2023年08月15日
日本はすでに戦時下にある
台風7号が大阪湾を北上中ですが、8月15日なので・・・

日本はすでに戦時下にある・・・とゆー本のご紹介であります・・・
著者紹介と奥付

著者は東京大学から陸上自衛隊に入り外務省にも出向→ドイツ連邦軍大学留学→駐屯地司令
→師団長→防衛研究所や陸幕を経て方面総監で退職された、陸自ではエリート中のエリート、
さらにハーバード大学などでも研究されてますから日本では数少ない、現場も知り尽くした
「軍事専門家」であることは間違いないでしょう
その著者が素人にも分かるよう書かれた日本と世界の最新情勢ですが、2021年12月現在なので、
その直後(2022年2月24日)のロシアによるウクライナ侵攻などには触れられてません
例によって目次のみの紹介



著者の政治的な主張については果たしてそうなの?と思った部分もありましたが事実として、
あるいは事実の可能性が高いとして記載されている部分は、その根拠となる文献やデータ、
実経験が示されてて参考になりましたので、そういった部分を中心にメモしてみました
まえがきより
・目にみえない戦いは進行している
→キネティック戦争(火が噴く戦争)をしていないだけ
・現代は全領域戦(All-Domain Warfare)の時代
→非軍事では情報、サイバー、政治、経済、金融、外交、メディア、歴史など
→軍事では陸海空、宇宙、サイバー、電磁波など
・本書では戦いと戦争とは明確に区別している
→戦いは「競争者やライバル間の悪意ある仮借なき紛争」で非軍事的手段も含む
→戦争は「2ヶ国以上の軍事紛争で軍事的手段を使った紛争」に限定している
・中国中央統一戦線工作部の戦い
→オーストラリアは主要ターゲットだったが新型コロナで流れが変わった
→日本でもあらゆる分野に浸透している
→中国の超限戦に対して日本は無防備
第一章より
・全領域戦について(略)
→特徴は全領域(ドメイン)で全手段、平時・戦時を問わず特に平時を重視すること
・平時と戦時の概念の変化
→米陸軍の作戦構想では競争から危機を経て紛争に
→米空軍の作戦構想では協力から競争を経て武力紛争に
→平時とは平和なときではなく情報戦、宇宙戦、サイバー戦などでの競争の期間
・中国の超限戦
→目的達成には制限を加えず手段を選ばない→起源はマキャベリの思想
→戦争以外の戦争で戦争に勝ち戦場以外の戦場で勝利を奪い取る→戦わずして勝つ孫子の兵法
→軍隊は勝利できる態勢を作り危機をコントロールし戦争を抑止して戦わずして勝つ(習近平)
第二章より
・中国の中央統一戦線工作部
→活動資金は2019年で26億ドルを超え外交部の予算を上回るとも
→活動は台湾、米国、日本、オーストラリア、ニュージーランド、カナダで最も顕著
→日本では政財界エリート、日中友好団体、孔子学院などに・・・
→琉球王朝末裔の中国招待、基地周辺の不動産取得、沖縄との姉妹都市提携奨励なども・・・
・各国のスパイ(略)
第三章より
・1995年の地下鉄サリン事件
→死者14人、負傷者6300人
→自分も霞ヶ関駅での被害者で自衛隊中央病院に入院した
→隣のベッドには対化学兵器用防護具を予算要求していた同僚幹部が入院しており、
要求の妥当性を当人が被害者となって証明したかたちになった
・2004年の鳥インフルエンザ対応(京都府丹波市)
→当時は第三師団の副師団長で災害派遣の現場指揮官になった
→マニュアル作りから始め、隊員のタミフル服用、簡易防護服、ゴーグルで対応したが、
戦いは福島第一原発事故や今回の新型コロナに対する災害派遣へと継続している
・2019年からの新型コロナウィルス対応
→「流出した生物兵器」説には明白な事実がなかったので無理があると否定している
→2021年の有力研究では発生源は武漢海鮮市場の(宿主となる)生きたタヌキ売場
(コウモリからタヌキへのいずれかの段階でヒト感染するように変異した可能性が高い)
→ポジショントークが多い中で16のアメリカ情報機関が出した冷静な結論(可能性はあるが
明白な事実がなかった)を重視すべき
→WHO報告書でも中国が情報やデータを公開しないため疑義が残るのだから公開すべき
第四章より
・サイバー戦
→ランサムウェア攻撃の実例(略)→重要インフラを停止できる→9.11にも匹敵する
→中国、北朝鮮、ロシアによる攻撃の実例(略)→フランスも攻撃していた
→サイバー空間の国際会議には他国からは軍関係者や情報関係者が多いが日本からは少ない
→自衛隊サイバー防衛隊は専守防衛と縦割り行政で自衛隊以外への攻撃に出る幕はない
→サイバー軍の総合力でもサイバー戦能力でも日本は下位で安全保障省もない
→自衛隊は国内法で日常の情報収集さえできずサイバー攻撃されても敵に侵入もできない
→テンセントはテスラ車ハッキングに成功したと発表しているが、まだ米軍には困難か・・・
第五章より
・SNSは影響工作の主戦場
→偽情報や誤情報の大量拡散によるコントロール
→2016大統領選へのロシアの影響工作は事実で実際に成功している
→2020大統領選ではロシアがバイデン攻撃、イランがトランプ攻撃を行った
(Qアノンでは影の政府D.Sと戦う救世主はプーチンとトランプになっている)
→中国は攻撃を検討したが実施しなかったと報告書にはあるが分断を深める工作はあった
・新型コロナをめぐる影響工作
→米軍関与説、都市封鎖した中国に感謝説→逆に米国で怒りを買い強固な対中戦略へ
→EUの報告書ではロシアと中国から様々な根拠のない影響工作があったとしている
・偽情報とファクトチェック
→人は見たいものを見て、聞きたいものを聞き、読みたいものを読む
→自分の先入観に合致する情報を選択的に収集して拡散する
→ネットでは真実に基づく書き込みより誤情報や偽情報に基づく書き込みのほうが注目され、
はるかに広く速く拡散する(ボットではなく人間が拡散していることが証明されている)
→アテンション・エコノミー(注目経済圏)、訴訟、アルゴリズムの弊害修正などでの対処(略)
第六章より
・宇宙戦(略)
→スペースデブリも大きく関係する・・・
第七章より
・電磁波戦
→通信、レーダー、ミサイル誘導、偵察衛星、レーザーなど現代戦に電磁波は不可欠
→大きく電子攻撃、電子防御、電子戦支援に分けられる(略)
→2017年からのハバナ症候群はGRUによる指向性マイクロ波兵器の可能性が高い
→2020年の中印衝突でも8月29日に解放軍が使用して撃退したとの講演発言があった
(ロンドンタイムズが報道)
(インド政府は何故か否定、中国政府はノーコメント)
→頭痛、吐き気、記憶障害、倦怠感などを引き起こすが外傷がないのが特徴
→指向性エネルギー兵器市場は2027年までには大幅な拡大が見込まれている
・電磁パルス(EMP)攻撃
→北朝鮮がミサイル恫喝の次の段階で日本の高高度で使用する可能性はある
(日本への直接ミサイル攻撃では米軍に報復攻撃される恐れがあるため)
→すでにスーパーEMP弾の開発を完了している
→東京上空96kmで使用すれば影響範囲は半径1080kmで北海道の北半分と南西諸島を除く、
日本全域と韓国の西半分に及ぶが、北朝鮮には影響しない
→中国による台湾と米空母打撃群へのEMP攻撃も戦術上は当然(中国も開発を完了している)
→台湾、フィリピン、グアムの中央海域上空185kmで使用すれば影響範囲は半径1500kmで
台湾、フィリピン、グアムの全域をカバーするが、中国本土には影響しない
→この攻撃は米空母打撃群の正確な位置が特定できない場合にも有効で、中国やロシアは
「EMPは高高度での核爆発で人体に有害な影響はないので核攻撃ではない」と主張している
第八章より
・CIA分析官レイ・クラインの方程式
国力=(人口+領土+経済力+軍事力)×(国家戦略目標+国家意思)
→重要なのは国家戦略目標と国家意思という無形の要素だが日本に欠けているもの
→中国の国力が強いのは世界一になるという国家戦略目標と国家意思を明らかにしているから
→プーチン大統領の断固とした決断はロシアを日本以上に大きく見せている
・国際政治学者ジョセフ・ナイのソフトパワー理論を加味した著者の修正方程式
国力=(人口+領土+経済力+軍事力+政治力+科学技術+教育+文化)×(国家戦略目標+国家意思)
→日本の国力を低下させたい勢力は、この各要素をターゲットに工作を実施している
→日本の国力低下のもっとも重要な理由は国家戦略がなかったこと
→米国の安全保障、防衛、軍事の国家戦略の最初に記述されているのが「国益」
→安全保障は国益を守ることが中核テーマだが、国家戦略は政治の責任分野
・日本の極端な軍事アレルギー
→安全保障や軍事を抜きに国際政治、外交、経済、科学技術などを語ることはできない
→日本では極端な軍事アレルギー反応があらゆる分野にある
→これを確実にしたのはGHQの戦争責任情報計画と軍国主義排除のための民主化改革
→改革を全面的に否定するわけではないが、これで確実に弱い国家になった
・安全保障、日本国憲法、日本学術会議、大学、情報管理、スパイ・・・(略)
・失われた30年の責任の相当部分は三流の政治にある
→三流の政治を支える一流の官僚も一流の経済もなくなった現在では一流の政治しかない
・公明党、専守防衛、自衛隊違憲論、憲法改正、防衛費増額・・・(略)
・新たな国家安全保障戦略への提言
→明確な脅威認識を示すべき(北朝鮮の記述はあるが中国の明確な記述がない)
→全領域戦について記述すべき(サイバー戦と宇宙戦の記述はあるが他はない)
→民主主義国家は全領域戦には不適な体制だが、無視するわけにはいかない
→すでに全領域戦の戦時下にあり、対処しなければあらゆる領域が侵略される
あとがきより
・オーストラリアの例
→クライブ・ハミルトンの「目に見えぬ侵略」発刊→中国工作阻止の活発化→新型コロナ発生
→徹底調査発言から中国の威圧→徹底して対抗→米英との軍事同盟へ
・台湾の例
→2019年1月に習近平主席が演説した五つの対台湾工作の具体的な内容
①解放軍による軍事的圧力→頻繁な活動による疲弊戦と心理戦
②台湾の友好国や国際機関からの隔離
→友好国に圧力をかけ国交断絶させ、国際機関への加盟を拒否させる
③浸透工作と政権転覆→メディア浸透や国民党系企業の優遇、民主進歩党系企業の冷遇など
④統一戦線工作→22の親中組織、親中政党(国民党)はじめ、あらゆる組織への人脈の拡大
⑤サイバー戦→最近2年間で14億回の攻撃、1日500万件の攻撃やスキャン、偽情報の拡散
・中国の超限戦は邪道だが厳しい国際社会を生き延びるひとつの戦略
→あらゆる領域が戦場となり境界がなくなる点は私が主張する全領域戦と合致する
→日本には超限戦に匹敵するようなしたたかな国家戦略がない
・日本と中国の(国家戦略の)ギャップを認識し、全領域戦で戦いを仕かける相手に対して
いかに対処するかを真剣に検討すべき・・・
といった感じでしたが、はてさてどうなんでしょう・・・
つい最近のニュースでも日本のサイバー対策が不十分なのは確実なようですが・・・
安全保障のあり方について大多数の国民は、関心も基本的知識もなく政府におまかせ、
その政府は、その場しのぎ的な政策ばかりで国家戦略目標も国家意思も国民に説明もせず、
与党は身内と忖度官僚で周りを固め自己保身に奔走してるし、野党は野党で分裂と迎合を
繰り返しているうちに、ポピュリスト政党や自己目的の少数政党ばかりが目立ってきて、
まだ二大政党があった55年体制のほうがマシだったかも、とさえ思える政治状況・・・
著者が言うように、中国を安全保障上の脅威と明確にした国家戦略にすべきなのか、
はたまた軍事力以外での全方位外交を前提にした国家戦略にすべきなのか・・・
両者のメリットとデメリットを考えた(中途半端ではなく)中庸の国家戦略はあるのか・・・
いずれにしても明確な国家戦略目標も国家意思もないままで済まないのは確かでしょう
大多数の国民が基本的な安全保障に関する知識を身につけ、事実に基づいた自分なりの判断で、
国政選挙に臨むことによって明確な国家戦略目標や国家意思が形成されるのが理想なんですが、
少なくとも偽情報や誤情報に踊らされないよう、各国の政府発表を含む様々なソースから、
自分でファクトチェックをすることが、まずは重要ですね
まあ、当サイトのファクトチェックは、じつにてきとーなんですが・・・

日本はすでに戦時下にある・・・とゆー本のご紹介であります・・・
著者紹介と奥付

著者は東京大学から陸上自衛隊に入り外務省にも出向→ドイツ連邦軍大学留学→駐屯地司令
→師団長→防衛研究所や陸幕を経て方面総監で退職された、陸自ではエリート中のエリート、
さらにハーバード大学などでも研究されてますから日本では数少ない、現場も知り尽くした
「軍事専門家」であることは間違いないでしょう
その著者が素人にも分かるよう書かれた日本と世界の最新情勢ですが、2021年12月現在なので、
その直後(2022年2月24日)のロシアによるウクライナ侵攻などには触れられてません
例によって目次のみの紹介



著者の政治的な主張については果たしてそうなの?と思った部分もありましたが事実として、
あるいは事実の可能性が高いとして記載されている部分は、その根拠となる文献やデータ、
実経験が示されてて参考になりましたので、そういった部分を中心にメモしてみました
まえがきより
・目にみえない戦いは進行している
→キネティック戦争(火が噴く戦争)をしていないだけ
・現代は全領域戦(All-Domain Warfare)の時代
→非軍事では情報、サイバー、政治、経済、金融、外交、メディア、歴史など
→軍事では陸海空、宇宙、サイバー、電磁波など
・本書では戦いと戦争とは明確に区別している
→戦いは「競争者やライバル間の悪意ある仮借なき紛争」で非軍事的手段も含む
→戦争は「2ヶ国以上の軍事紛争で軍事的手段を使った紛争」に限定している
・中国中央統一戦線工作部の戦い
→オーストラリアは主要ターゲットだったが新型コロナで流れが変わった
→日本でもあらゆる分野に浸透している
→中国の超限戦に対して日本は無防備
第一章より
・全領域戦について(略)
→特徴は全領域(ドメイン)で全手段、平時・戦時を問わず特に平時を重視すること
・平時と戦時の概念の変化
→米陸軍の作戦構想では競争から危機を経て紛争に
→米空軍の作戦構想では協力から競争を経て武力紛争に
→平時とは平和なときではなく情報戦、宇宙戦、サイバー戦などでの競争の期間
・中国の超限戦
→目的達成には制限を加えず手段を選ばない→起源はマキャベリの思想
→戦争以外の戦争で戦争に勝ち戦場以外の戦場で勝利を奪い取る→戦わずして勝つ孫子の兵法
→軍隊は勝利できる態勢を作り危機をコントロールし戦争を抑止して戦わずして勝つ(習近平)
第二章より
・中国の中央統一戦線工作部
→活動資金は2019年で26億ドルを超え外交部の予算を上回るとも
→活動は台湾、米国、日本、オーストラリア、ニュージーランド、カナダで最も顕著
→日本では政財界エリート、日中友好団体、孔子学院などに・・・
→琉球王朝末裔の中国招待、基地周辺の不動産取得、沖縄との姉妹都市提携奨励なども・・・
・各国のスパイ(略)
第三章より
・1995年の地下鉄サリン事件
→死者14人、負傷者6300人
→自分も霞ヶ関駅での被害者で自衛隊中央病院に入院した
→隣のベッドには対化学兵器用防護具を予算要求していた同僚幹部が入院しており、
要求の妥当性を当人が被害者となって証明したかたちになった
・2004年の鳥インフルエンザ対応(京都府丹波市)
→当時は第三師団の副師団長で災害派遣の現場指揮官になった
→マニュアル作りから始め、隊員のタミフル服用、簡易防護服、ゴーグルで対応したが、
戦いは福島第一原発事故や今回の新型コロナに対する災害派遣へと継続している
・2019年からの新型コロナウィルス対応
→「流出した生物兵器」説には明白な事実がなかったので無理があると否定している
→2021年の有力研究では発生源は武漢海鮮市場の(宿主となる)生きたタヌキ売場
(コウモリからタヌキへのいずれかの段階でヒト感染するように変異した可能性が高い)
→ポジショントークが多い中で16のアメリカ情報機関が出した冷静な結論(可能性はあるが
明白な事実がなかった)を重視すべき
→WHO報告書でも中国が情報やデータを公開しないため疑義が残るのだから公開すべき
第四章より
・サイバー戦
→ランサムウェア攻撃の実例(略)→重要インフラを停止できる→9.11にも匹敵する
→中国、北朝鮮、ロシアによる攻撃の実例(略)→フランスも攻撃していた
→サイバー空間の国際会議には他国からは軍関係者や情報関係者が多いが日本からは少ない
→自衛隊サイバー防衛隊は専守防衛と縦割り行政で自衛隊以外への攻撃に出る幕はない
→サイバー軍の総合力でもサイバー戦能力でも日本は下位で安全保障省もない
→自衛隊は国内法で日常の情報収集さえできずサイバー攻撃されても敵に侵入もできない
→テンセントはテスラ車ハッキングに成功したと発表しているが、まだ米軍には困難か・・・
第五章より
・SNSは影響工作の主戦場
→偽情報や誤情報の大量拡散によるコントロール
→2016大統領選へのロシアの影響工作は事実で実際に成功している
→2020大統領選ではロシアがバイデン攻撃、イランがトランプ攻撃を行った
(Qアノンでは影の政府D.Sと戦う救世主はプーチンとトランプになっている)
→中国は攻撃を検討したが実施しなかったと報告書にはあるが分断を深める工作はあった
・新型コロナをめぐる影響工作
→米軍関与説、都市封鎖した中国に感謝説→逆に米国で怒りを買い強固な対中戦略へ
→EUの報告書ではロシアと中国から様々な根拠のない影響工作があったとしている
・偽情報とファクトチェック
→人は見たいものを見て、聞きたいものを聞き、読みたいものを読む
→自分の先入観に合致する情報を選択的に収集して拡散する
→ネットでは真実に基づく書き込みより誤情報や偽情報に基づく書き込みのほうが注目され、
はるかに広く速く拡散する(ボットではなく人間が拡散していることが証明されている)
→アテンション・エコノミー(注目経済圏)、訴訟、アルゴリズムの弊害修正などでの対処(略)
第六章より
・宇宙戦(略)
→スペースデブリも大きく関係する・・・
第七章より
・電磁波戦
→通信、レーダー、ミサイル誘導、偵察衛星、レーザーなど現代戦に電磁波は不可欠
→大きく電子攻撃、電子防御、電子戦支援に分けられる(略)
→2017年からのハバナ症候群はGRUによる指向性マイクロ波兵器の可能性が高い
→2020年の中印衝突でも8月29日に解放軍が使用して撃退したとの講演発言があった
(ロンドンタイムズが報道)
(インド政府は何故か否定、中国政府はノーコメント)
→頭痛、吐き気、記憶障害、倦怠感などを引き起こすが外傷がないのが特徴
→指向性エネルギー兵器市場は2027年までには大幅な拡大が見込まれている
・電磁パルス(EMP)攻撃
→北朝鮮がミサイル恫喝の次の段階で日本の高高度で使用する可能性はある
(日本への直接ミサイル攻撃では米軍に報復攻撃される恐れがあるため)
→すでにスーパーEMP弾の開発を完了している
→東京上空96kmで使用すれば影響範囲は半径1080kmで北海道の北半分と南西諸島を除く、
日本全域と韓国の西半分に及ぶが、北朝鮮には影響しない
→中国による台湾と米空母打撃群へのEMP攻撃も戦術上は当然(中国も開発を完了している)
→台湾、フィリピン、グアムの中央海域上空185kmで使用すれば影響範囲は半径1500kmで
台湾、フィリピン、グアムの全域をカバーするが、中国本土には影響しない
→この攻撃は米空母打撃群の正確な位置が特定できない場合にも有効で、中国やロシアは
「EMPは高高度での核爆発で人体に有害な影響はないので核攻撃ではない」と主張している
第八章より
・CIA分析官レイ・クラインの方程式
国力=(人口+領土+経済力+軍事力)×(国家戦略目標+国家意思)
→重要なのは国家戦略目標と国家意思という無形の要素だが日本に欠けているもの
→中国の国力が強いのは世界一になるという国家戦略目標と国家意思を明らかにしているから
→プーチン大統領の断固とした決断はロシアを日本以上に大きく見せている
・国際政治学者ジョセフ・ナイのソフトパワー理論を加味した著者の修正方程式
国力=(人口+領土+経済力+軍事力+政治力+科学技術+教育+文化)×(国家戦略目標+国家意思)
→日本の国力を低下させたい勢力は、この各要素をターゲットに工作を実施している
→日本の国力低下のもっとも重要な理由は国家戦略がなかったこと
→米国の安全保障、防衛、軍事の国家戦略の最初に記述されているのが「国益」
→安全保障は国益を守ることが中核テーマだが、国家戦略は政治の責任分野
・日本の極端な軍事アレルギー
→安全保障や軍事を抜きに国際政治、外交、経済、科学技術などを語ることはできない
→日本では極端な軍事アレルギー反応があらゆる分野にある
→これを確実にしたのはGHQの戦争責任情報計画と軍国主義排除のための民主化改革
→改革を全面的に否定するわけではないが、これで確実に弱い国家になった
・安全保障、日本国憲法、日本学術会議、大学、情報管理、スパイ・・・(略)
・失われた30年の責任の相当部分は三流の政治にある
→三流の政治を支える一流の官僚も一流の経済もなくなった現在では一流の政治しかない
・公明党、専守防衛、自衛隊違憲論、憲法改正、防衛費増額・・・(略)
・新たな国家安全保障戦略への提言
→明確な脅威認識を示すべき(北朝鮮の記述はあるが中国の明確な記述がない)
→全領域戦について記述すべき(サイバー戦と宇宙戦の記述はあるが他はない)
→民主主義国家は全領域戦には不適な体制だが、無視するわけにはいかない
→すでに全領域戦の戦時下にあり、対処しなければあらゆる領域が侵略される
あとがきより
・オーストラリアの例
→クライブ・ハミルトンの「目に見えぬ侵略」発刊→中国工作阻止の活発化→新型コロナ発生
→徹底調査発言から中国の威圧→徹底して対抗→米英との軍事同盟へ
・台湾の例
→2019年1月に習近平主席が演説した五つの対台湾工作の具体的な内容
①解放軍による軍事的圧力→頻繁な活動による疲弊戦と心理戦
②台湾の友好国や国際機関からの隔離
→友好国に圧力をかけ国交断絶させ、国際機関への加盟を拒否させる
③浸透工作と政権転覆→メディア浸透や国民党系企業の優遇、民主進歩党系企業の冷遇など
④統一戦線工作→22の親中組織、親中政党(国民党)はじめ、あらゆる組織への人脈の拡大
⑤サイバー戦→最近2年間で14億回の攻撃、1日500万件の攻撃やスキャン、偽情報の拡散
・中国の超限戦は邪道だが厳しい国際社会を生き延びるひとつの戦略
→あらゆる領域が戦場となり境界がなくなる点は私が主張する全領域戦と合致する
→日本には超限戦に匹敵するようなしたたかな国家戦略がない
・日本と中国の(国家戦略の)ギャップを認識し、全領域戦で戦いを仕かける相手に対して
いかに対処するかを真剣に検討すべき・・・
といった感じでしたが、はてさてどうなんでしょう・・・
つい最近のニュースでも日本のサイバー対策が不十分なのは確実なようですが・・・
安全保障のあり方について大多数の国民は、関心も基本的知識もなく政府におまかせ、
その政府は、その場しのぎ的な政策ばかりで国家戦略目標も国家意思も国民に説明もせず、
与党は身内と忖度官僚で周りを固め自己保身に奔走してるし、野党は野党で分裂と迎合を
繰り返しているうちに、ポピュリスト政党や自己目的の少数政党ばかりが目立ってきて、
まだ二大政党があった55年体制のほうがマシだったかも、とさえ思える政治状況・・・
著者が言うように、中国を安全保障上の脅威と明確にした国家戦略にすべきなのか、
はたまた軍事力以外での全方位外交を前提にした国家戦略にすべきなのか・・・
両者のメリットとデメリットを考えた(中途半端ではなく)中庸の国家戦略はあるのか・・・
いずれにしても明確な国家戦略目標も国家意思もないままで済まないのは確かでしょう
大多数の国民が基本的な安全保障に関する知識を身につけ、事実に基づいた自分なりの判断で、
国政選挙に臨むことによって明確な国家戦略目標や国家意思が形成されるのが理想なんですが、
少なくとも偽情報や誤情報に踊らされないよう、各国の政府発表を含む様々なソースから、
自分でファクトチェックをすることが、まずは重要ですね
まあ、当サイトのファクトチェックは、じつにてきとーなんですが・・・

この記事へのコメント
1. Posted by バスウ 2023年08月15日 16:23
自分自身の情報収集、判断力を高目ないと振り回されるだけですね😥
次の台湾選挙が気になります。
次の台湾選挙が気になります。
3. Posted by 98k 2023年08月15日 17:03
>バスウさん
コメントありがとうございます
今は偽情報や誤情報も含め、様々な情報に手軽にアクセスできる時代
それを利用して意のままにしようという国や組織も、知らずに利用されている個人も多いようです
台湾人の情報に関する収集力や判断力は日本人より高いとは思いますが、情報合戦も熾烈なんでしょうね
でも政治への参加意識も日本より高いですから、選挙結果が総意として政治に反映されるわけですね
(コメント修正できなくなったので削除・再送しました)
コメントありがとうございます
今は偽情報や誤情報も含め、様々な情報に手軽にアクセスできる時代
それを利用して意のままにしようという国や組織も、知らずに利用されている個人も多いようです
台湾人の情報に関する収集力や判断力は日本人より高いとは思いますが、情報合戦も熾烈なんでしょうね
でも政治への参加意識も日本より高いですから、選挙結果が総意として政治に反映されるわけですね
(コメント修正できなくなったので削除・再送しました)