了以別邸、山縣有朋第二無隣庵とゆー由緒のある、がんこ二条苑の昼宴会で呑んで食べた御一行ですが、
四条にある古い居酒屋での先輩たちとの夜宴会に合流する前に、学園祭間近の母校へ寄ることにしました。

泥酔状態でへらへらとタクシーに乗る組と、泥酔状態でふらふらと歩く組に分かれ、わたくしはへろへろと歩く組に・・・






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秋の夕日に照らされた京都御所を、ふらふらと北上します。









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このつきあたりの御門を出ると・・・









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右にあるのが女子大・・・信号待ちは男子が多いですが・・・










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左にあるのが我らが母校・・・こちらには女子が多いな・・・じゅるじゅる・・・







と、いそいそと構内に入ったのですが・・・


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あちこちで修復工事や新築工事があったり・・・










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学園祭の準備で慌ただしい感じでしたし・・・







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新しい校舎は、さらに大きくきれいになってたりして、今年はなんとなく居心地が悪かったような・・・





で、その後はまた、観光客で満員の地下鉄に乗る組と、観光客で渋滞するタクシーに分乗する組に分かれ、
わたくしはへろへろと満員の地下鉄に乗って四条烏丸へ・・・





で、どこをどう歩いたんだか、ほとんど記憶はないのですが・・・ふと気がつけば・・・

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昔に比べて格段に明るくきれいになった路地にある・・・








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昔とまったく変わらぬ、薄汚れた居酒屋で先輩たちとの阿鼻叫喚宴会に突入してました・・・





まあ、ここの画像もけっこう撮ってたのですが、なにせ撮った本人の記憶が殆どないので、ここはさりげに無視して・・・






仕上げには、これまたいつもどおり・・・

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昔と変わらぬ純喫茶で、まったりとコーヒーを飲んで解散した・・・ようです・・・

わたくしはケーキセットを食べた・・・はずなんですが・・・げふっ


さて、誰と、どうやって帰宅したんだか・・・ううっ


(おしまい)



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2012年12月07日

2012秋・京都散策その2

前回記事からの続きであります。

朝から京都・伏見の町をてきとーに散策した御一行は、「竜馬通り」の突き当たりの商店街にある・・・








今回の伏見散策における、真の目的地へ・・・









じゃーん

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もともとは油屋さんだったとゆー、お目当ての酒屋さんであります・・・








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なんとここ、伏見の全蔵元80種類の酒の呑み比べができるのであります。じゅるじゅる








店内はこんな感じ・・・

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素敵なご主人が、それぞれのお酒の特徴を丁寧に解説してくれるのですが・・・










なにせ・・・

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伏見の酒だけで80種類、しかもいろんな限定酒がありメニューも分厚く、さんざん悩んだのですが・・・

結局、ちょうどこの季節、11月下旬にしか味わえないとゆー、秋のお酒「ひやおろし」と新酒の生酒の呑み比べ・・・
それに三年連続全国コンクール1位を受賞した純米大吟醸、とゆーのを試飲しました・・・







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左から、コンクール1位の純米大吟醸、夏を越えまろやかになったひやおろし、前週仕上がったばかりの新酒しぼりたて・・・

一種類味わうごとに、左の醤油をかけない冷や奴で口中を洗うと、ちがいがよくわかるとか・・・
ちなみにその都度水で口を濯ぐと、酒自体が水っぽくなってしまうそうです。





さらにちなみに・・・

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隣に座った友人は、こんな三種類を試してました・・・やはりこの時期、新酒のしぼりたては定番ですね・・・

利き猪口をよく見ていただくと、右端のにハートマークがみっつ付いてますが、左から1,2,3とならんでいます。
この順番に呑み比べるといいとのことでしたが、芳醇、濃厚タイプから淡麗タイプへと並べてあるようでした。

わたくし、日本酒のお味はよくわからないのですが、空っ腹に大振りの利き猪口三杯で気分がよくなってきました。


で、両隣りの友人のやつも、さらにその両隣りのやつも味見してるとすっかり出来上がり・・・

「うぃーっ、もうここで腰を落ち着けてもいいのでは・・・ひっく」

「いや、ここはあくまで呑み比べのできる酒屋さん、つーことで、三杯以上頼んでも断られるよ。」

「ううっ、そうだったのね・・・」

と、各自、気に入ったのを買ったりしてお店を出たのですが、昼宴会にはまだ時間があったので・・・








次はふらふらと、伏見・御香宮神社の庭園へ・・・

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こちらも紅葉がきれいでした・・・





ま、せっかくなので、素敵な巫女さんに・・・

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「あのう・・・お神酒の振る舞いとかは・・・じゅるじゅる」

「こちらのお宮さんは御香水どす。」

「ううっ」








ようやくお昼になったので、伏見桃山駅から満員の京阪電車に乗って、三条まで移動・・・

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鴨川沿いも紅葉がきれいでした・・・









三条から二条まで上がって、鴨川の対岸にある・・・

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ひと際、木々でこんもりとしたところが・・・










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もと角倉了以別邸、明治には山縣有朋所有となり第二無隣庵と命名された、がんこ二条苑であります。








ま、わたくしが選んだ下足箱はとーぜん・・・

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で、三枚前の画像を座敷から逆に撮った様子・・・

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今回は一番奥の座敷で、鴨川の眺めだけでなく・・・

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庭園の眺めも、なかなかよかったのですが・・・












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なにせ時間制限付きの飲み放題とあっては、そちらを優先せざるを得ず・・・











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今年は素敵なおねいさんとのツーショットを撮る間もなくへろへろになり・・・











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いつもそうなんですが、名庭園へ下りる頃にはすっかり出来上がってました・・・ひっく










ま、恒例により、酔っ払い撮影のブレブレ画像を何枚か・・・

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やはり池泉回遊式庭園とゆーはいいですね・・・ええ、泥酔して池に溺れない限り・・・










で、今回はじめて案内していただいた・・・

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鴨川から庭園への取水口・・・そう、ここが高瀬川の源流なのであります。










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この流れが道を潜って一ノ舟入へ注ぎこみ、高瀬川となります。




(あと一回だけ続きます。)



m98k at 00:07|PermalinkComments(6)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック