2023年07月
2023年07月28日
2023年07月25日
地政学で読みとく「これからの世界」
ええ、
地政学で読みとく「これからの世界」とゆー本のご紹介であります
監修者紹介と奥付
例によって目次のみ・・・
説明は大まかでしたが素人には分かりやすく、問題の全容が俯瞰できる本でした
ただし、図解でよくわかる、ビジュアルで身につく「大人の教養」とゆー構成ですから、
図解なしビジュアルなしのてきとーな読後メモでは、よくわからず身につくこともないので、
少しでも興味を持たれた方には本書のご熟読をオススメします
以下、図解なしビジュアルなしのてきとーな読後メモであります
(読んでてホントにそうなの?と思った部分もメモしてます)
序章より
・地政学はその国の地理的条件を切り口にして国家間パワーゲームの様相を読み解くもの
→政治・経済・社会は時代で変わるが地理はいつの時代も変わらない
→各国のおかれた地理的条件に政治・経済・軍事といった諸事情を含めて検討すれば、
より明快な理解が可能になる
・地政学の歴史的展開
→最初の提唱者はスウェーデンの政治学者チューレンで1916年刊行の「生活形態としての国家」
に登場、英語ではgeopoliticsになり地理の政治学
→ナチス・ドイツのヨーロッパ侵攻や、日本の大東亜共栄圏構想の理論的根拠になったとされ、
戦後は世界でタブー視されて日本でもGHQが研究を禁止して関連書籍も抹消されたものの、
東西冷戦期に紛争分析のための理論として注目され、現在では国際情勢一般にも応用されている
(ちなみにこちらの本では研究はイギリス・アメリカが発祥でドイツ→日本となってます)
・地政学の重要ワード
・シーパワーとランドパワー(略)
→両者の対立構造が生まれやすい
・ハートランド(中央部)とリムランド(その周縁部)
→ハートランドがリムランドに進出して衝突するケースが多い
→朝鮮半島、ベトナム、中央アジア、ウクライナなど
・シーレーンとチョークポイント(略)
・内海(閉鎖海)→ひとつの国の支配下に置かれた状態の海
(アメリカにとってのメキシコ湾やカリブ海、ローマ帝国にとっての地中海、中国にとっての
南シナ海などで、得ることで防衛コストが抑えられ余剰戦力を別の海域へ向けられる)
・緩衝地帯、現代戦におけるエアパワー(制空権)などなど・・・
1章「話題の国際情勢と地政学」より
・ウクライナ侵攻
キエフ公国→モンゴルの侵攻→モスクワ大公国→ロシア→ソ連崩壊→独立→親欧米派の新政権
→ロシアとの対立→クリミア半島、ドネツク州、ルガンスク州への侵攻→ミンスク合意
→ゼレンスキー政権による不履行とNATO加盟への動き→全面侵攻→逆にNATO拡大へ
・北方領土問題
→不凍港を得るためのロシアの南下政策→日露戦争→第二次世界大戦下での侵攻と実効支配
→平和条約で権利を放棄したのは千島列島とサハリンの一部だが四島返還で対立する理由
①軍事的理由→日米地位協定による米軍基地建設の脅威
②経済的理由→温暖化による北極海航路の独占権益を守る必要性
③国内的理由→国内少数民族の独立問題や領土問題が加速する可能性
→さらに北海道を領土にすればオホーツク海をロシアの内海にできる
→なのでロシアは北海道すべての権利を有するとの主張もロシア国内にある
・アメリカと中国の新冷戦
→中国は2010年にGDPで日本を抜き2位になり2013年に一帯一路の世界秩序構想を発表
→アメリカは地政学上のバランス・オブ・パワー(勢力均衡)戦略で対抗している
(冷戦時代はナンバー2のソ連を抑えるためナンバー3の日本と協力、日本がナンバー2になると
中国との関係を強めて日本を牽制していた→これがバランス・オブ・パワー戦略)
→2018年には貿易戦争になり新冷戦という言葉が使われる
→QUAD(2006年に安倍首相が提唱)などシーパワーの結集で中国を牽制
・中国による経済圏「一帯一路」構想
中央アジア経由の道路・鉄道整備などによる「一帯」と、南シナ海→インド洋→アフリカ東岸→
紅海経由の港湾整備などによる「一路」→どちらにも借金の罠があり批判もあるが達成すれば、
→経済力で支配するシーパワーとランドパワーを備えた世界史上初の国になる
・中国・台湾問題
→台湾が自国領土なら第一列島線内を内海にできる
→将来的には第二列島線内にも影響を及ぼしたい
→歴史的背景とともに地政学的な理由がある
→台湾有事で米軍が出動するなら日本の基地から
2章「アジアの地政学」より
(アジア情勢は複雑に思えるが地政学で考えると大局が見やすくなる)
・アジアの中心は多様な民族を含む14億人の中国、その周辺で局面が展開するというイメージ
→内陸エリアの北はモンゴルとロシア、西は旧ソ連衛星国で中東イスラム諸国との緩衝地帯
→海洋エリアの南はインドと東南アジア諸国、東は緩衝地帯の北朝鮮を挟み韓国、台湾と日本
→東南アジア諸国は中華・インド・イスラムの文化圏
→といった地政上の条件下にある国が中国で、その周辺で局面が展開している
・中国の海洋進出
→第二列島線で太平洋をアメリカと二分できるが、まだ第一列島線さえ確保できていない
→第一列島線の重要拠点である台湾・南沙・西沙・尖閣は何としても実効支配したい
→建国100年の2049年までにアメリカと同等の海軍力を有することを目標にしている
・南シナ海九段線内側の制海権確保
→ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾を排して実効支配しようとしている
・中国とロシア
→4000kmの国境問題は2000年代半ばで解決→エネルギー需給でwinwinの関係になった
→ロシア経済が崩壊しないのは中国の影響が大きい
・新彊ウイグル問題
→ウイグル族はトルコ系民族で言語も宗教も異なる
→18世紀に清朝が征服して以来ずっと支配している
→インド・ロシアとの緩衝地帯で一帯一路上でもあり地政上重要
→他の少数民族の独立運動にも繋がるため力で抑えている
・中国・インド・パキスタンの抗争(3国とも核保有国)
→カシミール地方は3国が実効支配する地域が重なる係争地でアジアの火薬庫
→18世紀まで独立国だったチベットは清朝→(英領)インド→中国に征服されて現在に至る
→緩衝地帯はなくなりヒマラヤ山脈を挟み中印が直接対峙している
・中国の真珠の首飾り戦略(インド洋での経済支援とシーレーン整備拡充によるインド包囲)
→ミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、パキスタン、モルディブでの港湾建設など
・インドのダイヤのネックレス戦略(インド洋沿岸各国との連携による真珠の首飾り外側の包囲)
→東南アジア諸国インド洋沿岸諸国との連携、日米豪とのQUADだが軍事面は進んでいない
→ただしインドは全方位外交であり中国は最大の貿易相手国でもある
・冷戦後の北朝鮮
→東西の緩衝地帯だったがソ連を失いアメリカを仮想敵とした核ミサイルを開発
→軍事支援を続ける中国としても手に余る状態だが緩衝地帯の消滅は困る
→両者の緊張を高めて外交的譲歩を引き出す瀬戸際外交がいつまで続くか
・中豪関係
→シーパワーのオーストラリアは1970年代から白豪主義を見直しアジア中心で経済発展した
→2014年には包括的・戦略的パートナーシップで中国と最大の蜜月関係になった
→2016年ごろからの中国の南太平洋島嶼国との関係強化や中国企業の内政干渉疑惑
→2020年のコロナ感染源調査をめぐる対立で関係がさらに悪化、原潜配備やQUADへ
・地政学でひもとく中国史
→中国歴代王朝は東夷・西戎・南蛮・北狄に対抗するためランドパワーを高めていった
→元と明はシーパワーも求めたが、元は日本侵攻での撤退や東南アジアでの風土病により、
明は北でのモンゴル勢力回復と南での倭寇(北虜南倭)により、海洋進出が失敗に終わった
→近代以降も海洋進出には消極的だったが、ヨーロッパではシーパワーの国が力をつけて
アジアに進出し、清はその標的になった
→1840年のアヘン戦争、1856年のアロー戦争、1894年の日清戦争でシーパワーの国に敗北
→経済成長で軍事力をシーパワーに向けられるようになり21世紀からは積極的に海洋進出
→これまでシーパワーを得られずにシーパワーの国に蹂躙されてきた歴史がある・・・
3章「アメリカの地政学」より
・南北アメリカ大陸はユーラシア大陸から隔絶した「大きな島」
→防衛上の懸案事項があまりなかった(2度の世界大戦でもノーダメージだった)
→軍事的・経済的にアメリカの脅威になる国が周辺に存在しない
→この地理的条件により世界各地に軍事拠点を設けシーパワーを拡大してきた
・世界の警察官からの引退
→アフガニスタン侵攻やイラク侵攻などの失敗、リーマンショック、財政悪化・・・
→2013年にオバマが宣言し、トランプ、バイデンも引き継いだ
→結果はタリバンの復活、南シナ海の現状変更、台湾への強硬姿勢、ウクライナ侵攻など・・・
・アメリカと中東との関係
→中東はランドパワーとシーパワーが激突するリムランドで石油利権がある
→1948年からのイスラエル支援→イラン革命によるイラク支援→湾岸戦争→アフガニスタン侵攻や
イラク侵攻などで大きく関わってきた
→2000年からのシェール革命により世界一の原油産出国になった
→中東で軍事力を維持する必要がなくなり撤退、その後は中国が台頭している
・中南米は2001年の同時多発テロ対応から手薄に、2017年のトランプ政権で左派政権が増え、
そこに中国が関係を深めてアメリカの存在感が薄くなっている
→キューバも2017年のトランプ政権で関係悪化、コロナ禍で主力の観光業が減り経済危機に
→最大の貿易相手国が中国になっている
・ファイブアイズ・クアッド・アイペフ・TPP・ブルードットネットワーク・オーカス(略)
・地政学でひもとくアメリカ史
→1776年に東部13州300万人からスタート→ランドパワーによる武力制圧で西部へ進出
→1823年のモンロー主義には中南米カリブ海も含む(ヨーロッパには干渉させない)
→1846年のメキシコとの米墨戦争でテキサスとカリフォルニアを獲得→天然資源の宝庫
→1867年にロシアからアラスカを格安で購入、これで未開地は消滅しシーパワー獲得へ
→1898年のスペインとの米西戦争でキューバを植民地化→中南米とカリブ海を影響下に
→スペインからはフィリピンやグアムも獲得、ハワイや西サモアも併合し大平洋にも進出
→1914年にはチョークポイントのパナマ運河を完成させ租借権を獲得(返還は1999年)
→第二次世界大戦で日本に勝利、メキシコ湾カリブ海に続き太平洋も自国の内海にした
4章「ヨーロッパ・ロシアの地政学」より
・ユーラシア大陸は世界島でありヨーロッパは三方を海に囲まれた半島
→半島は海に出やすいが陸側から攻められると逃げ場がない→最大の脅威はロシア
→半島の付根部分(バルト海と黒海を結ぶ線)で衝突しやすい→ヨーロッパの断層線
→冷戦時代には緩衝地帯として翻弄され、2022年にはウクライナ侵攻
・ロシアは14の国と北極海に囲まれておりシーパワーを求めて南下することが基本戦略
・EU拡大(発足時の12から27へ、ユーロ導入は19)の問題点
→各国の経済格差が大きすぎる(労働力の移動などによる混乱)
→難民・移民の受け入れによるキリスト教という共通価値観の揺らぎなど
→反EU、反移民、反グローバルの声が高まっている
→イギリスは地政学上の利点を活かしたオフショア・バランシング外交を展開
→2020年にEU離脱(ブレグジット)
→2009年のギリシャ危機でEUが切り捨てなかったのは地政学上の理由から
・ロシアの資源戦略
→天然ガスのパイプラインを使った販売方法で、何かあればすぐに圧力をかけられる
→ドイツはじめヨーロッパは脱炭素政策で依存が高まっていた
・北極海の争奪戦
→温暖化により地政学の理論が変化する局面になる可能性が高い
→北極海航路の出現と原油・天然ガス・レアメタルなど資源採掘の実現
→ロシアは北極海沿いに24000km以上の海岸線を持ち領土の1/3は北極圏内
→航路や資源の開発を進められるが、北側の国境が外敵に晒されることにもなる
→今後は北方艦隊も増強せねばならない
→北極海ではアメリカや中国の動きも目立ってきている
・地政学でひもとくイギリス史
→ケルト人と後から来たゲルマン系アングロ・サクソン人が同化した辺境の島国だった
→陸上の防衛力が最小限で済んだため軍事費を海軍力や植民地経営にまわすことができた
→16世紀半ばから海洋進出を開始、強大なシーパワーで世界の1/4を支配していた
→スペイン、オランダ、フランスに勝利し北アメリカやインドの海岸都市などを植民地化
→立憲王政で国内政治が安定すると産業革命が起こり、さらに繁栄の時代に
→1783年のアメリカ独立でインド内部、ビルマ、マレー半島、マラッカ海峡、中国(清王朝)へ
→1875年にスエズ運河の権利を買収しアフリカや太平洋の島嶼部にまで進出、1901年には
オーストラリアを自治領に、1910年には南アフリカ連邦を成立・・・
→ドーヴァー海峡、ホルムズ海峡、マラッカ海峡、スエズ運河といったチョークポイントを抑え、
最強のシーパワー国になった→パックス・ブリタニカ→第一次世界大戦で疲弊した
・地政学でひもとくロシア史
→9世紀末にノルマン人がスラブ人を征服したキエフ大公国がルーツ
→13世紀にモンゴル帝国に征服されたが1480年にモスクワ大公国が独立しロシアの歴史へ
→1613年のロマノフ王朝誕生から周辺国を征服して世界最大のランドパワー国に
→1682年からの南下政策でオスマン帝国やスウェーデンと戦い黒海・バルト海を抑える
→18世紀後半にはクリミア半島のセヴァストポリに黒海艦隊の軍港
→19世紀後半には沿海州のウラジオストックに太平洋艦隊の軍港
→19世紀から20世紀にかけてイギリスが干渉するが南下政策は継続し東アジアへ
→ウクライナ侵攻により緩衝地帯を維持しようとしているがシーパワーも求め続けている
5章「中東の地政学」より
・トルコの主要領土アナトリア半島はアジア・ヨーロッパ・ロシアの接点
→ボスポラス海峡とダーダネルス海峡はシーパワーのチョークポイント
→現在のトルコは欧米と、犬猿だったロシアとを天秤にかける巧みな外交をしている
・イランはアラブ人ではなくペルシャ人の国で、その誇りが高い
→1979年のイスラム革命以降、各国のシーア派を支援して革命の輸出をしている
→ペルシャ湾に面し中東と中央アジアの接点で中国やロシアも重視
・親米スンニ派のサウジアラビア(アラブ人が多数派)と反米シーア派のイランとの対立
→レバノンではスンニ派政権をサウジが支援、反体制のヒズボラをイランが支援
→シリアではアサド政権をイランが支援、反体制派をサウジが支援
・パレスチナ紛争
→イスラエルは周囲を全てアラブ人国家に囲まれた脆弱土地で石油も独自水源もない
→対外膨張なしには存続が難しく、これはパレスチナ人にとっては災難でしかない
→イスラエル、親米アラブとイラン、シーア派とスンニ派が対立している構造
・シリア内戦
アサド家はシーア派の一派でシリアの多数派であるスンニ派を抑圧
→アサド政権、反体制派、IS、クルド人が争い疲弊している
→アメリカの反体制派支援からの撤退、地中海の海軍基地を守るロシアの政権支援、
政権と同じシーア派のイランの支援により、内戦が続いてもアサド政権は倒れない
・アフガニスタンはハートランドとリムランドの接点
→ロシアとイギリス、ソ連とアメリカの代理戦争が続いた
→ランドパワーの大国とシーパワーの大国の争いの舞台
・クルド語を話しスンニ派が多いクルド人は2500万~3000万人
→トルコ、シリア、イラン、イラクなどにまたがるクルディスタンに暮らす民族
→国を持たない世界最大の民族と呼ばれている
→イギリス、フランス、トルコの思惑で分断され、各国での弾圧が続くが独立運動も続く
→この状況が中東不安定化の要因ともなっている
・地政学でひもとくトルコ史
→1299年にトルコ民族により建国されたオスマン帝国(オスマン・トルコ)がルーツ
→1453年にビザンツ帝国(東ローマ帝国)を滅ぼし15世紀末にはアナトリア地方とバルカン半島、
16世紀前半にはエジプトとアラビア半島西岸、16世紀半ばには黒海、地中海、紅海、アラビア海、
ペルシャ湾の制海権を掌握、古代ローマ帝国領土の3/4を支配する大帝国になった
→大航海時代からヨーロッパ列強の海洋進出により東西貿易は地中海を離れたので徐々に衰退、
19世紀末にはロシアとイギリスに蹂躙され第一次世界大戦では同盟国側は連合国側に敗北
→国と民族は分断され1922年の革命でオスマン帝国は滅亡し現在のトルコ共和国になった
→オスマン帝国の支配下で安定していた中東は紛争が多発する火薬庫になった
6章「日本の地政学」より
・朝鮮半島から九州本土までは130km以上も離れており本格的な侵略はなかった
→中国から見れば日本列島が蓋をしており宗谷、津軽、対馬、大隅の海峡はチョークポイント
→大航海時代以降の覇権はシーパワー国家が制したが、今の日本は覇権を狙うレベルにはない
→それでも環太平洋やアジア各国へのシーレーンで世界をリードするハブ国家にはなり得る
・尖閣諸島は中国で需要が増える魚介類の宝庫で石油や天然ガスの埋蔵も推測されている
→軍事拠点としても重要で中国に編入すればアメリカに太平洋への進出を邪魔されない
→なので実効支配されてしまえば以後の排除は困難
・沖縄の米軍基地はアメリカの戦略に極めて重要で最高レベルの装備・軍備を有している
→中国の大平洋進出を牽制するキーポイントにあり、ICBMならロシア、中東、オセアニア
まで、全て射程内に収めることができる
→中距離ミサイルでも中国・インド・ロシアとオーストラリアの北半分までを射程内に収める
→現在アメリカは中距離ミサイルをもっておらず、中国は1250発以上をもっている
→2023年には開発配備予定だが、沖縄を含む第一列島線沿いへの配備が位置的に最も適切
→沖縄への中距離ミサイル配備の要請が近い将来にアメリカからあるかもしれない
・韓国と北朝鮮の反日政策(略)
・核シェアリング
→ドイツ・イタリア・オランダ・ベルギー・トルコには航空機搭載型B61タイプの核爆弾
(数は非公表だが100発ほどとされている)が存在する
→各国にシェアリングされた核は米軍が運用するもので各国には使用権も拒否権もない
→日本でも安倍元首相の核共有発言があったが岸田首相は認められないとしている
→シーパワーやランドパワーではなくニュークリアパワー(核兵器)を持った大国アメリカと
大国ソ連との冷戦は終わり両国とも削減したが、ウクライナ侵攻により見直しされるかも・・・
・地政学でひもとく日本史
→近隣に中国という大国が存在するが海流や季節風で独立を保ってきた
→古代4世紀後半から朝鮮半島に介入しシーパワーを発揮していた
→百済と友好関係にあり百済が唐や新羅に圧迫された663年に大軍を送り支援したが敗北、
以後は半島への影響力を失い海外進出はなかった
→1592年と1597年に李氏に明征服の案内を拒否された豊臣秀吉が朝鮮出兵したが敗北
→その後250年の江戸時代は鎖国でランドパワーだったが、明治以降に再び海洋進出へ
→1894年、朝鮮半島の支配権をめぐる日清戦争に勝利
→1904年、朝鮮半島と南満州の支配権をめぐる日露戦争にシーパワー同士の日英同盟で勝利
→1914年、日英同盟で第一次世界大戦で勝利しドイツ領の青島や南洋諸島に侵攻し国力増大
→世界恐慌による経済危機を大陸進出で乗り越えようと1932年に満州国を建国
→1937年からは中国との全面戦争に突入し資源確保と米英の中国支援遮断のためインドシナ半島へ
→それでABCD包囲網により石油などの輸入を封鎖され、1941年12月に太平洋戦争へ突入
→戦争初期はシーパワーが最大限に発揮され、東はギルバート諸島、西はビルマ(ミャンマー)、
南はガダルカナル島、北はアッツ島まで、日本史上で最大の領域を支配下に置いた
(大東亜共栄圏は大義名分で実態は植民地化だった)
→1942年6月ミッドウェー海戦での大敗後は防戦一方になり、1945年8月に敗戦
→戦後の東西冷戦では西側アメリカとの同盟により東側への防波堤となった
→冷戦終了後もアメリカのアジア戦略の重要拠点として中国やロシアににらみを利かせている
はてさて、今後の世界はどうなるんでしょうね・・・
地政学で読みとく「これからの世界」とゆー本のご紹介であります
監修者紹介と奥付
例によって目次のみ・・・
説明は大まかでしたが素人には分かりやすく、問題の全容が俯瞰できる本でした
ただし、図解でよくわかる、ビジュアルで身につく「大人の教養」とゆー構成ですから、
図解なしビジュアルなしのてきとーな読後メモでは、よくわからず身につくこともないので、
少しでも興味を持たれた方には本書のご熟読をオススメします
以下、図解なしビジュアルなしのてきとーな読後メモであります
(読んでてホントにそうなの?と思った部分もメモしてます)
序章より
・地政学はその国の地理的条件を切り口にして国家間パワーゲームの様相を読み解くもの
→政治・経済・社会は時代で変わるが地理はいつの時代も変わらない
→各国のおかれた地理的条件に政治・経済・軍事といった諸事情を含めて検討すれば、
より明快な理解が可能になる
・地政学の歴史的展開
→最初の提唱者はスウェーデンの政治学者チューレンで1916年刊行の「生活形態としての国家」
に登場、英語ではgeopoliticsになり地理の政治学
→ナチス・ドイツのヨーロッパ侵攻や、日本の大東亜共栄圏構想の理論的根拠になったとされ、
戦後は世界でタブー視されて日本でもGHQが研究を禁止して関連書籍も抹消されたものの、
東西冷戦期に紛争分析のための理論として注目され、現在では国際情勢一般にも応用されている
(ちなみにこちらの本では研究はイギリス・アメリカが発祥でドイツ→日本となってます)
・地政学の重要ワード
・シーパワーとランドパワー(略)
→両者の対立構造が生まれやすい
・ハートランド(中央部)とリムランド(その周縁部)
→ハートランドがリムランドに進出して衝突するケースが多い
→朝鮮半島、ベトナム、中央アジア、ウクライナなど
・シーレーンとチョークポイント(略)
・内海(閉鎖海)→ひとつの国の支配下に置かれた状態の海
(アメリカにとってのメキシコ湾やカリブ海、ローマ帝国にとっての地中海、中国にとっての
南シナ海などで、得ることで防衛コストが抑えられ余剰戦力を別の海域へ向けられる)
・緩衝地帯、現代戦におけるエアパワー(制空権)などなど・・・
1章「話題の国際情勢と地政学」より
・ウクライナ侵攻
キエフ公国→モンゴルの侵攻→モスクワ大公国→ロシア→ソ連崩壊→独立→親欧米派の新政権
→ロシアとの対立→クリミア半島、ドネツク州、ルガンスク州への侵攻→ミンスク合意
→ゼレンスキー政権による不履行とNATO加盟への動き→全面侵攻→逆にNATO拡大へ
・北方領土問題
→不凍港を得るためのロシアの南下政策→日露戦争→第二次世界大戦下での侵攻と実効支配
→平和条約で権利を放棄したのは千島列島とサハリンの一部だが四島返還で対立する理由
①軍事的理由→日米地位協定による米軍基地建設の脅威
②経済的理由→温暖化による北極海航路の独占権益を守る必要性
③国内的理由→国内少数民族の独立問題や領土問題が加速する可能性
→さらに北海道を領土にすればオホーツク海をロシアの内海にできる
→なのでロシアは北海道すべての権利を有するとの主張もロシア国内にある
・アメリカと中国の新冷戦
→中国は2010年にGDPで日本を抜き2位になり2013年に一帯一路の世界秩序構想を発表
→アメリカは地政学上のバランス・オブ・パワー(勢力均衡)戦略で対抗している
(冷戦時代はナンバー2のソ連を抑えるためナンバー3の日本と協力、日本がナンバー2になると
中国との関係を強めて日本を牽制していた→これがバランス・オブ・パワー戦略)
→2018年には貿易戦争になり新冷戦という言葉が使われる
→QUAD(2006年に安倍首相が提唱)などシーパワーの結集で中国を牽制
・中国による経済圏「一帯一路」構想
中央アジア経由の道路・鉄道整備などによる「一帯」と、南シナ海→インド洋→アフリカ東岸→
紅海経由の港湾整備などによる「一路」→どちらにも借金の罠があり批判もあるが達成すれば、
→経済力で支配するシーパワーとランドパワーを備えた世界史上初の国になる
・中国・台湾問題
→台湾が自国領土なら第一列島線内を内海にできる
→将来的には第二列島線内にも影響を及ぼしたい
→歴史的背景とともに地政学的な理由がある
→台湾有事で米軍が出動するなら日本の基地から
2章「アジアの地政学」より
(アジア情勢は複雑に思えるが地政学で考えると大局が見やすくなる)
・アジアの中心は多様な民族を含む14億人の中国、その周辺で局面が展開するというイメージ
→内陸エリアの北はモンゴルとロシア、西は旧ソ連衛星国で中東イスラム諸国との緩衝地帯
→海洋エリアの南はインドと東南アジア諸国、東は緩衝地帯の北朝鮮を挟み韓国、台湾と日本
→東南アジア諸国は中華・インド・イスラムの文化圏
→といった地政上の条件下にある国が中国で、その周辺で局面が展開している
・中国の海洋進出
→第二列島線で太平洋をアメリカと二分できるが、まだ第一列島線さえ確保できていない
→第一列島線の重要拠点である台湾・南沙・西沙・尖閣は何としても実効支配したい
→建国100年の2049年までにアメリカと同等の海軍力を有することを目標にしている
・南シナ海九段線内側の制海権確保
→ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾を排して実効支配しようとしている
・中国とロシア
→4000kmの国境問題は2000年代半ばで解決→エネルギー需給でwinwinの関係になった
→ロシア経済が崩壊しないのは中国の影響が大きい
・新彊ウイグル問題
→ウイグル族はトルコ系民族で言語も宗教も異なる
→18世紀に清朝が征服して以来ずっと支配している
→インド・ロシアとの緩衝地帯で一帯一路上でもあり地政上重要
→他の少数民族の独立運動にも繋がるため力で抑えている
・中国・インド・パキスタンの抗争(3国とも核保有国)
→カシミール地方は3国が実効支配する地域が重なる係争地でアジアの火薬庫
→18世紀まで独立国だったチベットは清朝→(英領)インド→中国に征服されて現在に至る
→緩衝地帯はなくなりヒマラヤ山脈を挟み中印が直接対峙している
・中国の真珠の首飾り戦略(インド洋での経済支援とシーレーン整備拡充によるインド包囲)
→ミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、パキスタン、モルディブでの港湾建設など
・インドのダイヤのネックレス戦略(インド洋沿岸各国との連携による真珠の首飾り外側の包囲)
→東南アジア諸国インド洋沿岸諸国との連携、日米豪とのQUADだが軍事面は進んでいない
→ただしインドは全方位外交であり中国は最大の貿易相手国でもある
・冷戦後の北朝鮮
→東西の緩衝地帯だったがソ連を失いアメリカを仮想敵とした核ミサイルを開発
→軍事支援を続ける中国としても手に余る状態だが緩衝地帯の消滅は困る
→両者の緊張を高めて外交的譲歩を引き出す瀬戸際外交がいつまで続くか
・中豪関係
→シーパワーのオーストラリアは1970年代から白豪主義を見直しアジア中心で経済発展した
→2014年には包括的・戦略的パートナーシップで中国と最大の蜜月関係になった
→2016年ごろからの中国の南太平洋島嶼国との関係強化や中国企業の内政干渉疑惑
→2020年のコロナ感染源調査をめぐる対立で関係がさらに悪化、原潜配備やQUADへ
・地政学でひもとく中国史
→中国歴代王朝は東夷・西戎・南蛮・北狄に対抗するためランドパワーを高めていった
→元と明はシーパワーも求めたが、元は日本侵攻での撤退や東南アジアでの風土病により、
明は北でのモンゴル勢力回復と南での倭寇(北虜南倭)により、海洋進出が失敗に終わった
→近代以降も海洋進出には消極的だったが、ヨーロッパではシーパワーの国が力をつけて
アジアに進出し、清はその標的になった
→1840年のアヘン戦争、1856年のアロー戦争、1894年の日清戦争でシーパワーの国に敗北
→経済成長で軍事力をシーパワーに向けられるようになり21世紀からは積極的に海洋進出
→これまでシーパワーを得られずにシーパワーの国に蹂躙されてきた歴史がある・・・
3章「アメリカの地政学」より
・南北アメリカ大陸はユーラシア大陸から隔絶した「大きな島」
→防衛上の懸案事項があまりなかった(2度の世界大戦でもノーダメージだった)
→軍事的・経済的にアメリカの脅威になる国が周辺に存在しない
→この地理的条件により世界各地に軍事拠点を設けシーパワーを拡大してきた
・世界の警察官からの引退
→アフガニスタン侵攻やイラク侵攻などの失敗、リーマンショック、財政悪化・・・
→2013年にオバマが宣言し、トランプ、バイデンも引き継いだ
→結果はタリバンの復活、南シナ海の現状変更、台湾への強硬姿勢、ウクライナ侵攻など・・・
・アメリカと中東との関係
→中東はランドパワーとシーパワーが激突するリムランドで石油利権がある
→1948年からのイスラエル支援→イラン革命によるイラク支援→湾岸戦争→アフガニスタン侵攻や
イラク侵攻などで大きく関わってきた
→2000年からのシェール革命により世界一の原油産出国になった
→中東で軍事力を維持する必要がなくなり撤退、その後は中国が台頭している
・中南米は2001年の同時多発テロ対応から手薄に、2017年のトランプ政権で左派政権が増え、
そこに中国が関係を深めてアメリカの存在感が薄くなっている
→キューバも2017年のトランプ政権で関係悪化、コロナ禍で主力の観光業が減り経済危機に
→最大の貿易相手国が中国になっている
・ファイブアイズ・クアッド・アイペフ・TPP・ブルードットネットワーク・オーカス(略)
・地政学でひもとくアメリカ史
→1776年に東部13州300万人からスタート→ランドパワーによる武力制圧で西部へ進出
→1823年のモンロー主義には中南米カリブ海も含む(ヨーロッパには干渉させない)
→1846年のメキシコとの米墨戦争でテキサスとカリフォルニアを獲得→天然資源の宝庫
→1867年にロシアからアラスカを格安で購入、これで未開地は消滅しシーパワー獲得へ
→1898年のスペインとの米西戦争でキューバを植民地化→中南米とカリブ海を影響下に
→スペインからはフィリピンやグアムも獲得、ハワイや西サモアも併合し大平洋にも進出
→1914年にはチョークポイントのパナマ運河を完成させ租借権を獲得(返還は1999年)
→第二次世界大戦で日本に勝利、メキシコ湾カリブ海に続き太平洋も自国の内海にした
4章「ヨーロッパ・ロシアの地政学」より
・ユーラシア大陸は世界島でありヨーロッパは三方を海に囲まれた半島
→半島は海に出やすいが陸側から攻められると逃げ場がない→最大の脅威はロシア
→半島の付根部分(バルト海と黒海を結ぶ線)で衝突しやすい→ヨーロッパの断層線
→冷戦時代には緩衝地帯として翻弄され、2022年にはウクライナ侵攻
・ロシアは14の国と北極海に囲まれておりシーパワーを求めて南下することが基本戦略
・EU拡大(発足時の12から27へ、ユーロ導入は19)の問題点
→各国の経済格差が大きすぎる(労働力の移動などによる混乱)
→難民・移民の受け入れによるキリスト教という共通価値観の揺らぎなど
→反EU、反移民、反グローバルの声が高まっている
→イギリスは地政学上の利点を活かしたオフショア・バランシング外交を展開
→2020年にEU離脱(ブレグジット)
→2009年のギリシャ危機でEUが切り捨てなかったのは地政学上の理由から
・ロシアの資源戦略
→天然ガスのパイプラインを使った販売方法で、何かあればすぐに圧力をかけられる
→ドイツはじめヨーロッパは脱炭素政策で依存が高まっていた
・北極海の争奪戦
→温暖化により地政学の理論が変化する局面になる可能性が高い
→北極海航路の出現と原油・天然ガス・レアメタルなど資源採掘の実現
→ロシアは北極海沿いに24000km以上の海岸線を持ち領土の1/3は北極圏内
→航路や資源の開発を進められるが、北側の国境が外敵に晒されることにもなる
→今後は北方艦隊も増強せねばならない
→北極海ではアメリカや中国の動きも目立ってきている
・地政学でひもとくイギリス史
→ケルト人と後から来たゲルマン系アングロ・サクソン人が同化した辺境の島国だった
→陸上の防衛力が最小限で済んだため軍事費を海軍力や植民地経営にまわすことができた
→16世紀半ばから海洋進出を開始、強大なシーパワーで世界の1/4を支配していた
→スペイン、オランダ、フランスに勝利し北アメリカやインドの海岸都市などを植民地化
→立憲王政で国内政治が安定すると産業革命が起こり、さらに繁栄の時代に
→1783年のアメリカ独立でインド内部、ビルマ、マレー半島、マラッカ海峡、中国(清王朝)へ
→1875年にスエズ運河の権利を買収しアフリカや太平洋の島嶼部にまで進出、1901年には
オーストラリアを自治領に、1910年には南アフリカ連邦を成立・・・
→ドーヴァー海峡、ホルムズ海峡、マラッカ海峡、スエズ運河といったチョークポイントを抑え、
最強のシーパワー国になった→パックス・ブリタニカ→第一次世界大戦で疲弊した
・地政学でひもとくロシア史
→9世紀末にノルマン人がスラブ人を征服したキエフ大公国がルーツ
→13世紀にモンゴル帝国に征服されたが1480年にモスクワ大公国が独立しロシアの歴史へ
→1613年のロマノフ王朝誕生から周辺国を征服して世界最大のランドパワー国に
→1682年からの南下政策でオスマン帝国やスウェーデンと戦い黒海・バルト海を抑える
→18世紀後半にはクリミア半島のセヴァストポリに黒海艦隊の軍港
→19世紀後半には沿海州のウラジオストックに太平洋艦隊の軍港
→19世紀から20世紀にかけてイギリスが干渉するが南下政策は継続し東アジアへ
→ウクライナ侵攻により緩衝地帯を維持しようとしているがシーパワーも求め続けている
5章「中東の地政学」より
・トルコの主要領土アナトリア半島はアジア・ヨーロッパ・ロシアの接点
→ボスポラス海峡とダーダネルス海峡はシーパワーのチョークポイント
→現在のトルコは欧米と、犬猿だったロシアとを天秤にかける巧みな外交をしている
・イランはアラブ人ではなくペルシャ人の国で、その誇りが高い
→1979年のイスラム革命以降、各国のシーア派を支援して革命の輸出をしている
→ペルシャ湾に面し中東と中央アジアの接点で中国やロシアも重視
・親米スンニ派のサウジアラビア(アラブ人が多数派)と反米シーア派のイランとの対立
→レバノンではスンニ派政権をサウジが支援、反体制のヒズボラをイランが支援
→シリアではアサド政権をイランが支援、反体制派をサウジが支援
・パレスチナ紛争
→イスラエルは周囲を全てアラブ人国家に囲まれた脆弱土地で石油も独自水源もない
→対外膨張なしには存続が難しく、これはパレスチナ人にとっては災難でしかない
→イスラエル、親米アラブとイラン、シーア派とスンニ派が対立している構造
・シリア内戦
アサド家はシーア派の一派でシリアの多数派であるスンニ派を抑圧
→アサド政権、反体制派、IS、クルド人が争い疲弊している
→アメリカの反体制派支援からの撤退、地中海の海軍基地を守るロシアの政権支援、
政権と同じシーア派のイランの支援により、内戦が続いてもアサド政権は倒れない
・アフガニスタンはハートランドとリムランドの接点
→ロシアとイギリス、ソ連とアメリカの代理戦争が続いた
→ランドパワーの大国とシーパワーの大国の争いの舞台
・クルド語を話しスンニ派が多いクルド人は2500万~3000万人
→トルコ、シリア、イラン、イラクなどにまたがるクルディスタンに暮らす民族
→国を持たない世界最大の民族と呼ばれている
→イギリス、フランス、トルコの思惑で分断され、各国での弾圧が続くが独立運動も続く
→この状況が中東不安定化の要因ともなっている
・地政学でひもとくトルコ史
→1299年にトルコ民族により建国されたオスマン帝国(オスマン・トルコ)がルーツ
→1453年にビザンツ帝国(東ローマ帝国)を滅ぼし15世紀末にはアナトリア地方とバルカン半島、
16世紀前半にはエジプトとアラビア半島西岸、16世紀半ばには黒海、地中海、紅海、アラビア海、
ペルシャ湾の制海権を掌握、古代ローマ帝国領土の3/4を支配する大帝国になった
→大航海時代からヨーロッパ列強の海洋進出により東西貿易は地中海を離れたので徐々に衰退、
19世紀末にはロシアとイギリスに蹂躙され第一次世界大戦では同盟国側は連合国側に敗北
→国と民族は分断され1922年の革命でオスマン帝国は滅亡し現在のトルコ共和国になった
→オスマン帝国の支配下で安定していた中東は紛争が多発する火薬庫になった
6章「日本の地政学」より
・朝鮮半島から九州本土までは130km以上も離れており本格的な侵略はなかった
→中国から見れば日本列島が蓋をしており宗谷、津軽、対馬、大隅の海峡はチョークポイント
→大航海時代以降の覇権はシーパワー国家が制したが、今の日本は覇権を狙うレベルにはない
→それでも環太平洋やアジア各国へのシーレーンで世界をリードするハブ国家にはなり得る
・尖閣諸島は中国で需要が増える魚介類の宝庫で石油や天然ガスの埋蔵も推測されている
→軍事拠点としても重要で中国に編入すればアメリカに太平洋への進出を邪魔されない
→なので実効支配されてしまえば以後の排除は困難
・沖縄の米軍基地はアメリカの戦略に極めて重要で最高レベルの装備・軍備を有している
→中国の大平洋進出を牽制するキーポイントにあり、ICBMならロシア、中東、オセアニア
まで、全て射程内に収めることができる
→中距離ミサイルでも中国・インド・ロシアとオーストラリアの北半分までを射程内に収める
→現在アメリカは中距離ミサイルをもっておらず、中国は1250発以上をもっている
→2023年には開発配備予定だが、沖縄を含む第一列島線沿いへの配備が位置的に最も適切
→沖縄への中距離ミサイル配備の要請が近い将来にアメリカからあるかもしれない
・韓国と北朝鮮の反日政策(略)
・核シェアリング
→ドイツ・イタリア・オランダ・ベルギー・トルコには航空機搭載型B61タイプの核爆弾
(数は非公表だが100発ほどとされている)が存在する
→各国にシェアリングされた核は米軍が運用するもので各国には使用権も拒否権もない
→日本でも安倍元首相の核共有発言があったが岸田首相は認められないとしている
→シーパワーやランドパワーではなくニュークリアパワー(核兵器)を持った大国アメリカと
大国ソ連との冷戦は終わり両国とも削減したが、ウクライナ侵攻により見直しされるかも・・・
・地政学でひもとく日本史
→近隣に中国という大国が存在するが海流や季節風で独立を保ってきた
→古代4世紀後半から朝鮮半島に介入しシーパワーを発揮していた
→百済と友好関係にあり百済が唐や新羅に圧迫された663年に大軍を送り支援したが敗北、
以後は半島への影響力を失い海外進出はなかった
→1592年と1597年に李氏に明征服の案内を拒否された豊臣秀吉が朝鮮出兵したが敗北
→その後250年の江戸時代は鎖国でランドパワーだったが、明治以降に再び海洋進出へ
→1894年、朝鮮半島の支配権をめぐる日清戦争に勝利
→1904年、朝鮮半島と南満州の支配権をめぐる日露戦争にシーパワー同士の日英同盟で勝利
→1914年、日英同盟で第一次世界大戦で勝利しドイツ領の青島や南洋諸島に侵攻し国力増大
→世界恐慌による経済危機を大陸進出で乗り越えようと1932年に満州国を建国
→1937年からは中国との全面戦争に突入し資源確保と米英の中国支援遮断のためインドシナ半島へ
→それでABCD包囲網により石油などの輸入を封鎖され、1941年12月に太平洋戦争へ突入
→戦争初期はシーパワーが最大限に発揮され、東はギルバート諸島、西はビルマ(ミャンマー)、
南はガダルカナル島、北はアッツ島まで、日本史上で最大の領域を支配下に置いた
(大東亜共栄圏は大義名分で実態は植民地化だった)
→1942年6月ミッドウェー海戦での大敗後は防戦一方になり、1945年8月に敗戦
→戦後の東西冷戦では西側アメリカとの同盟により東側への防波堤となった
→冷戦終了後もアメリカのアジア戦略の重要拠点として中国やロシアににらみを利かせている
はてさて、今後の世界はどうなるんでしょうね・・・
2023年07月15日
華竜の宮
華竜の宮・・・
まずは表紙カバー裏にあった著者紹介から
デビュー作で第4回小松左京賞、本作でベストSF2010・国内編の第1位と、
第32回日本SF大賞を受賞された作家
裏表紙カバーにあった惹句とゆーか、あらすじであります
奥付
2010年10月に刊行された単行本の文庫版ですが、わたくし著者の作品は初読でした
例によって目次のご紹介・・・
以下、プロローグのてきとーな要約・・・
・環太平洋で地震の頻発が続く2017年(本作では7年後の未来ですね)、学術会議を終えた
新進気鋭の学者二人(モデルあり)が、巨大地震で大陸棚が崩壊しメタンハイドレート層から
(二酸化炭素の20倍の温室効果を持つ)メタンガスが発生した場合の海面上昇は8mになるが、
それに続くポリネシア・ホットプルームの上昇による海面上昇は250mに達するはずだと、
議論しているあたりからはじまります
・この理論が現実となり、やがて海の広さは白亜紀なみになって(ウィキによれば白亜紀の
海面上昇は120mとされてますが、プルームテクトニクス理論による本書の設定では258m)、
平野部が大半だった国は機能崩壊、生き残った民族の大移動もあって臨時の海上都市だけでは
限界になり各地で武力衝突がエスカレート、世界はいくつかの連合に分かれて、遺伝子操作
による人工生命体や人工知性体まで使った大殺戮と破壊の時代が続きます
・人類滅亡直前で一応の停戦合意に達したものの、列島から小さな群島と化した日本では、
隙間の人工浮島を合わせても人口は1/10になり、大陸側からの災厄が多かったことから、
反ユーラシア側(アメリカ側)連合の一員になって、名目上の独立は維持しています
(まあ、今も似たようなものか・・・)
・海は生活空間になり、飼い馴らした巨大海洋生物への寄生に適した人工種族「海上民」が、
巨大サンショウウオに似た「魚舟」で暮らし、各領海を越えて公海にまで進出してますが、
海底に沈んだ都市や工場や研究所などから流出し続ける汚染物質や分子機械などにより、
海洋生物には様々な変異が起きています
(少数になった旧来の人類は「陸上民」と呼ばれるようになっています)
・これが最初のホットプルーム上昇から数百年の歳月が経過した25世紀の世界であり、
「人類の文明と科学技術は後退と進歩、つまり揺り戻しを経験しながら、新しい環境に徐々に
適応していって、人類が迎えた第二の繁栄時代」だったのですが・・・
と、この時代を舞台にした第1部に入って行きます
このプロローグつーか設定説明が、プルームテクトニクス理論や遺伝子操作による人工生命体、
分子レベルの機械進化など、当時最新の研究成果をもとに詳しく描かれてて、さすが本格SF、
これは竹内均教授などによるプレートテクトニクス理論が、まだ仮説だった頃に発表された、
小松左京氏による「日本沈没」と同じパターンで、数々の賞を総ナメしたのもなるほどと納得、
物語世界に惹き込まれていきました
小説なので本編までは紹介できませんが、わたくしの思いつくままの感想・・・
・主人公は優秀有能な外交官だけど、自分の良心に従う行動をして本省の出世街道を外され、
辺境をタライ廻しにされながらも、陸上民と海上民との交渉を続けているのですが、この姿が
とても爽やかで、主人公を陰ながら支援する人たちの姿も爽やか、逆に意思決定する側の汚さ
醜さが際立ってて、その点では気持ちのいい勧善懲悪・海洋冒険モノとして楽しめました
・組織に属する側の理想と現実、自由に生きようとする側の理想と現実が、現代社会の鏡として
未来の極限社会という設定にすることによって、見事に表現されてました
これは戦場という極限状況を設定することによって、究極の人間性を描く戦争映画と同じで、
わたくしがSFや戦争モノの小説や映画が大好きな理由のひとつなのかも知れません
・自然災害や環境破壊と人類の努力、さらに政治の駆け引きから地球生命体のあり方まで、
もちろん水上や水中の戦闘シーンもあって・・・まさに正統派SF小説の真骨頂ですね
ちなみに著者は、文庫版(2012年11月)のあとがきに・・・
・単行本は2010年10月、その後の2011年3月に東日本大震災があり、しばしばコメントを
求められたが、殆どのコメントを控えさせてもらっている
・自分は1995年1月の阪神淡路大震災の際、神戸に住んでいて震災の影響で家族を亡くしている
・なので本作は1995年当時の社会状況に対する返歌として書かれている部分がある
・個人の体験から人類としての未来を幻視するという、SF特有の発想で書かれた作品だが、
小説とはそのような要素だけで書けるものではない
・海洋世界への憧れ、地球や生命の不思議に対する感動、ヒトと他知性と機械の理想的な
共生関係など、SFの形をとったロマンティシズムの横溢する作品で、こちらのほうこそ
読者の心に残りますように・・・
・たぶん、空想する心、想像する心こそが、私たちが生きるこの情けない現実に対する、
最も強力なカウンターブローに成り得るのですから・・・
といった内容を書かれてましたが、なるほどと納得しました
さらに、物語を一人称で語るのは主人公のアシスタント知性体(ネットワーク上の仮想人格)で、
常に繋がっている主人公との脳内会話や他のアシスタント知性体との会話でも物語を進めて
いくのですが、このような小説手法は今回はじめて知りました
で、読み終わってから、この作品が10年以上前に書かれていることに、あらためて驚きました
そう、ChatGPTなどの普及でパーソナルAIつーのが、ごく身近に感じられる現時点では、
この手法に全く違和感はないけど、10年以上前ならどうだったかと・・・
まずは表紙カバー裏にあった著者紹介から
デビュー作で第4回小松左京賞、本作でベストSF2010・国内編の第1位と、
第32回日本SF大賞を受賞された作家
裏表紙カバーにあった惹句とゆーか、あらすじであります
奥付
2010年10月に刊行された単行本の文庫版ですが、わたくし著者の作品は初読でした
例によって目次のご紹介・・・
以下、プロローグのてきとーな要約・・・
・環太平洋で地震の頻発が続く2017年(本作では7年後の未来ですね)、学術会議を終えた
新進気鋭の学者二人(モデルあり)が、巨大地震で大陸棚が崩壊しメタンハイドレート層から
(二酸化炭素の20倍の温室効果を持つ)メタンガスが発生した場合の海面上昇は8mになるが、
それに続くポリネシア・ホットプルームの上昇による海面上昇は250mに達するはずだと、
議論しているあたりからはじまります
・この理論が現実となり、やがて海の広さは白亜紀なみになって(ウィキによれば白亜紀の
海面上昇は120mとされてますが、プルームテクトニクス理論による本書の設定では258m)、
平野部が大半だった国は機能崩壊、生き残った民族の大移動もあって臨時の海上都市だけでは
限界になり各地で武力衝突がエスカレート、世界はいくつかの連合に分かれて、遺伝子操作
による人工生命体や人工知性体まで使った大殺戮と破壊の時代が続きます
・人類滅亡直前で一応の停戦合意に達したものの、列島から小さな群島と化した日本では、
隙間の人工浮島を合わせても人口は1/10になり、大陸側からの災厄が多かったことから、
反ユーラシア側(アメリカ側)連合の一員になって、名目上の独立は維持しています
(まあ、今も似たようなものか・・・)
・海は生活空間になり、飼い馴らした巨大海洋生物への寄生に適した人工種族「海上民」が、
巨大サンショウウオに似た「魚舟」で暮らし、各領海を越えて公海にまで進出してますが、
海底に沈んだ都市や工場や研究所などから流出し続ける汚染物質や分子機械などにより、
海洋生物には様々な変異が起きています
(少数になった旧来の人類は「陸上民」と呼ばれるようになっています)
・これが最初のホットプルーム上昇から数百年の歳月が経過した25世紀の世界であり、
「人類の文明と科学技術は後退と進歩、つまり揺り戻しを経験しながら、新しい環境に徐々に
適応していって、人類が迎えた第二の繁栄時代」だったのですが・・・
と、この時代を舞台にした第1部に入って行きます
このプロローグつーか設定説明が、プルームテクトニクス理論や遺伝子操作による人工生命体、
分子レベルの機械進化など、当時最新の研究成果をもとに詳しく描かれてて、さすが本格SF、
これは竹内均教授などによるプレートテクトニクス理論が、まだ仮説だった頃に発表された、
小松左京氏による「日本沈没」と同じパターンで、数々の賞を総ナメしたのもなるほどと納得、
物語世界に惹き込まれていきました
小説なので本編までは紹介できませんが、わたくしの思いつくままの感想・・・
・主人公は優秀有能な外交官だけど、自分の良心に従う行動をして本省の出世街道を外され、
辺境をタライ廻しにされながらも、陸上民と海上民との交渉を続けているのですが、この姿が
とても爽やかで、主人公を陰ながら支援する人たちの姿も爽やか、逆に意思決定する側の汚さ
醜さが際立ってて、その点では気持ちのいい勧善懲悪・海洋冒険モノとして楽しめました
・組織に属する側の理想と現実、自由に生きようとする側の理想と現実が、現代社会の鏡として
未来の極限社会という設定にすることによって、見事に表現されてました
これは戦場という極限状況を設定することによって、究極の人間性を描く戦争映画と同じで、
わたくしがSFや戦争モノの小説や映画が大好きな理由のひとつなのかも知れません
・自然災害や環境破壊と人類の努力、さらに政治の駆け引きから地球生命体のあり方まで、
もちろん水上や水中の戦闘シーンもあって・・・まさに正統派SF小説の真骨頂ですね
ちなみに著者は、文庫版(2012年11月)のあとがきに・・・
・単行本は2010年10月、その後の2011年3月に東日本大震災があり、しばしばコメントを
求められたが、殆どのコメントを控えさせてもらっている
・自分は1995年1月の阪神淡路大震災の際、神戸に住んでいて震災の影響で家族を亡くしている
・なので本作は1995年当時の社会状況に対する返歌として書かれている部分がある
・個人の体験から人類としての未来を幻視するという、SF特有の発想で書かれた作品だが、
小説とはそのような要素だけで書けるものではない
・海洋世界への憧れ、地球や生命の不思議に対する感動、ヒトと他知性と機械の理想的な
共生関係など、SFの形をとったロマンティシズムの横溢する作品で、こちらのほうこそ
読者の心に残りますように・・・
・たぶん、空想する心、想像する心こそが、私たちが生きるこの情けない現実に対する、
最も強力なカウンターブローに成り得るのですから・・・
といった内容を書かれてましたが、なるほどと納得しました
さらに、物語を一人称で語るのは主人公のアシスタント知性体(ネットワーク上の仮想人格)で、
常に繋がっている主人公との脳内会話や他のアシスタント知性体との会話でも物語を進めて
いくのですが、このような小説手法は今回はじめて知りました
で、読み終わってから、この作品が10年以上前に書かれていることに、あらためて驚きました
そう、ChatGPTなどの普及でパーソナルAIつーのが、ごく身近に感じられる現時点では、
この手法に全く違和感はないけど、10年以上前ならどうだったかと・・・
2023年07月11日
リハビリdeプチOFF会!!!
8日9日の土日・・・
ひさしぶりに懐中電灯好きの川端さんwingさんと姫路でダベってました
本来なら夏草でラピュタ状態になったwing別邸(姫路アジト)の草刈りもしたかったのですが、
わたくしはまだ骨折部位が不安定だし天候もイマイチだったので、結局は飲みつつ食べつつ、
ひたすらヲタ話・バカ話を続けるとゆー恒例の集まりとなりました
いつもどおり飲食を中心にさくさくっとご紹介・・・
今回も川端号が大阪で98k、神戸でwingさんをピックアップ、途中のコンビニで買い出しして、
姫路アジトに着いたのは土曜日のお昼頃でした
飲まない川端さんが二人にビールを注いでくれて、まずは再会を祝し乾杯!!!
wingさん差し入れのメーカーズマーク・ハーフボトルをば・・・
わたくしの「緊急時どこでも宴会キット」に入ってたアーリータイムスと飲み比べたり・・・
お二人はライト談義に花を咲かせたりしてると、たちまち夜になり・・・
夕方から「夕食宴会はまだかっ!!!」と騒ぎ続ける約1名の要請により・・・
10時に川端号で餃子菜館「てんじく」へ・・・
完飲完食・・・げふっ
ここの餃子は具材の味付けが濃厚とゆーか独特で、わたくしは大好きなんですが、
姫路と西明石と加古川にしか、お店がないのが残念ですね
まあ、満州の餃子も王将の餃子も眠眠の餃子も大好きなんでしゅが・・・
と、満腹状態でアジトに戻り、BDやHDDを観ては難癖をつけつつ、さらに飲みつつ食べつつ、
延々とダベリ続け、ようやく就寝したのは夜中の3時過ぎでした
で、翌朝は9時過ぎに起床、10時過ぎには、これまで食べる機会のなかった・・・
姫路名物「アーモンド・トースト」で遅めの朝食・・・
バターを塗った厚切り食パンに甘いアーモンドペーストと砕いたアーモンドを載せてから、
トーストしてるんでしょうか、こちらもなかなかのものでした
と、再びアジトに戻り・・・
川端さん差し入れの蕎麦ぼうろを食べ較べたりして、またまた延々とダベリング・・・
やがて、昼過ぎから「昼食宴会はまだかっ!!!」と騒ぎ続ける約1名を制御できなくなり、
3時半には姫路アジトを撤収、5時には芦屋にある高級イタリア料理店へ・・・
まあ、世間ではサイゼリヤと呼ばれている高級店でありましゅが・・・
わたくしは安くて美味しいサイゼリヤが大好きなんですが、やはり自宅の近くにはないので、
じつにひさしぶりだったのでありますね ばくばくごくごく げふっ
と、酔っ払い二人は川端号でそれぞれの自宅まで送ってもらい、わたくしは7時過ぎに帰宅、
とても楽しかった二日間を終えました
川端さんwingさん、今回もお世話になりありがとうございました
お陰様で脚の骨折もすっかりよくなった・・・のだろうか???
先週の診察で医師から、骨が自然癒着するまで、まだ1ヶ月はかかると言われてるので、
その後にようやく、筋トレなど本格的なリハビリがはじまりそうです
なので、その際には温泉OFF会とかにも誘ってね!!! じゅるじゅる
ひさしぶりに懐中電灯好きの川端さんwingさんと姫路でダベってました
本来なら夏草でラピュタ状態になったwing別邸(姫路アジト)の草刈りもしたかったのですが、
わたくしはまだ骨折部位が不安定だし天候もイマイチだったので、結局は飲みつつ食べつつ、
ひたすらヲタ話・バカ話を続けるとゆー恒例の集まりとなりました
いつもどおり飲食を中心にさくさくっとご紹介・・・
今回も川端号が大阪で98k、神戸でwingさんをピックアップ、途中のコンビニで買い出しして、
姫路アジトに着いたのは土曜日のお昼頃でした
飲まない川端さんが二人にビールを注いでくれて、まずは再会を祝し乾杯!!!
wingさん差し入れのメーカーズマーク・ハーフボトルをば・・・
わたくしの「緊急時どこでも宴会キット」に入ってたアーリータイムスと飲み比べたり・・・
お二人はライト談義に花を咲かせたりしてると、たちまち夜になり・・・
夕方から「夕食宴会はまだかっ!!!」と騒ぎ続ける約1名の要請により・・・
10時に川端号で餃子菜館「てんじく」へ・・・
完飲完食・・・げふっ
ここの餃子は具材の味付けが濃厚とゆーか独特で、わたくしは大好きなんですが、
姫路と西明石と加古川にしか、お店がないのが残念ですね
まあ、満州の餃子も王将の餃子も眠眠の餃子も大好きなんでしゅが・・・
と、満腹状態でアジトに戻り、BDやHDDを観ては難癖をつけつつ、さらに飲みつつ食べつつ、
延々とダベリ続け、ようやく就寝したのは夜中の3時過ぎでした
で、翌朝は9時過ぎに起床、10時過ぎには、これまで食べる機会のなかった・・・
姫路名物「アーモンド・トースト」で遅めの朝食・・・
バターを塗った厚切り食パンに甘いアーモンドペーストと砕いたアーモンドを載せてから、
トーストしてるんでしょうか、こちらもなかなかのものでした
と、再びアジトに戻り・・・
川端さん差し入れの蕎麦ぼうろを食べ較べたりして、またまた延々とダベリング・・・
やがて、昼過ぎから「昼食宴会はまだかっ!!!」と騒ぎ続ける約1名を制御できなくなり、
3時半には姫路アジトを撤収、5時には芦屋にある高級イタリア料理店へ・・・
まあ、世間ではサイゼリヤと呼ばれている高級店でありましゅが・・・
わたくしは安くて美味しいサイゼリヤが大好きなんですが、やはり自宅の近くにはないので、
じつにひさしぶりだったのでありますね ばくばくごくごく げふっ
と、酔っ払い二人は川端号でそれぞれの自宅まで送ってもらい、わたくしは7時過ぎに帰宅、
とても楽しかった二日間を終えました
川端さんwingさん、今回もお世話になりありがとうございました
お陰様で脚の骨折もすっかりよくなった・・・のだろうか???
先週の診察で医師から、骨が自然癒着するまで、まだ1ヶ月はかかると言われてるので、
その後にようやく、筋トレなど本格的なリハビリがはじまりそうです
なので、その際には温泉OFF会とかにも誘ってね!!! じゅるじゅる
2023年07月07日
狙うて候・・・
前回記事の続きとゆーか全く異なる世界とゆーか、狙うて候・・・
銃豪 村田経芳の生涯・・・剣豪伝ならぬ銃豪伝であります
奥付
20年前の新刊で、著者は前回記事と同じ東郷 隆・・・
雑誌連載は28年前からで、著者は本作で第23回新田次郎賞を受賞されてます
例によって目次のご紹介
600頁を超える分厚い単行本でしたが、面白くて二晩で完読しました
会話文が全て(幕末明治の)薩摩弁でしたが定吉七番シリーズの大阪弁と同じく違和感が殆どなく、
読後しばらくは、頭の中が完全に薩摩弁になってました
わたくしも村田経芳が国産初の近代軍用小銃「村田銃」を作った人物という程度は知ってましたが、
欧州にも知られた射撃の名手だったとか、薩英戦争、戊辰戦争、西南戦争に従軍し、指揮官、
時には狙撃手として常に最前線にいたとか、晩年は銃に限らず弓術からビリヤードまで研究、
ともかく「遠方から物を正確に当てること」への欲求が強かった人だったとか・・・
全く知らなかった話、幕末明治の興味深い話も満載で、さすが博識な著者の大作であります
とても濃い内容で銃や射撃に関するエピソードだけでも数多く、概要紹介などはムリなので、
表紙カバー裏にあった村田経芳の略歴のみご紹介・・・
この生涯を600頁以上も飽きさせず、一気に読ませる筆力はさすがでした
主人公がどんな立場の人に対しても純粋な技術者として公平に接し、西郷隆盛が失脚しても、
政治が大きく変わっても、当初からの信念(国産小銃による統一)を貫いて達成するというのは、
幕末明治の大変革期とはいいながら、やはり凄い人物だと思いました
欧米世界では薬莢や後込め式など新しい技術が次々と開発され、余剰中古から最新式まで、
最大の銃器市場となっていた幕末から明治初期の日本で、自分を取り巻く状況も激変する中、
あらゆる小銃を試して研究を続けたというのが、他の維新立役者と異質なところなんですが、
やはり同じ明治人の気骨ともゆーべきなのか・・・
さてさて、今の日本の技術者はどうなんでしょうね・・・
せっかくなので、以下は村田銃と有坂銃に関する読後メモです
・村田銃の当初の生産量は明治13年(1880)制式の13年式単発村田銃が約6万挺、生産効率や
着剣重量などを改良した18年式が約8万挺、騎兵用短小銃が約1万挺で、年間生産3万挺を達成、
明治21年(1888)頃には屯田兵や輜重兵にまで最新の18年式が行き渡り、この時点でようやく
国産小銃による近代軍隊が日本でも実現した
(海外ではこれらを総称してムラタ・ライフルと呼ばれている)
・13年式は明治16年(1883)に来日したドイツの将軍から最優秀軍用小銃との認定書が出て、
ギリシャやブラジルから大量購入依頼が来たほど当時としては世界的な名銃だった
・無煙火薬の実用化(フランスが最初)は18年式の1年前で、各国も一斉に連発銃の開発を開始、
(それまでの黒色火薬では煙と煤がひどく連射機構は以前からあったが単発式が主流だった)
日本でも22年式連発村田銃が急きょ開発されたがチューブ弾倉で装填時間も生産効率も悪く、
平弾頭で命中精度も悪かったので(この辺りはこちらの本に)、村田も改良を続けていたが、
明治27年(1894)の日清戦争には改良が間に合わなかった
・日露戦争(明治37年~38年(1904~5)では村田の配下から後任となった有坂成章による
30年式歩兵銃が主力銃になったものの、一部では村田銃も使われていた
・さらに有坂の後任である南部麒次郎が30年式歩兵銃を一部改良して38年式歩兵銃となり、
この38年式は計340万挺が生産されている
(海外ではこれらを総称してアリサカ・ライフルと呼ばれている)
・30年式(1897)はドイツ国防軍のマウザーK98k(1898)、ソ連労農赤軍のモシン・ナガンM1891/30、
イギリス軍のリー・エンフィールドNo.4 MkI(1895)、イタリア王国軍のカルカノM1891、
フランス軍のルベルM1886、アメリカ軍のスプリングフィールドM1903とほぼ同時期であり、
主要国のボルトアクション式小銃は1900年前後に完成の域に達した(ウィキペディアより)
云々・・・
銃豪 村田経芳の生涯・・・剣豪伝ならぬ銃豪伝であります
奥付
20年前の新刊で、著者は前回記事と同じ東郷 隆・・・
雑誌連載は28年前からで、著者は本作で第23回新田次郎賞を受賞されてます
例によって目次のご紹介
600頁を超える分厚い単行本でしたが、面白くて二晩で完読しました
会話文が全て(幕末明治の)薩摩弁でしたが定吉七番シリーズの大阪弁と同じく違和感が殆どなく、
読後しばらくは、頭の中が完全に薩摩弁になってました
わたくしも村田経芳が国産初の近代軍用小銃「村田銃」を作った人物という程度は知ってましたが、
欧州にも知られた射撃の名手だったとか、薩英戦争、戊辰戦争、西南戦争に従軍し、指揮官、
時には狙撃手として常に最前線にいたとか、晩年は銃に限らず弓術からビリヤードまで研究、
ともかく「遠方から物を正確に当てること」への欲求が強かった人だったとか・・・
全く知らなかった話、幕末明治の興味深い話も満載で、さすが博識な著者の大作であります
とても濃い内容で銃や射撃に関するエピソードだけでも数多く、概要紹介などはムリなので、
表紙カバー裏にあった村田経芳の略歴のみご紹介・・・
この生涯を600頁以上も飽きさせず、一気に読ませる筆力はさすがでした
主人公がどんな立場の人に対しても純粋な技術者として公平に接し、西郷隆盛が失脚しても、
政治が大きく変わっても、当初からの信念(国産小銃による統一)を貫いて達成するというのは、
幕末明治の大変革期とはいいながら、やはり凄い人物だと思いました
欧米世界では薬莢や後込め式など新しい技術が次々と開発され、余剰中古から最新式まで、
最大の銃器市場となっていた幕末から明治初期の日本で、自分を取り巻く状況も激変する中、
あらゆる小銃を試して研究を続けたというのが、他の維新立役者と異質なところなんですが、
やはり同じ明治人の気骨ともゆーべきなのか・・・
さてさて、今の日本の技術者はどうなんでしょうね・・・
せっかくなので、以下は村田銃と有坂銃に関する読後メモです
・村田銃の当初の生産量は明治13年(1880)制式の13年式単発村田銃が約6万挺、生産効率や
着剣重量などを改良した18年式が約8万挺、騎兵用短小銃が約1万挺で、年間生産3万挺を達成、
明治21年(1888)頃には屯田兵や輜重兵にまで最新の18年式が行き渡り、この時点でようやく
国産小銃による近代軍隊が日本でも実現した
(海外ではこれらを総称してムラタ・ライフルと呼ばれている)
・13年式は明治16年(1883)に来日したドイツの将軍から最優秀軍用小銃との認定書が出て、
ギリシャやブラジルから大量購入依頼が来たほど当時としては世界的な名銃だった
・無煙火薬の実用化(フランスが最初)は18年式の1年前で、各国も一斉に連発銃の開発を開始、
(それまでの黒色火薬では煙と煤がひどく連射機構は以前からあったが単発式が主流だった)
日本でも22年式連発村田銃が急きょ開発されたがチューブ弾倉で装填時間も生産効率も悪く、
平弾頭で命中精度も悪かったので(この辺りはこちらの本に)、村田も改良を続けていたが、
明治27年(1894)の日清戦争には改良が間に合わなかった
・日露戦争(明治37年~38年(1904~5)では村田の配下から後任となった有坂成章による
30年式歩兵銃が主力銃になったものの、一部では村田銃も使われていた
・さらに有坂の後任である南部麒次郎が30年式歩兵銃を一部改良して38年式歩兵銃となり、
この38年式は計340万挺が生産されている
(海外ではこれらを総称してアリサカ・ライフルと呼ばれている)
・30年式(1897)はドイツ国防軍のマウザーK98k(1898)、ソ連労農赤軍のモシン・ナガンM1891/30、
イギリス軍のリー・エンフィールドNo.4 MkI(1895)、イタリア王国軍のカルカノM1891、
フランス軍のルベルM1886、アメリカ軍のスプリングフィールドM1903とほぼ同時期であり、
主要国のボルトアクション式小銃は1900年前後に完成の域に達した(ウィキペディアより)
云々・・・