エレファント ヴィレッジとか・・・平等について、いま話したいこと

2026年06月07日

現代ファシズム論

ええ、

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現代ファシズム論~何が民主主義を壊すのか~であります
(ローマ字入力で何度か「民主主義」が「飲酒主義」と変換されましたが・・・)


表紙カバー裏にあった惹句

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著者紹介と奥付

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目次

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以下、じつにてきとーなメモですが著作物からなので問題があれば非公開設定にします

序章より
・2016年アメリカのトランプ当選とイギリスのEU離脱がファシズム議論のきっかけ
(戦後それまでは殆どの民主主義国で代表民主主義と政党政治への支持が持続していた)
⇒ドイツのための選択肢やフランス国民戦線も政治の約束事を嘲笑し虚偽を撒き少数派を否定した
⇒権力の濫用や私物化については日本の第2次安倍政権が世界での先行事例
⇒世界の学者や有識者が民主主義の危機を先進国のファシズムの入口とした

・本書では戦後民主政治の形成と1990年代以降のグローバル化・情報革命の中での崩壊を
振り返り、民主政治の動揺がいかにファシズムへの接近をもたらしているかを考察したい
⇒そして最後に現代版ファシズムに対抗するために何をなすべきかを考える


第1章より
・戦後の民主主義国家では国際協調、ケインズ主義、福祉国家への合意が形成された
⇒アメリカではニューディールの遺産が継続され党派を超えた福祉合意が存在した
⇒イギリスでもアトリー政権以降の福祉国家路線が二大政党に堅持された
⇒ドイツではファシズムの絶対否定と謝罪による国際社会への低姿勢による協調
(ワイマール憲法の生存権・組合の経営参加・社会保障拡充などを実現した)
⇒日本では1950年代まで戦後民主憲法体制そのものが政治で争われていたが、
⇒1960年安保の混乱責任で岸信介が退陣、自民党が
戦後憲法を承認し体制が定着した
⇒各国とも基本は数年に一度の投票により政治家・エリートによる政策調整を待つパターン

・戦後のマスメディアは自由の担い手として高い自立性を持っていた
⇒この時代の情報提供は一方的だったがチェック機能があり基本的に信頼されていた

・1970年代まで先進国の民主主義に参加する市民は人種・宗教・言語などが均質的だった
⇒1980年代後半から移民など多様な社会の統合問題が表面化
⇒1990年代以降は経済のグローバル化・冷戦後の地域紛争・EUの東欧への拡大など
⇒資本と労働力の移動・製造業移転・情報技術の進歩・意識そのものの変化

・20世紀後半の30年間は民主主義の安定・経済的豊かさの達成という例外的な静穏期
⇒2010年代には資本主義の破壊性や苛烈さ、民主主義の不安定さが露呈する
⇒否定したはずのファシズムが先進国にも現れる
⇒以下の章で民主主義の前提崩壊について考察する・・・


第2章より
・経済成長と賃金上昇の好循環、冷戦による社会主義との競争⇒
福祉国家・平等分配へ
⇒これが西側の政治経済エリートにとっても有益であり大きな合意が存在した

・総力戦・大恐慌・社会主義体制の存在が経済に介入する戦後の大きな政府をもたらした
⇒福祉国家・平等分配についての保守革新を超えた大きな合意
(日本では民間での労使協調・自民党の建設業雇用による地域所得格差の縮小)

・2度の石油危機、スタグフレーションからの脱却政策として80年代から90年代にかけて
減税、規制緩和、民営化を軸とする新自由主義が拡がる
⇒サッチャー・レーガンによる福祉国家の縮小、中曽根による行政改革(公共政策の縮小)
⇒保守政党による「平等から自由へ」⇒その自由は雇用側の自由・富の追及の自由
⇒非正規雇用・低賃金⇒格差の拡大

・民主政治は定住地に愛着を持つ前提
⇒代表民主主義も基本的に地域単位で利益も地域社会の改良
⇒グローバル資本主義の生産拠点は土地・労働力の安い場所に世界規模で移動する
⇒金融・情報企業は先端大都市に立地するが仕事には特定分野の高度なスキルが必要
⇒先端産業ではそもそも大量の労働力を必要としない
⇒地方から移動できず待遇の悪い仕事か大都市に移動しても補助的な仕事しかない
⇒21世紀の格差は貧困層と富裕層という階層格差と先端大都市と荒廃地方との空間的格差
⇒地域社会が荒廃すれば民主政治の前提も崩壊するが、
⇒新自由主義では荒廃地域から移動しないのは自己責任で地域間格差の縮小政策はしない
⇒地域間でも政治への疎外感、被害者意識から反感と憎悪の政治を生み出す

・1990年代の中道左派勢力もグローバル資本主義を前提として受け入れた
⇒平等とは雇用機会の平等であり政府の役割は能力開発・教育投資とした
⇒ドイツ・シュレーダー政権では雇用制度を柔軟化し国際競争力が向上、失業率も低下した

・労働者の権利拡大が20世紀後半の公平な分配の基礎的な条件となったが、21世紀の資本主義は
19世紀にマルクスが描いた苛烈な資本主義に先祖返りした⇒収奪的システム
⇒生産性上昇による付加価値が労働者に還元される割合が低下している(非正規雇用など)
⇒特に日本だけ実質賃金が停滞したまま⇒
収奪的システムの典型例
⇒中道左派は対応できず左派は政権から遠くなり右派ポピュリストが支持を広げている

・民主党オバマの医療制度改革などは金権政治により議会で阻止された
⇒政治資金規正法の違憲判決により共和党が躍進⇒格差の拡大

・1%が99%を分断している現状を改善できない政治への無力感⇒政治への無関心へ
⇒資金力を持つ1%の政治家への影響力が一層大きくなるという悪循環へ


第3章より
・民主主義とメディアの関係
⇒100年前の「ステレオタイプ」がSNSのエコーチェンバー・フィルターバブルにも
⇒対面では言葉のエスカレートには限界があるがネット空間では自制は働かない

・インターネットの悲観と楽観
⇒新聞購読、テレビ視聴が激減し、さらにその質が低下するという悪循環
⇒ネット配信ニュースの大半は新聞社が提供しており伝統的メディアは誤報を訂正謝罪する

・インターネットによる民主主義の混乱
⇒2016年アメリカのトランプ当選とイギリスのEU離脱
⇒ネット上のフェイクニュース垂れ流しによって民意が誘導された
⇒それまでのテレビCMは製作者が明確でネガティブキャンペーンでも虚偽は責任追及された
⇒支持者がネット上で虚偽宣伝しても候補者の責任を追及することは困難
⇒事実や真実が意味を持たなくなり、それを超越した政治的議論に⇒ポスト真実

・SNSと活版印刷のメディアとしての類似性
⇒職業的媒介者(コミュニケーター)なしに直接情報を取得・発信できる⇒500年ぶりの革命
⇒印刷術は文字による啓蒙の手段となったがSNSは感情に反応し啓蒙の終わりをもたらした

・格差社会で普通の人は富の獲得や社会的地位の向上では満足を得られないが「いいね」や
ヒット数の多さでは簡便に満足を得られる
⇒消費ではなく発信によって賞賛を得る行動様式が日常になった
⇒「神なき時代におけるルターの万人祭司主義」に・・・

・SNSは事実の共有による議論という民主政治の前提を破壊した⇒政治を劣化させた


第4章より
・フランシス・フクヤマ「歴史の終わり」
⇒冷戦の終わりにより民主主義と市場経済の基本的原理が前提になったと主張した
⇒原題のENDは目標・目的の意味だが日本語の「終わり」にはこの意味がなく誤解が多い
⇒冷戦の終結で民主主義への不断の努力が軽視され退行現象が始まった

・リンカーン「人民の人民による人民のための政治」(人民はMEN⇒白人男性のみ)
⇒政策が複雑になれば専門の知識や技術がいる⇒人民には判断できない
⇒FORには「~に代わって」の意味もありエリートによる支配に転化する(原発と事故の例)
⇒ただし人民による支配が人民に幸福をもたらす保証はない(新型コロナ対策の例)
⇒しかし人民には意思決定ができないとするのは愚民思想であり手続と議論が必要
⇒議論とは様々な意見を(少数者意見も)尊重する自由主義だが人民の支配は最終的に多数決
⇒なのでブレーキや関門を用意することで民主主義と自由主義のバランスは保たれている

・予備選挙や国民投票など直接民主制は一般市民が政治に関心を持ち誠実に政策を選ぶ前提
2016年アメリカのトランプ当選とイギリスのEU離脱
⇒民主主義による制度がデマ・情報操作・脱イデオロギー的ポピュリストアプローチにより
非合理な政策選択(
EU離脱)や民主政治を破壊する指導者(トランプ)を生み出した(略)

・民主主義の多数支配以外の原理とメカニズム
⇒法の支配(立憲主義)⇒民主的に選ばれた権力者でも上位法には従わなければならない
⇒文字に書かれていない法(慣習・常識・暗黙の了解など)を「柔らかいガードレール」と定義
⇒重視したのは組織的自制心(禁止でなくても自ら抑制する)と相互的寛容(民主政治の政党同士)
⇒独立機関への人事権があっても介入しない、権力を持った際にライバル政党を弾圧しない
⇒アメリカではこれまで
「柔らかいガードレール」の中で民主政治が営まれてきた

・大衆社会で選ばれる指導者は「大衆そのもの」で「甘やかされた子供」で「慢心した坊ちゃん」
⇒家庭内と同じで何をしても罪にならず公私のけじめもない
⇒自制心を持たず規範を無視して権力を行使する
⇒その結果が家産制国家(税収は権力者の財産で官僚は権力者の下僕という国家)
⇒世界では2010年代の日本(安倍)が最初でアメリカ(トランプ)や一部ヨーロッパにも波及した

・企業の命題は利益を最大化することでCEOが上意下達で実行し指標に達しないものを解雇する
⇒政府の命題は秩序や健康の維持など様々な公益の実現で、もともと成果指標はない
⇒そこに企業モデルを採用するとすれば疑似的な指標を設定するしかない
⇒それを達したものを評価し、達しないものを解雇する
(その際に官僚に求められるのは専門知識ではなく支配者の意に沿う形式を整える能力)

・治安の改善が本来の目標(命題)なのに不法移民の摘発件数を指標として使わされる
⇒職員は上から指示された指標に向かって努力する(評価基準への迎合)
不法移民の摘発件数を増やすこと自体が目標となる(目標の転移)
⇒反発した移民・追い込まれた移民らの犯罪が増え治安が悪化しても構わない
⇒公益の実現ではなく疑似目的への奔走は官僚主義を悪化させる

・独裁的企業経営の手法を政府に持ち込めば国民全体に不利益を及ぼす
⇒企業経営を誤れば業績が悪化しCEOが責任を取るが政府の業績悪化は見えにくい
⇒支配者が専門職員による自由な批判を力で封じれば誤った政策は続く


第5章より
・日本では1955年に二つの保守勢力が結集して自由民主党が結成された
⇒戦争を失敗と反省した経済中心路線の財務官僚出身政治家などのグループと、
⇒第9条改正・天皇の地位強化など戦前復古を志向した内務官僚
出身政治家などのグループ
⇒改憲などのイデオロギーを棚上げし柔軟穏健路線になったのは戦後体制への広範な支持と
それに支えられた左派政党の存在があったから⇒1960年安保で決定的になった(岸の退陣)
⇒その後の長期安定政権下での官僚制の弊害・市民要求の無視・政治腐敗はあったものの、
選挙・言論の自由など自由民主主義の基本条件は満たされていた
⇒大雑把な平和主義には国民合意が存在し、それに従う自民党は民主主義を実践したといえる

・戦後民主主義の頂点は1995年
⇒非自民連立の細川政権が短命に終わり自民党がライバルの社会党と連立して政権に復帰した
⇒当時の自民党の最大の敵であった小沢一郎の戦後民主主義への修正姿勢に対抗するグループが
自民党の主導権を握っており、戦後民主主義や平和主義を肯定的に評価する歴史観を出した
⇒社会党は自衛隊や日米安保を合憲と受け入れる転換をして自民党との合意を形成した
⇒この合意が歴史に残る形になったのが村山首相の「戦後50年談話」
⇒村山政権下で少数者の権利擁護・地方分権・市民参加制度の改革も着手された
戦後50年をはさむ数年間は戦後日本の民主主義について最も幅広い合意が形成されていた

・その後の30年で自民党が大きく変質し政治の雰囲気も大きく変化した要因
①時間経過による戦争経験者の消失
⇒日本ではドイツと異なり人々の実感レベルで戦争を否定する感情が共有されていた
(田中角栄談「戦争を体験した政治家がいなくなったら日本は危ない」)
(ドイツにも歴史修正主義は存在するが日本では政権与党に浸透しているのが大きな違い)

②経済停滞の長期継続
⇒経済成長期には税の増収分を国民の要求に応じて配分する民主政治だった
⇒1980年代以降は配分が縮小し1990年代にはグローバル化による雇用の流動化と賃金停滞
⇒政策決定がゼロサムゲームになった⇒政策により損得側がはっきり別れる
(円安誘導で輸出企業は得するが物価上昇により庶民は損するなど)
⇒政策の本質を損する側に理解させないためのキャンペーンに(小泉政権の構造改革が典型例)
⇒損する側が圧倒的に多くても政治に関わる余裕がなければ民主主義は作動しない(99:1)

③人口減少と高齢化の急速な進行
⇒人口減少で国内需要も労働力も減少、投資も抑制され非大都市圏の存続は不可能に
⇒明るい未来を想像できない若い世代に政治参加の意欲がなくなる
⇒社会保障制度は高齢少子化で税と保険料負担が増え若い世代には受益のない負担と映る
(若い世代も未来の高齢者だが明るい未来が想像できないので今を煽る政治家が出現する)
⇒公的負担を減らせという世論が形成されれば政府は弱体化し、あてにならない政府への
公的負担を忌避する悪循環に

・この30年間で前向きの政治論議がしにくい風潮が広まった
⇒民主政治にとっての静かな危機

・安倍政治の10年
①家産制国家への逆行(公私混同・恣意的人事・統計偽装・忖度違法行為など)
②統治機構内の中立の侵害と党派化
⇒統治機構では司法検察以外にも会計検査院・内閣法制局・日本学術会議などは独立性が重要
⇒日本銀行やNHKは統治機構ではないが中立性が期待されている

・これらを全て制圧して内閣の牽制やチェックを無効化した(後継政権も)
⇒これらを統制することが選挙で選ばれた内閣が民意を貫徹することだという理屈
⇒民意の絶対化によって実際には権力の私物化や恣意的な支配を正当化した
⇒この現象はトランプ政権下のアメリカや一部ヨーロッパの国でも起きている

家産制国家への逆行は国家の能力を低下させ、国民は国家の無能さを攻撃し、さらに政府から
人材と資源を奪うという悪循環⇒日本でもアメリカでも起きている⇒先は無政府状態

・安倍長期政権は具体的な政策的成果を挙げていないが安定していた
⇒その理由は諦めと無関心に基づいた多数決にある
⇒民主党政権の失敗、大震災、原発事故により日常が続くだけで満足するようになった
⇒より良い社会を求めることへの諦めと表裏一体で、政治参加(投票)への消極性にも
⇒諦めと無関心が続けば家産制国家は民主主義の手続きで持続する

・2020年代の生活苦で政治不満がはじまり2024年衆院選2025年参院選で自民党が大敗
⇒多党化が進み排外主義を煽り減税や生活支援を訴える政党が支持を得ている

・外国人が福祉で優遇されているなどのデマや虚偽、SNSの活用
(外国人旅行者の増加は安倍政権の円安政策、外国企業や富裕層の不動産購入は安倍政権の
開放政策の帰結だが、安倍信者だった参政党の政治家がこれを糾弾している)
⇒国内産業や農業の保護は農民や自営業者、これまでのグローバル化で圧迫されてきた、
海外市場とは無縁の中小企業労働者にとって共感できる政策
⇒従来政策で取り残された中堅層への救済策を唱えるのはトランプのMAGAから学習?
⇒女性就労やLGBTの権利、終末期医療などを否定するのは周縁部を劣後させる意図か?

・2010年代以降の日本政治
①新自由主義に対抗する政策を掲げた民主党政権が政権担当能力の欠如と大震災で崩壊
②ナショナリズムを標榜する安倍政権はリベラルを批判するだけで政権を維持した
⇒重要な政策課題は先送りし円安で大企業を儲けさせ、その間に国力は損耗を続けた
③安倍暗殺後、その腐敗や失敗への批判が広がり構造的矛盾に起因する問題が噴出した
④自民党の失敗を受け積極財政・排外主義などのポピュリスト政党が現れ多党化が進んだ

・①の段階では政権交代にマニフェストがあった
⇒実現過程での知恵や配慮が欠けていたが重要政策とその財源はまじめに考えられていた
⇒④の段階では分散した各政党が並列的に目玉政策を訴えているだけ
⇒政権で苦労するのは別の政党で、それに対し目玉政策を呑ませるのが政策実現と考えている?
⇒過半数割れはそのような責任を伴わない政策実現に好都合な環境

・ポピュリスト政党は減税や社会保険料の削減が国民への利益還元だと主張する
⇒政府の能力を縮小すれば危機対応ができず、さらに無能な政府への不満から無政府状態に

・参政党とれいわ新選組は赤字国債によって負担減と歳出増を実現すると主張する
⇒机上の空論であり超長期国債の金利上昇で引き受け手を海外に求めている状況は無際限の
国債発行が金融、財政の破綻に繋がることを暗示している

・2010年代の約10年は日本政治のモラトリアムの時間だったが自民党はこの時間を空費して
問題をさらに悪化させた
⇒経済社会的矛盾の深化で政治も破綻の入口に近づいている


第6章より
・誰が権力者になっても出てくる政策に大差がない状態が続くと、
⇒民主主義の手続きがエリートの権力を守るためだけの鎧になる
⇒鎧もろとも既成政党・既成政治家を破壊する希望が広がる
⇒普通の人々を代表すると自称するポピュリストが法を超越する企図を実現する
「柔らかいガードレール」も破壊することまで民意が正当化するようになった

・ファシズムとは
⇒思想の中心は危機に瀕した国民共同体を卓越した指導者が再興するというナショナリズム
⇒国民が一体になることを求める点で多元性が前提の自由主義を否定
⇒拝金資本主義を否定する一方で資本主義を転覆する社会主義にも反対
⇒弱い劣るとみなされる人種や集団を差別排斥、弱肉強食の社会ダーウィン主義・・・
⇒権力分立・複数政党制・自由選挙・思想言論の自由・個人の否定・・・

・運動・思想・体制の3つの要件を備えるというファシズムの定義は厳格にすべき(山口定)
⇒独裁者をファシストと攻撃しても、その是非についての不毛な空中戦になるだけ
⇒独裁者を批判する際には具体的な危機現象や問題を明らかにして危機感を共有する努力を
(映画「グッドナイト&グッドラック」CBSニュースキャスター・エドワード・マローの
マッカーシー上院議員糾弾の例)

・今は1930年代のドイツのような「民主主義の例外的危機状況」なのか

・アメリカ・トランプ政治の事例に上記
3つの要件が当てはまるか
①運動については全米に草の根組織があり自前ではないが武装組織と密接な関係を持っており
ファシズムと重なる部分があるといえる
②思想については民主主義・人権拡充への反動、ナショナリズム、反理性・反科学の姿勢で、
ファシズムや一種のロマン主義を継承するもの
③体制については選挙・議会制度・複数政党制など民主主義の基本的な制度は肯定している
⇒ただし大統領令を乱発し憲法違反の判決が出ても司法判断を否定している
⇒批判する有力紙・全国ネット局を名誉棄損で訴え免許剥奪威嚇でもメディアを委縮させ、
連邦の権力で州や自治体を抑圧している

・トランプ政治はファシズムに接近しつつあるが、議会制度や司法制度は否定せず、
不法移民の排除は進めるが特定人種の殺戮はせず反ユダヤ主義は取り締まっている
⇒現局面は「ポスト・ファシズム」の時期(エンツォ・トラヴェルソ)
⇒民主主義とファシズムのグラデーションの中で現状はファシズムに近づいているという警告
⇒虚偽情報を流布して権力を得るという点では「フェイクファシズム」(金子勝)
⇒まがいものという意味でも21世紀のフェイクファシズムを批判し対抗すべき


第7章より
・政治危機の大きな原因はグローバル資本主義がもたらした格差と貧困
⇒1929年の大恐慌でアメリカでは民主党リベラル派のニューディール政策、西欧では
社会民主主義政党が資本主義のひずみを是正する政策を展開して福祉国家を実現した
⇒今やリベラル派や社民政党への支持は低下し、
グローバル資本主義への批判については、
右派ポピュリスト政党にお株を奪われている
⇒1970年代の不況インフレ以降、社民政党には経済運営能力がないとイメージされた

・社民政党は大きな政府での雇用拡大政策を捨て能力開発重視政策に(以下、中道左派政党)
⇒能力開発で対処しようとした資本主義は実物経済(リアルエコノミー)だが1982年以降は
マネー経済(シンボルエコノミー)が膨張
⇒マネー経済の参加者は投資家であり実物経済に対応した有能な人材の出番は少ない

・中道左派政党は有能さを訴えるあまり労働者から見放された
(アメリカ大統領選でもイギリスEU離脱でもトランプやEU離脱を支持したのは工業都市や
炭鉱の労働者が多数)

・成長戦略の大半は幻想だが産業を育て雇用を作り出す努力は必要⇒経済学者へ

・一億円の壁(所得税負担率)⇒リアルエコノミーで働く給与所得が冷遇されている
⇒政治として再分配システムの再構築が必要
⇒岸田文雄は総裁選立候補で金融資産課税強化や賃上げなど再構築に言及した
⇒岸田政権の発足で日経平均株価が8日連続で下がり岸田は消極姿勢に転じた
リアルエコノミーで働く人もNISAなどでシンボルエコノミーに組み込んでいるので、
株価を下げる可能性のある政策は中間層からも反発を招く

・中道左派政党は一時的な株価下落があっても公平な分配と国民を説得すべき
⇒格差や貧困の拡大は政策の結果であり政策を変えることで解決できると

・中道左派政党は漫然と10年以上続けてきたアベノミクス国債発行の危険性を回避する
「臆病な政党」としてポピュリスト政党と差異化すべき

・政治に万能薬はなく意思決定には時間がかかり政策は様々な意見を反映した角のないもの
⇒政府への不満で民間企業の見た目の分かりやすさや速さを求める気分が広がった
⇒それに応えたのがポピュリスト政党
⇒市場主義の被害者が政治で市場主義を求めるという皮肉な話

・これを権力拡大の材料にしたのが維新の会で「身を切る改革
(市場主義)」を売り物にした
⇒慎重さや遅さを排除した
市場主義で普通の人のための政策が出ないことは明らかなのに

・ポピュリスト政党はわかりやすさと直接性を訴え成功した
⇒問題解決には多くの材料と考える作業が必要だが、単純化によってわかった気になる
⇒問題の根源を特定の敵に求めるという発想
⇒財務省解体とか外国人排斥とかの単純化が政治的な影響力を持つようになった
⇒もちろん単純化は問題のすり替えで解決にはつながらない
⇒直接性は自分で決めたいという政治インサイダーへの不満と表裏一体のもの
⇒この気分が蔓延する状態はポピュリスト政党への支持を広げる

・民主主義では曖昧さを受け入れなければならない
⇒的確な決定のためには単純化の罠に陥らないよう考えることが重要

・民主政治とは共同体に共通する問題を協力して(税を払って)解決する作業
⇒なので共同体への愛着や責任は民主政治の前提
⇒世界を共同体として税を払うことは理想だが当面は国家が最大の共同体
⇒なのでナショナリズムを丸ごと否定すれば民主政治は成立しないが・・・

・右派ポピュリズムの推進力となっている有害ナショナリズムの無毒化
①国民を「日本人ファースト」などとひとくくりにして問題を語らないこと
⇒規制緩和や円安で利益を得ている人も雇用の非正規化や物価高で苦しんでいる人も日本人
⇒その歪みを是正して日本という政治共同体を生きやすくすることが有益なナショナリズム

②国民とその共同体がその国民以外の様々な人々に支えられていることを理解すること
⇒グローバル化により社会の構成員が多様化することは不可避で昔の「単一民族」は幻想、
日本経済が外国人労働者に依存していることも不可逆的な変化
⇒純粋国民幻想にとらわれると非合理な政策で害を与える結果に(トランプ政権のH-1Bビザ)

③ナショナリズムが幼稚な自己正当化につながらないよう注意すること
⇒自国の失敗や欠点を冷静に指摘する人を愛国的でないと攻撃したり、時々の権力者の悪い点を
批判する人を反米とか反日とかと攻撃したりしない
⇒冷静な批判は愛国心の発露であり、懐の深いナショナリズムが必要

・20世紀後半の民主政治と資本主義経済の安定、1990年代の社会主義体制の崩壊と民主化
⇒これらを目撃した世代は政治の現状に絶望や幻滅を覚える
⇒東欧諸国の民主化の後の絶えることのない政党間の抗争、裏取引、暴露合戦・・・
⇒幻滅は不可避で・・・民主主義はそれ自体に、これが民主主義か?という幻滅の感を、
あらかじめビルトインされたform of government・・・(堀田善衛)
⇒一度の幻滅で民主主義を放棄しない持続力や忍耐力が市民の美徳


終章より
・自民党の脆弱化と多党化
⇒2025年の参院選で自民党は大敗して過半数割れ、党内では石破総裁の責任論に
⇒党外では安倍政権で党内野党だった石破政権への支持率が上る「石破やめるな」現象が
⇒石破は党内では支持者が少なく無力で改革ができず退陣を表明
(この時点で留まっていたら自民党は分裂再編、石破は激変より自民党の継続を選んだ)
⇒総裁選の結果、国会議員と党員の支持を集めた高市が勝利した

・高市は党員には排外主義とナショナリズム、国会議員には麻生太郎の支持により勝利した
⇒党員にも参政党に対抗したナショナリズムの鮮明を望む声が多く、派閥解体による乱戦で
今でも残る麻生派閥がキャスティングボードを握った

・公明党は連立協議で高市に歴史観・排外主義・政治とカネの3点について善処を求めたが
政治とカネについては消極姿勢だったので連立から離脱
(高市背後の右派勢力と公明党・創価学会との距離が広がった)
⇒高市自民党は公明党に代わり維新の閣外協力を得て政局を運営

・高市首相の理論上の2つの可能性(2025年11月現在)
①イタリア・メローニ首相のように、右派出身でありながら首相になると穏健化し、
堅実に政策課題に取り組むパターン⇒右派を裏切り官僚や有能穏健な政治家を内閣に
②総裁選で主張していた排外主義、国債による防衛費増額、給付拡大のパターン


・維新との政策合意では憲法9条の改正、緊急事態規定の創設、スパイ防止法の制定など
⇒従来の平和主義・自由主義を転換する政策

・高市政権はアベノミクスを引き継ぐ一方、積極的な給付を掲げている
⇒防衛費増額などでも歳出拡大と国債依存が進む⇒円安や金利上昇に
⇒2022年イギリスのトラス・ショック(減税発表で通貨国債株式が暴落)が日本を襲うかも

・石破首相は在任中の最後の仕事として2025年10月10日に「戦後80年所感」を発表した
(高市はじめ自民党右派が発表に反対していたが自分の意思を貫いた)
⇒戦争を阻止できなかった原因として①憲法構造②軍部統制③メディアを挙げた
⇒石破のいう「本来のリベラリズム」や「歴史を学ぶ重要性」は高市への批判と受け取れる
⇒退任後には「党員として高市政権を支えるが無批判ではない・維新は新自由主義的・自民党が
保守の路線へさらに傾くことにすごく違和感があると発言(10月30日)

・自民党が右派と穏健派に分裂することがファシズム対抗勢力を結集するのに不可欠
⇒衆参選挙結果で多党化に向かっていると言われるが政治理念と政策の基軸は2つのベクトル
①穏健な自由民主主義+責任ある財政運営
②ナショナリズム+歳出拡大
⇒穏健派連合の必要性は高まっている

・日本政治がフェイクファシズムに転げ落ちるか、自由民主主義の枠組みを死守できるか・・・


あとがきより
・2025年は戦後80年の節目
⇒本書は民主主義の将来に対する危機感の表明

・本文でカバーできなかった2025年11月7日予算委員会での岡田質問への高市答弁(略)
⇒ファシズム論として深刻な問題は「岡田の質問が悪い」とする攻撃
⇒ネトウヨだけでなく読売新聞も社説で「答弁を迫り答弁したら撤回を求めた」と攻撃した
⇒岡田は「法律の定義や過去の答弁を守った(首相としての)限定的な答弁を期待していたが、
まずい答弁だったので後戻りできなくなると思い、突っ込むことは控えた」
「国会終了後に党内協議し取り消しませんかと聞いたが拒否された」と毎日新聞に答えている
⇒高市が議員時代の主張ではなく
(首相として)従来の政府見解を踏襲することを期待した
質問だったが防衛省や外務省とのすり合わせなく個人の思いで暴走したもの
(直後にトランプは習近平と電話会談を行い共通利益を確認して相互訪問を決めている)
⇒それを野党の質問が悪いとするのは議会政治の否定であり、責任追及を受けない権力は
まさにファシズム国家の権力

・さらに憂慮すべきは台湾有事発言後の世論調査での内閣支持率の高さ(70%前後)
⇒集団的自衛権行使についても賛成44.8%反対44.2%で半数が賛成している
⇒日本への攻撃がなくても(中国と)戦争するという重要な点を半数が理解していないのでは

・自民党は衆参両院で過半数に及ばないが右側には右派ポピュリスト政党が存在する
⇒民主主義と人権を否定する政策アジェンダは右派をまとめる有効な道具

・敵の恐怖を煽ることでファシズムが成立しファシズム政権は実際に戦争を起こす
⇒この20世紀前半の教訓を今こそ噛みしめねばならない・・・



・・・・・・


と、ここまでが
2025年11月までの本書からのてきとーメモなんですが、備忘のため、
その僅か数ヶ月後の大きな変化も、さくさくっとウィキよりメモ・・・

・2026年1月には衆院の解散が浮上、立憲民主党と公明党が合流して中道改革連合を結成
⇒「選挙で過半数なら高市、でなければ野田か斎藤か別の方に」と23日に解散、総選挙へ

・2026年2月の衆院選では自民と維新の調整も野党間の調整も共闘もなく、
全選挙区の8割でいずれかの党が競合する構図になった

・結果は高市自民党が戦後初の単独2/3以上の議席を獲得して圧勝した
⇒2月18日に引き続きの維新との連立で第2次高市内閣が誕生(全員再任)
⇒議席占有率は与党全体で4分の3以上にまで達し高市政権の継続は決定的に
(衆議院で一つの政党が3分の2以上を獲得するのは戦後初で戦前の大政翼賛会に次ぐ記録)

・共に連合を支持母体に持つ中道改革連合と国民民主党は小選挙区で競合し全て共倒れに
⇒与党と野党の一騎打ちとなった選挙区では5勝40敗、うち自民党と中道の一騎打ちとなった
選挙区では中道の2勝26敗で大きく負け越した

・参政党は小選挙区では全敗したものの比例では約426万票を獲得し参院選の約742万票には
及ばなかったものの前回衆院選の約187万票から倍以上に増加

チームみらいも小選挙区では議席を得られなかったが消費税減税反対派や社会保障改革を
望む層の受け皿となり、比例で381万票11議席を獲得し衆議院で初めて議席を得た


・れいわ新選組は小選挙区で全敗、自民党の名簿登載者不足により山本譲司が復帰したのみで、
公示前の8議席から事実上の0議席と大きく減らして敗北

・日本保守党も社会民主党も日本共産党も小選挙区で全敗した

・都道府県別投票率は高市早苗の奈良県が1位で最下位は石破茂の鳥取県だった・・・

・2026年2月8日の衆院選結果
(与党)
自由民主党:316議席
日本維新の会:36議席
(野党)
中道改革連合:49議席
国民民主党:28議席
参政党:15議席
チームみらい:11議席
日本共産党:4議席
減税日本・ゆうこく連合:1議席
日本保守党:0議席
社会民主党:0議席

本書の終章にあった「穏健派連合」とは逆の結果になってますが・・・
さてさて、どうするべきか・・・



m98k at 19:01│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 書斎 | わからないもの

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エレファント ヴィレッジとか・・・平等について、いま話したいこと