2018・内モンゴル紀行7・沙漠科学館2018・内モンゴル紀行9・恩格貝から北京へ

2018年06月05日

2018・内モンゴル紀行8・講座と宴会

前回記事からの続きです。

沙漠科学館から宿舎に戻った一行は2階にある会議室へ・・・

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T橋さんの司会で沙漠講座のはじまりであります・・・



まずは現地長期ボランティアT城さんのお話・・・

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氏は現在、陝西師範大学・西北歴史環境興経済社会発展研究院の客員研究員で、
日本沙漠緑化実践協会の長期ボランティアとしては、恩格貝では30万本の植林エリアを
一人で管理されているそうです。NHKの番組「プロジェクトX」にも遠山先生と出演されてました。
日本のレトルトカレーの空き箱をメモ帳に利用されてるのが素敵でした。

職場の中国語研修で訪中、それがきっかけで沙漠緑化実践協会の長期ボランティアに来たけど、
最初は何をやっていいのか分からず悩んでいるときに、中国の「治沙造林学」と出会ったそうで、
その概要などをお話しして下さいました。
わたくしが恩格貝の今後についてお訊ねしたところ、
「GEN(緑の地球ネッワーク)をはじめ、どのNPOも単独では継続が難しくなっています。
お互いの組織が協力しあって、実践と研究の両輪で日本のNPOを復活させるべきです。」
とのことでした。
高齢化と専門家(何せ澤井代表だけですから)の後継が不安なN.GKSとしても耳の痛い話でした。


次はN.GKS澤井代表のお話・・・

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よく講演で使われる「>--<」と「<-->」の錯視絵(ただし実際は「<-->」のほうが少しだけ長い)
が描かれたレジュメで、直線が長いのはどちらか、と質問、見た目で素直に「>--<」と答えた人は、
とても人間性の豊かな人、同じと答えた人は、錯視の知識だけで判断してしまう知識偏重派、
正解の「<-->」と答えた人は、よほどひねくれた人か、見た目や知識で判断せず実測してから
答えを導き出す研究実践派、これからの日本人は、この研究実践派にならなければ・・・といった
導入部からでしたが、これはT城さんの今後のNPO活動のあるべき方向とも共通してましたね。

後の話はあちこち飛びましたが、クブチ沙漠が20000㎢で恩格貝の植林地が200㎢といっても
想像できないだろうが、あの鳥取砂丘が16㎢といえば、その大きさが想像できるだろうとゆーのも、
なるほどでした・・・

他にも木材・林業の専門家らしく羊害防止のための牧柵は有刺鉄線などではなく間伐材のポプラを
使えばいい、最近の恩格貝では間伐していないので、どのポプラもさらにヒョロヒョロになっていた、
今は間伐が最重要課題とのことで、これは日本沙漠緑化実践協会でも認識されてるようですが、
政府の緑化政策により樹木の伐採は(間伐も含め)一切禁止・・・
一見、不合理で馬鹿馬鹿しい禁止令のようですが、たとえ間伐であっても、いったん伐採を認めると、
あらゆる歯止めが効かなくなり、ともかく儲かる方向に突っ走る恐れも大きいのでしょう。
せめて沙漠緑化実践協会の森だけでも・・・といっても伐採するのは現地の人たちですし・・・
ここは政府も難しい判断なんでしょうね・・・



と、恒例の沙漠講座が終わり、自室で一息・・・

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トイレもきれいになってて、水もスムーズに流れましたが、やはりトイレットペーパーは流さないように、
とのことでした。確かに備え付けのペーパーはなかなかちぎれない「とても丈夫なもの」で繊維が長く、
錆びた鉄の排水管に引っかかるのは明らか、もともと流す前提ではないんですね。
日本から持ち込んだペーパーはすぐに水に溶けるので多分大丈夫だろうけど、万一詰まった場合は、
とんでもない悲劇になるので、やはり備え付けのごみ箱へ。

シャワーも各室に小型の電気給湯器が設置されてて、配管もシャワーノズルも新旧2種類があり、
新しいほうを使うようにとの指示がありました。いつでもシャワーが使えるのは有難いですね。
水温調節も快適でしたが、使い過ぎると次に温水が使用できるまで2時間かかるとのことでした。

昔と比べて設備はずいぶんよくなってましたが、ここはグーグルでは「ユースホステル」になってて、
やはり大都市のホテルとはレベルが異なります。

ええ・・・

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ドアロックどころか、ドアノブそのものがなかったし・・・

他にも窓の網戸が壊れててフロントに知らせましたが滞在中はそのままでした。
それでも昔よりはるかに快適、昔の北京の一般ホテルのレベルになったとゆー感じでしょうか。
まだ何とか、都会から沙漠緑化の最前線に来た気分も味わえました。

と、同室のO日向さんとまったりとお話・・・

植林の初期に沙漠緑化実践協会の長期ボランティアとして滞在されてて、その後はN.GKS隊にも
何度か参加され、今回澤井代表の誘いもあって、ひさしぶりに恩格貝に来られたとのこと。

協会の数次隊を指導してみんなで植林、その時たまたま3本の苗木が余って、作業が終わってから
宿舎の近くに一人で植えておいたら、後になってその植林地は全滅したけど、近くのポプラだけは
残ってたので、今回、早朝に歩いて確認に行ったところ、さらに大きく育ってたそうです。
「わたしにとっては奇跡の3本ポプラです。」と、嬉しそうに語ってくれました。

過去の植林地を確認に行って、自分のプレートを付けたポプラが無事に育っているのを発見して、
思わず涙を流している人を毎回必ず見ますが、(じつはわたくしもその一人なんですが・・・)
自分で植えた苗木が砂や洪水や乾燥に耐えて一生懸命に大きく育っているのを見るのは、
本当に涙が出るほど嬉しいものです。

と、自室でまったりした後は、とーぜん宴会・・・なんですが・・・なんとこの夜は・・・

恩格貝の行政責任者(管理委員長・周書記)が王明海氏から澤井代表の恩格貝訪問を知り、それなら全員を夕食に
招待したいとゆーことになり、そのお招きを受けての宴会となった次第。

恩格貝は最近ひとつの行政単位に昇格したそうで、そこの書記といえぱ、いわば官選市長ですから、
その招待を受けるというのは、とても光栄なことなのであります。

いつもの宴会場の奥にある特別室へ・・・

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最上座にあたる額縁の下が主催者の周書記、その右(向かって左)に主賓のN.GKS澤井代表、
主催者の左(向かって右)に陪賓のY崎隊長、主賓の右(向かって左)に陪賓の王明海氏と通訳・・・
と続く、中国式宴会の正式な席順になってました。

テーブルも料理もさらに高級になってて、パイチュウもさらに高級に・・・

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って、飲む前に撮ればいいものを・・・と、両者挨拶の後は書記の発声でまずは乾杯!!!


テーブルには高級煙草も並んでて、まずはゲストに煙草をすすめるのが昔ながらの伝統・・・
ま、わたくしも(断るのは失礼なので)ひさしぶりに一服、お礼に王明海氏に「グロー」をすすめると、

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「うえっ、まっ、まずい・・・」




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「最近の日本人はとんでもないものを吸ってますよ!!!」とか書記に報告してました。あははは


と、周書記は・・・

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何度も主賓・陪賓と乾杯した後はパイチュウを秘書に持たせて席を廻り・・・



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一人一人と何度も乾杯・・・


続いては「自分は心臓が悪く飲めないのですが・・・」とゆー、随行の外交部長も、

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ビールを持ったまま、やはり一人一人を廻って乾杯・・・

次は王明海氏が年代別に隊員を立たせて、次々と乾杯!!!
年代別が終わると、今度は性別、国別と次々と乾杯!!!

書記も外交部長も、発展する恩格貝へ赴任してきたばかりだそうですから、おそらくは中央政府か
地方政府のエリートなんでしょうが、まあ、よく乾杯すること・・・

中国のエリート社会では、毎晩の宴会で強いパイチュウで乾杯を続けて、生き残って出世するか、
身体を壊してリタイアするかの二者択一、最近の北京あたりでは健康のため、乾杯はパイチュウから
ワインに変わってきているようですが、内モンゴルではまだまだパイチュウが主流でした。
ただし高齢者や飲めない人には、きちんと配慮もされてて、さすがにエリート・・・

ちなみに北京などでは乾杯がパイチュウからワインに変わりつつあるため、ワインの需要が激増、
国産ワインの生産も激増し、内モンゴルでも最近は葡萄園が激増しているそうです。

遠山先生がこのクブチ沙漠・恩格貝に来る以前、トングリ沙漠で葡萄園の開発に何年も苦労されてて、
何度か黄河に飛び込もうと考えたこともある、と澤井代表に漏らしてたそうですが、今の葡萄園の
激増ぶりを見たら、なんとおっしゃるんでしょうね・・・
そーいや、先生の開発したトングリ沙漠の葡萄園も見学したことがありますが、今はさらに大規模に
なってるんでしょうか・・・と、へろへろになった頭で感慨に耽りながら・・・


料理もどれもが上品でとても美味しかったのですが、特筆すべきは、

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まずはこちらの恩格貝で飼育されてるダチョウのタマゴ・・・
これで1個の半分、しかもすでに白身は取り分けた後・・・
ダチョウは肉もタマゴも羽も皮も無駄なく売れるので、一時期は恩格貝でもブームでしたが、
今はどの程度が飼育されてるんでしょうね・・・
白身が半透明で独特の食感でしたが、ま、ふつーの茹で卵・・・が20個分ぐらいでした・・・


で、わたくしの一番お気に入りで、恩格貝では今回はじめて食べたのが・・・

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羊肉の蒸し焼きでした・・・
モンゴル(外モンゴル)のキャンプ場で食べた蒸し焼きよりは、やや羊肉の匂いが強かったですが、
塩以外の味付けもしてあり、あっさりした中華風というのでしょうか、岩塩だけのシンプルさとは
また違った味わいで、一人でけっこうな量を食べてしまいました。げふっ


その後は王明海氏から署名入り恩格貝書籍のプレゼント・・・

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隊員一人一人の宛名まで自筆されたものでした。

通訳ガイドのバヤンさんからは「北国の春」の絶唱、こちらからも謡曲や百人一首の朗詠などで
さらに次々と乾杯が続いてたのですが、この夜の書記は宴席が三つ入っていたそうです。

と、この夜も前夜以上にへろへろになったのですが、前夜同様の二次会も懲りずにやりました。

ええ、さすがにこの夜の二次会画像は撮れませんでしたが・・・ひっく

(次号に続きます。)



m98k at 12:05│Comments(0) mixiチェック 沙漠緑化・熱帯雨林再生 

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