大阪市電が走った街 今昔・・・「4分で身体は変えられる」の科学

2021年05月15日

視聴メモ「欲望の資本主義・特別編」

NHK番組「欲望の資本主義・特別編」を観た際の個人メモの一部です。
順不同で肩書き敬称略、カッコ内は番組ナレーションからの一部メモ。
わたくしの理解不足や勘違いもあるでしょうが、何かの参考になれば・・・

第一章 K字回復が格差を拡大させる
(日銀も電気機械や生産用機械は落ち込みが少なく回復が早いが対個人サービスや宿泊・飲食サービスは
落ち込みが大きく回復が遅い「K字回復」になると予測している。)

・ダロン アセモグル
ヨーロッパや他の中高所得国は観光や接客セクターをどこまで支えられるかによる。
接客業の割合が低く強力な失業対策もしているアメリカは21~22年で経済が急成長するだろう。

・レベッカ ヘンダーソン
K字回復が格差を拡大させる。
巣籠りの中での需要の累積(中国アメリカ日本など)で経済は回復
発展途上国では(支援がなければ)感染対策への多額の支出で経済はさらに悪化

・早川英男
K字でもデジタルや製造業は強い、落ち込むのはサービス業
政府支出で金はある。行き場のない金がモノに向かうので日本の製造輸出は強い。
雇用も同じで非正規の飲食や宿泊、女性の雇用環境、低所得者は弱い。
つまり業種・雇用・性別・所得、それぞれで別のK字回復になる。


第二章 バブルか?崩壊か?株価高騰の行方
・小幡績
限界を超えた金融緩和にコロナの財政支出でバブルがさらに膨らんだ→株価高騰
バブルに群がった人たちの最後のあがきが高水準での乱高下→崩壊は近い

・澤上篤人
熟した柿が自然に落ちるのか風が吹いて落ちるのか、いずれにしてもそう長くはない。
いっぽう実体経済はバブルとは関係なく伸びていく。
→世界人口78億人が毎日20万人ずつ増えているから。
→なので投資家はバブル企業ではなく実体経済の企業に応援投資すべき
バブル企業の株価と真面目な企業の株価の差が開いてしまっている。

・アンドリュー W ロー
金融市場という水晶玉は将来を見せてくれてるので今後も経済成長するだろう。
株価は未来への期待を映し出す。 今は経済を意志ある停止から回復させている過程
→12ヶ月間こん睡させていた世界の経済を覚醒させている最中

・ジョナサン ハスケル
将来への期待商品である無形資産が増えるトレンドは不平等を広げる。


第三章 霧の中の神の見えざる手
(コロナでの金融支援、政府支援により20年の倒産は最低だったが、それにより無理に生かされている
(淘汰されるはずだった)ゾンビ企業が確実に増えており、21年夏以降は倒産が増える可能性も・・・
支援期間が長すぎて(今は今年の9月まで)、その間に経営改善されなかった。)

・小幡績
救うべきはハコ(企業)ではなく中の人、弱い会社にいた弱い人は守るべきだが弱い会社を守る理由はない
会社に乗せて企業ごと弱い人を守る時代はあったが、今はそうではない。

・バイデン大統領
(全国民の)腕にはワクチン注射を、ポケットには現金(一人1400ドル)を

・ダロン アセモグル
勇ましくて大事な政策だが失業率の急上昇は賃金上昇につながらない。
もっと的を絞った救済措置→失業者や無職の人に支援を集中させるべき

・レベッカ ヘンダーソン
平時の雇用維持への政府の企業支援は市場に必要とされない仕事まで支援してしまい大きな歪みになる。
しかし航空産業や接客サービスなどはパンデミックで需要がゼロになっただけで回復は明白なので
既存事業を維持するのは賢明な投資だが、収束とともに支援策を解除することが重要。
→回復する需要を見極め支援から脱却するタイミング
(deadweight loss死重損失→過剰な政府の市場介入は経済的な損失を生む)

・アンドリュー W ロー
政府の保証は歯医者の麻酔薬のようなもので投与後に注意しないと気づかず舌をかみ切る。
→悪いビジネス習慣になってても気づかないので「痛み」は必要。
→何も失わず痛みがなければ5年以内に金融危機を含む別の危機を招いてしまう恐れがある。
(資本主義のパラドックス→有効需要のケインズならどう考えるか・・・)


第四章 新冷戦が負の連鎖を生む?
(中国の生産設備やインフラへの投資はコロナ以前(2019)と較べても3.5%の増、去年からは35%の増
さらにワクチン外交で新興国を支援→パワーバランスの変化
先端技術での熾烈なアメリカとの競争、資本主義と民主主義のすれ違う時代、日本の選択は)

・ダロン アセモグル
中国がなくても権威主義的な指導者はなくならないが中国は彼らを援護している
トルコやハンガリーの指導者は中国の成功を引き合いに自由なメディアや民主主義を批判。
中国は少なくとも近隣の非民主的な政権を支援しており、多くの権威主義国家のモデル
90年代00年代のアメリカの政策(特権を与え世界経済の一員に→近代化すれば民主化がすすむ)は失敗だった。
→民主主義の欠如が問題なら外国企業は中国に行かなければいい
国際関係では経済的な利点を利用し人権問題などの非難をうまく避けさせたことも失敗だった
→道義に基づき向き合うべきで中国からの制裁は国家間の協力で解決できる
民主化は経済成長や平等をもたらす上に公共財への支出が増える

・エスター デュフロ
自国に夢中になり他国を忘れることが心配→発展途上国への支援がなければさらに回復が遅れる
他国での感染が解決してなければ国境閉鎖→移動や国際化の様式が変わる→貿易・移民・観光も変わる

・レベッカ ヘンダーソン
(民主主義こそが資本主義の発展を支える。では社会主義市場経済の中国のゆくえは?)
中国は20年で10億の人を貧困から救い出し繫栄する脱工業化社会を作り上げた。
少数が権力を握る収奪的社会は短期間で急成長できることをデータで示した。
そこでは新しい考えは統制されるので、生産可能性フロンティア、つまり他の社会に追いつくと、
そこで成長は止まり、それ以上のイノベーションはない→競争や論争が経済成長の原動力だから。
→権力集中での限界が近づいている。
→管理強化してきた結果、中国の成長を支えてきた起業精神や変化精神が失われるから。

・ダロン アセモグル
国民が民主主義を信じていなければ二極化する
→トランプのダメージは政党間の協力や偏りのない環境、政治的規範を損なわせたこと
資本主義と民主主義の理念→別の問題に繋がる


第五章 大衆の反逆か?英知か?
(2021年1月末、小さなゲーム小売会社ゲームストップの株価の乱高下→ヘッジファンド対個人投資家)

・小幡績
金儲けしているウォールストリートをやっつけろとゲーム的に盛り上がった。
→バブル崩壊直前の狂い方→現代社会の群集心理→バブルでは日常的

・澤上篤人
完全に金融バブルのあだ花
金が儲かればいい、数字が増えればいい、社会にどんな富をもたらすかは考えていない。
そんなことをやりたい人はやればいいが、みんないなくなる。

・早川英男
バブル崩壊の前後には怪しい話が出てくる。

・アンドリュー W ロー
個人投資家たちの目的は衝撃を与えることだったと彼らの掲示板にあった。
金儲けのためでなく主張するためにやったと・・・利益のためでなく主張のための売買
→ソーシャルインパクトを与えること
→ポートフォリオ・マネージャーの中にはタバコ・カジノ・銃の会社には投資しない人たちがいる
→社会的責任を果たしたいから→ゲームストップへの投資家とどう違うのか?
(ヘッジファンドの特徴はカラ売りなどで、つねに高いリターンを狙う投資方法)
彼らは謎でも危険な存在でもなく、槍の穂先であり炭鉱のカナリア
→新たな投資チャンスに真っ先に乗る、リスクが高いので金融市場の混乱で真っ先に被害に遭う。
→08年のリーマンショックでは他の金融機関より早い段階で運用損失を出している。
→ヘッジファンドが莫大な損失に耐えリスクを理解できる限りエコシステムにおいては重要な存在
→効率的市場仮説に対する適応的市場仮説→市場も生物進化と同様、環境への適応で動く
→最も早く市場の変化に適応するのはヘッジファンド・マネージャー
→異なる考えを持った投資家が異なる投資をし、その平均値のようなものが市場価格に現れる
→すべて同じであれば単なる暴徒であり、市場には群衆の英知が必要

・澤上篤人
50年やった機関投資では常に運用成績に追いかけられた→途中下車できない→必ずバブルまで行く
→しかしバブルが崩壊すれば仕方ないと許される→その繰り返し→職業上ブレーキをかけるのは無理

・小幡績
ヘッジファンドはバブルそのもので20世紀末から膨らんだ。これは中期的な長いバブル
(大衆の反逆か、民衆の英知か、バブルの末期症状か・・・)


第六章 心を経済学に取り戻せるか?
(エッセンシャルワーク・医療・教育など社会インフラの見直しと、そこにある心・倫理と経済のバランスとは)

・ダロン アセモグル
幅広い考えに立ち返ること→社会・経済・政治的な側面が社会にどう相互作用するか
ソースタイン・ヴェブレン(1857-1929)
→生産も消費も制度や習慣の中にある→貴族の見せびらかし例
→資本主義も社会主義も批判し制度主義を主張→経済は人と制度の現象
→個人が貯蓄するように資産や労働者を抱える企業が、株主の投機的な思惑にさらされると、
市場にはいつも不均衡が生じ、その解消のために政府が支出を続けることも宿命

(アンバランスが顕在化する今、資本主義でも社会主義でもないあり方とは・・・)

・アンドリュー W ロー
宇沢弘文(1928-2014)
→市場からこぼれ落ちるもの(自然環境・医療・教育など)は市場とは一線を画す社会的共通資本
→彼は現代の金融経済を間接的に支える中心人物で均衡の概念について考えたパイオニア
→その概念は様々な分野間の均衡を経済全体がどう達成できるかというもの
→適応的市場の考えにも当てはまり、社会主義対資本主義の問題にも言及している。
近代経済学では合理的経済人が前提でマルクス経済学では階級が前提、どちらも「人」は排除している
→典型的な資本主義のアメリカでも2兆ドルの政府介入を発表→純粋な資本主義国家とはいえない
→社会主義も資本主義も極端であれば(人が存在しないので)持続可能ではない
カントの「我思う故に我あり」を「我感じる故に我気遣う」に
→わたしは考えるだけでなく感情を持つがゆえにあなたのことを気遣います、と
→自分がビジネスで成功しても、あなたがそれで飢えていたら、それは持続可能ではない
→適切なバランスが必要→宇沢の枠組みを具体化できれば人類は進化し続けることができる
(経済は異なる文化と異なる社会規範の相互作用に規定される)

・ダロン アセモグル
この20年間、資本家のみに富が集中し不均衡な経済になっている
均衡のとれた経済成長の遂げ方についての宇沢が構築した定理を

・小幡績
経済学は役立つことも多いが致命的な欠陥はあえて人間を追い出したこと
→数値化するのに人間は厄介なので排除し理論としては成功したが、
資本主義も社会主義も現実とは関係ないものになった
(制度主義は様々な地政学的条件、歴史、文化で育まれてきた資本主義のかたち)


第七章 日本化の先のニューノーマル資本主義
(低成長・低インフレ・低金利が日本経済の常套句で、長らくバブル崩壊の失敗とされてきたが、
今や先進国共通の病といわれている。突破口はどこに・・・コロナ後のニューノーマルとは・・・)

・早川英男
日本的雇用にしがみつくのは変えないといけないが、しっかりしたセーフティネットを構築しないといけない、
北欧は税金の高い福祉国家でソ連的と思われがちだが競争は激しくダメな企業は潰す。
それで潰された企業の人たちをしっかりしたセーフティーネットで守る。

(コロナ対策に成功したフィンランドのサンナ・マリン首相の雇用の多様性を重視する姿勢)
・エスター デュフロ
デンマークでは、すでにフレキシキュリティとして確立されているもので基本的には賛成
移行する人を支援し雇用のフレキシビリティ(柔軟性)とセキュリティ(安全性)のバランスを目指す試み
→一つの仕事をしてると人的資本が高まりステータスや社会的地位も上がる
→ところがその仕事がなくなり業種も変えるとなると辛い→その解決のための様々な方策
→経済学者はその辛さを忘れる
→賃金が高ければそちらに移り、条件のいい都市があればそちらに移るというのが経済学のモデル
→それが移行不可能なほどつらい経験になることを忘れてはいけないし、その影響も考えるべき
つねに最大の利益を目指す合理的経済人をモデルにしてきたのが主流の経済理論
(コロナの中でエッセンシャルワークというお金には換算しにくい仕事をどう位置付けるか)

(バイオテック業界の例→リスク分散化で資金調達を可能に)
・アンドリュー W ロー
製薬会社の多くは単一の治療薬を扱い高リスク。そこに金融工学の理論?
短期利潤最大化の理論では医療教育分野は成り立たない
製薬会社では20年から40年単位で物事を考える必要がある
長期的な価値創造と会社や個人の活動をうまくつなげる簡単な方法?
良いアイデアを具体化するには時間が必要で文化的・制度的な柔軟性も必要→環境への適応?


第八章 逆転の発想
(土産物は都市部でも入手できるようになった→土産物屋(製造業?)はサービス業にもなれる)

・レベッカ ヘンダーソン
競争が少ない分野の強みが健全な持続性を生む
アーキテクチュラル・イノベーションとインクリメンタル・イノベーション
→組織内の構築関係(アーキテクチュラル)と新結合(イノベーション)を既存の力を生かす変革へ
企業の目的は利益を最大にすることだけではない
繁栄する公平な社会を築くことも企業の目的→変革をもたらす触媒となる?


最終章 霧の向こうに

・エスター デュフロ
次の惨事に備えて考え始めるのはいいこと
→大きな問題を小さく分割して少しずつ取り組む

・澤上篤人
行動するのは個人→将来にどんな意思を働かせるか→今の預貯金は丸投げ

・ダロン アセモグル
資本主義は混合型の市場経済
社会工学ではなく新たな社会規範の構築を

・アンドリュー W ロー
日本はどの伝統を保護し、どの伝統を変わりゆく現実に適応させるべきかを見極めるべき

・小幡績
近代資本主義は流動化し続け、その究極がバブルで、それがより短期に頻発している。
これは近代資本主義の終焉を示唆している。固定化したいから次は中世に戻る。
これは決して華やかではないが、より大事なものが進歩していい時代になる。日本は得意。
→売れるものを探して作るのではなく今までと同じものを作りたい、それで売れたらいい・・・
→得意は改善なので、これは非常に中世的。新しい時代の必需品の改善、必需品の豊かさ・・・
スローな時代、流動化しない時代においては日本の良さが出る可能性がある。
(デジタルテクノロジー主導の資本主義の先に、中世のような平常的な社会が待っているとしたら・・・)

・レベッカ ヘンダーソン
今回のパンデミックは抜き打ちテスト、そして気候変動が最終試験で、その時にワクチンはない。
→低コストの追求だけでなくリスクも視野に入れて運営すべきという考えがパンデミックで出てきたのは
良いことだし、大切なことに気づくことができた。それは不平等というのは本に書かれたようなものではなく、
例えば食料品を家まで届けてくれる人のような存在であるということ。
パンデミックで資本主義を再構築する可能性が高まったことに期待している。

・早川英男
これからは自分の将来を予見して生きていくことは無理
学習する力、再学習する力が重要になってくる
40歳定年とか二期作とか二毛作とか、やり直しがないと生きていけない時代が間違いなくやってくる。

・アンドリュー W ロー
「痛み」は人類の進化で重要な役割を果たしている
→肉体的な痛みも心理的な痛みも同じで痛みが人を守ってくれるから
痛みに強い人もいるが我慢してると死に至るので痛みを感じたときには注意することが大切
経済も同じで、何らかの理由で大きな損失が発生した時は何かがおかしいことを示しているので、
それを修復して変えていく必要がある。




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