2026年07月15日
西洋の敗北と日本の選択
とーとつですが・・・

西洋の敗北と日本の選択~エマニュエル・トッド著~を読みました
表紙カバー裏にあった惹句

著者紹介と奥付

2025年9月の発行で、2024年1月に発行され話題になった著書「西洋の敗北」と
日本との関連などをまとめた本で同著の解説書にもなっています
ま、わたくしはまだ同著を読んでませんが・・・
目次




(以下てきとーメモですが著作物からなので公開に問題があれば非公開設定にします)
日本の読者へ より
・私の世界を構成する(西洋の民主主義を作り出した)英米仏の三極が崩壊しつつある
⇒生産基盤が流失し産業の空洞化が起き、財が生産されるのは「その他の世界」
⇒崩壊は価値観の面で著しく、ニヒリスト的な歴史観に陥り戦争自体が目的となった
⇒しかもその戦争は兵器生産力を欠いたまま遂行される戦争であり、戦争のための戦争、
自殺行為に等しい戦争と化している
・西洋の民主主義は消滅した
⇒西洋の労働者階級は国外で生産された財で生活する個人の寄せ集めでしかなく、
古代ローマの平民に取って代わられた
⇒形式的な自由はあるがネットワークは「国家と金融グループの共生連合」に支配されている
・アメリカは生産せずに消費する「怠惰の帝国」と化し「世界からの搾取システム」を
死守しようとしている
⇒この姿勢が「終わりのない戦争」へと帰結する
・「西洋の敗北」を確信できたのは、米国より(人口が米国の半分以下の)ロシアの方が
より多くのエンジニアを養成していた事実から
⇒イランもイラン・イラク戦争(1980-1988)後からエンジニアの養成を重視してきた国
・米国が(主として代理)戦争に熱狂するなかで最終的には中国への攻撃も想定できるが、
米国の兵器備蓄は脆弱で時代遅れで船舶生産能力が欠如しておりレアアースは中国依存
⇒オーストラリア・台湾・韓国・日本が米国に引きずられ中国と衝突するとは想像しがたい
・ウクライナ戦争で経済的にロシアと分断させられたドイツは「米国への熱狂的な服従」と
「戦争への積極的な参加」へ
⇒対露制裁による経済危機への技術的な解決策は軍需産業であり戦争への参加だと
⇒これは宗教的空白から生まれたニヒリズム
⇒しかしロシアの軍事ドクトリンは明快で脅威があれば戦術核を使用する
・モスクワ、北京、テヘラン、平壌の悪魔たちは同程度の国力とみなす錯乱した西側外交
⇒米国への対抗上は対等な同盟でも国力からは不均衡で国益も政治文化も異なっている
⇒ロシアは19世紀の共同体家族に由来する共同体文化に支えられた権威主義的民主主義
⇒イランはペルシャ語圏の父系重視傾向はあるものの権威主義的ではなく核家族的で、
政党は存在しないが派閥間の対立が「多元主義」を保証しており、(スンニ派にはない)
シーア派の伝統である解釈と徹底した討論が生きていると外交官から実感した
⇒中国は権威主義的であり全体主義的でもある
⇒このように「米国の軍事・金融システム」の外の世界は多様性に富んでいる
⇒これらの考察は西洋の経済的支配をもはや受け入れないBRICS全体に拡大できる
・西洋の二元性
⇒米英仏の個人主義的な核家族の三国からなる自由主義の中心部
⇒ドイツや日本のような直系家族の国々からなる非自由主義的な周縁部
(日独は敗戦以来、米国のシステムに統合されている)
⇒ドイツは西洋の国だが日本は大きく異なる
・日本は歴史の大部分で孤立した島国で対外関係は平和的だった
⇒一時期、帝国主義的になったのは西洋の植民地主義を模倣したことの悪影響
⇒過去に日本が朝鮮半島や中国で行ったことがフランスがアルジェリアで行ったことや、
英国が大英帝国内で行ったことより悪かったとは私は思わない
・独立を保つために近代化したのが明治維新の目的であり意味
⇒これはBRICSの先駆者になるが、あまりに早くうまく成功し過ぎたのが日本の不幸
⇒数十年で大国になりロシアに勝利して植民地支配に乗り出し米国との対決から敗北へ
・今日、ロシアはBRICSの軍事的な腕であり中国は経済的な腕
⇒日本は西洋の独裁を拒否する旧世界のこれらの文明国家の中でしかるべき地位を、
しかも非常に素晴らしい地位を占められたのではないか
⇒ロシア・中国・インド・イラン・日本リストは歴史家にとってG7リストより立派なリスト
・私は不幸な西洋人でフランスを情熱的に愛しているが日本での出版がなければ知識人として、
作家として自国で生き延びることはできなかった⇒西洋に対する日本の外部性は特別なもの
⇒あなた方が私を救ってくれたのだ!!!
1 米欧の分裂と日本の選択~米国は日本を守らない~より
・トランプ政権の首脳陣が欧州への憎悪と軽蔑を露わにしている
⇒米国・欧州・ウクライナの三者が「敗北の責任」をなすりつけあっている
・予測可能で信頼できるロシア、予測不可能で信頼できない米国(トランプ以前から)
⇒トランプの演劇的な言動は不確実で予測困難、プーチンの冷静な言動は一貫しており予測可能
⇒「2022年2月にロシアが突然ウクライナに侵攻した」とされているが、2008年4月のNATO
首脳会議(ジョージアとウクライナを将来的にNATOに組み込むと宣言した)時点からずっと、
「それは絶対に許さない」と明言し、「ウクライナでの軍事力強化は受け入れがたい」と
レッドラインを明確にしていたのに欧州やNATOは東方へ拡大を続けた
⇒さらに2014年(独仏主導の)ミンスク合意も裏切られ、自ら安全保障を達成するしかなくなった
⇒実際に米国の約束を信じたジョージアは領土の20%を失い、ウクライナも現時点(2025年3月)で
クリミアを含み約20%を失っている
⇒オバマ時代のイラン核合意もトランプに破棄されており「米国は信用できない」という
イランの反応のほうが真っ当
⇒ロシアの主権が脅かされた場合の戦術核の使用可能性を明文化していることは、ブラフではなく
現実と受け止めるべきなのに、軽く見ている西洋の政治家やジャーナリストに恐怖を感じる
・日韓を含む西洋連合GDPの僅か3.3%に過ぎないロシア+ベラルーシの方が武器供給量が多く、
欧州が経済制裁の最大の被害者となっている中での停戦和平案はロシアに何の利益もない
・国境をNATOと米英支援のウクライナ軍に脅かされたので防衛のため侵攻したので、
⇒オデッサなどの軍事目標を掌握すれば侵攻は止まり、親露政権の樹立を望むだろうが、
ウクライナの次はポーランドに侵攻、というのは欧州エリートのプロパガンダ
・プーチンは欧州との友好関係を望み、特に9.11テロ以降は米国とも極めて友好的だった
⇒逆に人口でも経済でもロシアを圧倒し長大な国境を接する中国とは常に緊張状態だった
⇒ロシアを排除して中露接近を招いたのは中国をライバルとする米国の致命的な戦略ミスだが、
日独がロシアに接近することが最大の悪夢なのでウクライナ戦争によってロシアから離した
⇒「西洋の敗北」で、この構図が崩れ始めている
・経済統計などとは異なり人口統計は誤魔化せない
⇒フランスでは乳幼児死亡率が年々上昇している
⇒生活環境がひどく悪化しているということ
⇒ポピュリスト政党の台頭(革命の兆候)へ
⇒それを戦争の継続(外敵の存在)で押さえ込もうとしているのが欧州のエリートたち
・西洋の敗北、米欧の分裂の中で中国と対峙する日本はどうすればよいか
⇒欧州と米国のヒステリーに関わらず静観し、密かに核武装を進めるべき
⇒「NATO条約の第5条によりドイツ防衛に米国が核兵器を使うことはなかっただろう」と、
退任後のキッシンジャーもマクナマラも述べているように、核の傘の概念は無意味
⇒ドイツのケースと同じで自国も核攻撃を受けるリスクのある核を他国のためには使えない
⇒なので米国が核を使って日本を守ることは絶対にあり得ない
⇒核は持たないか、自前で持つか、それ以外の選択肢はない
・マクロンはフランスの核の傘を欧州に広げると言ってるが無意味で危険な発言
⇒核の傘が幻想である以上、隣国ドイツが核武装を目指すきっかけになるだけ
⇒日本や韓国では中国と北朝鮮の核という深刻な脅威があり、それに対する米国の核の傘が
幻想なのだが、ロシアはドイツの深刻な脅威ではなくドイツに核保有の必要はない
・核保有によってフランス国民は安心感を得ている
(英国はメンテナンス依存している米国の同意なしに核は使えず核保有国とは言えない)
⇒日仏のような勢力拡大を目指さない中規模国にとって核保有は専ら防衛的なもの
(人口減少を大量の移民で補完しているドイツは勢力拡大を諦めていない)
・日本も核武装と通常兵器の増強を進めるべき
⇒戦争は軍事的な不均衡から生まれるから
・もう一つ勧めたいのはロシアとの友好関係の構築
⇒安全保障面でもエネルギー面でも日本の国益に適うもので、
⇒対中国牽制のパワーバランスとしても機能し世界の安定に寄与するから
・日本の核武装は中長期的には中国との信頼構築にもつながる
⇒もちろん表向きは反対するが日本の核武装は対米自立を意味するから
・日本にとって安全保障以上の問題が少子化で先進国共通の文明史的な問題
⇒戦争や外敵を強調して現実から目を逸らせるのではなく自国民が「なぜ子供を作らないか」
という真の問題にどの国も向き合うべき・・・
2 トランプは「敗北の大統領」となる~トッド自身による「西洋の敗北」入門~より
・「西洋の敗北」はどんな本で、なぜ書いたか
⇒ウクライナ侵攻は欧州やNATOが東方へ拡大した結果なのに西洋側が攻撃を受けたとの
「誤った現実認識」が西洋人にあったから訂正しようとした
⇒戦争を分析して「ロシアの勝利」を確信したが、真のテーマは「西洋の敗北」
⇒米国を含むアングロサクソン世界の内部崩壊
⇒衰退の究極の要因としてプロテスタンティズムの崩壊を指摘した
⇒道徳、教育、知性の退行が結果として米国の無力さ、失敗、敗北に
・二つの西洋
⇒広義では価値観の異なる日独を含む欧州と極東における米国支配圏としての西洋
⇒狭義ではリベラルという政治的価値観で規定された英米仏からなる西洋
⇒この崩壊が西洋の敗北
⇒米国はこれらの国を支配し続けるためにロシアとの戦争などに巻き込んでいる
⇒欧州の敵はロシアではなく世界の中心で崩壊しつつ危険に巻き込もうとしている米国
・日本は敗北しつつある西洋、特に米国とどう付き合えばよいか
⇒米国による世界覇権の鍵は欧州・中東・東アジア
⇒ここで緊張を高め紛争を引き起こし同盟国(というより属国)を巻き込んでいる
⇒勧めたいのは「できるだけ何もしないこと」と、人口問題に移民も含め本気で取り組むこと
・ウクライナ戦争はどう終わるのか
⇒ロシアの兵器生産力が勝り西洋諸国は真の軍事介入ができないからロシアが勝利する
⇒ウクライナの敗北は経済制裁や金融支配による米国覇権の敗北を意味する
⇒米国には受け入れ難く、戦線を欧州・中東・東アジアにエスカレートさせるリスクがある
⇒だからこそ日本は「何もしないこと」が喫緊の課題で、これはドイツも同じ
・「西洋の敗北」は日本も含め25ヶ国で翻訳されているのに英語版がないことについて
⇒私の最近の著作は全て英訳されているが「西洋の敗北」だけは英訳版がない
⇒これは英米世界にとっての「不都合な真実」を正確に合理的に描いたことを証明している
⇒もはや寛容さを失った帝国によって禁書扱いされたもの
⇒なので販売促進のために帯に「帝国から発禁された書」と巻けばよい
3 日本は欧米とともに衰退するのか
~家族を発明したホモサピエンス(成田悠輔との対談)~より
成田
・日本では自国の惨状を上から目線で批判・説教する経営者や知識人がいる一方、
隣国との緊張や外国人嫌悪を煽る運動や言説があるが、トッドさんは第三者的に家族構造や
人類史から、むしろ日本に「都合の良い真実」を示されているが・・・
⇒欧州では日本は特殊な国と思われてきたが直系家族で共同体家族の中国よりドイツに近く、
両者の共通点と違いは非常に興味深い(略)
⇒30年前から日本の問題は経済ではなく人口、対外政策では核兵器の保有と指摘してきたが、
日本が行動に移すことはなかった
成田
・日本は経済停滞で貧困化しているが政権は安定したままで「変わらない」が・・・
⇒フランスもドイツも米国の覇権下にあり「変われない」⇒米国も同じで退化している
⇒西洋が退化に向かっている中で、日本の国内産業維持などの「退化に対する保守主義」は
ポジティブかもしれない
・人口減少
⇒ホモサピエンスが「育児を可能にする持続的な夫婦関係」を発明した
⇒核家族から直系家族(長子相続)⇒共同体家族が生まれたが、これらは核家族より変化を
妨げる停滞要因として作用したとみている
⇒家族による子育てには「愛」が必要で国や公的機関が組織化することは不可能だと思う
⇒残念ながら戦争が変化をもたらしたことは否めない
・二つの資本主義⇒英米と日独
⇒世代間の繋がりが弱く変化する核家族構造の英米で発展したのが古典的な自由主義
⇒労働者が産業革命を支えたが、レーガン・サッチャーから始まった新自由主義は
金融を自由化し生産設備の破壊を進めた
⇒世代間継承する直系家族社会である日独は国内の産業基盤を維持した
・グローバル経済の罠
⇒核家族社会は直系家族ほど子供を教育で「囲い込む」ことはなく教育水準の低下が顕著
⇒結果として今日の米国には「良質で勤勉な労働者」が不足している
⇒トランプの保護主義への転換は正しいが国内産業の再建を担うエンジニアや労働者はいない
⇒国内の産業基盤を維持した国々も外需への過度な依存や少子化の問題を抱えている
⇒異なる家族構造社会の国が得意分野へ依存してしまったのがグローバル経済の罠
⇒唯一、脱却に成功したのがロシア
成田
・日本企業の特徴として長寿企業が多いこと、独自製品を生産する企業が多いことが挙げられ、
これらの特徴は直系家族と相性がいいかもだが、明治大正時代の日本は弱肉強食の市場経済で
格差は欧米より大きく、この変化は家族構造では説明できないのではないか
⇒日本の歴史は西洋の「権威から自由へ、硬直から柔軟へ」の歴史とは逆の流れではないか
成田
・古典経済学では各国が得意分野で貿易することで全体のパイが増え、貿易の敗者も生むが
増えたパイの再分配で救済できると考えられてきた
・ところが中国との競争で生まれた米国製造業の失業者は救済されておらず、最近の経済学者は
自由経済の負の面も強調している
⇒30年近く自由貿易批判をしてきたが米英仏は生産基盤の海外移転が進み過ぎて後戻りできない
⇒労働はお金を稼ぐためだけでなく自己実現であり社会貢献
⇒米国の労働者は生産せずドルの恩恵で消費してきたが消費者は共同体には属さない
⇒民主主義は消費者ではなく労働者に支えられるので米国では自由民主主義が消滅した
成田
・戦後から20世紀末まで西側諸国では資本主義が経済成長と技術革新を担当し、
それにより生まれる格差や弱者を民主主義政治が救うという役割分担ができていた
・しかし資本主義の暴走を民主主義が制御できなくなり格差が爆増した
・トランプ勝利も大富豪の資本による勝利⇒これらに代わる新たな政治経済の提案は
⇒批判は得意でも提案は不得意なので
違った観点から
⇒米国の退化はもはや不可逆で民主主義は資本主義に敗れた
⇒ところがこれを労働の観点から考えると、
⇒産業基盤の残る日独には民主主義の担い手(労働者)がまだ残っている
⇒だが両国は米国支配下にあり主権がないので、その点で民主主義国家と言えないのが問題
(米国によるノルドストリーム破壊への沈黙でドイツは米国占領下にあることを公式に認めた)
成田
・トッドさんの立場は悲観的で反ユートピア的だが、古代の賢人政治から近代のマルクス共産主義、
現代の技術革新礼賛まで、人々を惹きつけるのは統一ビジョンのユートピア
・それらの統一ビジョンがいかに機能し得ないか、社会や国家は多様であらざるを得ないことを
家族構造から教えてくれるのがトッドさんの仕事
・家族は閉鎖的で非対称性や階層性があり、さらに世界の家族構造は多様と理解させてくれる
⇒米国の軍事介入によるイラクの民主化やEUの通貨統一も家族の多様性から批判してきた
⇒「世界の多極的なビジョン」を国際社会で打ち出しているロシアの戦略的合理性も即座に
理解できた
⇒今後は国民としての連帯感のある国だけが生き残るだろう
⇒懸念は内部での連帯感は外部への敵対心で成り立っていること(アダム・ファーガソン)
⇒ロシアは戦争遂行で社会が安定に向かっており、社会分断の解決策として安易に戦争に
向かう動きが出てくる可能性がある
⇒社会分断している米国が東アジアでも戦争を引き起こす可能性
⇒そうした米国に追従しないことが日本の平和と安全には不可欠
4 ウクライナを支援して破壊した米国~欧州支配の装置としてのNATO~より
・長期戦になれば高度な軍事技術より兵器生産力が重要にと2022年6月から指摘しているが、
産業空洞化という米国の弱点が露わになり産業基盤を維持しているロシアが優位になっている
(さらに世界の工場である中国の支援も期待できる)
・ロシア経済の強さを見誤ったのは時代遅れのGDP指標から
⇒軍事力を最終的に支えるのはリアルな生産力でバーチャルな金融やサービスではない
・2028年にロシアの人口ピラミッドに大きな穴が生じ徴兵世代が急減する
⇒それまでには終わらせたいだろうが勝利を急ぐより国内の平穏を優先している
・「西洋の敗北」執筆のために米国の専門家の現実認識や世界戦略を理解しようとした
⇒見えてきたのは米国のエリート集団が真面目でも有能でもないということだった
⇒現実を直視できない彼らの攻撃性こそ世界にとって一番の不安定要因
・地政学的な力学によりロシアとドイツが再び接近する
⇒ウクライナをNATOの事実上の加盟国にするため、この戦争を嗾けた米国の真の目的は
ロシアとドイツの分断
⇒両者はエネルギー・経済で相互補完関係にあり協力は地政学上も地域の安定に寄与するが、
両者に挟まれたポーランドには両者による分断の歴史があり反ロシアで反ドイツ
⇒米国が離れウクライナが崩壊すれば西ウクライナを併合すると開戦当初から指摘している
⇒ウクライナ分割が本格化すればポーランドへの併合か独立で分離する可能性は高い
⇒ウクライナでクーデターを主導したのは旧ナチスドイツ側だった西部地域の勢力で、
ここを分離すればロシアは中央部への影響力を回復できる(東部などはロシアに併合)
⇒ただしウクライナ西部には伝統的にポーランドに属する地域だけでなく、ドイツ語圏の
伝統に属する地域もあり、分離が実現すれば地政学的緊張が30年は続く
・反転攻勢の失敗で西側諸国に亀裂が生まれつつある
⇒スロバキアでは2023年9月の総選挙でウクライナ支援停止の中道左派が勝利した
⇒ドイツのレオパルト供与も逡巡を重ねており意志に反するというロシアへのサインか
⇒ノルドストリーム爆破への政府としての沈黙もドイツの米国への暗黙の批判か
(私は米国とノルウェーが爆破した説をとっている⇒ロシアなら栓を閉めれば済むから)
・米国の覇権が世界中で綻びはじめている
⇒逆に欧州同盟国への支配は強まりドイツもフランスも独立国家とは言えない状態
⇒英国、ノルウェー、デンマークもほぼ同様だが他の欧州諸国は微妙な状況
・中国とロシアには自律的な情報ネットワークがあるが欧州は米国GAFAMに支配されている
⇒2013年に元CIA職員によりNSAによる個人情報収集が暴露されたが、驚いたのはロシアや
中国に対する情報収集ではなく同盟国への監視だったこと
⇒NATOも日米同盟も米韓同盟も同盟国に対して米国は支配者として振る舞っている
・「アメリカ帝国システム」を支えてきたのは基軸通貨としてのドルだった
⇒金融システムの覇権を握りドルを発行して世界中から物資を輸入し豊かさを享受してきた
⇒対露制裁による国際金融決済システムからの排除にロシア経済は耐え、それをきっかけに
ドルを介さない国際取引も活発になった
⇒ドル基軸体制の終わりは膨大な貿易赤字をタダでファイナンスする手段を失うことになり、
米国にとって死活問題だが、急激な崩壊は世界中にとって悪夢
⇒米国とドルからの撤退と新たな体制への移行はコントロールされなければいけない
・世界に寄生する米国と自立するロシア
⇒ドルを刷って物資を輸入し豊かに暮らす米国は世界に寄生しており、自国の生存のために
世界覇権を維持しようとする
⇒ロシアはエネルギー面でも経済面でも相対的に自立しており世界覇権を求める理由もない
(わたしはロシア人との接触を意図的に避けており、これは文献上の研究結果)
・ウクライナにもパレスチナにも首を突っ込む米国
⇒世界は「これは自分たちの問題ではない」とみなすべきではないか
⇒「非常に複雑な一つの地域の特殊な問題であって世界の問題ではない」と
⇒殺し合いをしている人たちのナルシズム感情を煽らず、世界中が注目しないことこそが
彼らが紛争から抜け出すための道となるように思う
5 イスラエルは神を信じていない~戦争自体が自己の存在理由に~より
・ニヒリズムという破壊活動
⇒ニヒリズムとは「物や人々や現実を破壊したい」という欲求や衝動のことで、
西洋の宗教的・形而上学的価値観の空白から生じているもの
⇒ニヒリズムとは虚無の産物で「宗教のゼロ状態」の産物
⇒西洋もイスラエルもこの状態に達している
・戦争自体が自己の存在理由に
⇒ウクライナはロシアの侵攻以前から破綻国家だったが強い戦意と抵抗力を示しているのは
ロシアとの戦争自体が自己の存在理由になっているということ
⇒イスラエルも「暴力の行使」が自己目的化してしまった印象を受ける
・イラン(9000万人)と戦争したいというイスラエル(700万人)の欲求
⇒イスラエル人であることは(ユダヤ人であることを意味せず)アラブ人やイラン人と戦うことを
無意識の深層で意味しているのだろう
・最終的に私たちがユダヤ人か否かを決めるのは迫害する側
⇒イスラエルとの絆を感じない現象は米国で始まっている⇒フランスではゆるぎない連帯
・宗教がゼロ状態になる時代に、反ユダヤだった階層やグループが極右化したイスラエルを
熱狂的に支持しているのは非論理的ではない
⇒欧州では移民流入による「イスラム恐怖症」が煙幕となり「イスラエルの戦い」に興奮している
・宗教の三段階
⇒第一段階は活動的でミサや礼拝に行き安息日を守る
⇒第二段階はゾンビ状態で信者ではないが世俗的に宗教由来の価値観は残存する
(この段階で国家の理想や政治的イデオロギーが宗教の代替物として登場)
⇒第三段階が宗教のゼロ状態で宗教由来の個人の道徳観も社会的枠組みも存在しない
⇒イスラエルがどの段階なのか、もはや古典的ユダヤ教ではないのか・・・
⇒ただし本物ユダヤ人の消滅は反ユダヤ主義の消滅を意味するわけではない
6 ロシア・ハンガリーより愛をこめて~ロシア恐怖症という「西洋の病い」~より
・ハンガリーが東欧では例外的にロシア恐怖症に囚われないのは唯一抵抗した自信から
⇒1956年のハンガリー動乱の自信が1989年の東欧最初の鉄のカーテン解放へ
・モスクワの驚くべき正常さにショックを受けた
⇒モスクワの現実と仏メディア報道のあまりのギャップに怒りが湧いた
⇒ロシア嫌いは反ユダヤと同じで差別する側の精神的病い
⇒欧州で英国が最もロシア嫌いなのは英国が最も悪い「空白」状態にあるから
・「自立した欧州」が再登場するなら「ドイツに支配された欧州」になる
⇒従来のドイツ・イタリア・フランスを中心軸とする欧州はウクライナ戦争により、
米国に操られた英国・デンマーク・北欧諸国・バルト三国の軸に代わられた
⇒英仏の好戦論は充分な産業基盤がないので心配ないがドイツ語圏の産業力はロシアの脅威
⇒兵器生産をフル稼働すればロシアが明言している戦術核の使用が現実に
⇒対露制裁によるエネルギー不足からの不況、米国からの貿易不均衡是正の要求
⇒この経済問題を再軍備と軍需産業への転換で解決する可能性
⇒ロシアとの和平か戦争か
・トランプの周囲には奇妙な人間が大勢いる
⇒米国では技術・産業・軍事力の衰退だけでなく道徳の崩壊が起きている
・欧州各国は依然として民族国家だが米国は市民国家
⇒その核だったWASPが消滅したことで空中分解しつつある⇒部族主義への退行
⇒州に権力がある銃社会でウェーバーが定義する「正当な暴力の独占機関」である国家を
一度も実現したことはない
⇒米国社会の崩壊を食い止めるものはない
・日本は核武装すべき
⇒自国の独立を保障し超大国間の紛争に不必要に関わらずに済むから
⇒米国は常に戦争に引きずり込もうとするが核があればパワーゲームから抜け出せる
⇒トランプ政権の国防次官コルビーは現実的な戦略として、中国を封じ込める通常戦力が
米国にない場合、日本・韓国・台湾・オーストラリアによる核保有(同盟国への友好的選択的な
核拡散)が解決策になり各国にも米国にも利益になる、と述べている
(イスラエル熱狂支持の「奇妙な」長官と異なり次官は冷静で優秀な若者)
7 危険なのはイランより米国とイスラエルだ
~日本と同じくイランの核武装は平和に寄与する~より
・核戦争のリスクは不均衡から生まれる
⇒1945年には米国だけが保有していたから広島と長崎に使用できた
⇒冷戦時代に核戦争は起きなかった
⇒戦後に第三次まで続いた印パ戦争は双方の核武装で収まった
⇒東アジアでは核を持たない日本が核を持つ中国と北朝鮮に対峙し、中東ではイスラエルだけが
核を持っており、この不均衡が不安定な状況を作り出している
⇒イランや日本に持たせようとしないのは非西洋人への西洋人の偏見で西洋の最大の弱点
・リビア政権もイラク政権もアラブ系の脆弱な政治システムで指導者が消えると崩壊したが、
ペルシャ系でシーア派のイランは根本的に異なる社会
⇒ハメネイ師が暗殺されてもイランの国家体制が崩壊することなどあり得ない
・アラブとペルシャの違い
⇒スンニ派アラブ諸国の特徴は男系の親族ネットワークの強さで、一族が国家より強力で
国家が存続する場合もサウジアラビア(サウード家のアラビア)のように一族が支配する
⇒イランはペルシャ帝国の末裔で2500年にわたる国家建設の伝統歴史を引き継いでいる
⇒シーア派イランの女性の大学進学率は男性を上回り、出生率もフランスとほぼ同じ
⇒中東の中心スンニ派アラブ諸国の周縁部で男女平等・核家族的特徴を遺しているから
(ユーラシア大陸の周縁部である欧州とくに英仏に近い)
⇒部族集団の概念に立脚するスンニ派の法と家族集団に限定されたシーア派の法
⇒核家族的なイラン社会は部族社会と異なりモサドや協力者の浸透を許したが、要人暗殺が
実行されても属人的ではない近代組織が存在するので戦略的には無意味
・1979年のイラン革命とは
⇒民主化革命でフランス革命やロシア革命のイトコ⇒識字率・出生率との関連から
⇒宗教革命だがピューリタン革命同様に神の名で王制を打倒した「左翼の宗教革命」
⇒シーア派の教義には異議申し立ての伝統がありスンニ派と逆に議論を重んじるシステム
(6人のイラン外交官に食事会でどの大統領候補に投票したかを聞いたら全員が異なる候補に
投票しており、その後は互いに口論がはじまり議論する文化を目の当たりにした)
・米国の締め付けは逆効果
⇒米国の脅威がイラン国内の保守派を強化している
・イランの軍事力分析で核開発より重要なのは弾道ミサイルとドローンの製造
⇒高価な航空戦力を放棄しての「安価な開発」がうまく機能した
⇒イランが膨大な数のエンジニアを輩出しているから可能だった
(米国博士号留学生のエンジニア分野を選ぶ割合はイラン66%中国35%インド39%)
・日本は最初に西洋の支配に立ち向かった国で明治維新はBRICSの先駆け
⇒明治時代の思想的な文献を探せば「国を守るためにはエンジニアが必要」と書かれたものが
きっと見つかるはずだと確信している・・・
・・・・・・・・・・
はてさて・・・
ま、「エンジニアが必要」なことは国防だけでなく日頃から痛感してますが・・・
一部に???な部分もありましたが、そんな見方もあるのかと納得する部分もあったので、
次は(英米)帝国では発禁の書
「西洋の敗北」も読んでみようかな・・・

西洋の敗北と日本の選択~エマニュエル・トッド著~を読みました
表紙カバー裏にあった惹句

著者紹介と奥付

2025年9月の発行で、2024年1月に発行され話題になった著書「西洋の敗北」と
日本との関連などをまとめた本で同著の解説書にもなっています
ま、わたくしはまだ同著を読んでませんが・・・

目次




(以下てきとーメモですが著作物からなので公開に問題があれば非公開設定にします)
日本の読者へ より
・私の世界を構成する(西洋の民主主義を作り出した)英米仏の三極が崩壊しつつある
⇒生産基盤が流失し産業の空洞化が起き、財が生産されるのは「その他の世界」
⇒崩壊は価値観の面で著しく、ニヒリスト的な歴史観に陥り戦争自体が目的となった
⇒しかもその戦争は兵器生産力を欠いたまま遂行される戦争であり、戦争のための戦争、
自殺行為に等しい戦争と化している
・西洋の民主主義は消滅した
⇒西洋の労働者階級は国外で生産された財で生活する個人の寄せ集めでしかなく、
古代ローマの平民に取って代わられた
⇒形式的な自由はあるがネットワークは「国家と金融グループの共生連合」に支配されている
・アメリカは生産せずに消費する「怠惰の帝国」と化し「世界からの搾取システム」を
死守しようとしている
⇒この姿勢が「終わりのない戦争」へと帰結する
・「西洋の敗北」を確信できたのは、米国より(人口が米国の半分以下の)ロシアの方が
より多くのエンジニアを養成していた事実から
⇒イランもイラン・イラク戦争(1980-1988)後からエンジニアの養成を重視してきた国
・米国が(主として代理)戦争に熱狂するなかで最終的には中国への攻撃も想定できるが、
米国の兵器備蓄は脆弱で時代遅れで船舶生産能力が欠如しておりレアアースは中国依存
⇒オーストラリア・台湾・韓国・日本が米国に引きずられ中国と衝突するとは想像しがたい
・ウクライナ戦争で経済的にロシアと分断させられたドイツは「米国への熱狂的な服従」と
「戦争への積極的な参加」へ
⇒対露制裁による経済危機への技術的な解決策は軍需産業であり戦争への参加だと
⇒これは宗教的空白から生まれたニヒリズム
⇒しかしロシアの軍事ドクトリンは明快で脅威があれば戦術核を使用する
・モスクワ、北京、テヘラン、平壌の悪魔たちは同程度の国力とみなす錯乱した西側外交
⇒米国への対抗上は対等な同盟でも国力からは不均衡で国益も政治文化も異なっている
⇒ロシアは19世紀の共同体家族に由来する共同体文化に支えられた権威主義的民主主義
⇒イランはペルシャ語圏の父系重視傾向はあるものの権威主義的ではなく核家族的で、
政党は存在しないが派閥間の対立が「多元主義」を保証しており、(スンニ派にはない)
シーア派の伝統である解釈と徹底した討論が生きていると外交官から実感した
⇒中国は権威主義的であり全体主義的でもある
⇒このように「米国の軍事・金融システム」の外の世界は多様性に富んでいる
⇒これらの考察は西洋の経済的支配をもはや受け入れないBRICS全体に拡大できる
・西洋の二元性
⇒米英仏の個人主義的な核家族の三国からなる自由主義の中心部
⇒ドイツや日本のような直系家族の国々からなる非自由主義的な周縁部
(日独は敗戦以来、米国のシステムに統合されている)
⇒ドイツは西洋の国だが日本は大きく異なる
・日本は歴史の大部分で孤立した島国で対外関係は平和的だった
⇒一時期、帝国主義的になったのは西洋の植民地主義を模倣したことの悪影響
⇒過去に日本が朝鮮半島や中国で行ったことがフランスがアルジェリアで行ったことや、
英国が大英帝国内で行ったことより悪かったとは私は思わない
・独立を保つために近代化したのが明治維新の目的であり意味
⇒これはBRICSの先駆者になるが、あまりに早くうまく成功し過ぎたのが日本の不幸
⇒数十年で大国になりロシアに勝利して植民地支配に乗り出し米国との対決から敗北へ
・今日、ロシアはBRICSの軍事的な腕であり中国は経済的な腕
⇒日本は西洋の独裁を拒否する旧世界のこれらの文明国家の中でしかるべき地位を、
しかも非常に素晴らしい地位を占められたのではないか
⇒ロシア・中国・インド・イラン・日本リストは歴史家にとってG7リストより立派なリスト
・私は不幸な西洋人でフランスを情熱的に愛しているが日本での出版がなければ知識人として、
作家として自国で生き延びることはできなかった⇒西洋に対する日本の外部性は特別なもの
⇒あなた方が私を救ってくれたのだ!!!
1 米欧の分裂と日本の選択~米国は日本を守らない~より
・トランプ政権の首脳陣が欧州への憎悪と軽蔑を露わにしている
⇒米国・欧州・ウクライナの三者が「敗北の責任」をなすりつけあっている
・予測可能で信頼できるロシア、予測不可能で信頼できない米国(トランプ以前から)
⇒トランプの演劇的な言動は不確実で予測困難、プーチンの冷静な言動は一貫しており予測可能
⇒「2022年2月にロシアが突然ウクライナに侵攻した」とされているが、2008年4月のNATO
首脳会議(ジョージアとウクライナを将来的にNATOに組み込むと宣言した)時点からずっと、
「それは絶対に許さない」と明言し、「ウクライナでの軍事力強化は受け入れがたい」と
レッドラインを明確にしていたのに欧州やNATOは東方へ拡大を続けた
⇒さらに2014年(独仏主導の)ミンスク合意も裏切られ、自ら安全保障を達成するしかなくなった
⇒実際に米国の約束を信じたジョージアは領土の20%を失い、ウクライナも現時点(2025年3月)で
クリミアを含み約20%を失っている
⇒オバマ時代のイラン核合意もトランプに破棄されており「米国は信用できない」という
イランの反応のほうが真っ当
⇒ロシアの主権が脅かされた場合の戦術核の使用可能性を明文化していることは、ブラフではなく
現実と受け止めるべきなのに、軽く見ている西洋の政治家やジャーナリストに恐怖を感じる
・日韓を含む西洋連合GDPの僅か3.3%に過ぎないロシア+ベラルーシの方が武器供給量が多く、
欧州が経済制裁の最大の被害者となっている中での停戦和平案はロシアに何の利益もない
・国境をNATOと米英支援のウクライナ軍に脅かされたので防衛のため侵攻したので、
⇒オデッサなどの軍事目標を掌握すれば侵攻は止まり、親露政権の樹立を望むだろうが、
ウクライナの次はポーランドに侵攻、というのは欧州エリートのプロパガンダ
・プーチンは欧州との友好関係を望み、特に9.11テロ以降は米国とも極めて友好的だった
⇒逆に人口でも経済でもロシアを圧倒し長大な国境を接する中国とは常に緊張状態だった
⇒ロシアを排除して中露接近を招いたのは中国をライバルとする米国の致命的な戦略ミスだが、
日独がロシアに接近することが最大の悪夢なのでウクライナ戦争によってロシアから離した
⇒「西洋の敗北」で、この構図が崩れ始めている
・経済統計などとは異なり人口統計は誤魔化せない
⇒フランスでは乳幼児死亡率が年々上昇している
⇒生活環境がひどく悪化しているということ
⇒ポピュリスト政党の台頭(革命の兆候)へ
⇒それを戦争の継続(外敵の存在)で押さえ込もうとしているのが欧州のエリートたち
・西洋の敗北、米欧の分裂の中で中国と対峙する日本はどうすればよいか
⇒欧州と米国のヒステリーに関わらず静観し、密かに核武装を進めるべき
⇒「NATO条約の第5条によりドイツ防衛に米国が核兵器を使うことはなかっただろう」と、
退任後のキッシンジャーもマクナマラも述べているように、核の傘の概念は無意味
⇒ドイツのケースと同じで自国も核攻撃を受けるリスクのある核を他国のためには使えない
⇒なので米国が核を使って日本を守ることは絶対にあり得ない
⇒核は持たないか、自前で持つか、それ以外の選択肢はない
・マクロンはフランスの核の傘を欧州に広げると言ってるが無意味で危険な発言
⇒核の傘が幻想である以上、隣国ドイツが核武装を目指すきっかけになるだけ
⇒日本や韓国では中国と北朝鮮の核という深刻な脅威があり、それに対する米国の核の傘が
幻想なのだが、ロシアはドイツの深刻な脅威ではなくドイツに核保有の必要はない
・核保有によってフランス国民は安心感を得ている
(英国はメンテナンス依存している米国の同意なしに核は使えず核保有国とは言えない)
⇒日仏のような勢力拡大を目指さない中規模国にとって核保有は専ら防衛的なもの
(人口減少を大量の移民で補完しているドイツは勢力拡大を諦めていない)
・日本も核武装と通常兵器の増強を進めるべき
⇒戦争は軍事的な不均衡から生まれるから
・もう一つ勧めたいのはロシアとの友好関係の構築
⇒安全保障面でもエネルギー面でも日本の国益に適うもので、
⇒対中国牽制のパワーバランスとしても機能し世界の安定に寄与するから
・日本の核武装は中長期的には中国との信頼構築にもつながる
⇒もちろん表向きは反対するが日本の核武装は対米自立を意味するから
・日本にとって安全保障以上の問題が少子化で先進国共通の文明史的な問題
⇒戦争や外敵を強調して現実から目を逸らせるのではなく自国民が「なぜ子供を作らないか」
という真の問題にどの国も向き合うべき・・・
2 トランプは「敗北の大統領」となる~トッド自身による「西洋の敗北」入門~より
・「西洋の敗北」はどんな本で、なぜ書いたか
⇒ウクライナ侵攻は欧州やNATOが東方へ拡大した結果なのに西洋側が攻撃を受けたとの
「誤った現実認識」が西洋人にあったから訂正しようとした
⇒戦争を分析して「ロシアの勝利」を確信したが、真のテーマは「西洋の敗北」
⇒米国を含むアングロサクソン世界の内部崩壊
⇒衰退の究極の要因としてプロテスタンティズムの崩壊を指摘した
⇒道徳、教育、知性の退行が結果として米国の無力さ、失敗、敗北に
・二つの西洋
⇒広義では価値観の異なる日独を含む欧州と極東における米国支配圏としての西洋
⇒狭義ではリベラルという政治的価値観で規定された英米仏からなる西洋
⇒この崩壊が西洋の敗北
⇒米国はこれらの国を支配し続けるためにロシアとの戦争などに巻き込んでいる
⇒欧州の敵はロシアではなく世界の中心で崩壊しつつ危険に巻き込もうとしている米国
・日本は敗北しつつある西洋、特に米国とどう付き合えばよいか
⇒米国による世界覇権の鍵は欧州・中東・東アジア
⇒ここで緊張を高め紛争を引き起こし同盟国(というより属国)を巻き込んでいる
⇒勧めたいのは「できるだけ何もしないこと」と、人口問題に移民も含め本気で取り組むこと
・ウクライナ戦争はどう終わるのか
⇒ロシアの兵器生産力が勝り西洋諸国は真の軍事介入ができないからロシアが勝利する
⇒ウクライナの敗北は経済制裁や金融支配による米国覇権の敗北を意味する
⇒米国には受け入れ難く、戦線を欧州・中東・東アジアにエスカレートさせるリスクがある
⇒だからこそ日本は「何もしないこと」が喫緊の課題で、これはドイツも同じ
・「西洋の敗北」は日本も含め25ヶ国で翻訳されているのに英語版がないことについて
⇒私の最近の著作は全て英訳されているが「西洋の敗北」だけは英訳版がない
⇒これは英米世界にとっての「不都合な真実」を正確に合理的に描いたことを証明している
⇒もはや寛容さを失った帝国によって禁書扱いされたもの
⇒なので販売促進のために帯に「帝国から発禁された書」と巻けばよい

3 日本は欧米とともに衰退するのか
~家族を発明したホモサピエンス(成田悠輔との対談)~より
成田
・日本では自国の惨状を上から目線で批判・説教する経営者や知識人がいる一方、
隣国との緊張や外国人嫌悪を煽る運動や言説があるが、トッドさんは第三者的に家族構造や
人類史から、むしろ日本に「都合の良い真実」を示されているが・・・
⇒欧州では日本は特殊な国と思われてきたが直系家族で共同体家族の中国よりドイツに近く、
両者の共通点と違いは非常に興味深い(略)
⇒30年前から日本の問題は経済ではなく人口、対外政策では核兵器の保有と指摘してきたが、
日本が行動に移すことはなかった
成田
・日本は経済停滞で貧困化しているが政権は安定したままで「変わらない」が・・・
⇒フランスもドイツも米国の覇権下にあり「変われない」⇒米国も同じで退化している
⇒西洋が退化に向かっている中で、日本の国内産業維持などの「退化に対する保守主義」は
ポジティブかもしれない
・人口減少
⇒ホモサピエンスが「育児を可能にする持続的な夫婦関係」を発明した
⇒核家族から直系家族(長子相続)⇒共同体家族が生まれたが、これらは核家族より変化を
妨げる停滞要因として作用したとみている
⇒家族による子育てには「愛」が必要で国や公的機関が組織化することは不可能だと思う
⇒残念ながら戦争が変化をもたらしたことは否めない
・二つの資本主義⇒英米と日独
⇒世代間の繋がりが弱く変化する核家族構造の英米で発展したのが古典的な自由主義
⇒労働者が産業革命を支えたが、レーガン・サッチャーから始まった新自由主義は
金融を自由化し生産設備の破壊を進めた
⇒世代間継承する直系家族社会である日独は国内の産業基盤を維持した
・グローバル経済の罠
⇒核家族社会は直系家族ほど子供を教育で「囲い込む」ことはなく教育水準の低下が顕著
⇒結果として今日の米国には「良質で勤勉な労働者」が不足している
⇒トランプの保護主義への転換は正しいが国内産業の再建を担うエンジニアや労働者はいない
⇒国内の産業基盤を維持した国々も外需への過度な依存や少子化の問題を抱えている
⇒異なる家族構造社会の国が得意分野へ依存してしまったのがグローバル経済の罠
⇒唯一、脱却に成功したのがロシア
成田
・日本企業の特徴として長寿企業が多いこと、独自製品を生産する企業が多いことが挙げられ、
これらの特徴は直系家族と相性がいいかもだが、明治大正時代の日本は弱肉強食の市場経済で
格差は欧米より大きく、この変化は家族構造では説明できないのではないか
⇒日本の歴史は西洋の「権威から自由へ、硬直から柔軟へ」の歴史とは逆の流れではないか
成田
・古典経済学では各国が得意分野で貿易することで全体のパイが増え、貿易の敗者も生むが
増えたパイの再分配で救済できると考えられてきた
・ところが中国との競争で生まれた米国製造業の失業者は救済されておらず、最近の経済学者は
自由経済の負の面も強調している
⇒30年近く自由貿易批判をしてきたが米英仏は生産基盤の海外移転が進み過ぎて後戻りできない
⇒労働はお金を稼ぐためだけでなく自己実現であり社会貢献
⇒米国の労働者は生産せずドルの恩恵で消費してきたが消費者は共同体には属さない
⇒民主主義は消費者ではなく労働者に支えられるので米国では自由民主主義が消滅した
成田
・戦後から20世紀末まで西側諸国では資本主義が経済成長と技術革新を担当し、
それにより生まれる格差や弱者を民主主義政治が救うという役割分担ができていた
・しかし資本主義の暴走を民主主義が制御できなくなり格差が爆増した
・トランプ勝利も大富豪の資本による勝利⇒これらに代わる新たな政治経済の提案は
⇒批判は得意でも提案は不得意なので
違った観点から⇒米国の退化はもはや不可逆で民主主義は資本主義に敗れた
⇒ところがこれを労働の観点から考えると、
⇒産業基盤の残る日独には民主主義の担い手(労働者)がまだ残っている
⇒だが両国は米国支配下にあり主権がないので、その点で民主主義国家と言えないのが問題
(米国によるノルドストリーム破壊への沈黙でドイツは米国占領下にあることを公式に認めた)
成田
・トッドさんの立場は悲観的で反ユートピア的だが、古代の賢人政治から近代のマルクス共産主義、
現代の技術革新礼賛まで、人々を惹きつけるのは統一ビジョンのユートピア
・それらの統一ビジョンがいかに機能し得ないか、社会や国家は多様であらざるを得ないことを
家族構造から教えてくれるのがトッドさんの仕事
・家族は閉鎖的で非対称性や階層性があり、さらに世界の家族構造は多様と理解させてくれる
⇒米国の軍事介入によるイラクの民主化やEUの通貨統一も家族の多様性から批判してきた
⇒「世界の多極的なビジョン」を国際社会で打ち出しているロシアの戦略的合理性も即座に
理解できた
⇒今後は国民としての連帯感のある国だけが生き残るだろう
⇒懸念は内部での連帯感は外部への敵対心で成り立っていること(アダム・ファーガソン)
⇒ロシアは戦争遂行で社会が安定に向かっており、社会分断の解決策として安易に戦争に
向かう動きが出てくる可能性がある
⇒社会分断している米国が東アジアでも戦争を引き起こす可能性
⇒そうした米国に追従しないことが日本の平和と安全には不可欠
4 ウクライナを支援して破壊した米国~欧州支配の装置としてのNATO~より
・長期戦になれば高度な軍事技術より兵器生産力が重要にと2022年6月から指摘しているが、
産業空洞化という米国の弱点が露わになり産業基盤を維持しているロシアが優位になっている
(さらに世界の工場である中国の支援も期待できる)
・ロシア経済の強さを見誤ったのは時代遅れのGDP指標から
⇒軍事力を最終的に支えるのはリアルな生産力でバーチャルな金融やサービスではない
・2028年にロシアの人口ピラミッドに大きな穴が生じ徴兵世代が急減する
⇒それまでには終わらせたいだろうが勝利を急ぐより国内の平穏を優先している
・「西洋の敗北」執筆のために米国の専門家の現実認識や世界戦略を理解しようとした
⇒見えてきたのは米国のエリート集団が真面目でも有能でもないということだった
⇒現実を直視できない彼らの攻撃性こそ世界にとって一番の不安定要因
・地政学的な力学によりロシアとドイツが再び接近する
⇒ウクライナをNATOの事実上の加盟国にするため、この戦争を嗾けた米国の真の目的は
ロシアとドイツの分断
⇒両者はエネルギー・経済で相互補完関係にあり協力は地政学上も地域の安定に寄与するが、
両者に挟まれたポーランドには両者による分断の歴史があり反ロシアで反ドイツ
⇒米国が離れウクライナが崩壊すれば西ウクライナを併合すると開戦当初から指摘している
⇒ウクライナ分割が本格化すればポーランドへの併合か独立で分離する可能性は高い
⇒ウクライナでクーデターを主導したのは旧ナチスドイツ側だった西部地域の勢力で、
ここを分離すればロシアは中央部への影響力を回復できる(東部などはロシアに併合)
⇒ただしウクライナ西部には伝統的にポーランドに属する地域だけでなく、ドイツ語圏の
伝統に属する地域もあり、分離が実現すれば地政学的緊張が30年は続く
・反転攻勢の失敗で西側諸国に亀裂が生まれつつある
⇒スロバキアでは2023年9月の総選挙でウクライナ支援停止の中道左派が勝利した
⇒ドイツのレオパルト供与も逡巡を重ねており意志に反するというロシアへのサインか
⇒ノルドストリーム爆破への政府としての沈黙もドイツの米国への暗黙の批判か
(私は米国とノルウェーが爆破した説をとっている⇒ロシアなら栓を閉めれば済むから)
・米国の覇権が世界中で綻びはじめている
⇒逆に欧州同盟国への支配は強まりドイツもフランスも独立国家とは言えない状態
⇒英国、ノルウェー、デンマークもほぼ同様だが他の欧州諸国は微妙な状況
・中国とロシアには自律的な情報ネットワークがあるが欧州は米国GAFAMに支配されている
⇒2013年に元CIA職員によりNSAによる個人情報収集が暴露されたが、驚いたのはロシアや
中国に対する情報収集ではなく同盟国への監視だったこと
⇒NATOも日米同盟も米韓同盟も同盟国に対して米国は支配者として振る舞っている
・「アメリカ帝国システム」を支えてきたのは基軸通貨としてのドルだった
⇒金融システムの覇権を握りドルを発行して世界中から物資を輸入し豊かさを享受してきた
⇒対露制裁による国際金融決済システムからの排除にロシア経済は耐え、それをきっかけに
ドルを介さない国際取引も活発になった
⇒ドル基軸体制の終わりは膨大な貿易赤字をタダでファイナンスする手段を失うことになり、
米国にとって死活問題だが、急激な崩壊は世界中にとって悪夢
⇒米国とドルからの撤退と新たな体制への移行はコントロールされなければいけない
・世界に寄生する米国と自立するロシア
⇒ドルを刷って物資を輸入し豊かに暮らす米国は世界に寄生しており、自国の生存のために
世界覇権を維持しようとする
⇒ロシアはエネルギー面でも経済面でも相対的に自立しており世界覇権を求める理由もない
(わたしはロシア人との接触を意図的に避けており、これは文献上の研究結果)
・ウクライナにもパレスチナにも首を突っ込む米国
⇒世界は「これは自分たちの問題ではない」とみなすべきではないか
⇒「非常に複雑な一つの地域の特殊な問題であって世界の問題ではない」と
⇒殺し合いをしている人たちのナルシズム感情を煽らず、世界中が注目しないことこそが
彼らが紛争から抜け出すための道となるように思う
5 イスラエルは神を信じていない~戦争自体が自己の存在理由に~より
・ニヒリズムという破壊活動
⇒ニヒリズムとは「物や人々や現実を破壊したい」という欲求や衝動のことで、
西洋の宗教的・形而上学的価値観の空白から生じているもの
⇒ニヒリズムとは虚無の産物で「宗教のゼロ状態」の産物
⇒西洋もイスラエルもこの状態に達している
・戦争自体が自己の存在理由に
⇒ウクライナはロシアの侵攻以前から破綻国家だったが強い戦意と抵抗力を示しているのは
ロシアとの戦争自体が自己の存在理由になっているということ
⇒イスラエルも「暴力の行使」が自己目的化してしまった印象を受ける
・イラン(9000万人)と戦争したいというイスラエル(700万人)の欲求
⇒イスラエル人であることは(ユダヤ人であることを意味せず)アラブ人やイラン人と戦うことを
無意識の深層で意味しているのだろう
・最終的に私たちがユダヤ人か否かを決めるのは迫害する側
⇒イスラエルとの絆を感じない現象は米国で始まっている⇒フランスではゆるぎない連帯
・宗教がゼロ状態になる時代に、反ユダヤだった階層やグループが極右化したイスラエルを
熱狂的に支持しているのは非論理的ではない
⇒欧州では移民流入による「イスラム恐怖症」が煙幕となり「イスラエルの戦い」に興奮している
・宗教の三段階
⇒第一段階は活動的でミサや礼拝に行き安息日を守る
⇒第二段階はゾンビ状態で信者ではないが世俗的に宗教由来の価値観は残存する
(この段階で国家の理想や政治的イデオロギーが宗教の代替物として登場)
⇒第三段階が宗教のゼロ状態で宗教由来の個人の道徳観も社会的枠組みも存在しない
⇒イスラエルがどの段階なのか、もはや古典的ユダヤ教ではないのか・・・
⇒ただし本物ユダヤ人の消滅は反ユダヤ主義の消滅を意味するわけではない
6 ロシア・ハンガリーより愛をこめて~ロシア恐怖症という「西洋の病い」~より
・ハンガリーが東欧では例外的にロシア恐怖症に囚われないのは唯一抵抗した自信から
⇒1956年のハンガリー動乱の自信が1989年の東欧最初の鉄のカーテン解放へ
・モスクワの驚くべき正常さにショックを受けた
⇒モスクワの現実と仏メディア報道のあまりのギャップに怒りが湧いた
⇒ロシア嫌いは反ユダヤと同じで差別する側の精神的病い
⇒欧州で英国が最もロシア嫌いなのは英国が最も悪い「空白」状態にあるから
・「自立した欧州」が再登場するなら「ドイツに支配された欧州」になる
⇒従来のドイツ・イタリア・フランスを中心軸とする欧州はウクライナ戦争により、
米国に操られた英国・デンマーク・北欧諸国・バルト三国の軸に代わられた
⇒英仏の好戦論は充分な産業基盤がないので心配ないがドイツ語圏の産業力はロシアの脅威
⇒兵器生産をフル稼働すればロシアが明言している戦術核の使用が現実に
⇒対露制裁によるエネルギー不足からの不況、米国からの貿易不均衡是正の要求
⇒この経済問題を再軍備と軍需産業への転換で解決する可能性
⇒ロシアとの和平か戦争か
・トランプの周囲には奇妙な人間が大勢いる
⇒米国では技術・産業・軍事力の衰退だけでなく道徳の崩壊が起きている
・欧州各国は依然として民族国家だが米国は市民国家
⇒その核だったWASPが消滅したことで空中分解しつつある⇒部族主義への退行
⇒州に権力がある銃社会でウェーバーが定義する「正当な暴力の独占機関」である国家を
一度も実現したことはない
⇒米国社会の崩壊を食い止めるものはない
・日本は核武装すべき
⇒自国の独立を保障し超大国間の紛争に不必要に関わらずに済むから
⇒米国は常に戦争に引きずり込もうとするが核があればパワーゲームから抜け出せる
⇒トランプ政権の国防次官コルビーは現実的な戦略として、中国を封じ込める通常戦力が
米国にない場合、日本・韓国・台湾・オーストラリアによる核保有(同盟国への友好的選択的な
核拡散)が解決策になり各国にも米国にも利益になる、と述べている
(イスラエル熱狂支持の「奇妙な」長官と異なり次官は冷静で優秀な若者)
7 危険なのはイランより米国とイスラエルだ
~日本と同じくイランの核武装は平和に寄与する~より
・核戦争のリスクは不均衡から生まれる
⇒1945年には米国だけが保有していたから広島と長崎に使用できた
⇒冷戦時代に核戦争は起きなかった
⇒戦後に第三次まで続いた印パ戦争は双方の核武装で収まった
⇒東アジアでは核を持たない日本が核を持つ中国と北朝鮮に対峙し、中東ではイスラエルだけが
核を持っており、この不均衡が不安定な状況を作り出している
⇒イランや日本に持たせようとしないのは非西洋人への西洋人の偏見で西洋の最大の弱点
・リビア政権もイラク政権もアラブ系の脆弱な政治システムで指導者が消えると崩壊したが、
ペルシャ系でシーア派のイランは根本的に異なる社会
⇒ハメネイ師が暗殺されてもイランの国家体制が崩壊することなどあり得ない
・アラブとペルシャの違い
⇒スンニ派アラブ諸国の特徴は男系の親族ネットワークの強さで、一族が国家より強力で
国家が存続する場合もサウジアラビア(サウード家のアラビア)のように一族が支配する
⇒イランはペルシャ帝国の末裔で2500年にわたる国家建設の伝統歴史を引き継いでいる
⇒シーア派イランの女性の大学進学率は男性を上回り、出生率もフランスとほぼ同じ
⇒中東の中心スンニ派アラブ諸国の周縁部で男女平等・核家族的特徴を遺しているから
(ユーラシア大陸の周縁部である欧州とくに英仏に近い)
⇒部族集団の概念に立脚するスンニ派の法と家族集団に限定されたシーア派の法
⇒核家族的なイラン社会は部族社会と異なりモサドや協力者の浸透を許したが、要人暗殺が
実行されても属人的ではない近代組織が存在するので戦略的には無意味
・1979年のイラン革命とは
⇒民主化革命でフランス革命やロシア革命のイトコ⇒識字率・出生率との関連から
⇒宗教革命だがピューリタン革命同様に神の名で王制を打倒した「左翼の宗教革命」
⇒シーア派の教義には異議申し立ての伝統がありスンニ派と逆に議論を重んじるシステム
(6人のイラン外交官に食事会でどの大統領候補に投票したかを聞いたら全員が異なる候補に
投票しており、その後は互いに口論がはじまり議論する文化を目の当たりにした)
・米国の締め付けは逆効果
⇒米国の脅威がイラン国内の保守派を強化している
・イランの軍事力分析で核開発より重要なのは弾道ミサイルとドローンの製造
⇒高価な航空戦力を放棄しての「安価な開発」がうまく機能した
⇒イランが膨大な数のエンジニアを輩出しているから可能だった
(米国博士号留学生のエンジニア分野を選ぶ割合はイラン66%中国35%インド39%)
・日本は最初に西洋の支配に立ち向かった国で明治維新はBRICSの先駆け
⇒明治時代の思想的な文献を探せば「国を守るためにはエンジニアが必要」と書かれたものが
きっと見つかるはずだと確信している・・・
・・・・・・・・・・
はてさて・・・
ま、「エンジニアが必要」なことは国防だけでなく日頃から痛感してますが・・・

一部に???な部分もありましたが、そんな見方もあるのかと納得する部分もあったので、
次は(英米)帝国では発禁の書
「西洋の敗北」も読んでみようかな・・・
