災害避難について4非常用装備だけ?OFF会

2011年03月24日

災害避難について5

(災害避難についての「まとめ記事」はこちらです。)

昨日になりますが、3月23日のサンケイ新聞の朝刊、大阪版では8面の上段に、
今の日本人のこころを、ほんとうに癒してくれるような写真が掲載されてました。

タイのバンコクで、僧侶が地面に置いた日の丸の周囲にろうそくを立てて、
この大震災の犠牲者の冥福を祈ってくれている写真であります。

その周囲には、老若男女いろんな人たちが集い、やはり白装束でろうそくを持って、一緒に祈ってくれてました。

ほんとうにありがたいことだと思いました。

おそらくはロイターの報道カメラマンの撮影でしょうが、写真としても素晴らしい作品で、
わたくしも一生に一度はこのような、人を癒せる写真を撮ってみたいとも思った次第です。

一人でも多くの方にご覧いただきたいと思い、ついつい紹介させていただきました。




さて、前回からの続き、長距離歩行避難の際のポイントと装備についてであります。

前回、装備としては靴と服装について述べましたが、今回はそれ以外の装備について考えてみましょう。

一時的な災害避難用に、いつも持ち歩くべき(EDC)装備や非常持ち出し袋の中身については、
こちらの記事で述べましたが、長距離歩行避難となると、直近のシェルターに避難するのとは、
また異なる装備が必要になってきます。

一時避難用のEDCとして、手袋、ツールナイフ、鞄またはリュック、パラコード、ライト、レスキューシート、
ライター、ジップロックのビニール袋(水筒)、アメ
、ラジオ、バンダナ、ティッシュ、救急セット、
そして自宅や職場の非常持ち出し袋には、それに追加する水と食料と燃料と書きました。

これらは長距離歩行避難用にも必要ですが、さらに追加変更して、以下の装備が必要と思われます。

まず、前回記事で書いた長距離歩行用の靴と服装、目的地までの地図やコンパスが必要となります。
それらが手元にない場合は、よりリスクが高くなることを考えて、最終判断をしてください。

以下同様ですが、水、食料については、歩行中の水分補給、カロリー補給ということになり、
じっと停滞するときとは異なる行動食(エナジーバーやスポーツドリンクなど)のほうがいいでしょう。

さらにライトについても、停電で全く明かりのない夜間の長距離歩行を前提とした場合は、
急いで短距離を移動して、その一時避難先で救助されるまでの数日間を過ごす場合とは異なり、
少なくとも一晩中、足元だけでなくある程度進行方向も照らせるようなライトが必要です。
いくら地図やコンパスを持っていても、道標や目標物を照らして確認できなければ暗闇での歩行は危険です。

また燃料については、重量を少しでも軽減するため、40kmの歩行程度では置いていきましょう。

これ以外にも、歩行用のストックがあれば、足に来る疲労がかなり軽減されますし、
公園やバス停のベンチで仮眠する前提であれば、レスキューシート以外にも、
断熱マットやシュラフがあった方がいいのでしょうが、このあたりは体力とのかねあい、
崩壊の危険のない建物があれば、そこでレスキューシートにくるまり、お尻の下にリュックを敷いて、
膝を抱えて(ダンボール等の断熱材があれば、もちろん横になって)仮眠するのが一番ですし、
落ちている棒きれなどをストック代わりにする方法もあります。

また、ルート上の一部でも電力が供給されている場合には、自販機やコンビニが使えますし、
脱出先での当面の生活を考えても、ある程度の現金とキャッシュカード、通帳なども必携だと思います。

以上、瓦礫などで通行不能となっている場合の装備までは想定していませんが、
そんな場合に備えて工具などを装備するより、ふだんからルート上の危険個所や、
それを回避するためのエスケープルートを調べておく方が、はるかに重要だと思います。



P.S.

富士山など、ご来光を見るための夜間登山も盛んですが、あれはあくまで整備された登山道を、
整備された案内板に従って歩く一般登山で、しかも疲労度が高まる行程の後半は、
明るい中を歩くわけですから、分岐の多い市街地を道標も目標物も見えない真っ暗な中、
寸断された全行程を歩く夜間の長距離歩行避難とは難易度がちがうと思います。

山のベテランでも、はじめて夜間登山する場合は、慣れたルートでもかなり慎重になりますし、
ましてや知らないルートなら、入念な事前調査と可能な場合は昼の下見をするでしょう。
その意味では、比較的安全な時(計画停電時など)に歩いておくことも必要ですが、
真の闇が拡がり、道路も瓦礫で寸断されている状況の想定はなかなか困難だと思います。

ですから、広域的な災害時や悪天候時、あるいは体力が消耗している時などの夜間歩行は、
できるかぎり避けるべきですし、最初に述べたように、他の選択肢がない場合の手段だと思います。

40km、10時間程度なら、冬でも明るいうちに走破できる範囲ですから、長距離を歩行避難する場合も、
山の縦走と同じく、「朝早くから行動し、明るいうちに目的地に到着する」ことが基本です。






m98k at 01:50│Comments(5) mixiチェック 災害避難とか | その他アウトドア

この記事へのコメント

1. Posted by monozof   2011年03月24日 09:03
そう言えば昔は忘年会時期になるとタクシーにあぶれた酔客が吹雪の街路で行き倒れて・・・と言う記事を良くみかけたけれど、近年見かけなくなったのは温暖化と景気の悪いおかげと言うべきか?う-ん。

とりあえず今の職場とその周辺の家屋は高確率で骨組みを残して倒壊する予定・・として、一時避難場所は北北東2kmほど先の公園&体育館&公民館辺りと頭にインプットしておきました。
2. Posted by 98k   2011年03月24日 20:37
monozofさん
そういえば、タクシーにあぶれた酔客そのものを、最近はめったに見かけなくなりましたねえ。
まあ、キャンプOFF会でテントに入りそびれた酔客が行き倒れているのはよく見かけますが・・・

>公園&体育館&公民館辺り
まさに理想的な一時避難場所ですね。
どれかの建物が残ってたら指定避難所になるだろうし、そうなれば電池の支給も優先的に・・・
そうか、monozofさんのいる避難所は明るすぎて、誰にも停電中だと思ってもらえないか・・・


3. Posted by TOMO   2011年03月24日 21:22
私の所では、タクシーにあぶれた酔客は、行き倒れて寝ている間に蚊の猛攻撃に遭う.....てなことはありません。地方都市は、酔客よりタクシーの方が数が多いくらい景気が低迷しています。
実際は、「超」車社会ですので、夜間は「代行運転」の車が幅を利かせていますね。
さて、40キロですか。昨秋のオフ会で、キャンプ場から玄界灘に面した「岬」までの行程が40キロくらいですね。私の自宅からだと、北隣の県の県庁所在地までいってしまう距離です。
若いころ(あくまで若いころね)、毎年2回ずつ歩いていたなんて信じられない距離ですね。今ではとうてい無理でしょう。
しかし、逆に考えると40キロ歩ける根性と体力があれば、例えば今回の震災で言うと、原発の屋内退避勧告地域のさらに外側まで脱出できるということになりますね。道路状況や燃料の問題などで、必ずしも車が使えるとは限らないので、これは一考の価値があると思います。私の所、ちょうど北西方向40キロほどに、原発があるんですよ。方角が悪い、冬だったら、もろ風上です。
4. Posted by 川端   2011年03月25日 17:28
そーいや、リアルの電池系やコンロ系とか水以外で、ネット通販だと良さげなラジオとかエマージェンシー系のシートなんかの品切れも目立ってたんで、被災地以外でもこの際だから防災装備整えとこうかな?的なお買い物というか、そういう考えを持つ方が少し増えたのかも知れませんね。

アタシはってーと、レーションオフのあとすぐにポカリスエットの粉買いましたとさ\(^^)
5. Posted by 98k   2011年03月25日 20:24
TOMOさん
>昨秋のオフ会で、キャンプ場から玄界灘に面した「岬」までの行程が40キロくらいですね・・・
おおっ、我々はあんな長い距離を(若い頃は)歩いてたんですねえ・・・とほほほ
長距離歩行避難には、記事本文にも書いたとおり、やはり心身の「慣れ」が最重要だと思います。
一部徒歩通勤や日帰りハイキングからはじめて、やがてテント泊の山歩き、そして夜間歩行と慣れていくのがベストでしょうが、
ほんの少し歩いただけで、「ふう、今日はよく歩いたな、まずは一杯・・・ぐびぐびぐび・・・ぷはぁ」
となってしまい、なかなかそれ以上進展しないのは、どうしてなんでしょうね・・・


川端さん
まあ、みなさんが少しでも防災意識を高め、装備を整えられるのはいいことなんですが、
パニックみたいに、品切れになるまで買い込まなくてもよさそうなんですけどね・・・
>レーションオフのあとすぐにポカリスエットの粉・・・
荷物やアップダウンなどで負担のかかる歩行は、けっこう水分やミネラル分を消費しますから、
しっかりと体内のイオンバランスをとることも重要です。
スポーツドリンクについては、ふだんの取り過ぎには注意が必要ですが、
長距離歩行の際の疲労軽減や筋肉痙攣の予防には便利だと思います。
まあ、スポーツドリンクのかわりに、ビールで回復する人とか、糖分だけで回復する人もおられるようですが・・・
ねっ、wingさん、red-bicycleさん



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