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2023年10月24日

【図解】新・地政学入門

とーとつですが・・・

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【図解】新・地政学入門とゆー本であります



表紙カバー裏にあった惹句

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著者紹介と奥付

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著者は大蔵(財務)官僚から小泉内閣・第一次安倍内閣・菅政権のブレーンになった人・・・



例によって目次のみ・・・

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本章は中国、ロシア、ヨーロッパ、アメリカの4章で構成されてます

著者の政策や主張についてはさておき、とりあえず一部の概要メモです


まえがきより

・地政学とは世界の戦争の歴史を知ること
→地理的条件で一国の危機意識も戦略思想も何から何まで変わる
危機意識や戦略思想が目に見える形で現れるのが戦争
→国民性とかお国柄とか呼ばれるものにも地理的条件が深く関わっている
→地理的条件により国の生き残りや発展をかけた野心が生まれ様々な戦争が起こってきた
→すべての戦争には地理的条件による各国なりの「切実な事情」が絡んでいる
→そうした戦争の歴史を知ることが地政学であり、この視点で世界の深層をとらえる


プロローグより

・国家・国境・民族という単位での戦争の歴史は現代を生きる知恵に直結する
→歴史の背景には国家の思惑、目論見、野心が存在する
→理解に必要なのは年号と出来事ぐらい、情緒を交えず冷徹に事実関係だけを把握する姿勢と
「大体の流れを把握する」という大雑把な視点

・戦争は領土および領土に付随するものを巡って起こってきた→地理的条件
→地政学的な視点を持つと、世界はどう動くか、我が国はどう立ち回るべきかまで、
地に足のついた思考力で考えることができる

・相手が引けば押すのが国際政治の常識→なめるか、なめられるか

・近代以降で重要なのは陸より海で本当は地政学というより海政学
→海外進出のためには海を制さねばならない
→地中海を制したパクス・ロマーナから世界を制した第一次世界大戦までのパクス・ブリタニカ、
第二次世界大戦後のパクス・アメリカーナ・・・

・「暴力の人類史」(スティーブン・ピンカー著)にある図表
(歴代上位21戦争の死者数と、その分母を20世紀中葉の人口に換算した図表)
→換算前の死者数トップは第二次世界大戦で20世紀だが、換算後は8世紀の安史の乱になる
→上位21戦争のうち2/3が19世紀以前で人口換算すれば上位8位までが
19世紀以前の戦争
→これによりピンカーは20世紀以降、人類は平和になったと指摘している

・民主国家は独裁国家に比べ戦争を起こす確率が絶対的に低い
→民主主義という政治システムは根本的に戦争とは相容れない
→個の価値が高まり戦争抑止効果が政治家、民衆、軍部に働くのが民主主義国家
→自由貿易による現代の平和を資本主義的平和、自由主義的平和と呼ぶ学者もいる・・・


以下、各章は
以前紹介したこちらの本と重なる部分もあり読み飛ばしもあるのでメモは省略、
第一次世界大戦から第二次世界大戦へのヨーロッパの流れのみ・・・

・1903年
→ドイツの3B政策(ベルリン・バグダッド・ビザンティウム(イスタンブール)を結ぶ鉄道敷設権)と
イギリスの3C政策(カルカッタ・カイロ・ケープタウンを
結ぶ鉄道敷設権)の対立
→オスマン帝国領地へのロシアを含む各列強の進出と複雑化するバルカン半島問題も絡む
(オスマン帝国はイスラム以外の共同体自治も認めて共存していたが衰退し各国が独立)

・1908年
→オスマン帝国の青年トルコ革命に乗じたオーストリア=ハンガリー帝国によるボスニアと
ヘルツェゴビナの併合

・1912年
→ロシア支援によるセルビア、モンテネグロ、ブルガリア、ギリシャのバルカン同盟
(パン・スラブのロシアとパン・ゲルマンの
オーストリア=ハンガリー帝国の対立)
→オスマン帝国対バルカン同盟国の第一次バルカン戦争

・1913年
オスマン帝国に勝利したバルカン同盟国内のマケドニアをめぐる第二次バルカン戦争
(セルビア・ギリシャ側にオスマン帝国、モンテネグロ、ルーマニアがつきブルガリアが敗北、
その後ブルガリアはドイツ・
オーストリア=ハンガリー帝国に近づく)
→イギリス、フランス、ロシアは三国協商、フランスはアルザス・ロレーヌ地方の領有権でも
ドイツと対立しており、ロシアも
パン・スラブとパン・ゲルマンでドイツと対立していた
→連合国と同盟国の形成へ

・1914年
→サラエボ事件→
オーストリア=ハンガリー帝国がセルビアへ宣戦布告
→僅か一週間で列強すべてが参戦、
連合国と同盟国に分かれた第一次世界大戦に
(ナポレオン戦争以来100年ぶりのヨーロッパ大戦争で世界中を巻き込んだ)

・1919年のベルサイユ条約
オーストリア=ハンガリー帝国は解体、ドイツは領土縮小、巨額の賠償金、軍備制限
→ルーマニア、ポーランドに領土を割譲、チェコ人とスロバキア人によるチェコスロバキア、
クロアチア人、スロベニア人、セルビア、モンテネグロが合体したユーゴスラビアなどが独立
→英仏がロシア共産革命に対する防御壁として、小さな独立国家を乱立させた
オスマン帝国も解体→英仏によるクルド人地域の分割統治など(略)
→さらにイギリスの多重外交などにより現代まで続く中東問題に(略)


・1929年の世界大恐慌
巨額の賠償金をアメリカ資本に頼ろうとしていたドイツでのヒトラーの台頭
→公共事業で失業者を一挙に減らし軍備を増強、隣国への実力行使へ
→オーストリア、チェコスロバキアのズデーデン地方の併合(1938年)

・1939年~第二次世界大戦
→独ソ不可侵条約によってドイツがポーランドに侵攻
→ポーランド支援を約束していた英仏による宣戦布告
→イギリス上陸を阻まれたドイツは再び東欧、バルカン半島へ
独ソ不可侵条約を一方的に破棄しソ連に侵攻(1941年6月)
→ドイツを止めたいアメリカ・イギリスの支援もあり1943年はじめに撤退
→1945年5月に無条件降伏
→1949年に東西に分断され冷戦構造に関わっていく・・・

・NATO
→今回フィンランド、スウェーデンが加盟したのは「戦争をしたくないから」
→集団的自衛権を認めた方が戦争確率が下がるから
集団的自衛権推進派だった私を「戦争愛好者」と罵っていた人たちは何を思うだろう
→EUがギリシャ危機を見捨てなかったのもNATOとしての安全保障から
(ロバート・マンデルの最適通貨圏理論では最もユーロに適さない国)

・地理的条件によって左右されるエネルギーも地政学上の重要なファクター
→天然資源の乏しい国にとって原子力発電は虎の子
→廃炉してしまったドイツは地政学的リスクを甘く見すぎていた


エピローグより

・戦争の歴史は国家の領土拡大渇望の歴史だが国際社会の基本姿勢は今や「不戦」になっている
→不戦のためにすべきことは相手に思いとどまらせること→反撃能力を示すこと
→戦って自分を守るためではなく戦わずして自分を守るため、しっかり武装しておくこと

・地政学的リスクから集団的自衛権の是非は明確
→不戦が基本姿勢でも帝国主義的野心の国は存在するから牽制活動が必要
→戦後1000人以上の戦死者を出した軍事衝突39回のうち15回はアジア
→戦後の紛争地のうち39%がアジア(中東24%アフリカ16%ヨーロッパ13%)
→同盟国との集団的自衛権を「見せる」ことは自己防衛の基本

・国際政治では同盟と軍事力を強調するのがリアリズム、民主主義と貿易依存と国際機関を
強調するのがリベラルといわれ、これまで平和について論争してきた
→膨大な戦争データの分析で、どちらも正しいことが実証された(2001年)
(戦争リスクの減少割合)
・きちんとした同盟関係を結ぶことで40%
・相対的な軍事力が一定割合増すことで36%
・民主主義の程度が
一定割合増すことで33%
・経済的依存関係が一定割合増すことで43%
・国際的組織加入が一定割合増すことで24%
→独立国にふさわしい軍備で牽制効果を高め、きちんとした同盟関係を結び、民主主義国同士で
自由貿易を行う関係を築き、国連に加盟すれば、世界の戦争リスクはぐんと下がる
→外交とは安全保障と貿易について話し合うこと・・・

云々・・・

著者の政策や主張については賛否両論でしょうが、ま、それも民主主義ですね・・・



m98k at 20:15│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 書斎 

この記事へのコメント

1. Posted by バスウ   2023年10月25日 10:16
著者高橋さんのYouTubeを良く観てます。
鵜呑みはいけないと思いつつ結構共感しております😅
2. Posted by 98k   2023年10月25日 15:05
>バスウさん
コメントありがとうございます
わたくしは今回はじめて著者を知りました
ミリタリーバランスが崩れた地域や空白地域では紛争が起きやすいことも、
独自の軍備増強と併せて軍事同盟を組めば牽制しやすいことも、おそらく間違いのない事実でしょう
でも軍備の増強や軍事同盟の強化は必然的に軍拡競争になり、先制攻撃や偶発事故や独裁政権の独走可能性が高まるのも事実
軍拡と軍縮は相手との関係でセットで考えるべきだし、集団的自衛権の強化も相手からすれば敵対行為の強化だし・・・
この手の議論は、おっしゃるとおり決して主張を鵜呑みにせず、冷静に判断することが大事ですね

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