2025年03月23日
情報分析力
とーとつですが・・・

「情報分析力」とゆー本を読んだので脳の外部記憶としてメモしておきます
著者紹介

日本では数少ないロシア軍事の専門家(あとは自衛隊・防衛研究所の研究者ぐらい?)で、
今回の著書はその情報分析のやり方について解説した「ビジネス書」だそうです
奥付

初版発行と同時に図書館予約して今は3月なので、けっこう人気があるようです
例によって目次の紹介




以下思いつくままの個人メモですので正しくは本書をお読みくださいね
(著作物の読後メモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
はじめにより
・本書は書店の(国際情勢や安全保障の棚ではなく)ビジネス書の棚に並ぶだろう
⇒だが私が朝起きて読むのは経済紙ではなくロシア軍の機関紙「赤い星]
⇒今回は私がロシア軍事をどうやって分析しているかというお話
・ロシア軍のウクライナ侵略は「まさかそれはないだろう」と思われていた例
⇒だが半年ほど前から(集結の事実や高官のメッセージなどで)多くの専門家に指摘されていた
⇒問題は「情報がなかった」のではなく「情報分析のやり方」にあった
⇒情報分析のやり方によって(100%の予測はできないが)「事態の幅」は予測できる
⇒ウクライナ侵略は本来その「幅」に含まれるべき事態だった・・・
・インターネット上にはあらゆる国際情報が溢れている(略)
(少し前まで外交官や商社マンなど専門家のみが知る情報が低コストで入手可能になった)
(衛星画像などは軍事大国の一部高官や分析官だけが知る情報だった)
⇒インターネット上で入手できないのは「その生情報が何を意味するか」を知る方法
(企業の決算報告書は数秒でダウンロードできるが、それで兆候を読めるのは投資家のみ)
⇒個人がこの能力を持つのは簡単ではないが本書でそのギャップを縮めたい
・インターネット上の生情報の氾濫はフェイクの弊害を拡げた
⇒外交や安全保障から私の好きな料理レシピまで玉石混合で偽情報も多いが、
⇒カレーを作ったことがある人なら「3分でできるカレーレシピ」は怪しいと思うはず
⇒これが「一定の相場感」で情報分析のやり方を知れば偽情報の確率は大幅に下がる
・情報は食材でそれを料理して食べられるようにしたのがインテリジェンス(情報資料)
⇒インテリジェンスには敵国の高官を買収して得たような極秘情報もあるが、これは超高級料亭で
出される料理(インテリジェンス)で分析は求められず「素材そのものを味わう」食べ方
⇒本書は「スーパーの食材による普通の朝ご飯の作り方」だが、そのやり方を知らないと
それなりの朝ご飯は食べれられない
・本書の構成
⇒第1章はウクライナ侵略の情報分析の実際とその影響のスケッチ
⇒第2章は情報分析の手法や考え方でここまでが入門編
⇒第3章は情報の取り方
⇒第4章は情報分析の具体的なメソッド
⇒第5章は分析をまとめる方法
⇒第6章は情報分析で陥りやすい罠
(以下はランダムに一部のみメモ)
第1章より
・2021年の秋から2022年の初頭にかけ「ロシア軍は侵攻するのか?」との質問を多く受けた
⇒私の答えは「侵攻するかどうかはわからないが大規模な戦争能力は整いつつある」だった
⇒「意図」のような曖昧なことは横に置き把握しやすい「能力」を分析の出発点にした
⇒それで「可能行動」を考えると「やろうとしていること」の上限が見えてくる
(実際に両軍の「能力」は、この間に広がり続けていた)
・当時の分析
⇒ロシア軍の海兵隊や空挺部隊を含む全地上兵力は36万人でうち15万人が集結していた
⇒全地上兵力のうち徴兵の20万人は戦地に送らないとの建前が過去には概ね守られていた
⇒以上から15万人は実戦に投入できる兵力のほぼ上限でロシア全土から派遣されていた
⇒こんな集結は毎年秋の大演習でもなかったことで投入可能な戦闘チームのほぼ全力だった
⇒これらのバックグラウンドを知らずに15/36の情報を得ても意味はない⇒情報処理が重要
・私の夕食に奥さんが毒を入れている可能性
⇒そんなはずがないという性善説で食べているが前夜に刃傷沙汰があれば違った推測になるかも
⇒軍事の情報分析は性悪説になりがちで毒が入ってるかもしれない、致死性はどの程度なのか、
可能行動の範囲内で何をするか、といった相手の意図にまつわる曖昧さが立ちはだかる
⇒ウクライナ侵攻の意図が確定できたのは開戦の3日前(ドンパス地方の独立国家承認)だった
(第2次ミンスク合意を完全に破棄することを意味していたから)
・料理に毒を入れた人が食べる人に教えてくれることはない
⇒分析対象が発する情報は「政治的な語り(ナラティブ)」
⇒「実際に考えていること」と「そう信じさせたいこと」の区別が曖昧になっている
⇒ナラティブを分析しているうちにそれに溺れてしまう危険性に注意すること
・戦略レベルの意図は理解できても戦術レベルは別かも知れないことも重要
(ウクライナ侵略でも主攻方向はキーウではなくドンパス地方という欺瞞作戦を展開した)
(このレベルになると戦術や作戦の専門家しか分析できず私の専門外で現在はやっていないが)
⇒キーウでの攻防などは戦略レベルでも重要なので専門家に頼ることを推奨している
第2章より
・1979年のスリーマイル島の原発事故
⇒137個の警告灯が一斉に点灯してクリスマスツリー状態になり情報の有用性が損なわれた
・情報(インフォメーション)と情報資料(インテリジェンス)の区別が重要
⇒集められた食材(情報)を調理(処理)し食べられる料理(情報資料)にすること
⇒役に立つ情報資料にするのはクリエイターよりエディターの仕事
①バックグラウンド情報⇒ロシアの政治、経済、社会状況などの情報(バレエ情報は不要?
)
②分析のコアとなる情報⇒ロシア軍の人事、部隊再編、装備調達などの情報
(定点観測を続けることで違いを取り出せる)
③足で稼ぐ情報⇒文字や画像データでは把握しきれない体験的な情報⇒①②の分析が深まる
・身銭を切った情報(分析対象に入れ込む)
⇒ロシア軍の衛星画像
(私は米国マクサー社だが米軍や自衛隊が優先され個人には遅れたり配信がなかったりする)
⇒自分用の図書館⇒集めた本で仮説ができる、余白にメモできる、付箋を貼れる・・・
・新しいガジェット
⇒大きな組織なら情報の収集と分析は分けるべきだが個人では自分でやるしかない
⇒限りがあるのだから、いろんな工夫をすべき
・エミュレーターになる(分析対象を模倣して考える)
⇒B-1爆撃機の予算復活の例(ミサイルより空爆を警戒するロシア軍になって考えた結果)
⇒いつでもスイッチを切って自分たちの側に立つことが重要(できない人も多い)
第3章より
・情報収集の目的⇒何のために誰に向けて⇒その解像度を合わせること
⇒ロシア軍が北方領土へ新型戦車を配備した場合の情報資料の例
⇒外務省には何両ぐらいか性能は日本のと較べてどうか、国際法上の違反はないかなど、
政治外交レベルでの比較的マクロなレベルの資料になり装甲性能など解像度が高すぎても
あまり意味はない
⇒陸上自衛隊の機甲科や対戦車研究者にはマクロな高解像度が必要で政治レベルの意味はない
・国家インテリジェンスの手法(略)
⇒大本営発表にもある程度の事実はあり、それをどうやって深読みするか
⇒個々の情報はアテにならなくても傾向の変化は読み取れる
(ウクライナでの両軍の公式戦況報告は勝敗ではなく報告量の増減というメタ情報としてみる)
⇒軍事力には抑止力の側面があり知られていないと意味はない⇒それを集める
・公開情報の読み方(略)
⇒戦況報道の中の事実、戦況報告の変化、知らせたい抑止力、冠婚葬祭、議会予算資料など
(ロシアの国防予算は開戦で3倍になったが伴う財政赤字はGDPの0.8%で財政破綻しないとか)
(国後島と択捉島の兵舎建替入札の仕様書からの配備兵力がロシア側の説明と一致したとか)
(侵攻の少し前から「ウクライナ政府」から「キエフ政権」に言い方が変わったとか)
(人民日報の「面積読み」とかロシア国営メディアの女優のゴシップとか)
⇒SNS情報などは体系化が重要
・ネットワークで「沼の主」を召喚する
⇒シベリア鉄道の映像を見て私なら「T-80が31両で1個戦車大隊か」ぐらいは読み解けるが、
「沼の主」なら「これはT-80改良型のT-80BVMで極東でこの戦車を持ってるのは太平洋艦隊の
第155海軍歩兵旅団の戦車大隊だけだったはず」と瞬時にわかり、戦争が始まってからは、
「このT-80BVMの光学照準器は古いバージョンなので精密機器の生産に支障が出ているのでは」
と分析している人もいて度肝を抜かれた
⇒こういう知識は自衛隊の人は別にして趣味の世界に属し解像度は異様に高いが視野は狭い
⇒ところが分析者と趣味的知識(オタク的知)がうまく結合するとマクロな相乗効果を生む
⇒ベリングキャットもオタクを活用するバーチャル組織を作り上げマレーシア航空機の撃墜が
親ロシア派による地対空ミサイルの誤射であったことを解明した
⇒重要なのは自分で沼に潜るのではなく必要な際に主を召喚できるネットワークを作ること
・情報の収集⇒分析⇒資料化(文章化)のスパイラルで体系化する(出典は重要)
第4章より
・冷戦時代のソ連はアメリカ国防総省(ペンタゴン)の軍事衛星写真で中庭にある小さな建物に、
多くの人が出入りしていたので高官が会議する地下重要施設(の出入口?)と判断していた
⇒冷戦後にソ連軍の代表団が行ってみるとホットドッグ店やハンバーガー店の入る建物だった
⇒ソ連時代のロシア国防省では食事時間も食堂も厳格に決まっており適当に買いに出ることは
なかったから勘違いしていた
(今はデリバリーもありその顧客リストから連邦保安庁の組織構成がバレてたけど
)
⇒情報収集にカネをかけ優秀な分析官たちが分析しても、相手の行動様式がわからないと
とんちんかんな結論になってしまう例で、これはアメリカの分析官も同じ
⇒今ならAIに分析させるが自分が分析方法を理解してないと・・・(以下略)
第5章(情報分析のための文章術でメモは省略)
⇒分析者の文章は作品ではなく資料なのであくまで顧客本位で・・・
第6章より
・慢心、予算制限、予断(ミラーイメージの罠⇒エミュレーターを持つ)・・・
⇒ウクライナについての分析も、みんなが偏っており私も日本に偏っている
・一次資料を読めることと、それが事実なのかは別
⇒事情通で終わる(分析できない⇒アウトプットが見えていない)
・ヘンな専門家に注意すること
⇒予断、断定、占い師的な「偏な専門家」、事情通タイプで分析できない「変な専門家」、
エミュレーターのスイッチが切れなくなった専門家(自分の分析に陰謀論が入る)・・・
終章より
・アメリカの孤立主義的な路線は長期的に維持される可能性が高い
⇒なので直近の歴史が続くという予見はもう持てない
⇒10年20年スパンの不確実性は高まっているし、30年後40年後は遠い世界に
⇒「それはないだろう」が「ある」時代になり情報分析がより重要になる
・情報の不確実性も増していく
⇒統制されない情報の氾濫や情報チャンネルの多様化・・・
⇒半世紀前の「情報化時代」はテレビ新聞など何らかのオーソリティを経由した情報の氾濫
⇒今は深い専門家の知見とそれとは関係のないインフルエンサーの「それっぽい話」が全く
同列で流れてくる時代
⇒事実はややこしくて面白くないのでバズるのは往々にしてわかりやすくて面白い後者
・今はAIが公式情報を自動文字化してニュース発信しているが偽情報でも誤情報でも可能
⇒これが情報にある程度の信頼が置けた「情報化時代」との最大の違い
⇒自分が分かっていることには気づけるので自分自身が情報分析力を持つこと
⇒そのためには定点観測と専門家の本、地道だがAIが信用できるまではそれしかない
・情報分析で最も厄介なファクターは人間⇒こだわりとか信念とか恐怖とか・・・
⇒この「合理的ではないが人間らしいと多くの人が認める行動様式」を人間性と呼べば、
優れた文学作品は人間性のスケッチだと思う
⇒今も参照にしているのがウラジミール・ソローキンのSF小説「親衛隊士の日」
⇒ロシアで読み継がれるドストエフスキーの思考様式や50代以下の世代なら日本のサブカルチャー
⇒分析対象を最もよく描き、影響を与えている文学は何かを考える
⇒こうした人間性の洞察が不確実な時代の情報分析の基礎になるのではないか・・・
・・・
まあ、わたくしが情報(インフォメーション)を分析して情報資料(インテリジェンス)にすることは
今後もないでしょうし、この記事も情報(インフォメーション)をてきとーにメモしただけですが、
確かに文章化することによって情報を整理できる、とゆーことはあるかもですね
それと情報の氾濫の中から誤情報や偽情報を取り除くことの重要性も今回再認識しました
本文にもありましたが半世紀前にテレビや新聞など何らかのオーソリティを経由した情報が
氾濫しだしたのが、今やオーソリティとは何の関係もない情報が全く同列で氾濫しており、
そちらのほうがわかりやすくて面白いのでバズる、とゆー現象は確かに実感しています
もちろんマスメディアにも誤情報や意図的な誘導や隠蔽はあるでしょうが、それでも公開には
一定のファクトチェック手続きを経ているはずで、これが他のSNS情報との大きな違いですね
各国政府や自治体の公式発表にも意図的な誘導や隠蔽はあるでしょうが、全く事実がなければ
権威そのものが失墜するので、大本営発表からでも得られる情報はあるわけですね
なので、これら以外の情報はあくまでメタ情報の部分として全体から方向を掴む程度で利用、
面白いけど事実とはまったく関係がないという前提を常に意識しておこうと思っています

「情報分析力」とゆー本を読んだので脳の外部記憶としてメモしておきます
著者紹介

日本では数少ないロシア軍事の専門家(あとは自衛隊・防衛研究所の研究者ぐらい?)で、
今回の著書はその情報分析のやり方について解説した「ビジネス書」だそうです
奥付

初版発行と同時に図書館予約して今は3月なので、けっこう人気があるようです
例によって目次の紹介




以下思いつくままの個人メモですので正しくは本書をお読みくださいね
(著作物の読後メモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
はじめにより
・本書は書店の(国際情勢や安全保障の棚ではなく)ビジネス書の棚に並ぶだろう
⇒だが私が朝起きて読むのは経済紙ではなくロシア軍の機関紙「赤い星]
⇒今回は私がロシア軍事をどうやって分析しているかというお話
・ロシア軍のウクライナ侵略は「まさかそれはないだろう」と思われていた例
⇒だが半年ほど前から(集結の事実や高官のメッセージなどで)多くの専門家に指摘されていた
⇒問題は「情報がなかった」のではなく「情報分析のやり方」にあった
⇒情報分析のやり方によって(100%の予測はできないが)「事態の幅」は予測できる
⇒ウクライナ侵略は本来その「幅」に含まれるべき事態だった・・・
・インターネット上にはあらゆる国際情報が溢れている(略)
(少し前まで外交官や商社マンなど専門家のみが知る情報が低コストで入手可能になった)
(衛星画像などは軍事大国の一部高官や分析官だけが知る情報だった)
⇒インターネット上で入手できないのは「その生情報が何を意味するか」を知る方法
(企業の決算報告書は数秒でダウンロードできるが、それで兆候を読めるのは投資家のみ)
⇒個人がこの能力を持つのは簡単ではないが本書でそのギャップを縮めたい
・インターネット上の生情報の氾濫はフェイクの弊害を拡げた
⇒外交や安全保障から私の好きな料理レシピまで玉石混合で偽情報も多いが、
⇒カレーを作ったことがある人なら「3分でできるカレーレシピ」は怪しいと思うはず
⇒これが「一定の相場感」で情報分析のやり方を知れば偽情報の確率は大幅に下がる
・情報は食材でそれを料理して食べられるようにしたのがインテリジェンス(情報資料)
⇒インテリジェンスには敵国の高官を買収して得たような極秘情報もあるが、これは超高級料亭で
出される料理(インテリジェンス)で分析は求められず「素材そのものを味わう」食べ方

⇒本書は「スーパーの食材による普通の朝ご飯の作り方」だが、そのやり方を知らないと
それなりの朝ご飯は食べれられない

・本書の構成
⇒第1章はウクライナ侵略の情報分析の実際とその影響のスケッチ
⇒第2章は情報分析の手法や考え方でここまでが入門編
⇒第3章は情報の取り方
⇒第4章は情報分析の具体的なメソッド
⇒第5章は分析をまとめる方法
⇒第6章は情報分析で陥りやすい罠
(以下はランダムに一部のみメモ)
第1章より
・2021年の秋から2022年の初頭にかけ「ロシア軍は侵攻するのか?」との質問を多く受けた
⇒私の答えは「侵攻するかどうかはわからないが大規模な戦争能力は整いつつある」だった
⇒「意図」のような曖昧なことは横に置き把握しやすい「能力」を分析の出発点にした
⇒それで「可能行動」を考えると「やろうとしていること」の上限が見えてくる
(実際に両軍の「能力」は、この間に広がり続けていた)
・当時の分析
⇒ロシア軍の海兵隊や空挺部隊を含む全地上兵力は36万人でうち15万人が集結していた
⇒全地上兵力のうち徴兵の20万人は戦地に送らないとの建前が過去には概ね守られていた
⇒以上から15万人は実戦に投入できる兵力のほぼ上限でロシア全土から派遣されていた
⇒こんな集結は毎年秋の大演習でもなかったことで投入可能な戦闘チームのほぼ全力だった
⇒これらのバックグラウンドを知らずに15/36の情報を得ても意味はない⇒情報処理が重要
・私の夕食に奥さんが毒を入れている可能性

⇒そんなはずがないという性善説で食べているが前夜に刃傷沙汰があれば違った推測になるかも
⇒軍事の情報分析は性悪説になりがちで毒が入ってるかもしれない、致死性はどの程度なのか、
可能行動の範囲内で何をするか、といった相手の意図にまつわる曖昧さが立ちはだかる
⇒ウクライナ侵攻の意図が確定できたのは開戦の3日前(ドンパス地方の独立国家承認)だった
(第2次ミンスク合意を完全に破棄することを意味していたから)
・料理に毒を入れた人が食べる人に教えてくれることはない

⇒分析対象が発する情報は「政治的な語り(ナラティブ)」
⇒「実際に考えていること」と「そう信じさせたいこと」の区別が曖昧になっている
⇒ナラティブを分析しているうちにそれに溺れてしまう危険性に注意すること
・戦略レベルの意図は理解できても戦術レベルは別かも知れないことも重要
(ウクライナ侵略でも主攻方向はキーウではなくドンパス地方という欺瞞作戦を展開した)
(このレベルになると戦術や作戦の専門家しか分析できず私の専門外で現在はやっていないが)
⇒キーウでの攻防などは戦略レベルでも重要なので専門家に頼ることを推奨している
第2章より
・1979年のスリーマイル島の原発事故
⇒137個の警告灯が一斉に点灯してクリスマスツリー状態になり情報の有用性が損なわれた
・情報(インフォメーション)と情報資料(インテリジェンス)の区別が重要
⇒集められた食材(情報)を調理(処理)し食べられる料理(情報資料)にすること
⇒役に立つ情報資料にするのはクリエイターよりエディターの仕事
①バックグラウンド情報⇒ロシアの政治、経済、社会状況などの情報(バレエ情報は不要?
)②分析のコアとなる情報⇒ロシア軍の人事、部隊再編、装備調達などの情報
(定点観測を続けることで違いを取り出せる)
③足で稼ぐ情報⇒文字や画像データでは把握しきれない体験的な情報⇒①②の分析が深まる
・身銭を切った情報(分析対象に入れ込む)
⇒ロシア軍の衛星画像
(私は米国マクサー社だが米軍や自衛隊が優先され個人には遅れたり配信がなかったりする)
⇒自分用の図書館⇒集めた本で仮説ができる、余白にメモできる、付箋を貼れる・・・

・新しいガジェット
⇒大きな組織なら情報の収集と分析は分けるべきだが個人では自分でやるしかない
⇒限りがあるのだから、いろんな工夫をすべき
・エミュレーターになる(分析対象を模倣して考える)
⇒B-1爆撃機の予算復活の例(ミサイルより空爆を警戒するロシア軍になって考えた結果)
⇒いつでもスイッチを切って自分たちの側に立つことが重要(できない人も多い)
第3章より
・情報収集の目的⇒何のために誰に向けて⇒その解像度を合わせること
⇒ロシア軍が北方領土へ新型戦車を配備した場合の情報資料の例
⇒外務省には何両ぐらいか性能は日本のと較べてどうか、国際法上の違反はないかなど、
政治外交レベルでの比較的マクロなレベルの資料になり装甲性能など解像度が高すぎても
あまり意味はない
⇒陸上自衛隊の機甲科や対戦車研究者にはマクロな高解像度が必要で政治レベルの意味はない
・国家インテリジェンスの手法(略)
⇒大本営発表にもある程度の事実はあり、それをどうやって深読みするか
⇒個々の情報はアテにならなくても傾向の変化は読み取れる
(ウクライナでの両軍の公式戦況報告は勝敗ではなく報告量の増減というメタ情報としてみる)
⇒軍事力には抑止力の側面があり知られていないと意味はない⇒それを集める
・公開情報の読み方(略)
⇒戦況報道の中の事実、戦況報告の変化、知らせたい抑止力、冠婚葬祭、議会予算資料など
(ロシアの国防予算は開戦で3倍になったが伴う財政赤字はGDPの0.8%で財政破綻しないとか)
(国後島と択捉島の兵舎建替入札の仕様書からの配備兵力がロシア側の説明と一致したとか)
(侵攻の少し前から「ウクライナ政府」から「キエフ政権」に言い方が変わったとか)
(人民日報の「面積読み」とかロシア国営メディアの女優のゴシップとか)
⇒SNS情報などは体系化が重要
・ネットワークで「沼の主」を召喚する

⇒シベリア鉄道の映像を見て私なら「T-80が31両で1個戦車大隊か」ぐらいは読み解けるが、
「沼の主」なら「これはT-80改良型のT-80BVMで極東でこの戦車を持ってるのは太平洋艦隊の
第155海軍歩兵旅団の戦車大隊だけだったはず」と瞬時にわかり、戦争が始まってからは、
「このT-80BVMの光学照準器は古いバージョンなので精密機器の生産に支障が出ているのでは」
と分析している人もいて度肝を抜かれた

⇒こういう知識は自衛隊の人は別にして趣味の世界に属し解像度は異様に高いが視野は狭い
⇒ところが分析者と趣味的知識(オタク的知)がうまく結合するとマクロな相乗効果を生む
⇒ベリングキャットもオタクを活用するバーチャル組織を作り上げマレーシア航空機の撃墜が
親ロシア派による地対空ミサイルの誤射であったことを解明した
⇒重要なのは自分で沼に潜るのではなく必要な際に主を召喚できるネットワークを作ること

・情報の収集⇒分析⇒資料化(文章化)のスパイラルで体系化する(出典は重要)
第4章より
・冷戦時代のソ連はアメリカ国防総省(ペンタゴン)の軍事衛星写真で中庭にある小さな建物に、
多くの人が出入りしていたので高官が会議する地下重要施設(の出入口?)と判断していた
⇒冷戦後にソ連軍の代表団が行ってみるとホットドッグ店やハンバーガー店の入る建物だった
⇒ソ連時代のロシア国防省では食事時間も食堂も厳格に決まっており適当に買いに出ることは
なかったから勘違いしていた
(今はデリバリーもありその顧客リストから連邦保安庁の組織構成がバレてたけど
)⇒情報収集にカネをかけ優秀な分析官たちが分析しても、相手の行動様式がわからないと
とんちんかんな結論になってしまう例で、これはアメリカの分析官も同じ
⇒今ならAIに分析させるが自分が分析方法を理解してないと・・・(以下略)
第5章(情報分析のための文章術でメモは省略)
⇒分析者の文章は作品ではなく資料なのであくまで顧客本位で・・・
第6章より
・慢心、予算制限、予断(ミラーイメージの罠⇒エミュレーターを持つ)・・・
⇒ウクライナについての分析も、みんなが偏っており私も日本に偏っている
・一次資料を読めることと、それが事実なのかは別
⇒事情通で終わる(分析できない⇒アウトプットが見えていない)
・ヘンな専門家に注意すること
⇒予断、断定、占い師的な「偏な専門家」、事情通タイプで分析できない「変な専門家」、
エミュレーターのスイッチが切れなくなった専門家(自分の分析に陰謀論が入る)・・・
終章より
・アメリカの孤立主義的な路線は長期的に維持される可能性が高い
⇒なので直近の歴史が続くという予見はもう持てない
⇒10年20年スパンの不確実性は高まっているし、30年後40年後は遠い世界に
⇒「それはないだろう」が「ある」時代になり情報分析がより重要になる
・情報の不確実性も増していく
⇒統制されない情報の氾濫や情報チャンネルの多様化・・・
⇒半世紀前の「情報化時代」はテレビ新聞など何らかのオーソリティを経由した情報の氾濫
⇒今は深い専門家の知見とそれとは関係のないインフルエンサーの「それっぽい話」が全く
同列で流れてくる時代
⇒事実はややこしくて面白くないのでバズるのは往々にしてわかりやすくて面白い後者
・今はAIが公式情報を自動文字化してニュース発信しているが偽情報でも誤情報でも可能
⇒これが情報にある程度の信頼が置けた「情報化時代」との最大の違い
⇒自分が分かっていることには気づけるので自分自身が情報分析力を持つこと
⇒そのためには定点観測と専門家の本、地道だがAIが信用できるまではそれしかない
・情報分析で最も厄介なファクターは人間⇒こだわりとか信念とか恐怖とか・・・
⇒この「合理的ではないが人間らしいと多くの人が認める行動様式」を人間性と呼べば、
優れた文学作品は人間性のスケッチだと思う
⇒今も参照にしているのがウラジミール・ソローキンのSF小説「親衛隊士の日」
⇒ロシアで読み継がれるドストエフスキーの思考様式や50代以下の世代なら日本のサブカルチャー
⇒分析対象を最もよく描き、影響を与えている文学は何かを考える
⇒こうした人間性の洞察が不確実な時代の情報分析の基礎になるのではないか・・・
・・・
まあ、わたくしが情報(インフォメーション)を分析して情報資料(インテリジェンス)にすることは
今後もないでしょうし、この記事も情報(インフォメーション)をてきとーにメモしただけですが、
確かに文章化することによって情報を整理できる、とゆーことはあるかもですね
それと情報の氾濫の中から誤情報や偽情報を取り除くことの重要性も今回再認識しました
本文にもありましたが半世紀前にテレビや新聞など何らかのオーソリティを経由した情報が
氾濫しだしたのが、今やオーソリティとは何の関係もない情報が全く同列で氾濫しており、
そちらのほうがわかりやすくて面白いのでバズる、とゆー現象は確かに実感しています
もちろんマスメディアにも誤情報や意図的な誘導や隠蔽はあるでしょうが、それでも公開には
一定のファクトチェック手続きを経ているはずで、これが他のSNS情報との大きな違いですね
各国政府や自治体の公式発表にも意図的な誘導や隠蔽はあるでしょうが、全く事実がなければ
権威そのものが失墜するので、大本営発表からでも得られる情報はあるわけですね
なので、これら以外の情報はあくまでメタ情報の部分として全体から方向を掴む程度で利用、
面白いけど事実とはまったく関係がないという前提を常に意識しておこうと思っています
