2011年04月

2011年04月07日

災害避難について9(まとめ)


さて、前回まで8回にわたって、災害時の避難について、わたくしのアウトドアでの経験から、
そのポイントや装備について、思いつくままメモにしてきました。

災害といっても、その種類や規模は様々ですし、避難といってもその避難先や期間も様々ですから、
どんな災害でどんな避難をするのかによって、そのポイントや装備も変わるのが当然ですが、
なにせ「思いつくまま」のメモでしたので、いろんなケースがごちゃまぜになってしまいました。

そこで今回は、これまでのメモをわたくしなりに整理してみたいと思います。
わたくしはサバイバルの専門家でも何でもありませんから、お気づきの点はぜひコメントをお願いします。


1 災害避難の優先順位


災害避難の基本は、やはり米海軍パイロットのサバイバルマニュアルにある「優先順位」の認識だと思います。

第一順位 酸素の確保
酸素がなければ人は3分で死に至ります。
ともかく何をおいても、まず窒息しない場所へ逃げるということ、つまり地震なら圧死しない、
津波・水害なら溺死しない、火災なら焼死(窒息死)しないところへ、逃げることを最優先します。
逃げるといっても、自宅や職場、外出先など居合わせた場所がその災害に対して一時的に安全なら、
その場でとりあえず災害に対する対応(地震なら机の下に隠れるなど)をすることになります。

第二順位 シェルターの確保
災害から逃げたとしても、ずぶ濡れのまま吹きさらしで一晩過ごせば、真冬でなくても死に至ります。
逆に、乾いた衣服で雨風をしのげるシェルターさえあれば、そう簡単には死にません。
一時避難できれば、とりあえず手持ちやありあわせの材料で身体を濡らさない(乾かす)工夫をする、
雨風や寒気猛暑をしのげて休める(少しでも眠れる)シェルターを確保することを考えましょう。

第三順位 水の確保
安全なシェルターを確保して一日二日は生き抜いても、人は水がなければ三日で死ぬといわれています。
ですから三日以上救助される見込みのない場合は、酸素、シェルターの次に水の確保が必要になります。
非常持ち出しできなかった場合、安全な範囲で、どこに飲める水分が残っている可能性があるか、
そのまま飲めない水があれば、どうすれば飲用可能な水にできるのか、あらゆる工夫を考えましょう。

第四順位 火の確保
「火」は状況によってはシェルターや水の確保にも大きく関わってきます。
寒さを防いだり、乾いた衣類や飲み水の確保などが、火がなければできない状況であれば、
火の確保は第二、第三順位となりますし、次の食料の確保にも関わる場合があります。
火種と可燃物さえあれば、かなりの悪条件でも焚き火は可能なので、決してあきらめないで下さい。

第五順位 食料の確保
人は三週間程度は食べなくても生きているといわれており、あわてて食料を確保する必要はありませんが、
ずっと食べなければ、確実に体温や体力が落ちてきますので、動けなくなる前には確保する必要があります。

酸素、水、食料の順位は、「3分、3日、3週間の原則」といわれ、一般にはサバイバルの基本とされてますが
水や食料を求めてあえて危険を犯すよりも、ともかく一時避難したら、乾いた衣服とシェルターを工夫する、
ということを、まず頭に入れておいて下さい。

そして、現代の大規模災害を生き抜くための特徴的な項目として、これらとは別に、
「情報の確保」という項目も覚えておいてください。

的確な災害情報や救援情報を得られるかどうかは、場合によっては生死を左右しますし、
現代の情報は、ツールさえあれば比較的容易に入手することができるはずです。



2 災害避難の装備


1の優先順位を考えて、あらゆる災害に対処できるような装備を・・・といっても、
そんな完全装備で外出するわけにもいきませんし、職場や自宅の非常持ち出し袋にも、
大量の装備が入ってたら、とても迅速な避難はできません。

これまでのわたくしの記事と、いただいたコメントを総合すると、最低限の装備は以下のとおりです。
ただし、震災後の物流の少ない、高価になっている時期に、あわてて購入する必要はありません。

まず、いつも身につけている(EDC)、あるいはそばにあるべきものとしては、
衣服、靴、手袋、ツールナイフ、鞄またはリュック(頭部保護にも)、コード(ひも、針金類)、小型ライト、レスキューシート、
ライター、レジ袋ポリ袋(水筒用や呼吸用や防水用)、小型ラジオ、バンダナ、ティッシュ、救急セット、現金、アメ、
ということになりました。

ただし、ナイフなどをいつも持ち歩くのは、銃刀法や軽犯罪法に触れるおそれもある、とのご意見もいただきました。

まあ、小型のツールナイフなどは、他の救急キットやレスキューシートなどと一緒に、
明らかにエマージェンシーセットとわかるような小型のケースに入れておけば、
よほど怪しい時間に怪しい場所を徘徊していない限りは、わたくしは問題ないと思っています。

それと自宅と職場、常時使うならクルマにも用意すべき
非常持ち出し袋には、これらにプラスして、
水と食料と燃料と携帯トイレを三日分、あとヘルメットと雨具
があれば、ということなります。
もちろん、自宅と職場の非常持ち出し袋には、通帳など重要書類、常用薬といった貴重品も入れておきます。

水については一日2リッターといわれてますが、そんなに持てませんので、500mlペットを数本が限度でしょう。
その上で、小型の浄水器や浄水薬を入れておく、といった方法もあると思います。
食料についてもエナジーバーなど非常食を数食分、燃料についてもチューブ燃料か固形燃料をひとつ、
これは焚き付け用として、あとは小さなクッカーがあれば、温かい飲み物で暖をとれるだけでなく、
水や食料の確保にも役立つはずです。

で、長距離を徒歩で避難する場合は、ハイキングシューズやストックなどの歩行用装備、
体育館など一時避難所での集団生活にはドーム型テントがあれば暖かく家族が落ち着くこと、
長期のテント生活になっても、当サイトの「ファミリーキャンプ入門」カテゴリにある、
キャンプ専用の「七つ道具」が無事であれば、ある程度はそのまま活かせることも書きました。

さらに避難のひとつの方法として、電気、上下水道、ガスなどのインフラが破壊されても、安全確保できるのであれば、
トイレなどの衛生面を工夫して、自宅で「籠城」するといった選択もあると、いくつかのコメントをいただきました。

もちろん、余震等に対してある程度は安全な自宅、ということが大前提となりますが、その場合に備えて自宅に
ある程度の水、食料、カセットボンベなどの燃料があれば、キャンプ用のバーナーやランタン、簡易トイレなどで、
テント生活や避難所生活より快適な避難生活も工夫によって可能になると思います。


今回のような広域的な大災害の場合は、「最初の三日間だけ自力で生き抜く」、
「その後は公的な救助活動により救助される」、そして、「指定避難所では一定の支援が受けられる。」
といった、今までの前提条件が覆されましたが、それでも基本は、まず初動の一時避難による酸素の確保、
その後のシェルターの確保、水の確保、火の確保、食料の確保、という順番には変わりはありません。

結局災害への備えとしては、コメントでもいただきましたが、家族にとっては、やはり自宅の防災化が第一、
その上で、家族の集合場所や一時避難場所、安否確認の方法などを話し合っておくこと、
そしていつも持ち歩く(EDCする)もの、非常用持ち出し袋に用意しておくものの確認、
インフラ潰滅時のテント生活や自宅での籠城に備えて、慣れておくこと、できれば備蓄しておくこと、
ということになってきます。備蓄の基本は1週間~1ヶ月分とされてますが生活環境で異なります。

それぞれの項目については、今回の一連の記事(1~8)を見ていただきたいのですが、
今の一時的なモノ不足の時期に、あわてて災害用にアウトドア用品を買い揃えたり、
保存食や燃料などを買い占めても、被災地に迷惑なだけで、ほとんど意味はありません。

もっと大切なことは、被災時には最初に書いたサバイバルの優先順位を意識して行動すること、
備えとしては道具の使い方も含めて、ふだんからアウトドア生活に慣れておくことだと思います。
そのために最低限必要なものを少しずつ買い足していき、その都度その使い方を経験しておくこと、
食料や水や燃料などの備蓄と消費のサイクル(ローリングストック)についても、時間をかけて慣らし、
自分の生活環境に見合ったストックにしていくことをお薦めします。



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2011年04月04日

災害避難について8

(災害避難についての「まとめ記事」はこちらです。)

被災地でのテント生活に役立つ(と思われる)キャンプ用品の続きであります。

当サイトの「ファミリーキャンプ入門」カテゴリに書いた、ファミリーキャンプ専用に揃えておきたい七つ道具
(テント・マット、タープ、イス・テーブル、バーナー、クーラーボックス・保冷剤、水タンク・専用台、ランタン・懐中電灯)
のうち、前回はテント・マットとタープについて、その災害時利用のポイントを書きました。

次の項目は「イス・テーブル」となってますが・・・
まあ、これは被災した自宅やごみの中から、使えそうなものを見つけてこれそうですが、
安全な場所に災害用を兼ねて保管しておくなら、小さく畳めてゆったりするものがいいでしょう。
具体的には同カテゴリで説明したとおりのイスとテーブルですが、テーブルのサイズについては、
キャンプより長期の生活になるので、やや大きめのほうがいいでしょう。(4人家族なら120より150や180)
そして、代用品でもいいので、できるだけテーブルにはテーブルクロスをかけましょう。
いろんな用途に使えますし、たとえアルファ米とレトルトだけの食事でも、気持ちにゆとりが生まれます。

テレビ番組で見ましたが、アコンカグアの登山ツアーでも、昔のヨーロッパの伝統でしょうか、
かなり高所のキャンプでも、必ずテーブルとテーブルクロスを使ってましたね。
たとえハードな毎日でも、楽しい食事と団欒はストレス解消にも重要ですから、少しでも工夫しましょう。


次にバーナーですが、これも一般的なカセットガスを使うタイプが災害時でもベストでしょう。
ただし、寒冷地では気化しにくいので、ガソリンバーナーや山岳用のガスバーナーになりますが、
これらは災害時の燃料供給が困難ですから、用意するならかなりの燃料備蓄も必要になります。
でも、大量のホワイトガソリンや寒冷地用ボンベの保管は危険ですので、やはり現実的ではないでしょう。
ほかにも山岳用のマルチフューエルバーナー(ノズル交換なしで各種燃料が使えるもの)
も考えられますが、家族での使用を考えると、やはり一般的ではないでしょう。
寒冷地の場合は、灯油ストーブや薪ストーブなど、強力な暖房器具があるはずですから、
むしろ、これらの予備や災害から守る方法を考えておいたほうがいいのかも知れませんね。

カセットガスタイプなら、キャンプ用でなくとも、家庭にあるやつでも充分だと思います。
現在も被災地用にカセットバーナーやカセットボンベのメーカーが24時間体制で増産してますし、
電池とともに、比較的早い時期に支援が届くと思いますが、ボンベの予備は多めに必要です。
3000kcalなど高出力タイプで最大火力にすると、一本で一時間ほどしか持ちませんが、
ま、アルファ米やフリーズドライ用の僅かなお湯を沸かすとか、レトルトを温める程度なら、
一日一本のつもりで準備しておけばいいと思いますが、ボンベがなくなった時や暖房用に、
ペール缶式の焚き火台があると便利です。燃料になる廃材はいくらでも身近にあるはずですから・・・

折りたたみ式は小型になっていいのですが、煮炊きにはペール缶式のほうが便利ですし、
網の上に鍋などをのせてしまうと、火の粉が飛びにくく、火災の心配も少なく安全です。
毎日放映されている避難所の様子からも、ドラム缶などで作った焚き火台をよく見かけますが、
本体そのものの輻射熱で、あまり炎は見えなくでも、けっこう暖かいのが特徴です。
もちろん廃材を切るノコギリや薪割り用の斧、着火剤なども一緒に保管しておきます。


次はクーラーボックス・保冷剤となってますが、保冷剤は災害時にはまず使えないでしょうが、
クーラーボックスは乾いた衣類の保存や、大型水タンクとして、あるいはシンクとしても使えると思います。


次の水タンク・専用台、これはキャンプでも避難生活でも必需品ですが、給水所までの往復用に、
折りたたみ式のキャリアとセットして保管しておくといいでしょう。
またメインのポリタンクとはべつに、折りたたみ式のタンクやバケツなども用意しておくと、
洗濯や洗いもの、トイレ用の水汲みなどに使えますし、個人用のペットボトルや水筒も必要です。
他にも、その辺にあるあらゆる容器を利用して、タープなどの雨水も溜めておくと生活用水に使えます。


最後のランタンと懐中電灯ですが、まずランタン・・・

被災地での長期のテント生活を考えると、やはり単一、単二、単三を使う電池式、
なるべくランタイムの長いやつで、タープ用のメインとして大型を、テーブル用のサブに小型を、
これはメインの電池切れの場合の予備としても、また就寝時のテント用としても必要です。
ともかく被災直後は、夜には常時どこにでも明かりがないと、かなり不安になるようです。

それともうひとつ、カセットガスのランタンを用意しておくと、カセットボンベの供給さえあれば、
照明用にも暖房用にも使えますし、焚き火台が使えないような強風時でも、
ごうごうと燃焼する明るい光は、暖かさと安心感を与えてくれると思います。
またバーナーよりガス消費が少なく、残量が僅かになってバーナーでは使えなくなったボンベも、
ランタンに移して使うと、照度は落ちるものの、最後まで使い切ることができます。

そして最後に、被災地でのテント生活に使うライト類ですが・・・
テントの外回りを緊急補修したり、近くの火災を消火したり、急病人を搬送したり、余震に備えたりと、
夜間の緊急作業の確率は、通常のキャンプよりもはるかに高くなるでしょうから、
やはり両手が使えるヘッドランプか、首から下げたり胸ポケットなどに固定して使えるL型ライト、
どちらも単三電池を使うタイプ、という選択になるのではないでしょうか。
また、自宅や周囲の建物に、まだ倒壊の危険性が残っている場合を考えれば、
ヘッドランプはヘルメットにも装着できるタイプがいいかも知れませんね。

もちろん、電池式ランタンも懐中電灯もヘッドランプも、球切れの心配が少なく省電力のLED仕様で、
とくにランタンについては電球色LEDタイプにすると、暖かみがちがいます。


以上、ファミリーキャンプ専用に用意するモノは、災害避難時のテント生活にも使える、
といった観点で、お話をさせていただきましたが、やはり家族の災害対策としては、
ひまぱのぱさんや川端さんが書いておられるように、自宅の耐震耐火化、家具の固定、
水や食料の備蓄、家族の集合場所や避難場所の確認、といったことがあくまで基本であります。

そのうえで、仮に自宅が全壊した場合でも、キャンプ道具を使ってテント生活ができるように、
使えるモノや保管場所を考えておく、といったことも意味があると思います。

暖かくぐっすり眠る、たっぷりと、まではいかなくとも、ゆったりと食事をする、というのは、
テント生活でも工夫すればできますし、これは災害避難時にも重要なことだと思います。

家族用ドームテントで寒ければ、さらに中に小型のテントを張って身を寄せ合えば暖かくなりますし、
支給された毛布やシートを使って内張りを作るといった工夫も、いくらでも考えられます。

ただ、テント生活に慣れていないと、そのこと自体が大きなストレスになりますから、
やはり家族で出来る範囲で、キャンプ慣れしておくことも必要だと思います。

阪神淡路大震災で被災したわたくしのキャンプ仲間が、その年の夏の定例キャンプで、
「当時は毎日がキャンプ生活で、家内も子どもたちも元気いっぱい張り切ってました。」
と明るく体験談を話してくれたことがあります。

もちろん、人には言えない苦労もあったんでしょうが、性格的にはわたくしと同じ、
特価品や面白そうな新製品があるとついつい余計に買ってしまうタイプで、
家に置いてあるキャンプ用品も燃料も保存食料も、半端な数ではなかったようで・・・

たまたまクルマに満載していたキャンプ道具と、自宅にあった大量の保存食品(ラーメンやレトルト)、
安売り飲料(ほとんどビール)、特価の時にまとめ買いしてたカセットボンベなどが無事で、
ありったけのランタンやバーナーを被災した近所の人たちにも大量に配ったうえ、
毎晩、みんなで路上キャンプ宴会をやってたそうで、停電で真っ暗になった街の中で、
彼の自宅周辺だけが煌々と明るかった、と笑ってました。

まあ、このぐらいの、キャンプ生活への慣れと自信が家族全員にあれば、
被災の程度にもよりますが、その後のストレスもかなり小さくなるのではないでしょうか。


ま、わたくしや彼は例外としても、電気、ガス、上下水道などのインフラが断たれた場合、
多くのアウトドアグッズと多くのアウトドア経験は、必ず役に立つ・・・と信じているのですが・・・
大量の安売りラーメンや安売りレトルトも、万一の場合はたぶん役に立つでしょうが、
商品の流通が少なくお高い時期に、あわてて買い溜めに走るほどのものではありませんね。




反省と開き直りのP.S.

実際、「糧食・飲料」のカテゴリなどを見ていただいてもおわかりのとおり、
わたくしも、特価品や面白そうな新商品があれば、ついつい買ってしまうタイプです。

インスタント食品なんぞも大好きですから、自宅ではこんなに食べないだろうけど、
ま、次回のキャンプに持って行けばいいや、と、ラーメン、レトルト、缶詰め、
ついでに、長持ちするつまみやお菓子なども、いつも大量に自宅に転がっています。
まあ、安売りの理由が賞味期限間近、というやつも多く、災害時に備えて念のため、
などという発想はあまりなく、結局、賞味期限をかなり過ぎたやつなんぞは、
さりげに家族やキャンプ仲間に食べさせたりしていますが・・・

カセットボンベにしても、もともとキャンプの必需品なので、特価(3本198円)を見つけたときは、
かならずまとめ買いしているため、こちらも大量に転がっています。

まあ、こんなにあっても結局は品質が落ちるだけ、大量のカセットボンベなんぞはむしろ危険・・・
とも反省していたのですが、インフラが断たれてしまった場合を考えると、
「水さえあれば、当面の食料と燃料には不自由しない」災害用備蓄になってたんですねえ・・・
もちろん、キャンプに行って更新していかないと、いざという時には役に立たないのは当然ですが・・・

川端さんの記事へのコメントにも書きましたが、16年前の阪神淡路大震災のときは、
わたくしの自宅もかなり揺れ、共同住宅のほぼ全戸で電気温水器のパイプが外れて、
共用廊下が水蒸気でまったく見えなくなっていたのですが、安全確認後の最初の行動は、
まず浴槽とキャンプ用のポリタンクを満水にすることでした。
さいわい停電や断水はありませんでしたが、当初は貯水槽の水もいつまで持つかわからず、
とっさの判断でしたが、「あとは水さえあれば何とかなる。」というのは無意識にあったようです。

もちろん、当時からライト類も電池類も大量にキャンプ道具の中に入ってますし、
数日間(ひょっとして数週間?)は暮らしていけるだけの保存食料がある、
というのも、たまたまですが災害時にはなかなか役に立ちそうですので、
安物や特価品の衝動買いは、今後も続けることにしようかと・・・

わっ、ごめんなさいっ、そう、無駄な買い物はしないように、でしたね・・・ぺこぺこ・・・





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2011年04月02日

災害避難について7

(災害避難についての「まとめ記事」はこちらです。)

昨日の新聞に、被災地の避難所になっている体育館の床に、
白い家族用ドームテントが整然と並んでいる写真が載ってました。
外国の方からの支援物資だそうで、避難されている被災者の方の、
「家族だけで落ち着けて、とても暖かいです。」といった声も紹介されてました。


さて、前回からの続きであります。

当サイトの「ファミリーキャンプ入門」カテゴリでは、キャンプ専用に最低限揃えるものとして、

1テント・マット
2タープ
3イス・テーブル
4バーナー
5クーラーボックス・保冷材
6水タンク・専用台
7そして明るいランタンと懐中電灯いっぱい!

と書いています。

それ以外のものについては、とりあえず自宅にあるものを流用しましょう、とも書いてますが、
長期の避難生活を前提とするなら、いくつかその内容は変わってきますが、
基本的な項目はこれだけ、あとは自然の中や整備されたキャンプ場と、
インフラの破壊された市街地とのちがい、それと生活期間のちがいを考えればいいと思います。

インフラの破壊された市街地でのテント生活で、最低限の水や食料などの配給を受けられる場合、
まず問題となるのが、排泄物やごみなどの衛生処理でありましょう。

訪れる人の少ない自然の中で短期間であれば、排泄物は微生物の活動する深さに穴を掘って、
分解しにくいペーパーは燃やして埋めもどせば、我が国の気候風土ならまず問題ないでしょうが、
市街地では土の表面は少ないでしょうし、期間も長くなりますから、他の方法も必要になります。

下水道さえ機能しておれば、上水道が断水していても池や川やプールの水で流すこともできますが、
(もちろん、少量の水では詰まりやすいペーパーは流さずに処理する必要がありますが)
水汲みも距離があれば大変ですし、下水道が機能していない場合は流すことができません。

ポルタポッティなどのポータブルトイレを使用して、汚物タンクを機能している下水道や、
河川まで運んで行って流す、といった方法も考えられますが、やはり距離があれば大変です。

近くの避難所など定期的に処理される仮設トイレを使うのが現実的かも知れませんが、
避難所まで遠かったり、あるいは混み合っていたり、使えなくなったりしているケースも多いようです。

わたくしも自然の中での経験しかありませんので、被災した市街地での処理方法については、
ぜひみなさんのご意見も、コメントでいただきたいところです。

また、粗大ごみや瓦礫などは、地域の協力で片付けられる範囲を超える場合、
行政や処理業者が本格的に機能するまで待つしかありませんが、生活ごみについても、
当面回収は期待できませんから、できるだけ出さない、可能なら焼却する、
あるいは自分たちで集積場まで運ぶ、といったことが必要になります。

これらの衛生関係と医療体制のメドさえたてば、テント生活も充分可能になると思います。

その際には上記の七つ道具が、それまでの生活用品に加えて必要になります。


まずテントとタープですが、「ファミリーキャンプ入門」カテゴリでは設営の簡単なドームテントと、
開放感のあるヘキサかスクエアのタープ、と書いていますが、長期のテント生活となると、
理想から言えばロッジ型のテントとタープが圧倒的に快適です。

スチールの頑丈なフレームを、時間をかけて丁寧に固定すれば、ハードシェルなみになりますし、
タープにしても、テント同様のロッジ型だと、広くて安定した台所、食堂、居間が得られます。

また高級なロッジ型のテントやタープは、もともと長期滞在を前提として作られていますから、
公設キャンプ場の常設テント同様、厚手のコットン混紡生地などで通気性、耐久性もかなりあります。

でもまあ、わざわざ自宅が全壊したときに備えて用意する人はまずいないでしょうから、
現実的には家族用でも小型軽量なドーム型テントを利用することになりますね。

設営には、まず公設キャンプ場の常設テントなどに見られるスノコ状の土台を工夫しましょう。
廃材やブロックを利用した「床」の上に設営すれば、浸水や湿気、冷えを防ぎ耐久性も向上します。

あとは、いつも以上のガイライン(張り綱)やペグダウン、ブロックなどで固定を強化すること、
ナイロンのフライシートは特に耐光性が弱いのでブルーシートなどでカバーすること、
また、耐久性に問題のあるのはファスナーと縫い目と防水コーティングですから、
特に丁寧に扱い、布ガムテープなどでの早めの補修も考えておくことが重要だと思います。

タープについては、ヘキサやスクエアしかない場合は、ブルーシートなどでサイドタープを工夫すること、
ポールもできれば付属のアルミポールなどではなく、スチール材などを打ち込んで利用すること、
ポールのあたる部分など荷重のかかるところは、先にあて布などで補強しておくこと、
ペグダウンにブロックなどでの補強を徹底すること、タープ内にもできるだけ「床」を確保すること、
などが考えられます。

そしてテント内にはボトムを保護するためにも充分な厚さの断熱マットや段ボールを敷きつめ、
寝具、着替え、非常持ち出し袋以外は置かずに、なるべく「寝室専用」にしておくことが重要です。

そう、避難時には毎晩ゆったりと、家族で安眠できることがなによりも優先されますし、
寝室専用にしておけば出入回数も少なくなり、ファスナーやインナーを長持ちさせることができます。

もちろん定期的な「虫干し」も必要ですが、「床」があればある程度の通気性も確保されます。

タープ内も同様で、最低限の生活用品だけにして、復興に備えて保管しておくものなどは、
別のスペースにブルーシートなどで工夫しましょう。
クルマが廃車になっている場合は物置として、室内やトランクルームを利用できますね。

(この項、さらに続きます。)



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