2023年06月30日
定吉七番の復活!!!
とーとつですが・・・
表表紙

裏表紙

帯の惹句

そう、わたくしが愛したスパイ
定吉七番(セブン)の最新刊であります!!!
ま、最新刊とはいっても・・・


13年前に小説現代に連載され、10年前に刊行されてた本なんでしゅが・・・
定吉七番(セブン)シリーズ・・・
わたくしは1作目(1985年)から5作目(1986年)まで愛読してましたが、6作目7作目(1988年)は、
仕事が多忙な時期だったので刊行も知らないまま絶版となってたようで、8作目(1994~5年)は
小説現代に連載されたものの当時のサリン事件の影響により単行本化されなかったとのことで、
やはり知りませんでした
著者の作品では、実家に少なくとも文庫版4冊5作と単行本「戦場は僕らのオモチャ箱」が
あるのは覚えてた(著者の作品リストを見ると他にもけっこう読んでた
)のですが・・・
最近、NATO東京事務所設置に関するnon☆postさんのツイートをきっかけに、懐かしくて
検索したところ、何と二十数年の時を経て!!!2013年に続編が刊行されていたことを知り、
思わず図書館に予約していた次第・・・(ちなみに本書の文庫版も刊行されてます)
閑話休題
例によって目次のみ・・・

目次にある著者の前口上によれば・・・
定吉七番が誕生したのはちょうど関西バブルの絶頂期で、その後は「アホな現実が小説世界を
はるかに凌駕する状況となり、いまさら東西摩擦でもあるまい」と、ずっと続編の執筆依頼を
断り続けていたところ、最近、大阪府を都にするとかを叫ぶ法律家の市長が現れたりして、
新秩序やら事業仕分けやらリストラやら文化補助削減やらで、人々が閉塞して混乱する中、
「古きに復し廃れたるを興さんとするも、また一興なり」と、定吉の復活を決意されたそうです
(そーいや文化財が行政で保管できずOSKの秘密基地に積み上げられてる場面もありました)
2010年頃の雑誌初出なので(2013年の単行本化時点では)時事ネタが若干古いけど御容赦を、
ともありましたが、今回はじめて読んだわたくしには、2010年頃の大阪どころか世界中の
世相が詳しく盛り込まれてて、じつに懐かしく貴重な一冊となりました
で、オハナシは・・・
帯の惹句にもあるとおり、二十数年前にNATTO幹部を追っていたスイス・アルプス山中で
返り討ちに遭い、氷河クレバスの底深くに落ちて死んだと思われていた定吉七番(セブン)が、
2010年に偶然、氷河の温暖化調査団によって冷凍保存状態で発見され、世界各国が稀少な
研究材料として奪い合う中、OSK(大阪商工会議所秘密会所)が、大阪オリンピック辞退の
見返りとして(それで東京になったんやっ!)密かに入手、南港WTC地下にある(あったのかっ!)
OSKの秘密基地で培養液の中から蘇る・・・あたりまでがプロローグ・・・
で、舞台は本町のレトロビルから枚方の古いアパート、淀川河川敷のホームレス小屋、
スイス国境付近の旧ドイツ要塞跡にあるナチス残党の秘密基地などなどから、やがて、
福島県境の新潟県側にある、田長巻子率いるNATTO過激派の秘密基地へ・・・
小説なので驚愕の展開には触れませんが1980年代のシリーズにさらに磨きがかかったとゆーか、
さらにハチャメチャになったとゆーか、雑誌連載されていた2010年までの007シリーズはじめ
あらゆる映画、小説、コミックス、アニメ、TV番組などのパロディが、これでもかとばかり
盛り込まれてて、1頁ごとに何度も抱腹絶倒しました
例えば・・・
・リクルートスーツ姿でビシッと決めているOSKの美人エージェント岡田真弓が、
初対面の際には「私の名前は真弓、岡田真弓・・・」と名乗るとか
(その名前で往年の阪神ファンからは必ず昔話を聞かされ辟易してるのですが
)
・経費削減でリストラされた定吉七番の元上司が、淀川河川敷の小屋でアルミ缶収集しながら、
自然繁殖した巨大アリゲーターやアナコンダらと仲良く暮らしているとか
・スイスの草原から村の集積所へミルク缶を運ぶハイディの、祖父譲りのケッテンクラートとか
(ハイディの幼馴染の恋人がペーテルで、今は都会に住む友人がクララとか
)
・新潟の秘密道路に突如現れるM1エイブラムズ(しかも105mm砲搭載の初期型)とか・・・
・それをRPG7で攻撃し軽微な損害しか与えられなかったものの、両者の原価を計算して
損得勘定だけで成果に満足しているOSK美人エージェント岡田真弓とか・・・
・駅弁鉄でもある定吉七番が大阪から新潟まで在来線を遠回りして全駅弁を制覇したため、
NATTOの待ち伏せチームが大混乱に陥るとか・・・
・新潟名物「イタリアン」の北越地方での評価やスイスのパンが不味い理由などなど・・・
映画「裸の銃を持つ男」を遥かに凌ぐコテコテのパロディやギャグが全頁に満載のうえ、
著者は上記ウィキにある経歴のとおり、博物館学の助手からコンバットマガジン編集部を経て
作家になり、真面目な歴史小説では数々の大賞も受賞されてますから博識も相当なもので、
世界の兵器、料理、歴史から古い吉本ギャグにいたるまで、じつに詳細に描かれており、
トリビアの泉としても興味深く読めました
前作までの作品を知らなくても充分に楽しめますので、未読の方には一読をオススメします
それにしても・・・
わたくしシリーズの第一作目から、ずっと感じていたことなんですが、
著者は大阪人でも関西人でもないのに、土地勘にしても言葉の使い方にしても、
なにゆえ、ここまで詳しいのだろうか???
表表紙

裏表紙

帯の惹句

そう、わたくしが愛したスパイ

ま、最新刊とはいっても・・・


13年前に小説現代に連載され、10年前に刊行されてた本なんでしゅが・・・

定吉七番(セブン)シリーズ・・・
わたくしは1作目(1985年)から5作目(1986年)まで愛読してましたが、6作目7作目(1988年)は、
仕事が多忙な時期だったので刊行も知らないまま絶版となってたようで、8作目(1994~5年)は
小説現代に連載されたものの当時のサリン事件の影響により単行本化されなかったとのことで、
やはり知りませんでした
著者の作品では、実家に少なくとも文庫版4冊5作と単行本「戦場は僕らのオモチャ箱」が
あるのは覚えてた(著者の作品リストを見ると他にもけっこう読んでた

最近、NATO東京事務所設置に関するnon☆postさんのツイートをきっかけに、懐かしくて
検索したところ、何と二十数年の時を経て!!!2013年に続編が刊行されていたことを知り、
思わず図書館に予約していた次第・・・(ちなみに本書の文庫版も刊行されてます)
閑話休題
例によって目次のみ・・・

目次にある著者の前口上によれば・・・
定吉七番が誕生したのはちょうど関西バブルの絶頂期で、その後は「アホな現実が小説世界を
はるかに凌駕する状況となり、いまさら東西摩擦でもあるまい」と、ずっと続編の執筆依頼を
断り続けていたところ、最近、大阪府を都にするとかを叫ぶ法律家の市長が現れたりして、
新秩序やら事業仕分けやらリストラやら文化補助削減やらで、人々が閉塞して混乱する中、
「古きに復し廃れたるを興さんとするも、また一興なり」と、定吉の復活を決意されたそうです
(そーいや文化財が行政で保管できずOSKの秘密基地に積み上げられてる場面もありました)
2010年頃の雑誌初出なので(2013年の単行本化時点では)時事ネタが若干古いけど御容赦を、
ともありましたが、今回はじめて読んだわたくしには、2010年頃の大阪どころか世界中の
世相が詳しく盛り込まれてて、じつに懐かしく貴重な一冊となりました
で、オハナシは・・・
帯の惹句にもあるとおり、二十数年前にNATTO幹部を追っていたスイス・アルプス山中で
返り討ちに遭い、氷河クレバスの底深くに落ちて死んだと思われていた定吉七番(セブン)が、
2010年に偶然、氷河の温暖化調査団によって冷凍保存状態で発見され、世界各国が稀少な
研究材料として奪い合う中、OSK(大阪商工会議所秘密会所)が、大阪オリンピック辞退の
見返りとして(それで東京になったんやっ!)密かに入手、南港WTC地下にある(あったのかっ!)
OSKの秘密基地で培養液の中から蘇る・・・あたりまでがプロローグ・・・
で、舞台は本町のレトロビルから枚方の古いアパート、淀川河川敷のホームレス小屋、
スイス国境付近の旧ドイツ要塞跡にあるナチス残党の秘密基地などなどから、やがて、
福島県境の新潟県側にある、田長巻子率いるNATTO過激派の秘密基地へ・・・
小説なので驚愕の展開には触れませんが1980年代のシリーズにさらに磨きがかかったとゆーか、
さらにハチャメチャになったとゆーか、雑誌連載されていた2010年までの007シリーズはじめ
あらゆる映画、小説、コミックス、アニメ、TV番組などのパロディが、これでもかとばかり
盛り込まれてて、1頁ごとに何度も抱腹絶倒しました
例えば・・・
・リクルートスーツ姿でビシッと決めているOSKの美人エージェント岡田真弓が、
初対面の際には「私の名前は真弓、岡田真弓・・・」と名乗るとか

(その名前で往年の阪神ファンからは必ず昔話を聞かされ辟易してるのですが

・経費削減でリストラされた定吉七番の元上司が、淀川河川敷の小屋でアルミ缶収集しながら、
自然繁殖した巨大アリゲーターやアナコンダらと仲良く暮らしているとか

・スイスの草原から村の集積所へミルク缶を運ぶハイディの、祖父譲りのケッテンクラートとか

(ハイディの幼馴染の恋人がペーテルで、今は都会に住む友人がクララとか

・新潟の秘密道路に突如現れるM1エイブラムズ(しかも105mm砲搭載の初期型)とか・・・

・それをRPG7で攻撃し軽微な損害しか与えられなかったものの、両者の原価を計算して
損得勘定だけで成果に満足しているOSK美人エージェント岡田真弓とか・・・

・駅弁鉄でもある定吉七番が大阪から新潟まで在来線を遠回りして全駅弁を制覇したため、
NATTOの待ち伏せチームが大混乱に陥るとか・・・

・新潟名物「イタリアン」の北越地方での評価やスイスのパンが不味い理由などなど・・・
映画「裸の銃を持つ男」を遥かに凌ぐコテコテのパロディやギャグが全頁に満載のうえ、
著者は上記ウィキにある経歴のとおり、博物館学の助手からコンバットマガジン編集部を経て
作家になり、真面目な歴史小説では数々の大賞も受賞されてますから博識も相当なもので、
世界の兵器、料理、歴史から古い吉本ギャグにいたるまで、じつに詳細に描かれており、
トリビアの泉としても興味深く読めました
前作までの作品を知らなくても充分に楽しめますので、未読の方には一読をオススメします
それにしても・・・
わたくしシリーズの第一作目から、ずっと感じていたことなんですが、
著者は大阪人でも関西人でもないのに、土地勘にしても言葉の使い方にしても、
なにゆえ、ここまで詳しいのだろうか???