2024年03月29日
天才たちの未来予測図
とーとつですが・・・
天才たちの未来予測図(とゆー本)のご紹介であります
若き天才たち4人と編著者の略歴
奥付
例によって目次のみの紹介
以下、てきとーなメモで思い違いもあるので興味を持たれた方は本書のご熟読を
成田悠輔~「わけがわからない人間」が輝く時代~より
・今の日本の「教育」は異なる要素が混ざり合ったもの
①入試合格、単位取得など目的達成のための手段・ツールとしての勉強
②学ぶこと自体が楽しい、価値があるという勉強そのものに目的を見い出すもの
③毎日同じ場所と時間で何かに取り組む習慣、マナー、処世術、我慢を身につける洗脳の側面
→これらを小中高12年間(偏差値40~60を前提とした)同一カリキュラムで一斉に学んでいる
→今後は各要素、個々人に応じたカスタマイズが必要
・ただし義務教育は「最低限の知識を提供する」インフラのようなものなので、
→生きる上で欠かせない最低限の知識を全員が得られる場所であるべき
(日本でもアメリカでも読み書きや四則計算ができず人生の幅を狭めている若者が増加)
→読み書きや四則計算などは学力テストと相性がいいのでテスト点数を指標にするのは有効
(テスト点数以外の複雑な指標は何をどう評価するか分からず教育現場も混乱する)
→全員が達成すべき目標数値を示し、その上で個別最適化されたカリキュラムを導入すべき
(確かに(英語を含み高等数学などを除く)基本科目だけに個別最適化されたカリキュラムで
12年もかければ、ほぼ全員が最低限の知識を得ることは可能かも・・・)
・逆に大学や研究者支援などの高等教育制度では単一指標で目標設定することは不可能
→(AIなど一時的に求められている研究に)選択と集中をするのではなく、個々人が独自の
方向性を追求して行けるよう、薄く広く資源を配分することが重要
→流行っている研究テーマに資源を選択集中すれば日本の研究環境が破壊されるリスクに
(数十年前には各大学が花形だった原子力の研究に資源や人材を集中していた)
→ノーベル賞やアメリカや中国が力を入れている研究テーマに飛びつくのも間違い(後追い)
・日本の「選択と集中」政策や「大学院重点化政策」は1990年代ぐらいから
→それ以降、日本の科学技術研究は衰退している(実証には「反実仮想」が必要だが)
・トップランナーの選択と集中は有効だが今の日本の資源や人材でトップになれる分野はない
→なので、今の日本には低予算番組で成功しているテレビ東京の路線(逆張り路線)しかない
→現実的には何をやってるかわからない人たちにまで広く薄く予算を配分すること
(この分野が伸びそうなどと自分のような中途半端に賢い有識者が仮説を立ててはいけない
→みんなが同じ結論になって競争過多になるから)
・義務教育は、
「全員が最低限これだけは身につける」
「誰もが同じことができるようになる」ことを目指す方向
・高等教育や研究者支援は逆で、
「人がやってることはやらないようにする」
「すでにカリキュラムにあることとは違うことをやる」ことを奨励する方向
・この真逆に進むべき方向が一緒に議論され教育が迷走している印象を受ける
・政策や社会制度をつくる立場のひとにはエリート層が多い
→親から手厚い教育を受けてきたエリート層が自分の経験だけで教育制度をつくるのはリスク
→その経験がいかに個人的で極端なのかを思い知るためにデータによる真実が重要
・AIへの目的設定と意志決定は人間なのでまだ進化中だが、使える一例が選挙や組織運営
→運営会議での話し合い、交渉、根回しなどを、そのままAIやアルゴリズムに置き換える
→ブラックボックスだったプロセスをAIで透明にしていく動きが出てきている
・選挙では政策ではなく候補者を選ぶ
→間接的な方法で意思表明できるのも選挙時のみ
→選挙制度は政治家や政権を決める仕組みなので目的設定のための計算装置とも捉えられる
→なのでAIに置き換えることは将来的には可能
→昔は投票結果からしか民意の情報を抽出できなかったがテクノロジーの進歩で選挙以外の
情報も民意を捉えるのに使えるようになっている→しかし選挙制度は変わっていない
→一人一票の選挙では政策への思いや知識の重さが乗りにくい
→LGBT法制などマイノリティ問題が典型→多数が政治に絶望を感じている
・AIで政治に関するSNS上の発信、日常会話、演説を見ている人の表情データなどを集める
→AIが大量の意見や思想データを集約して分析し、AIが政治の方向性を決めていく
→人間を介在させることなく民意を反映させた政策を行うことができる
→実現には技術的・倫理的・政治的な壁があり、長いスパンの社会的な事業になるので、
様々な領域から取り組む人が出てこないといけない
・未来の政治家の役割
→政治家の役割は、
①政策の意思決定をして行政機関を使って実行していく実務家としての役割と、
②人前でタレントとして活動し何かあれば火だるまになるマスコット的な役割がある
→①は徐々にAIやプログラムにとって代わられ、②は猫にとって代わられるかも
(②は人気投票そのものでSNSで猫人気に勝てる好感度の政治家はいないから)
→実務はAIやプログラムに任せて人気を集め、何かトラブルが起きたら責任を取るのが
未来の政治家の姿→やはり人間より猫のほうが得意では→猫の政治家に人間の秘書
→実際に人間は猫に仕えるようになってきている(中目黒や代官山のペットショップなど)
・遊びや趣味に見えるものほど真面目にやるというのが繰り返されてきた人間のトレンド
→ルールがあり生産性や効率性が求められる仕事は人間ではないものに外注していく運命
→圧倒的な価値を生み出す可能性を秘めた人を寄ってたかって潰しているのが今の日本
→新しいことや変なことを始めた人を別に応援しなくてもいい
→過剰なバッシングやスキャンダルを探し回るのをやめるだけで十分
・いくつものコミュニティに属し、その都度興味のある仕事や趣味をやり続ける
→どこにもホームがなく、どれも本業ではないので気軽に手放せるアウェイが理想・・・
斎藤幸平~資本主義から脱成長コミュニズムへ~より
(「人新世の資本論」を以前に紹介してますので、編著者への回答の一部のみメモ)
Q5 科学技術のイノベーションで環境問題は解決できるのでは?
・資本主義競争の中で技術革新による効率化や省エネ化もあったが、それ以上に飛行機に乗り、
洋服を買い、ワインや牛肉を食べる生活が世界全体に拡がっている
→なので二酸化炭素の排出量は環境問題が明らかになってからも増え続けている
(経済成長が前提の資本主義システムだから当然)
・すべてはいずれ技術が解決するというロジックを信じ込ませることで得するのは誰か
→今のシステムで利益を得ている既得権益層→その犠牲になるのは若者と途上国の人たち
Q6 資本主義下で解決した環境問題もあるのではないか?
・大気汚染が改善したのは汚染物質だけを除去すればいいから
→資本主義には化石燃料は重要なエネルギー源
→急激な脱炭素化でも経済成長できるかは不明(なので改善されない)
・改善している事実や数字は都合のいいところだけ(知られていない虫などは激減中)
→経済活動が長いスパンで地球環境に影響を与えている→被害は次の世代へ
Q7 先進国での環境への配慮は高まっているのでは?
・先進国が「環境に優しい」製品を作るために何をしているか
→例として電気自動車のリチウムイオン電池
→南米アンデス山脈周辺では先進国同士が争奪戦をしている
→製造過程で大量の水不足や水生態系破壊が進んでいる
→途上国に石炭石油を大量生産させ環境問題を引き起こしているのと同じ
→負担の所在を転々とさせているに過ぎない
→限りない経済成長のために大量生産・大量消費を繰り返すシステムから脱成長へ
Q8 脱成長のために具体的に何を変える?
・過剰をやめるのに貧しさとか我慢とか違和感を感じるとしたら、そう思わされているから
→好きなだけお金を使うために働き稼ぐ→この考え自体が資本主義的発想に支配されている
→脱成長の視点を仕事や人生に取り入れることで本当の豊かさを手に入れることができる
Q9 今の日本に革命は必要か?
・マイバッグやマイボトルとは比較にならない大転換は必要だが暴力革命以外でも可能
→みんなでコンビニやファストフードでお金を使わないようにしたら、
→みんなで新しいコミュニティを作って農業や洋服の交換を始めたら、
→資本主義はガラガラと崩れるかもしれない
→資本論は「革命しようぜ」という本ではなく「なぜお金を欲しがるのか」といった
素朴な疑問を解明しようとしている本
Q10 社会を変えようとする動きが起こらない理由は?
・資本主義しかないと思わされているから
→ただしマルクスの時代と異なるのは、
①距離の問題(グローバル化で問題を押しつけている場所が遠くなった)
②時間の問題(気候変動などで大きな影響を受けるのは次の世代→今さえ自分さえよければいい)
・電気自動車は絶対必要だが消費社会は一斉に買い換えると破綻するほど膨張している
→レアメタル産地での人権・環境問題の拡大、生産増による環境負荷・・・
→数そのものを減らす脱成長の視点が不可欠(カーシェアリング、コンパクトシティなど)
・飛行機を減らし夜行列車を増やすなど先進国が消費を減らす必要がある
Q11 脱成長で不便になったり所得が減ったりするのか?
・成長をあきらめることでコンビニの例のように不便になることもあるが、便利な生活を
手放すことで逆に幸せになれるかもしれない
→そのためには最高9割の富裕税、エッセンシャルワーカーの所得税ゼロなどの税制改革
(富裕税で取り上げた税金は成人を迎えた人に1000万ずつ配るとか)
Q12 競争がなくなればやる気がなくなり堕落しないか?
・競争がなくなればイノベーションは活性化する(大学研究者の例)
Q13 コミュニズムはなぜ実現していないのか?
・お金という指標があまりに強く、わかりやすいから
→数値化できないものを無視し犠牲にしているシステムだから→価値から使用価値へ
Q14 コミュニズムだと強制されるのでは?
・ガソリン車禁止、富裕税、コンビニ24時間営業の禁止などは確かに強制
→しかし資本主義社会でも強制はある(生活のための過重労働など)
→強制のポジションを弱者から強者に調整するだけ・・・
小島武仁~世界の歪みを正すマッチング理論~より
・日本は資本主義社会だが古典的自由主義を採用していない社会制度も多くある
→認可保育園の入園や大学の入学試験などは社会主義的に分配を決める制度
→問題がある場合に資本主義的な疑似市場を取り入れて調整するのがマッチング理論
・山形市ではマッチング理論をベースにしたアルゴリズムで待機児童が60%減るとの試算
・アメリカの腎臓移植ネットワーク
→お金を使わない「物々交換市場」をデータベース上で構築したマッチング
・企業の人事配置(社員と部署)のマッチング
→双方の希望だけで処理→性格や能力などのデータまで入れると双方に納得されない
→最低限の情報で透明性のある結果を出し、問題が生じたら解決していく
・データや情報が1ヶ所に集まる(市が立つ)ことが重要
→市場に多く集まるほうが最適な取引(マッチング)を行うことができる
→疑似市場には価格などによる需給調整メカニズムがないのでアルゴリズムが調整する
→アルゴリズムを「市場の見えざる手」の代わりに機能させるのがマッチング理論
→いわばマッチングアプリのお化け
・日本の大学教授は給与が安く事務作業が多い(山中伸弥教授の都市伝説)→頭脳流出へ
→それでも日本社会にマッチングを実装すべきだと考えて戻ってきた・・・
内田舞~withコロナ時代の「心の守り方」~より
・社会正義
→自閉症や気分障害など児童精神科領域は科学的根拠のない差別や偏見、思い込みだらけ
→研究して精神疾患に関する正確な理解を広めることが自分にとっての社会正義
・感情は生存に繋がる行動を促す仕組みで進化の過程で作られたもの→偏桃体の発火
→発火が続くと長期的な思考が鈍くなりネガティブになる(コロナ禍への対応など)
・ネガティブな感情に支配されないための「再評価」という心理的アプローチ
→自分の感情や状況を捉え直すことでネガティブな要素をポジティブに変えていける
→日常でもやってることだが脳機能の違いで苦手な人もいる→気持ちの切り替えができない人
→ただし苦手な人でも練習を繰り返すことで上達することがわかっている
(方法)
・ネガティブになった瞬間での再評価は難しいので、最初は30分後など落ち着いてから、
どんな気持ちだったか、どんな考えの影響でそんな気持ちになったかを振り返る
→その上で、その気持ちや状況を捉え直せないか試してみる(泣いてる人の写真の例)
→この振り返りを重ねるとその場で再評価ができるようになり、イライラや哀しい気持ちに
支配されにくくなってくる
・メンタルには「自分が誰かの役に立っている」ことも「自分のためにする」ことも大切
・子ども一人での再評価は難しい
→ネガティブな出来事が起きた時に一緒に感情と思考を再評価していくことで、親も子どもも
気持ちをコントロールすることができるようになっていく(子どもの描いた絵と家事の例)
・一人で自分の感情や思考と向き合うのが難しい場合は躊躇なく精神科やカウンセリングへ
(自分や近親者の生活に影響が出ている、めまい、頭痛、胃腸など身体症状が現れるなど)
(日本人を含む東アジア人は白人に比べ精神症状が身体症状に表れることが多いとの研究も)
・妊婦がコロナワクチンを接種するリスクとしないリスク(日本のメディアに出るきっかけ)
→安全性が証明されているのに日本では現在も科学情報がないまま個人に判断させている
→自分には医学的知識があり最新論文もチェックできてたので自信を持って接種を決断できた
→それで日本のメディアにも注目されたが日本の一般人の知る情報では難しい決断
→なので日本のメディア取材で正確な情報を伝えようとしたが全く無視だったので驚愕した
→正確な医学科学情報を伝えるために公的機関やメジャーメディアと専門家との協力が必要
・子どもの自己肯定感を高めるにはメイとサツキのお父さんが理想→経験の共有
・自分に向いている社会も向いていない社会もある→価値観が違うだけで優劣ではない
→日本で「主体性を持った女性」として幸せになるのは難しいと思ったからアメリカに渡った
→ドラえもんのしずかちゃんの生き方も否定しないが多くの選択肢からではなく「画一的な
女性の理想像を社会から無意識に押しつけられ自分の能力発揮より男性のサポートを優先」
と思ったとすれば、それは個人の選択ではない
・自分の行動や考え方で意味づけを変えられる出来事に関しては「再評価」で、コロナのような
自分のコントロール下にない出来事に関しては「ラジカル・アクセプタンス(受容)」により、
ネガティブな感情に支配されないよう自分のメンタルを守ること
(受容とは、あきらめたり忘れたり感情を抑制することではなく、起きたことは変えられない
という前提のもと、変えてしまいたいような事実でも事実として受け止めること
それで自分がコントロールできることが明瞭になり希望が見え行動に移せることもある)
・・・
編著者のあとがきにもありましたが、まさに担当教授と雑談している学生のような気分で、
わからないことも知らないこともいっぱいなのに最後まで興味深く読めました
経歴を見る限り、4人は確かに「現代の若き天才たち」と言えるだろうけど、雑談については
素人にもわかりやすかったです
天才たちの未来予測図(とゆー本)のご紹介であります
若き天才たち4人と編著者の略歴
奥付
例によって目次のみの紹介
以下、てきとーなメモで思い違いもあるので興味を持たれた方は本書のご熟読を
成田悠輔~「わけがわからない人間」が輝く時代~より
・今の日本の「教育」は異なる要素が混ざり合ったもの
①入試合格、単位取得など目的達成のための手段・ツールとしての勉強
②学ぶこと自体が楽しい、価値があるという勉強そのものに目的を見い出すもの
③毎日同じ場所と時間で何かに取り組む習慣、マナー、処世術、我慢を身につける洗脳の側面
→これらを小中高12年間(偏差値40~60を前提とした)同一カリキュラムで一斉に学んでいる
→今後は各要素、個々人に応じたカスタマイズが必要
・ただし義務教育は「最低限の知識を提供する」インフラのようなものなので、
→生きる上で欠かせない最低限の知識を全員が得られる場所であるべき
(日本でもアメリカでも読み書きや四則計算ができず人生の幅を狭めている若者が増加)
→読み書きや四則計算などは学力テストと相性がいいのでテスト点数を指標にするのは有効
(テスト点数以外の複雑な指標は何をどう評価するか分からず教育現場も混乱する)
→全員が達成すべき目標数値を示し、その上で個別最適化されたカリキュラムを導入すべき
(確かに(英語を含み高等数学などを除く)基本科目だけに個別最適化されたカリキュラムで
12年もかければ、ほぼ全員が最低限の知識を得ることは可能かも・・・)
・逆に大学や研究者支援などの高等教育制度では単一指標で目標設定することは不可能
→(AIなど一時的に求められている研究に)選択と集中をするのではなく、個々人が独自の
方向性を追求して行けるよう、薄く広く資源を配分することが重要
→流行っている研究テーマに資源を選択集中すれば日本の研究環境が破壊されるリスクに
(数十年前には各大学が花形だった原子力の研究に資源や人材を集中していた)
→ノーベル賞やアメリカや中国が力を入れている研究テーマに飛びつくのも間違い(後追い)
・日本の「選択と集中」政策や「大学院重点化政策」は1990年代ぐらいから
→それ以降、日本の科学技術研究は衰退している(実証には「反実仮想」が必要だが)
・トップランナーの選択と集中は有効だが今の日本の資源や人材でトップになれる分野はない
→なので、今の日本には低予算番組で成功しているテレビ東京の路線(逆張り路線)しかない
→現実的には何をやってるかわからない人たちにまで広く薄く予算を配分すること
(この分野が伸びそうなどと自分のような中途半端に賢い有識者が仮説を立ててはいけない
→みんなが同じ結論になって競争過多になるから)
・義務教育は、
「全員が最低限これだけは身につける」
「誰もが同じことができるようになる」ことを目指す方向
・高等教育や研究者支援は逆で、
「人がやってることはやらないようにする」
「すでにカリキュラムにあることとは違うことをやる」ことを奨励する方向
・この真逆に進むべき方向が一緒に議論され教育が迷走している印象を受ける
・政策や社会制度をつくる立場のひとにはエリート層が多い
→親から手厚い教育を受けてきたエリート層が自分の経験だけで教育制度をつくるのはリスク
→その経験がいかに個人的で極端なのかを思い知るためにデータによる真実が重要
・AIへの目的設定と意志決定は人間なのでまだ進化中だが、使える一例が選挙や組織運営
→運営会議での話し合い、交渉、根回しなどを、そのままAIやアルゴリズムに置き換える
→ブラックボックスだったプロセスをAIで透明にしていく動きが出てきている
・選挙では政策ではなく候補者を選ぶ
→間接的な方法で意思表明できるのも選挙時のみ
→選挙制度は政治家や政権を決める仕組みなので目的設定のための計算装置とも捉えられる
→なのでAIに置き換えることは将来的には可能
→昔は投票結果からしか民意の情報を抽出できなかったがテクノロジーの進歩で選挙以外の
情報も民意を捉えるのに使えるようになっている→しかし選挙制度は変わっていない
→一人一票の選挙では政策への思いや知識の重さが乗りにくい
→LGBT法制などマイノリティ問題が典型→多数が政治に絶望を感じている
・AIで政治に関するSNS上の発信、日常会話、演説を見ている人の表情データなどを集める
→AIが大量の意見や思想データを集約して分析し、AIが政治の方向性を決めていく
→人間を介在させることなく民意を反映させた政策を行うことができる
→実現には技術的・倫理的・政治的な壁があり、長いスパンの社会的な事業になるので、
様々な領域から取り組む人が出てこないといけない
・未来の政治家の役割
→政治家の役割は、
①政策の意思決定をして行政機関を使って実行していく実務家としての役割と、
②人前でタレントとして活動し何かあれば火だるまになるマスコット的な役割がある
→①は徐々にAIやプログラムにとって代わられ、②は猫にとって代わられるかも
(②は人気投票そのものでSNSで猫人気に勝てる好感度の政治家はいないから)
→実務はAIやプログラムに任せて人気を集め、何かトラブルが起きたら責任を取るのが
未来の政治家の姿→やはり人間より猫のほうが得意では→猫の政治家に人間の秘書
→実際に人間は猫に仕えるようになってきている(中目黒や代官山のペットショップなど)
・遊びや趣味に見えるものほど真面目にやるというのが繰り返されてきた人間のトレンド
→ルールがあり生産性や効率性が求められる仕事は人間ではないものに外注していく運命
→圧倒的な価値を生み出す可能性を秘めた人を寄ってたかって潰しているのが今の日本
→新しいことや変なことを始めた人を別に応援しなくてもいい
→過剰なバッシングやスキャンダルを探し回るのをやめるだけで十分
・いくつものコミュニティに属し、その都度興味のある仕事や趣味をやり続ける
→どこにもホームがなく、どれも本業ではないので気軽に手放せるアウェイが理想・・・
斎藤幸平~資本主義から脱成長コミュニズムへ~より
(「人新世の資本論」を以前に紹介してますので、編著者への回答の一部のみメモ)
Q5 科学技術のイノベーションで環境問題は解決できるのでは?
・資本主義競争の中で技術革新による効率化や省エネ化もあったが、それ以上に飛行機に乗り、
洋服を買い、ワインや牛肉を食べる生活が世界全体に拡がっている
→なので二酸化炭素の排出量は環境問題が明らかになってからも増え続けている
(経済成長が前提の資本主義システムだから当然)
・すべてはいずれ技術が解決するというロジックを信じ込ませることで得するのは誰か
→今のシステムで利益を得ている既得権益層→その犠牲になるのは若者と途上国の人たち
Q6 資本主義下で解決した環境問題もあるのではないか?
・大気汚染が改善したのは汚染物質だけを除去すればいいから
→資本主義には化石燃料は重要なエネルギー源
→急激な脱炭素化でも経済成長できるかは不明(なので改善されない)
・改善している事実や数字は都合のいいところだけ(知られていない虫などは激減中)
→経済活動が長いスパンで地球環境に影響を与えている→被害は次の世代へ
Q7 先進国での環境への配慮は高まっているのでは?
・先進国が「環境に優しい」製品を作るために何をしているか
→例として電気自動車のリチウムイオン電池
→南米アンデス山脈周辺では先進国同士が争奪戦をしている
→製造過程で大量の水不足や水生態系破壊が進んでいる
→途上国に石炭石油を大量生産させ環境問題を引き起こしているのと同じ
→負担の所在を転々とさせているに過ぎない
→限りない経済成長のために大量生産・大量消費を繰り返すシステムから脱成長へ
Q8 脱成長のために具体的に何を変える?
・過剰をやめるのに貧しさとか我慢とか違和感を感じるとしたら、そう思わされているから
→好きなだけお金を使うために働き稼ぐ→この考え自体が資本主義的発想に支配されている
→脱成長の視点を仕事や人生に取り入れることで本当の豊かさを手に入れることができる
Q9 今の日本に革命は必要か?
・マイバッグやマイボトルとは比較にならない大転換は必要だが暴力革命以外でも可能
→みんなでコンビニやファストフードでお金を使わないようにしたら、
→みんなで新しいコミュニティを作って農業や洋服の交換を始めたら、
→資本主義はガラガラと崩れるかもしれない
→資本論は「革命しようぜ」という本ではなく「なぜお金を欲しがるのか」といった
素朴な疑問を解明しようとしている本
Q10 社会を変えようとする動きが起こらない理由は?
・資本主義しかないと思わされているから
→ただしマルクスの時代と異なるのは、
①距離の問題(グローバル化で問題を押しつけている場所が遠くなった)
②時間の問題(気候変動などで大きな影響を受けるのは次の世代→今さえ自分さえよければいい)
・電気自動車は絶対必要だが消費社会は一斉に買い換えると破綻するほど膨張している
→レアメタル産地での人権・環境問題の拡大、生産増による環境負荷・・・
→数そのものを減らす脱成長の視点が不可欠(カーシェアリング、コンパクトシティなど)
・飛行機を減らし夜行列車を増やすなど先進国が消費を減らす必要がある
Q11 脱成長で不便になったり所得が減ったりするのか?
・成長をあきらめることでコンビニの例のように不便になることもあるが、便利な生活を
手放すことで逆に幸せになれるかもしれない
→そのためには最高9割の富裕税、エッセンシャルワーカーの所得税ゼロなどの税制改革
(富裕税で取り上げた税金は成人を迎えた人に1000万ずつ配るとか)
Q12 競争がなくなればやる気がなくなり堕落しないか?
・競争がなくなればイノベーションは活性化する(大学研究者の例)
Q13 コミュニズムはなぜ実現していないのか?
・お金という指標があまりに強く、わかりやすいから
→数値化できないものを無視し犠牲にしているシステムだから→価値から使用価値へ
Q14 コミュニズムだと強制されるのでは?
・ガソリン車禁止、富裕税、コンビニ24時間営業の禁止などは確かに強制
→しかし資本主義社会でも強制はある(生活のための過重労働など)
→強制のポジションを弱者から強者に調整するだけ・・・
小島武仁~世界の歪みを正すマッチング理論~より
・日本は資本主義社会だが古典的自由主義を採用していない社会制度も多くある
→認可保育園の入園や大学の入学試験などは社会主義的に分配を決める制度
→問題がある場合に資本主義的な疑似市場を取り入れて調整するのがマッチング理論
・山形市ではマッチング理論をベースにしたアルゴリズムで待機児童が60%減るとの試算
・アメリカの腎臓移植ネットワーク
→お金を使わない「物々交換市場」をデータベース上で構築したマッチング
・企業の人事配置(社員と部署)のマッチング
→双方の希望だけで処理→性格や能力などのデータまで入れると双方に納得されない
→最低限の情報で透明性のある結果を出し、問題が生じたら解決していく
・データや情報が1ヶ所に集まる(市が立つ)ことが重要
→市場に多く集まるほうが最適な取引(マッチング)を行うことができる
→疑似市場には価格などによる需給調整メカニズムがないのでアルゴリズムが調整する
→アルゴリズムを「市場の見えざる手」の代わりに機能させるのがマッチング理論
→いわばマッチングアプリのお化け
・日本の大学教授は給与が安く事務作業が多い(山中伸弥教授の都市伝説)→頭脳流出へ
→それでも日本社会にマッチングを実装すべきだと考えて戻ってきた・・・
内田舞~withコロナ時代の「心の守り方」~より
・社会正義
→自閉症や気分障害など児童精神科領域は科学的根拠のない差別や偏見、思い込みだらけ
→研究して精神疾患に関する正確な理解を広めることが自分にとっての社会正義
・感情は生存に繋がる行動を促す仕組みで進化の過程で作られたもの→偏桃体の発火
→発火が続くと長期的な思考が鈍くなりネガティブになる(コロナ禍への対応など)
・ネガティブな感情に支配されないための「再評価」という心理的アプローチ
→自分の感情や状況を捉え直すことでネガティブな要素をポジティブに変えていける
→日常でもやってることだが脳機能の違いで苦手な人もいる→気持ちの切り替えができない人
→ただし苦手な人でも練習を繰り返すことで上達することがわかっている
(方法)
・ネガティブになった瞬間での再評価は難しいので、最初は30分後など落ち着いてから、
どんな気持ちだったか、どんな考えの影響でそんな気持ちになったかを振り返る
→その上で、その気持ちや状況を捉え直せないか試してみる(泣いてる人の写真の例)
→この振り返りを重ねるとその場で再評価ができるようになり、イライラや哀しい気持ちに
支配されにくくなってくる
・メンタルには「自分が誰かの役に立っている」ことも「自分のためにする」ことも大切
・子ども一人での再評価は難しい
→ネガティブな出来事が起きた時に一緒に感情と思考を再評価していくことで、親も子どもも
気持ちをコントロールすることができるようになっていく(子どもの描いた絵と家事の例)
・一人で自分の感情や思考と向き合うのが難しい場合は躊躇なく精神科やカウンセリングへ
(自分や近親者の生活に影響が出ている、めまい、頭痛、胃腸など身体症状が現れるなど)
(日本人を含む東アジア人は白人に比べ精神症状が身体症状に表れることが多いとの研究も)
・妊婦がコロナワクチンを接種するリスクとしないリスク(日本のメディアに出るきっかけ)
→安全性が証明されているのに日本では現在も科学情報がないまま個人に判断させている
→自分には医学的知識があり最新論文もチェックできてたので自信を持って接種を決断できた
→それで日本のメディアにも注目されたが日本の一般人の知る情報では難しい決断
→なので日本のメディア取材で正確な情報を伝えようとしたが全く無視だったので驚愕した
→正確な医学科学情報を伝えるために公的機関やメジャーメディアと専門家との協力が必要
・子どもの自己肯定感を高めるにはメイとサツキのお父さんが理想→経験の共有
・自分に向いている社会も向いていない社会もある→価値観が違うだけで優劣ではない
→日本で「主体性を持った女性」として幸せになるのは難しいと思ったからアメリカに渡った
→ドラえもんのしずかちゃんの生き方も否定しないが多くの選択肢からではなく「画一的な
女性の理想像を社会から無意識に押しつけられ自分の能力発揮より男性のサポートを優先」
と思ったとすれば、それは個人の選択ではない
・自分の行動や考え方で意味づけを変えられる出来事に関しては「再評価」で、コロナのような
自分のコントロール下にない出来事に関しては「ラジカル・アクセプタンス(受容)」により、
ネガティブな感情に支配されないよう自分のメンタルを守ること
(受容とは、あきらめたり忘れたり感情を抑制することではなく、起きたことは変えられない
という前提のもと、変えてしまいたいような事実でも事実として受け止めること
それで自分がコントロールできることが明瞭になり希望が見え行動に移せることもある)
・・・
編著者のあとがきにもありましたが、まさに担当教授と雑談している学生のような気分で、
わからないことも知らないこともいっぱいなのに最後まで興味深く読めました
経歴を見る限り、4人は確かに「現代の若き天才たち」と言えるだろうけど、雑談については
素人にもわかりやすかったです