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2024年06月25日

「米露開戦」読後メモ

とーとつですが・・・

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米露開戦(上下巻)トム・クランシー、マーク・グリーニー著 田村源二訳
徳間文庫2023年10月15日初刷(初刊は新潮文庫2015年2月)・・・の読後メモであります

わたくし、トム・クランシーのジャック・ライアン・シリーズと、マーク・グリーニーの
グレイマン・シリーズは大好きで、ほぼ全作品を読破しています
(ま、最新作は図書館の順番待ちで半年後とか1年後とかですが・・・)

こちらは上記のとおり2015年に新潮文庫から既刊されていた作品の復刊ですが新刊と思って
かなり以前に予約してたもので、結果的に再読になりましたが充分楽しめました
さらに共著とはいえトム・クランシーの遺作になったことを知り感慨もひとしお・・・

ロシアのウクライナへの全面侵攻を、その10年も前に正確に描いてたこと自体が凄いですが、
ストーリーはその30年前のエピソードと並行して描かれており、4
0年前のソ連の資源や金融を
めぐる欧州との関わり、冷戦終焉時代の描写もリアルで、40年前と10年前の銃など最新兵器や
最新ハイテク機材の違いも正確に描写されてて楽しめました

ま、ジャック・ライアンに代表される「アメリカの良心」が、悪いロシアや中国や日本などの
独裁者や彼らと結びついた犯罪組織を懲らしめるとゆー勧善懲悪のパターンは同じですし、
小説なのでストーリーも紹介できませんので「訳者あとがき」と「解説」からの読後メモのみ・・・


「訳者あとがき」2023年7月より

・本書はトム・クランシーの遺作で原書の刊行は2013年12月
→2022年2月24日のロシアのウクライナ侵攻で現実となり復刊されることになった
→共著者はあらゆる公開情報を収集分析して、ロシア現政権の成り立ちを推理したのだろう
→とてつもなくヤバい筋書きを見つけ出し、ほんとうのようなリアルな筆致で描いてみせた
→そのとおりだと言う気はさらさらないが本書を読んで現政権の成り立ちに思いを巡らせれば、
侵攻後に露わになっているロシアのめちゃくちゃぶりも理解可能になるのではないかと思う

・トム・クランシーは1947年メリーランド州ボルチモア生まれで2013年に他界した(享年66)
→1984年に保険代理業をやりながら第一作「レッドオクトーバーを追え」を書きあげた
→以来、ほぼ30年にわたってジャック・ライアン・シリーズを書き続けたことになる
(他にも軍事ノンフィクション、プロデュース、ゲームなどでも大成功している)
→ジャック・ライアン・シリーズは5回映画化されドラマも現在シーズン4まで視聴可能

・マーク・グリーニーは1967年テネシー州メンフィス生まれで現在50代半ば
→世界中でヒットしているグレイマン・シリーズは2009年に刊行を開始して現在13冊目
→ジャック・ライアン・シリーズはクランシーとの共著3冊、巨匠の死後に単独4冊で合計7冊
2019年からは別の共著で新しい戦争シリーズも書きはじめている・・・



(ロシア軍事研究家)小泉 悠による「解説」より

①過去30年ほどのロシアとウクライナの関係の整理
・1991年 ウクライナ独立
→ソ連崩壊によりウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国からウクライナ共和国として独立

・2004年 オレンジ革命
→プーチンの推すヤヌコヴィチが不正疑惑で落選、ユーシェンコ大統領下でEU・NATO加盟方針へ

・2005~2006年 ロシアとウクライナのガス紛争が勃発
→ロシアのガスプロムがウクライナ向け天然ガス価格の3倍値上げを通告、これをウクライナが
受け入れなかったため2006年から供給を削減、ウクライナが自国分を強制的に抜き出したため
欧州向けガスが不足する結果に

・2010年 大統領選
→ヤヌコヴィチが当選、NATO加盟方針を破棄する一方、天然ガス価格の割引と引き換えに
クリミア半島へのロシア軍の長期駐留を容認

・2013~2014年 マイダン革命
→EUとの連携協定を反故にしたヤヌコヴィチに国民が抗議し暴動化、ヤヌコヴィチはロシアへ脱出

・2014~2015年 ロシアの第一次介入
→ヤヌコヴィチの逃亡直後にロシアがクリミア半島を占拠しロシアへの併合を宣言
→東部ドンパス地方でもロシア民兵や武装勢力の蜂起がありロシア正規軍も介入して局地戦争に

・2022年 ロシアのウクライナ侵略
→15万以上のロシア軍が北部・東部・南部から侵攻してウクライナ軍との全面戦争に

②本書が刊行された2013年時点で、このようなウクライナの政権崩壊やロシア軍の介入を
予測できた専門家は殆どいなかった
(ウクライナ政府自身が2013年秋には徴兵制を廃止している)

③本書ではプーチン権力とはどんなものかを非常に正確に見抜いている
・ロシアには資源も人材も科学技術もあるのに豊かになれない
(資源価格の高騰により絶対的貧困はほぼ撲滅したが相対的貧困率に変化はない)
→豊かになるのは国家権力と、それに結びついたマフィアや新興財閥など裏の権力者のみ
→起業ビジネスが軌道に乗れば裏の権力に二束三文で奪い取られ富は権力者に独占されたまま
→この構造をはっきりと見抜いて描き出した小説家はそういない

④勢力圏とハイブリッド戦争
・旧ソ連諸国と東欧をロシアの勢力圏として回復しようとするプーチンの愛国心と野望
→特に旧ソ連ではロシアに次ぐスラブ系人口を抱えるウクライナへの執着
(2021年発表の論文「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」を参照)
→一般論としては知られていたが軍事力行使までは本書以外では予測できていなかった

・メディア、民族主義勢力、マフィア、地元犯罪者、プロパガンダを総動員するハイブリッド戦争
→ドンパス紛争以降に世界的に注目を集めるが本書ではその様相をかなり正確な形で予言している

・資源や金融の裏面でロシアと繋がる欧州エリートたちの及び腰
→クリミア併合での煮え切らない態度が全面侵攻へと駆り立てたのではないか
(小説では冒頭のエストニア侵攻への煮え切らない態度で全面侵攻へ)

⑤現実と本書との異なる点
・ウクライナの抵抗力
→クリミア併合時のウクライナ軍は確かに非力で国民のロシアへの態度も割れていたのは事実
→本書ではそのままで描かれているが、現実には侵略を経験してから指揮統制や予備役などの
仕組みを変えており、何よりも侵略によって「我々はウクライナ人である」という自覚が高まり、
徹底抗戦の意思を固めた点が大きく異なる

・政治的リーダーの道徳性
→本書のロシア大統領は過去を暴かれることを恐れ撤退するがプーチンは非難にも動じない
→本書のアメリカ大統領(ジャック・ライアン)は侵略に対し迷わず特殊部隊を投入するが、
ジョー・バイデンはこれほど思い切りがよくなく直接介入はおろか戦車や戦闘機の供与さえ
ためらい続けてきた
(砲弾などの供与について精一杯やれることはやってるけど・・・)

⑥ジャック・ライアンはアメリカはこうあってほしいというトム・クランシーなりの理想を
体現した人物
→現実はジャック・ライアンのいない世界→それでも理想は無意味ではない

・ひどい状況でも現実に負けたらおしまいで、負けなければ未来に希望を繋ぐことができる
→だからジャック・ライアンは最後に「我々は負けたのではない、勝たなかっただけだ」と
息子に語り、その息子のために少しでもよい未来を残そうと決意する30年前のシーンで、
この物語は終わる・・・

そう、共著とはいえトム・クランシーの遺作としても素晴らしいラストでした


さてさて次は・・・
ようやく予約の順番がまわってきたグレイマン・シリーズの最新作???をば・・・

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m98k at 14:20│Comments(0) mixiチェック 書斎 

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