2023年02月
2023年02月21日
テクノソーシャリズムの世紀
とーとつですが・・・
テクノソーシャリズムの世紀~格差、AI、気候変動がもたらす新世界の秩序~
とゆー本のご紹介・・・
著者、監訳者、訳者、発行所、発行年月日などは奥付のとおり
カバー裏にあった著者紹介
例によって目次の紹介
今回は気になった数値などをランダムにメモ・・・
・中国の極貧レベルの人口
➝2012年の9890万人が2020年にはほぼゼロに➝これは中間層の成長によるもの
➝デュラントのダイヤモンド型経済(最も利益を生む経済)に➝1950~70のアメリカと同じ
➝1950年代は世界の中間層の90%が米国と欧州だった
➝現在では20%が中国で、2027年には25%に・・・
・(テクノロジー)億万長者の所得と投資によるリターンは毎年10~15%
➝1000億ドル長者は15年で1兆ドル長者になる➝ピラミッド型経済➝格差社会
・2019年の中国の電子決済は53兆ドル
➝これは中国GDPの5倍、世界のプラスチックカード決済の2倍
・パンデミックによるドルのマネーサプライ増➝インフレ➝ドル価値の低下➝リスクヘッジへ
➝金は総量20万1千トンで内2/3は1950年以降のもの(残りは5万トン)
➝ビットコインは総量2100万枚(残りは200万枚)
・2021年1月現在の米国債保有国の1位は日本で1.28兆ドル、2位は中国で1.1兆ドル
・世界人口の4%の米国に世界で私有されている銃の半分がある
➝集団の権利と個人の権利の優先順位付けが他国と異なるから
➝個人の権利(独立時は土地を所有する白人男性のみの権利)を強調➝米国の独自性
➝マスク・ワクチン・ソーシャルディスタンスは個人の自由か集団を守る個人の責任か論争になる
➝言論の自由とQアノン、ヘイトグループ、過激思想、フェイクニュースとの論争も同じ
・海洋汚染プラスチックの50%は商業的漁業船舶由来
・高スキル移民の必要性(移民制限による停滞)
・16年間EUトップのフィンランドの学校システム
➝創造的な遊びと(友達を作り他人を尊重する)良好なソーシャルスキルを育てる
➝マシンとの差別化は創造性、EQ(情緒指数)、LQ(愛情指数)でソフトスキル
・ホームレス対策のコスト
➝路上放置した場合のコストは3万ドルで3Dプリント住宅なら1万ドル以下
・米国のパスポート所有者は42%で運転免許証でも76%➝残りは銀行口座を持てない
➝モバイルウォレット・スマートカード➝ケニア・インド・中国(顔認証)の成功例
・AIは膨大な富を生み出すが同時に同じ労働の価格はゼロに向かう
➝今後20年で労働者の半分が自動化に置き換えられる
➝安価で高品質な教育へのアクセスと再教育期間を含むベーシック・インカムが必要
・地球上の富は360兆ドルで一人あたり僅か5万ドル(2019)
・一帯一路のインフラ整備は70ヶ国に及び人口の60%と経済産出の40%を占める
➝2050年で8兆ドルの計画(バイデンのインフラ整備計画は2兆ドル)
➝対象国がデフォルトになれば全て中国のものになるが回収はせず貿易支配に使う
・STEM(サイエンス・テクノロジー・エンジニアリング・マセマティクス)の大学卒業生数
➝2030年には中国は300%増(週に1校増設している)、米国は30%増
・最も強いものでも最も賢いものでもなく最も適応したものが生き残る(フリードマン2019)
・2008年の世界金融危機と2020年のパンデミック
➝生産性と職業人生延長、医療手当、アルコール節制、労働環境との関係・・・
・平均余命が延びれば社会に貢献しなくなる人を抱える余裕はなくなる
➝長い間、社会に貢献しなければならない➝継続的な学習、訓練、開発が重要になる
➝長い間の貢献や経験による年齢インセンティブが存在するかも・・・
・21世紀後半にはプロアスリートとプロアドベンチャーツアラー以外に、肉体的労働で
対価を得る人は、ほとんどいなくなる
➝KIC(ノレッジ・イノベーション・クリエイティブ)経済
➝肉体能力、ジェンダー、民族、年齢などに関係なく、発想力、知性、スキルが重要に
➝長い間、人間をロボットのように働くよう訓練してきたが、ロボットの仕事はロボットが
するようになるから➝人間に投資する教育が重要に
・ミレニアム世代はモノの蓄積から意味のある経験の蓄積へ移行
➝新しいiPhoneやPSを欲しがるのは所有したいからではなく経験したいから
・基本的なテクノロジー(遠隔医療やリモート授業を含む)へのアクセスがあれば、
常に都市生活をしなくてもいい➝パンデミックが証明した➝一部ではなく全員に
・GKI(グローバル・ノレッジ・インデックス)国連2020➝トップはスイスだった
過半数がサービス(バンキングや保険)で高価値産業への注力と近隣強国への接続性のよさ、
集中度の高い小さな人口によるもの➝今後は中国とインドへ・・・
・グローバリゼーション
➝世界貿易額は世界GDPの半分まで成長した
➝それにより多くの人が中間層に到達したが、金融危機からパンデミックに
➝ナショナリズム、二国間合意、一帯一路、TPP、ファイブアイズも?➝勝者が総取りする
・経済にも環境にもAIにもグローバルガバナンス、グローバル法人税が必要不可欠だが、
➝常任理事国(戦勝国)の拒否権問題、低法人税国の反対など・・・
➝ブラジル・インド・日本・ドイツによる拒否権改革案が国連に残された希望
・(1920年までの世界経済のように)アジア経済が大きくなることは事実
・原因が人類の活動であることに疑問を持つ人にも海面上昇は事実
・AIと職の創出と再訓練プログラムはセット➝企業によるかAI課税によるか
・平等な活動の場を作り出すベーシック・インカムは必要
➝カウチポテト族を生むものでなかったことは証明済み
・サバティカル(長期有給休暇)
➝15年のフルタイム・フルペイごとに1年間は必要
・高齢者の健康性、可動性、認知力はヘルステクノロジーと遺伝子治療で改善する
➝77歳リタイアは早すぎる
・人工知能により労働は生きるために必要なものではなく熱中して行うものになる
云々・・・
ま、テクノソーシャリズムという考え方の是非や、その実現可能性などは別として、最新の
世界の現状と問題点について、出典根拠を示した数値やグラフで分かりやすく説明してあり、
最新テクノロジーどころかスマホの基本操作さえ怪しい高齢者には勉強になりました
さてさて、これからの人類はどちらへ向かうのか、破滅なのか共存なのか・・・
まあ、身のまわりでできることを、ちまちまと続けたいとは思ってますが・・・
テクノソーシャリズムの世紀~格差、AI、気候変動がもたらす新世界の秩序~
とゆー本のご紹介・・・
著者、監訳者、訳者、発行所、発行年月日などは奥付のとおり
カバー裏にあった著者紹介
例によって目次の紹介
今回は気になった数値などをランダムにメモ・・・
・中国の極貧レベルの人口
➝2012年の9890万人が2020年にはほぼゼロに➝これは中間層の成長によるもの
➝デュラントのダイヤモンド型経済(最も利益を生む経済)に➝1950~70のアメリカと同じ
➝1950年代は世界の中間層の90%が米国と欧州だった
➝現在では20%が中国で、2027年には25%に・・・
・(テクノロジー)億万長者の所得と投資によるリターンは毎年10~15%
➝1000億ドル長者は15年で1兆ドル長者になる➝ピラミッド型経済➝格差社会
・2019年の中国の電子決済は53兆ドル
➝これは中国GDPの5倍、世界のプラスチックカード決済の2倍
・パンデミックによるドルのマネーサプライ増➝インフレ➝ドル価値の低下➝リスクヘッジへ
➝金は総量20万1千トンで内2/3は1950年以降のもの(残りは5万トン)
➝ビットコインは総量2100万枚(残りは200万枚)
・2021年1月現在の米国債保有国の1位は日本で1.28兆ドル、2位は中国で1.1兆ドル
・世界人口の4%の米国に世界で私有されている銃の半分がある
➝集団の権利と個人の権利の優先順位付けが他国と異なるから
➝個人の権利(独立時は土地を所有する白人男性のみの権利)を強調➝米国の独自性
➝マスク・ワクチン・ソーシャルディスタンスは個人の自由か集団を守る個人の責任か論争になる
➝言論の自由とQアノン、ヘイトグループ、過激思想、フェイクニュースとの論争も同じ
・海洋汚染プラスチックの50%は商業的漁業船舶由来
・高スキル移民の必要性(移民制限による停滞)
・16年間EUトップのフィンランドの学校システム
➝創造的な遊びと(友達を作り他人を尊重する)良好なソーシャルスキルを育てる
➝マシンとの差別化は創造性、EQ(情緒指数)、LQ(愛情指数)でソフトスキル
・ホームレス対策のコスト
➝路上放置した場合のコストは3万ドルで3Dプリント住宅なら1万ドル以下
・米国のパスポート所有者は42%で運転免許証でも76%➝残りは銀行口座を持てない
➝モバイルウォレット・スマートカード➝ケニア・インド・中国(顔認証)の成功例
・AIは膨大な富を生み出すが同時に同じ労働の価格はゼロに向かう
➝今後20年で労働者の半分が自動化に置き換えられる
➝安価で高品質な教育へのアクセスと再教育期間を含むベーシック・インカムが必要
・地球上の富は360兆ドルで一人あたり僅か5万ドル(2019)
・一帯一路のインフラ整備は70ヶ国に及び人口の60%と経済産出の40%を占める
➝2050年で8兆ドルの計画(バイデンのインフラ整備計画は2兆ドル)
➝対象国がデフォルトになれば全て中国のものになるが回収はせず貿易支配に使う
・STEM(サイエンス・テクノロジー・エンジニアリング・マセマティクス)の大学卒業生数
➝2030年には中国は300%増(週に1校増設している)、米国は30%増
・最も強いものでも最も賢いものでもなく最も適応したものが生き残る(フリードマン2019)
・2008年の世界金融危機と2020年のパンデミック
➝生産性と職業人生延長、医療手当、アルコール節制、労働環境との関係・・・
・平均余命が延びれば社会に貢献しなくなる人を抱える余裕はなくなる
➝長い間、社会に貢献しなければならない➝継続的な学習、訓練、開発が重要になる
➝長い間の貢献や経験による年齢インセンティブが存在するかも・・・
・21世紀後半にはプロアスリートとプロアドベンチャーツアラー以外に、肉体的労働で
対価を得る人は、ほとんどいなくなる
➝KIC(ノレッジ・イノベーション・クリエイティブ)経済
➝肉体能力、ジェンダー、民族、年齢などに関係なく、発想力、知性、スキルが重要に
➝長い間、人間をロボットのように働くよう訓練してきたが、ロボットの仕事はロボットが
するようになるから➝人間に投資する教育が重要に
・ミレニアム世代はモノの蓄積から意味のある経験の蓄積へ移行
➝新しいiPhoneやPSを欲しがるのは所有したいからではなく経験したいから
・基本的なテクノロジー(遠隔医療やリモート授業を含む)へのアクセスがあれば、
常に都市生活をしなくてもいい➝パンデミックが証明した➝一部ではなく全員に
・GKI(グローバル・ノレッジ・インデックス)国連2020➝トップはスイスだった
過半数がサービス(バンキングや保険)で高価値産業への注力と近隣強国への接続性のよさ、
集中度の高い小さな人口によるもの➝今後は中国とインドへ・・・
・グローバリゼーション
➝世界貿易額は世界GDPの半分まで成長した
➝それにより多くの人が中間層に到達したが、金融危機からパンデミックに
➝ナショナリズム、二国間合意、一帯一路、TPP、ファイブアイズも?➝勝者が総取りする
・経済にも環境にもAIにもグローバルガバナンス、グローバル法人税が必要不可欠だが、
➝常任理事国(戦勝国)の拒否権問題、低法人税国の反対など・・・
➝ブラジル・インド・日本・ドイツによる拒否権改革案が国連に残された希望
・(1920年までの世界経済のように)アジア経済が大きくなることは事実
・原因が人類の活動であることに疑問を持つ人にも海面上昇は事実
・AIと職の創出と再訓練プログラムはセット➝企業によるかAI課税によるか
・平等な活動の場を作り出すベーシック・インカムは必要
➝カウチポテト族を生むものでなかったことは証明済み
・サバティカル(長期有給休暇)
➝15年のフルタイム・フルペイごとに1年間は必要
・高齢者の健康性、可動性、認知力はヘルステクノロジーと遺伝子治療で改善する
➝77歳リタイアは早すぎる
・人工知能により労働は生きるために必要なものではなく熱中して行うものになる
云々・・・
ま、テクノソーシャリズムという考え方の是非や、その実現可能性などは別として、最新の
世界の現状と問題点について、出典根拠を示した数値やグラフで分かりやすく説明してあり、
最新テクノロジーどころかスマホの基本操作さえ怪しい高齢者には勉強になりました
さてさて、これからの人類はどちらへ向かうのか、破滅なのか共存なのか・・・
まあ、身のまわりでできることを、ちまちまと続けたいとは思ってますが・・・
2023年02月16日
EDCグッズの見直し2023/02
ええ、年末のバンコク・ツアーで、機内持ち込みできないものを外したりしてたので、
ひさしぶりにEDCグッズを点検しました・・・
基本のEDCバッグは今年もモンベル・ランバーパックMで変わらず・・・
なんですが、中のウレタン塗膜が剝がれてきており、すでに廃版になってるようなので、
次期選定機種をどうするか・・・
ランバーパック元祖マウンテンスミスのツアーかデイにするか、はたまたミステリーランチの
ヒップモンキー2あたりにするか・・・
でも、どちらも日本ではお高いし、自転車のフロントバッグ用に使えるか不安だし・・・
ゴールドウィンのツーリングバッグやウミネコのフィッシングバッグも魅力的だけど、
やはり自転車のフロントバッグ用に使えるかどーか・・・
と、次期バッグ選定が今後の検討課題・・・わくわく
閑話休題・・・
一番手前のポケットには・・・
使い切りポンチョ(何度も使ってますが)、レジ袋各種と大型ゴミ袋(防水用・呼吸用・水筒用)、
日医の救急シート(金銀)、チャムスのエコバッグ(追加荷物用)を常時入れてます
(救急シートはリュックやクルマや非常持ち出し袋には入れてたのですが、前回ひまぱさんから
ご指摘をいただき、基本EDCバッグにも追加しました)
右端のカラビナ付きボトルホルダー、両面ファスナー、バッグフック兼スマホホルダーは、
たまたま撮影時には入ってましたが、ま、これらは状況に応じて・・・
真ん中ポケットのペンホルダーにはNITECOREのTIKI(バックアップ用)とライト付きボールペン、
あとは・・・
右のカシオ・オーバーランドは手首にEDCすることが多いのですが・・・
モンベルのワレットとミニジップワレット(クルマのリモコンキーや免許証など)の中味は
ほぼ変わらず、これまでのガラホとの2台持ちから、ようやくスマホだけになってます
キーホルダーに付けてるケースには・・・
どこかで失くしてたホイッスルを補充、小型軽量化のため常用ライトもFENIXのL0Pから
NITECOREのTIKIに変えたので、バックアップ用と合わせてフル充電しておきました
ま、バックアップ用にはリチウム電池式のほうが安心なんでしょうが・・・
ちなみにケースもどこか(おそらくバンコク)で失くしたので印鑑ケースに変更してます
ビクトリノックス・クラシックとミニバールと(たこ焼き用)チタン爪楊枝は変わらず愛用中!!!
で、一番奥のメインポケットには・・・
上段が基本エマージェンシーキット(後述)を入れたポーチで、下段が左からwingさん製
「98k様ご愛用」ライト、ビクトリノックス・ソルジャー、コールマン・マルチプライヤー、
アンカー・モバイルバッテリーで、ま、これらも状況に応じて・・・
そう、最低限のEDCキットはバッグやワレット、キーホルダーなどでも持ち歩いてるので、
キャンプやポタリング、街歩きや旅行など、行先や期間で選択するのでありますね
で、基本エマージェンシーキットの中味であります
前回と殆ど変わってないので紹介は省略しますが、充電と薬品の期限確認・補充をしました
で、今回の新機軸・・・
右の白トビしてるのは年末にバンコクでもらったカード式のアルコール・スプレー、
中央が同じくドイツ土産でもらったZWILLINGのマルチツールであります
これまで爪切りがなかったので、それ以外はビクトリノックス・クラシックとダブりますが、
ミニナイフやハサミはサイズ違いの予備とゆーことで・・・
で、この紙箱に入るピンセット2種、ミニミニバール、IDカード入りホイッスルもこちらに・・・
って、今回の見直しも大部分が頂き物になりました・・・皆さん、ありがとね
状況に応じてカメラ類や食料飲料、フック類、コード類、自転車関係なども追加しますが、
基本のEDCグッズとしては概ねこんな感じですね
ちなみに日曜日はこんな基本グッズを追加・・・
そう、タイの安物ウィスキー(正確には色と香りをつけた米焼酎)で、かぱかぱ飲めました!!!
そろそろ「緊急時どこでも宴会セット」の点検補充もしなければ・・・ひっく
ひさしぶりにEDCグッズを点検しました・・・
基本のEDCバッグは今年もモンベル・ランバーパックMで変わらず・・・
なんですが、中のウレタン塗膜が剝がれてきており、すでに廃版になってるようなので、
次期選定機種をどうするか・・・
ランバーパック元祖マウンテンスミスのツアーかデイにするか、はたまたミステリーランチの
ヒップモンキー2あたりにするか・・・
でも、どちらも日本ではお高いし、自転車のフロントバッグ用に使えるか不安だし・・・
ゴールドウィンのツーリングバッグやウミネコのフィッシングバッグも魅力的だけど、
やはり自転車のフロントバッグ用に使えるかどーか・・・
と、次期バッグ選定が今後の検討課題・・・わくわく
閑話休題・・・
一番手前のポケットには・・・
使い切りポンチョ(何度も使ってますが)、レジ袋各種と大型ゴミ袋(防水用・呼吸用・水筒用)、
日医の救急シート(金銀)、チャムスのエコバッグ(追加荷物用)を常時入れてます
(救急シートはリュックやクルマや非常持ち出し袋には入れてたのですが、前回ひまぱさんから
ご指摘をいただき、基本EDCバッグにも追加しました)
右端のカラビナ付きボトルホルダー、両面ファスナー、バッグフック兼スマホホルダーは、
たまたま撮影時には入ってましたが、ま、これらは状況に応じて・・・
真ん中ポケットのペンホルダーにはNITECOREのTIKI(バックアップ用)とライト付きボールペン、
あとは・・・
右のカシオ・オーバーランドは手首にEDCすることが多いのですが・・・
モンベルのワレットとミニジップワレット(クルマのリモコンキーや免許証など)の中味は
ほぼ変わらず、これまでのガラホとの2台持ちから、ようやくスマホだけになってます
キーホルダーに付けてるケースには・・・
どこかで失くしてたホイッスルを補充、小型軽量化のため常用ライトもFENIXのL0Pから
NITECOREのTIKIに変えたので、バックアップ用と合わせてフル充電しておきました
ま、バックアップ用にはリチウム電池式のほうが安心なんでしょうが・・・
ちなみにケースもどこか(おそらくバンコク)で失くしたので印鑑ケースに変更してます
ビクトリノックス・クラシックとミニバールと(たこ焼き用)チタン爪楊枝は変わらず愛用中!!!
で、一番奥のメインポケットには・・・
上段が基本エマージェンシーキット(後述)を入れたポーチで、下段が左からwingさん製
「98k様ご愛用」ライト、ビクトリノックス・ソルジャー、コールマン・マルチプライヤー、
アンカー・モバイルバッテリーで、ま、これらも状況に応じて・・・
そう、最低限のEDCキットはバッグやワレット、キーホルダーなどでも持ち歩いてるので、
キャンプやポタリング、街歩きや旅行など、行先や期間で選択するのでありますね
で、基本エマージェンシーキットの中味であります
前回と殆ど変わってないので紹介は省略しますが、充電と薬品の期限確認・補充をしました
で、今回の新機軸・・・
右の白トビしてるのは年末にバンコクでもらったカード式のアルコール・スプレー、
中央が同じくドイツ土産でもらったZWILLINGのマルチツールであります
これまで爪切りがなかったので、それ以外はビクトリノックス・クラシックとダブりますが、
ミニナイフやハサミはサイズ違いの予備とゆーことで・・・
で、この紙箱に入るピンセット2種、ミニミニバール、IDカード入りホイッスルもこちらに・・・
って、今回の見直しも大部分が頂き物になりました・・・皆さん、ありがとね
状況に応じてカメラ類や食料飲料、フック類、コード類、自転車関係なども追加しますが、
基本のEDCグッズとしては概ねこんな感じですね
ちなみに日曜日はこんな基本グッズを追加・・・
そう、タイの安物ウィスキー(正確には色と香りをつけた米焼酎)で、かぱかぱ飲めました!!!
そろそろ「緊急時どこでも宴会セット」の点検補充もしなければ・・・ひっく
2023年02月13日
小隊
とーとつですが・・・
砂川文次著「小隊」とゆー小説のご紹介であります
著者紹介・発行所・発行年月日などは奥付のとおり
文学界2020年9月号に初出、2020年の第164回芥川賞候補になった小説であります
(ちなみに著者は2022年に「ブラックボックス」で第166回芥川賞を受賞されてます)
作品の主人公は一般大学から陸上自衛隊の幹部候補生学校を経て(U幹と呼ばれるそうです)、
幹部初級課程を修了したばかりの、普通科3個分隊を率いる小隊長(3等陸尉)・・・
お話は、1ヶ月前に突如ロシア軍2個旅団がミサイル・航空攻撃後に北海道・標津に上陸、
その後は膠着状態が続いている、まさに表紙カバーにあるような釧路近郊の原野が舞台で、
避難指示に従わない(従えない)近郊住民を、部下と訪問する場面からはじまります・・・
小説なので詳しくは紹介できませんが、主人公には理由がわからないまま(前線への情報は
中隊本部からだけで私物のスマホは駐屯地に置いたまま、たまに聴けるカーラジオは政府の
公式発表ばかり)、10日以上も不思議な膠着状態が続いている侵攻ライン上で、規範どおり
丁寧に防御陣地を構築しつつ、丁寧に住民対応しつつ、といった状況にも慣れてきて・・・
一方では、ともかく風呂に入って乾いた衣服に着替えたい、恋人とスマホで連絡を取りたい、
温かい食事が食べたい、塹壕内ではなく駐屯地宿舎のベッドで眠りたい、といった欲求も、
そろそろ限界に近づいてきている・・・
そんな現代の平均的な若者が小隊長として(もちろんはじめて)経験する、凄まじい地上戦と、
それによって変化していく心理の描写が、じつにリアルに伝わってきました
特に「侵攻する側もされる側も、結局は習った規範どおりに動く」というのには納得しました
おそらくこれは現場指揮官としての実感、最前線で唯一信頼できるモノなんでしょうね・・・
発表後にロシア軍のウクライナ侵攻が実際にあり、けっこう話題になった小説だそうですが、
同様にロシア軍の侵攻を事前に正確に描いてたマーク・グリーニーのアクション小説とは、
全く異なるニッチな世界で、芥川賞候補になったのもなるほどと頷ける内容でした
ま、わたくしはどちらの世界にも惹き込まれるタイプなんですが・・・
砂川文次著「小隊」とゆー小説のご紹介であります
著者紹介・発行所・発行年月日などは奥付のとおり
文学界2020年9月号に初出、2020年の第164回芥川賞候補になった小説であります
(ちなみに著者は2022年に「ブラックボックス」で第166回芥川賞を受賞されてます)
作品の主人公は一般大学から陸上自衛隊の幹部候補生学校を経て(U幹と呼ばれるそうです)、
幹部初級課程を修了したばかりの、普通科3個分隊を率いる小隊長(3等陸尉)・・・
お話は、1ヶ月前に突如ロシア軍2個旅団がミサイル・航空攻撃後に北海道・標津に上陸、
その後は膠着状態が続いている、まさに表紙カバーにあるような釧路近郊の原野が舞台で、
避難指示に従わない(従えない)近郊住民を、部下と訪問する場面からはじまります・・・
小説なので詳しくは紹介できませんが、主人公には理由がわからないまま(前線への情報は
中隊本部からだけで私物のスマホは駐屯地に置いたまま、たまに聴けるカーラジオは政府の
公式発表ばかり)、10日以上も不思議な膠着状態が続いている侵攻ライン上で、規範どおり
丁寧に防御陣地を構築しつつ、丁寧に住民対応しつつ、といった状況にも慣れてきて・・・
一方では、ともかく風呂に入って乾いた衣服に着替えたい、恋人とスマホで連絡を取りたい、
温かい食事が食べたい、塹壕内ではなく駐屯地宿舎のベッドで眠りたい、といった欲求も、
そろそろ限界に近づいてきている・・・
そんな現代の平均的な若者が小隊長として(もちろんはじめて)経験する、凄まじい地上戦と、
それによって変化していく心理の描写が、じつにリアルに伝わってきました
特に「侵攻する側もされる側も、結局は習った規範どおりに動く」というのには納得しました
おそらくこれは現場指揮官としての実感、最前線で唯一信頼できるモノなんでしょうね・・・
発表後にロシア軍のウクライナ侵攻が実際にあり、けっこう話題になった小説だそうですが、
同様にロシア軍の侵攻を事前に正確に描いてたマーク・グリーニーのアクション小説とは、
全く異なるニッチな世界で、芥川賞候補になったのもなるほどと頷ける内容でした
ま、わたくしはどちらの世界にも惹き込まれるタイプなんですが・・・
2023年02月09日
新ミューSP9で堺浜ポタ
日曜日、はじめてのダホン・ミューSP9で、ひさしぶりの堺浜ポタリングへ・・・
まずは、wingさんに譲っていただいてからの変更点を堺トレセン前から中継
まずトップチューブに付いてたハードタイプの可変ボトルホルダーを外し、ハンドルポストに
ソフトタイプのボトルホルダーを装着しました
(わたくし頻繁に水分補給するので、水平より垂直のほうが使いやすいかと・・・)
で、リクセンカウルのサドルバッグとアタッチメントは、今後ダホンのスリップバッグも
装着予定のため、とりあえず外しました
あとは、
サイコン本体を表示画面のデカいのに交換、フロントバッグとしてモンベル・ランバーパックMを
フロントバッグ用フレームに吊るし、ベルクロでハンドルに固定しました
ちなみに自宅から堺トレセンまで6.15kmになってますね・・・
と、トレセンから周回コースに行こうとしたら・・・
ウッドデッキが老朽化で使用禁止になってました
そーいや、ずいぶん長い間、来てなかったからなあ・・・
わたくしも(運動不足で)老朽化してるから使用禁止が近いかも・・・
で、下の舗装路から周回コースの突端に到着、ここまでで自宅から約10kmであります
それにしても、このモンベルのフロントバッグ用のマウントとフレーム・・・
ランバーパックMにぴったりで、自転車本体を折りたたむ時にはワンタッチでフレームを
外せるので輪行にも使えそう、じつに便利なオプション・パーツです
この日はよく晴れて対岸に神戸の街並みが見えたので、あらためて・・・
セットで譲ってくれたwingさんに感謝の気持ちを・・・
ええ、あくまで気持ちだけでしゅが・・・
で、とりあえず周回コースを軽く漕ぎましたが、ホイール径が406mmから451mmになり、
タイヤ幅も35mmから28mmになって、さらに回転部の各パーツが軽量化したからでしょうか、
25~30km/h程度なら、ふつーに巡航できそうでした
(以前のシルヴァF8Fでは20~25km/hぐらいだったかと)
ただし、この冬の食べ過ぎ飲み過ぎで以前よりはるかに体力が落ちてたので、すぐに減速、
もちろん往復路はのんびりだったので、この日の平均速度は17km/h程度でしたが・・・
と、帰り道の大和川では・・・
カモさんの親子?とかも見れたし・・・
で、帰宅後にアルファのカメラバッグも同フレームに試してみたら・・・
こちらもぴったりでした!!!
そう、これにカメラやレンズや必需品を入れて、腰にランバーパックMを装着すれば、
腰のランバーパックMには、おやつがたっぷりと・・・じゅるじゅる
まずは、wingさんに譲っていただいてからの変更点を堺トレセン前から中継
まずトップチューブに付いてたハードタイプの可変ボトルホルダーを外し、ハンドルポストに
ソフトタイプのボトルホルダーを装着しました
(わたくし頻繁に水分補給するので、水平より垂直のほうが使いやすいかと・・・)
で、リクセンカウルのサドルバッグとアタッチメントは、今後ダホンのスリップバッグも
装着予定のため、とりあえず外しました
あとは、
サイコン本体を表示画面のデカいのに交換、フロントバッグとしてモンベル・ランバーパックMを
フロントバッグ用フレームに吊るし、ベルクロでハンドルに固定しました
ちなみに自宅から堺トレセンまで6.15kmになってますね・・・
と、トレセンから周回コースに行こうとしたら・・・
ウッドデッキが老朽化で使用禁止になってました
そーいや、ずいぶん長い間、来てなかったからなあ・・・
わたくしも(運動不足で)老朽化してるから使用禁止が近いかも・・・
で、下の舗装路から周回コースの突端に到着、ここまでで自宅から約10kmであります
それにしても、このモンベルのフロントバッグ用のマウントとフレーム・・・
ランバーパックMにぴったりで、自転車本体を折りたたむ時にはワンタッチでフレームを
外せるので輪行にも使えそう、じつに便利なオプション・パーツです
この日はよく晴れて対岸に神戸の街並みが見えたので、あらためて・・・
セットで譲ってくれたwingさんに感謝の気持ちを・・・
ええ、あくまで気持ちだけでしゅが・・・
で、とりあえず周回コースを軽く漕ぎましたが、ホイール径が406mmから451mmになり、
タイヤ幅も35mmから28mmになって、さらに回転部の各パーツが軽量化したからでしょうか、
25~30km/h程度なら、ふつーに巡航できそうでした
(以前のシルヴァF8Fでは20~25km/hぐらいだったかと)
ただし、この冬の食べ過ぎ飲み過ぎで以前よりはるかに体力が落ちてたので、すぐに減速、
もちろん往復路はのんびりだったので、この日の平均速度は17km/h程度でしたが・・・
と、帰り道の大和川では・・・
カモさんの親子?とかも見れたし・・・
で、帰宅後にアルファのカメラバッグも同フレームに試してみたら・・・
こちらもぴったりでした!!!
そう、これにカメラやレンズや必需品を入れて、腰にランバーパックMを装着すれば、
腰のランバーパックMには、おやつがたっぷりと・・・じゅるじゅる
2023年02月06日
直立二足歩行の人類史
とーとつですが・・・
直立二足歩行の人類史~人間を生き残らせた出来の悪い足~
とゆー本のご紹介であります
表紙カバー裏にあった惹句
そう、ヒトはオランウータン、ゴリラ、チンパンジー・ボノボと枝分かれして地上に下り、
ゴリラやチンパンジーのナックルウォークから徐々に直立二足歩行へ進化したサル・・・
といった、これまで教科書などでおなじみの絵とは全く異なる事実が、最新の化石発見と
研究で明らかになってきた、しかも二足歩行はこれらの共通祖先が樹上生活をしていた頃から
存在しており、さらに化石人類の系統樹は複数の枝がつながり、こんがらがっている・・・
と、気鋭の「足首専門家」が初めて書かれた本で、古い人類には衝撃的な内容でした
著者・訳者・発行所・発行年月日などは奥付のとおり
裏表紙カバー裏にあった著者・訳者紹介
例によって目次のみのご紹介
最新の化石発見現場の様子なども「インディジョーンズばりに」活き活きと描かれてて、
はじめての著書で感動ぶりも新鮮、情景描写も見事でエッセイとしても面白かったです
以下、てきとーな読後メモ・・・
第1章より
・平均的な健常者は一生で1億5千万歩、距離にして地球3周分を歩く
・人類の二足歩行は制御された転倒である
➝アメリカでは年間35000人以上が転倒で死亡しており交通事故の死者数と同じ
➝リスやイヌやネコがつまづいて転ぶのを見たことはない
➝足が遅く転びやすいという特徴は種の絶滅原因になるはずなのに・・・
・映画「2001年宇宙への旅」の冒頭シーンは間違い
➝アウストラロピテクスはハンターではなく肉食獣の獲物だった
・収束進化では人類の二足歩行は説明できない
第2章より
・鳥類、恐竜は人類の40倍の時間をかけて進化した二足歩行(二足歩行ワニは絶滅した)
➝前肢の使い方はバラエティに富んでいた
・オーストラリアはエミュー、カンガルーなど二足歩行のあふれる世界
・ただし人類が立ち上がった理由は大きさでもスピードでもなかった
第3章より
・直立姿勢の理由は防衛?採食?水生?
(いろんな仮説紹介があってロッキー仮説や露出狂仮説など、めっちゃ面白かったです)
・ヒトはチンパンジーとは近縁だが、そこから進化したのではなく彼らはヒトの祖先でもない
➝彼らとは共通祖先から600万年前に枝分かれした(ひい×24万回おばあちゃんの時代)
・ホミニン(化石人類)の二足歩行は森林からサバンナへ移行しつつあった環境下で発達
➝直射日光の暑さを避けるために二足歩行に?
➝二足歩行は草原進出以前の可能性が高く、当初はエネルギー効率も悪かった
➝運ぶため?(給餌仮説)など諸説あるが、ともかく化石から検証しないと・・・
第4章より
・318万年前のルーシーは二足歩行だった
第5章より
・アルディピテクス・ラミダスは440万年前で森林で二足歩行していた
・ナックルウォークは共通祖先からではなくゴリラやチンパンジーが独自進化させたもの
・現生類人猿がその共通祖先から枝分かれしたのは2000万年前
・1500万年前からアフリカの森林が減少し類人猿は北上した
➝高緯度の森は季節の影響が大きい➝冬は食糧が少ない
➝ヒト・ゴリラ・チンパンジー・ボノボ・オランウータンの一部が尿酸分解酵素ウリカーゼ
を体内で作れなくなった(遺伝子の突然変異)➝尿酸は果糖を脂肪に変えるのを助ける
➝多くを脂肪として蓄積できる個体が生き延びて進化的変化になった➝痛風も・・・
➝オランウータンは食糧が乏しくなると樹皮や未熟な果実まで食べる
・ヒト・チンパンジー・ボノボ・ゴリラ・アイアイ以外の類人猿、オランウータンなどには
エチルアルコール分解酵素を作る遺伝子は全くない
➝食糧が乏しい時期に地面に落ち発酵した果実を食べられる個体の子孫が多く生き延びた
(著者の大好きな銘柄のビール1缶にはハンバーガー1個と同じカロリーがある!!!)
・1100万年前のダヌビウス・グッケンモシは樹上を歩いていた➝二足歩行は樹上から
➝ヨーロッパからアフリカに後退する森林を追ってきた、樹上生活に適応した類人猿
第6章より
・チンパンジーは夜間に一頭で出産し赤ん坊はすぐに母親の毛皮にしがみつく
➝毛のない人類の出産・子育ては共同作業でしかできない
➝共同作業こそがアウストラロピテクスが二足歩行で直面した問題の解決方法だった
・逃げ足が遅く木登りも得意でないアウストラロピテクス
➝肉食獣が活発になる涼しい時間帯(夕暮れ~夜明け前)には地上には下りない
➝肉食獣が満腹し木陰で昼寝する間に地上で見つけたあらゆるものを食べる➝雑食
(その間は子育てを仲間に任せるか、誰かに採ってきてもらうしかない)
➝襲われて逃げる選択肢がなければヒヒやチンパンジーと同様に共同して立ち向かう
・二足歩行を始めた頃のホミニンの脳容量はチンパンジー程度
➝脳は維持費がかさむ➝二足歩行でのエネルギー余剰➝大きな脳を持った個体が有利に
➝二足歩行と発汗で遠くまで食べ物を探しに行けるようになったから説もある
・なぜ人間の脳が時間をかけて成長するようになったか
➝捕食圧が高ければ早熟な個体のほうが有利なはず
➝アウストラロピテクスは捕食を逃れる社会的な手段を発達させたから
第7章より
・セディバ・アウストラロピテクスは二足歩行で草原ではなく樹上で採食していた
・様々な種のアウストラロピテクスが発見され違った歩き方をしていたことも判明
・どの種が200万年前にホモ属に進化したのかはまだ謎(化石の見つかっていない種かも)
第8章より
・1983年にジョージアで180万年前のホモ・エレクトスの化石が発見された
・2018年には中国中部で210万年前の石器が発見された(ホモ・エレクトスより古い種?)
➝ホミニンは数百万年もアフリカ東部と南部で暮らしていたが、10年に1マイルとしても
僅か10万年で中国まで到達できる➝なぜ移動できるようになったか?
・ホモ・エレクトスは大型化したアウストラロピテクスではなく足が長くアーチがあった
➝アウストラロピテクスも初期のホモ属も肉食はしていたがハンターではなかった
➝ホモ・エレクトスは組織的な狩りをして植物食も続け、雑食で行動範囲を広げた
➝南アフリカから西はスペイン、東はインドネシアまで(ジャワから先はウォレス線)
・脳が大きくなった理由➝不経済組織仮説
➝ヒトは脳が大きく腸が短い
➝腸は脳と同じく維持に多くのエネルギーを必要とする不経済な臓器
➝草食動物は腸が長く肉食動物の腸は短い
➝肉食が増えるにつれ短い腸と大きな脳を有する個体の子孫が繫栄していった
・さらに火の使用による効率的な消化で脳の巨大化に必要なエネルギーを獲得
・火の使用は寒冷地への進出・肉食獣からの防御も可能にした
・歩行能力の発達で言語も発達した
➝四足歩行では消化器官が横隔膜にぶつかるので浅く早い呼吸は不可能➝喘げない
➝二足歩行では可能でヒトは発汗で走りながらでもクールダウンできる
➝足は遅いが長距離を歩き続けることができる
➝四足歩行は重いものを抱えたのと同じ状態➝一歩ごとに息を継ぐので発声は不可能
➝二足歩行では呼吸を細かく制御できる➝音声を組み合わせた言語へ
➝50万年前のホミニンの化石から現生人類と似た内耳と舌骨が確認されている➝言語も?
➝少なくとも100万年前には言語能力に影響を与える遺伝子が現在の形になっている
➝ホモ・エレクトスの言語能力も呼吸の微調整を可能にした直立二足歩行から・・・
・気候変動による拡大と孤立、遺伝的隔離、絶滅➝ホモ・サピエンスの時代へ・・・
➝これがこれまでの通説だった
➝ところが最新の化石発見と研究により、多様な人類が最近まで一緒にいたことが判明、
人類進化とホミニン大移動の物語はトールキンの指輪物語と同じように面白くなっている
第9章より
・ホモ・サピエンスの最古の化石はアフリカ三角形の頂点三ヶ所から見つかっている
➝ホミニン集団がアフリカ全土を移動しながら交配で遺伝子を交換しつつ進化したもの
➝この汎アフリカ的進化は35~25万年前に起きた(ゲノム解析から)
・2019年ギリシャの洞窟で17万年前のネアンデルタール頭骨と21万年前のホモ・サピエンス
頭骨が発見され、前年にはイスラエルで19万年前のホモ・サピエンス上顎骨が発見されている
➝従来仮説と異なりホモ・サピエンスの中東・ユーラシアへの進出・撤退が繰り返されていた
➝7万年前までにダムは決壊しヨーロッパとアジアに流れ込んだ
➝ネアンデルタール人やデニソワ人とも交配していたことはDNAから判明している
・寒冷不毛の地を踏破するための重要な技術革新が靴
➝足指が細くなった(靴を履いていた)最古の骨格化石は北京の洞窟からで4万年前
➝7万年前から1万年前までにホモ・サピエンスは世界中を歩いて世界中に広がった
・2003年にインドネシア東部フローレス島の洞窟でホモ・フローレシエンシスの化石発見
➝ホモ・フローレシエンシスの脳はホモ・エレクトスより小さくアウストラロピテクスサイズ
➝身体的特徴もアウストラロピテクスで、しかも5万年前まで生きていた
➝アフリカを出た最初のホミニンはホモ属ではなくアウストラロピテクス属?
・2019年にはフィリピン・ルソン島の洞窟でホモ・ルゾネンシスの化石発見
➝どんなホミニンとも異なり、やはり5万年前まで生きていた
・どちらも100万年前から住んでいたことが石器から確認されている
・ホモ・サピエンスがアフリカで進化していた頃、ヨーロッパではネアンデルタール人、
アジアではデニソワ人、東南アジアの島々では少なくとも二種の小柄なホミニン・・・
➝まさにトールキンのホビットなどが暮らす「中つ国」の世界だった
・2015年に発表したホモ・ナレディはホモ・ハビリスと同様にアウストラロピテクスと
ホモ・エレクトスの中間的な特徴を持つが、やはり26万年前まで生きていた
第10章より
・胎児や赤ん坊が交互に足を出す歩行反射は哺乳類全体と共有している古い特徴
・ヒトの歩きはじめは生後8ヶ月から16ヶ月が多い➝他の霊長類より遅い
➝赤ん坊は移動すること自体を楽しんでいる
➝平均的な幼児は1時間に2368歩、一日に14000歩も歩き、1時間に17回も転ぶ
➝寄り添い受け止める人がいなければ二足歩行を学ぶことは大変で危険な行為
➝5~7歳で大人と同じように歩けるようになり、その過程で骨格が変化していく
第11章より
・15000年前の出産を描いた線刻画がドイツで発見された
➝類人猿の出産は短いがヒトは長い➝二足歩行のせい
・骨盤が大きすぎると二足歩行に支障が出る
➝だから早期に小さく未熟な状態で生まれるようになった説
➝ところがヒトの妊娠期間は大きさが同程度の霊長類より1ヶ月長い
➝なぜヒトだけが難産なのかは諸説あるが進化のせいでイブの罪のせいではない
・トップアスリートの世界記録では100m走からマラソンまで男女で10%ほど差があるが、
特にウルトラマラソンなど耐久レースでは男女の差は縮まっている・・・
第12章より
・歩き方だけで身内や友人を見分けられる脳領域がある
➝性格や気分まで分かるのも直感ではない
➝歩き方で個体識別することは進化では有益だった
・集団では無意識に歩調を合わせて歩く
➝366万年前のラエトリ足跡化石と同じ➝一人歩きはごく最近
➝ホモ・サピエンスの歴史の97%、二足歩行ホミニンの歴史の99%は狩猟採集➝集団移動
第13章より
・食べるために歩かねばならなかったのが人類史
➝骨密度の低下は最近の1万年間で突然起こったもの➝運動量が減った?
・運動不足による死亡リスクは肥満の2倍
➝鍛えたデブのほうが動かないヤセよりまし(動かないデブはどうなるのか!!!)
➝がん、動脈疾患、自己免疫疾患、血糖値、不眠、高血圧、ストレス、脳卒中にも歩行が有効
・一日1万歩の目標は1964年の東京オリンピック翌年に日本で万歩計が売り出されてから
➝高齢者は7500歩までは歩数が多いほど健康で長生きするが、それ以上では差がなかった
・アメリカのカウチポテト族と14倍も活動的なタンザニアのハッザ族の総エネルギー消費量は同じ
➝許容エネルギー消費量は世界中で同じだが、どう使うかは文化や人により異なる
➝アメリカ人は余ったエネルギーを炎症反応の強化に使っている
第14章より
・散歩好きな著名人は多いが歴史的に散歩は白人男性の特権だった
➝歩行は思考にとって必須ではないが思考を促進するのはたしか
➝創造性スコアは高くなり脳領域に顕著な改善が見られる
➝記憶力も認知能力も若返りも・・・なぜか
・収縮する筋肉からのみ放出されるマイオカインが脳のスーパー栄養剤だから
➝歩かないのは鬱で無気力になっているから
➝ではなく、鬱で無気力になっているのは歩かないから
・交通量の多い道路脇を歩いたグループと森の中を歩いたグループでの血流量などの差
➝創造性スコアの高さ➝歩かない<ウオーキングマシンで歩く<戸外を歩く、の順だった
・レイ・ブラッドベリの短編「歩行者」(1951年)より・・・略
第15章より
・ダ・ビンチの男性像を円と正方形で囲んだ有名なスケッチ
➝理想的な人体プロポーションだが2011年に学者が鼠径ヘルニアの膨らみに気づいた
➝鼠径ヘルニアは男性の1/4以上が経験する
➝重力で腸が下垂し鼠径管から腹腔外へ飛び出すもので二足歩行の直接的な結果
・人類の二足歩行にはデメリットも多い
➝600万年かけて部分改良された類人猿だから
➝進化は生き残って子孫を残し種を存続させるに足る形態をもたらすだけだから
➝過去の形態の寄せ集めで自然選択で修正されてきたので痕跡が残っている
・物理学に基づいた二足歩行ロボットは人類ではなくダチョウの骨格と同じになった
・3000万年前のエジプトピテクスから1000万年ほどの間にサルと類人猿が分かれたが、
類人猿にも尾の筋肉は残っており重力で下垂する内臓を支えるのに使われてきた
➝直立二足歩行する人類には不十分で、内臓が女性の膣内に飛び出すことがある
・下肢静脈瘤も偏頭痛も背骨の圧迫骨折も椎間板ヘルニアも靱帯損傷も二足歩行によるもの
・2012年ロンドンオリンピック400m走で使われた義足は1枚のブレードでできている
➝ヒトの足は複雑だがダチョウやエミューの足はこれに近くヒトの倍速で走れる
➝恐竜や鳥類の二足歩行の歴史は我々初心者より40倍長く骨格を微調整してきた結果
・足首の可動性は樹上生活には有利だったが地上の二足歩行では大きな犠牲を払っている
➝進化は修正で応急処置的であり、痛みや怪我のリスクは残ったまま
➝靴も同じくメリットだけではないが、靴発明以前のホミニン化石にも足の病変は見られる
➝直立二足歩行の負の結果であり、この特徴が二足歩行を始めた謎を解き明かすかも・・・
結論より
・道具の使用、共同育児、交易ネットワーク、言語・・・すべては二足歩行から
➝ただし四足歩行よりはるかに遅く、肉食獣の獲物になり、転倒事故は増え、難産になり、
幼児の一人歩きは危険で、年を取ればその負担が痛みになる
➝多くのデメリットがあり、世界でも稀な二足歩行動物が、絶滅せず繁栄できたのはなぜか・・・
・190万年前の化石ホミニンの例
➝10代後半のメスで子供の頃に足首を骨折していた痕跡がある
➝仲間に助けられながら成人するまで生き延びたとしか考えられない
➝怪我や病気になり生き延びたホミニンの化石の例は他にも数多くある
➝ホモ・エレクトスにもアウストラロピテクスにも・・・
➝他種のホミニンと食物を奪い合いながら仲間に共感を寄せる善と悪のパラドックス
・哺乳類の行動は敵意と調和のダンス
➝人間の利他的行為は同族と見なした相手に限定されることが多い
➝助産婦は少なくとも320万年前のアウストラロピテクスの時代には存在した
➝ボノボとヒトは出産の介助を他のメスがする(チンパンジーは単独)
・類人猿の思いやりの例、ゾウ・イルカ・イヌなどの共感力・・・
・利他的な行動の能力は危険な世界で生きる二足歩行動物の脆弱さから
➝共感力と協力と寛容さは二足歩行という移動形態と合わせて進化してきた
➝社会的でない攻撃的なサルの系統なら二足歩行は絶滅への道となっただろう
・二足歩行する特別なサルが繁栄してきたのはおもに、その共感し、許容し、協力する
能力のおかげなのだ・・・
いやあ、じつに面白かったです
少しでも興味を持たれた方には本書のご熟読をオススメします
直立二足歩行の人類史~人間を生き残らせた出来の悪い足~
とゆー本のご紹介であります
表紙カバー裏にあった惹句
そう、ヒトはオランウータン、ゴリラ、チンパンジー・ボノボと枝分かれして地上に下り、
ゴリラやチンパンジーのナックルウォークから徐々に直立二足歩行へ進化したサル・・・
といった、これまで教科書などでおなじみの絵とは全く異なる事実が、最新の化石発見と
研究で明らかになってきた、しかも二足歩行はこれらの共通祖先が樹上生活をしていた頃から
存在しており、さらに化石人類の系統樹は複数の枝がつながり、こんがらがっている・・・
と、気鋭の「足首専門家」が初めて書かれた本で、古い人類には衝撃的な内容でした
著者・訳者・発行所・発行年月日などは奥付のとおり
裏表紙カバー裏にあった著者・訳者紹介
例によって目次のみのご紹介
最新の化石発見現場の様子なども「インディジョーンズばりに」活き活きと描かれてて、
はじめての著書で感動ぶりも新鮮、情景描写も見事でエッセイとしても面白かったです
以下、てきとーな読後メモ・・・
第1章より
・平均的な健常者は一生で1億5千万歩、距離にして地球3周分を歩く
・人類の二足歩行は制御された転倒である
➝アメリカでは年間35000人以上が転倒で死亡しており交通事故の死者数と同じ
➝リスやイヌやネコがつまづいて転ぶのを見たことはない
➝足が遅く転びやすいという特徴は種の絶滅原因になるはずなのに・・・
・映画「2001年宇宙への旅」の冒頭シーンは間違い
➝アウストラロピテクスはハンターではなく肉食獣の獲物だった
・収束進化では人類の二足歩行は説明できない
第2章より
・鳥類、恐竜は人類の40倍の時間をかけて進化した二足歩行(二足歩行ワニは絶滅した)
➝前肢の使い方はバラエティに富んでいた
・オーストラリアはエミュー、カンガルーなど二足歩行のあふれる世界
・ただし人類が立ち上がった理由は大きさでもスピードでもなかった
第3章より
・直立姿勢の理由は防衛?採食?水生?
(いろんな仮説紹介があってロッキー仮説や露出狂仮説など、めっちゃ面白かったです)
・ヒトはチンパンジーとは近縁だが、そこから進化したのではなく彼らはヒトの祖先でもない
➝彼らとは共通祖先から600万年前に枝分かれした(ひい×24万回おばあちゃんの時代)
・ホミニン(化石人類)の二足歩行は森林からサバンナへ移行しつつあった環境下で発達
➝直射日光の暑さを避けるために二足歩行に?
➝二足歩行は草原進出以前の可能性が高く、当初はエネルギー効率も悪かった
➝運ぶため?(給餌仮説)など諸説あるが、ともかく化石から検証しないと・・・
第4章より
・318万年前のルーシーは二足歩行だった
第5章より
・アルディピテクス・ラミダスは440万年前で森林で二足歩行していた
・ナックルウォークは共通祖先からではなくゴリラやチンパンジーが独自進化させたもの
・現生類人猿がその共通祖先から枝分かれしたのは2000万年前
・1500万年前からアフリカの森林が減少し類人猿は北上した
➝高緯度の森は季節の影響が大きい➝冬は食糧が少ない
➝ヒト・ゴリラ・チンパンジー・ボノボ・オランウータンの一部が尿酸分解酵素ウリカーゼ
を体内で作れなくなった(遺伝子の突然変異)➝尿酸は果糖を脂肪に変えるのを助ける
➝多くを脂肪として蓄積できる個体が生き延びて進化的変化になった➝痛風も・・・
➝オランウータンは食糧が乏しくなると樹皮や未熟な果実まで食べる
・ヒト・チンパンジー・ボノボ・ゴリラ・アイアイ以外の類人猿、オランウータンなどには
エチルアルコール分解酵素を作る遺伝子は全くない
➝食糧が乏しい時期に地面に落ち発酵した果実を食べられる個体の子孫が多く生き延びた
(著者の大好きな銘柄のビール1缶にはハンバーガー1個と同じカロリーがある!!!)
・1100万年前のダヌビウス・グッケンモシは樹上を歩いていた➝二足歩行は樹上から
➝ヨーロッパからアフリカに後退する森林を追ってきた、樹上生活に適応した類人猿
第6章より
・チンパンジーは夜間に一頭で出産し赤ん坊はすぐに母親の毛皮にしがみつく
➝毛のない人類の出産・子育ては共同作業でしかできない
➝共同作業こそがアウストラロピテクスが二足歩行で直面した問題の解決方法だった
・逃げ足が遅く木登りも得意でないアウストラロピテクス
➝肉食獣が活発になる涼しい時間帯(夕暮れ~夜明け前)には地上には下りない
➝肉食獣が満腹し木陰で昼寝する間に地上で見つけたあらゆるものを食べる➝雑食
(その間は子育てを仲間に任せるか、誰かに採ってきてもらうしかない)
➝襲われて逃げる選択肢がなければヒヒやチンパンジーと同様に共同して立ち向かう
・二足歩行を始めた頃のホミニンの脳容量はチンパンジー程度
➝脳は維持費がかさむ➝二足歩行でのエネルギー余剰➝大きな脳を持った個体が有利に
➝二足歩行と発汗で遠くまで食べ物を探しに行けるようになったから説もある
・なぜ人間の脳が時間をかけて成長するようになったか
➝捕食圧が高ければ早熟な個体のほうが有利なはず
➝アウストラロピテクスは捕食を逃れる社会的な手段を発達させたから
第7章より
・セディバ・アウストラロピテクスは二足歩行で草原ではなく樹上で採食していた
・様々な種のアウストラロピテクスが発見され違った歩き方をしていたことも判明
・どの種が200万年前にホモ属に進化したのかはまだ謎(化石の見つかっていない種かも)
第8章より
・1983年にジョージアで180万年前のホモ・エレクトスの化石が発見された
・2018年には中国中部で210万年前の石器が発見された(ホモ・エレクトスより古い種?)
➝ホミニンは数百万年もアフリカ東部と南部で暮らしていたが、10年に1マイルとしても
僅か10万年で中国まで到達できる➝なぜ移動できるようになったか?
・ホモ・エレクトスは大型化したアウストラロピテクスではなく足が長くアーチがあった
➝アウストラロピテクスも初期のホモ属も肉食はしていたがハンターではなかった
➝ホモ・エレクトスは組織的な狩りをして植物食も続け、雑食で行動範囲を広げた
➝南アフリカから西はスペイン、東はインドネシアまで(ジャワから先はウォレス線)
・脳が大きくなった理由➝不経済組織仮説
➝ヒトは脳が大きく腸が短い
➝腸は脳と同じく維持に多くのエネルギーを必要とする不経済な臓器
➝草食動物は腸が長く肉食動物の腸は短い
➝肉食が増えるにつれ短い腸と大きな脳を有する個体の子孫が繫栄していった
・さらに火の使用による効率的な消化で脳の巨大化に必要なエネルギーを獲得
・火の使用は寒冷地への進出・肉食獣からの防御も可能にした
・歩行能力の発達で言語も発達した
➝四足歩行では消化器官が横隔膜にぶつかるので浅く早い呼吸は不可能➝喘げない
➝二足歩行では可能でヒトは発汗で走りながらでもクールダウンできる
➝足は遅いが長距離を歩き続けることができる
➝四足歩行は重いものを抱えたのと同じ状態➝一歩ごとに息を継ぐので発声は不可能
➝二足歩行では呼吸を細かく制御できる➝音声を組み合わせた言語へ
➝50万年前のホミニンの化石から現生人類と似た内耳と舌骨が確認されている➝言語も?
➝少なくとも100万年前には言語能力に影響を与える遺伝子が現在の形になっている
➝ホモ・エレクトスの言語能力も呼吸の微調整を可能にした直立二足歩行から・・・
・気候変動による拡大と孤立、遺伝的隔離、絶滅➝ホモ・サピエンスの時代へ・・・
➝これがこれまでの通説だった
➝ところが最新の化石発見と研究により、多様な人類が最近まで一緒にいたことが判明、
人類進化とホミニン大移動の物語はトールキンの指輪物語と同じように面白くなっている
第9章より
・ホモ・サピエンスの最古の化石はアフリカ三角形の頂点三ヶ所から見つかっている
➝ホミニン集団がアフリカ全土を移動しながら交配で遺伝子を交換しつつ進化したもの
➝この汎アフリカ的進化は35~25万年前に起きた(ゲノム解析から)
・2019年ギリシャの洞窟で17万年前のネアンデルタール頭骨と21万年前のホモ・サピエンス
頭骨が発見され、前年にはイスラエルで19万年前のホモ・サピエンス上顎骨が発見されている
➝従来仮説と異なりホモ・サピエンスの中東・ユーラシアへの進出・撤退が繰り返されていた
➝7万年前までにダムは決壊しヨーロッパとアジアに流れ込んだ
➝ネアンデルタール人やデニソワ人とも交配していたことはDNAから判明している
・寒冷不毛の地を踏破するための重要な技術革新が靴
➝足指が細くなった(靴を履いていた)最古の骨格化石は北京の洞窟からで4万年前
➝7万年前から1万年前までにホモ・サピエンスは世界中を歩いて世界中に広がった
・2003年にインドネシア東部フローレス島の洞窟でホモ・フローレシエンシスの化石発見
➝ホモ・フローレシエンシスの脳はホモ・エレクトスより小さくアウストラロピテクスサイズ
➝身体的特徴もアウストラロピテクスで、しかも5万年前まで生きていた
➝アフリカを出た最初のホミニンはホモ属ではなくアウストラロピテクス属?
・2019年にはフィリピン・ルソン島の洞窟でホモ・ルゾネンシスの化石発見
➝どんなホミニンとも異なり、やはり5万年前まで生きていた
・どちらも100万年前から住んでいたことが石器から確認されている
・ホモ・サピエンスがアフリカで進化していた頃、ヨーロッパではネアンデルタール人、
アジアではデニソワ人、東南アジアの島々では少なくとも二種の小柄なホミニン・・・
➝まさにトールキンのホビットなどが暮らす「中つ国」の世界だった
・2015年に発表したホモ・ナレディはホモ・ハビリスと同様にアウストラロピテクスと
ホモ・エレクトスの中間的な特徴を持つが、やはり26万年前まで生きていた
第10章より
・胎児や赤ん坊が交互に足を出す歩行反射は哺乳類全体と共有している古い特徴
・ヒトの歩きはじめは生後8ヶ月から16ヶ月が多い➝他の霊長類より遅い
➝赤ん坊は移動すること自体を楽しんでいる
➝平均的な幼児は1時間に2368歩、一日に14000歩も歩き、1時間に17回も転ぶ
➝寄り添い受け止める人がいなければ二足歩行を学ぶことは大変で危険な行為
➝5~7歳で大人と同じように歩けるようになり、その過程で骨格が変化していく
第11章より
・15000年前の出産を描いた線刻画がドイツで発見された
➝類人猿の出産は短いがヒトは長い➝二足歩行のせい
・骨盤が大きすぎると二足歩行に支障が出る
➝だから早期に小さく未熟な状態で生まれるようになった説
➝ところがヒトの妊娠期間は大きさが同程度の霊長類より1ヶ月長い
➝なぜヒトだけが難産なのかは諸説あるが進化のせいでイブの罪のせいではない
・トップアスリートの世界記録では100m走からマラソンまで男女で10%ほど差があるが、
特にウルトラマラソンなど耐久レースでは男女の差は縮まっている・・・
第12章より
・歩き方だけで身内や友人を見分けられる脳領域がある
➝性格や気分まで分かるのも直感ではない
➝歩き方で個体識別することは進化では有益だった
・集団では無意識に歩調を合わせて歩く
➝366万年前のラエトリ足跡化石と同じ➝一人歩きはごく最近
➝ホモ・サピエンスの歴史の97%、二足歩行ホミニンの歴史の99%は狩猟採集➝集団移動
第13章より
・食べるために歩かねばならなかったのが人類史
➝骨密度の低下は最近の1万年間で突然起こったもの➝運動量が減った?
・運動不足による死亡リスクは肥満の2倍
➝鍛えたデブのほうが動かないヤセよりまし(動かないデブはどうなるのか!!!)
➝がん、動脈疾患、自己免疫疾患、血糖値、不眠、高血圧、ストレス、脳卒中にも歩行が有効
・一日1万歩の目標は1964年の東京オリンピック翌年に日本で万歩計が売り出されてから
➝高齢者は7500歩までは歩数が多いほど健康で長生きするが、それ以上では差がなかった
・アメリカのカウチポテト族と14倍も活動的なタンザニアのハッザ族の総エネルギー消費量は同じ
➝許容エネルギー消費量は世界中で同じだが、どう使うかは文化や人により異なる
➝アメリカ人は余ったエネルギーを炎症反応の強化に使っている
第14章より
・散歩好きな著名人は多いが歴史的に散歩は白人男性の特権だった
➝歩行は思考にとって必須ではないが思考を促進するのはたしか
➝創造性スコアは高くなり脳領域に顕著な改善が見られる
➝記憶力も認知能力も若返りも・・・なぜか
・収縮する筋肉からのみ放出されるマイオカインが脳のスーパー栄養剤だから
➝歩かないのは鬱で無気力になっているから
➝ではなく、鬱で無気力になっているのは歩かないから
・交通量の多い道路脇を歩いたグループと森の中を歩いたグループでの血流量などの差
➝創造性スコアの高さ➝歩かない<ウオーキングマシンで歩く<戸外を歩く、の順だった
・レイ・ブラッドベリの短編「歩行者」(1951年)より・・・略
第15章より
・ダ・ビンチの男性像を円と正方形で囲んだ有名なスケッチ
➝理想的な人体プロポーションだが2011年に学者が鼠径ヘルニアの膨らみに気づいた
➝鼠径ヘルニアは男性の1/4以上が経験する
➝重力で腸が下垂し鼠径管から腹腔外へ飛び出すもので二足歩行の直接的な結果
・人類の二足歩行にはデメリットも多い
➝600万年かけて部分改良された類人猿だから
➝進化は生き残って子孫を残し種を存続させるに足る形態をもたらすだけだから
➝過去の形態の寄せ集めで自然選択で修正されてきたので痕跡が残っている
・物理学に基づいた二足歩行ロボットは人類ではなくダチョウの骨格と同じになった
・3000万年前のエジプトピテクスから1000万年ほどの間にサルと類人猿が分かれたが、
類人猿にも尾の筋肉は残っており重力で下垂する内臓を支えるのに使われてきた
➝直立二足歩行する人類には不十分で、内臓が女性の膣内に飛び出すことがある
・下肢静脈瘤も偏頭痛も背骨の圧迫骨折も椎間板ヘルニアも靱帯損傷も二足歩行によるもの
・2012年ロンドンオリンピック400m走で使われた義足は1枚のブレードでできている
➝ヒトの足は複雑だがダチョウやエミューの足はこれに近くヒトの倍速で走れる
➝恐竜や鳥類の二足歩行の歴史は我々初心者より40倍長く骨格を微調整してきた結果
・足首の可動性は樹上生活には有利だったが地上の二足歩行では大きな犠牲を払っている
➝進化は修正で応急処置的であり、痛みや怪我のリスクは残ったまま
➝靴も同じくメリットだけではないが、靴発明以前のホミニン化石にも足の病変は見られる
➝直立二足歩行の負の結果であり、この特徴が二足歩行を始めた謎を解き明かすかも・・・
結論より
・道具の使用、共同育児、交易ネットワーク、言語・・・すべては二足歩行から
➝ただし四足歩行よりはるかに遅く、肉食獣の獲物になり、転倒事故は増え、難産になり、
幼児の一人歩きは危険で、年を取ればその負担が痛みになる
➝多くのデメリットがあり、世界でも稀な二足歩行動物が、絶滅せず繁栄できたのはなぜか・・・
・190万年前の化石ホミニンの例
➝10代後半のメスで子供の頃に足首を骨折していた痕跡がある
➝仲間に助けられながら成人するまで生き延びたとしか考えられない
➝怪我や病気になり生き延びたホミニンの化石の例は他にも数多くある
➝ホモ・エレクトスにもアウストラロピテクスにも・・・
➝他種のホミニンと食物を奪い合いながら仲間に共感を寄せる善と悪のパラドックス
・哺乳類の行動は敵意と調和のダンス
➝人間の利他的行為は同族と見なした相手に限定されることが多い
➝助産婦は少なくとも320万年前のアウストラロピテクスの時代には存在した
➝ボノボとヒトは出産の介助を他のメスがする(チンパンジーは単独)
・類人猿の思いやりの例、ゾウ・イルカ・イヌなどの共感力・・・
・利他的な行動の能力は危険な世界で生きる二足歩行動物の脆弱さから
➝共感力と協力と寛容さは二足歩行という移動形態と合わせて進化してきた
➝社会的でない攻撃的なサルの系統なら二足歩行は絶滅への道となっただろう
・二足歩行する特別なサルが繁栄してきたのはおもに、その共感し、許容し、協力する
能力のおかげなのだ・・・
いやあ、じつに面白かったです
少しでも興味を持たれた方には本書のご熟読をオススメします