2022年07月17日
黄砂の籠城
とーとつですが・・・
小説「黄砂の籠城」のご紹介であります。
表紙カバー
裏カバーにあった惹句
著者、発行所、発行年月日については奥付のとおり
で、オハナシは・・・
清国が日本を含む欧米列強の横暴に対し事実上の宣戦布告をした1900年6月19日の翌日から、
各国連合軍が北京を占領する8月14日までの55日間に及ぶ、清軍と義和団によって包囲された
北京の在外公館区域だった東交民巷での、20万対4000の戦い・・・
いわゆる義和団事件で、その籠城戦の実質指揮官として活躍し、欧米に名を知られる初の
日本軍人となった、当時の日本公使館駐在武官柴五郎砲兵中佐を、この小説の主人公である、
彼の部下になった一人の伍長の視点から描いた物語であります。
そう、柴五郎中佐は映画「北京の55日」で若き日の伊丹十三が演じた人物なんですが、なにせ
1963年製作のハリウッド映画ですから、大活躍する主役はチャールトン・ヘストン演ずる
アメリカ海兵隊の少佐で、伊丹十三はあくまで脇役つーかチョイ役でした・・・
いっぽう史実では、籠城中の実戦指揮をしてたのは柴中佐のようで、その理由をウィキでは、
各国公使館の駐在武官の中で最先任の中佐であったこと(フランスの駐在武官は大佐だったが
技術系で指揮を辞退したこと)や、英語・フランス語・中国語に精通し各国間の意思疎通が
できたこと、以前から北京の地理に詳しく情報網を築き上げたことなどが記されてますが、
のちに英国ビクトリア勲章はじめ籠城していた各国や、漢人のキリスト教徒を助けた功績で
清国からも勲章を授与されてますから、籠城戦の主役であったことは間違いないようです。
小説では一兵士から見た籠城戦の様子がリアルに描かれ、当時の欧米人と日本人との中国観
や世界観の違いなども描かれてましたが、映画と同じで包囲前から援軍到着までのオハナシ、
日清戦争に勝利し欧米列強の仲間入りを果たそうとしていた当時の日本が、最終的には
各国中で最大規模の兵力を派遣し、占領後は列強と同じく略奪や更なる利権確保に奔走、
ロシアと張り合う形になり、やがて日英同盟を組んで日露戦争へ・・・
といったあたりはもちろん描かれてませんし、義和団も本作では狂信者集団という部分だけ、
当時のキリスト教会の横暴ぶりについても殆ど触れられておらず、このあたりはわたくしの
大好きなアメリカ版サスペンス・アクションのヒーローが日本軍人になった感じ・・・
ただ著者にはこの事件を義和団側からみた続編「黄砂の進撃」もあり、こちらも読まないと、
作品の全体像は掴めないのかも知れませんが・・・
いずれにしても・・・
わたくし義和団事件については、古い映画に何となく違和感を感じてたぐらい、だったので、
この作品を機会に、あらためて(ネット情報で)当時の事情を知ることができました。
ええ、このあたりの歴史の(ネット情報からの)ウンチクについては、いずれまた・・・
(翌日の追記です)
作品中、主人公の伍長が支給されている22年式村田連発銃が「当たらない」と嘆いている
シーンが何度かあり、柴(砲兵)中佐が「早く30年式が行き渡ればよいのだが・・・」と
返すシーンもありました。
ところが義勇兵となった2等書記官が戦死、彼がイギリス公使館から支給されていた、
当時最新式だったリー・エンフィールド銃を、義勇兵仲間から「伍長が使って欲しい」
と言われた際に「自分にはこの村田銃があります」と戦死した2等書記官の手に握らせ、
結局その銃は、最後に戦う決意をした非戦クリスチャンの1等書記官が引き継いでいた・・・
とゆーエピソード、なんかTVドラマ「コンバット」で分隊最強火器BARの引継ぎを描いた、
「勇者の機関銃」の回を彷彿とさせてくれました。うるうる
ちなみに22年式村田銃から30年式有坂銃になった時点で陸軍のボルトアクション歩兵銃も
ようやく世界標準レベルとなり、その後に一部改良されて有名な38式有坂銃になるのですが、
ここに至るまでの明治新政府の歩兵銃ウンチクも、いずれまた・・・
2023.7の追記です
村田銃から有坂銃に至る経過についてはこちらの本を読みました
22年式は黒色火薬から無煙火薬に移行して連発が可能になり急きょ開発されたものの、
本書にもあるとおり改良すべき点が多く、日露戦争では村田の配下だった有坂が開発した、
30年式が主力銃になったんですね・・・
小説「黄砂の籠城」のご紹介であります。
表紙カバー
裏カバーにあった惹句
著者、発行所、発行年月日については奥付のとおり
で、オハナシは・・・
清国が日本を含む欧米列強の横暴に対し事実上の宣戦布告をした1900年6月19日の翌日から、
各国連合軍が北京を占領する8月14日までの55日間に及ぶ、清軍と義和団によって包囲された
北京の在外公館区域だった東交民巷での、20万対4000の戦い・・・
いわゆる義和団事件で、その籠城戦の実質指揮官として活躍し、欧米に名を知られる初の
日本軍人となった、当時の日本公使館駐在武官柴五郎砲兵中佐を、この小説の主人公である、
彼の部下になった一人の伍長の視点から描いた物語であります。
そう、柴五郎中佐は映画「北京の55日」で若き日の伊丹十三が演じた人物なんですが、なにせ
1963年製作のハリウッド映画ですから、大活躍する主役はチャールトン・ヘストン演ずる
アメリカ海兵隊の少佐で、伊丹十三はあくまで脇役つーかチョイ役でした・・・
いっぽう史実では、籠城中の実戦指揮をしてたのは柴中佐のようで、その理由をウィキでは、
各国公使館の駐在武官の中で最先任の中佐であったこと(フランスの駐在武官は大佐だったが
技術系で指揮を辞退したこと)や、英語・フランス語・中国語に精通し各国間の意思疎通が
できたこと、以前から北京の地理に詳しく情報網を築き上げたことなどが記されてますが、
のちに英国ビクトリア勲章はじめ籠城していた各国や、漢人のキリスト教徒を助けた功績で
清国からも勲章を授与されてますから、籠城戦の主役であったことは間違いないようです。
小説では一兵士から見た籠城戦の様子がリアルに描かれ、当時の欧米人と日本人との中国観
や世界観の違いなども描かれてましたが、映画と同じで包囲前から援軍到着までのオハナシ、
日清戦争に勝利し欧米列強の仲間入りを果たそうとしていた当時の日本が、最終的には
各国中で最大規模の兵力を派遣し、占領後は列強と同じく略奪や更なる利権確保に奔走、
ロシアと張り合う形になり、やがて日英同盟を組んで日露戦争へ・・・
といったあたりはもちろん描かれてませんし、義和団も本作では狂信者集団という部分だけ、
当時のキリスト教会の横暴ぶりについても殆ど触れられておらず、このあたりはわたくしの
大好きなアメリカ版サスペンス・アクションのヒーローが日本軍人になった感じ・・・
ただ著者にはこの事件を義和団側からみた続編「黄砂の進撃」もあり、こちらも読まないと、
作品の全体像は掴めないのかも知れませんが・・・
いずれにしても・・・
わたくし義和団事件については、古い映画に何となく違和感を感じてたぐらい、だったので、
この作品を機会に、あらためて(ネット情報で)当時の事情を知ることができました。
ええ、このあたりの歴史の(ネット情報からの)ウンチクについては、いずれまた・・・
(翌日の追記です)
作品中、主人公の伍長が支給されている22年式村田連発銃が「当たらない」と嘆いている
シーンが何度かあり、柴(砲兵)中佐が「早く30年式が行き渡ればよいのだが・・・」と
返すシーンもありました。
ところが義勇兵となった2等書記官が戦死、彼がイギリス公使館から支給されていた、
当時最新式だったリー・エンフィールド銃を、義勇兵仲間から「伍長が使って欲しい」
と言われた際に「自分にはこの村田銃があります」と戦死した2等書記官の手に握らせ、
結局その銃は、最後に戦う決意をした非戦クリスチャンの1等書記官が引き継いでいた・・・
とゆーエピソード、なんかTVドラマ「コンバット」で分隊最強火器BARの引継ぎを描いた、
「勇者の機関銃」の回を彷彿とさせてくれました。うるうる
ちなみに22年式村田銃から30年式有坂銃になった時点で陸軍のボルトアクション歩兵銃も
ようやく世界標準レベルとなり、その後に一部改良されて有名な38式有坂銃になるのですが、
ここに至るまでの明治新政府の歩兵銃ウンチクも、いずれまた・・・
2023.7の追記です
村田銃から有坂銃に至る経過についてはこちらの本を読みました
22年式は黒色火薬から無煙火薬に移行して連発が可能になり急きょ開発されたものの、
本書にもあるとおり改良すべき点が多く、日露戦争では村田の配下だった有坂が開発した、
30年式が主力銃になったんですね・・・