スバル・レックス発注編新ミューSP9で堺浜ポタ

2023年02月06日

直立二足歩行の人類史

とーとつですが・・・

直立二足歩行の人類史~人間を生き残らせた出来の悪い足~
とゆー本のご紹介であります

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表紙カバー裏にあった惹句

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そう、ヒトはオランウータン、ゴリラ、チンパンジー・ボノボと枝分かれして地上に下り、
ゴリラやチンパンジーのナックルウォークから徐々に直立二足歩行へ進化したサル・・・
といった、これまで教科書などでおなじみの絵とは全く異なる事実が、最新の化石発見と
研究で明らかになってきた、しかも二足歩行はこれらの共通祖先が樹上生活をしていた頃から
存在しており、さらに化石人類の系統樹は複数の枝がつながり、こんがらがっている・・・
と、気鋭の「足首専門家」が初めて書かれた本で、古い人類には衝撃的な内容でした


著者・訳者・発行所・発行年月日などは奥付のとおり

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裏表紙カバー裏にあった著者・訳者紹介

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例によって目次のみのご紹介

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最新の化石発見現場の様子なども「インディジョーンズばりに」活き活きと描かれてて、
はじめての著書で感動ぶりも新鮮、情景描写も見事でエッセイとしても面白かったです


以下、てきとーな読後メモ・・・

第1章より
・平均的な健常者は一生で1億5千万歩、距離にして地球3周分を歩く
・人類の二足歩行は制御された転倒である
➝アメリカでは年間35000人以上が転倒で死亡しており交通事故の死者数と同じ
➝リスやイヌやネコがつまづいて転ぶのを見たことはない
➝足が遅く転びやすいという特徴は種の絶滅原因になるはずなのに・・・

・映画「2001年宇宙への旅」の冒頭シーンは間違い
➝アウストラロピテクスはハンターではなく肉食獣の獲物だった

・収束進化では人類の二足歩行は説明できない

第2章より
・鳥類、恐竜は人類の40倍の時間をかけて進化した二足歩行(二足歩行ワニは絶滅した)
➝前肢の使い方はバラエティに富んでいた
・オーストラリアはエミュー、カンガルーなど二足歩行のあふれる世界
・ただし人類が立ち上がった理由は大きさでもスピードでもなかった

第3章より
・直立姿勢の理由は防衛?採食?水生?
(いろんな仮説紹介があってロッキー仮説や露出狂仮説など、めっちゃ面白かったです)
・ヒトはチンパンジーとは近縁だが、そこから進化したのではなく彼らはヒトの祖先でもない
➝彼らとは共通祖先から600万年前に枝分かれした(ひい×24万回おばあちゃんの時代)
・ホミニン(化石人類)の二足歩行は森林からサバンナへ移行しつつあった環境下で発達
➝直射日光の暑さを避けるために二足歩行に?
➝二足歩行は草原進出以前の可能性が高く、当初はエネルギー効率も悪かった
➝運ぶため?(給餌仮説)など諸説あるが、ともかく化石から検証しないと・・・

第4章より
・318万年前のルーシーは二足歩行だった

第5章より
・アルディピテクス・ラミダスは440万年前で森林で二足歩行していた
・ナックルウォークは
共通祖先からではなくゴリラやチンパンジーが独自進化させたもの
・現生類人猿がその共通祖先から枝分かれしたのは2000万年前

・1500万年前からアフリカの森林が減少し類人猿は北上した
➝高緯度の森は季節の影響が大きい➝冬は食糧が少ない
➝ヒト・ゴリラ・チンパンジー・ボノボ・オランウータンの一部が尿酸分解酵素ウリカーゼ
を体内で作れなくなった(遺伝子の突然変異)➝尿酸は果糖を脂肪に変えるのを助ける
➝多くを脂肪として蓄積できる個体が生き延びて進化的変化になった➝痛風も・・・
➝オランウータンは食糧が乏しくなると樹皮や未熟な果実まで食べる

・ヒト・チンパンジー・ボノボ・ゴリラ・アイアイ以外の類人猿、オランウータンなどには
エチルアルコール分解酵素を作る遺伝子は全くない
➝食糧が乏しい時期に地面に落ち発酵した果実を食べられる個体の子孫が多く生き延びた
(著者の大好きな銘柄のビール1缶にはハンバーガー1個と同じカロリーがある!!!)

・1100万年前のダヌビウス・グッケンモシは樹上を歩いていた➝二足歩行は樹上から
➝ヨーロッパからアフリカに後退する森林を追ってきた、樹上生活に適応した類人猿

第6章より
・チンパンジーは夜間に一頭で出産し赤ん坊はすぐに母親の毛皮にしがみつく
➝毛のない人類の出産・子育ては共同作業でしかできない
➝共同作業こそがアウストラロピテクスが二足歩行で直面した問題の解決方法だった

・逃げ足が遅く木登りも得意でないアウストラロピテクス
➝肉食獣が活発になる涼しい時間帯(夕暮れ~夜明け前)には地上には下りない
➝肉食獣が満腹し木陰で昼寝する間に地上で見つけたあらゆるものを食べる➝雑食
(その間は子育てを仲間に任せるか、誰かに採ってきてもらうしかない)
➝襲われて逃げる選択肢がなければヒヒやチンパンジーと同様に共同して立ち向かう

・二足歩行を始めた頃のホミニンの脳容量はチンパンジー程度
➝脳は維持費がかさむ➝二足歩行でのエネルギー余剰➝大きな脳を持った個体が有利に
➝二足歩行と発汗で遠くまで食べ物を探しに行けるようになったから説もある

・なぜ人間の脳が時間をかけて成長するようになったか
➝捕食圧が高ければ早熟な個体のほうが有利なはず
➝アウストラロピテクスは捕食を逃れる社会的な手段を発達させたから

第7章より
・セディバ・アウストラロピテクスは二足歩行で草原ではなく樹上で採食していた
・様々な種のアウストラロピテクスが発見され違った歩き方をしていたことも判明
・どの種が200万年前にホモ属に進化したのかはまだ謎(化石の見つかっていない種かも)

第8章より
・1983年にジョージアで180万年前のホモ・エレクトスの化石が発見された
・2018年には中国中部で210万年前の石器が発見された(ホモ・エレクトスより古い種?)
➝ホミニンは数百万年もアフリカ東部と南部で暮らしていたが、10年に1マイルとしても
僅か10万年で中国まで到達できる➝なぜ移動できるようになったか?

・ホモ・エレクトスは大型化したアウストラロピテクスではなく足が長くアーチがあった
➝アウストラロピテクスも初期のホモ属も肉食はしていたがハンターではなかった
➝ホモ・エレクトスは組織的な狩りをして植物食も続け、雑食で行動範囲を広げた
➝南アフリカから西はスペイン、東はインドネシアまで(ジャワから先はウォレス線)

・脳が大きくなった理由➝不経済組織仮説
➝ヒトは脳が大きく腸が短い
➝腸は脳と同じく維持に多くのエネルギーを必要とする不経済な臓器
➝草食動物は腸が長く肉食動物の腸は短い
➝肉食が増えるにつれ短い腸と大きな脳を有する個体の子孫が繫栄していった

・さらに火の使用による効率的な消化で脳の巨大化に必要なエネルギーを獲得
・火の使用は寒冷地への進出・肉食獣からの防御も可能にした

・歩行能力の発達で言語も発達した
➝四足歩行では消化器官が横隔膜にぶつかるので浅く早い呼吸は不可能➝喘げない
➝二足歩行では可能でヒトは発汗で走りながらでもクールダウンできる
➝足は遅いが長距離を歩き続けることができる
➝四足歩行は重いものを抱えたのと同じ状態➝一歩ごとに息を継ぐので発声は不可能
➝二足歩行では呼吸を細かく制御できる➝音声を組み合わせた言語へ
➝50万年前のホミニンの化石から現生人類と似た内耳と舌骨が確認されている➝言語も?
➝少なくとも100万年前には言語能力に影響を与える遺伝子が現在の形になっている
➝ホモ・エレクトスの言語能力も呼吸の微調整を可能にした直立二足歩行から・・・

・気候変動による拡大と孤立、遺伝的隔離、絶滅➝ホモ・サピエンスの時代へ・・・
➝これがこれまでの通説だった
➝ところが最新の化石発見と研究により、多様な人類が最近まで一緒にいたことが判明、
人類進化とホミニン大移動の物語はトールキンの指輪物語と同じように面白くなっている

第9章より
・ホモ・サピエンスの最古の化石はアフリカ三角形の頂点三ヶ所から見つかっている
➝ホミニン集団がアフリカ全土を移動しながら交配で遺伝子を交換しつつ進化したもの
➝この汎アフリカ的進化は35~25万年前に起きた(ゲノム解析から)

・2019年ギリシャの洞窟で17万年前のネアンデルタール頭骨と21万年前のホモ・サピエンス
頭骨が発見され、前年にはイスラエルで19万年前のホモ・サピエンス上顎骨が発見されている
➝従来仮説と異なりホモ・サピエンスの中東・ユーラシアへの進出・撤退が繰り返されていた
➝7万年前までにダムは決壊しヨーロッパとアジアに流れ込んだ
➝ネアンデルタール人やデニソワ人とも交配していたことはDNAから判明している

・寒冷不毛の地を踏破するための重要な技術革新が靴
➝足指が細くなった(靴を履いていた)最古の骨格化石は北京の洞窟からで4万年前
➝7万年前から1万年前までにホモ・サピエンスは世界中を歩いて世界中に広がった

・2003年にインドネシア東部フローレス島の洞窟でホモ・フローレシエンシスの化石発見
ホモ・フローレシエンシスの脳はホモ・エレクトスより小さくアウストラロピテクスサイズ
➝身体的特徴もアウストラロピテクスで、しかも5万年前まで生きていた
➝アフリカを出た最初のホミニンはホモ属ではなくアウストラロピテクス属?

・2019年にはフィリピン・ルソン島の洞窟でホモ・ルゾネンシスの化石発見
➝どんなホミニンとも異なり、やはり5万年前まで生きていた

・どちらも100万年前から住んでいたことが石器から確認されている

・ホモ・サピエンスがアフリカで進化していた頃、ヨーロッパではネアンデルタール人、
アジアではデニソワ人、東南アジアの島々では少なくとも二種の小柄なホミニン・・・
➝まさにトールキンのホビットなどが暮らす「中つ国」の世界だった

・2015年に発表したホモ・ナレディはホモ・ハビリスと同様にアウストラロピテクスと
ホモ・エレクトスの中間的な特徴を持つが、やはり26万年前まで生きていた

第10章より
・胎児や赤ん坊が交互に足を出す歩行反射は哺乳類全体と共有している古い特徴
・ヒトの歩きはじめは生後8ヶ月から16ヶ月が多い➝他の霊長類より遅い
➝赤ん坊は移動すること自体を楽しんでいる
➝平均的な幼児は1時間に2368歩、一日に14000歩も歩き、1時間に17回も転ぶ
➝寄り添い受け止める人がいなければ二足歩行を学ぶことは大変で危険な行為
➝5~7歳で大人と同じように歩けるようになり、その過程で骨格が変化していく

第11章より
・15000年前の出産を描いた
線刻画がドイツで発見された
➝類人猿の出産は短いがヒトは長い➝二足歩行のせい

・骨盤が大きすぎると二足歩行に支障が出る
➝だから早期に小さく未熟な状態で生まれるようになった説
➝ところがヒトの妊娠期間は大きさが同程度の霊長類より1ヶ月長い
➝なぜヒトだけが難産なのかは諸説あるが進化のせいでイブの罪のせいではない

・トップアスリートの世界記録では100m走からマラソンまで男女で10%ほど差があるが、
特にウルトラマラソンなど耐久レースでは男女の差は縮まっている・・・

第12章より
・歩き方だけで身内や友人を見分けられる脳領域がある
➝性格や気分まで分かるのも直感ではない
➝歩き方で個体識別することは進化では有益だった

・集団では無意識に歩調を合わせて歩く
➝366万年前のラエトリ足跡化石と同じ➝一人歩きはごく最近
➝ホモ・サピエンスの歴史の97%、二足歩行ホミニンの歴史の99%は狩猟採集➝集団移動

第13章より
・食べるために歩かねばならなかったのが人類史
➝骨密度の低下は最近の1万年間で突然起こったもの➝運動量が減った?

・運動不足による死亡リスクは肥満の2倍
➝鍛えたデブのほうが動かないヤセよりまし(動かないデブはどうなるのか!!!)
➝がん、動脈疾患、自己免疫疾患、血糖値、不眠、高血圧、ストレス、脳卒中にも歩行が有効

・一日1万歩の目標は1964年の東京オリンピック翌年に日本で万歩計が売り出されてから
➝高齢者は7500歩までは歩数が多いほど健康で長生きするが、それ以上では差がなかった

・アメリカのカウチポテト族と14倍も活動的なタンザニアのハッザ族の総エネルギー消費量は同じ
➝許容エネルギー消費量は世界中で同じだが、どう使うかは文化や人により異なる
➝アメリカ人は余ったエネルギーを炎症反応の強化に使っている

第14章より
・散歩好きな著名人は多いが歴史的に散歩は白人男性の特権だった
➝歩行は思考にとって必須ではないが思考を促進するのはたしか
➝創造性スコアは高くなり脳領域に顕著な改善が見られる
➝記憶力も認知能力も若返りも・・・なぜか

・収縮する筋肉からのみ放出されるマイオカインが脳のスーパー栄養剤だから
➝歩かないのは鬱で無気力になっているから
➝ではなく、
鬱で無気力になっているのは歩かないから

・交通量の多い道路脇を歩いたグループと森の中を歩いたグループでの血流量などの差
➝創造性スコアの高さ➝歩かない<ウオーキングマシンで歩く<戸外を歩く、の順だった

・レイ・ブラッドベリの短編「歩行者」(1951年)より・・・略

第15章より
・ダ・ビンチの男性像を円と正方形で囲んだ有名なスケッチ
➝理想的な人体プロポーションだが2011年に学者が鼠径ヘルニアの膨らみに気づいた
➝鼠径ヘルニアは男性の1/4以上が経験する
➝重力で腸が下垂し鼠径管から腹腔外へ飛び出すもので二足歩行の直接的な結果

・人類の二足歩行にはデメリットも多い
➝600万年かけて部分改良された類人猿だから
➝進化は生き残って子孫を残し種を存続させるに足る形態をもたらすだけだから
➝過去の形態の寄せ集めで自然選択で修正されてきたので痕跡が残っている

・物理学に基づいた二足歩行ロボットは人類ではなくダチョウの骨格と同じになった

・3000万年前のエジプトピテクスから1000万年ほどの間にサルと類人猿が分かれたが、
類人猿にも尾の筋肉は残っており重力で下垂する内臓を支えるのに使われてきた
➝直立二足歩行する人類には不十分で、内臓が女性の膣内に飛び出すことがある

・下肢静脈瘤も偏頭痛も背骨の圧迫骨折も椎間板ヘルニアも靱帯損傷も二足歩行によるもの

・2012年ロンドンオリンピック400m走で使われた義足は1枚のブレードでできている
➝ヒトの足は複雑だがダチョウやエミューの足はこれに近くヒトの倍速で走れる
➝恐竜や鳥類の二足歩行の歴史は我々初心者より40倍長く骨格を微調整してきた結果

・足首の可動性は樹上生活には有利だったが地上の二足歩行では大きな犠牲を払っている
➝進化は修正で応急処置的であり、痛みや怪我のリスクは残ったまま
➝靴も同じくメリットだけではないが、靴発明以前のホミニン化石にも足の病変は見られる
➝直立二足歩行の負の結果であり、この特徴が二足歩行を始めた謎を解き明かすかも・・・

結論より
・道具の使用、共同育児、交易ネットワーク、言語・・・すべては二足歩行から
➝ただし四足歩行よりはるかに遅く、肉食獣の獲物になり、転倒事故は増え、難産になり、
幼児の一人歩きは危険で、年を取ればその負担が痛みになる
➝多くのデメリットがあり、世界でも稀な二足歩行動物が、絶滅せず繁栄できたのはなぜか・・・

・190万年前の化石ホミニンの例
➝10代後半のメスで子供の頃に足首を骨折していた痕跡がある
➝仲間に助けられながら成人するまで生き延びたとしか考えられない
➝怪我や病気になり生き延びたホミニンの化石の例は他にも数多くある
➝ホモ・エレクトスにもアウストラロピテクスにも・・・
➝他種のホミニンと食物を奪い合いながら仲間に共感を寄せる善と悪のパラドックス

・哺乳類の行動は敵意と調和のダンス
➝人間の利他的行為は同族と見なした相手に限定されることが多い
➝助産婦は少なくとも320万年前のアウストラロピテクスの時代には存在した
➝ボノボとヒトは出産の介助を他のメスがする(チンパンジーは単独)

・類人猿の思いやりの例、ゾウ・イルカ・イヌなどの共感力・・・

・利他的な行動の能力は危険な世界で生きる二足歩行動物の脆弱さから
➝共感力と協力と寛容さは二足歩行という移動形態と合わせて進化してきた
➝社会的でない攻撃的なサルの系統なら二足歩行は絶滅への道となっただろう

・二足歩行する特別なサルが繁栄してきたのはおもに、その共感し、許容し、協力する
能力のおかげなのだ・・・


いやあ、じつに面白かったです 
少しでも興味を持たれた方には本書のご熟読をオススメします



m98k at 12:06│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 書斎 | わからないもの

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