災害避難について2災害避難について4

2011年03月17日

災害避難について3

(災害避難についての「まとめ記事」はこちらです。)


日本登山医学会が今回の大震災にあたって、急きょブログサイトを立ち上げられました。

低体温症カテゴリや、水カテゴリなど、おおいに災害避難の際の参考になると思います。


テレビ報道による現在の状況では、ビルの屋上や高台などに一時避難されていた人たちが、
全国から集まった自衛隊、警察、消防の方々や、地元の方々の手によって、
次々と無事救助され、地元の仮設避難所や病院などに収容されているようです。

ただ、インフラ被害の規模が大きく、多くの避難所で水、食料、燃料、医薬品などが不足、
また、行政そのものが潰滅的打撃を受け、情報収集や救援が行きとどかない事情もあるようです。

空港や港、道路、鉄道などインフラの復旧も本格的になってきましたが、現在のところ、
充分な物資や人員を供給するのには、もう少しだけ時間がかかるようです。
ただ、たとえば道路にしても、当初の瓦礫でまったく歩けない状況から歩けるようになり、
さらに重機が入って一部はクルマも走れるようになってきてるのが映像からも確認できます。

道路、港、鉄道などの輸送インフラが一部でも使えるようになれば、
物資供給や復旧支援は、等比級数的に拡大していきます。
こちら大阪からだけでも、毎日ひとケタずつ、支援物資や支援要員の数が増えております。
全国的にも同様ですから、あとしばらく助け合って頑張ってください。



さて、今の多くの被災者の災害避難状況は、極端な物資不足の寒い仮設避難所での生活、
ということになるのでしょうが、わたくしが阪神淡路大震災で避難所のお手伝いをしたのは、
神戸や阪神間から徒歩で脱出されてきた方々向けに、大阪市内北部に設置された、
遠い親戚宅など長期の避難先に落ち着くまで、とりあえず宿泊していただく避難所でしたので、
物資も要員もインフラも比較的豊富な中での被災者対応でした。

ですから、今回のような状況下での避難所生活については、わたくしには、
あまりお役に立つようなことは書けませんので、実際に経験されているwingさんや川端さん、
ぜひ参考になるような追加コメントをお願いします。

わたくしのキャンプでの避難経験や、当時の避難所での経験からは、
①体育館など広い避難所では、小型の自立式ドームテント(フライシートは屋内なので不要)
があればプライバシーが確保できて暖かくて落ち着く。②毛布などの寝具と板張りの床の間に、
断熱マットを敷くと格段に快適に眠れる。③被災者は落ち着いたりあわてたり、
夜と昼が逆転したり、食事が不規則になったりしてるので、話しを聴くなど丁寧なケアが必要。
④なんといっても温かい食事、温かいお風呂、乾いて清潔な衣服で、夜でも明るい照明が一番。
(ともかく夜は真っ暗という経験をされて、暗闇には極度に敏感になられてました。)
といったところが、避難所でのポイントだったかと思います。



いっぽう今回、東京都心部などでは、停電などの影響で帰宅困難者も多く発生したようで、
実際にHiguさんやalaris540さんも、停電で帰宅困難となり苦労されたようです。
(まあ、Higuさんの疲労原因は大量のライトと予備電池のEDCでしたし、alaris540さんの場合、高級折りたたみ自転車をEDCされてますから、
苦労というよりも経費節約とトレーニングといった要因が大きかったと思われますが・・・)



大規模災害時の帰宅については、以前、川端さんが詳しく長期連載されてましたが、
わたくしもキャンプや山歩きの経験から、災害時の帰宅にあたってのポイントを述べてみます。

今回のように、帰宅にいつもの交通ルートが使えないことが分かった場合、
まず多くの交通情報を収集し、可能な代替ルートを探すでしょう。
その上で、全部または一部に、かなりの距離の徒歩区間が含まれる場合、
そのルートのおおよその状況や所要時間と、自分の装備や体力によって、
「とどまるか、強行帰宅するか。」の決定をすることになります。

そこにとどまる方がはるかに危険な場合などは、むろん選択の余地はありませんが、
山歩きでトラブルが発生したときの「先に進むか、ルートを変えるか、引き返すか」の判断同様、
「どの方法が一番安全か」を、まず基準にしなければなりません。

職場や関係先に戻る、宿泊施設や仮設避難所を探す、知人宅を頼る。といった選択肢もあります。
安全な建物内で仮泊できる場合は、前回紹介したモノをEDCしておればなんとかなります。
仮眠施設のない職場だとしても、これは仮眠しつつ朝まで仕事するようなもの、
野外で仮泊するのとは大きな違いですので、できるだけそちらの選択肢も考えましょう。

そのうえで、何とか帰宅できる、あるいはなんとしても帰宅せねば危険、となったとき、
「夜間に長距離を歩く」最低限の装備と体力と知識が必要になってきます。

(以下、次回に続きます。)




m98k at 00:33│Comments(4) mixiチェック 災害避難とか | その他アウトドア

この記事へのコメント

1. Posted by 川端   2011年03月17日 09:42
報道を観る限りになりますが、

避難生活や孤立について、これだけ広範囲に甚大な被害が出ていて、しかも場所によっては原発云々なんてのも絡んでしまうと、もう現地の状況を想像する事すら困難だというのが正直な感想です。

ただ、私の場合はとにかく寒いのを何とかして欲しいとばかり考えていたような記憶がありますので、早く気候が暖かくなれば良いのにな。とm(_ _)m


帰宅困難、私は職場が住処と近いので事実上可能性が薄いのですが、それでもやはり気休めにでもと「装備」をある程度持ち歩いています。

個人的に見直しを考えているので、前回前々回、そして今回のリンク、非常に参考になりますm(_ _)m
2. Posted by 98k   2011年03月17日 19:50
川端さん、ありがとうございます。
>とにかく寒い
そうですね、水分補給できて日陰さえあれば、暑さ対策は不要ですが、寒さには必ず対策が必要ですね。
低体温症でも水分補給は重要だそうですが、ともかく身体を冷やさない工夫、濡らさない工夫(乾かす工夫)、
そして暖める工夫を、こまめにやるしかないですね。あらゆるモノを利用して・・・
3. Posted by TOMO   2011年03月17日 22:59
帰宅困難の問題じゃなく、まずどうやって生き延びるかが問題だった東北の被災地でも、その後、肉親の姿を求めて避難所を歩いて回る人など多いようですし、携帯の充電に行くとか、何かと「歩く」は課題になりそうですね。
勝手知ったる地元での被災とは限らず、例えば近隣都市に出かけているときに被災すれば、当然、歩きの問題は出てくると思われます。
私も、足元の装備を含め、考えてみたいと思います。次号に期待。
4. Posted by 98k   2011年03月17日 23:31
TOMOさん
おっしゃるとおりで、延々と線路沿いに歩いて避難されている光景もありましたね。
「あっ、あの荷物、こう持てば少しは楽なのに…」とか思ったりしましたので、
四十年の山歩き経験から、何か参考になれば、と考えているのですが…
まあ、このトシになると、お互い若い衆に背負ってもらってですね…
だれだっ、そのまま山へ捨てようと相談してるのは?

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