2021年08月
2021年08月29日
世界標準の戦争と平和・・・
(お知らせ)
左バーに「98kのつぶやき(Twitter)」を追加しました。Twitterでもフォローいただければ嬉しいです。
今回は「世界標準の戦争と平和」とゆー本のご紹介・・・
烏賀陽弘道 著 扶桑社 2019年11月20日 初版第1刷発行
著者は朝日新聞社を退社後、フリーランスの報道記者・写真家として活動されてる方だそうで、
わたくしはalaris540さんブログへのコメントがきっかけで本書の存在を知りました。
例によって目次のみのご紹介・・・
まえがきによれば・・・
・「日本の外の世界では共通理解になっているいちばんベーシックな話」をこの本でシェアしたい
・世界では共通理解になっている知識や現実を知らないままの人たちがスローガンや空論を唱え、
ネットやテレビで有名になり影響力を行使している
・国内での安全保障の議論は対立軸だけで政治家・官僚も大差なく「知的空白」が続いた
・世界標準で通用する論者もいるが本書のような基礎的なことは(共通理解として)飛ばして、
各論から論じているので、一般人には「よく分からない」となっているのが歯痒い
・語学には文法と語彙があるが、この本の内容は国際安全保障政策論の基本文法にあたり
学校教育の英語でいえば中学校の英語レベル
・語彙として個別のテーマもあるが、文法さえマスターすれば別のテーマにも適用できる
・私を「右・左」「保守・リベラル」「与党・野党」「護憲・改憲」「平和主義・軍国主義」
といった既存カテゴリーに分類することは不可能で、そういった思考は現実理解には排除すべき
・安全保障は国の政策で老人介護や保育所と同じ、アジェンダ(公的な議題)として軽重はない
・官僚とか政治家とか専門家に任せておけばよいという時代は終わったと考えている
・ブログやSNSで誰もが発言者になれる時代に「安全保障のベーシックなリテラシー」を
身につけておくことはメディア・リテラシーとして不可欠ではないか・・・
・・・つーことで、確かに高校生にも分かりやすく平易に書かれてました。
さらに文明史の一環として軍事史や兵器史についても比較的興味のあったわたくしでも、
「にゃーるほど」と、あらためて納得させられた事実も多く、とても勉強になりました。
著作物なので詳しくは紹介できませんが、以下わたくしの部分的な「語彙」のメモです。
ご覧いただき少しでも興味を持たれた方には本書の熟読をオススメします。
で、わたくしの思い違いなどをご指摘いただければ、さらにありがたいです。
(一部引用部分もありますので掲載に問題があるようなら、すぐに削除します。)
第一章 海と核兵器
・安全保障で陸と海に空が加わったのは約100年前から、宇宙が加わったのが1950年代以降、
サイバー空間が加わったのは2000年前後以降だが、今でも最も重要なのは海
→地球では海が71%で陸は29%、海は繋がっており国境もなく重いものを大量に安価に運べる
→領海以外の接続水域・排他的経済水域・国際海峡(宗谷・対馬・津軽・大隅)は公海なのだが、
他府県ナンバーが目前の国道を通過した!!! 私有地には入ってないけど、と騒ぐマスコミが多い
→私有地に突っ込んだわけでもないのに、何故わざと騒ぎたてるのか・・・
・日本では核兵器をアジェンダにしない・否定しかしない・効用を認めない、が一般的だが、
国際政治の環境では大戦前の人類と大戦後の人類との違いは「核兵器の有無」だけ
・核兵器のある国(同盟国を含む)では平和と繁栄を享受、ない国では通常兵器での虐殺が続く
→これは大量破壊兵器に守られたグロテスクな平和でもある(代理戦争かテロか)
→人類は「核ある平和」か「核なき虐殺」しか手にしたことがないのが国際社会の現実
・アメリカの安全保障政策の大学院はロースクールと同じで即戦力になる専門職の養成所
→国際政治経済学の理論や学説を学ぶ大学院とはまったくの別物
→学長による基礎講義は「国際政治を動かすルールは軍事力、特に核兵器を中心とした
核戦略である」からはじまった。ちなみに彼は現実主義者ではなく国際機関主義者
→冷戦・二極化構造が終わっても多極化が広まり混迷するだろうと27年前に言ってた
→当時の日本には学者も国際関係学部も少なく特に軍事の領域はタブーだった
(ちなみに98kは軍事史を専攻したかったけど当時はなかったので政治史(文明史)を専攻)
・核のルールはアメリカが超大国だからではなく国際政治を動かす「世界標準」の基本文法
・担当教授の1日目の授業は「核兵器の作り方」からだった
・核を搭載したICBMと爆撃機と潜水艦SLBMのセット→冷戦時代に相互確証破壊MADが完成
→どれが欠けても抑止力としては機能しない→すべて揃えてるのは2019では米露だけ
→残りの核保有国で英仏中3ヶ国は最低でも潜水艦SLBMは持っている→報復能力はある
→それ以外の国が核武装しても自殺行為に等しい→ただし自滅前提や事故による可能性は残る
→SLBM原潜を中核とした核の保険を持っている国以外には持たせない→核兵器不拡散条約
→その代わりNATO、ワルシャワ条約機構、日米安全保障条約などで核の傘に入る
→それに反対して核保有する印パ北朝鮮などは国際政治での発言権がないのが現実
・戦勝国の5ヶ国が合意し実行しない限り核廃絶はなく、そのための国際機関もない
→「核兵器による国家生存の保証」は運転時の自動車保険と同じで加入するのが現実的選択
・アメリカ空母群の概要(略)→グローバルリーチ→外交のシグナリングに(台湾総統選挙時など)
・航行の自由作戦→国際法は慣習の積み重ねに過ぎず、常に積み重ねないと崩壊する
・日本は戦後政治意思として軍事力を行使したことがなく、戦前は政治と離れて活動したので
別物として扱われているが、世界標準では政治と軍事は境目のない一体のもの
→政治ツールとしての軍事は破壊力を伴わない役割が多い
・シーレーン→国際貨物輸送量の85%が海上輸送(日本は99.7%)
→航行の自由は戦後変わらずアメリカの軍事力で守られており他の選択肢はない
→アメリカは自国の利益のため(自由への)逆行もするが、これが国際政治の現実
→超大国の安全保障政策は階層構造、核の保険や空母群は下部構造で、ずっと不変
→上部構造が冷戦から対テロ戦に変わったに過ぎない
・海の軍事力は①核抑止②経済の繁栄③政治意思の表現④下部構造として最も重要
・国際安全保障には軍事だけでなく外交や経済などの政策も含まれるが、日本では
安全保障=軍事と誤解されている
第二章 シーパワーとランドパワー
・地政学は安全保障政策では世界標準だが、日本では2000年前後からようやく復活
→海上移動は遅くて隠れることもできないので島国は大陸国に較べて兵力で6個師団以上は
有利とされているが、世界的には稀な部類
→大陸の平原で接するフランスとドイツの国境は人工的なもので常に動いている
→湖・大河・高山・ジャングル・砂漠・厳冬も越えるのが難しい→隣国とは仲が悪い
→政策は現実の空間条件で考えるのが共通理解→地政学は知ってて当たり前の世界
→日本では地政学の基礎的な文献も学者も大学も研究機関も殆どなかったが、その空白理由は
→イギリス・アメリカ発祥の地政学→ドイツ将校の「生存圏」概念→ナチスドイツの正当化
→大東亜共栄圏の正当化→戦後日本では「悪魔の学問」とされ、そのまま冷戦に突入したから
・唯一の超大国であるアメリカの自国防衛は太平洋と大西洋のみ→シーパワーの国
(アメリカは大陸国だがカナダ・メキシコと戦争する確率はゼロに近いから)
→日本も(軍事力は限定的だが)シーパワーの国
・ロシア、中国、ドイツなどはランドパワーの国
→発展したランドパワーの国は(コストの安い)海への出口を求め拡張し始めるのが歴史の法則
・ロシアの例
→外洋への3ルートがすべて他国でブロックされてたので、さらなる発展のため拡張をはじめた
①サンクトペテルブルク→バルト海→エースレンド海峡→ベルト海峡→北海→大西洋ルート
②セバストポリ→黒海→ボスポラス海峡→ダーダネルス海峡→地中海→ジブラルタル海峡
→大西洋ルート
③ウラジオストク→日本海→宗谷か津軽か対馬の海峡→大平洋ルート
(ウラジオストクは清から苦心して手に入れた不凍港であり、①②③どれもが巨大軍港)
(対ロシア戦では日本とイギリスは地政学的条件が一致したので日英同盟を結んで勝利した)
(イギリスがジブラルタルを手放さないのも地政学的条件から)
(ロシアが16世紀から12回もトルコと争いクリミア半島を手放さないのも地政学的条件から)
→①ルートにはNATO(北大西洋)②ルートにはCENTO(中央)③ルートには日韓米の同盟で対応
→国後島・択捉島の海域は宗谷海峡を抜けたあとの最後の関門で特に択捉島の単冠湾は良港
→なので返還交渉の最後は地政学的条件での航路の安全保障問題になる
→地政学的条件は下部構造でイデオロギーや政治経済体制などの上部構造が変わっても不変
・中国の例
→ロシア同様、発展に伴い外洋に出ようとする「自立運動」
→1969年のソ連と中国の衝突でも地政学的条件はイデオロギーを上回ることがわかる
→ソ連の崩壊、中露国境の確定(大陸の安全保障)、経済大国化により南シナ海に進出
→ロシアと異なり長い海岸線を持つが、経済の巨大化で「動脈(南シナ海)」に敏感になった
→呉越同舟以来の陸でのベトナムとの敵対関係から1988年以降は西沙諸島での敵対関係に
→中国にとっての戦略的な重要ポイントが陸から海に移った
→半島は海と陸の接点でランドパワーとシーパワーの接触点
→韓半島の例→ランドパワーの中国・ロシアとシーパワーの日本・アメリカの奪い合いの歴史
(インドシナ半島にもバルカン半島にもクリミア半島にも同じ歴史がある)
(地政的に日本軍のベトナム進駐が日米関係を急速に悪化させたことはあまり知られていない)
→ランドパワーが韓半島まで膨らみきったところで、その先にあるのが日本列島
→日本はシーパワー諸国にとっての防波堤として非常に重要なポジションになる
・アメリカは太平洋と大西洋でユーラシア大陸と向き合っており海軍力で守っている
→ランドパワーのロシア・中国の膨張には極めて警戒的(政治経済体制とは全く別問題)
→ユーラシア大陸との接点にあるのが日本とイギリスで、ここは死活的に重要な立地
→この戦略的価値を理解したうえで対米交渉に臨んだ日本の政治家は稀で中曽根康弘ぐらい
→交渉での地位向上のために地政学的な価値を利用していた
→日本も中国もロシアも韓半島も政治体制は変わったが、地政学的な利害対立はずっと不変
・大きな力の接点にはバッファゾーンが設定されることが観察できる
→冷戦時代の東欧のソ連衛星国とNATO諸国、現代では中国が北朝鮮を存続させる理由
・国際安全保障ではパワーバキューム(力の空白地帯)を警戒する
→フセイン排除後のイラク、終戦前後の満州や韓半島、内戦のシリア
→北朝鮮のハードランディング(準備がないままの崩壊)を避けるソフトランディング
・日本はシーパワーと組むと繫栄し、ランドパワーと組むと破滅する
→1868年から2019年まで151年間の国際関係史から鮮やかに浮かんでくる
日露戦争での勝利(最大シーパワーだったイギリスのバックアップ)
第二次世界大戦での敗北(2大シーパワーだったアメリカ・イギリスとの敵対)
戦後の(海の覇権を持つ)アメリカとの同盟での経済発展
・沖縄の軍事基地化
→唯一地上戦で占領した本土が沖縄
→地上軍が犠牲を払って勝ち取った地域から軍隊を除去するのは非常に難しい
→27年間の軍事占領が続いたが、返還後も米軍基地が残ったのはなぜか
→アメリカの世界戦略にとって最高の好立地にあるから
→リスクが予想される地域から1000km~2000kmで近すぎず遠すぎず海兵隊なら48時間の距離
→半径4000kmで東アジア全体を収められる場所は太平洋では沖縄だけ
→半径1万kmで世界の主要地域を収められる場所はロンドンと那覇だけ
→アメリカ本土は世界の主要地域からは隔絶した場所にある
→1972年の返還時は冷戦の最中だったが台湾海峡と韓半島は冷戦後もフリーズしたまま
→アメリカからは、沖縄から撤退できるほど世界は安全にはなっていないと見える
→沖縄や日本のためでなく台湾海峡や韓半島さらに中東など世界中の紛争に対応するため
→なのでアメリカの世界戦略にとって最高の立地点を「使わせてあげてる」程度に考えるのが
現実的であり、「テナント」と「家主」の関係は法律上は対等のはず・・・
第三章 「安全保障=軍事」という誤解
・国際安全保障政策は経済・外交・情報・メディアを包括的に網羅した総合政策で、
軍事はあくまでその1ジャンルに過ぎない
→セキュリティ(安全保障)とは安全で安定していて恐怖や苦悩を感じない状態も包括する
→国際安全保障政策は主に国外の勢力から国内のセキュリティを守るための政策
→ジャン・ボダンの国家論でいう①領域②人民③主権(統治権)のセキュリティを保つこと
→①と③はわかりやすいが②のセキュリティの内容は複雑
→セキュリティの喪失=クライシス
→戦争やテロに限らず福島原発事故での避難や健康リスクは世界では国家クライシスだが、
日本国内では今も産業事故くらいの認識しかない
→食料もエネルギーも国際安全保障政策の重要な課題だがシーレーンのセキュリティが
破れると、他の主要国より自給率が低い食料の62%とエネルギーの92%を失う
→セキュリティの手段は軍事でなくてもいい→経済援助や外交努力や文化交流など
→戦後74年間に軍事は使わず破滅的な失敗は(福島原発事故を除き)していない
・守るべき国益は何か
→幕末から明治は「列強の植民地にされないこと」が国益で殖産興業・富国強兵
→植民地リスクが薄れると「領土の拡張」へ→敗北で①と③を失い②も多くを失った
→戦後は「経済成長」で1980年代に達成されてからは「繁栄の維持」か・・・
・セキュリティ用語の違い
→作戦(Operation)の時間軸は1日~1月単位で、空間軸は戦場
→戦術(Tactics)の時間軸は1年単位で、空間軸はヨーロッパ、東アジアなど
→戦略(Strategy)の時間軸は10~100年単位で、空間軸は世界規模
→作戦と戦術は戦時のみだが、戦略は平時も含む
→作戦と戦術の政策分野は軍事のみだが、戦略は経済・外交・軍事などを包括
→作戦と戦術の政策決定者は軍人のみだが、戦略は政治家・官僚・軍人
・平時の軍は家の戸締りのようなもの
→どの程度に安全な環境かは認識次第で認識は主観、客観的な解はなくコンセンサスも難しい
→危ない冷戦期の日本ではリスク認識が低かったのに、ロシアも中国も実質資本主義になってから
リスク認識が(正確かどうかは別として)高まっている。
→冷戦時代を知る自分はずいぶん平和になったと思ってるがリスク認識は主観で個人差が出る
→クライシスが起きればコンセンサスは簡単だが「戦闘がないから軍は不要」ではない
→軍は戦時の政策だけでなく平時の政策にも必要
・国を縛る法律は存在しない
→国際法は慣習の集積に過ぎず国連に国を罰する力はない
→PKOは敵対勢力の分離・人道支援・停戦監視などで国への強制はできない
→国連軍にはどこも兵力供給せず空文化しソフトバージョンとして経済制裁がある
・相互に依存する国は戦争しない
→経済だけでなく文化・情報や人の交流による相互理解が進むと殺戮をためらうようになる
→戦争への動機を奪うことが平和へのメカニズムとして有効で政策手段は軍事だけではない
・国際関係における国と軍事の比重が低下
→ペティ・クラークの法則(第三次産業の発展に領土の拡張は不要)
→軍事力より経済力の時代に
→経済は国境をまたぎ国は無力→経済のグローバル化
→通常戦争からLIC(低烈度紛争)へ→正規軍より情報機関
第四章 ケーススタディ 尖閣諸島→省略
(明快な解説でスッキリしましたが、検証レベルなどは精緻で高いものの、わたくしの見方と
基本は同じだったのでメモは省略しました。ひょっとして、わたくし世界標準???)
第五章 普遍的な見方
・シグナリングを見落とすな
→ミリタリーバランス誌は尖閣周辺の中国海警船をシグナリングと表現している
→シグナリングには「やってること」と「できるのに、やってないこと」がある
→中国海警船は巡回はするが上陸や日本船への発砲はしない(北方領土では発砲もある)
→中国領土であることの表現と軍事衝突はしたくないことの表現→シグナリング
(米軍がいつでも使える尖閣諸島は、シーレーン確保に乗り出した中国にとっては脅威)
→公式声明では事態が悪化したり内政干渉になったり交渉に影響する場合もシグナリングで対処
→どの国も膨大な人員がシグナリング分析に取り組んでいるが、日本政府は・・・
→2013年アメリカの国務長官と国防長官の(靖国神社ではなく)千鳥ヶ淵戦没者墓苑への献花
→これは安倍首相の靖国神社についての雑誌寄稿に対するアメリカ政府のシグナリング
→無視した安倍首相は靖国神社に参拝し、同日アメリカ大使館が公式非難声明を発表した
(2013年は北朝鮮の核ミサイル危機の年で米日韓の協議と中露との調整が最重要だったので
政府要人の参拝に反対する中韓を刺激しないで、というシグナルだったが無視されたため)
→この無視が故意なのか、うっかりなのか・・・
・自国の価値観で他国の行動を評価・予測してはならない
→国際政治はすべて異文化コミュニケーション
→現実を予断やバイアスなしに理解すること
1947年5月 日本国憲法施行
1948年8~9月 半島南北分裂
1950年6月~ 朝鮮戦争
1950年8月 警察予備隊→自衛隊
1952年4月 統治権回復
(1948年のロンドン五輪にドイツと日本が参加できなかったのは、国がなかったから)
・事実と願望を混同してはならない
→アメリカ本土は攻撃されない(9.11)、日本で原発の大事故は起きない(3.11)
・外政と内政は連続して一体である
→中国の対日政策と体制維持、経済発展と対米政策の例
・2国間の政策は他国との関係にも影響する
→2018年プーチン大統領の年末会見での普天間基地移転問題の指摘
(知事や住民が反対しても普天間基地を移転存続させるのだから、北方領土に基地は作らせない
と平和条約で約束しても、米軍基地に日本がどの程度の主権を持っているのか分からない)
→尖閣諸島も米軍が自由に使っていいと日本がいってる(日米地位協定)
→中国にとっては日本領土であることのリスクが高い(ロシア同様の対応に)
→2004~5年のチェコ・ポーランドへの米軍ミサイル防衛設備の設置計画
→これらはすべて連続して一体で国際関係は展開される
・二極対立から多極構造へ
→日本では国際関係=日米関係の短絡がある
→冷戦時代はやむを得なかったが、未だに極端な親米と反米がある
→国際政策のゴールは国益を最大にすることで、日本が自分で決めること
→ただし、その国際政策の国益とは何か、得るものと失うものを国民に提示すること
(政府当局者はだいたい良いことしかいわないので報道や研究者や世論の検証が必要)
・安全保障政策は得るものと失うものの差し引き
→政策提案書(ポリシーペーパー)に取りうるオプションをすべて提示し、それぞれを実行した際の
得るものと失うものを併記することが、どの授業でも求められた
→アメリカのアマチュアリズム政治文化からで素人が決定者になっても対応できるから
→企業の損益計算書と同じ発想で教授とアドバイザーを交えて議論し再提出する
→思いつくままに嫌がられるとか笑われるとかのバイアスを排除するよう指導された
尖閣諸島問題のケーススタディ
オプションA 自衛隊を島に上陸させ占領する(得るものと失うもの(略)、以下同様)
オプションB 自衛隊上陸なし。島に恒久施設建設
オプションC 領海内に入った中国船のみ排除
オプションD 現状のまま何もしない
オプションE 尖閣諸島を中国に譲る
→重要なのは可能性の提示で配慮や忖度をしてはならない、決定は意思決定者
→すべてのオプションには必ず得るものと失うものがある
→特に安全保障の分野では、得るものと失うものが僅差になることが多い
・好き嫌い・善悪・勝ち負けなどは現実理解の邪魔
→予断・バイアス・偏見などは政策判断の敵で事実と願望の混同も同様
→現実には完全な善も悪も明確な勝ち負けも存在しないのに、
→そんなバイアスのかかった情報がコンテンツとして提示されている
→現実の安全保障政策は事実より為政者の言葉や世論の認識が力を持つ
→政策決定にはそのバイアスを可能な限り排除しなければならない
(事実誤認によるイラク侵攻など)
・政策決定は重層的なプロセスで単層的な思考をしてはならない
→反対もあれば賛成もある中で政策は重層的に決定していくが表面には出にくい
(民主党・野田政権による尖閣国有化など)
→いかなる国にも多様性があるのに国や国民がひとつの均質な主体であるかのような言説が多い
→○○国は何々とか、○○人は何々とかの言説は最大限に警戒し疑う必要がある
あとがきより
・若い頃に知りたかったのは「なぜ戦争が起きるのか」というメカニズム
・軍事や安全保障の議論そのものが忌避対象で勉強したくても学校も研究機関もなかった
・日本は1945年から戦争していないので戦争しているアメリカの大学院で勉強した
・帰国後も世界標準のわかりやすい安全保障論の本に巡り合えなかった
・卓見を持つ専門家は何人もいるが初歩的な内容は飛ばしていたので本書を書いた
・学んだのがアメリカの大学院なので「アメリカの視点」からスタートしているが、
各国から各職業を経験した学生が集まってたし、各国の文献や報道にも接して相対化された
・国際社会とネット空間は英語が事実上の標準語になっており、英語さえ読めれば世界の
政府発表やニュースが日本に居ながら直接入手できる環境になっている
・安全保障に限らずネットがもたらす「二極分化」がありリテラシーの高低ギャップが
ますます広がっている
・日本の安全保障をめぐる議論では現実になってるので、ぜひ高いほうに参加してほしい
左バーに「98kのつぶやき(Twitter)」を追加しました。Twitterでもフォローいただければ嬉しいです。
今回は「世界標準の戦争と平和」とゆー本のご紹介・・・
烏賀陽弘道 著 扶桑社 2019年11月20日 初版第1刷発行
著者は朝日新聞社を退社後、フリーランスの報道記者・写真家として活動されてる方だそうで、
わたくしはalaris540さんブログへのコメントがきっかけで本書の存在を知りました。
例によって目次のみのご紹介・・・
まえがきによれば・・・
・「日本の外の世界では共通理解になっているいちばんベーシックな話」をこの本でシェアしたい
・世界では共通理解になっている知識や現実を知らないままの人たちがスローガンや空論を唱え、
ネットやテレビで有名になり影響力を行使している
・国内での安全保障の議論は対立軸だけで政治家・官僚も大差なく「知的空白」が続いた
・世界標準で通用する論者もいるが本書のような基礎的なことは(共通理解として)飛ばして、
各論から論じているので、一般人には「よく分からない」となっているのが歯痒い
・語学には文法と語彙があるが、この本の内容は国際安全保障政策論の基本文法にあたり
学校教育の英語でいえば中学校の英語レベル
・語彙として個別のテーマもあるが、文法さえマスターすれば別のテーマにも適用できる
・私を「右・左」「保守・リベラル」「与党・野党」「護憲・改憲」「平和主義・軍国主義」
といった既存カテゴリーに分類することは不可能で、そういった思考は現実理解には排除すべき
・安全保障は国の政策で老人介護や保育所と同じ、アジェンダ(公的な議題)として軽重はない
・官僚とか政治家とか専門家に任せておけばよいという時代は終わったと考えている
・ブログやSNSで誰もが発言者になれる時代に「安全保障のベーシックなリテラシー」を
身につけておくことはメディア・リテラシーとして不可欠ではないか・・・
・・・つーことで、確かに高校生にも分かりやすく平易に書かれてました。
さらに文明史の一環として軍事史や兵器史についても比較的興味のあったわたくしでも、
「にゃーるほど」と、あらためて納得させられた事実も多く、とても勉強になりました。
著作物なので詳しくは紹介できませんが、以下わたくしの部分的な「語彙」のメモです。
ご覧いただき少しでも興味を持たれた方には本書の熟読をオススメします。
で、わたくしの思い違いなどをご指摘いただければ、さらにありがたいです。
(一部引用部分もありますので掲載に問題があるようなら、すぐに削除します。)
第一章 海と核兵器
・安全保障で陸と海に空が加わったのは約100年前から、宇宙が加わったのが1950年代以降、
サイバー空間が加わったのは2000年前後以降だが、今でも最も重要なのは海
→地球では海が71%で陸は29%、海は繋がっており国境もなく重いものを大量に安価に運べる
→領海以外の接続水域・排他的経済水域・国際海峡(宗谷・対馬・津軽・大隅)は公海なのだが、
他府県ナンバーが目前の国道を通過した!!! 私有地には入ってないけど、と騒ぐマスコミが多い
→私有地に突っ込んだわけでもないのに、何故わざと騒ぎたてるのか・・・
・日本では核兵器をアジェンダにしない・否定しかしない・効用を認めない、が一般的だが、
国際政治の環境では大戦前の人類と大戦後の人類との違いは「核兵器の有無」だけ
・核兵器のある国(同盟国を含む)では平和と繁栄を享受、ない国では通常兵器での虐殺が続く
→これは大量破壊兵器に守られたグロテスクな平和でもある(代理戦争かテロか)
→人類は「核ある平和」か「核なき虐殺」しか手にしたことがないのが国際社会の現実
・アメリカの安全保障政策の大学院はロースクールと同じで即戦力になる専門職の養成所
→国際政治経済学の理論や学説を学ぶ大学院とはまったくの別物
→学長による基礎講義は「国際政治を動かすルールは軍事力、特に核兵器を中心とした
核戦略である」からはじまった。ちなみに彼は現実主義者ではなく国際機関主義者
→冷戦・二極化構造が終わっても多極化が広まり混迷するだろうと27年前に言ってた
→当時の日本には学者も国際関係学部も少なく特に軍事の領域はタブーだった
(ちなみに98kは軍事史を専攻したかったけど当時はなかったので政治史(文明史)を専攻)
・核のルールはアメリカが超大国だからではなく国際政治を動かす「世界標準」の基本文法
・担当教授の1日目の授業は「核兵器の作り方」からだった
・核を搭載したICBMと爆撃機と潜水艦SLBMのセット→冷戦時代に相互確証破壊MADが完成
→どれが欠けても抑止力としては機能しない→すべて揃えてるのは2019では米露だけ
→残りの核保有国で英仏中3ヶ国は最低でも潜水艦SLBMは持っている→報復能力はある
→それ以外の国が核武装しても自殺行為に等しい→ただし自滅前提や事故による可能性は残る
→SLBM原潜を中核とした核の保険を持っている国以外には持たせない→核兵器不拡散条約
→その代わりNATO、ワルシャワ条約機構、日米安全保障条約などで核の傘に入る
→それに反対して核保有する印パ北朝鮮などは国際政治での発言権がないのが現実
・戦勝国の5ヶ国が合意し実行しない限り核廃絶はなく、そのための国際機関もない
→「核兵器による国家生存の保証」は運転時の自動車保険と同じで加入するのが現実的選択
・アメリカ空母群の概要(略)→グローバルリーチ→外交のシグナリングに(台湾総統選挙時など)
・航行の自由作戦→国際法は慣習の積み重ねに過ぎず、常に積み重ねないと崩壊する
・日本は戦後政治意思として軍事力を行使したことがなく、戦前は政治と離れて活動したので
別物として扱われているが、世界標準では政治と軍事は境目のない一体のもの
→政治ツールとしての軍事は破壊力を伴わない役割が多い
・シーレーン→国際貨物輸送量の85%が海上輸送(日本は99.7%)
→航行の自由は戦後変わらずアメリカの軍事力で守られており他の選択肢はない
→アメリカは自国の利益のため(自由への)逆行もするが、これが国際政治の現実
→超大国の安全保障政策は階層構造、核の保険や空母群は下部構造で、ずっと不変
→上部構造が冷戦から対テロ戦に変わったに過ぎない
・海の軍事力は①核抑止②経済の繁栄③政治意思の表現④下部構造として最も重要
・国際安全保障には軍事だけでなく外交や経済などの政策も含まれるが、日本では
安全保障=軍事と誤解されている
第二章 シーパワーとランドパワー
・地政学は安全保障政策では世界標準だが、日本では2000年前後からようやく復活
→海上移動は遅くて隠れることもできないので島国は大陸国に較べて兵力で6個師団以上は
有利とされているが、世界的には稀な部類
→大陸の平原で接するフランスとドイツの国境は人工的なもので常に動いている
→湖・大河・高山・ジャングル・砂漠・厳冬も越えるのが難しい→隣国とは仲が悪い
→政策は現実の空間条件で考えるのが共通理解→地政学は知ってて当たり前の世界
→日本では地政学の基礎的な文献も学者も大学も研究機関も殆どなかったが、その空白理由は
→イギリス・アメリカ発祥の地政学→ドイツ将校の「生存圏」概念→ナチスドイツの正当化
→大東亜共栄圏の正当化→戦後日本では「悪魔の学問」とされ、そのまま冷戦に突入したから
・唯一の超大国であるアメリカの自国防衛は太平洋と大西洋のみ→シーパワーの国
(アメリカは大陸国だがカナダ・メキシコと戦争する確率はゼロに近いから)
→日本も(軍事力は限定的だが)シーパワーの国
・ロシア、中国、ドイツなどはランドパワーの国
→発展したランドパワーの国は(コストの安い)海への出口を求め拡張し始めるのが歴史の法則
・ロシアの例
→外洋への3ルートがすべて他国でブロックされてたので、さらなる発展のため拡張をはじめた
①サンクトペテルブルク→バルト海→エースレンド海峡→ベルト海峡→北海→大西洋ルート
②セバストポリ→黒海→ボスポラス海峡→ダーダネルス海峡→地中海→ジブラルタル海峡
→大西洋ルート
③ウラジオストク→日本海→宗谷か津軽か対馬の海峡→大平洋ルート
(ウラジオストクは清から苦心して手に入れた不凍港であり、①②③どれもが巨大軍港)
(対ロシア戦では日本とイギリスは地政学的条件が一致したので日英同盟を結んで勝利した)
(イギリスがジブラルタルを手放さないのも地政学的条件から)
(ロシアが16世紀から12回もトルコと争いクリミア半島を手放さないのも地政学的条件から)
→①ルートにはNATO(北大西洋)②ルートにはCENTO(中央)③ルートには日韓米の同盟で対応
→国後島・択捉島の海域は宗谷海峡を抜けたあとの最後の関門で特に択捉島の単冠湾は良港
→なので返還交渉の最後は地政学的条件での航路の安全保障問題になる
→地政学的条件は下部構造でイデオロギーや政治経済体制などの上部構造が変わっても不変
・中国の例
→ロシア同様、発展に伴い外洋に出ようとする「自立運動」
→1969年のソ連と中国の衝突でも地政学的条件はイデオロギーを上回ることがわかる
→ソ連の崩壊、中露国境の確定(大陸の安全保障)、経済大国化により南シナ海に進出
→ロシアと異なり長い海岸線を持つが、経済の巨大化で「動脈(南シナ海)」に敏感になった
→呉越同舟以来の陸でのベトナムとの敵対関係から1988年以降は西沙諸島での敵対関係に
→中国にとっての戦略的な重要ポイントが陸から海に移った
→半島は海と陸の接点でランドパワーとシーパワーの接触点
→韓半島の例→ランドパワーの中国・ロシアとシーパワーの日本・アメリカの奪い合いの歴史
(インドシナ半島にもバルカン半島にもクリミア半島にも同じ歴史がある)
(地政的に日本軍のベトナム進駐が日米関係を急速に悪化させたことはあまり知られていない)
→ランドパワーが韓半島まで膨らみきったところで、その先にあるのが日本列島
→日本はシーパワー諸国にとっての防波堤として非常に重要なポジションになる
・アメリカは太平洋と大西洋でユーラシア大陸と向き合っており海軍力で守っている
→ランドパワーのロシア・中国の膨張には極めて警戒的(政治経済体制とは全く別問題)
→ユーラシア大陸との接点にあるのが日本とイギリスで、ここは死活的に重要な立地
→この戦略的価値を理解したうえで対米交渉に臨んだ日本の政治家は稀で中曽根康弘ぐらい
→交渉での地位向上のために地政学的な価値を利用していた
→日本も中国もロシアも韓半島も政治体制は変わったが、地政学的な利害対立はずっと不変
・大きな力の接点にはバッファゾーンが設定されることが観察できる
→冷戦時代の東欧のソ連衛星国とNATO諸国、現代では中国が北朝鮮を存続させる理由
・国際安全保障ではパワーバキューム(力の空白地帯)を警戒する
→フセイン排除後のイラク、終戦前後の満州や韓半島、内戦のシリア
→北朝鮮のハードランディング(準備がないままの崩壊)を避けるソフトランディング
・日本はシーパワーと組むと繫栄し、ランドパワーと組むと破滅する
→1868年から2019年まで151年間の国際関係史から鮮やかに浮かんでくる
日露戦争での勝利(最大シーパワーだったイギリスのバックアップ)
第二次世界大戦での敗北(2大シーパワーだったアメリカ・イギリスとの敵対)
戦後の(海の覇権を持つ)アメリカとの同盟での経済発展
・沖縄の軍事基地化
→唯一地上戦で占領した本土が沖縄
→地上軍が犠牲を払って勝ち取った地域から軍隊を除去するのは非常に難しい
→27年間の軍事占領が続いたが、返還後も米軍基地が残ったのはなぜか
→アメリカの世界戦略にとって最高の好立地にあるから
→リスクが予想される地域から1000km~2000kmで近すぎず遠すぎず海兵隊なら48時間の距離
→半径4000kmで東アジア全体を収められる場所は太平洋では沖縄だけ
→半径1万kmで世界の主要地域を収められる場所はロンドンと那覇だけ
→アメリカ本土は世界の主要地域からは隔絶した場所にある
→1972年の返還時は冷戦の最中だったが台湾海峡と韓半島は冷戦後もフリーズしたまま
→アメリカからは、沖縄から撤退できるほど世界は安全にはなっていないと見える
→沖縄や日本のためでなく台湾海峡や韓半島さらに中東など世界中の紛争に対応するため
→なのでアメリカの世界戦略にとって最高の立地点を「使わせてあげてる」程度に考えるのが
現実的であり、「テナント」と「家主」の関係は法律上は対等のはず・・・
第三章 「安全保障=軍事」という誤解
・国際安全保障政策は経済・外交・情報・メディアを包括的に網羅した総合政策で、
軍事はあくまでその1ジャンルに過ぎない
→セキュリティ(安全保障)とは安全で安定していて恐怖や苦悩を感じない状態も包括する
→国際安全保障政策は主に国外の勢力から国内のセキュリティを守るための政策
→ジャン・ボダンの国家論でいう①領域②人民③主権(統治権)のセキュリティを保つこと
→①と③はわかりやすいが②のセキュリティの内容は複雑
→セキュリティの喪失=クライシス
→戦争やテロに限らず福島原発事故での避難や健康リスクは世界では国家クライシスだが、
日本国内では今も産業事故くらいの認識しかない
→食料もエネルギーも国際安全保障政策の重要な課題だがシーレーンのセキュリティが
破れると、他の主要国より自給率が低い食料の62%とエネルギーの92%を失う
→セキュリティの手段は軍事でなくてもいい→経済援助や外交努力や文化交流など
→戦後74年間に軍事は使わず破滅的な失敗は(福島原発事故を除き)していない
・守るべき国益は何か
→幕末から明治は「列強の植民地にされないこと」が国益で殖産興業・富国強兵
→植民地リスクが薄れると「領土の拡張」へ→敗北で①と③を失い②も多くを失った
→戦後は「経済成長」で1980年代に達成されてからは「繁栄の維持」か・・・
・セキュリティ用語の違い
→作戦(Operation)の時間軸は1日~1月単位で、空間軸は戦場
→戦術(Tactics)の時間軸は1年単位で、空間軸はヨーロッパ、東アジアなど
→戦略(Strategy)の時間軸は10~100年単位で、空間軸は世界規模
→作戦と戦術は戦時のみだが、戦略は平時も含む
→作戦と戦術の政策分野は軍事のみだが、戦略は経済・外交・軍事などを包括
→作戦と戦術の政策決定者は軍人のみだが、戦略は政治家・官僚・軍人
・平時の軍は家の戸締りのようなもの
→どの程度に安全な環境かは認識次第で認識は主観、客観的な解はなくコンセンサスも難しい
→危ない冷戦期の日本ではリスク認識が低かったのに、ロシアも中国も実質資本主義になってから
リスク認識が(正確かどうかは別として)高まっている。
→冷戦時代を知る自分はずいぶん平和になったと思ってるがリスク認識は主観で個人差が出る
→クライシスが起きればコンセンサスは簡単だが「戦闘がないから軍は不要」ではない
→軍は戦時の政策だけでなく平時の政策にも必要
・国を縛る法律は存在しない
→国際法は慣習の集積に過ぎず国連に国を罰する力はない
→PKOは敵対勢力の分離・人道支援・停戦監視などで国への強制はできない
→国連軍にはどこも兵力供給せず空文化しソフトバージョンとして経済制裁がある
・相互に依存する国は戦争しない
→経済だけでなく文化・情報や人の交流による相互理解が進むと殺戮をためらうようになる
→戦争への動機を奪うことが平和へのメカニズムとして有効で政策手段は軍事だけではない
・国際関係における国と軍事の比重が低下
→ペティ・クラークの法則(第三次産業の発展に領土の拡張は不要)
→軍事力より経済力の時代に
→経済は国境をまたぎ国は無力→経済のグローバル化
→通常戦争からLIC(低烈度紛争)へ→正規軍より情報機関
第四章 ケーススタディ 尖閣諸島→省略
(明快な解説でスッキリしましたが、検証レベルなどは精緻で高いものの、わたくしの見方と
基本は同じだったのでメモは省略しました。ひょっとして、わたくし世界標準???)
第五章 普遍的な見方
・シグナリングを見落とすな
→ミリタリーバランス誌は尖閣周辺の中国海警船をシグナリングと表現している
→シグナリングには「やってること」と「できるのに、やってないこと」がある
→中国海警船は巡回はするが上陸や日本船への発砲はしない(北方領土では発砲もある)
→中国領土であることの表現と軍事衝突はしたくないことの表現→シグナリング
(米軍がいつでも使える尖閣諸島は、シーレーン確保に乗り出した中国にとっては脅威)
→公式声明では事態が悪化したり内政干渉になったり交渉に影響する場合もシグナリングで対処
→どの国も膨大な人員がシグナリング分析に取り組んでいるが、日本政府は・・・
→2013年アメリカの国務長官と国防長官の(靖国神社ではなく)千鳥ヶ淵戦没者墓苑への献花
→これは安倍首相の靖国神社についての雑誌寄稿に対するアメリカ政府のシグナリング
→無視した安倍首相は靖国神社に参拝し、同日アメリカ大使館が公式非難声明を発表した
(2013年は北朝鮮の核ミサイル危機の年で米日韓の協議と中露との調整が最重要だったので
政府要人の参拝に反対する中韓を刺激しないで、というシグナルだったが無視されたため)
→この無視が故意なのか、うっかりなのか・・・
・自国の価値観で他国の行動を評価・予測してはならない
→国際政治はすべて異文化コミュニケーション
→現実を予断やバイアスなしに理解すること
1947年5月 日本国憲法施行
1948年8~9月 半島南北分裂
1950年6月~ 朝鮮戦争
1950年8月 警察予備隊→自衛隊
1952年4月 統治権回復
(1948年のロンドン五輪にドイツと日本が参加できなかったのは、国がなかったから)
・事実と願望を混同してはならない
→アメリカ本土は攻撃されない(9.11)、日本で原発の大事故は起きない(3.11)
・外政と内政は連続して一体である
→中国の対日政策と体制維持、経済発展と対米政策の例
・2国間の政策は他国との関係にも影響する
→2018年プーチン大統領の年末会見での普天間基地移転問題の指摘
(知事や住民が反対しても普天間基地を移転存続させるのだから、北方領土に基地は作らせない
と平和条約で約束しても、米軍基地に日本がどの程度の主権を持っているのか分からない)
→尖閣諸島も米軍が自由に使っていいと日本がいってる(日米地位協定)
→中国にとっては日本領土であることのリスクが高い(ロシア同様の対応に)
→2004~5年のチェコ・ポーランドへの米軍ミサイル防衛設備の設置計画
→これらはすべて連続して一体で国際関係は展開される
・二極対立から多極構造へ
→日本では国際関係=日米関係の短絡がある
→冷戦時代はやむを得なかったが、未だに極端な親米と反米がある
→国際政策のゴールは国益を最大にすることで、日本が自分で決めること
→ただし、その国際政策の国益とは何か、得るものと失うものを国民に提示すること
(政府当局者はだいたい良いことしかいわないので報道や研究者や世論の検証が必要)
・安全保障政策は得るものと失うものの差し引き
→政策提案書(ポリシーペーパー)に取りうるオプションをすべて提示し、それぞれを実行した際の
得るものと失うものを併記することが、どの授業でも求められた
→アメリカのアマチュアリズム政治文化からで素人が決定者になっても対応できるから
→企業の損益計算書と同じ発想で教授とアドバイザーを交えて議論し再提出する
→思いつくままに嫌がられるとか笑われるとかのバイアスを排除するよう指導された
尖閣諸島問題のケーススタディ
オプションA 自衛隊を島に上陸させ占領する(得るものと失うもの(略)、以下同様)
オプションB 自衛隊上陸なし。島に恒久施設建設
オプションC 領海内に入った中国船のみ排除
オプションD 現状のまま何もしない
オプションE 尖閣諸島を中国に譲る
→重要なのは可能性の提示で配慮や忖度をしてはならない、決定は意思決定者
→すべてのオプションには必ず得るものと失うものがある
→特に安全保障の分野では、得るものと失うものが僅差になることが多い
・好き嫌い・善悪・勝ち負けなどは現実理解の邪魔
→予断・バイアス・偏見などは政策判断の敵で事実と願望の混同も同様
→現実には完全な善も悪も明確な勝ち負けも存在しないのに、
→そんなバイアスのかかった情報がコンテンツとして提示されている
→現実の安全保障政策は事実より為政者の言葉や世論の認識が力を持つ
→政策決定にはそのバイアスを可能な限り排除しなければならない
(事実誤認によるイラク侵攻など)
・政策決定は重層的なプロセスで単層的な思考をしてはならない
→反対もあれば賛成もある中で政策は重層的に決定していくが表面には出にくい
(民主党・野田政権による尖閣国有化など)
→いかなる国にも多様性があるのに国や国民がひとつの均質な主体であるかのような言説が多い
→○○国は何々とか、○○人は何々とかの言説は最大限に警戒し疑う必要がある
あとがきより
・若い頃に知りたかったのは「なぜ戦争が起きるのか」というメカニズム
・軍事や安全保障の議論そのものが忌避対象で勉強したくても学校も研究機関もなかった
・日本は1945年から戦争していないので戦争しているアメリカの大学院で勉強した
・帰国後も世界標準のわかりやすい安全保障論の本に巡り合えなかった
・卓見を持つ専門家は何人もいるが初歩的な内容は飛ばしていたので本書を書いた
・学んだのがアメリカの大学院なので「アメリカの視点」からスタートしているが、
各国から各職業を経験した学生が集まってたし、各国の文献や報道にも接して相対化された
・国際社会とネット空間は英語が事実上の標準語になっており、英語さえ読めれば世界の
政府発表やニュースが日本に居ながら直接入手できる環境になっている
・安全保障に限らずネットがもたらす「二極分化」がありリテラシーの高低ギャップが
ますます広がっている
・日本の安全保障をめぐる議論では現実になってるので、ぜひ高いほうに参加してほしい
2021年08月25日
命を救った道具たち・・・
(お知らせ)
左バーに「98kのつぶやき(Twitter)」を追加しました。Twitterでもフォローいただければ嬉しいです。
つーことで今回は、kt-lightさんのツイートで知った・・・
命を救った道具たち Tools that can save a life
高橋大輔著 株式会社アスペクト 2013年5月3日第一刷第一版発行
とゆー本のご紹介・・・
裏表紙裏にあった著者紹介であります。
わたくしは今回はじめて著書を読んだのですが、著者は2005年にロビンソン・クルーソーの
住居跡を発見した探検家・作家だったんですね。
あとがきより・・・
「自分の探検道具の中で45点を選んでならべてみた」
「探検のための道具は命を救うばかりか心を支えるものでもある」
「道具はモノであって、モノではない。
それは夢へと向かって突き進むことを可能にする精神的な存在でもあるのだ」
「(本書は)ありそうでなかった道具を主役にする探検記」
つーことでありました。
例によって目次のみのご紹介(画像をクリックすると拡大します)
No.1がミニマグライト2AA、No.2がジッポーライター、No.3がジップロック・・・わかるなあ
と、目次を眺めてるだけでもヨダレが・・・じゅるじゅるじゅる
ま、わたくしのように道具を集めただけで満足してしまい、ほとんど使わないような輩にも
充分に楽しめる内容で、そのモノにまつわる著者のエピソードが述べられているのですが、
探検の極限状況だけでなく日常も含めた一般人と異なる視点からの記述が面白かったです。
たとえばNo.27「ボウタイ」・・・以下要約
探検家といっても殆どの時間は協力依頼のためのプレゼンテーションなどに費やされるが、
会社員としての経験があったので当初はスーツ姿、ところがそれだと話にリアリティがなく、
どうしてもビジネスっぽくなり、なかなかうまくいかなかった。
やはり探検家は探検家然とすべきで、サファリシャツだけでもいいがボウタイはコンパクトで
ネクタイのビジネス臭がなくフォーマルになり、大人の上質な遊び気分も備わっている。
探検を支援してもらえるかどうかは、そんな遊び気分を共有してもらえるかどうかにかかっている・・・
そう、著者にとってはボウタイも(探検家としての)「命を救った道具」だったんですね・・・
著作物なので詳しい内容は紹介できませんが、興味のある方はご一読を・・・
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つーことで今回は、kt-lightさんのツイートで知った・・・
命を救った道具たち Tools that can save a life
高橋大輔著 株式会社アスペクト 2013年5月3日第一刷第一版発行
とゆー本のご紹介・・・
裏表紙裏にあった著者紹介であります。
わたくしは今回はじめて著書を読んだのですが、著者は2005年にロビンソン・クルーソーの
住居跡を発見した探検家・作家だったんですね。
あとがきより・・・
「自分の探検道具の中で45点を選んでならべてみた」
「探検のための道具は命を救うばかりか心を支えるものでもある」
「道具はモノであって、モノではない。
それは夢へと向かって突き進むことを可能にする精神的な存在でもあるのだ」
「(本書は)ありそうでなかった道具を主役にする探検記」
つーことでありました。
例によって目次のみのご紹介(画像をクリックすると拡大します)
No.1がミニマグライト2AA、No.2がジッポーライター、No.3がジップロック・・・わかるなあ
と、目次を眺めてるだけでもヨダレが・・・じゅるじゅるじゅる
ま、わたくしのように道具を集めただけで満足してしまい、ほとんど使わないような輩にも
充分に楽しめる内容で、そのモノにまつわる著者のエピソードが述べられているのですが、
探検の極限状況だけでなく日常も含めた一般人と異なる視点からの記述が面白かったです。
たとえばNo.27「ボウタイ」・・・以下要約
探検家といっても殆どの時間は協力依頼のためのプレゼンテーションなどに費やされるが、
会社員としての経験があったので当初はスーツ姿、ところがそれだと話にリアリティがなく、
どうしてもビジネスっぽくなり、なかなかうまくいかなかった。
やはり探検家は探検家然とすべきで、サファリシャツだけでもいいがボウタイはコンパクトで
ネクタイのビジネス臭がなくフォーマルになり、大人の上質な遊び気分も備わっている。
探検を支援してもらえるかどうかは、そんな遊び気分を共有してもらえるかどうかにかかっている・・・
そう、著者にとってはボウタイも(探検家としての)「命を救った道具」だったんですね・・・
著作物なので詳しい内容は紹介できませんが、興味のある方はご一読を・・・
2021年08月22日
シニアの断捨離
(お知らせ)
左バーに「98kのつぶやき(Twitter)」を追加しました。フォローいただければ嬉しいです。
以前「老前整理」とゆー本を紹介しましたが、すでにあれから7年・・・
もはや「老前」ではなくなったのに、モノが増えるばかりのわたくし・・・も含め
今回は無事にご卒業を迎えられた、ひまぱのぱさんやwingさんのためにも・・・
「シニアの断捨離」のご紹介であります。あははは
まずは表表紙の惹句をご覧ください。
「必要なモノだけを残して、シンプルに快適に暮らしたい」
「人生を折り返したあとは選び残します。」
監修 やましたひでこ 宝島社TJMOOK 2019年12月21日発行
裏表紙の惹句
「断捨離は人生の選び方、残し方を決めるメソッドなのです。」
例によって目次のみ・・・
監修者紹介
断捨離って、ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」から発案されたんですね。
以下、わたくしの読後メモから一部のみ・・・(掲載に問題があるようなら削除します)
シニアの断捨離ルール
①手の届く高さ、目に見える場所だけにモノを置く→安心安全
②大きなモノを捨てる、重いモノは自分で運べるモノだけにする
→簡単に掃除でき清潔で空間を圧迫しない、模様替えもできて潤いのある生活に
(通常の断捨離では達成感を得やすい小さなモノから)
③家族と「一緒に決める」ことから逃げない→勝手に捨てない
④「もったいない精神」を捨てる→人生の不安が軽くなる
(断捨離での「捨てる」には寄付するリサイクルする売却するなども含む)
01
・新しくモノを買うときは総量規制で→収納に隠してモノを溜め込まない→収納をなくす
・断捨離とはモノがない状態ではなく自分で選び抜いたモノ、自分の生活を助けてくれるモノ
だけの心地よい空間を作ること
・捨てられないのは→面倒くさいから・もったいないから・せっかくのもらいモノだから
・現実逃避型(先送りタイプ)・過去執着型(遺物保管タイプ)・未来不安型(過剰ストックタイプ)
ステップ1→収納していたモノを全て水平面に出して俯瞰する
ステップ2→どうみてもゴミ・ガラクタは捨てる
ステップ3→自分軸と時間軸の関係性を意識する
(家族とかではなく「自分」の、過去・未来ではなく「今」に注目して判断し絞り込む)
→要(必要か)適(ふさわしいか)快(心地よいか)の視点で選び抜くこと
02
素敵な暮らしをしている人の共通点
・ライフスタイルの変化に対応した暮らしをしている
・シンプルな暮らしを目指している
・意識的にモノを循環させている(総量規制)
・意識的に天秤にかけ、捨てる、残すを選別している
・自分に必要なモノと、お気に入りのモノをきちんと選んでいる
・心と空間にゆとりがあり、新しいモノやコトが入る余地がある
・心や体をリセット&リフレッシュする習慣がある
03
場所別の断捨離で共通のオキテ
・場所全体を見渡して大きなモノがないかチェック→年をとるほど大物は扱いきれない
・収納アイテムは捨てる覚悟で→収納があるから詰め込む
・自分距離の射程範囲外にモノを置かない→身体が痛いと億劫になりモノが溜まる
・残すからには使う→大切なモノなら使ってこそ輝く
・優勝カップや古いアルバムなど→思い出は形がないとダメなの?
場所別の断捨離で共通のステップ
・モノをすべて出す→量の把握
・収納と呼ばれるアイテムを捨てる
・「その場」で使うモノだけにする→場所の移動も
・「今」使うモノだけにする
・その場に収まるモノの量にできないか、考えながら配置する
人との付き合い方の断捨離→自分のための人生に→円満な関係は逃げずに闘うことから
・同居している人→定期的に話し合う「ケア」
・別居している家族→理解しているはず、ではなく何気ないコミュニケーションから
・親戚→苦痛なら段階的に遠ざける
・ご近所さん→必要ないなら緩やかにフェードアウト(最低限の地域活動には参加)
・学生時代の友だち→付き合いが億劫になってきたら「今はお休み」と思う
・趣味仲間→嫌な思いをしたり顔色をうかがうことがあれば、それを解き放てる世代と考え
別のサークルや別の趣味へ移行することも
コトとの付き合い方の断捨離→体力的金銭的に負担を感じたらやめ時のサイン
・年賀状→送りたい人だけに、あるいは送らずに連絡して食事に誘う
・お歳暮→感謝を伝えたい人だけに、あるいは直接会ってプレゼント
・車の運転→利便性は安心があってこそ、安心できる環境づくりで心地よい暮らしに
・ストックの溜め込み→近所のスーパーやネットショップをストッカーと考える
・なんでもとっておく癖→無意識なので自覚する→モノ軸でなく自分軸で「今使うか」の視点
・無料のモノをもらう癖→容量オーバーは不用品、使えるから捨てないなら貰わない
云々・・・興味のある方は是非ご一読を・・・
とはいっても、めんどーだし、もったいないし、せっかくのもらいモノだし・・・
と、まだまだ現実逃避も過去執着も未来不安もあるし新製品は魅力だし・・・
ただ断捨離はあくまで生活の質を豊かにするためのもので、趣味の世界とは別のハナシ・・・
とは言いつつ・・・
わたくしの「趣味の物置小屋」は、すでに使わないモノで溢れてるんですが・・・
ま、フルサイズ一眼のコンプリートシステムをお持ちの上にミラーレス機を検討されてる人や、
新たに巨大マイクロフォーサーズ機を追加された上に高級レンズ群を検討されてる人や、
懐中電灯を買う際に「保存用・観賞用・実用・交換用」の4本で1本とカウントする人や、
さらに十数本の改造用を加えても1本とカウントする人などが世の中には存在するので、
もうそんなに行くこともないキャンプ用品やアウトドア用品を捨てられず、総量規制を無視して、
次々と買い足して溜め込んでるぐらいは、大したことでもないか・・・
左バーに「98kのつぶやき(Twitter)」を追加しました。フォローいただければ嬉しいです。
以前「老前整理」とゆー本を紹介しましたが、すでにあれから7年・・・
もはや「老前」ではなくなったのに、モノが増えるばかりのわたくし・・・も含め
今回は無事にご卒業を迎えられた、ひまぱのぱさんやwingさんのためにも・・・
「シニアの断捨離」のご紹介であります。あははは
まずは表表紙の惹句をご覧ください。
「必要なモノだけを残して、シンプルに快適に暮らしたい」
「人生を折り返したあとは選び残します。」
監修 やましたひでこ 宝島社TJMOOK 2019年12月21日発行
裏表紙の惹句
「断捨離は人生の選び方、残し方を決めるメソッドなのです。」
例によって目次のみ・・・
監修者紹介
断捨離って、ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」から発案されたんですね。
以下、わたくしの読後メモから一部のみ・・・(掲載に問題があるようなら削除します)
シニアの断捨離ルール
①手の届く高さ、目に見える場所だけにモノを置く→安心安全
②大きなモノを捨てる、重いモノは自分で運べるモノだけにする
→簡単に掃除でき清潔で空間を圧迫しない、模様替えもできて潤いのある生活に
(通常の断捨離では達成感を得やすい小さなモノから)
③家族と「一緒に決める」ことから逃げない→勝手に捨てない
④「もったいない精神」を捨てる→人生の不安が軽くなる
(断捨離での「捨てる」には寄付するリサイクルする売却するなども含む)
01
・新しくモノを買うときは総量規制で→収納に隠してモノを溜め込まない→収納をなくす
・断捨離とはモノがない状態ではなく自分で選び抜いたモノ、自分の生活を助けてくれるモノ
だけの心地よい空間を作ること
・捨てられないのは→面倒くさいから・もったいないから・せっかくのもらいモノだから
・現実逃避型(先送りタイプ)・過去執着型(遺物保管タイプ)・未来不安型(過剰ストックタイプ)
ステップ1→収納していたモノを全て水平面に出して俯瞰する
ステップ2→どうみてもゴミ・ガラクタは捨てる
ステップ3→自分軸と時間軸の関係性を意識する
(家族とかではなく「自分」の、過去・未来ではなく「今」に注目して判断し絞り込む)
→要(必要か)適(ふさわしいか)快(心地よいか)の視点で選び抜くこと
02
素敵な暮らしをしている人の共通点
・ライフスタイルの変化に対応した暮らしをしている
・シンプルな暮らしを目指している
・意識的にモノを循環させている(総量規制)
・意識的に天秤にかけ、捨てる、残すを選別している
・自分に必要なモノと、お気に入りのモノをきちんと選んでいる
・心と空間にゆとりがあり、新しいモノやコトが入る余地がある
・心や体をリセット&リフレッシュする習慣がある
03
場所別の断捨離で共通のオキテ
・場所全体を見渡して大きなモノがないかチェック→年をとるほど大物は扱いきれない
・収納アイテムは捨てる覚悟で→収納があるから詰め込む
・自分距離の射程範囲外にモノを置かない→身体が痛いと億劫になりモノが溜まる
・残すからには使う→大切なモノなら使ってこそ輝く
・優勝カップや古いアルバムなど→思い出は形がないとダメなの?
場所別の断捨離で共通のステップ
・モノをすべて出す→量の把握
・収納と呼ばれるアイテムを捨てる
・「その場」で使うモノだけにする→場所の移動も
・「今」使うモノだけにする
・その場に収まるモノの量にできないか、考えながら配置する
人との付き合い方の断捨離→自分のための人生に→円満な関係は逃げずに闘うことから
・同居している人→定期的に話し合う「ケア」
・別居している家族→理解しているはず、ではなく何気ないコミュニケーションから
・親戚→苦痛なら段階的に遠ざける
・ご近所さん→必要ないなら緩やかにフェードアウト(最低限の地域活動には参加)
・学生時代の友だち→付き合いが億劫になってきたら「今はお休み」と思う
・趣味仲間→嫌な思いをしたり顔色をうかがうことがあれば、それを解き放てる世代と考え
別のサークルや別の趣味へ移行することも
コトとの付き合い方の断捨離→体力的金銭的に負担を感じたらやめ時のサイン
・年賀状→送りたい人だけに、あるいは送らずに連絡して食事に誘う
・お歳暮→感謝を伝えたい人だけに、あるいは直接会ってプレゼント
・車の運転→利便性は安心があってこそ、安心できる環境づくりで心地よい暮らしに
・ストックの溜め込み→近所のスーパーやネットショップをストッカーと考える
・なんでもとっておく癖→無意識なので自覚する→モノ軸でなく自分軸で「今使うか」の視点
・無料のモノをもらう癖→容量オーバーは不用品、使えるから捨てないなら貰わない
云々・・・興味のある方は是非ご一読を・・・
とはいっても、めんどーだし、もったいないし、せっかくのもらいモノだし・・・
と、まだまだ現実逃避も過去執着も未来不安もあるし新製品は魅力だし・・・
ただ断捨離はあくまで生活の質を豊かにするためのもので、趣味の世界とは別のハナシ・・・
とは言いつつ・・・
わたくしの「趣味の物置小屋」は、すでに使わないモノで溢れてるんですが・・・
ま、フルサイズ一眼のコンプリートシステムをお持ちの上にミラーレス機を検討されてる人や、
新たに巨大マイクロフォーサーズ機を追加された上に高級レンズ群を検討されてる人や、
懐中電灯を買う際に「保存用・観賞用・実用・交換用」の4本で1本とカウントする人や、
さらに十数本の改造用を加えても1本とカウントする人などが世の中には存在するので、
もうそんなに行くこともないキャンプ用品やアウトドア用品を捨てられず、総量規制を無視して、
次々と買い足して溜め込んでるぐらいは、大したことでもないか・・・
2021年08月18日
人生で大事なことはみんなゴリラから教わった
人生で大事なことはみんなゴリラから教わった・・・
山極寿一著 家の光協会 2020年8月20日 第1版発行
例によって目次のみ・・・
著者の出版当時の肩書きは「京都大学総長」ですが、なにせ約半世紀にわたり現地に分け入り、
野生のニホンザルやゴリラの観察を続けてきた方ですから、その生態や人間との対比はもちろん、
昔の屋久島やアフリカでのキャンプ生活の様子や、ポレポレ基金など現地の生き物や環境を
守るための活動なども、とても興味深く読ませていただいた・・・のですが・・・
特にわたくしには「はじめに」の部分が、漱石の草枕の冒頭「智に働けば角が立つ・・・」の
まさに現代版のような感じがしましたので、今回はその部分の読後メモをご紹介・・・
(出典は著作物なので公開に問題があるようなら削除します。)
・今、わたしたちの暮らしはとてもいそがしくなっている
・情報があふれ、人との付き合いはそっちのけで、スマホやインターネットで取り込もうとしているから
・たくさんの情報を集めても、たくさんの人と仲良くなれるわけではない
・むしろ顔も知らない人から相談されたり誘いがあったりで目の前のことができなくなる
・様々な情報の何を信用していいのか分からなくなり不安にかられる
・知らない人から非難されたり、どこかで誰かが見ている気がして不安になり落ち着かなくなる
・今の世の中には知りたいこと、知らなくてはいけないこと、やってみたいこと、やらなくてはいけないこと、
が満ちあふれているような気がする
・でも、そんなにたくさんのことを知る必要もないし、すべてをやらなくてもいいんじゃないだろうか
・ほんとうに自分が知りたいこと、やりたいことはなんなのか、じっくり考えてみたいと思う
・それにはまず、自分が何者なのかを知る必要がある
・情報は変わらないけれど生き物の一つである人間はつねに成長して好みも友だちも変わるので、
自分というものを保ち続けることは難しい
・人間は自分を自分だけでは作れず、自分を理解するには他人の反応を見る必要がある
・他人の顔や姿を見ることができ、その表情やしぐさで怒るとか悲しいとかを理解することができる
・その表情やしぐさを自分もしているということを、他人の反応によって知ることができるのだ
・いつの頃からか、人間はそんな表情や行動を言葉で表現するようになった
・悲しい、うれしいといった感情も言葉で表し、それをみんなで共有できるようになった
・今、それがスマホやインターネットに溢れているのである
・でもそれは本来、直接会って感じるものだと思う
・言葉は色々な出来事を抽象化し簡潔に伝えるための道具で、遠くからでも過去からでも
そのメッセージを聞けるが、情報にならないものをそぎ落としている
・たとえば怒りや悲しみにはいくつもの種類や程度があるのに、言葉ではなかなか表現できない
・怒っているように見えて、ほんとうは誰かに助けてもらいたがっていたり、けんか腰に見えても
仲直りしたがっているような態度は、その場に居合わせなければ理解することが難しい
・人間はイヌやネコや植木鉢の花とも会話することがあり、他の生き物の反応によっても
人間であることを意識できる
・情報があふれ、情報に頼り、人間同士や他の生き物たちとの触れ合いが少なくなった現代に、
せっかく育てた人間のコミュニケーション能力を復活させることが必要ではないか・・・
・生き物としての人間のあり方を理解し直す必要があるのではないか・・・
・人間の行動をゴリラやサルと比較していくと、その行動の本来の意味が見えてくる
・情報化社会になり、その本来の意味を忘れて暮らし始めていることに気づくのである
・生き物としての自分を自覚するために学んだことをふり返って、これからの人間の生き方を
考えてみたい・・・
山極寿一著 家の光協会 2020年8月20日 第1版発行
例によって目次のみ・・・
著者の出版当時の肩書きは「京都大学総長」ですが、なにせ約半世紀にわたり現地に分け入り、
野生のニホンザルやゴリラの観察を続けてきた方ですから、その生態や人間との対比はもちろん、
昔の屋久島やアフリカでのキャンプ生活の様子や、ポレポレ基金など現地の生き物や環境を
守るための活動なども、とても興味深く読ませていただいた・・・のですが・・・
特にわたくしには「はじめに」の部分が、漱石の草枕の冒頭「智に働けば角が立つ・・・」の
まさに現代版のような感じがしましたので、今回はその部分の読後メモをご紹介・・・
(出典は著作物なので公開に問題があるようなら削除します。)
・今、わたしたちの暮らしはとてもいそがしくなっている
・情報があふれ、人との付き合いはそっちのけで、スマホやインターネットで取り込もうとしているから
・たくさんの情報を集めても、たくさんの人と仲良くなれるわけではない
・むしろ顔も知らない人から相談されたり誘いがあったりで目の前のことができなくなる
・様々な情報の何を信用していいのか分からなくなり不安にかられる
・知らない人から非難されたり、どこかで誰かが見ている気がして不安になり落ち着かなくなる
・今の世の中には知りたいこと、知らなくてはいけないこと、やってみたいこと、やらなくてはいけないこと、
が満ちあふれているような気がする
・でも、そんなにたくさんのことを知る必要もないし、すべてをやらなくてもいいんじゃないだろうか
・ほんとうに自分が知りたいこと、やりたいことはなんなのか、じっくり考えてみたいと思う
・それにはまず、自分が何者なのかを知る必要がある
・情報は変わらないけれど生き物の一つである人間はつねに成長して好みも友だちも変わるので、
自分というものを保ち続けることは難しい
・人間は自分を自分だけでは作れず、自分を理解するには他人の反応を見る必要がある
・他人の顔や姿を見ることができ、その表情やしぐさで怒るとか悲しいとかを理解することができる
・その表情やしぐさを自分もしているということを、他人の反応によって知ることができるのだ
・いつの頃からか、人間はそんな表情や行動を言葉で表現するようになった
・悲しい、うれしいといった感情も言葉で表し、それをみんなで共有できるようになった
・今、それがスマホやインターネットに溢れているのである
・でもそれは本来、直接会って感じるものだと思う
・言葉は色々な出来事を抽象化し簡潔に伝えるための道具で、遠くからでも過去からでも
そのメッセージを聞けるが、情報にならないものをそぎ落としている
・たとえば怒りや悲しみにはいくつもの種類や程度があるのに、言葉ではなかなか表現できない
・怒っているように見えて、ほんとうは誰かに助けてもらいたがっていたり、けんか腰に見えても
仲直りしたがっているような態度は、その場に居合わせなければ理解することが難しい
・人間はイヌやネコや植木鉢の花とも会話することがあり、他の生き物の反応によっても
人間であることを意識できる
・情報があふれ、情報に頼り、人間同士や他の生き物たちとの触れ合いが少なくなった現代に、
せっかく育てた人間のコミュニケーション能力を復活させることが必要ではないか・・・
・生き物としての人間のあり方を理解し直す必要があるのではないか・・・
・人間の行動をゴリラやサルと比較していくと、その行動の本来の意味が見えてくる
・情報化社会になり、その本来の意味を忘れて暮らし始めていることに気づくのである
・生き物としての自分を自覚するために学んだことをふり返って、これからの人間の生き方を
考えてみたい・・・
2021年08月15日
36時間ダベりOFF会!!!
この金曜土曜と各地で大雨が続きましたが、みなさんご無事だったでしょうか?
と、そんな中・・・わたくし36時間ダベりOFF会つーのに参加してました。
ま、いつもの関西のライト仲間4人が、いつもの姫路アジトにひっそりと集まったものの、
ずっと雨だったので野外に出かけるわけにもいかず、この状況でお店へ入るのもねえと、
結局ひたすらアジトに引き籠って、ひたすらバカ話やヲタ話を続けてた・・・
つーだけなので、今回は飲食画像を中心にさくさくっと・・・
ビール&珈琲・・・
フード&チタン
フード&ライト(ただし人様のSUREなんとか・・・)
ビール&ライト&チタン(の爪楊枝)
ライト&カメラ・・・
って、
「ずいぶんデカい「マイクロフォーサーズ機」を追加されたんですね、wingさん・・・」
「なにせ「トリさん認識機能」が付いてたもので、じゅるじゅる・・・」
「って、そんなファームウェアの追加だけで、ここまでデカくなるの???」
「トリさんを追尾するための高速演算処理と連写に対応するためのバッテリー増加ですね」
「それにしても、わたくし(や家内)が重いしデカいしと手放したOM-D E-M1Ⅱの後継機で
右にある、E-M1Ⅲよりも、はるかにデカいですね。
この大きさなら、べつにフルサイズ一眼でもよかったのでは?」
「いやいや、フルサイズでレンズ群を揃えるとなると大きさとお値段が・・・ぶつぶつ」
「って、E-M1Ⅲに付けておられる150mm(換算300mm)でf2.8通しのズームレンズだけでも、
けっこうなお値段と大きさだと思いますが?」
「いやいや、フルサイズ用のサンニッパだと何倍ものお値段と大きさですし・・・ぶつぶつ」
「でもこのセットに自作の照明機材とかも持って、野外で撮影するのは大変でしょ?」
「うぐぐぐ・・・だって、だって・・・どうしてもこれが欲しかったんだもん!!!」
「あははは、やはり最後はメカへの物欲でしたか・・・」
と、ようやく3人全員が購入理由に納得し・・・
餃子&ビール
んで、本日のメインディッシュ・・・
バクテー(肉骨茶)鍋・・・
今回は一口カツ用の豚肉も入れてみましたが、やはり鍋にはしゃぶしゃぶ用の薄切りのほうが
すぐに味がしみて合うようです。本格的に煮込むならスペアリブだし・・・
で、薬膳が苦手な赤チャリさんと少食の川端さんは殆ど箸をつけず、約二名が中華太麺まで完食。
お待ちかねのデザートは、赤チャリさんが恭しく迷彩袱紗に包んで持参された・・・
じゃーん
そう、世界一甘いお菓子と言われるインドの「グラブジャムン」であります。
ま、わたくしと赤チャリさんにはふつーの甘さでしたが、他の約二名には甘過ぎたようです。
ちなみに翌日、余ったシロップをごくごくすると砂糖以外の独特の風味があって濃厚でした。
と、三時間ほどの仮眠を挟みましたが、翌日も買い足した食糧と飲料でひたすらダベり続け、
日が暮れてからようやく姫路を出発、帰りがけの神戸wing邸でも・・・
鴨葱&ペペロンチーノ大盛り&冷やし中華並盛&ビール・・・
とかでダベり続け、ようやく解散しました。
わたくしは金曜日の午前11時から土曜日の午後11時まで、僅かな仮眠時間を除いて、
ひたすらダベってたことになります。
ま、多岐にわたる話の内容については、高齢恒例により殆ど覚えてませんが・・・どっとはらい
と、そんな中・・・わたくし36時間ダベりOFF会つーのに参加してました。
ま、いつもの関西のライト仲間4人が、いつもの姫路アジトにひっそりと集まったものの、
ずっと雨だったので野外に出かけるわけにもいかず、この状況でお店へ入るのもねえと、
結局ひたすらアジトに引き籠って、ひたすらバカ話やヲタ話を続けてた・・・
つーだけなので、今回は飲食画像を中心にさくさくっと・・・
ビール&珈琲・・・
フード&チタン
フード&ライト(ただし人様のSUREなんとか・・・)
ビール&ライト&チタン(の爪楊枝)
ライト&カメラ・・・
って、
「ずいぶんデカい「マイクロフォーサーズ機」を追加されたんですね、wingさん・・・」
「なにせ「トリさん認識機能」が付いてたもので、じゅるじゅる・・・」
「って、そんなファームウェアの追加だけで、ここまでデカくなるの???」
「トリさんを追尾するための高速演算処理と連写に対応するためのバッテリー増加ですね」
「それにしても、わたくし(や家内)が重いしデカいしと手放したOM-D E-M1Ⅱの後継機で
右にある、E-M1Ⅲよりも、はるかにデカいですね。
この大きさなら、べつにフルサイズ一眼でもよかったのでは?」
「いやいや、フルサイズでレンズ群を揃えるとなると大きさとお値段が・・・ぶつぶつ」
「って、E-M1Ⅲに付けておられる150mm(換算300mm)でf2.8通しのズームレンズだけでも、
けっこうなお値段と大きさだと思いますが?」
「いやいや、フルサイズ用のサンニッパだと何倍ものお値段と大きさですし・・・ぶつぶつ」
「でもこのセットに自作の照明機材とかも持って、野外で撮影するのは大変でしょ?」
「うぐぐぐ・・・だって、だって・・・どうしてもこれが欲しかったんだもん!!!」
「あははは、やはり最後はメカへの物欲でしたか・・・」
と、ようやく3人全員が購入理由に納得し・・・
餃子&ビール
んで、本日のメインディッシュ・・・
バクテー(肉骨茶)鍋・・・
今回は一口カツ用の豚肉も入れてみましたが、やはり鍋にはしゃぶしゃぶ用の薄切りのほうが
すぐに味がしみて合うようです。本格的に煮込むならスペアリブだし・・・
で、薬膳が苦手な赤チャリさんと少食の川端さんは殆ど箸をつけず、約二名が中華太麺まで完食。
お待ちかねのデザートは、赤チャリさんが恭しく迷彩袱紗に包んで持参された・・・
じゃーん
そう、世界一甘いお菓子と言われるインドの「グラブジャムン」であります。
ま、わたくしと赤チャリさんにはふつーの甘さでしたが、他の約二名には甘過ぎたようです。
ちなみに翌日、余ったシロップをごくごくすると砂糖以外の独特の風味があって濃厚でした。
と、三時間ほどの仮眠を挟みましたが、翌日も買い足した食糧と飲料でひたすらダベり続け、
日が暮れてからようやく姫路を出発、帰りがけの神戸wing邸でも・・・
鴨葱&ペペロンチーノ大盛り&冷やし中華並盛&ビール・・・
とかでダベり続け、ようやく解散しました。
わたくしは金曜日の午前11時から土曜日の午後11時まで、僅かな仮眠時間を除いて、
ひたすらダベってたことになります。
ま、多岐にわたる話の内容については、