2026年07月20日
新しい階級社会
とーとつですが・・・

新しい階級社会~最新データが明かす格差拡大の果て~とゆー本であります
タイトルにもあるとおり、大規模調査結果などの様々な最新データをグラフや表にして、
それらの説明と分析から格差拡大の実態に迫り、原因や対策を探るとゆー内容・・・
著者紹介

奥付

目次



以下てきとーな読後メモですが、本書は前述のとおり最新データのグラフや表と併せ読む
前提の本なので、少しでも興味を持たれた方は本書をお読みくださいね
(著作物からのメモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
序にかえて より
・(ジニ係数の推移などの格差諸表から)
⇒1950年代の前半は日本全体が貧しかったものの(時代的に男女間の格差は大きいが)
農地改革や労働改革により格差は大幅に縮まっていた
⇒しかし1950年代後半に入ると格差は一時的に拡大する
(戦後復興が大企業と都市部で進行し中小企業と地方が取り残されたから)
⇒その後は経済成長の成果が中小企業や地方にも波及し人手不足から臨時や日雇いも企業雇用へ
⇒多くの格差指標は1975~80年頃に最低になった
⇒欧米より平等で社会主義国より豊かな、世界に誇れる「一億総中流」が日本人の常識に
(その後の格差拡大を否定しようとする人々が多いのは、この誇りを傷つけるからだろう)
⇒「一億総中流」は誇張だが、大部分に「将来は今より豊かになる」という確実な希望があり、
その人なりの「安定した普通の暮らし」があったので、格差をあまり意識しなかったのは事実
・1980年前後から急速に格差が拡大する
⇒規模別・産業別・男女別の格差は少しずつ縮小しているのにジニ係数が上昇している
⇒富裕層がさらに豊かになり低賃金・非正規労働者が激増し貧しい高齢者が増加したから
⇒この格差拡大状況が45年間も続いており、日本の社会を質的に変化させた
・生まれた環境や資産資源の所有、運と不運によっても相互を分け隔て、社会に亀裂を生み、
互いを反目させ対立するよう仕向けている
⇒本書ではこの分け隔てを「階級」と呼ぶ(階層より狭義で社会科学では階級構造など)
・階級構造はどの時代どの社会にも存在する、いわば人生の舞台装置
⇒だが1980年前後からの格差拡大は、この人生の舞台装置を変えてしまった
⇒本書ではこの新しい舞台装置を「新しい階級社会」と呼ぶ
・格差拡大とは
①階級間の格差が拡大すること⇒どの階級に属するかが人生に重大な結果をもたらすことに
②階級内部の格差が拡大すること⇒特に労働者階級の正規と非正規、男女の違い
・本書では現代の労働者階級の最下層階級を「アンダークラス」と呼ぶ
⇒現在890万人で就業人口の13.9%、平均年収は216万円、貧困率は37.2%に達する
・格差拡大によりアンダークラスを中心に貧困層が増大し社会に様々な弊害をもたらす
⇒教育の不平等、健康や医療の不平等(命の格差)、若者の貧困化による未婚化と少子化、
社会保障支出の増大、国家の財政危機・・・
⇒格差拡大により増えた富裕層の所得は貯蓄に回り、所得の大部分を消費する中下層の所得が
減れば社会全体としての消費が減少し景気は低迷する
⇒さらに貧困層に限らず社会全体で連帯感・信頼感が失われ、社会活動への参加が減少し、
社会全体の水準が低下して子どものいじめや犯罪も増加する病んだ社会へ
・新しい階級社会は協調より対立、平和より争い、幸せより不幸、喜劇より悲劇をもたらす
⇒その方が面白い、などといってる場合ではない⇒私たちの人生そのものなのだから
・私たちにはこの舞台装置を変化させることもできる
⇒しかしそのためには舞台装置の仕組みを知る必要がある
⇒どこにどのような問題があるか、それを知るために本書は書かれている
・本書(2025年刊行)は2018年に刊行された「新・日本の階級社会」の続編
⇒この7年間で就職氷河期世代が50歳代に突入し、新型コロナ・パンデミックにより、
多くの貧困層が新たに誕生した
⇒2022年に(三大都市圏?)大規模調査を実施、多くの新しい発見もあったので本書を刊行した
第1章「新しい階級社会」とは何か より
・現代日本の「新しい階級社会」の構造
(資本主義的企業の領域⇒公共部門を含む)
①資本家階級(企業の経営者・役員)250万人3.9%
②新中間階級(専門職・管理職・正規雇用の事務職)2051万人32.1%
③正規労働者階級(②以外の正規雇用労働者)1753万人27.4%
④パート主婦(有配偶の女性非正規雇用労働者)788万人12.3%
⑤アンダークラス(④以外の非正規雇用労働者)890万人13.9%
⑥59歳以下で専業主婦以外の失業者・無業者273万人
(自営業者の領域)
⑦旧中間階級(自営業者・家族従業者)658万人10.3%
・各階級の基本属性(大規模調査から)
①性別構成⇒女性比率が最も高いのはアンダークラスで56.8%
②年齢構成⇒資本家階級・旧中間階級は中高齢者が多く、新中間階級・正規労働者階級・
アンダークラスは若年者が多いと、はっきり二分されている
(アンダークラスに40代50代も多いのは就職氷河期世代がその年代になったから)
③学歴構成⇒新中間階級・資本家階級・正規労働者階級・旧中間階級・アンダークラスの順
(資本家階級が2位なのは中小零細企業経営者が必ずしも高学歴を必要としないから)
・階級間の経済格差(略)
・配偶関係
⇒アンダークラスの未婚率が大幅に高く特に男性は結婚できない
⇒新中間階級と正規労働者階級で女性の未婚率が大幅に高い
(この階級の多くの女性が結婚・出産で退職するから)
(さらにフルタイムで働き続ける女性の離別(離婚)率も高いから)
・各階級の多数を占める職種
①資本家階級は様々な職種(開業医・小売店主・町工場のベテラン職人など)
②新中間階級は専門・管理・事務
③正規労働者階級は販売・サービス保安・マニュアル職(生産現場・技能・農林漁業など)
⑤アンダークラスの女性は事務、男性はマニュアル職
・仕事の満足度、ストレス、自由度、意見反映度・・・(略)
・階級5分類で現代日本の格差の構造がわかる
⇒経済的な格差は資本家階級⇒新・旧の中間階級⇒正規労働者階級⇒アンダークラスの順
⇒経済的な格差だけでなく配偶関係、仕事の内容、満足度、自由度などにも違いがある
⇒この違いは意識にも現れアンダークラスは自分が貧困層であることを認識している
・なぜ階級構造が存在し、なぜ新しい下層階級アンダークラスが出現したのかを次章で・・・
第2章 新しい階級社会が生まれるまで より
・資本主義の誕生から今日に至るまで(略)
⇒法律上の所有権を持たなくても決定権を持つ経営者は資本家、僅かな株式を持っていても
労働力の対価が生計の中心であれば労働者
・フォーディズム段階(70年代半ばまで)からフレクシ・グローバル段階(90年代から)へ
(90年代からの新たな資本主義には様々な名前があるが本書ではこれ)
⇒特徴は資本・労働力・情報を含む生産手段がグローバル規模で流動し続けること
⇒フレクシ・グローバル化により先進国の階級構造が分極化した
⇒先進国の製造業は衰退あるいは海外へ、産業の中心は金融業、情報サービス業に
⇒職業構造は高度な技能と判断力を要する高賃金職と単純労働の低賃金職に分極化する
⇒金融・情報サービスの専門技術職が増大し彼らの仕事と生活を支える単純労働者が増加
⇒さらに格差が拡大していく
・産業構造の変化と新自由主義で雇用は不安定化する
⇒労働力のフレクシ部分を担うのがアンダークラス
⇒新自由主義は国家の保護や規制を嫌い旧中間階級も分解が進行する
・日本でも経営者の報酬が増え新中間階級にも高報酬が増えている
⇒労働者階級から搾取する取り分が増えるので正規労働者階級の賃金は低下する
⇒それを抑えるためにアンダークラスを利用する
⇒つまりアンダークラスの増加により正規労働者階級の賃金低下が抑えられている
⇒両者の利害は対立することになる
・アンダークラスの賃金には正規労働者階級のような次世代労働力を再生産するための費用は
含まれておらず子孫を残せないがフレクシ・グローバル資本主義にアンダークラスは必要
⇒他の階級の子どもたちがアンダークラスに転落する
⇒アンダークラスは子どもを産み育てられないので孫は生まれない
⇒すでに未婚化と少子化と低賃金の悪循環が始まっている
・この新しい階級社会の格差構造と人々の生活を次章で・・・
第3章 5つの階級・それぞれの生い立ちと日常 より
・両親の学歴と出身階級(略)
・父親の不在と不安定就労(略)
・両親の暴力(略)
・中学3年のときの学校での成績(略)
・被いじめ、不登校、最終学校の中退、卒業直後に職に就いた比率(略)
・キャリアと階級間の移動(略)
・所属階級と住居形態、持ち家比率(略)
・消費生活の格差と違い、窮乏経験の有無(略)
・階級別支持政党、政治参加(略)
・5つの階級の5つの世界にははっきりした特徴がある
①資本家階級は大小を問わず企業の経営者で世襲も多いが昇進や独立で得た人が多数派
⇒仕事に満足しており政治的には保守的で自民支持率が高いだけでなく政治活動にアクティブ
②新中間階級は学歴では資本家階級を上回り同じ階級の父親のもとで育ち地位を得た人が多い
⇒雇用は安定しており貧困リスクは5つの階級の中で最も小さい
⇒消費活動ではインターネットやメディアの活用に特徴がある
⇒専門職・管理職で裁量権があるはずなのに仕事の満足度は低くストレスを感じる人も多い
⇒被雇用者の中では政治的関心が高い
③正規労働者階級は販売・サービス・製造などの現場で働き資本主義社会では下層階級だが
雇用は守られており、所得水準もそれなりに高い
⇒労働は統制され仕事の満足度は少なくストレスを感じる人は5つの階級の中で最も多い
⇒ただし初職が正規労働者階級だった人の1/4は新中間階級に移動している
⇒選挙での投票には積極的とは言えない
⑤アンダークラスは現代日本の労働者の最下層階級で個人年収は正規労働者階級に較べ4割
⇒所得が低いため貧困率、未婚率が高く普通に結婚して家庭を築くことができない人が多い
⇒育った家庭、学校、就職などで障害に出会った経験を持つ人が他の階級より極めて高い
⇒もとは新中間階級や正規労働者階級で人間関係や心身の健康問題から流入した人も多い
⇒政治には極めて消極的で政治から疎外された階級といえる
⑦旧中間階級は自営あるいは家族と小さな事業を営む人々
⇒もとは経済状態も中間だったが新自由主義により政府の保護を失い経済基盤が弱体化した
⇒新型コロナ禍でさらに収入が減少し、個人・世帯とも正規労働者階級を下回った
⇒ただし仕事での裁量権が大きく、仕事への満足度は資本家階級に次いで高い
⇒さらに自分のペースで仕事ができ、ストレス比率は5つの階級の中で最も低い
⇒消費スタイルは伝統的で新中間階級の対極だが食生活上の健康志向が強い
⇒かつては自民党の強固な支持基盤だったが現在の支持率は新中間階級を下回る
⇒投票には積極的だが選挙活動参加は少なくなっている
・他の4階級と較べて異質なのがアンダークラス
⇒貧しいだけでなく多くの問題が集中している
⇒次章でアンダークラスと隣人ともいうべき失業者・無業者について詳しくみていく
第4章 哀しみのアンダークラス より
・2022年の労働力調査による失業者・無業者は280万人(アンダークラスは890万人)
⇒アンダークラスとの性別・年齢構成・配偶関係・生い立ちなどの違いと共通点(略)
⇒失業者・無業者はアンダークラス以上に孤立し健康も害している
・アンダークラスを含む労働者階級全体が政治から疎外される傾向にある
・他の4階級では75%~85%が自分の幸せを僅かでも実感しているがアンダークラスでは59%、
失業者・無業者では43%
⇒将来への不安は「やや」も含めると84%と79%
⇒これは他の階級でも6~7割前後に達しているが不安の程度が本質的に異なる
第5章 男の階級・女の階級 より
・男女間格差と階級間格差との関係(略)
⇒男性は収入の多い階級に多く女性は逆、同じ階級の中でも女性の収入は大幅に少ない
⇒フェミニズムの理論家によれば資本主義社会・家父長制社会が男女間格差の原因(略)
・各階級における男性と女性の違い(略)
・各階級と結婚による男女の変化(略)
⇒女性は結婚による幸福感を得ているが主観的なもの
⇒結婚で経済的利益を得たのは新中間階級として働き続けた場合のみ
⇒逆に男性は結婚で大きな利益を得ている
⇒「男性は女性を搾取する階級」というフェミニズム理論に合致する
第6章 人の階級はどうやって決まるか より
・世代間移動表(2015年SSM調査データ33歳~54歳男性より)
⇒資本家階級・新中間階級では父親と同じ階級になる割合が高い
⇒旧中間階級では低いが、これは産業構造の変化による階級人口の減少によるものであり、
他の階級出身者が1割未満であることから同じ階級になる割合が高いといえる
・全体として1985年以降には階級の固定化が認められる
⇒だが出身階級以外に性別や年齢や学歴も所属階級を決定する要因となっている
⇒アンダークラスには未婚が多いが女性は離別死別者が多い
⇒離別死別が女性がアンダークラスに流入する決定要因になっている
(第3章の生い立ちもアンダークラス流入の要因になっている可能性がある)
・出身階級・性別・年齢・学歴と所属階級との関係(略)
・アンダークラスになる要因(略)
(バブル崩壊後のフリーターは若年アンダークラス)
⇒非正規雇用が拡大する限りアンダークラスの巨大化は必然で個人の努力では避けられない
⇒いくつかの本人の責任にはよらない要因が人をアンダークラスに導いている
第7章 階級格差を拡大させた新型コロナ より
・最も影響を受けたのは旧中間階級、次がアンダークラス、性別による違いも大きかった
・59歳以下の感染比率
⇒最も高いのは資本家階級7.03%で二番目の正規労働者階級5.18%より2%も高く、
最も低い旧中間階級3.06%の2倍以上に達している
(資本家階級といっても大部分は中小零細企業の経営者で営業や仕入れの現場にいたから)
・旧中間階級3.06%とアンダークラス3.67%は「感染の疑い」を含めると異なってくる
⇒感染が判明するとアンダークラスは出勤できず、旧中間階級は休業を余儀なくされる
⇒どちらも収入源を断たれるので、疑いがあっても仕事を続けたのではないか
(このことが感染拡大の一因になった可能性がある)
(他の要因を考慮した分析からも同様の結果となった)
・感染拡大時に不要不急と休業を余儀なくされた飲食・宿泊・生活関連・娯楽の産業には
旧中間階級とアンダークラスの従事者が多かった
⇒アンダークラスは時給や日給で旧中間階級は営業しないと収入がない
(新中間階級では勤務日数・時間が減っても収入は殆ど変わらない)
⇒アンダークラスはますます貧困に、旧中間階級は中間階級から転落して格差が拡大した
⇒不要不急とされた産業には女性が多く、この2階級の女性が最も影響を受けた
第8章 格差をめぐる対立の構図と日本の未来 より
・所属階級と格差についての認識(略)
⇒所属階級による違いは大きいが貧困を自己責任とする人は、どの階級でも少数派だった
⇒ただし「努力すれば誰でも豊かになれる」とする人は階級により逆転する
⇒所得再分配については各階級の内部に意見の対立がある
・格差に対する態度と政党支持の関係(略)
・現代日本における政治的対立の構図と格差
⇒戦後の保守と革新の流れ
⇒50年代で日米安保と戦後憲法をめぐり、70年代で福祉・参加・平等をめぐり二極化
⇒80年代で自助努力と小さな政府を要素とする新保守主義が独立し対立軸が弱まった
⇒今日の新自由主義と関係しているが格差を直接に問題にしたものではない
・憲法、防衛、排外主義と所属階級(略)
・政治意識からみた現代日本人の5類型
(回答者43820人の中で分類できた35065人のクラスター分析)
クラスター①リベラル
⇒9256人と最も多く26.4%
⇒所得再分配を支持、憲法改正を不支持、排外主義は存在するが低い
⇒自民支持率が最も低く沖縄米軍基地に反対する戦後革新の立場
クラスター②伝統保守
⇒7352人と2番目に多く21.0%
⇒所得再分配を支持、憲法改正を支持、沖縄米軍基地を容認、排外主義の比率は高いが2番目
⇒自民支持率は高いが維新など他の政党支持も多い
クラスター③平和主義者
⇒7340人と3番目に多く20.9%
⇒所得再分配を支持する人は2番目に低いが「あまりそう思わない」が6割
⇒憲法改正や沖縄米軍基地には明確な戦後革新の立場だが所得再分配でリベラルとは異質
⇒排外主義や自民支持率は2番目に低く他の政党支持がやや高い
クラスター④無関心層
⇒6493人で18.5%
⇒回答傾向からは「よくわからない人たち」で、回答も「どちらともいえない」が多い
⇒政党支持にも明確な傾向がなく問題や主張を知らないと思われ無関心層とした
クラスター⑤新自由主義右翼
⇒4624人で13.2%と最も小さいクラスター
⇒所得再分配を明確に否定し、憲法改正や沖縄米軍基地の支持は過半数を超える
⇒排外主義が顕著で自民と維新の支持率が最も高い
⇒伝統保守と異なる所得再分配否定や顕著な排外主義から新自由主義右翼とした
・さらにいくつかの設問への回答からみたクラスター⑤新自由主義右翼の特徴
⇒自己責任論、格差容認、原発容認、戦争容認、性的多様性否定
・各クラスターの諸属性(から⑤新自由主義右翼のみ)
⇒高学歴・高収入で多くの資産を有する、主に男性
⇒自分たちの経済的利害に忠実で自己責任論を支持
⇒所得再分配に反対し憲法改正を強く支持し沖縄米軍基地への集中を容認
⇒外国人に対しては排外主義的な態度
⇒原発廃炉に反対で戦争を人間の本能として容認し性的多様性を否定する傾向が強い
⇒自民党支持率が高く支持基盤の中核に位置している
⇒国政選挙も自治体選挙も投票率が極めて高い
・所属階級別にみた5つのクラスターの構成比
⇒密接な関係があるとは言えないが多少の偏りはある
(新自由主義右翼の資本家階級に占める割合は2割に近くアンダークラスでは1割以下など)
・5つのクラスターで政治主体と言えるのはリベラル・伝統保守・新自由主義右翼ぐらい
・伝統保守は憲法改正を支持し格差拡大に反対して所得再分配を支持している
⇒自民党は所得再分配に消極的で格差拡大を放置、野党は逆だが憲法改正には反対
⇒なので不満ながら自民を支持するか無党派になるしかないクラスター
・2024年の衆院選では自民党が56議席も減らした
⇒旧安倍派の裏金問題が主要原因とされるが総裁選で右派の高市が落選し中道に近い石破が
当選したことから「岩盤保守」が自民を離れ新興の右派政党に投票したことも原因とすれば、
⇒自民党が右派的な政策を掲げることは得策ではなくなり多数派の伝統保守になるかも知れない
(実際に自民が得票を減らした分の6割を日本保守党と参政党が獲得している)
⇒そうなれば最大多数のリベラル、これに次ぐ伝統保守、少数派の新自由主義右翼という、
野党と自民党の二大勢力に右派の少数政党が絡む日本人の政治意識に対応した構図になる
・格差が大きすぎることについては概ね社会的合意がある
(自己責任論で貧困や格差を合理化する人は少数派)
⇒所得再分配については見解が分かれるが二大勢力のリベラルと伝統保守には合意がある
⇒なので広く合意を得られる方法を見つけることは可能
・事後的な所得再分配だけでなくフレクシ・グローバル資本主義そのものを制御して、
格差の構造そのものを変える対策が必要
⇒ところが「自由競争を制御して格差を縮小する」への支持(とても・やや)については、
新自由主義右翼が少ないのは当然としても無関心層も平和主義者も支持は半数に満たない
⇒しかしリベラルの6割以上が支持し、伝統保守も過半数が支持している
⇒この二大勢力で新自由主義を否定する合意を形成することは困難ではないはず
・利潤追求のため野放図な行動をしてきたグローバル企業や目先の利益のため非正規雇用を
拡大してきた大企業には制約を課して格差を縮小していく
・大資本との競争と新型コロナで疲弊した旧中間階級はある程度まで保護される必要がある
⇒主に旧中間階級が担い新型コロナ禍で敵視された「不要不急産業」は人々の生活を豊かに
するためには不可欠の産業で、
⇒自由競争で旧中間階級が衰退するなら個性的な商品やサービスは富裕層だけのものになり、
大多数の人々の生活からは多様性や潤いが失われるから
⇒さらに労働疎外から解放され自らの裁量で働ける旧中間階級への移動は多くの労働者の望みで
その意味でも旧中間階級には保護される価値がある
・格差縮小と貧困解消の合意のもとで、最大多数のリベラルを支持基盤とする野党と、
伝統保守を支持基盤とする自民党を二大勢力とする政党システムが実現すれば、
社会は大きく変わって格差は大幅に縮小する
⇒すべての人々が次世代を再生産することのできる所得を手にする
・こうして出生率は回復し、経済は安定的な成長の軌道に乗り、社会保障システムが
破綻する心配もなくなる
・憲法や外交などの重要課題についても一部の主張が過剰に代表されることはなくなり、
異なる立場が偏りなく対等に扱われて対話が展開される、健全な政治社会が実現する
・これが日本社会を現在の危機から救う最善の方法のはず
・・・
つーことで・・・
この本の発行は2025年6月ですが、2026年2月に衆院選があって高市自民が圧勝、
その直後の2026年3月に著者が時事ドットコムに書かれた記事がこちら、
今月最新のクーリエ・ジャポンによる著者へのインタビュー記事がこちらです
さてさて・・・

新しい階級社会~最新データが明かす格差拡大の果て~とゆー本であります
タイトルにもあるとおり、大規模調査結果などの様々な最新データをグラフや表にして、
それらの説明と分析から格差拡大の実態に迫り、原因や対策を探るとゆー内容・・・
著者紹介

奥付

目次



以下てきとーな読後メモですが、本書は前述のとおり最新データのグラフや表と併せ読む
前提の本なので、少しでも興味を持たれた方は本書をお読みくださいね
(著作物からのメモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
序にかえて より
・(ジニ係数の推移などの格差諸表から)
⇒1950年代の前半は日本全体が貧しかったものの(時代的に男女間の格差は大きいが)
農地改革や労働改革により格差は大幅に縮まっていた
⇒しかし1950年代後半に入ると格差は一時的に拡大する
(戦後復興が大企業と都市部で進行し中小企業と地方が取り残されたから)
⇒その後は経済成長の成果が中小企業や地方にも波及し人手不足から臨時や日雇いも企業雇用へ
⇒多くの格差指標は1975~80年頃に最低になった
⇒欧米より平等で社会主義国より豊かな、世界に誇れる「一億総中流」が日本人の常識に
(その後の格差拡大を否定しようとする人々が多いのは、この誇りを傷つけるからだろう)
⇒「一億総中流」は誇張だが、大部分に「将来は今より豊かになる」という確実な希望があり、
その人なりの「安定した普通の暮らし」があったので、格差をあまり意識しなかったのは事実
・1980年前後から急速に格差が拡大する
⇒規模別・産業別・男女別の格差は少しずつ縮小しているのにジニ係数が上昇している
⇒富裕層がさらに豊かになり低賃金・非正規労働者が激増し貧しい高齢者が増加したから
⇒この格差拡大状況が45年間も続いており、日本の社会を質的に変化させた
・生まれた環境や資産資源の所有、運と不運によっても相互を分け隔て、社会に亀裂を生み、
互いを反目させ対立するよう仕向けている
⇒本書ではこの分け隔てを「階級」と呼ぶ(階層より狭義で社会科学では階級構造など)
・階級構造はどの時代どの社会にも存在する、いわば人生の舞台装置
⇒だが1980年前後からの格差拡大は、この人生の舞台装置を変えてしまった
⇒本書ではこの新しい舞台装置を「新しい階級社会」と呼ぶ
・格差拡大とは
①階級間の格差が拡大すること⇒どの階級に属するかが人生に重大な結果をもたらすことに
②階級内部の格差が拡大すること⇒特に労働者階級の正規と非正規、男女の違い
・本書では現代の労働者階級の最下層階級を「アンダークラス」と呼ぶ
⇒現在890万人で就業人口の13.9%、平均年収は216万円、貧困率は37.2%に達する
・格差拡大によりアンダークラスを中心に貧困層が増大し社会に様々な弊害をもたらす
⇒教育の不平等、健康や医療の不平等(命の格差)、若者の貧困化による未婚化と少子化、
社会保障支出の増大、国家の財政危機・・・
⇒格差拡大により増えた富裕層の所得は貯蓄に回り、所得の大部分を消費する中下層の所得が
減れば社会全体としての消費が減少し景気は低迷する
⇒さらに貧困層に限らず社会全体で連帯感・信頼感が失われ、社会活動への参加が減少し、
社会全体の水準が低下して子どものいじめや犯罪も増加する病んだ社会へ
・新しい階級社会は協調より対立、平和より争い、幸せより不幸、喜劇より悲劇をもたらす
⇒その方が面白い、などといってる場合ではない⇒私たちの人生そのものなのだから
・私たちにはこの舞台装置を変化させることもできる
⇒しかしそのためには舞台装置の仕組みを知る必要がある
⇒どこにどのような問題があるか、それを知るために本書は書かれている
・本書(2025年刊行)は2018年に刊行された「新・日本の階級社会」の続編
⇒この7年間で就職氷河期世代が50歳代に突入し、新型コロナ・パンデミックにより、
多くの貧困層が新たに誕生した
⇒2022年に(三大都市圏?)大規模調査を実施、多くの新しい発見もあったので本書を刊行した
第1章「新しい階級社会」とは何か より
・現代日本の「新しい階級社会」の構造
(資本主義的企業の領域⇒公共部門を含む)
①資本家階級(企業の経営者・役員)250万人3.9%
②新中間階級(専門職・管理職・正規雇用の事務職)2051万人32.1%
③正規労働者階級(②以外の正規雇用労働者)1753万人27.4%
④パート主婦(有配偶の女性非正規雇用労働者)788万人12.3%
⑤アンダークラス(④以外の非正規雇用労働者)890万人13.9%
⑥59歳以下で専業主婦以外の失業者・無業者273万人
(自営業者の領域)
⑦旧中間階級(自営業者・家族従業者)658万人10.3%
・各階級の基本属性(大規模調査から)
①性別構成⇒女性比率が最も高いのはアンダークラスで56.8%
②年齢構成⇒資本家階級・旧中間階級は中高齢者が多く、新中間階級・正規労働者階級・
アンダークラスは若年者が多いと、はっきり二分されている
(アンダークラスに40代50代も多いのは就職氷河期世代がその年代になったから)
③学歴構成⇒新中間階級・資本家階級・正規労働者階級・旧中間階級・アンダークラスの順
(資本家階級が2位なのは中小零細企業経営者が必ずしも高学歴を必要としないから)
・階級間の経済格差(略)
・配偶関係
⇒アンダークラスの未婚率が大幅に高く特に男性は結婚できない
⇒新中間階級と正規労働者階級で女性の未婚率が大幅に高い
(この階級の多くの女性が結婚・出産で退職するから)
(さらにフルタイムで働き続ける女性の離別(離婚)率も高いから)
・各階級の多数を占める職種
①資本家階級は様々な職種(開業医・小売店主・町工場のベテラン職人など)
②新中間階級は専門・管理・事務
③正規労働者階級は販売・サービス保安・マニュアル職(生産現場・技能・農林漁業など)
⑤アンダークラスの女性は事務、男性はマニュアル職
・仕事の満足度、ストレス、自由度、意見反映度・・・(略)
・階級5分類で現代日本の格差の構造がわかる
⇒経済的な格差は資本家階級⇒新・旧の中間階級⇒正規労働者階級⇒アンダークラスの順
⇒経済的な格差だけでなく配偶関係、仕事の内容、満足度、自由度などにも違いがある
⇒この違いは意識にも現れアンダークラスは自分が貧困層であることを認識している
・なぜ階級構造が存在し、なぜ新しい下層階級アンダークラスが出現したのかを次章で・・・
第2章 新しい階級社会が生まれるまで より
・資本主義の誕生から今日に至るまで(略)
⇒法律上の所有権を持たなくても決定権を持つ経営者は資本家、僅かな株式を持っていても
労働力の対価が生計の中心であれば労働者
・フォーディズム段階(70年代半ばまで)からフレクシ・グローバル段階(90年代から)へ
(90年代からの新たな資本主義には様々な名前があるが本書ではこれ)
⇒特徴は資本・労働力・情報を含む生産手段がグローバル規模で流動し続けること
⇒フレクシ・グローバル化により先進国の階級構造が分極化した
⇒先進国の製造業は衰退あるいは海外へ、産業の中心は金融業、情報サービス業に
⇒職業構造は高度な技能と判断力を要する高賃金職と単純労働の低賃金職に分極化する
⇒金融・情報サービスの専門技術職が増大し彼らの仕事と生活を支える単純労働者が増加
⇒さらに格差が拡大していく
・産業構造の変化と新自由主義で雇用は不安定化する
⇒労働力のフレクシ部分を担うのがアンダークラス
⇒新自由主義は国家の保護や規制を嫌い旧中間階級も分解が進行する
・日本でも経営者の報酬が増え新中間階級にも高報酬が増えている
⇒労働者階級から搾取する取り分が増えるので正規労働者階級の賃金は低下する
⇒それを抑えるためにアンダークラスを利用する
⇒つまりアンダークラスの増加により正規労働者階級の賃金低下が抑えられている
⇒両者の利害は対立することになる
・アンダークラスの賃金には正規労働者階級のような次世代労働力を再生産するための費用は
含まれておらず子孫を残せないがフレクシ・グローバル資本主義にアンダークラスは必要
⇒他の階級の子どもたちがアンダークラスに転落する
⇒アンダークラスは子どもを産み育てられないので孫は生まれない
⇒すでに未婚化と少子化と低賃金の悪循環が始まっている
・この新しい階級社会の格差構造と人々の生活を次章で・・・
第3章 5つの階級・それぞれの生い立ちと日常 より
・両親の学歴と出身階級(略)
・父親の不在と不安定就労(略)
・両親の暴力(略)
・中学3年のときの学校での成績(略)
・被いじめ、不登校、最終学校の中退、卒業直後に職に就いた比率(略)
・キャリアと階級間の移動(略)
・所属階級と住居形態、持ち家比率(略)
・消費生活の格差と違い、窮乏経験の有無(略)
・階級別支持政党、政治参加(略)
・5つの階級の5つの世界にははっきりした特徴がある
①資本家階級は大小を問わず企業の経営者で世襲も多いが昇進や独立で得た人が多数派
⇒仕事に満足しており政治的には保守的で自民支持率が高いだけでなく政治活動にアクティブ
②新中間階級は学歴では資本家階級を上回り同じ階級の父親のもとで育ち地位を得た人が多い
⇒雇用は安定しており貧困リスクは5つの階級の中で最も小さい
⇒消費活動ではインターネットやメディアの活用に特徴がある
⇒専門職・管理職で裁量権があるはずなのに仕事の満足度は低くストレスを感じる人も多い
⇒被雇用者の中では政治的関心が高い
③正規労働者階級は販売・サービス・製造などの現場で働き資本主義社会では下層階級だが
雇用は守られており、所得水準もそれなりに高い
⇒労働は統制され仕事の満足度は少なくストレスを感じる人は5つの階級の中で最も多い
⇒ただし初職が正規労働者階級だった人の1/4は新中間階級に移動している
⇒選挙での投票には積極的とは言えない
⑤アンダークラスは現代日本の労働者の最下層階級で個人年収は正規労働者階級に較べ4割
⇒所得が低いため貧困率、未婚率が高く普通に結婚して家庭を築くことができない人が多い
⇒育った家庭、学校、就職などで障害に出会った経験を持つ人が他の階級より極めて高い
⇒もとは新中間階級や正規労働者階級で人間関係や心身の健康問題から流入した人も多い
⇒政治には極めて消極的で政治から疎外された階級といえる
⑦旧中間階級は自営あるいは家族と小さな事業を営む人々
⇒もとは経済状態も中間だったが新自由主義により政府の保護を失い経済基盤が弱体化した
⇒新型コロナ禍でさらに収入が減少し、個人・世帯とも正規労働者階級を下回った
⇒ただし仕事での裁量権が大きく、仕事への満足度は資本家階級に次いで高い
⇒さらに自分のペースで仕事ができ、ストレス比率は5つの階級の中で最も低い
⇒消費スタイルは伝統的で新中間階級の対極だが食生活上の健康志向が強い
⇒かつては自民党の強固な支持基盤だったが現在の支持率は新中間階級を下回る
⇒投票には積極的だが選挙活動参加は少なくなっている
・他の4階級と較べて異質なのがアンダークラス
⇒貧しいだけでなく多くの問題が集中している
⇒次章でアンダークラスと隣人ともいうべき失業者・無業者について詳しくみていく
第4章 哀しみのアンダークラス より
・2022年の労働力調査による失業者・無業者は280万人(アンダークラスは890万人)
⇒アンダークラスとの性別・年齢構成・配偶関係・生い立ちなどの違いと共通点(略)
⇒失業者・無業者はアンダークラス以上に孤立し健康も害している
・アンダークラスを含む労働者階級全体が政治から疎外される傾向にある
・他の4階級では75%~85%が自分の幸せを僅かでも実感しているがアンダークラスでは59%、
失業者・無業者では43%
⇒将来への不安は「やや」も含めると84%と79%
⇒これは他の階級でも6~7割前後に達しているが不安の程度が本質的に異なる
第5章 男の階級・女の階級 より
・男女間格差と階級間格差との関係(略)
⇒男性は収入の多い階級に多く女性は逆、同じ階級の中でも女性の収入は大幅に少ない
⇒フェミニズムの理論家によれば資本主義社会・家父長制社会が男女間格差の原因(略)
・各階級における男性と女性の違い(略)
・各階級と結婚による男女の変化(略)
⇒女性は結婚による幸福感を得ているが主観的なもの
⇒結婚で経済的利益を得たのは新中間階級として働き続けた場合のみ
⇒逆に男性は結婚で大きな利益を得ている
⇒「男性は女性を搾取する階級」というフェミニズム理論に合致する
第6章 人の階級はどうやって決まるか より
・世代間移動表(2015年SSM調査データ33歳~54歳男性より)
⇒資本家階級・新中間階級では父親と同じ階級になる割合が高い
⇒旧中間階級では低いが、これは産業構造の変化による階級人口の減少によるものであり、
他の階級出身者が1割未満であることから同じ階級になる割合が高いといえる
・全体として1985年以降には階級の固定化が認められる
⇒だが出身階級以外に性別や年齢や学歴も所属階級を決定する要因となっている
⇒アンダークラスには未婚が多いが女性は離別死別者が多い
⇒離別死別が女性がアンダークラスに流入する決定要因になっている
(第3章の生い立ちもアンダークラス流入の要因になっている可能性がある)
・出身階級・性別・年齢・学歴と所属階級との関係(略)
・アンダークラスになる要因(略)
(バブル崩壊後のフリーターは若年アンダークラス)
⇒非正規雇用が拡大する限りアンダークラスの巨大化は必然で個人の努力では避けられない
⇒いくつかの本人の責任にはよらない要因が人をアンダークラスに導いている
第7章 階級格差を拡大させた新型コロナ より
・最も影響を受けたのは旧中間階級、次がアンダークラス、性別による違いも大きかった
・59歳以下の感染比率
⇒最も高いのは資本家階級7.03%で二番目の正規労働者階級5.18%より2%も高く、
最も低い旧中間階級3.06%の2倍以上に達している
(資本家階級といっても大部分は中小零細企業の経営者で営業や仕入れの現場にいたから)
・旧中間階級3.06%とアンダークラス3.67%は「感染の疑い」を含めると異なってくる
⇒感染が判明するとアンダークラスは出勤できず、旧中間階級は休業を余儀なくされる
⇒どちらも収入源を断たれるので、疑いがあっても仕事を続けたのではないか
(このことが感染拡大の一因になった可能性がある)
(他の要因を考慮した分析からも同様の結果となった)
・感染拡大時に不要不急と休業を余儀なくされた飲食・宿泊・生活関連・娯楽の産業には
旧中間階級とアンダークラスの従事者が多かった
⇒アンダークラスは時給や日給で旧中間階級は営業しないと収入がない
(新中間階級では勤務日数・時間が減っても収入は殆ど変わらない)
⇒アンダークラスはますます貧困に、旧中間階級は中間階級から転落して格差が拡大した
⇒不要不急とされた産業には女性が多く、この2階級の女性が最も影響を受けた
第8章 格差をめぐる対立の構図と日本の未来 より
・所属階級と格差についての認識(略)
⇒所属階級による違いは大きいが貧困を自己責任とする人は、どの階級でも少数派だった
⇒ただし「努力すれば誰でも豊かになれる」とする人は階級により逆転する
⇒所得再分配については各階級の内部に意見の対立がある
・格差に対する態度と政党支持の関係(略)
・現代日本における政治的対立の構図と格差
⇒戦後の保守と革新の流れ
⇒50年代で日米安保と戦後憲法をめぐり、70年代で福祉・参加・平等をめぐり二極化
⇒80年代で自助努力と小さな政府を要素とする新保守主義が独立し対立軸が弱まった
⇒今日の新自由主義と関係しているが格差を直接に問題にしたものではない
・憲法、防衛、排外主義と所属階級(略)
・政治意識からみた現代日本人の5類型
(回答者43820人の中で分類できた35065人のクラスター分析)
クラスター①リベラル
⇒9256人と最も多く26.4%
⇒所得再分配を支持、憲法改正を不支持、排外主義は存在するが低い
⇒自民支持率が最も低く沖縄米軍基地に反対する戦後革新の立場
クラスター②伝統保守
⇒7352人と2番目に多く21.0%
⇒所得再分配を支持、憲法改正を支持、沖縄米軍基地を容認、排外主義の比率は高いが2番目
⇒自民支持率は高いが維新など他の政党支持も多い
クラスター③平和主義者
⇒7340人と3番目に多く20.9%
⇒所得再分配を支持する人は2番目に低いが「あまりそう思わない」が6割
⇒憲法改正や沖縄米軍基地には明確な戦後革新の立場だが所得再分配でリベラルとは異質
⇒排外主義や自民支持率は2番目に低く他の政党支持がやや高い
クラスター④無関心層
⇒6493人で18.5%
⇒回答傾向からは「よくわからない人たち」で、回答も「どちらともいえない」が多い
⇒政党支持にも明確な傾向がなく問題や主張を知らないと思われ無関心層とした
クラスター⑤新自由主義右翼
⇒4624人で13.2%と最も小さいクラスター
⇒所得再分配を明確に否定し、憲法改正や沖縄米軍基地の支持は過半数を超える
⇒排外主義が顕著で自民と維新の支持率が最も高い
⇒伝統保守と異なる所得再分配否定や顕著な排外主義から新自由主義右翼とした
・さらにいくつかの設問への回答からみたクラスター⑤新自由主義右翼の特徴
⇒自己責任論、格差容認、原発容認、戦争容認、性的多様性否定
・各クラスターの諸属性(から⑤新自由主義右翼のみ)
⇒高学歴・高収入で多くの資産を有する、主に男性
⇒自分たちの経済的利害に忠実で自己責任論を支持
⇒所得再分配に反対し憲法改正を強く支持し沖縄米軍基地への集中を容認
⇒外国人に対しては排外主義的な態度
⇒原発廃炉に反対で戦争を人間の本能として容認し性的多様性を否定する傾向が強い
⇒自民党支持率が高く支持基盤の中核に位置している
⇒国政選挙も自治体選挙も投票率が極めて高い
・所属階級別にみた5つのクラスターの構成比
⇒密接な関係があるとは言えないが多少の偏りはある
(新自由主義右翼の資本家階級に占める割合は2割に近くアンダークラスでは1割以下など)
・5つのクラスターで政治主体と言えるのはリベラル・伝統保守・新自由主義右翼ぐらい
・伝統保守は憲法改正を支持し格差拡大に反対して所得再分配を支持している
⇒自民党は所得再分配に消極的で格差拡大を放置、野党は逆だが憲法改正には反対
⇒なので不満ながら自民を支持するか無党派になるしかないクラスター
・2024年の衆院選では自民党が56議席も減らした
⇒旧安倍派の裏金問題が主要原因とされるが総裁選で右派の高市が落選し中道に近い石破が
当選したことから「岩盤保守」が自民を離れ新興の右派政党に投票したことも原因とすれば、
⇒自民党が右派的な政策を掲げることは得策ではなくなり多数派の伝統保守になるかも知れない
(実際に自民が得票を減らした分の6割を日本保守党と参政党が獲得している)
⇒そうなれば最大多数のリベラル、これに次ぐ伝統保守、少数派の新自由主義右翼という、
野党と自民党の二大勢力に右派の少数政党が絡む日本人の政治意識に対応した構図になる
・格差が大きすぎることについては概ね社会的合意がある
(自己責任論で貧困や格差を合理化する人は少数派)
⇒所得再分配については見解が分かれるが二大勢力のリベラルと伝統保守には合意がある
⇒なので広く合意を得られる方法を見つけることは可能
・事後的な所得再分配だけでなくフレクシ・グローバル資本主義そのものを制御して、
格差の構造そのものを変える対策が必要
⇒ところが「自由競争を制御して格差を縮小する」への支持(とても・やや)については、
新自由主義右翼が少ないのは当然としても無関心層も平和主義者も支持は半数に満たない
⇒しかしリベラルの6割以上が支持し、伝統保守も過半数が支持している
⇒この二大勢力で新自由主義を否定する合意を形成することは困難ではないはず
・利潤追求のため野放図な行動をしてきたグローバル企業や目先の利益のため非正規雇用を
拡大してきた大企業には制約を課して格差を縮小していく
・大資本との競争と新型コロナで疲弊した旧中間階級はある程度まで保護される必要がある
⇒主に旧中間階級が担い新型コロナ禍で敵視された「不要不急産業」は人々の生活を豊かに
するためには不可欠の産業で、
⇒自由競争で旧中間階級が衰退するなら個性的な商品やサービスは富裕層だけのものになり、
大多数の人々の生活からは多様性や潤いが失われるから
⇒さらに労働疎外から解放され自らの裁量で働ける旧中間階級への移動は多くの労働者の望みで
その意味でも旧中間階級には保護される価値がある
・格差縮小と貧困解消の合意のもとで、最大多数のリベラルを支持基盤とする野党と、
伝統保守を支持基盤とする自民党を二大勢力とする政党システムが実現すれば、
社会は大きく変わって格差は大幅に縮小する
⇒すべての人々が次世代を再生産することのできる所得を手にする
・こうして出生率は回復し、経済は安定的な成長の軌道に乗り、社会保障システムが
破綻する心配もなくなる
・憲法や外交などの重要課題についても一部の主張が過剰に代表されることはなくなり、
異なる立場が偏りなく対等に扱われて対話が展開される、健全な政治社会が実現する
・これが日本社会を現在の危機から救う最善の方法のはず
・・・
つーことで・・・
この本の発行は2025年6月ですが、2026年2月に衆院選があって高市自民が圧勝、
その直後の2026年3月に著者が時事ドットコムに書かれた記事がこちら、
今月最新のクーリエ・ジャポンによる著者へのインタビュー記事がこちらです
さてさて・・・
