ミリタリーグッズ

2025年12月07日

暗殺者の矜持

ええ、


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PB149211

暗殺者の矜持・上下巻であります



上巻の奥付

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上巻の惹句

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下巻の惹句

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そう、暗殺者グレイマン・シリーズ13作目にして、まさに衝撃の新展開でした

前作のラストでわたくしは・・・
(二人はロシアSVRとアメリカCIAに追われながらも)
いつまでも仲良く幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし・・・
と、シリーズが終わったものと思ってたので、新作が出てたことも知らなかった次第
(さらに同著者の新しいアーマード・シリーズも2作目が出てることだし・・・)


つーことで、今回は惹句にある「衝撃の新展開」について
(以下は一部ネタバレにもなるので未読で初心で読みたい方はパスして下さいね)


そう、本作ではじめて自律型致死兵器システムLAWSが本格的に登場するのでありますね

こちらの記事でも紹介しましたが、現実は映画ターミネーターの世界に急接近してきており、
訳者あとがきにも、
「OODAループ(観測⇒方向付与⇒決定⇒行動⇒観測・・・)に人間が一切関与しないのが
自律型致死兵器システムで、自律型攻撃ドローンなどは実際の戦場で使用されてるとも」
「AIが人間の知能を超えるシンギュラリティの段階に達した場合、スイッチを切る能力がある
人間を敵と見なすかも知れないと、今年(2024)のノーベル物理学賞受賞者も警告している」
とかありました

で、特に物語の後半からグレイマンがこれらにどう対処していくのかが読みどころのひとつ
になってて、謎のボスキャラも含め、まさに新展開でした

これまでも鉄壁の守りを固めた敵の本拠地にどう侵入するか、あるいは絶体絶命の危機から
どう脱出するか、その際に使用する武器などの詳しい描写がたまらない魅力だったのですが、
本作でも自律型兵器には拳銃弾のサブマシンガンや高速だが軽い5.56mm弾のライフルではなく、
低速だけど重い7.62mm弾のライフルや機関銃を選択する、大量の弾薬を携行するなど、
なるほどと納得させる描写がたまりませんでした

12月17日には次作『暗殺者の奪還 上下』が発売されるようだし、アーマード・シリーズ
あわせて今後の展開が楽しみです



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2025年09月07日

大本営発表

とーとつですが・・・

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9年前に出版された「大本営発表」であります

9年前の2016年といえば、2012年から2020年まで続く第二次安倍内閣の絶頂期であり、
そのメディア対策とメディア側の忖度や自己規制への警鐘として書かれた本でしょう

ちなみに先ほど石破首相辞任表明の発表記者会見があり、メディアはこの話題で溢れてますが、
わたくしはこれと大本営発表を重ねたわけではなく、戦後80年になる8月15日の前後に
放送されていた様々な特集番組を視聴していて、番組内容とは異なる戦場の実写映像が
多く流されてたのが気になって、本書を借りてみた次第です



裏表紙カバーにあった惹句

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著者によれば
1941年12月8日の真珠湾攻撃から敗戦までの大本営発表は合計847回、ただし
昭和の大本営は1937年の日中戦争から設置されており、当初から大本営発表はあったけど、
それが質量ともに大きく変わったのは
太平洋戦争に突入してからであり、この変遷の歴史を知り
共有することで、
政治と報道が一体化する悲劇的な事態を防ぐのが本書の目指すところ・・・
とありました(はじめに・第1章より)


表表紙カバー裏にあった著者紹介

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著者の作品ではこちらの本も紹介してますが、右翼とか左翼とかイデオロギーとかとは
距離を置いた近代日本の見方には共感するところがあります



奥付

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目次


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847回の大本営発表を詳細に分析、それに関する歴史事実や関係者の証言、関係資料も
丹念に調べられた結果ですが、以下は例によって思いつくままのてきとーメモ・・・

特に第3章から第6章の大本営発表は殆ど省略してますので、発表項目は目次からご推測を、
それで興味を持たれた方は本書を熟読願います
(著作物からのメモなので公開に問題があれば非公開設定にします)


はじめにより

・大本営発表によれば日本軍は連合軍の戦艦43隻、空母84隻を沈めたことになる
⇒事実は戦艦4隻、空母11隻で、戦艦は10.75倍、空母は7.6倍に水増しされている
⇒逆に喪失は戦艦8隻が4隻に、空母19隻が4隻に圧縮されている
⇒他の艦船や飛行機、地上兵力の数字も同じ

・デタラメ発表では、やがて辻褄が合わなくなることぐらい当時最高のエリート集団だった
大本営なら容易に想像できたはず・・・
(事実、末期には軍官僚の作文と化し国民の信頼を失っていた)
⇒日本軍の組織的な欠陥(組織対立や情報の軽視など)や戦局の急激な悪化もあったが、
⇒軍部と(大正デモクラシーや軍縮ムードで軍部に批判的だった)報道機関との一体化が、
この問題を何倍にも膨れ上がらせた
⇒ジャーナリズムのチェック機能が失われたからこそ縦横無尽にデタラメ発表ができた

・大本営発表の悪夢の再来が福島第一原発の事故だった
⇒あてにならない当局の発表、電力会社による広告費を使ったマスコミ懐柔・・・
⇒戦前のような言論統制もないのに、原発の「安全神話」が日本社会を覆っていた
⇒日本メディア史の最暗部である大本営発表の悲劇的な歴史を知り共有することで、
政治と報道が一体化するという事態を防ぐのが本書の目指すところ


第1章(1937年11月~1941年12月)より

・1941年12月8日からの大本営発表は846回とされている(著者の集計では847回)

・大本営は戦時にのみ設置される天皇に直属する軍の最高司令部
昭和の大本営は1937年の日中戦争から1945年の敗戦まで設置された
(明治の大本営は首相も参加した戦争指導の中心機関だったが、昭和の大本営は天皇臨席の
形式的な会議を開くだけで、実態
は陸海軍の寄り合い所帯だった)

・陸軍参謀本部が大本営陸軍部、海軍軍令部が大本営海軍部を構成し個別に戦争指導した
(どちらも陸軍省・海軍省とは独立しており、これら4者が対立していた)
⇒なので昭和の大本営は陸海軍を統合運用する機能は持たなかった

・大本営発表の実務を担った報道部も同じで個別に発表を行っていた
⇒当初熱心に宣伝報道に取り組んだのは陸軍報道部(母体は陸軍省新聞班)
⇒兵力を徴兵に依存する陸軍は世論に敏感で記者協力(癒着)や世論操作の実績があった
⇒サイレントネービーの海軍は報道宣伝部門をチンドン屋と称し人事面でも軽視していた

・大本営発表は作戦報道に関する最高権威の位置にあった
⇒前線部隊からの報告のうち定例幹部会議で公開可と判定された報告に、さらに作戦部はじめ
様々な部署の了解を経て作成された発表文が、記者クラブに配られて説明される

・批判記事で出入り禁止にされないよう記事が軍部寄りになる危険性はあったが、
⇒日中戦争の頃は虚偽発表をする必要もなかったので比較的正確な発表だった
(非戦闘員の殺傷は発表されず敵損害の過剰見積もり傾向もあったが虚偽ではなかった)
⇒むしろ南京攻略では新聞の暴走記事により国民が熱狂、政府・軍部がその対応に迫られた

・新聞暴走の背景
⇒各社の熾烈な部数拡大競争
⇒国民が注視する日中戦争で真っ先にスクープすれば部数が伸びる
⇒ラジオに対抗するため手間のかかる写真付き号外も乱発した
⇒競争に勝ち抜くには軍部との協力が不可欠
⇒大本営発表や軍部の行動を検証する報道本来の役割が置き去りに
⇒従軍記が売れるので新聞社も記者も作家も軍との関係を大事にして軍が威張る悪循環に

・その後の広東・武漢攻略では暴走記事はなくなっていた
⇒大本営報道部と新聞が持ちつ持たれつの関係になっていたから
⇒攻略後も戦争は終わらず大本営発表は日米開戦まで下火になり、ノモンハン事件などは当初
関東軍報道部発表で停戦協定時点でようやく大本営陸軍部発表、地味な扱いに終始していた
⇒この間に新聞用紙統制・新聞記者統制・海軍報道部の躍進(略)


第2章
(1941年12月~1942年4月)より

・大本営発表は12月8日だけで10回、12月全体では90回にも及んだ
(連戦連勝を隠す必要はなく情報量とスピード感は開戦前の比ではなかったので、これ以降に、
大本営発表がはじまったと、記憶を上書きされている人も多い)
⇒戦争報道は新聞からラジオへと一変した
⇒12月11日からは大きな戦勝ニュースの前後に陸軍の戦果なら陸軍分列行進曲、海軍の戦果なら
軍艦行進曲、合同戦果の場合は敵は幾万が放送されることになった

・真珠湾攻撃の戦果(略)
⇒不鮮明な写真や物証のない証言などで判定せざるを得ない中、比較的正確な発表をしており、
その後の情報により、何度も修正発表している(下方修正発表もあった)

・マレー沖海戦の発表文
(略)
⇒起草したのは吉川英治に師事しアドバイスを受けていた田中格中佐
⇒長文の物語調で「ラジオで聴く大本営発表」時代を象徴する事例
⇒日本放送協会の丸山鉄雄(丸山眞男の兄)は、さっそく作詞家の高橋掬太郎、作曲家の古関裕而、
歌手の藤山一郎に連絡し、僅か3時間後にニュース歌謡「英国東洋艦隊壊滅」を放送した

・香港攻略戦の
発表文(略)
⇒それまで簡素な文章だった陸軍報道部は海軍に対抗し修飾語を乱用するようになった
⇒12月8日の発表文は「香港の攻撃を開始」だけだったが13日の発表文では香港要塞に対する
修飾語が明らかに過剰に、19日の香港島上陸ではさらに過剰修飾され意味不明の言葉も
⇒陸軍報道部員たちは海軍の華々しい発表に対抗するため涙ぐましい努力をしていた
(略)

・開戦1ヶ月後の107回目の発表から「大本営発表」に統一されたが、組織は別々のままで、
発表文を読めば陸軍か海軍か分かり、その後も対抗が絶えることはなかった
(海軍落下傘部隊のセレベス島メナド攻略と陸軍落下傘部隊のスマトラ島パレンバン攻略など)

・特殊潜航艇による「特別攻撃隊」作戦行動発表の虚偽と捕虜隠蔽
(略)
⇒これが後の「神風特別攻撃隊」の大きな悲劇の一因となる(略)

・開戦から翌年4月までの大本営発表は280回で月平均56回
⇒多少の間違いや判断ミスはあったが、この間の内容はおおむね正確だった
⇒連戦連勝で虚偽発表する必要もなく「信頼性の高い大本営発表」のイメージができた
⇒戦局の悪化とともに、このイメージが報道部のデタラメ発表を後押しすることになる


第3章
(1942年5月~1943年1月)より

・この間に作戦が挫折し「でたらめ」と「ねつぞう」に転落していく過程
(略)
⇒目次参照


第4章(1943年2月~1943年12月)より

・この間の総数は168回で月平均15回強
⇒ミッドウェー海戦後に激減していた時期から明らかに増加している
⇒米軍の本格的な反攻が各地ではじまったが撤退を転進といえば予定どおりの作戦となり、
全滅を玉砕といえば士気高揚に活用できるので米軍反攻情報を出しやすくなったから
⇒戦局の悪化を受け戦果発表より戦局説明を逐次発表したから
⇒この後さらに現実離れしたものへ変化していく
⇒目次参照


第5章(1944年1月~1944年10月)より

・陸海軍のさらなる衝突、官僚の作文化、神風特別攻撃隊出撃による発表増・・・
⇒1944年10月6日には「報道発表は事実を」と閣議決定するほどデタラメぶりが公然の秘密と
なっていたが、陸海軍からは完全に無視され、国民も発表を信用しなくなっていた
⇒目次参照


第6章(1944年11月~1945年8月)より

・米軍が主要都市への無差別絨毯爆撃に踏み切ると「損害は軽微」の誤魔化しが利かなくなり、
⇒「相当の被害」までは使うようになったが、被害の程度に言及することを放棄した
⇒さらに「戦果及被害に関しては調査中」として永遠に調査結果を公表しない姑息な手段も

・沖縄戦では「玉砕」を使わず「最後の攻撃」や「最後の斬り込み」で全滅を示唆している
(大本営発表に文官名(沖縄県知事)が出たのは最初で最後、それほど島民の犠牲が多かった)

・広島への投下が原子爆弾であることは知っていたが戦意を失わせると新型爆弾に言い換えた
(大本営発表を読みなれた記者たちは「新型爆弾」による「相当な被害」で重大さに気づいた)
⇒長崎投下について大本営は沈黙を守った(西部軍管区司令部の「
損害は軽微」の発表のみ)

8月14日深夜から翌15日未明にかけて起こった玉音放送レコード奪取未遂事件の2日前、
クーデター派による大本営発表の捏造原稿が記者たちに見破られ「全面的作戦を開始せり」
の部分が削除された
(8月15日の玉音放送時には開戦時とは異なり大本営報道部は蚊帳の外だった)
⇒目次参照


第7章(政治と報道の一体化がもたらした悲劇)より

・第一期はほぼ正確な発表だったが第二期で誤魔化しや戦果誤認、第三期で破綻が決定的に、
第四期で戦果の誇張と損害の隠蔽が増大、最期では本土空襲の事実が過剰表現を抑制した

・空母と戦艦の喪失数比較表⇒「はじめにより」を参照

・大本営発表の破綻の内的原因
①組織間の不和対立
⇒陸軍と海軍、陸軍参謀本部と陸軍省、海軍軍令部と海軍省、作戦部と情報部、報道部・・・
②情報の軽視
⇒対中国や対ソ連は一定の実績もあったが対米国情報の欠落が深刻だった
⇒航空戦の戦果確認はパイロット証言だが熟練パイロットが消耗すると精度は著しく低下、
それを疑わないほうが都合がいいので戦果が膨れ上がった
⇒戦果誇張の主因こそ情報の軽視

・大本営発表の破綻の外的原因
③戦局の悪化
⇒勝てば発表も揉めず、生還者も多いので比較的正確な情報も得られるが・・・
④軍部と報道機関の一体化
⇒報道機関が大本営報道部の下請けになりチェック機能を手放した
⇒第1章参照

・重要なのは報道機関の独立性
⇒2011年の原発事故で電力会社の広告費で安全神話を流してきた報道機関は、経済産業省、
原子力安全保安院、東京電力と並んで「大本営発表」の発信源だと批判されている
⇒2012年からの安倍政権の政治権力介入の動き
(略)

・報道は政治との癒着のみが批判されるべきで政治との対決は批判されるべきではない
⇒これが
政権交代があっても変わらない現代社会の大原則

・政治と報道の一体化の悲劇を教えてくれるのが大本営発表の歴史
⇒愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ・・・


おわりにより

・これを書いている2016年4月に熊本地震が発生した
⇒NHKの籾井会長は「地震に関連する原発報道は公式発表をベースに伝える」と発言した
⇒「ベースにする」だけで問題はないという意見もあったが戦時下にも独自記事はあった
⇒それが公式発表をベースにすると、それを側面支援する形での記事になった
⇒大本営報道部もそれに胡坐をかいてデタラメ記事をばら撒きはじめた

・安倍政権が成功したメディア対策は
国内外で批判される一方、世論は批判的ではなく、
ネット上にはデタラメ報道を繰り返すマスコミには政治が介入して改善すべきとの極論もある
⇒安倍政権の強硬姿勢は、このような世論に支えられているといってもよい
⇒しかしメディアの独立性は特定企業の既得権などではなく社会の共有財産
⇒政治権力の監視というメディアの公共性を破壊することは論外
⇒ただ、こうした理屈だけではマスコミ批判に太刀打ちできないのも事実

・成功した安倍政権のメディア対策の手法は政権が変わっても応用可能で継承される
⇒いつの時代にも、どの政権にも応用できる、メディアとの正しい付き合い方を養わねばならない
⇒政治とメディアの問題について大本営発表は反面教師として役立つはず・・・

・・・

以前も書きましたが、今回も
情報の氾濫の中から誤情報や偽情報を取り除くことの重要性を
再認識しました

メディアの独立性は特定企業の既得権などではなく社会の共有財産という原則は重要ですが
半世紀前にテレビや新聞など何らかのオーソリティを経由した情報が氾濫しだしたのが、
今やオーソリティとは何の関係もない情報が全く同列でネット上に氾濫しており、本書が
出版された9年前より、さらにその傾向は顕著になっています

もちろんマスメディアにも誤情報や意図的な誘導や隠蔽はあるでしょうが、それでも公開には
一定のファクトチェック手続きを経ているはずで、これが他のSNS情報などとの大きな違いですね
もちろん政府や自治体の公式発表にも意図的な誘導や隠蔽はあるでしょうが、例えば末期の
大本営発表でも、広島が「新型爆弾」で爆撃され「相当な被害」という事実はあるわけで、
これはSNSなどネット上に氾濫する流言飛語とはまったく異なる事実情報です

政府や自治体の公式発表と(それらから独立してファクトチェックされた)マスメディアからの
情報を比較検討することを基本に、それ以外の情報はあくまでメタ情報の部分として
全体から方向を掴む程度で利用する、という前提を常に意識しておこうと思っています


それにしても・・・
番組で解説している内容と、その際に流される戦場実写映像の時期や場所とが、まったく
異なってる場合、せめて(まともなマスメディアなら)「イメージ画像です」ぐらい・・・



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2025年07月16日

塞王の楯

前回記事の続き、つーか引き続き時代小説のご紹介・・・


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知人がわたくし向きでは?と薦めてくれた「塞王の楯」
であります



奥付

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著者紹介

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この後、
本作品で2022年に第166回の直木賞を受賞されたんですね・・・・



で、お話は・・・

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この登場人物表にあるとおり・・・
信長⇒秀吉⇒家康と天下統一に動く戦乱時代を生きた、石積み穴太衆のトップとなる
主人公と、
鉄砲の国友衆のトップとなるライバルとの攻城戦・籠城戦を軸に描かれています

日本中の城が絶対に破れない城になれば、誰も攻めなくなり天下泰平の世になるはず、
と信じて活躍する
穴太衆の主人公・・・

逆に日本中に誰もが扱える安価で高性能な鉄砲が普及すれば、反撃を恐れ戦わなくなるので
(あるいは特定の大名がこれを独占すれば誰も抵抗できなくなるので)天下泰平の世になる、
と信じて活躍する
国友衆のライバル・・・

そう、この「矛盾」の盾側の主人公がタイトルになってて、二人の心の葛藤も描かれますが、
当時の石積み職人集団の暮らしなどがじつに活き活きと描かれてました

以下、思いつくままの読後メモです
・全ての大名が絶対に破れない城を持てば戦はなくなる、でもそれは可能なのか・・・
⇒これは主人公の自問自答ですが、レーガンのスターウォーズ計画を完璧にして各国が同時に
実現するようなもので、いまだに不可能なままですね

・誰もが使える鉄砲を誰もが持てば誰もが使えなくなる・・・
⇒こちらはライバルの思いですが、銃で反撃されるから銃を使わないとの論理は戦国時代や
西部開拓時代にはありかもですが、国家が暴力を権力で支配できる社会で
誰もが銃を持てば、
現代のアメリカ銃社会になりますね
護身銃の効用も少しはあるのでしょうが、国家権力が所持を厳しく規制している国に較べて、
犯罪に銃が使われる件数がはるかに多く銃による自殺や事故の件数も多いですね

・特定の大名だけが高性能な鉄砲を独占すれば天下泰平に・・・
⇒これも
ライバルの思いですが冷戦時代の核兵器と同じ、核を持つ国が大国だけであれば
他国は従うしかない、嫌なら何とか自国で核開発するか持っている大国の傘下に入るしかない、
というものですが、徳川幕府も各藩の武力を削ぐ努力はしたけど最期まで実現しませんでしたね

さらに、わたくしが知らなかった当時の石積み技法や鉄砲の工夫についてもメモ

・これまで
穴太衆などの石積みといえば①野面積み⇒②打ち込み接⇒③切り込み接と進化した、
と思ってたのですが、用途や必要強度などに応じて昔から使い分けてたみたいですね

穴太衆の中にも〇〇屋といわれる複数の集団があり、さらに石を積む積方、石を運ぶ荷方、
石を切り出す山方に分かれた分業制で、トップ集団のトップの積方が「塞王」・・・

・城の縄張りも含む請負制なので秘密を守ることが最重要になるため、一切を書類には残さず、
使う技法なども全て口伝のみだった

・戦のない期間が続くと城の仕事は減り、極秘だった縄張りもやがて世間に広まるとか、
さらに領地替えにより以前の大名や家来などは城の縄張りを知っているとか・・・
(徳川幕府は全ての大名に城の縄張り図を提出させ建て替えや改修を禁止してますね)

・飛び道具は礫(つぶて)⇒弓(弩)⇒銃と進化したが、違いは威力や飛距離だけではない
⇒礫(つぶて)は個人の力と技により段違いの差が出るが、特に力による個人差が大きい
⇒弓は子供用でも殺傷能力があるぐらい力の差は縮まったが、技による個人差が大きくなった
⇒銃は個人の力と技にほぼ関係なく初心者でも扱え、
威力や飛距離に個人差はない・・・

・主人公のライバル国友衆の頭が密かに開発したホイールロック銃や3mの大筒
(実際にはこの時代の国産品は存在しないとされてますが、当時の鉄砲鍛冶の技術で苦労して
西洋銃の模倣や模倣できない部分を発明する様子がじつにリアルでした)


ストーリー展開や登場人物が史実とリンクしていてわかりやすく、活躍舞台となる琵琶湖周辺は
どこも馴染みがあって身近、わたくしの好きな気持ちのいいエンディングだったし・・・
ともかく戦国時代の矛と楯の戦いが興味津々でした

(本書にも解説がありましたが鉄砲の生産地についての追記メモです)
鉄砲伝来以降、日本では近江国坂田郡の国友と蒲生郡の日野、紀伊国那賀郡の根来、
摂津国住吉郡の堺などが鉄砲の主要生産地として栄え、多くの鉄砲鍛冶が軒を連ねた。
根来のみ織田信長・豊臣秀吉による紀州攻めの影響で桃山期以降衰退したが、国友・日野・堺は
その後も鉄砲の生産地として栄え、高い技術力を誇った。
また城下町において、鉄砲足軽や鉄砲鍛冶が集中して居住した場所は「鉄砲町」と呼ばれ、
現代でも地名に残っている。(以上ウィキペディアより部分抜粋)

NHK英雄たちの選択・シリーズ島の歴史旅「種子島~戦国を変えたイノベーション~」でも
鉄砲の国産化や改良、主要生産地などについて紹介されてましたね・・・






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2025年07月10日

うつけ者・・・

とーとつですが・・うつけ者であります



表表紙カバー

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うつけ者~俄坊主泡海~1大坂炎上編と2江戸破壊編の上下巻・・・



裏表紙カバー

P6159049




表表紙カバー裏にあった惹句1

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2

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1の奥付

P6159051


2の奥付

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そう、2年前の新刊であります



1の登場人物

P6159063



2の登場人物

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わたくし東郷隆作品とは「戦場は僕らのオモチャ箱」以来のお付き合いになります
恐ろしく博学でジャンルも広く、特に「定吉七番」シリーズの大ファンだったのですが、
歴史小説なら村田銃を開発した村田経芳の生涯を描いた「狙うて候」が面白かったです

生まれも育ちも関東なのに関西弁や鹿児島弁のセリフがじつに自然でどちらも圧倒されました

大学で博物館学の研究員をしながらカンプ・グルッペ・ジーペンでの模型製作や評論執筆、
コンバットマガジン編集部から「ヘルガ」シリーズなどを経て定吉七番シリーズから歴史小説へ・・・

まさに多芸多才を絵に描いたような作家ですね

本作のお話は上下巻の惹句にあるとおりですが、史実としての大塩平八郎の乱は1837年、
前年からの天保大飢饉への町奉行や豪商の態度に天誅を加え、幕府を諫めるというもので、
30年後の討幕の動きとは考えがまったく異なると本書にもありました

悪漢退治に動くアウトローになった主人公・・・つーのは典型的な西部劇と同じですが、
例によって当時最新の武器武具の説明や使い方、武芸や幻術などの解説がじつにリアルで、
歴史活劇小説としてのストーリー展開も手慣れてて楽しめました



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2025年06月10日

深夜プラス1

昨日、フレデリック・フォーサイスが86歳で亡くなりましたが・・・

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ギャビン・ライアルの「深夜プラス1」とゆー小説のご紹介であります

Bullittさんからwingさん経由でいただいた本で大切にカバーされてます


裏表紙にあった惹句

P5068760



奥付

P5068761

昭和51年(1976年)初版の文庫本で、いただいたのは第12刷なので当時のベストセラーですね
単行本の初版は昭和41年(1967年)で、原作の出版は1965年・・・

そう、1964年に亡くなったイアン・フレミングの007シリーズ最終作と同年に出版され、
1971年にはフレデリック・フォーサイスの「ジャッカルの日」が出版されて1973年に映画化、
どれも
世界的なベストセラーになってますが、この作品の映画化権については早々に
スティーブ・マックィーンが買い取って、死の間際まで
映画化を望んでいたとか・・・

さらに1967年の鈴木清順監督作品「殺しの烙印」でも本作を参考にされてたそうですが、
結局、
この作品そのものの映画化はなかったようです
もしマックィーンが映画化していたら007やジャッカル同様の名作になってたかもです

まさに「元祖」作品のひとつだったんですね・・・

(Bullittさんによると今は新訳も出ているそうです)

冒険アクション小説も昔から大好きなわたくしですが、この作品は未読でした

以前紹介したマーク・グリーニーの「アーマード生還不能」の元祖つーか、映画でいえば
いわゆるロードムービー、旅の途中で次々と困難(敵の攻撃)が襲いかかるハードボイルドな
アクションもので、さらに
登場人物の殆どが殺し屋で一晩だけの旅のオハナシ、とゆー点では、
けっこうカルトな映画
ブレット・トレイン
の元祖とも言えるのでしょうか・・・

ハラハラドキドキで予想外の展開は今でも充分新鮮で、ハンドガンやクルマの選択について
理由がきちんと描かれてるのも嬉しい限りでした




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