2023年05月19日
稲畑汀子俳句集成
(期間限定のお知らせ)
フラッシュ光・2023ボルネオツアーの案内記事はこちらです
航空便の予約状況が逼迫してるので興味のある方は早めの連絡をお願いします
と・・・
いよいよ本格的に「晴漕雨読」(晴れたら自転車を漕ぎ雨なら読書)の日々が・・・
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と思っていた矢先の落車骨折で思わぬ自宅療養となり「晴読雨読」の日々が続いています
つーことで今回は心静かに俳句なんぞを・・・

中にあった栞

そう、稲畑汀子俳句集成であります
著者紹介と奥付

2022年2月に亡くなった俳人・稲畑汀子の句集で同年5月の初版発行・・・
高価な本ですが7ヶ月後には三刷が発行されてるんですね
著者あとがきが2021年9月15日付、刊行委員会の後記が2022年1月8日付となっており、
後記の追記に「先生に(完成本を)お見せできなかったことが残念でなりません」とありますが、
著者のあとがきには(この本は)「私の生きてきた証です」「自然体で生涯を振り返るという
チャンスをいただきました」とあって、さらに自選句集の集大成ですから、まさに「集成句集」
恒例により目次のみのご紹介・・・



わたくしが俳句を論ずるなど、もちろんできないので「句集解題」(岩岡中正)にあった、
各句集の特徴と、その代表的な作品の中から一部をご紹介・・・
第一句集
①写生と、あるがまま
今日何も彼もなにもかも春らしく
②軽やかな叙法
この辺の景色となってゆく芒
第二句集
①境涯の深まり
とりとめし命に秋の立つ日かな
②存問の広がり
物の芽のどこもかしこも踏みさうで
③花鳥諷詠の心
落椿とはとつぜんに華やげる
第三句集
①海外吟と信仰
三日月の沙漠と聞けば訪ねたし
春雷も心に印す神のもの
②句境の深まり
咲き満ちて花に遅速のなかりけり
第四句集 障子明り
①平明と俳味
口許に目許に春の風邪心地
鳴沙山片陰作りつつありぬ
②存問と挨拶
春愁と問へば旅疲れと応ふ
③洗練された美意識
桐箱にかるたの月日をさめおり
一枚の障子明りに伎芸天
第五句集 さゆらぎ
①平明、即興、存問
三椏の花三三が九三三が九
②滑稽
早々と庭師来てゐる朝寝かな
③21世紀の哲学としての花鳥諷詠詩→生命の写生
山の音とも霧走る音かとも
さゆらぎは開く力よ月見草
句集「花」
①存問の旅
②花への存問
一山の花の散り込む谷と聞く
さゆらぎてさゆらぎて花心かな
③連衆、土地、自然への存問
みよし野のこたびは花の宿りかな
連れ立つも迷うも花の吉野山
怖くない人数で行く夜の朧
句集「月」
①若々しい詩情の月
月の波消え月の波生まれつつ
月見えぬ側のデッキに月の波
②旅の月
能登の旅日本海の月にそひ
夜々の月名を得て旅路果てにけり
③境涯の月
これよりは月の茶屋守る生活(くらし)かな
丹波路の一人欠けたる月の友
④美しい月
月の燭置きて今宵の浮御堂
⑤月の含意の拡大
置いて来し月が行手に現はるる
梅雨の月狐の仕業かも知れず
⑥祈りの月
寒月の照らすは地震に崩るる町
月満ちてゆく大空に祈りあれ
未刊句集「風の庭」
①旅の日々
初空であり旅空でありにけり
万緑の塊として山を見る
海の日に集ひて地球ボランティア
寄鍋と聞けば出席することに
五月晴明智贔屓の城下町
②日常への存問
新鮮といひて菜虫の穴だらけ
水音を纏ひ遅日の庭に立つ
腹立ててならぬ転んでならぬ秋
・・・つーことで・・・
わたくしも現在の境涯をば一句・・・
転んでしまいアウトドアなしの春 98k