2020年08月22日
林業がつくる日本の森林メモ
とーとつですが「林業がつくる日本の森林」読中メモであります。

藤森隆郎著 築地書館 2016年10月17日 初版発行。
裏表紙にあった一部抜粋より

著者紹介

日本の森林環境と林業の専門家でノーベル平和賞のIPCC執筆委員もされてた方・・・
なお日本の森林については森林ジャーナリストが書いたこちらの本の紹介も参照下さい。
例によって、まずは目次のみ・・・




以下、目次に沿って(森林や林業には全く素人の)わたくしの読中メモより一部を抜粋。
思い違いなどが多々あるはずなので、ご指摘いただけるとうれしいです。
まず「はじめに」から・・・
・森林は日本の自然資源の中で自給率100%に近づけられる唯一の資源ではないか・・・
・この50年で日本でどれだけ森林管理と林業経営に関する進歩の蓄積があったかは大きな疑問。
・財価の低迷でやむを得ないという人もいるが、ドイツはじめ多くの先進国では同じような
財価の中で林業を成り立たせ生産と環境を調和させているところが多い。
・縄文人は1万年以上にわたり森林と草地の中での持続可能な社会を築いてきた。
・持続可能な循環型社会の構築のため、雇用の再生のため、美しい農山村の再生のために・・・
第1部「日本の森林・林業の現状と問題点」から
1何を問題として問うのか
・地球温暖化の最大の原因は、現在の生態系の中では循環していない化石物質である
石油や石炭を大量に掘り出して濫用し、二酸化炭素が増え続けていること。
・炭素の貯蔵庫のひとつであり地球規模の炭素循環に大きな役割を果たしている森林が、
人間活動の拡大とともに減少、劣化していることもある。
2木材生産量は減り続け、人工林は劣化している
・戦時中の過剰伐採と労力不足による放置、戦後の木材不足と高騰による天然林の過剰伐採、
その跡地への1950年代と1960年代をピークとした針葉樹人工林の拡大で、1990年代以降の
木材生産量は増大していくはずだった。
・しかし1960年以降の50年間で生産量は1/3まで縮小した。
・原因には、世論に押された50年代から60年代にかけての大面積皆伐、奥地への拡大造林、
木材不足による安い外材の輸入拡大、代替材の攻勢、などもあるが、
・川上側の古い体質と旧態依然の国産材流通システムの改善の遅れがあった。
・そのため収穫できる木材の搬出・販売体制が整わないまま放置されてきている。
・スギやヒノキは100年以上間伐を繰り返して収穫を続けられるもので、
・林業経営からも環境保全からも合理的であるのに間伐されずに放置されている。
・外材と値段が変わらなくなっても国産材が伸びないのは、流通・販売体制の遅れや、
マーケットの要求に対して無頓着な体質などに問題がある。
・間伐されない針葉樹人工林は人にも環境にも様々な被害をもたらす。
・薪炭を採らなくなり放置された広葉樹林もエネルギー材としての持続的な活用と供給は重要。
・しかし木質バイオマス発電による大規模皆伐は大きな問題で、地域の生活と密着した形で
熱エネルギーとして活かしていくことが大事。
・広葉樹林は多樹種の特性を生かした内装材や家具材としての活用や持続可能な管理も重要
3山で働く人が減少し様々な問題が起きている
・林業就業者数は1965年から2010年の45年間で26万人から5万人に。
・農業と林業の複合経営である「農家林家」も減っている。
・竹林が放棄され広葉樹林だった里山を覆っているが竹林の主体は中国のモウソウチク
・その拡大は日本の生態系にとって脅威となっている。
・農山村の減少→狩猟者の減少→シカの異常増大→農林業被害の拡大→林業も苦境に
→イノシシやクマとの棲み分けゾーンもなくなり人里へ出没→生態系の管理が必要に
・林業をあきらめ山を丸ごと売り払い→大面積皆伐→放置
・林業従事者の数だけでなく質の問題も大きい→知識や技術の伝承が途切れている。
・林野庁では最近、間伐の推進を図っているが評価検証はされず荒っぽい間伐が横行
・これらは目指すべき森林の姿も林業のビジョンもみられないことからきている。
4ビジョンの見えない森林管理が進んでいる
・戦後拡大造林して放置されている針葉樹人工林をどうするか
・当初は30~40年で回転させる予定だったが1970年代に皆伐への批判と外材輸入により
伐採要求が減り、国は1980年頃から80年を目安にするようになった。
・林業経営と環境保全にとっては評価されるものだったが、間伐は重視されなかった。
・間伐材搬出のための道路整備、機械の開発・改良、作業システムの向上、市場の開拓・・・
・これらの総合戦略が弱かったので極めて不健全な人工林の姿になっている。
・1980年頃から80年での回転としたが、2013年頃からは「地球温暖化防止」対策として、
二酸化炭素の吸収を高めるため50年での回転とした。
・このように理念もビジョンもなくころころ変わる政策、現場の技術と乖離した政策で
生産量も自給率も低下した。
5林業力低下の理由
・木材価格の低下、労賃の上昇
→スギ1㎥の生産額で雇用可能な伐採搬出労働者数は、1960年で11人、2005年で0.9人
→従来より労働生産性を10倍上げる必要があるのが現在の林業経営。
・下刈りやつる切りなど経費のかかる日本の人工林の材とアメリカ北西部やシベリアなどの
針葉樹天然林の材とでは競争できないのは明白だったが、高度成長のため自ら関税を撤廃した。
・その後アメリカやシベリアの天然林は保護されたがヨーロッパなどからの輸入は続いている。
・1985年のプラザ合意→伝統建築工法から大壁工法へ→良質材の価格の低下
・1995年の阪神淡路大震災→非木造の増加、木造の制限→対応できるヨーロッパ集成材の増加
・これらで2002年には木材自給率は18%まで低下したが、なぜ対応できなかったのか?
・伝統建築工法の良さが無視され地域にあった材の評価がないがしろにされたこと。
・このように価格下落、建築様式の変化、マーケティングのまずさなどもあったが、
それに対する適切な対応が林野行政だけでなく国全体の政策に欠けていたことが問題。
6林業関係者に必要なこと
・私有林・公有林・国有林の比率はそれぞれ55%・16%・29%
→これからの公有林・国有林はより公益的機能を重視
→これからの私有林は林業適地の場合は林業を重視
・自然制約のある林業は市場経済での独自経営は難しいので補助金はやむを得ない。
→ドイツなどでも農林業従事者には所得補償と補助金があり日本よりも多い。
→しかしドイツなどの補助金は林業の質を高めるために使われているのに対し、日本の
中央一律の補助金は地域の林業経営者や森林組合を脳死状態にして創意工夫を弱めている。
→監査は植栽本数や間伐率など一律の数値だけで地域ごとの創意工夫は反映されない。
7林業の背景となる日本社会の歩み
・明治以降、欧米からの科学技術が重視され農山村(一次産業)は犠牲にされてきた。
→都市計画法はあっても農山村計画法はなく無計画な醜い景観が広がっている。
・国策の合理化、財政の合理化のための市町村合併が繰り返された。
→その結果、自然環境に順応した農林業に必然性のある集落単位と機能は崩壊、自治も失われ、
都市だか農山村だか分からない自治体が多くできた。
→自治能力の欠如→地域の知恵の喪失→農林業の基盤の弱体化→人材の都市への流失
・教育面でも経済に貢献しない地域や林業は過去には教科書から消され続けてきた。
8林業の歩み
・江戸期の本格的で地域に応じた育林と森林の管理は世界に誇れる。
・明治期の森林法の成立→明治大正期の人工林造成→戦時中の木材不足を救った
・戦時中、戦後の過伐採→1970年代から1980年代の欠乏→外材依存
・ドイツやオーストリアでは戦中戦後でも過伐採を避けたのが今の林業国の基盤
・古い森林法・林業基本法が整理されないままで「持続可能な森林管理」になっていない
(1992年の地球サミットで採択された「森林管理の原則」に合致した大きな改正がないまま)
9国産材の供給、販売体制が遅れてきた
・戦前までと戦後しばらくまでの木材は資材・燃料の中心で販売努力は必要なかった。
・その後に造林し続け関税撤廃もしたのに有効な販売戦略はないままだった。
・合理的な伐採・集材、搬出路の整備、集材・搬出機械の開発とその作業システムの構築、
人材の育成も不可欠だが、これらはようやく2000年代になってから動きが出てきた。
・ヨーロッパでも1980年代はじめは価格競争が厳しかったが、官民挙げての改善努力により
生産量は向上し、林業クラスターが主要産業となっている国が多くなっている。
10木を使うことの意義
・日本の陸上最大の自然資源は森林
・木材は水と二酸化炭素で永遠に生産し続けることができ、利用期間中に長期にわたって
炭素を貯蔵し続け、使用後は燃焼や腐朽などによって水と二酸化炭素に還元される。
→このように生態系を循環するので、その持続性を損なわない範囲で大量生産し利用することは
持続可能な社会の構築にとって重要で、地域の木材を地域で使うことも大事。
11地域における循環と文化の喪失
・大都市では安く早く便利な非木質やプレハブの住宅を供給するハウスメーカーは重要
→中小都市や農山村で大都市ハウスメーカーの住宅が増えると地域に資本が蓄積しない
→その地域にその地域の木材を扱う製材工場と工務店があれば雇用も高まり林業も活性化、
資本が地域に蓄積されて再投資力が働く。
→家を建てる施主から林業家まで顔が見える地方の地域社会なら、適正な価格が形成され、
他のエネルギー材やパルプチップ材の搬出採算も合う方向に動く。
→それぞれの地域で段階的な木材利用のシステムを整え木材を無駄なく使っていくこと
・現在の農山村や地域社会は横の繋がり、アイデンティティー、木の文化も失われており
これらの再生と合わせて林業の再生を考えて行かねばならない。
12国民と森林との距離が遠すぎる
・森林は国民からかけ離れた存在になってしまった。
→戦後社会の価値観と経済原理が持続可能な森林の管理とは合わず、工業製品で稼いで、
木材も食料も輸入すればよいという経済的な考えが強まったから。
・森林所有者の中には自分の持ち山の存在すら知らないケースがある。
→そのように放置された人工林は不健全で不気味ですらある。
・森林・林業に関わる行政関係者は林業の不振で職員数を削減され事務処理のみに
→現場から離れた行政は林業と一般人とを結びつける役割も弱めている。
・森林所有者(林業家)と一般市民(国民)のコミュニケーションと合意形成がないことが
荒れた森林の大きな背景・・・
と、ここまでが「現状と問題点」で・・・
第2部「問題を解決するために必要なことは何か」
第3部「新たな森林管理のために必要なこと」
第4部「豊かな日本の農山村と社会を目指して」
・・・については根気がなくなったので、いずれまた・・・
続きに興味を持たれた方は是非本書をご一読ください。素人にも分かりやすいです。
で、要約をメモにしてわたくしに送っていただけると・・・
(追記です)
図書館への返却期限が迫り、あわてて次回記事に続きをアップしました!!!

藤森隆郎著 築地書館 2016年10月17日 初版発行。
裏表紙にあった一部抜粋より

著者紹介

日本の森林環境と林業の専門家でノーベル平和賞のIPCC執筆委員もされてた方・・・
なお日本の森林については森林ジャーナリストが書いたこちらの本の紹介も参照下さい。
例によって、まずは目次のみ・・・




以下、目次に沿って(森林や林業には全く素人の)わたくしの読中メモより一部を抜粋。
思い違いなどが多々あるはずなので、ご指摘いただけるとうれしいです。
まず「はじめに」から・・・
・森林は日本の自然資源の中で自給率100%に近づけられる唯一の資源ではないか・・・
・この50年で日本でどれだけ森林管理と林業経営に関する進歩の蓄積があったかは大きな疑問。
・財価の低迷でやむを得ないという人もいるが、ドイツはじめ多くの先進国では同じような
財価の中で林業を成り立たせ生産と環境を調和させているところが多い。
・縄文人は1万年以上にわたり森林と草地の中での持続可能な社会を築いてきた。
・持続可能な循環型社会の構築のため、雇用の再生のため、美しい農山村の再生のために・・・
第1部「日本の森林・林業の現状と問題点」から
1何を問題として問うのか
・地球温暖化の最大の原因は、現在の生態系の中では循環していない化石物質である
石油や石炭を大量に掘り出して濫用し、二酸化炭素が増え続けていること。
・炭素の貯蔵庫のひとつであり地球規模の炭素循環に大きな役割を果たしている森林が、
人間活動の拡大とともに減少、劣化していることもある。
2木材生産量は減り続け、人工林は劣化している
・戦時中の過剰伐採と労力不足による放置、戦後の木材不足と高騰による天然林の過剰伐採、
その跡地への1950年代と1960年代をピークとした針葉樹人工林の拡大で、1990年代以降の
木材生産量は増大していくはずだった。
・しかし1960年以降の50年間で生産量は1/3まで縮小した。
・原因には、世論に押された50年代から60年代にかけての大面積皆伐、奥地への拡大造林、
木材不足による安い外材の輸入拡大、代替材の攻勢、などもあるが、
・川上側の古い体質と旧態依然の国産材流通システムの改善の遅れがあった。
・そのため収穫できる木材の搬出・販売体制が整わないまま放置されてきている。
・スギやヒノキは100年以上間伐を繰り返して収穫を続けられるもので、
・林業経営からも環境保全からも合理的であるのに間伐されずに放置されている。
・外材と値段が変わらなくなっても国産材が伸びないのは、流通・販売体制の遅れや、
マーケットの要求に対して無頓着な体質などに問題がある。
・間伐されない針葉樹人工林は人にも環境にも様々な被害をもたらす。
・薪炭を採らなくなり放置された広葉樹林もエネルギー材としての持続的な活用と供給は重要。
・しかし木質バイオマス発電による大規模皆伐は大きな問題で、地域の生活と密着した形で
熱エネルギーとして活かしていくことが大事。
・広葉樹林は多樹種の特性を生かした内装材や家具材としての活用や持続可能な管理も重要
3山で働く人が減少し様々な問題が起きている
・林業就業者数は1965年から2010年の45年間で26万人から5万人に。
・農業と林業の複合経営である「農家林家」も減っている。
・竹林が放棄され広葉樹林だった里山を覆っているが竹林の主体は中国のモウソウチク
・その拡大は日本の生態系にとって脅威となっている。
・農山村の減少→狩猟者の減少→シカの異常増大→農林業被害の拡大→林業も苦境に
→イノシシやクマとの棲み分けゾーンもなくなり人里へ出没→生態系の管理が必要に
・林業をあきらめ山を丸ごと売り払い→大面積皆伐→放置
・林業従事者の数だけでなく質の問題も大きい→知識や技術の伝承が途切れている。
・林野庁では最近、間伐の推進を図っているが評価検証はされず荒っぽい間伐が横行
・これらは目指すべき森林の姿も林業のビジョンもみられないことからきている。
4ビジョンの見えない森林管理が進んでいる
・戦後拡大造林して放置されている針葉樹人工林をどうするか
・当初は30~40年で回転させる予定だったが1970年代に皆伐への批判と外材輸入により
伐採要求が減り、国は1980年頃から80年を目安にするようになった。
・林業経営と環境保全にとっては評価されるものだったが、間伐は重視されなかった。
・間伐材搬出のための道路整備、機械の開発・改良、作業システムの向上、市場の開拓・・・
・これらの総合戦略が弱かったので極めて不健全な人工林の姿になっている。
・1980年頃から80年での回転としたが、2013年頃からは「地球温暖化防止」対策として、
二酸化炭素の吸収を高めるため50年での回転とした。
・このように理念もビジョンもなくころころ変わる政策、現場の技術と乖離した政策で
生産量も自給率も低下した。
5林業力低下の理由
・木材価格の低下、労賃の上昇
→スギ1㎥の生産額で雇用可能な伐採搬出労働者数は、1960年で11人、2005年で0.9人
→従来より労働生産性を10倍上げる必要があるのが現在の林業経営。
・下刈りやつる切りなど経費のかかる日本の人工林の材とアメリカ北西部やシベリアなどの
針葉樹天然林の材とでは競争できないのは明白だったが、高度成長のため自ら関税を撤廃した。
・その後アメリカやシベリアの天然林は保護されたがヨーロッパなどからの輸入は続いている。
・1985年のプラザ合意→伝統建築工法から大壁工法へ→良質材の価格の低下
・1995年の阪神淡路大震災→非木造の増加、木造の制限→対応できるヨーロッパ集成材の増加
・これらで2002年には木材自給率は18%まで低下したが、なぜ対応できなかったのか?
・伝統建築工法の良さが無視され地域にあった材の評価がないがしろにされたこと。
・このように価格下落、建築様式の変化、マーケティングのまずさなどもあったが、
それに対する適切な対応が林野行政だけでなく国全体の政策に欠けていたことが問題。
6林業関係者に必要なこと
・私有林・公有林・国有林の比率はそれぞれ55%・16%・29%
→これからの公有林・国有林はより公益的機能を重視
→これからの私有林は林業適地の場合は林業を重視
・自然制約のある林業は市場経済での独自経営は難しいので補助金はやむを得ない。
→ドイツなどでも農林業従事者には所得補償と補助金があり日本よりも多い。
→しかしドイツなどの補助金は林業の質を高めるために使われているのに対し、日本の
中央一律の補助金は地域の林業経営者や森林組合を脳死状態にして創意工夫を弱めている。
→監査は植栽本数や間伐率など一律の数値だけで地域ごとの創意工夫は反映されない。
7林業の背景となる日本社会の歩み
・明治以降、欧米からの科学技術が重視され農山村(一次産業)は犠牲にされてきた。
→都市計画法はあっても農山村計画法はなく無計画な醜い景観が広がっている。
・国策の合理化、財政の合理化のための市町村合併が繰り返された。
→その結果、自然環境に順応した農林業に必然性のある集落単位と機能は崩壊、自治も失われ、
都市だか農山村だか分からない自治体が多くできた。
→自治能力の欠如→地域の知恵の喪失→農林業の基盤の弱体化→人材の都市への流失
・教育面でも経済に貢献しない地域や林業は過去には教科書から消され続けてきた。
8林業の歩み
・江戸期の本格的で地域に応じた育林と森林の管理は世界に誇れる。
・明治期の森林法の成立→明治大正期の人工林造成→戦時中の木材不足を救った
・戦時中、戦後の過伐採→1970年代から1980年代の欠乏→外材依存
・ドイツやオーストリアでは戦中戦後でも過伐採を避けたのが今の林業国の基盤
・古い森林法・林業基本法が整理されないままで「持続可能な森林管理」になっていない
(1992年の地球サミットで採択された「森林管理の原則」に合致した大きな改正がないまま)
9国産材の供給、販売体制が遅れてきた
・戦前までと戦後しばらくまでの木材は資材・燃料の中心で販売努力は必要なかった。
・その後に造林し続け関税撤廃もしたのに有効な販売戦略はないままだった。
・合理的な伐採・集材、搬出路の整備、集材・搬出機械の開発とその作業システムの構築、
人材の育成も不可欠だが、これらはようやく2000年代になってから動きが出てきた。
・ヨーロッパでも1980年代はじめは価格競争が厳しかったが、官民挙げての改善努力により
生産量は向上し、林業クラスターが主要産業となっている国が多くなっている。
10木を使うことの意義
・日本の陸上最大の自然資源は森林
・木材は水と二酸化炭素で永遠に生産し続けることができ、利用期間中に長期にわたって
炭素を貯蔵し続け、使用後は燃焼や腐朽などによって水と二酸化炭素に還元される。
→このように生態系を循環するので、その持続性を損なわない範囲で大量生産し利用することは
持続可能な社会の構築にとって重要で、地域の木材を地域で使うことも大事。
11地域における循環と文化の喪失
・大都市では安く早く便利な非木質やプレハブの住宅を供給するハウスメーカーは重要
→中小都市や農山村で大都市ハウスメーカーの住宅が増えると地域に資本が蓄積しない
→その地域にその地域の木材を扱う製材工場と工務店があれば雇用も高まり林業も活性化、
資本が地域に蓄積されて再投資力が働く。
→家を建てる施主から林業家まで顔が見える地方の地域社会なら、適正な価格が形成され、
他のエネルギー材やパルプチップ材の搬出採算も合う方向に動く。
→それぞれの地域で段階的な木材利用のシステムを整え木材を無駄なく使っていくこと
・現在の農山村や地域社会は横の繋がり、アイデンティティー、木の文化も失われており
これらの再生と合わせて林業の再生を考えて行かねばならない。
12国民と森林との距離が遠すぎる
・森林は国民からかけ離れた存在になってしまった。
→戦後社会の価値観と経済原理が持続可能な森林の管理とは合わず、工業製品で稼いで、
木材も食料も輸入すればよいという経済的な考えが強まったから。
・森林所有者の中には自分の持ち山の存在すら知らないケースがある。
→そのように放置された人工林は不健全で不気味ですらある。
・森林・林業に関わる行政関係者は林業の不振で職員数を削減され事務処理のみに
→現場から離れた行政は林業と一般人とを結びつける役割も弱めている。
・森林所有者(林業家)と一般市民(国民)のコミュニケーションと合意形成がないことが
荒れた森林の大きな背景・・・
と、ここまでが「現状と問題点」で・・・
第2部「問題を解決するために必要なことは何か」
第3部「新たな森林管理のために必要なこと」
第4部「豊かな日本の農山村と社会を目指して」
・・・については根気がなくなったので、いずれまた・・・

続きに興味を持たれた方は是非本書をご一読ください。素人にも分かりやすいです。
で、要約をメモにしてわたくしに送っていただけると・・・

(追記です)
図書館への返却期限が迫り、あわてて次回記事に続きをアップしました!!!
この記事へのコメント
1. Posted by いけもっちゃん 2020年08月22日 07:25
風の谷のナウシカ思い出しました。
この猛暑
オウムが激怒してるように思えます。
この猛暑
オウムが激怒してるように思えます。
2. Posted by 98k 2020年08月22日 10:35
>いけもっちゃんさん コメントありがとうございます。
この猛暑といい最近の大雨といい新型感染症といい、まさに怒った王蟲の襲来とゆー感じですが、
今なら何とか間に合うかも知れません・・・日本の森林もボルネオの熱帯雨林も・・・
この猛暑といい最近の大雨といい新型感染症といい、まさに怒った王蟲の襲来とゆー感じですが、
今なら何とか間に合うかも知れません・・・日本の森林もボルネオの熱帯雨林も・・・