2020年09月

2020年09月25日

南港野鳥園ふらふら

じつにひさしぶりに大阪南港野鳥園をふらふらしてきました。

つい最近、200~800mm(フルサイズ換算・以下同じ)ズームレンズを新調されたwingさんに、
コロナ禍で閉鎖されてた野鳥園の再開をお知らせしたところ、まだ行ったことがないので
一度案内して下さいとのことで、わたくしはロードバイクでコンデジと小型双眼鏡のみ持参、
彼はクルマに撮影機材をぎっしりと積み込んで・・・

21日の朝9時に野鳥園の観察塔で合流。

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とりあえず記念写真を撮ってもらいました。

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野鳥観察なのでサイクルジャージもアースカラーに・・・ま、いつもそうですが・・・
首にかけてるのはビクセンのエイペックス・プロ10×25で、奥様が買ったもの・・・


と、さっそく中へ・・・

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9時に開園したばかりなのに、すでにけっこう先客がいました。
まあ、好きな人つーかマニアとゆーのは、どの世界にも存在するんですね・・・



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みなさんすごい機材を構えておられました。


と、wingさんもさっそく・・・

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OM-D E-M1mkⅢに新調されたM.ZUIKOの200~800mmと2×テレコンバーターを装着、
これで1600mmの超望遠になるんですね・・・

「って、三脚は?」
「持ってきたけどデカくて重いのでクルマに置いてきました。」
「ったくズボラなんだから・・・ま、窓際にセットするなら卓上型なんでしょうが・・・」

と、さっそく干潟の鳥さんたちを(手持ちで)テスト撮影されてました。


せっかくなのでわたくしも・・・

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ちょうど画面中央に見える白いサギさんを試し撮り・・・





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安物コンデジの手持ちでも、たまたま晴天だったので何とか撮れました。

わたくしの古いS9700はフルサイズ換算だと25~750mmの30倍、デジタルズーム4倍で
最大3000mmの超望遠になるんですが、なにせちっちゃなセンサーとレンズで手ブレ補正も
イマイチ、さらにコントラストAFのみなので、被写体が動いたり少しでも暗いとまったく
使いモノになりませんが、ま、お気楽なブログサイトにアップするぐらいなら・・・


こちらは観察塔にあった野鳥園の全体ジオラマ・・・

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南港埋立地が長年放置されてて一部が干潟状になり、渡り鳥たちが集まってたので、開発時に
野鳥園として造成されたもので、現在は画面中央にある観察塔から右端にある北観察所までの
観察路以外は立入禁止。無人管理でボランティア・ガイドだけになってました・・・


せっかくなので北観察所までふらふらと歩きます。

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開園後40年も経つと木々も成長してますねえ・・・
わたくし開園直後と息子たちが小さい頃に何度か来て以来でした。

って・・・

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「wingさん、先ほどから虫さんばかり撮ってますね・・・」
「ここの鳥さんたちは遠いですし、2×テレコンを付けるとやや甘くなるし・・・
それにこのレンズは望遠側でも最短撮影距離が短いので、望遠マクロとして使えて、
遠くからでも虫さんのアップが撮れるし・・・ぱしゃぱしゃぱしゃ」
「ま、わたくしは先に行ってますので、どうぞごゆっくり・・・」


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その後もずっと虫さんを探して撮っておられました。ここ野鳥園なんですが・・・



ちなみにこんな生き物も撮ってたようです。
                                                                                   (wingさん提供画像)
20200921野鳥園2




と、一足先に北観察所へ入ったわたくしが、せいぜい撮れるのは・・・

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画面の水面中央に、かすかに見える白い点・・



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やはり動かないサギさんぐらいでした。

よく動くシギさんやカモさんなどは安物コンデジで無理に撮影を試みるより、小型双眼鏡で
動きを観察してるほうが、ずっと面白かったですね。

さっきまでいた観察塔と奥にある火力発電所の巨大煙突・・・

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当時の市長が、災害時に備えて市内にも発電所が必要、と誘致したもの・・・


はるか沖合に浮かんでて・・・

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ちょうど防波堤に乗ってるように見えるフネなんぞを撮ってると・・・



ようやくwingさんが到着・・・

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って、ここでも虫さんを撮ってました・・・ここも野鳥の観察所なんですが・・・



さらに北観察所から観察塔への復路でも・・・

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って、ここも野鳥園なんですが・・・



と、のんびりと観察塔に戻って・・・

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せっかくなのでサギさん以外も何枚か・・・

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と、わたくしは小型双眼鏡で、wingさんは新調された200~800mmで遊び続け、
昼前にはATC(アジア太平洋トレードセンター)まで、昼食がてらふらふらと散策・・・



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今は廃墟となった「なにわの海の時空館」・・・とうとう一度も入らなかったな・・・


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今はフードコートも水辺イベントもなくなった咲洲キャナル・・・



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停泊中の「さんふらわあ」が見えてくると・・・




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ATCに到着であります。



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さっきヨコから見てた、さんふらわあ・・・



たまたまATCの大ホールでは、

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「マンモス展」が開催されてて、連休中つーこともあり、けっこうな人出でした。

で、昼食は以前わたくしがよく利用してた、とんかつ屋さんに行ったのですが・・・
今はなんかイマイチでした。もっと美味しかった記憶があったのですが、はてさて・・・

と、食後はATCのロゴスやダイソーを物色、wingさんは念願のジャグなんぞを無事入手。

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ふたたび野鳥園に戻ります。


ま、帰路でも・・・

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ダイソーのジャグやライト類を抱えて虫さんを探しておられましたが・・・



戻ってくると野鳥園の正面に・・・

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「ウィング南港」なる食堂・喫茶があったんですね。昼食はここでもよかったか・・・



と、またまた観察塔に戻り、やや日が傾いた干潟を撮影・・・

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太陽が西に傾き水面がキラキラすると、やはりキレイですね・・・

と、wingさんとは野鳥園でお別れしました。
ちなみに彼が撮った作例はTwitterとかで・・・ええ、殆どが虫さんですが・・・

で、わたくしは野鳥園から大和川の河口まで、やや遠回りをして・・・

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いつもの堺浜へのルートから帰宅しました。

この日は自宅から野鳥園までが11kmちょい、帰りに大和川河口まで廻っても、走行距離は
25km弱でしたが、ATCへの往復や野鳥園とかで歩いたので、まあよしとしましょう。
そう、今回は飲まなかったし・・・ええ、帰宅するまでは・・・



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2020年09月22日

ランドナー乗りと竹内峠へ!!!

先週の土曜日、ご近所に住むランドナー乗りの知人と竹内峠までポタリングしてきました。
以前から、いつかご一緒しましょうと言ってたのですが、今回ようやく実現した次第。

いつもはランドナーをクルマに積んで近畿各地の山奥に分け入り、ソロ・ポタリングを
楽しんでるので、自宅から自走するのは今回がはじめてとのことでした。

ま、わたくしロードバイクなら、飲まないドライバー同伴の場合を除き、自宅発着の自走、
ミニベロでも現地の駅前で飲める輪行が殆どで「クルマなら飲めないでしょ?」と訊くと
現地に早朝に着くよう出発して昼前には終了、いったん帰宅してから飲んでるとのこと、
それなら近所まで戻ってから飲むのと変わらないので、今回も早めの切り上げつーことで・・・


と、二人で大和川右岸から石川左岸へ遡上、いつもの玉手橋を過ぎたあたりで(も)休憩・・・

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今回は3台所有するランドナーのうち一番古い1台だそうで、20年前に組まれたとか・・・
で、当時で30年前のパーツを集めたそうですから、50年前の仕様つーことですね。
世界中から好みのクラシック・パーツを集めるので1台仕上げるのに時間がかかるとのことで、
今でも3台目は制作途上だそうです。
ちなみにフレームはTOEIのオーダーメイド、昔は3年待ちだったけど今は3ヶ月待ちだとか。

まあ、好きな人つーかマニアとゆーのは、どの世界にも存在するんですね・・・


と、R166から日本最古の官道と言われる旧竹内街道へ・・・

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彼もモンベル・ランバーパックの愛用者で、わたくしやwingさんとお揃い。




と、春には挫折した六枚橋東交差点から、

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いかにも旧街道らしい峠道を上っていきます。ひいひい



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折り返し点の道の駅に到着・・・
彼はクルマでここまで来て、峠を越え奈良側を廻ったことは何度かあるそうですが、
自走で来たのははじめてとのこと、やはり山間部がお好きなんですね。


二人でソフトクリームをぺろぺろしながら河内ワインなんぞを物色・・・

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その後もテーブル席でお互いの近況なんぞを話してまったりしました。


で、再び駒ヶ谷の集落まで下りてきたら、飛鳥川の左岸沿いに道が続いてたので、
そっちへ行ってみることに・・・

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ま、左岸沿いの道は途中で途切れ、右岸へ渡りましたが・・・

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石川との合流点近くには石川の左岸に渡れる橋がなく・・・



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結局はR166の橋まで石川右岸を戻りました。ひいひい

見知らぬ道を行ってみるのもポタリングの楽しみですね。
ま、彼はそれで何度も道に迷ってるそうですが、それも楽しみ・・・


帰路は日差しが強かったので玉手橋の下の日陰で休憩しました。

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彼はスマホ地図やGPSやサイコンは一切使わず、フロントバッグにセットした5万分の1
地形図だけで、おかげで何度も道に迷ってるそうですが、それもまた楽しみ・・・


と、石川左岸から大和川右岸を下り・・・

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ご近所にある(わたくしにはいつもの)「ぎょうざの満州」へ・・・

BlogPaint

とりあえずはプレモルで乾杯!!!

餃子好きの彼ですが、このお店は知らなかったようで、皮が厚めの餃子に感激してました。
感激ついでに水餃子を追加、プレモルやスーパーチューハイなんぞも次々と追加・・・
で、自転車を押して帰る頃には二人とも出来上がり腹が苦しくなってた次第。げふっ

と、今回は朝8時の集合で夕方4時の解散、ちょうど8時間のポタリングでした。
走行距離は50kmちょいで平均時速は15km/h、走行時間は押して歩いた分も含め3時間ちょい、
そう、残りの5時間は、ひたすらダベって食べて飲んでたことになりますね。あははは

うーむ、これならいつもの引き籠り宴会とあまり変わらんな・・・めでたし、めでたし・・・




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2020年09月19日

1ヶ月ぶりの堺浜ポタ

先週末から堺浜ポタリングなんぞを再開しています・・・
わたくしにとっては1ヶ月ぶりのロードバイク・・・

大阪ではお盆の直前に梅雨が明け、それまでは梅雨の晴れ間しか走れなかったので、
いよいよこれから、しっかりと走り込もうではないか・・・
とか思ってたら、梅雨明け直後から体温を超える猛暑が続き、さすがにロードバイクで
熱中症になるのもなぁ・・・と、屋内でごろごろ、ばくばく、ごくごく、ばかりしてたら、
あれよあれよと筋肉は落ち脂肪は増え・・・

つーことで朝夕が少し涼しくなった先週末から、ようやく再開した次第。

ひさしぶりに行ったのが土曜日とゆーこともあり・・・

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朝から高速で周回を続けるロードバイクでいっぱいでした。

この1ヶ月で、すっかりお腹が出て春の体形に戻ってたわたくし、またまたサドルを下げ
ハンドル角度を上げましたが、筋肉減と脂肪増はいかんともしがたく、僅か1周だけで、
這う這うの体で引き揚げてきました。ひいひい


で、今週に入り、ようやく走行中の画像も撮れたので、あらためて定番コースをご紹介・・・

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まずは大和川右岸の堤防上を下流へ。平日の朝なので人影もまばらでした。


阪堺大橋を左岸へ渡り、大阪市から堺市へ向かいます。

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橋梁の補強工事で閉鎖が続いてた下流側の自転車道が完成してました。



橋を渡って荒れた路面の左岸堤防上をゆっくり走り、河口付近で堺浜に下りると・・・

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サッカーのナショナル・トレセン。ここも長らく(感染対策で)閉鎖されてました。
ちなみにセンター内にも周回自転車道が整備されています。



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一部に砂浜もあるビーチをまったりと走り・・・



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昔、埋立地すべてを占めてた新日鉄のモニュメント「転炉溶鋼鍋」なんぞを眺めつつ・・・



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周回道路の入り口にある、この信号までで自宅から約7.5kmであります。



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シャープの液晶ディスプレイ工場を尻目に殺して、一周約5kmの周回道路へ・・・



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周回道路の北西端にある「海とのふれあい広場」駐車場を過ぎて・・・
開園は9時からなので閉まってますが、ここも長い間、感染対策で閉鎖されてました。


周回道路のちょうど中間地点、南西端にある東屋まで・・・

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往路7.5kmと堺浜半周2.5kmで、自宅からここまで約10kmになります。

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と、まずはまったりと休憩、甘味などのおやつをばくばく・・・

ええ、わたくし走行30分ごと、または走行10kmごとに、たっぷり休憩するのが不文律。




せっかくなので定番の記念写真・・・

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で、この日は休憩後に2周してまた休憩、その後半周して周回道路のスタート地点に戻り、
往路と同じ復路を帰りましたので走行距離は約30km、平均時速は約20km/hでしたから、
走行時間は1時間半、なのに所要時間は2時間半・・・
そう、10kmごと30分ごとの休憩が2回で1時間つーことになりますね。あははは

ま、自宅からの往復路が15kmなので、5周して40km、7周して50kmと距離を増やし、
周回道路での巡航速度を25km/h以上にすれば、筋肉もつき脂肪も落ちて理想体型に・・・

でもその分だけ、休憩も増えて休憩中のおやつも増えるのは必定・・・
しかも帰宅後の飲酒量や食餌量が増えるのも必定だし・・・ううっ

このパラドックスを、どのように解決すればよいのだろうかっ???



m98k at 00:19|PermalinkComments(2) mixiチェック 自転車ふらふら 

2020年09月16日

一筋縄・・・

(お知らせ)
8月25日から当サイトのURLをhttp://からhttps://に変更しましたが、その後、一部記事に挿入していた
「ニコニコ動画」が見れなくなってたようです。とりあえず再編集して復旧しましたのでお知らせします。


つーことで、一筋縄であります・・・

???

奈良に別荘を持つ知人が、わたくしが麺類好きと知って、以前に送って下さってたもので、
ずっと実家の仏壇にお供えしてたのですが初盆も過ぎたことだし、そろそろと・・・



じゃーん

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そう、油の代わりに吉野葛を使って酸化臭を防ぎ透明感と喉ごしも増した麺・・・じゅるじゅる



で、まずこちらが「日本最古のうどん」を再現し、春日大社から復活したとゆー・・・


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「春日餺飩(はくたく)うどん」だそうです。じゅるじゅる

ま、こーゆー説明を読むと、麺類好きとしてはウンチクを傾けたくなるんですが・・・

中国では北魏時代(386年~534年)には存在していた餺飩(ハウトン)と日本の饂飩(うどん)は別物、
日本独自の太い饂飩が作られたのは、おそらく1300年代初期の京都禅寺のどこか・・・

つーのが奥村彪生氏の説で(こちらの返信コメントで紹介しています)、「ウトム」とゆー
言葉が現れる、もっとも古い文書が法隆寺の嘉元記(1361年)だそうですから、氏の説に拠れば
この一条天皇(980年~1011年)が春日大社で舞い踊る
餺飩女たちから振舞われた餺飩は、
冷やして食べる中国式の
餺飩で、湯漬けで食べる日本独自の太い饂飩とは異なるモノ・・・

ま、一条天皇と同時代の清少納言も(中国式の)
餺飩を食べてたはずと奥村説にありましたし
こちらは形状も「ほうとう」系に近く、さらに冷やして食べるよう説明にありましたから、
氏の説に拠れば、これは「日本最古のうどんの復活」とゆーより「当時の
餺飩(ハウトン)の復活」・・・

もちろん「
餺飩(はくたく)うどん」とゆー名前も「日本最古のうどん」とゆー説明も、
うどんの起源に諸説ある中では間違いとは言えないのでしょうが・・・ぶつぶつ・・・


とか、鮎だしについてとか、どーでもいいウンチクはさておき・・・


同梱されてた、そうめんであります

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同じく細平めん

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同じく全粒麺

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同じく半生そうめん

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同じく半生うどん

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と、各種セットで送ってきて下さいました。ありがとね!!!

とりあえず、こちらの「吉野葛入り半生うどん」からいただきましたが、手延べに油を使わず

吉野葛が入ってるからなのか、確かにより生麺に近い食感でツルツルシコシコでした。


「ほうとう」系の柔らかさと喉越しがイマイチなわたくしには、じつにありがたい一品で、
これ以外にも、ぜーんぶ食べるのが楽しみです。 じゅるじゅる

(追記です)
その後「春日餺飩(はくたく)うどん」もいただきましたが、やはり一般的な「ほうとう」と
異なり、
独特のツルツル・シコシコ食感で、わたくし好みでした!!! ずるずるずる



m98k at 00:16|PermalinkComments(7) mixiチェック 糧食、飲料 

2020年09月12日

いまこそ「小松左京」を読み直す

いまこそ「小松左京」を読み直す・・・

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宮崎哲弥著 NHK出版 2020年7月10日第1刷発行



表紙裏にあった惹句

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著者紹介

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例によって目次のみ・・・

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「はじめに」によると、本書は2019年7月にNHK Eテレで放送された「100分de名著
小松左京スペシャル」用テキストを大幅に改稿、書き下ろしの第2章を併せたものだそうです。

放送時には意識してませんでしたが、じつに詳細に小松作品を読み込んで研究しておられる、
仏教思想・政治哲学・サブカルチャーの評論家だったんですね。

番組放送直後の記事のコメント欄にも書きましたが、わたくし小松作品は中学時代から
読み耽っており、たまたま大学時代に小松氏の「現代史」の授業が文学部であって、
わたくしは他学部でしたが本来授業をサボって全講義を聴講、半年間の講義の最終日には
小松氏が学生時代に高橋和己氏や山崎正和氏らと通っていた居酒屋での(全額ご本人持ちの)
打ち上げにも参加、別の日には講義終了後に近くの喫茶店で、わたくしがSF研究会とは別に
所属していた史跡サークルとして、仏教や宇宙に関する学生たちの拙いインタビューにも、
快く応じていただきました。(こちらも喫茶店代は全額ご本人が・・・)

さらにわたくしの政治史ゼミの論文も小松作品からの受け売りが殆どでしたし、まさに
わたくしの青春時代つーか人格形成期に、最も大きな影響を与えてくれた作家・・・



最新刊ですし紹介されている作品は今一度その視点で読み返したいとも思いましたし、
とりあえず、わたくしが特に印象に残ったキーワードのみ備忘のため羅列・・・
(著者の見解、小松氏本人の言葉、その他からの引用など、ごっちゃにメモしてます)

第1章(地には平和を・戦争はなかった・ヤクトピアなど)より
・小松の「異常なほど情熱的な好奇心や向日性、あるいはエネルギッシュな行動力」は、
「ひたすら根にからまる翳の部分に、ひきこまれないためのあがき」のようにもみえる・・・

第2章(果てしなき流れの果に・神への長い道・彼方へ)より
(著者によると「宇宙構造探求系SF」に分類される作品群とのことですが、
書き下ろしで番組で紹介されてない部分も多かったですし、わたくしが最も影響を受けた
作品群なので、メモを書けばこの章だけで膨大な量になるし、いずれ、あらためて・・・)

第3章(日本沈没)より
・1973年にベストセラーになった時代背景(井上ひさし)
円の変動相場制への移行、石油危機、水銀・PCB(ポリ塩化ビフェニール)汚染魚の年で、
前二者は繁栄がカルタの城に過ぎなかったこと、後者は自然が必ず報復すること、
を日本人が思い知った年だった。
・ともかく先を読んでるのは間違いない
(プレートテクトニクス理論、新発売された「電卓」による沈下速度の計算など)
(日本はインターナショナルでもトランスナショナルでもなくサブナショナルがポスト国家)
→まるで1980年代以降のポストモダンの脱国家観
・文明論というより一種の仏教的諦観
・このデリケートな自然が、島が、破壊されなくなれば日本人というものはなくなる・・・

第4章(ゴルディアスの結び目、岬にてなど)より
・宇宙の本質をめぐる超神学論争
(釈迦がヒンズーの認識をバックに考えたのは宇宙=世界=生命=人間観)
(アーリア系の宗教は光と闇、善と悪の二元論で、一神教でも二元論的宇宙観)
・イベント・ホライゾン→(バイオハザードの)ポール・アンダーソン監督の1997年作品

第5章(虚無回廊、結晶星団、雨と風と夕映えの彼方に、など)より
・文学は科学さえも相対化する
星空の美しさと近代宇宙論の不思議な宇宙像
電子顕微鏡下の超現実的な美しさと生化学に対する知識
生産発展の驚異とそれを組織する演算素子の働き
これらに対する常識的理解を持たないものに・・・どうやって新しい世界像が語れるか、
と思っていたが・・・
・1995年の阪神淡路大震災
・心と、魂あるいは実存との違いは、自己の存在理由の自覚の有無?
・人工知能と人工実存の相違点
・「我思う」は「我あり」の恒久的な根拠にはなり得ないのでは・・・
・仏教は我(アートマン)も大我(ブラフマン)も実在を否定したが、
アートマン(個人原理)は実体として斥けられてもブラフマン(宇宙原理)の実体性は否定されない
・このダキニ師の反実存論が今後の(物語の)伏線になっている→未完のまま亡くなった
・一般自然言語
・イマジナリーは日本語と漢語では虚、無は虚と実のあいだの原点みたいなもの、
→無を挟んで虚と実が向かい合ってる・・・
・学生時代の桑原武夫の文学概論のレポート課題が「文学は人生に必要か」だった
→これに終生こだわりつつ文学と自分の作品に対峙していたのが高橋和己
→こんな難問を生涯手放すことなく探問し続けることになる無二の親友が小松左京
・救済のための文学を志すのは意味があるが、文学による救済はあり得ないという立場
→すると文学は一時の慰めだけど、それでいいじゃないかと・・・
・今ここにある苦しみを文学作品に置き換えるという理解
・でも人間は文学、物語をどうして編み出したのか
→何か人間性の大きな肯定が文学を志す者の基本的な心構えの中に要るだろう・・・

(世界と出会い直すためにーあとがきにかえてー)より
・たとえば「痛い」はある事態を記述し表出する行為と考えられているが、
それは錯覚で、事態の単なる報告ではなく何らかの対処を求める行為
・何かを意味する言明ではなく機能
・「痛み」の概念は生活において果たす固有の機能によって特徴づけられる
(ウィトゲンシュタイン・近内悠太「世界は贈与でできている」)
・小松SFでは疑うよすがもない事物がなくなってしまう
・生活を下支えしていた透明だったものを可視化させる
・(ウィルスや震災など)作品設定に近い事態が起こる都度、予言の書として話題になるが、
物語の表層の奥にある思想も(近内悠太のように)読み取って欲しいと思ってまとめた。
・それが氏への恩返し・・・


わたくし小松氏の書かれた「自伝」と「SF魂」は未読なので、読んでみていずれまた・・・



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