わからないもの
2025年07月22日
技術革新と不平等の1000年史(上巻第1章まで)
とーとつですが・・・

技術革新と不平等の1000年史であります
今回の参議院選挙でもSNSには様々な情報が溢れたようでマスメディアはフェイク情報への
注意喚起やファクトチェックの重要性を何度も呼びかけていましたね
最近ではSNSでしか情報の受信をせず、本を読む習慣がないので各党の綱領や歴史書はもちろん、
高校の教科書でさえ文脈を理解できない人たちが増えているとも聞きました
そんな人たちをターゲットにSNSなどで刺激的な誤情報を拡散して過激思想を増幅するような
身勝手な発信がますます溢れているのではないかと不安になっています
本書はデジタル・テクノロジー特にAIの今の方向性を変えないと民主主義が崩壊することを、
過去の歴史における技術革新と不平等の関係から解き明かそうとする本であります
表紙カバー裏にあった惹句

裏表紙カバー裏にあった著者・訳者紹介

(追記です)
著者のダロン・アセモグルとサイモン・ジョンソンは2024年にノーベル経済学賞を受賞されてます
奥付

目次


とりあえず上巻のプロローグから第1章まで、しかもその一部だけのメモです
(暑さと飲酒で遅読になり図書館への返却期限が迫っているため
)
ただしメモの後半ぐらい「次章以降の予定」を読めば第2章以降の概要が推測できますので、
以下のメモで興味を持たれた方は本書をご熟読下さいね
(著作物の個人メモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
プロローグ~進歩とは何か~よりメモ
・ジェレミー・ベンサムの監視できる監獄⇒ミシェル・フーコーの産業社会の監視⇒ジョージ・
オーウェルの1984年⇒マーベル映画ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーへ・・・
・18世紀後半にイギリス全土に広まった工場というシステム
⇒多くの雇用主がベンサムの考えに従い労働を組織化し厳しく監視監督した
⇒新設の機械は労働者を単なる歯車に変え安い賃金と過酷な労働に
・アダム・スミス
「機械が進歩すれば労働量は大きく減少するが社会が繁栄するので賃金は大幅に上昇する」
⇒こうしたテクノロジーの進歩に抵抗するには?そもそも抵抗する必要があるのか?
・楽観論とは裏腹の過去1000年間の事例
①中世から近代の農業におけるテクノロジー発展の恩恵は人口の90%を占める農民にはなかった
②中世後期からのヨーロッパ船舶設計の進歩では、貿易で富を手にした一部ヨーロッパ人もいたが、
この進歩により数百万人の奴隷がアフリカから新大陸へ運ばれた
③イギリス産業革命初期から労働者の収入はほぼ100年間上がらず、工場でも都会でも
労働時間は延び、労働条件は劣悪なままだった
④綿繰り機は革命的でアメリカを世界最大の綿花輸出国に変えたが、この発明が南部では
奴隷制の残虐性を激化させることになった
⑤19世紀末のフリッツ・ハーバーによる人工肥料の開発は農業生産力を向上させたが、
その後に同じアイデアで化学兵器を設計し数十万人を殺傷した
⑥コンピューターの発達で起業家や大物はこの数十年で大金を手にしたが大学教育を受けていない
ほとんどのアメリカ人は取り残され、多くは実質所得が減少している・・・
・テクノロジーの進歩で繁栄の共有が実現したのは、その方向性と社会による利益分配の方法が
一部エリートに有利な仕組みから脱した場合に限られる
・地球上の大半の人々が先祖より豊かに暮らしているのは、初期の産業社会で組織化された
市民と労働者が、テクノロジーや労働条件についてエリートの支配する選択に異を唱え、
技術の進歩がもたらす利益をより公平に分けるよう強制したから
・現在の我々は同じことを再び行う必要がある
⇒MRI、mRNAワクチン、産業用ロボット、インターネット・・・
⇒これらが現実の問題を解決するのは人々を助ける方向性になった場合で今の方向ではない
⇒重大な決定を下す人々はテクノロジーに楽観的でエリート主義的
⇒現代の進歩は少数の起業家や投資家を裕福にしているが大半の人々は恩恵を受けていない
・テクノロジーの方向性を一部エリートから奪い取ることは19世紀のイギリスやアメリカより
難しくなっているが、それがきわめて重要になっている
第1章「テクノロジーを支配する」よりメモ
・技術的失業(ケインズ1930年)
⇒労働の新たな用途が見つかるより速いペースで労働の使用を節約する手段が発見されるために
生じる失業
・機械が労働需要を減少させることはない(リカード1819年)⇒1821年に見解が変わった
⇒「仕事を機械がこなせるなら労働需要はなくなる」
・これらの懸念はあったが戦後の工業国(アメリカ・ドイツ・日本)では生産性の急上昇により
賃金も上昇、消費財の価格低下、抗生物質による病気の克服などで労働者も豊かになった
⇒その半面で公害・環境破壊・核戦争の脅威もあったが、いずれテクノロジーが解決すると・・・
⇒これが1960年代の楽観論(タイム誌やケネディ)で、その後のテクノ・オプティミズムへ
・ところがアメリカ男性の長期失業率(25歳~54歳)は1960年代の6%が現在(2023年)は12%
⇒主な理由は非大卒男性が「いい仕事」に就くことが、ますます困難になっているから
⇒かつては大卒・非大卒を問わず適正賃金・雇用保障・キャリアが構築できる機会のある
「いい仕事」があったが、学位を持たない労働者の「いい仕事」は、ほとんどなくなった
・デジタル技術は起業家・経営者・一部投資家に富を与えたが大半の労働者の実質賃金は
増えておらず、非大卒者は減少、大卒者でも院卒以外は微増にとどまっている
⇒大半の労働者が就ける「いい仕事」が減り、コンピュータ科学・エンジニア・金融関係など
教育された一握りの労働者の収入が急速に増えて二層構造の格差社会へ
・これは新しいテクノロジーがもたらす不平等な帰結だった
⇒まさにH.G.ウェルズが「タイムマシン」で予見したディストピア
(政府の手厚い保護・団体交渉・適正な最低賃金などにより北欧・フランス・カナダでは
アメリカより賃金下落は少ないが格差は拡大しており非大卒者の仕事は足りていない)
・1000年にわたる証拠から新たなテクノロジーが広範な繁栄をもたらすか否かは自動的ではなく、
経済的・社会的・政治的な選択にかかっていることが明白になった
⇒本書では、
①この選択の本質
②テクノロジー・賃金・不平等の関係をめぐる歴史的・現代的証拠、
③繁栄の共有に資するイノベーションを機能させるためにできること
の3点を追求する
・第1章ではその下準備として次の基本的な三つの問いに取り組む
①新たな機械や生産技術が賃金を上昇させる時期は何によって決まるか?
②テクノロジーの方向性を変えるには何が必要か?
③現在とりわけ人工知能に関して気がかりな別方向に向かっているのはなぜか?
・生産性バンドワゴン(生産性の向上による増産で雇用は拡大して賃金も増加する)
⇒新型機械・効率的工場で20世紀前半のアメリカ自動車製造業は生産性が急上昇した
⇒雇用も増え正規教育のない労働者も含め経済界全体で賃金が上昇した
⇒アメリカでは戦後1970年代まで賃金上昇率は大卒も高卒も同じだった
⇒その後の出来事にバンドワゴンが合致しないのはなぜか?
⇒限界生産性(労働者一人あたり生産量ではなく需要増大や生産増大への寄与)の違い
・フォードやGMが優れたモデルを出せば需要は増え、労働者一人あたり収益と労働者の
限界生産性はともに上昇する
⇒会社は追加需要を満たすため労働者を増員し必要ならさらに賃金を払う
⇒ところが産業用ロボットを導入すれば平均生産性は向上するが労働者の必要性は低くなる
⇒労働者の限界生産性が向上することはなく低下の可能性さえある
・オートメーション、グローバリゼーションはコストを削減し利益を増やしたが、
先進国の国内では労働者は職を奪われて繁栄の共有をもたらさなかった
⇒これが経済効率を向上させる唯一の方法ではなく労働者一人あたりの生産量を増やす方法は
いくつもあり、これは歴史を通じていえることである(第5章から第9章で説明)
⇒イノベーションには自動化やオフショアリング以外に生産性への個人貢献度を高めるものもある
⇒例えば自動車整備士の作業を支援し、より精密な作業を可能にする新アプリの導入
⇒これは労働者の限界生産性を高めるイノベーションであり、
⇒労働者と置き換える産業用ロボットの導入とは全く異なるもの
・1910年代のフォード工場の自動化では設計・技術・機械操作・事務など新しい仕事が生まれた
⇒新しい機械で新たな労働用途が生まれると労働者の生産貢献が拡大し限界生産性が増す
⇒リカードやケインズの最悪の懸念が実現しなかったのは新たな仕事を伴っていたため
⇒自動車製造の急増で新たな雇用は関連業界だけでなく沿道サービス業の台頭まで可能にした
・ただし自動化による生産性の向上が小さい場合は新たな雇用を生まない
⇒食料品店のセルフレジ化は作業を従業員から顧客に移すだけで生産性への寄与は限られ、
新たな仕事は生まれず、大して安くもならず、生産も拡大せず、顧客の生活も変わらない
⇒テクノロジーを何のために使うかという「選択」が最重要
⇒テクノロジー開発によって労働者の限界生産性を高めるという選択
・労働者の限界生産性が向上しても労働者への需要が増加しなければ賃金は上昇しない
それが起こらないかもしれない三つの理由
①奴隷制のような強制的な関係
⇒アメリカ南部の綿繰り機の導入は強制力を高め奴隷も農民もさらに貧困になった(第4章)
②生産性が向上してもライバルとの競争がなければ賃金を上げないかもしれない
⇒他の仕事に就けない初期の農業社会や別の仕事探しを禁じていた18世紀のイギリス
⇒中世ヨーロッパでは風車・輪作の効率化・馬利用拡大で生産性が向上したが、その恩恵は
少数のエリートだけが享受し大規模建築へ、人口の90%を占めていた農民にはなかった
⇒1700年代のイギリスでは産業機械で労働者の生活水準は悪化し工場主だけが裕福に
③労働者の利益についての交渉能力
⇒1950年代から60年代のアメリカ野球ビジネスの例
(テレビ放送の巨額収益は全て球団オーナーへ⇒60年代後半から交渉により選手にも)
・科学的発見は光速で伝わるようになったが世界の生活改善にはテクノロジーの方向転換が
必要で、科学とイノベーションの新たな活用法を構築しなければならない
⇒ビジョンの選択⇒高圧が標準となった蒸気機関の例⇒炭鉱の過酷な労働条件になった
⇒選択が異なれば利益を享受する人も異なる
・共有されるビジョンが特定方向の例
⇒中国の社会信用システム(2009年から運用)
⇒決定したのは少数の党幹部でブラックリストの作成に
⇒フェイスブック(2018年にユーザー投稿優先にアルゴリズムを変更)
⇒決定したのは数名の幹部で、広告サービスとユーザーのエンゲージメントを高めることが
目的だったが、帰結は誤報や政治的分断の拡大に
⇒いずれもシステムの影響を受ける14億の国民や25億のユーザーの選択ではなかった
⇒個人のデータや社会的活動を支配するための利己的で偏狭なビジョンの選択になった
・南アフリカのスワートクランス洞窟
⇒100万年前の木炭層(火の使用痕跡)から以降は捕食関係が逆転している
⇒グーグルCEOサンダー・ビチャイ「AIは火や電気よりも深遠な何か」
⇒グーグル・チャイナ前社長カイフー・リー「AIは最も変革的なテクノロジー」
⇒今のAIは世界中で不平等を拡大させ企業や独裁政府のデータ収集を強化している
⇒ところが企業リーダーの大半はAIによる良い未来や問題解決を主張し続けている
⇒我々は火によって獲物から最強の捕食者になり、車輪によって距離を、電気によって暗闇を、
薬によって病気を征服してきたのだと・・・
・デジタル・テクノロジーというツールを人々のために活用するにはテクノロジー企業の
支配者にはびこる世界観を覆す必要がある
⇒こうした世界観を支えているのは特定の不正確な歴史解釈
⇒イノベーションによる人類への影響について示唆するもの⇒この歴史の見直しから
・次章以降の予定
⇒重大なテクノロジーの変化が生じた地域を中心に、まずは西欧と中国の農業、次にイギリスと
アメリカの産業革命、さらにアメリカと中国のデジタル・テクノロジーを取り上げる
⇒様々な国の様々な選択、テクノロジーが他の地域に自発的・強制的に広がった際の影響
・第2章「運河のビジョン」
⇒フランスのエンジニア、レセップスがスエズで成功した海面式運河建設と同じアイデアで
パナマで失敗して2万人が死んだ話
⇒大きな災害は過去の成功に基づく強力なビジョンに根差しており、あらゆるテクノロジーの
歴史にとって教訓となる話
・第3章「説得する力」
⇒テクノロジーや社会の重要な決定をなす際に説得が中心的役割を果たす
⇒説得する力は政治制度やアジェンダ設定能力に根差し、対抗勢力や幅広い意見で自信過剰や
利己的なビジョンが抑制される
・第4章「不幸の種を育てる」
⇒本書の構想の主要な考え方を農業テクノロジーの進歩に応用する
⇒新石器時代における定住農業の始まり、中世から近世初期にかけての土地と生産技術の
組織化をめぐる大変化
⇒いずれも生産性バンドワゴンが自動的に走り出した証拠は見つからない
⇒少数エリートの富と権力を増大させたが殆どの農業労働者に恩恵はもたらさなかった
⇒小作農は政治的・社会的権力を持たずテクノロジーの進路は一握りのエリートのビジョンに従う
・第5章「中流層の革命」
⇒産業革命の再解釈
⇒これまであまり強調されていなかった、新たに自信をつけた中産階級、起業家、実業家の
あいだに現れたビジョン
⇒彼らの考え方や願望は16世紀から17世紀以降にイングランド中流層に力を与えるようになった
制度的変化に根差し、彼らのビジョンは包括的ではなかった
⇒政治経済の仕組みの変化はどのように起きたのか、またそれが「自然は誰がどうコントロール
するのか」という新たな概念を生み出すうえで、なぜ重要だったのか
(蒸気機関車・鉄道のスチーブンソンなど技術を持った「成り上がり」を認める社会に)
第6章「進歩の犠牲者」
前章の新たなビジョンの帰結
⇒産業革命の第一段階で多くの人々がいかに貧しくなり無力化したか
⇒それがオートメーションへの強い偏向と、テクノロジーや賃金の決定に関し労働者の声が
欠如していたことの帰結だったのはなぜか
⇒工業化で経済生活、健康、自主性に悪影響が及んだが、状況が変わりはじめたのは19世紀後半、
普通の人々が団結し経済的・政治的改革を推進した社会的変化がテクノロジーの方向性を変え、
賃金を押し上げたが、これは繁栄の共有に向けた小さな勝利に過ぎなかった
⇒西欧諸国が繁栄の共有を達成するにはテクノロジーと制度をめぐる長く争いに満ちた道が・・・
・第7章「争い多き道」
⇒テクノロジーの方向性、賃金設定、より一般的には政治をめぐる闘争が経済成長期の土台を
いかにして築いたかの概観
⇒戦後の30年間、アメリカはじめ西側工業国は急速な経済成長を遂げ殆どの層に共有された
⇒教育や医療の普及、平均寿命の延伸など社会的改善は経済トレンドと軌を一にしていた
⇒テクノロジーの変化、仕事の自動化がなぜ、いかにして労働者に新たな機会を生み出したのか
⇒それが対抗勢力を勇気づける制度的環境にどう組み込まれていたのかについての説明
第8章「デジタル・ダメージ」
⇒現代に目を向け、われわれがいかにして繁栄の共有という戦後数十年間のモデルを手放して
しまったのかを振り返る
⇒この方向転換の中心にある変化は、テクノロジーの方向性が労働者に新たな仕事や機会を提供
することから、仕事の自動化や人件費削減を最優先することになったこと
⇒これは必然ではなく労働団体や政府規制の圧力が欠如した結果で繁栄の共有を損なう一因
第9章「人工闘争」
⇒1980年代以降のビジョンが規定するようになった次の2点についての説明
①デジタル・テクノロジーの次の段階、人工知能についてどう考えるかという問題
②AIが経済的不平等へのトレンドをいかに悪化させているかという問題
⇒多くのテック・リーダーの主張に反してAIテクノロジーは人間に限られた利益しかもたらして
おらず、職場監視に利用されて労働者の力を奪い、現在の方針ではオートメーションが世界中に
輸出されて、発展途上国における数十年分の経済的利益を台無しにしてしまう恐れがある
⇒AIはデジタル・テクノロジーの特殊な進路を反映しており深刻な分配効果を持つ
(少数に恩恵をもたらし残りを置き去りにする効果)
⇒機械的知能に注力するより機械の人間にとっての有用性を獲得する方が実りが多い
(かつて機械の有用性が求められた際には、それがデジタル・テクノロジーの生産的な応用に
つながったが、AIとオートメーションの追及につれ、顧みられなくなったことも説明する)
・第10章「民主主義の崩壊」
⇒AIを使った大量のデータ収集で政府や企業による監視が強化されている
⇒同時にAIを活用した広告ビジネスモデルは誤情報を拡散し過激思想を増幅している
⇒現在のAIが歩んでいる道は経済にも民主主義にも良いものではないし、残念ながら、
この二つの問題は相互に強化し合っている
・第11章「テクノロジーの方向転換」
⇒こうした有害なトレンドを反転させる方法の略述
⇒テクノロジーの変化の方向転換のテンプレート
⇒土台となるのはテクノロジーの社会的偏りに取り組むために、物語を変え、対抗勢力を築き、
技術、規制、政策に関する解決策を練り上げること
・・・つーことで、ここまでだけでも中世ヨーロッパの農業イノベーションや産業革命など
テクノロジーの進展(技術革新)と不平等の歴史から、AIなどデジタル・テクノロジーの現在の
方向性を変えないと民主主義が崩壊するつーのは、まさに目からウロコの本でしたが・・・
と、ここまでで図書館への返却期限まであと3日・・・はてさて・・・
(8月10日追記です)
下巻をようやく読破、現代については下巻がメインですね

技術革新と不平等の1000年史であります
今回の参議院選挙でもSNSには様々な情報が溢れたようでマスメディアはフェイク情報への
注意喚起やファクトチェックの重要性を何度も呼びかけていましたね
最近ではSNSでしか情報の受信をせず、本を読む習慣がないので各党の綱領や歴史書はもちろん、
高校の教科書でさえ文脈を理解できない人たちが増えているとも聞きました
そんな人たちをターゲットにSNSなどで刺激的な誤情報を拡散して過激思想を増幅するような
身勝手な発信がますます溢れているのではないかと不安になっています
本書はデジタル・テクノロジー特にAIの今の方向性を変えないと民主主義が崩壊することを、
過去の歴史における技術革新と不平等の関係から解き明かそうとする本であります
表紙カバー裏にあった惹句

裏表紙カバー裏にあった著者・訳者紹介

(追記です)
著者のダロン・アセモグルとサイモン・ジョンソンは2024年にノーベル経済学賞を受賞されてます
奥付

目次


とりあえず上巻のプロローグから第1章まで、しかもその一部だけのメモです
(暑さと飲酒で遅読になり図書館への返却期限が迫っているため
)ただしメモの後半ぐらい「次章以降の予定」を読めば第2章以降の概要が推測できますので、
以下のメモで興味を持たれた方は本書をご熟読下さいね
(著作物の個人メモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
プロローグ~進歩とは何か~よりメモ
・ジェレミー・ベンサムの監視できる監獄⇒ミシェル・フーコーの産業社会の監視⇒ジョージ・
オーウェルの1984年⇒マーベル映画ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーへ・・・
・18世紀後半にイギリス全土に広まった工場というシステム
⇒多くの雇用主がベンサムの考えに従い労働を組織化し厳しく監視監督した
⇒新設の機械は労働者を単なる歯車に変え安い賃金と過酷な労働に
・アダム・スミス
「機械が進歩すれば労働量は大きく減少するが社会が繁栄するので賃金は大幅に上昇する」
⇒こうしたテクノロジーの進歩に抵抗するには?そもそも抵抗する必要があるのか?
・楽観論とは裏腹の過去1000年間の事例
①中世から近代の農業におけるテクノロジー発展の恩恵は人口の90%を占める農民にはなかった
②中世後期からのヨーロッパ船舶設計の進歩では、貿易で富を手にした一部ヨーロッパ人もいたが、
この進歩により数百万人の奴隷がアフリカから新大陸へ運ばれた
③イギリス産業革命初期から労働者の収入はほぼ100年間上がらず、工場でも都会でも
労働時間は延び、労働条件は劣悪なままだった
④綿繰り機は革命的でアメリカを世界最大の綿花輸出国に変えたが、この発明が南部では
奴隷制の残虐性を激化させることになった
⑤19世紀末のフリッツ・ハーバーによる人工肥料の開発は農業生産力を向上させたが、
その後に同じアイデアで化学兵器を設計し数十万人を殺傷した
⑥コンピューターの発達で起業家や大物はこの数十年で大金を手にしたが大学教育を受けていない
ほとんどのアメリカ人は取り残され、多くは実質所得が減少している・・・
・テクノロジーの進歩で繁栄の共有が実現したのは、その方向性と社会による利益分配の方法が
一部エリートに有利な仕組みから脱した場合に限られる
・地球上の大半の人々が先祖より豊かに暮らしているのは、初期の産業社会で組織化された
市民と労働者が、テクノロジーや労働条件についてエリートの支配する選択に異を唱え、
技術の進歩がもたらす利益をより公平に分けるよう強制したから
・現在の我々は同じことを再び行う必要がある
⇒MRI、mRNAワクチン、産業用ロボット、インターネット・・・
⇒これらが現実の問題を解決するのは人々を助ける方向性になった場合で今の方向ではない
⇒重大な決定を下す人々はテクノロジーに楽観的でエリート主義的
⇒現代の進歩は少数の起業家や投資家を裕福にしているが大半の人々は恩恵を受けていない
・テクノロジーの方向性を一部エリートから奪い取ることは19世紀のイギリスやアメリカより
難しくなっているが、それがきわめて重要になっている
第1章「テクノロジーを支配する」よりメモ
・技術的失業(ケインズ1930年)
⇒労働の新たな用途が見つかるより速いペースで労働の使用を節約する手段が発見されるために
生じる失業
・機械が労働需要を減少させることはない(リカード1819年)⇒1821年に見解が変わった
⇒「仕事を機械がこなせるなら労働需要はなくなる」
・これらの懸念はあったが戦後の工業国(アメリカ・ドイツ・日本)では生産性の急上昇により
賃金も上昇、消費財の価格低下、抗生物質による病気の克服などで労働者も豊かになった
⇒その半面で公害・環境破壊・核戦争の脅威もあったが、いずれテクノロジーが解決すると・・・
⇒これが1960年代の楽観論(タイム誌やケネディ)で、その後のテクノ・オプティミズムへ
・ところがアメリカ男性の長期失業率(25歳~54歳)は1960年代の6%が現在(2023年)は12%
⇒主な理由は非大卒男性が「いい仕事」に就くことが、ますます困難になっているから
⇒かつては大卒・非大卒を問わず適正賃金・雇用保障・キャリアが構築できる機会のある
「いい仕事」があったが、学位を持たない労働者の「いい仕事」は、ほとんどなくなった
・デジタル技術は起業家・経営者・一部投資家に富を与えたが大半の労働者の実質賃金は
増えておらず、非大卒者は減少、大卒者でも院卒以外は微増にとどまっている
⇒大半の労働者が就ける「いい仕事」が減り、コンピュータ科学・エンジニア・金融関係など
教育された一握りの労働者の収入が急速に増えて二層構造の格差社会へ
・これは新しいテクノロジーがもたらす不平等な帰結だった
⇒まさにH.G.ウェルズが「タイムマシン」で予見したディストピア
(政府の手厚い保護・団体交渉・適正な最低賃金などにより北欧・フランス・カナダでは
アメリカより賃金下落は少ないが格差は拡大しており非大卒者の仕事は足りていない)
・1000年にわたる証拠から新たなテクノロジーが広範な繁栄をもたらすか否かは自動的ではなく、
経済的・社会的・政治的な選択にかかっていることが明白になった
⇒本書では、
①この選択の本質
②テクノロジー・賃金・不平等の関係をめぐる歴史的・現代的証拠、
③繁栄の共有に資するイノベーションを機能させるためにできること
の3点を追求する
・第1章ではその下準備として次の基本的な三つの問いに取り組む
①新たな機械や生産技術が賃金を上昇させる時期は何によって決まるか?
②テクノロジーの方向性を変えるには何が必要か?
③現在とりわけ人工知能に関して気がかりな別方向に向かっているのはなぜか?
・生産性バンドワゴン(生産性の向上による増産で雇用は拡大して賃金も増加する)
⇒新型機械・効率的工場で20世紀前半のアメリカ自動車製造業は生産性が急上昇した
⇒雇用も増え正規教育のない労働者も含め経済界全体で賃金が上昇した
⇒アメリカでは戦後1970年代まで賃金上昇率は大卒も高卒も同じだった
⇒その後の出来事にバンドワゴンが合致しないのはなぜか?
⇒限界生産性(労働者一人あたり生産量ではなく需要増大や生産増大への寄与)の違い
・フォードやGMが優れたモデルを出せば需要は増え、労働者一人あたり収益と労働者の
限界生産性はともに上昇する
⇒会社は追加需要を満たすため労働者を増員し必要ならさらに賃金を払う
⇒ところが産業用ロボットを導入すれば平均生産性は向上するが労働者の必要性は低くなる
⇒労働者の限界生産性が向上することはなく低下の可能性さえある
・オートメーション、グローバリゼーションはコストを削減し利益を増やしたが、
先進国の国内では労働者は職を奪われて繁栄の共有をもたらさなかった
⇒これが経済効率を向上させる唯一の方法ではなく労働者一人あたりの生産量を増やす方法は
いくつもあり、これは歴史を通じていえることである(第5章から第9章で説明)
⇒イノベーションには自動化やオフショアリング以外に生産性への個人貢献度を高めるものもある
⇒例えば自動車整備士の作業を支援し、より精密な作業を可能にする新アプリの導入
⇒これは労働者の限界生産性を高めるイノベーションであり、
⇒労働者と置き換える産業用ロボットの導入とは全く異なるもの
・1910年代のフォード工場の自動化では設計・技術・機械操作・事務など新しい仕事が生まれた
⇒新しい機械で新たな労働用途が生まれると労働者の生産貢献が拡大し限界生産性が増す
⇒リカードやケインズの最悪の懸念が実現しなかったのは新たな仕事を伴っていたため
⇒自動車製造の急増で新たな雇用は関連業界だけでなく沿道サービス業の台頭まで可能にした
・ただし自動化による生産性の向上が小さい場合は新たな雇用を生まない
⇒食料品店のセルフレジ化は作業を従業員から顧客に移すだけで生産性への寄与は限られ、
新たな仕事は生まれず、大して安くもならず、生産も拡大せず、顧客の生活も変わらない
⇒テクノロジーを何のために使うかという「選択」が最重要
⇒テクノロジー開発によって労働者の限界生産性を高めるという選択
・労働者の限界生産性が向上しても労働者への需要が増加しなければ賃金は上昇しない
それが起こらないかもしれない三つの理由
①奴隷制のような強制的な関係
⇒アメリカ南部の綿繰り機の導入は強制力を高め奴隷も農民もさらに貧困になった(第4章)
②生産性が向上してもライバルとの競争がなければ賃金を上げないかもしれない
⇒他の仕事に就けない初期の農業社会や別の仕事探しを禁じていた18世紀のイギリス
⇒中世ヨーロッパでは風車・輪作の効率化・馬利用拡大で生産性が向上したが、その恩恵は
少数のエリートだけが享受し大規模建築へ、人口の90%を占めていた農民にはなかった
⇒1700年代のイギリスでは産業機械で労働者の生活水準は悪化し工場主だけが裕福に
③労働者の利益についての交渉能力
⇒1950年代から60年代のアメリカ野球ビジネスの例
(テレビ放送の巨額収益は全て球団オーナーへ⇒60年代後半から交渉により選手にも)
・科学的発見は光速で伝わるようになったが世界の生活改善にはテクノロジーの方向転換が
必要で、科学とイノベーションの新たな活用法を構築しなければならない
⇒ビジョンの選択⇒高圧が標準となった蒸気機関の例⇒炭鉱の過酷な労働条件になった
⇒選択が異なれば利益を享受する人も異なる
・共有されるビジョンが特定方向の例
⇒中国の社会信用システム(2009年から運用)
⇒決定したのは少数の党幹部でブラックリストの作成に
⇒フェイスブック(2018年にユーザー投稿優先にアルゴリズムを変更)
⇒決定したのは数名の幹部で、広告サービスとユーザーのエンゲージメントを高めることが
目的だったが、帰結は誤報や政治的分断の拡大に
⇒いずれもシステムの影響を受ける14億の国民や25億のユーザーの選択ではなかった
⇒個人のデータや社会的活動を支配するための利己的で偏狭なビジョンの選択になった
・南アフリカのスワートクランス洞窟
⇒100万年前の木炭層(火の使用痕跡)から以降は捕食関係が逆転している
⇒グーグルCEOサンダー・ビチャイ「AIは火や電気よりも深遠な何か」
⇒グーグル・チャイナ前社長カイフー・リー「AIは最も変革的なテクノロジー」
⇒今のAIは世界中で不平等を拡大させ企業や独裁政府のデータ収集を強化している
⇒ところが企業リーダーの大半はAIによる良い未来や問題解決を主張し続けている
⇒我々は火によって獲物から最強の捕食者になり、車輪によって距離を、電気によって暗闇を、
薬によって病気を征服してきたのだと・・・
・デジタル・テクノロジーというツールを人々のために活用するにはテクノロジー企業の
支配者にはびこる世界観を覆す必要がある
⇒こうした世界観を支えているのは特定の不正確な歴史解釈
⇒イノベーションによる人類への影響について示唆するもの⇒この歴史の見直しから
・次章以降の予定
⇒重大なテクノロジーの変化が生じた地域を中心に、まずは西欧と中国の農業、次にイギリスと
アメリカの産業革命、さらにアメリカと中国のデジタル・テクノロジーを取り上げる
⇒様々な国の様々な選択、テクノロジーが他の地域に自発的・強制的に広がった際の影響
・第2章「運河のビジョン」
⇒フランスのエンジニア、レセップスがスエズで成功した海面式運河建設と同じアイデアで
パナマで失敗して2万人が死んだ話
⇒大きな災害は過去の成功に基づく強力なビジョンに根差しており、あらゆるテクノロジーの
歴史にとって教訓となる話
・第3章「説得する力」
⇒テクノロジーや社会の重要な決定をなす際に説得が中心的役割を果たす
⇒説得する力は政治制度やアジェンダ設定能力に根差し、対抗勢力や幅広い意見で自信過剰や
利己的なビジョンが抑制される
・第4章「不幸の種を育てる」
⇒本書の構想の主要な考え方を農業テクノロジーの進歩に応用する
⇒新石器時代における定住農業の始まり、中世から近世初期にかけての土地と生産技術の
組織化をめぐる大変化
⇒いずれも生産性バンドワゴンが自動的に走り出した証拠は見つからない
⇒少数エリートの富と権力を増大させたが殆どの農業労働者に恩恵はもたらさなかった
⇒小作農は政治的・社会的権力を持たずテクノロジーの進路は一握りのエリートのビジョンに従う
・第5章「中流層の革命」
⇒産業革命の再解釈
⇒これまであまり強調されていなかった、新たに自信をつけた中産階級、起業家、実業家の
あいだに現れたビジョン
⇒彼らの考え方や願望は16世紀から17世紀以降にイングランド中流層に力を与えるようになった
制度的変化に根差し、彼らのビジョンは包括的ではなかった
⇒政治経済の仕組みの変化はどのように起きたのか、またそれが「自然は誰がどうコントロール
するのか」という新たな概念を生み出すうえで、なぜ重要だったのか
(蒸気機関車・鉄道のスチーブンソンなど技術を持った「成り上がり」を認める社会に)
第6章「進歩の犠牲者」
前章の新たなビジョンの帰結
⇒産業革命の第一段階で多くの人々がいかに貧しくなり無力化したか
⇒それがオートメーションへの強い偏向と、テクノロジーや賃金の決定に関し労働者の声が
欠如していたことの帰結だったのはなぜか
⇒工業化で経済生活、健康、自主性に悪影響が及んだが、状況が変わりはじめたのは19世紀後半、
普通の人々が団結し経済的・政治的改革を推進した社会的変化がテクノロジーの方向性を変え、
賃金を押し上げたが、これは繁栄の共有に向けた小さな勝利に過ぎなかった
⇒西欧諸国が繁栄の共有を達成するにはテクノロジーと制度をめぐる長く争いに満ちた道が・・・
・第7章「争い多き道」
⇒テクノロジーの方向性、賃金設定、より一般的には政治をめぐる闘争が経済成長期の土台を
いかにして築いたかの概観
⇒戦後の30年間、アメリカはじめ西側工業国は急速な経済成長を遂げ殆どの層に共有された
⇒教育や医療の普及、平均寿命の延伸など社会的改善は経済トレンドと軌を一にしていた
⇒テクノロジーの変化、仕事の自動化がなぜ、いかにして労働者に新たな機会を生み出したのか
⇒それが対抗勢力を勇気づける制度的環境にどう組み込まれていたのかについての説明
第8章「デジタル・ダメージ」
⇒現代に目を向け、われわれがいかにして繁栄の共有という戦後数十年間のモデルを手放して
しまったのかを振り返る
⇒この方向転換の中心にある変化は、テクノロジーの方向性が労働者に新たな仕事や機会を提供
することから、仕事の自動化や人件費削減を最優先することになったこと
⇒これは必然ではなく労働団体や政府規制の圧力が欠如した結果で繁栄の共有を損なう一因
第9章「人工闘争」
⇒1980年代以降のビジョンが規定するようになった次の2点についての説明
①デジタル・テクノロジーの次の段階、人工知能についてどう考えるかという問題
②AIが経済的不平等へのトレンドをいかに悪化させているかという問題
⇒多くのテック・リーダーの主張に反してAIテクノロジーは人間に限られた利益しかもたらして
おらず、職場監視に利用されて労働者の力を奪い、現在の方針ではオートメーションが世界中に
輸出されて、発展途上国における数十年分の経済的利益を台無しにしてしまう恐れがある
⇒AIはデジタル・テクノロジーの特殊な進路を反映しており深刻な分配効果を持つ
(少数に恩恵をもたらし残りを置き去りにする効果)
⇒機械的知能に注力するより機械の人間にとっての有用性を獲得する方が実りが多い
(かつて機械の有用性が求められた際には、それがデジタル・テクノロジーの生産的な応用に
つながったが、AIとオートメーションの追及につれ、顧みられなくなったことも説明する)
・第10章「民主主義の崩壊」
⇒AIを使った大量のデータ収集で政府や企業による監視が強化されている
⇒同時にAIを活用した広告ビジネスモデルは誤情報を拡散し過激思想を増幅している
⇒現在のAIが歩んでいる道は経済にも民主主義にも良いものではないし、残念ながら、
この二つの問題は相互に強化し合っている
・第11章「テクノロジーの方向転換」
⇒こうした有害なトレンドを反転させる方法の略述
⇒テクノロジーの変化の方向転換のテンプレート
⇒土台となるのはテクノロジーの社会的偏りに取り組むために、物語を変え、対抗勢力を築き、
技術、規制、政策に関する解決策を練り上げること
・・・つーことで、ここまでだけでも中世ヨーロッパの農業イノベーションや産業革命など
テクノロジーの進展(技術革新)と不平等の歴史から、AIなどデジタル・テクノロジーの現在の
方向性を変えないと民主主義が崩壊するつーのは、まさに目からウロコの本でしたが・・・
と、ここまでで図書館への返却期限まであと3日・・・はてさて・・・

(8月10日追記です)
下巻をようやく読破、現代については下巻がメインですね
2025年05月21日
奇縁まんだら全4巻
とーとつですが・・・




瀬戸内寂聴著・横尾忠則画「奇縁まんだら」全4巻のご紹介であります
巻末にあった著者紹介

第1巻の奥付

第4巻の奥付

日本経済新聞の日曜朝刊に2007年1月6日から2011年10月2日まで連載されていたエッセイで、
当時の著者は85歳から89歳、それまでに「この世で出逢い、一度でも感銘を受けた縁者」
136人(すべて故人)についての思い出を綴られたもの・・・
著者は実際には2021年に99歳で亡くなっておられますが、第4巻の「終わりに」には、
「最後の章は、故人となった「瀬戸内寂聴」で締めくくればスマートだなと思っていた」
とありました
全4巻の目次であります








そう、この136人と(少なくとも一度は)実際に会っておられるんですね・・・
本文にも若い担当者から「歴史上の人物と実際に会っていること自体が凄い」と言われた
とかありましたが、読んでて確かに凄いことだと実感しました
テレビでもおなじみだった、よくしゃべり親しみやすく話し上手で聞き上手なタイプ、
酒好きで遊び好きでおしゃれ好き、対談でも対面取材でも多くの相手に信頼されてたようで、
親しく付き合ってた方も多かったのでしょうね
本人も不倫から夫と2歳の娘を残して家出、やがて作家のままで出家と自由奔放な(とんでもない)
人生でしたが、登場する人物の多くも、さらに自由奔放な(とんでもない)人生を送っており、
それらが(遺族の許しを得て)赤裸々に描かれてるので、発表当時から評判になったんでしょう
わたくし、私小説の世界は苦手で殆ど読まないのですが、明治・大正・昭和・平成の著名人の
男と女・男と男・女と女のドロドロした関係も本書で知ることができ、まさに著者を軸にした
「奇縁まんだら」とゆー感じでしたねえ
さらに著者しか知らないエピソードも紹介されてて、多くは慈愛に満ちて描かれてるのですが、
あくまでその観察眼は鋭く行動は素早く、あらためて凄い作家だと知りました
ま、わたくしが著者の私小説を読むことは今後もないでしょうが・・・




瀬戸内寂聴著・横尾忠則画「奇縁まんだら」全4巻のご紹介であります
巻末にあった著者紹介

第1巻の奥付

第4巻の奥付

日本経済新聞の日曜朝刊に2007年1月6日から2011年10月2日まで連載されていたエッセイで、
当時の著者は85歳から89歳、それまでに「この世で出逢い、一度でも感銘を受けた縁者」
136人(すべて故人)についての思い出を綴られたもの・・・
著者は実際には2021年に99歳で亡くなっておられますが、第4巻の「終わりに」には、
「最後の章は、故人となった「瀬戸内寂聴」で締めくくればスマートだなと思っていた」
とありました

全4巻の目次であります








そう、この136人と(少なくとも一度は)実際に会っておられるんですね・・・
本文にも若い担当者から「歴史上の人物と実際に会っていること自体が凄い」と言われた
とかありましたが、読んでて確かに凄いことだと実感しました

テレビでもおなじみだった、よくしゃべり親しみやすく話し上手で聞き上手なタイプ、
酒好きで遊び好きでおしゃれ好き、対談でも対面取材でも多くの相手に信頼されてたようで、
親しく付き合ってた方も多かったのでしょうね
本人も不倫から夫と2歳の娘を残して家出、やがて作家のままで出家と自由奔放な(とんでもない)
人生でしたが、登場する人物の多くも、さらに自由奔放な(とんでもない)人生を送っており、
それらが(遺族の許しを得て)赤裸々に描かれてるので、発表当時から評判になったんでしょう
わたくし、私小説の世界は苦手で殆ど読まないのですが、明治・大正・昭和・平成の著名人の
男と女・男と男・女と女のドロドロした関係も本書で知ることができ、まさに著者を軸にした
「奇縁まんだら」とゆー感じでしたねえ
さらに著者しか知らないエピソードも紹介されてて、多くは慈愛に満ちて描かれてるのですが、
あくまでその観察眼は鋭く行動は素早く、あらためて凄い作家だと知りました
ま、わたくしが著者の私小説を読むことは今後もないでしょうが・・・
2025年04月03日
新・古代史
とーとつですが、新年度はじめての記事は・・・

新・古代史~グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権~
とゆー本の(「はじめに」と「おわりに」の
)ご紹介であります
表紙カバー裏にあった惹句

末尾にあった主な参考文献と著者と奥付


2024年3月放送の「NHKスペシャル~古代史ミステリー~」取材班のディレクター2人、
夫馬直実・田邊宏騎の両氏が取材をもとに番組で取り上げなかった背景や視点を加えて
共同執筆された本だそうで、番組を興味深く視聴してたので借りてみた次第です
例によって目次の紹介のみ



ま、内容は目次から想像いただくとして・・・素人にもわかりやすく読めました
この番組以外にも歴史探偵やフロンティアなどいくつかの番組でも紹介されてた「最新研究と
グローバルヒストリーの観点からの」古代史アプローチ、つーのが新鮮でした
以下、日本の古代史については(虚実取り混ぜ
)当ブログでもいくつか紹介してますので、
今回は「はじめに」と「おわりに」から、てきとーにメモしておきます
(著作物からのメモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
「はじめに」より
・これまで取材班は「戦国時代×大航海時代」や「幕末×欧米列強」といったテーマで、
グローバルヒストリーの観点から新たな歴史像を描いてきた
・今回は弥生時代から古墳時代の日本と中国や朝鮮半島の国々が織りなした激動の時代に
焦点を当てる⇒「卑弥呼×三国志」
⇒古代史には現在も様々な学説・解釈が存在するので特定の説を支持する意図はない
⇒それよりも苦心している国内外の研究者の努力と挑戦が本書から垣間見えたら幸い・・・
・・・
(つーことで最新研究からも論理的で説得力のある異説がいくつも出てくる現状が客観的に
紹介されてて、このあたりがSNSなどとは根本的に違う部分ですね
邪馬台国についても九州説と近畿説については論理的で説得力のある両説の説明がされてたし、
出雲・山陰説や岡山・吉備説はじめ国内だけでも100以上も候補地があることや、さらには
ジャワ島説やエジプト説など海外説まであることも紹介されてました)
・・・
(「本章」よりのメモは省略⇒概要は目次から)
ただし全く知らなかった第9章最後の「日本の誕生」部分のみメモしておきます
・倭国がいつ日本になったのか
(7世紀後半の天武天皇・持統天皇の頃、701年の大宝律令制定の頃など諸説がある中で)
⇒2011年に中国の西安郊外で墓誌(石板)が見つかった
⇒678年2月に死亡し10月に葬られた百済人の軍人についての884文字の記述
⇒その中に663年の白村江の戦いの後の状況が記されており、吉林大学考古学院の教授は
⇒「生き残った日本は扶桑に閉じ籠り罰を逃れている」という内容として、日本という国号が
初めて使われた事例ではないかと考えた
⇒この読み解きが正しければ7世紀には倭国に代わって日本と名乗り始めていたことになり、
これまでの定説が覆ることになる
⇒ただし「日本」は中国から見て「日の出るところ」を意味し新羅を指して使用されることも
ある言葉で国号とは考えられないとする異論もあり、今後の慎重な議論が期待されている
(日本も大和も大倭も倭も日本語の読みはヤマトだそうですが、白村江(そーいやこの地名、
昔は中国語読みと朝鮮語読みと日本語読みの混ざった「はくすきのえ」と習ってましたが、
今は中国語読みに由来する「はくそんこう」になってますが何故なんだろ?)を戦った百済軍人の
墓誌に「日本」という漢字が国号として使われていたとすれば、確かに興味深いですね)
・・・
番組プロデューサー山崎啓明氏による「おわりに」より
・日本という国の始まりをグローバルな歴史の文脈で捉え直してみると、
⇒ユーラシア大陸の大変動と古代日本の大変動が深く結びついていることに驚かされる
・邪馬台国の卑弥呼が生きた三世紀に中国では漢が滅び、魏・呉・蜀の三国時代に突入、
六世紀の隋の建国まで国家分断状態が続いた
⇒ヨーロッパでも四世紀末にはローマ帝国が東西に分裂し、西ローマ帝国は476年に滅亡、
これはヤマト王権が前方後円墳を築き日本列島の大半を支配下に収めようとしていた頃
・それらに共通する変動要因の一つがユーラシア大陸の中央部で勃興した遊牧民族の騎馬戦術
⇒鞍、鐙、轡といった馬具の発明は画期的で大陸を席巻した
⇒東では遊牧民族の匈奴が漢軍を叩きのめし屈辱的な和睦に
⇒同じく遊牧民族の高句麗が朝鮮半島を南下し百済を圧迫、倭国軍と戦った
⇒西では遊牧民族のフン族アッティラが東ヨーロッパに進出して、ゲルマン民族の大移動、
地中海世界を制覇したローマ帝国の衰退へとつながった
⇒この騎馬戦術を積極的に導入して東アジアのパワーバランスを塗り替えようとしたのが
倭王が率いるヤマト王権だった
・勢力図が塗り替わると世界観も変化する
⇒中国の歴史書も紀元前一世紀に完成した「史記」では皇帝の偉業がハイライトだったが、
⇒三世紀の魏志東夷伝や五世紀の宋書夷蛮伝になると倭国や朝鮮半島、遊牧民の動向など、
中国の周辺世界の記述が増えてくる
⇒地政学的なリスクの高まりとともに「中華」の概念が生まれてくる
⇒領土を脅かす外敵がいたからこそ必要とされた概念だったのではないか
・ユーラシア大陸の大変動を国造りの好機と見たのが古代日本のリーダーたち
⇒卑弥呼はなぜ呉ではなく魏を選んだのか
⇒高句麗と敵対していた倭の五王が、なぜ宋に官位を要求し朝鮮半島の軍事指揮権を手中に
収めようとしたのか
⇒グローバルヒストリーによって邪馬台国やヤマト王権の外交政策やリーダー像も変わるだろう
・古代史では論争が続いているテーマがあるが本書は謎に決着をつけることを目指していない
⇒考古学的な調査や科学的な分析から明らかになった事実や研究者の見解をわかりやすく丁寧に
紹介することがねらい・・・
・・・
うーむ、まさにねらいどおりで科学的な説明も各見解の解説もわかりやすかったです
さらに深く知りたければ末尾にあった「参考文献」を読めばいいし・・・
って、何冊かは読んでブログ記事にメモしたような気もするけど記憶が・・・

新・古代史~グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権~
とゆー本の(「はじめに」と「おわりに」の
)ご紹介であります表紙カバー裏にあった惹句

末尾にあった主な参考文献と著者と奥付


2024年3月放送の「NHKスペシャル~古代史ミステリー~」取材班のディレクター2人、
夫馬直実・田邊宏騎の両氏が取材をもとに番組で取り上げなかった背景や視点を加えて
共同執筆された本だそうで、番組を興味深く視聴してたので借りてみた次第です
例によって目次の紹介のみ



ま、内容は目次から想像いただくとして・・・素人にもわかりやすく読めました
この番組以外にも歴史探偵やフロンティアなどいくつかの番組でも紹介されてた「最新研究と
グローバルヒストリーの観点からの」古代史アプローチ、つーのが新鮮でした
以下、日本の古代史については(虚実取り混ぜ
)当ブログでもいくつか紹介してますので、今回は「はじめに」と「おわりに」から、てきとーにメモしておきます
(著作物からのメモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
「はじめに」より
・これまで取材班は「戦国時代×大航海時代」や「幕末×欧米列強」といったテーマで、
グローバルヒストリーの観点から新たな歴史像を描いてきた
・今回は弥生時代から古墳時代の日本と中国や朝鮮半島の国々が織りなした激動の時代に
焦点を当てる⇒「卑弥呼×三国志」
⇒古代史には現在も様々な学説・解釈が存在するので特定の説を支持する意図はない
⇒それよりも苦心している国内外の研究者の努力と挑戦が本書から垣間見えたら幸い・・・
・・・
(つーことで最新研究からも論理的で説得力のある異説がいくつも出てくる現状が客観的に
紹介されてて、このあたりがSNSなどとは根本的に違う部分ですね
邪馬台国についても九州説と近畿説については論理的で説得力のある両説の説明がされてたし、
出雲・山陰説や岡山・吉備説はじめ国内だけでも100以上も候補地があることや、さらには
ジャワ島説やエジプト説など海外説まであることも紹介されてました)
・・・
(「本章」よりのメモは省略⇒概要は目次から)
ただし全く知らなかった第9章最後の「日本の誕生」部分のみメモしておきます
・倭国がいつ日本になったのか
(7世紀後半の天武天皇・持統天皇の頃、701年の大宝律令制定の頃など諸説がある中で)
⇒2011年に中国の西安郊外で墓誌(石板)が見つかった
⇒678年2月に死亡し10月に葬られた百済人の軍人についての884文字の記述
⇒その中に663年の白村江の戦いの後の状況が記されており、吉林大学考古学院の教授は
⇒「生き残った日本は扶桑に閉じ籠り罰を逃れている」という内容として、日本という国号が
初めて使われた事例ではないかと考えた
⇒この読み解きが正しければ7世紀には倭国に代わって日本と名乗り始めていたことになり、
これまでの定説が覆ることになる
⇒ただし「日本」は中国から見て「日の出るところ」を意味し新羅を指して使用されることも
ある言葉で国号とは考えられないとする異論もあり、今後の慎重な議論が期待されている
(日本も大和も大倭も倭も日本語の読みはヤマトだそうですが、白村江(そーいやこの地名、
昔は中国語読みと朝鮮語読みと日本語読みの混ざった「はくすきのえ」と習ってましたが、
今は中国語読みに由来する「はくそんこう」になってますが何故なんだろ?)を戦った百済軍人の
墓誌に「日本」という漢字が国号として使われていたとすれば、確かに興味深いですね)
・・・
番組プロデューサー山崎啓明氏による「おわりに」より
・日本という国の始まりをグローバルな歴史の文脈で捉え直してみると、
⇒ユーラシア大陸の大変動と古代日本の大変動が深く結びついていることに驚かされる
・邪馬台国の卑弥呼が生きた三世紀に中国では漢が滅び、魏・呉・蜀の三国時代に突入、
六世紀の隋の建国まで国家分断状態が続いた
⇒ヨーロッパでも四世紀末にはローマ帝国が東西に分裂し、西ローマ帝国は476年に滅亡、
これはヤマト王権が前方後円墳を築き日本列島の大半を支配下に収めようとしていた頃
・それらに共通する変動要因の一つがユーラシア大陸の中央部で勃興した遊牧民族の騎馬戦術
⇒鞍、鐙、轡といった馬具の発明は画期的で大陸を席巻した
⇒東では遊牧民族の匈奴が漢軍を叩きのめし屈辱的な和睦に
⇒同じく遊牧民族の高句麗が朝鮮半島を南下し百済を圧迫、倭国軍と戦った
⇒西では遊牧民族のフン族アッティラが東ヨーロッパに進出して、ゲルマン民族の大移動、
地中海世界を制覇したローマ帝国の衰退へとつながった
⇒この騎馬戦術を積極的に導入して東アジアのパワーバランスを塗り替えようとしたのが
倭王が率いるヤマト王権だった
・勢力図が塗り替わると世界観も変化する
⇒中国の歴史書も紀元前一世紀に完成した「史記」では皇帝の偉業がハイライトだったが、
⇒三世紀の魏志東夷伝や五世紀の宋書夷蛮伝になると倭国や朝鮮半島、遊牧民の動向など、
中国の周辺世界の記述が増えてくる
⇒地政学的なリスクの高まりとともに「中華」の概念が生まれてくる
⇒領土を脅かす外敵がいたからこそ必要とされた概念だったのではないか
・ユーラシア大陸の大変動を国造りの好機と見たのが古代日本のリーダーたち
⇒卑弥呼はなぜ呉ではなく魏を選んだのか
⇒高句麗と敵対していた倭の五王が、なぜ宋に官位を要求し朝鮮半島の軍事指揮権を手中に
収めようとしたのか
⇒グローバルヒストリーによって邪馬台国やヤマト王権の外交政策やリーダー像も変わるだろう
・古代史では論争が続いているテーマがあるが本書は謎に決着をつけることを目指していない
⇒考古学的な調査や科学的な分析から明らかになった事実や研究者の見解をわかりやすく丁寧に
紹介することがねらい・・・
・・・
うーむ、まさにねらいどおりで科学的な説明も各見解の解説もわかりやすかったです
さらに深く知りたければ末尾にあった「参考文献」を読めばいいし・・・
って、何冊かは読んでブログ記事にメモしたような気もするけど記憶が・・・

2025年03月08日
お金の賢い減らし方・・・
とーとつですが・・・

「~90歳までに使い切る~お金の賢い減らし方」であります
表紙カバー裏にあった惹句

著者略歴と奥付

高齢恒例により目次のみ(これだけでも概要がわかります)







まえがきより
・大事なのはお金ではなく「モノ」や「サービス」であり、それを提供してくれる「人間」
⇒世の中の問題はお金が解決するのではなく人が解決する
⇒「お金」は「モノ」や「サービス」を手に入れるための道具に過ぎないし、
問題を解決してくれた人に対する「感謝のしるし」として存在している・・・
以下、ランダムな読書メモです
(著作物からの個人メモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
・お金を汚いものと考える二つの理由
⇒9割が給与所得者で収入が急激に増えることはないので、お金持ちは甘い汁を吸ってるか
悪いことをしているのでは、という疑念が拭いきれないから
⇒お金の本質について間違った理解をしているから⇒これがこの本の大きな主題
・江戸時代の「金欲し付合」という言葉遊び、日本人の嫉妬の論理(略)
・日本の戦うヒーローは(ゴレンジャーも大岡越前もハヤタ隊員も)公務員で清貧
⇒バットマンやサンダーバードのジェフ・トレーシーは大富豪で慈善事業として戦っている
・実際にアメリカ大富豪の多くは慈善事業に巨額の寄付をしている
⇒日本の経営トップの多くはサラリーマン社長で社員との報酬差は20~30倍程度
⇒アメリカでは平均でも350倍程度、部品メーカーのアプティブでは5000倍以上
・「生贄探し~暴走する脳~」中野信子・ヤマザキマリ共著(講談社+α新書)より
⇒日本人のスパイト行動、同調圧力⇒これは格差を縮小してもなくならない
・家計の金融資産構成
⇒日本は現金・預金が54.3%、株式や投資信託は14.7%
⇒米国は現金・預金が13.7%、株式や投資信託は52.4%、欧州はその中間ぐらい
⇒農耕民族は蓄えが好きで売買で儲けるような狩猟民族的なことは日本人には合わない?
・じつは世界初の先物取引は大坂・堂島の米市場(1730年)の米切手売買で高度なシステムだった
(ベルギーの商品取引所は1531年からだが現物の先渡取引で先物取引ではなかった)
⇒貯蓄も明治政府の殖産興業のための貯蓄奨励教育から⇒それまでは個人で運用していた
(明治以降も金融資産は預金より証券投資の方が多かった)
⇒1939年に戦争遂行のための貯蓄増強が強く打ち出され構造が一変した
⇒戦後復興の重点傾斜配分にも投資より預金のほうが効率がいいので貯蓄奨励が続いた
⇒マル優制度⇒NISAへ
・いっぽうでビットコインFX、公営ギャンブル、パチンコなど世界有数の博打好き
⇒今は貯蓄と博打は好きでも投資はやらないといういびつな構造になっている
・学校教育では貯蓄や投資ではなく「お金の常識」を教えるべき
⇒お金を正しく理解したうえで貯蓄や投資を勉強するかどうかは個人の自由
・お金の役割
①取引決済機能⇒モノやサービスの購入対価としての機能
②価値尺度機能⇒モノやサービスの価値を価格で比較する機能
③価値保存機能⇒モノやサービスの価値を将来まで保存する機能
・商品貨幣(物々交換)理論と信用貨幣(負債信用)理論
⇒物々交換の不便さから貨幣が生まれたというのは学校でも経済学でも自然に語られるが、
考古学や人類学にその証拠はなく、あらゆる民俗誌にも存在していない
⇒無人島に漂着した農民と漁師の例(略)
⇒古代メソポタミアの債権債務の例(略)
・貨幣の信用のもとは「国への信頼」や「国民相互間の信頼」ではない
⇒使うと利益、使わないと不利益になると人々が考えるから貨幣が信用され成り立っている
⇒税金は通貨で払わなければならない⇒その通貨を国民に使わせる重要な手段
・通貨はバーチャルマネー(単なる記号データ)だが、株式はリアルマネー(会社そのもの)
・お金を回す4つの方法(回らなくなると破綻する)
①お金を使う(消費する)⇒販売者、生産者、運搬者などに回る
②投資する⇒必要な人に回して配当金を受け取る
③預金する⇒銀行を通じて投資に回す⇒今は機能せず金利が低いので「貯蓄から投資へ」
④寄付する⇒投資と同じだが金銭的な見返りはない(感謝はある)
⇒どれもしないで現金で持っていても何の価値も生み出さない
・年金収入は物価連動で勤労収入より安定しており介護も一人600万あれば足りるはず
⇒それなのに老後不安で増やしたいと怪しい金融商品や保険に手を出す方が深刻な問題
・FIRE(Financial Indepedence,Retire Early⇒経済的自立による早期退職)への憧れ
⇒年収の25年分を蓄え年率4%で運用すれば蓄えを減らさず一生安定した生活が送れる
⇒仕事への閉塞感から日本のサラリーマンが憧れているが問題は多い(略)
・お金を手に入れる5つの方法
①働く⇒これが土台だが収入の多寡よりどれだけ②③に回すかが大切
②貯める⇒働いた中から貯蓄に回す
③増やす⇒貯めたお金を運用する
④騙し取る⇒犯罪
⑤盗む⇒犯罪
⇒④と⑤は論外だが
お金を貯めて増やすのはそれほど難しいことではない
⇒重要なのは(高収入で)働くことより貯めることと増やすこと
(よく高収入の仕事を探してるが高所得の人が資産家になっているわけではない)
⇒貯めるには使った残高を貯めるのではなく貯めることを先に残高で暮らせばいいだけ
⇒投資も殆どせず給与天引きだけで40代半ばで「億り人」になった女性もいる
⇒「貯める」はシンプルで誰でもできること(誰もがやっていることではないが
)
⇒「増やす」は「貯める」ほどシンプルではなく方法は様々だが市場全体への投資が最も無難
(資本主義は自己増殖するシステムなので市場は長期的には成長を続け、利益を求める人類の
経済活動が続く限り、市場全体に投資を続けていれば長期的には報われるから)
⇒「グローバルに分散投資できる投資信託」への積立投資が最もシンプルに増やす方法
⇒この方法ではどこまで行っても市場平均程度の利益にしかならないが、企業の調査研究や
情報収集などに時間と手間をかけずに実行できる方法
(値動きを気にせず長期に積立て続けることは心理的には難しい
⇒最初は小額から)
・会社のできる最大の社会貢献はたくさん儲けてたくさん税金を払うこと
⇒個人投資でもたくさん儲けてたくさん税金を払えば社会貢献していることになる
・大事なのは増やすことではなく使うこと
・厚生労働省のモデル年金額(妻が無職だったサラリーマン家庭の場合)
⇒支給額は月額で約22万円⇒著者の夫婦二人の生活費もほぼ同じ
⇒仮に90歳までにお金を全部使っても年金は死ぬまで支給され、お金も使わなくなる
⇒たとえ何歳まで生きようともお金に困ることはない
⇒なので90歳までにお金をほとんど使ってしまってもよいと考えている
(どんな事態にどのぐらいのお金が必要かは読めるから必要なら保険や貯蓄で?)
・「死ぬ瞬間の5つの後悔」ブロニー・ウェア著(新潮社)より
⇒最期の人の多くが「自分のやりたいこと」と「人とのつながり」への後悔だった
⇒70歳を超え人生で最後に残る一番大切なものは「思い出」ではないかと思っている
⇒思い出を得るため、やりたいことのため、人とのつながりのためにお金を使う
⇒それはお金を増やすことよりはるかに大切なことだと思う
・お金の使い方・減らし方の4つの側面
①自分の好きなことに使う
②思い出に使う
③人のために使う
④無駄を楽しむ
①なぜ多くの人は「お金がない」と言って好きなことをしないのか
⇒本当はそれほど好きではないから
(本当に好きなら一食抜いてでも別収入を考えてでもお金を貯めて使うはず)
⇒もう一つは同調圧力⇒本当は興味がないことを断る理由として「お金がない」と言ってる
⇒興味がないことははっきり断ればいいし、好きなことに堂々とお金を使えばいい
⇒人生の目的はお金持ちになることではなく幸福になることだから
②モノ消費はオンラインでもできるようになったが、コト消費(体験)は行かないとできない
⇒モノ消費の満足度の持続は短いが、コト消費(体験)の満足度は思い出として長く残る
⇒大事なことはお金を使うバランスだが体験は投資にもなる
③資格をとるだけではリタイア後に稼ぐことはできない(自己研鑽にはなる)
⇒ビジネスをするのに必要な98%は資格ではなく顧客
⇒人とのつながりのためには他人に投資すること
⇒多くの人とつながれる場と機会のためにお金や労力を提供する
・寄付の効用と日本人の嫉妬の論理・同調圧力(略)
④無駄とは何か?
⇒無駄なものなどないので興味があればお金を使えばいいが、無意味なものに使うことはない
⇒重複するもの(民間の医療保険)、自分がまったく興味がないものなどは無意味
⇒無駄をなくしコスパだけを求めることは、ますます日本人を貧乏にしていく
⇒コスパを求める消費者としての自分が生産者・サービス提供者としての自分の首を絞めている
・見栄と義理にお金を使う時代
⇒インスタ映え、リア充など見栄の支出の時代、義理の支出を人情の支出へ(略)
・お金より優先すべき事柄
①時間
⇒お金と違い取り戻せない、貯められない
⇒誰でも今日が一番たくさんの時間資産を持っている日
②信用
⇒サラリーマン時代は会社の信用があり理解できなかったが自営業では信用がお金になる
⇒仕事以外での信用も大事⇒小さな約束も必ず守ること
③健康
⇒お金との因果関係は殆どないので健康なうちにお金を使うことを考える
⇒沖縄のシュノーケリングツアーでは65歳以上は参加できなかった
⇒旅行に行けない理由が若い頃の「お金と時間」から「健康上の理由」になる可能性
⇒健康を失わないために、ではなく健康なうちに(お金の価値のあるうちに)お金を使う
⇒年を取るほど生活費は減るし医療費の自己負担も減るので健康なうちに使い切るつもり
④幸福感
⇒人は自分の好きなことをする時と承認欲求が満たされる時に幸福感を感じる
⇒好きなことを仕事にする(職業の道楽化)、それを楽しむ(努力の娯楽化)
⇒承認欲求を満たしてくれる気持ちには「(インスタ映えやリア充で)他人からよく思われたい」
という気持ちと「感謝される」という2種類がある
⇒「よく思われたい」は他人の評価による(ので一喜一憂する)が、誰からも感謝されなくとも
「人の役に立った」という自分の満足感は大きい
⇒幸福感は人により様々だが他人との比較でなく自分自身の尺度や感情を優先すること
・人生の目的はお金持ちになることではなく楽しく過ごして幸せになること
⇒そのために家族や友人も大切な存在だが、加えてモノやサービスの存在も不可欠
⇒そのモノやサービスは「お金を受け取った人」が提供してくれるもの
⇒なので尊敬や敬意の対象はモノやサービスと人であり、お金そのものではないのに、
お金の呪縛にとらわれて経済も給料も上昇しないのが今の日本ではないか・・・
・お金は大事で何をするにも必要なので若い人には増やすことも重要だが、ある程度の年齢に
なった人は、いかに使って減らしていくかを考えた方が楽しい人生になると思う
・・・・・
わたくしと同世代で証券会社を定年退職後に「経済コラムニスト」になられた著者の本で、
今後どうするかはさておき、お金や投資などについて素人にも分かりやすく書かれてました
ブログ開設20周年の前回記事で終活を決意した!!!わたくしですが、はてさて・・・

「~90歳までに使い切る~お金の賢い減らし方」であります
表紙カバー裏にあった惹句

著者略歴と奥付








まえがきより
・大事なのはお金ではなく「モノ」や「サービス」であり、それを提供してくれる「人間」
⇒世の中の問題はお金が解決するのではなく人が解決する
⇒「お金」は「モノ」や「サービス」を手に入れるための道具に過ぎないし、
問題を解決してくれた人に対する「感謝のしるし」として存在している・・・
以下、ランダムな読書メモです
(著作物からの個人メモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
・お金を汚いものと考える二つの理由
⇒9割が給与所得者で収入が急激に増えることはないので、お金持ちは甘い汁を吸ってるか
悪いことをしているのでは、という疑念が拭いきれないから
⇒お金の本質について間違った理解をしているから⇒これがこの本の大きな主題
・江戸時代の「金欲し付合」という言葉遊び、日本人の嫉妬の論理(略)
・日本の戦うヒーローは(ゴレンジャーも大岡越前もハヤタ隊員も)公務員で清貧
⇒バットマンやサンダーバードのジェフ・トレーシーは大富豪で慈善事業として戦っている
・実際にアメリカ大富豪の多くは慈善事業に巨額の寄付をしている
⇒日本の経営トップの多くはサラリーマン社長で社員との報酬差は20~30倍程度
⇒アメリカでは平均でも350倍程度、部品メーカーのアプティブでは5000倍以上
・「生贄探し~暴走する脳~」中野信子・ヤマザキマリ共著(講談社+α新書)より
⇒日本人のスパイト行動、同調圧力⇒これは格差を縮小してもなくならない
・家計の金融資産構成
⇒日本は現金・預金が54.3%、株式や投資信託は14.7%
⇒米国は現金・預金が13.7%、株式や投資信託は52.4%、欧州はその中間ぐらい
⇒農耕民族は蓄えが好きで売買で儲けるような狩猟民族的なことは日本人には合わない?
・じつは世界初の先物取引は大坂・堂島の米市場(1730年)の米切手売買で高度なシステムだった
(ベルギーの商品取引所は1531年からだが現物の先渡取引で先物取引ではなかった)
⇒貯蓄も明治政府の殖産興業のための貯蓄奨励教育から⇒それまでは個人で運用していた
(明治以降も金融資産は預金より証券投資の方が多かった)
⇒1939年に戦争遂行のための貯蓄増強が強く打ち出され構造が一変した
⇒戦後復興の重点傾斜配分にも投資より預金のほうが効率がいいので貯蓄奨励が続いた
⇒マル優制度⇒NISAへ
・いっぽうでビットコインFX、公営ギャンブル、パチンコなど世界有数の博打好き
⇒今は貯蓄と博打は好きでも投資はやらないといういびつな構造になっている
・学校教育では貯蓄や投資ではなく「お金の常識」を教えるべき
⇒お金を正しく理解したうえで貯蓄や投資を勉強するかどうかは個人の自由
・お金の役割
①取引決済機能⇒モノやサービスの購入対価としての機能
②価値尺度機能⇒モノやサービスの価値を価格で比較する機能
③価値保存機能⇒モノやサービスの価値を将来まで保存する機能
・商品貨幣(物々交換)理論と信用貨幣(負債信用)理論
⇒物々交換の不便さから貨幣が生まれたというのは学校でも経済学でも自然に語られるが、
考古学や人類学にその証拠はなく、あらゆる民俗誌にも存在していない
⇒無人島に漂着した農民と漁師の例(略)
⇒古代メソポタミアの債権債務の例(略)
・貨幣の信用のもとは「国への信頼」や「国民相互間の信頼」ではない
⇒使うと利益、使わないと不利益になると人々が考えるから貨幣が信用され成り立っている
⇒税金は通貨で払わなければならない⇒その通貨を国民に使わせる重要な手段
・通貨はバーチャルマネー(単なる記号データ)だが、株式はリアルマネー(会社そのもの)
・お金を回す4つの方法(回らなくなると破綻する)
①お金を使う(消費する)⇒販売者、生産者、運搬者などに回る
②投資する⇒必要な人に回して配当金を受け取る
③預金する⇒銀行を通じて投資に回す⇒今は機能せず金利が低いので「貯蓄から投資へ」
④寄付する⇒投資と同じだが金銭的な見返りはない(感謝はある)
⇒どれもしないで現金で持っていても何の価値も生み出さない
・年金収入は物価連動で勤労収入より安定しており介護も一人600万あれば足りるはず
⇒それなのに老後不安で増やしたいと怪しい金融商品や保険に手を出す方が深刻な問題
・FIRE(Financial Indepedence,Retire Early⇒経済的自立による早期退職)への憧れ
⇒年収の25年分を蓄え年率4%で運用すれば蓄えを減らさず一生安定した生活が送れる
⇒仕事への閉塞感から日本のサラリーマンが憧れているが問題は多い(略)
・お金を手に入れる5つの方法
①働く⇒これが土台だが収入の多寡よりどれだけ②③に回すかが大切
②貯める⇒働いた中から貯蓄に回す
③増やす⇒貯めたお金を運用する
④騙し取る⇒犯罪
⑤盗む⇒犯罪
⇒④と⑤は論外だが
お金を貯めて増やすのはそれほど難しいことではない⇒重要なのは(高収入で)働くことより貯めることと増やすこと
(よく高収入の仕事を探してるが高所得の人が資産家になっているわけではない)
⇒貯めるには使った残高を貯めるのではなく貯めることを先に残高で暮らせばいいだけ
⇒投資も殆どせず給与天引きだけで40代半ばで「億り人」になった女性もいる
⇒「貯める」はシンプルで誰でもできること(誰もがやっていることではないが
)⇒「増やす」は「貯める」ほどシンプルではなく方法は様々だが市場全体への投資が最も無難
(資本主義は自己増殖するシステムなので市場は長期的には成長を続け、利益を求める人類の
経済活動が続く限り、市場全体に投資を続けていれば長期的には報われるから)
⇒「グローバルに分散投資できる投資信託」への積立投資が最もシンプルに増やす方法
⇒この方法ではどこまで行っても市場平均程度の利益にしかならないが、企業の調査研究や
情報収集などに時間と手間をかけずに実行できる方法
(値動きを気にせず長期に積立て続けることは心理的には難しい
⇒最初は小額から)・会社のできる最大の社会貢献はたくさん儲けてたくさん税金を払うこと
⇒個人投資でもたくさん儲けてたくさん税金を払えば社会貢献していることになる
・大事なのは増やすことではなく使うこと
・厚生労働省のモデル年金額(妻が無職だったサラリーマン家庭の場合)
⇒支給額は月額で約22万円⇒著者の夫婦二人の生活費もほぼ同じ
⇒仮に90歳までにお金を全部使っても年金は死ぬまで支給され、お金も使わなくなる
⇒たとえ何歳まで生きようともお金に困ることはない
⇒なので90歳までにお金をほとんど使ってしまってもよいと考えている
(どんな事態にどのぐらいのお金が必要かは読めるから必要なら保険や貯蓄で?)
・「死ぬ瞬間の5つの後悔」ブロニー・ウェア著(新潮社)より
⇒最期の人の多くが「自分のやりたいこと」と「人とのつながり」への後悔だった
⇒70歳を超え人生で最後に残る一番大切なものは「思い出」ではないかと思っている
⇒思い出を得るため、やりたいことのため、人とのつながりのためにお金を使う
⇒それはお金を増やすことよりはるかに大切なことだと思う
・お金の使い方・減らし方の4つの側面
①自分の好きなことに使う
②思い出に使う
③人のために使う
④無駄を楽しむ
①なぜ多くの人は「お金がない」と言って好きなことをしないのか
⇒本当はそれほど好きではないから
(本当に好きなら一食抜いてでも別収入を考えてでもお金を貯めて使うはず)
⇒もう一つは同調圧力⇒本当は興味がないことを断る理由として「お金がない」と言ってる
⇒興味がないことははっきり断ればいいし、好きなことに堂々とお金を使えばいい
⇒人生の目的はお金持ちになることではなく幸福になることだから
②モノ消費はオンラインでもできるようになったが、コト消費(体験)は行かないとできない
⇒モノ消費の満足度の持続は短いが、コト消費(体験)の満足度は思い出として長く残る
⇒大事なことはお金を使うバランスだが体験は投資にもなる
③資格をとるだけではリタイア後に稼ぐことはできない(自己研鑽にはなる)
⇒ビジネスをするのに必要な98%は資格ではなく顧客
⇒人とのつながりのためには他人に投資すること
⇒多くの人とつながれる場と機会のためにお金や労力を提供する
・寄付の効用と日本人の嫉妬の論理・同調圧力(略)
④無駄とは何か?
⇒無駄なものなどないので興味があればお金を使えばいいが、無意味なものに使うことはない
⇒重複するもの(民間の医療保険)、自分がまったく興味がないものなどは無意味
⇒無駄をなくしコスパだけを求めることは、ますます日本人を貧乏にしていく
⇒コスパを求める消費者としての自分が生産者・サービス提供者としての自分の首を絞めている
・見栄と義理にお金を使う時代
⇒インスタ映え、リア充など見栄の支出の時代、義理の支出を人情の支出へ(略)
・お金より優先すべき事柄
①時間
⇒お金と違い取り戻せない、貯められない
⇒誰でも今日が一番たくさんの時間資産を持っている日
②信用
⇒サラリーマン時代は会社の信用があり理解できなかったが自営業では信用がお金になる
⇒仕事以外での信用も大事⇒小さな約束も必ず守ること
③健康
⇒お金との因果関係は殆どないので健康なうちにお金を使うことを考える
⇒沖縄のシュノーケリングツアーでは65歳以上は参加できなかった
⇒旅行に行けない理由が若い頃の「お金と時間」から「健康上の理由」になる可能性
⇒健康を失わないために、ではなく健康なうちに(お金の価値のあるうちに)お金を使う
⇒年を取るほど生活費は減るし医療費の自己負担も減るので健康なうちに使い切るつもり
④幸福感
⇒人は自分の好きなことをする時と承認欲求が満たされる時に幸福感を感じる
⇒好きなことを仕事にする(職業の道楽化)、それを楽しむ(努力の娯楽化)
⇒承認欲求を満たしてくれる気持ちには「(インスタ映えやリア充で)他人からよく思われたい」
という気持ちと「感謝される」という2種類がある
⇒「よく思われたい」は他人の評価による(ので一喜一憂する)が、誰からも感謝されなくとも
「人の役に立った」という自分の満足感は大きい
⇒幸福感は人により様々だが他人との比較でなく自分自身の尺度や感情を優先すること
・人生の目的はお金持ちになることではなく楽しく過ごして幸せになること
⇒そのために家族や友人も大切な存在だが、加えてモノやサービスの存在も不可欠
⇒そのモノやサービスは「お金を受け取った人」が提供してくれるもの
⇒なので尊敬や敬意の対象はモノやサービスと人であり、お金そのものではないのに、
お金の呪縛にとらわれて経済も給料も上昇しないのが今の日本ではないか・・・
・お金は大事で何をするにも必要なので若い人には増やすことも重要だが、ある程度の年齢に
なった人は、いかに使って減らしていくかを考えた方が楽しい人生になると思う
・・・・・
わたくしと同世代で証券会社を定年退職後に「経済コラムニスト」になられた著者の本で、
今後どうするかはさておき、お金や投資などについて素人にも分かりやすく書かれてました
ブログ開設20周年の前回記事で終活を決意した!!!わたくしですが、はてさて・・・

2024年10月29日
万物の黎明
とーとつですが・・・

The Dawn of Everything~A New History of Humanity~
万物の黎明~人類史を根本からくつがえす~であります
表紙カバー裏にあった惹句

そう、著者2人は(瞬く間に古典となったこの本により)、
ガリレオが天文学で、ダーウィンが生物学でなしたことを人類学でおこなったのだ
と
裏表紙カバー裏にあった著者2人と訳者の紹介

著者2人は人類学の教授と考古学の教授で訳者は社会思想史・都市社会論の教授・・・
わたくし文明史や人類史にも興味があるのですが人類学と考古学の専門家が共同執筆した本は
はじめてで、確かに思想家などの本より説得力があって、目からウロコでした
特にこれまでの文明史には殆ど出てこなかった南北アメリカやウクライナなど、いわゆる
「〇大文明」以外の古代文明にも着目して、人類学と考古学の最新成果から、これまでの
歴史観を覆すような事実が次々と紹介されてて、あらためて自分の無知を思い知りました
奥付

初版から1ヶ月で3刷まで増刷されてますから、この分野の本としては驚異的ですね
わたくしも発行と同時に購入図書館予約してましたが約1年待ちでした
例によって目次のみ


参考文献も含めると700頁ちかい大著で、本文も二段組の小さな文字がぎっしりと並び、
しかも図版は少なめで、長めのセンテンスがひたすら続いてました・・・
ともかく、まずは第1章の冒頭から要点などをメモ・・・
(著作物からの個人メモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
・ルソーかホッブズかの二者択一を乗り越える過去数十年の研究結果からの反論が本書
→狩猟採集世界は平等な小集団ではなく大胆な社会的実験で政治形態のオンパレードだった
→農耕社会に私有財産や不平等はなく共同体の多くは身分やヒエラルキーから解放されていた
→世界最古の都市も多くは階級的区分を有さず強い平等主義で統治者や役人は必要なかった
・歴史に「傾向」はある(それに逆らう人も多い)が、「法則」はつくりあげられたもの
・ルソー、フクヤマ、ダイアモンド批判
→小規模集団が平等主義だった根拠も大規模集団には統治者や官僚が必要だった根拠もない
→事実を知らないで偏見を歴史の法則にしているだけ
・ネイティブアメリカン社会の共同体のきずなの強さ、相互のケア、愛、幸福・・・
→ヨーロッパ環境の安全な都市より人をワクワクさせるものだったからみんな逃げた
→矢を射られた時に深く気遣ってくれる人がいるという感覚も「安全」・・・
・・・と、確かに興味津々の内容でしたが、ここまでで本文の約1/600・・・
数十年に及ぶ研究成果ですが一般向けに書かれており、訳者も一般読者を対象に訳されてて
長いセンテンスでも読み込めば面白いのですが、この調子でメモしながら読みすすめると、
とても図書館の返却期限には間に合いそうにもなく、かといって買ってしまえば、今度は
いつでも読めるとなって「積ん読」になるのは必定・・・
つーことで、とりあえず・・・
飛ばし読みする中で(けっこうお茶目だった
)各項目の見出し部分だけを要点メモ
第1章の見出し要点メモ
・なぜホッブズ流とルソー流の人類史モデルが政治的に悲惨な意味合いを持つのか
・人類史の流れに関する一般的理解が間違っている簡潔な実例
(ジャン・ジャック・ルソー、フランシス・フクヤマ、ジャレド・ダイアモンド・・・)
・幸福の追求について
(アダム・スミス、アダム・ファーガソン、ジョン・ミラー、ルイス・ヘンリー・モーガン、
スティーヴン・ピンカー、ナポレオン・シャグノン・・・)
・なぜ従来の人類史の語り口は間違っているだけでなく必要以上に退屈であるのか
・これ以降の展開について
第2章の見出し要点メモ
・ヨーロッパ中心主義に対する批判がどのように裏目に出て、先住民の思想家を
「操り人形」に仕立て上げてしまうのか
・ニューフランスの住民がヨーロッパからの侵略者をどうみていたのか、とりわけ寛大さ、
社交力、物質的な豊かさ、犯罪、刑罰、自由の問題をどうみていたが考察される
・ヨーロッパ人が(ネイティブ)アメリカンから理に適った討議、個人の自由、恣意的な権力の
拒否をどう学んだかが示される
・ウェンダットの哲学者・政治家カンディアロングが紹介され、彼の人間性や見解が、
どのように啓蒙時代ヨーロッパのサロンに影響したのかが説明される
・ARJテュルゴーの世界形成力が説明され、彼がどのように先住民による批判を覆し、
現代の社会進化論の基礎を築いたかが説明される
・ルソーはいかにして(懸賞論文で)人類の歴史を制覇するにいたったか
・先住民による批判と進歩の神話、左翼誕生の関係が考察される
・「愚かな未開人の神話」を超えて(これが本書に重要である理由)
第3章の見出し要点メモ
・サイエンス・パラドクスが、なぜ煙幕であるか
・優れた研究者でさえ社会的不平等には起源があると考えてしまう理由
・氷河期社会の実態が従来の狩猟採集民イメージを覆していること、
3万年前の社会階層化の証拠とされるものの実態
・未開人には意識的思考ができないという先入観の排除、その思考の歴史的重要性
・人類学者ストロースはナンビクワラ族から首長の役割と社会生活の季節的変化について
何を学んだか
・氷河期とそれ以降の個人と季節的変異の証拠
・バッファロー警察(社会政治における季節性の役割)
・問題は「社会的不平等の起源」ではなく「どのように閉塞したのか」
・サピエンス(かしこい)であることの本当の意味
第4章の見出し要点メモ
・人類は人口が増えれば増えるほど小規模で生活したことの説明
・平等主義的社会では何が平等の対象になるのかの問い
・マーシャル・サーリンズの「初源の豊かな社会」の検討
(証拠がない状態で先史時代について書くとどうなるか・・・)
・北アメリカと日本での古代狩猟採集民に関する新たな発見が社会進化を根底から覆す
(ルイジアナ州ポヴァティ・ポイント、三内丸山や100年周期で続く縄文遺跡)
・狩猟採集民は未熟で素朴という神話が、なぜ現代まで生き延びているか
・定住する狩猟採集民は例外という馬鹿げた議論を退ける
・ついに所有の問題が語られ、不可侵なるものとの関係が探求される
第5章の見出し要点メモ
・はじめて文化的分化の問題が考察される
・文化圏という乱暴、不適切、攻撃的だが示唆に富む方法の考察
・モースの洞察が太平洋岸へ適用され、ゴールドシュタットが「プロテスタント的狩猟採集民」
と表現したことが不合理ではあるものの、いまだに何かを語りかける理由
・「プロテスタント的狩猟採集民」と「漁夫王(フィッシャーキング)」の分裂生成の論証
・奴隷制と生産様式の一般的性質について
・他人を奴隷にして一獲千金を狙う危険性を説いた先住民族の説話
(と、「銃・病原菌・鉄」についての余談)
・魚を釣るのと、どんぐりを拾うのと、どっちがいいかな?
・太平洋破片地帯(シャッターゾーン)の培養/耕作
・いくつかの結論
第6章の見出し要点メモ
・プラトンの偏見が農耕発明についての考えを曇らせている
・世界最古の町チャタルホユックの歴史
・学術世界のちょっとした立入禁止区域のひとつ、新石器時代母権制の可能性
・世界で最も有名な新石器時代の町の生活
・初期農耕共同体における社会生活の季節性
・肥沃な三日月地帯の分解
・スローなコムギといかにして農耕民になったかの通俗理論
・新石器時代農耕の進化の遅さ、ルソーに反し畑の囲い込みをしなかった理由
・科学者である女性
・耕作すべきか、せざるべきか、それは単なる思い込み(ギョベクリ・テペ遺跡)
・意味論的な罠と形而上学的な蜃気楼
第7章の見出し要点メモ
・家畜や農作物の世界的な移動を論じる際の用語法の問題
・なぜ農耕はもっと早く発達しなかったのか
・新石器時代の教訓話
中央ヨーロッパ最初の農耕民の悲惨かつ驚嘆すべき命運
・転換期のナイル川流域の転換とオセアニア島嶼部への植民
・アマゾニアの事例と遊戯農耕(プレイファーミング)の諸可能性について
・しかし、なぜそれが重要なのか(目的論的推論の危険性)
第8章の見出し要点メモ
・悪名高きスケールの問題をはじめて取り上げる
・諸都市の背景の描写、初期都市誕生の推測
・メガサイト(巨大遺跡)とウクライナでの考古学的発見が都市起源に関する常識を覆す
・メソポタミア、それほど原始的でない民主制について
・インダス文明が王権以前のカーストであったか否か
・中国先史時代の明白な都市革命の事例
第9章の見出し要点メモ
・マヤ低地の外来王の例とティオティワカンとの関係
・ティオティワカンの人々はいかにしてモニュメント建設や人身御供に背を向けて、
かわりに社会住宅プロジェクトに乗り出したのか
・アステカ帝国に抵抗してスペイン侵略者と手を組むことにした共和制トラスカラの事例
第10章の見出し要点メモ
・財産と権力を支配する3つの基本形態が提示され、人類史の探求に・・・
(ジェームス・ボンドは暴力(殺しのライセンス)、情報(秘密へのアクセス)、カリスマ性を
兼ね備えているが、前二者を支えているのは国家の官僚機構)
(カリスマ性は民主主義で相殺されると思っているが近代の民主主義は大物の勝敗ゲーム)
・アステカ、インカ、マヤ(それからスペイン)について
・脱線して時のかたち、興亡のメタファー、政治的バイアス・・・
・スポーツとしての政治→オルメカの事例
・像(イメージ)に築かれた帝国?チャビン・デ・ワンタル
・国家なき主権(ナチェズの事例)
・古代エジプト起源時のケアリング労働、儀礼的殺害、小さな泡の集合
(農耕と儀礼→パンとビール
→インカでは凍結乾燥ジャガイモとトウモロコシビール
)
・中国からメソアメリカの初期国家の差異(共通点はない)
・支配3原則からのエジプト再考と暗黒時代の再検討
・官僚制の起源は以外にも小規模スケールで発見(シリアのテル・サビ・アルヤド遺跡)
・知識武装後の社会変化の基本的前提
・コーダ、文明、空虚な壁、歴史・・・
第11章の見出し要点メモ
・ジェームズCスコットの過去5000年に関する議論、今のグローバル社会組織は必然的か
・北アメリカの統一されたクラン・システム、ホープウェル交流圏の役割
・アメリカ最初の国家になりそうなカホキアのストーリー
・ミシシッピ世界の崩壊、ヨーロッパ人が侵入した頃の新しい政治への端緒
・のちにモンテスキューが「法の精神」で称賛された自己構成原理を、オーセージ族は
どのようにして体現するようになったのか?
・カンディアロングの政治哲学の再考
(第12章は見出しなし)
ま、さすがに見出しメモだけでは飛ばし読みした内容を思い出せないので・・・
巻末の「訳者あとがきにかえて」にあった、訳者が各章のポイントとして紹介されてた部分のみ
(それでも40頁ほどありましたが)要点をメモしました
以下、例によって読み違いも多いので、興味を持たれた方は本書の熟読をお願いしますね
(こちらも著作物からの個人メモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
「訳者あとがきにかえて」より各章のポイント
第1章
・本書全体の問題設定の提示
・人は20万年の人類の歴史を知らず、知らないという自覚もないので安易な物語で埋めてきた
→それはおよそルソー版とホッブズ版に分類できる
→小集団→農業革命→都市→文明→国家・・・
(文字文献、科学、哲学、家父長制、常備軍、大量殺戮、官僚制・・・)
→最近の考古学的・人類学的な発見から別の歴史を描き出す→(人類史の)幼年期の終わり
第2章
・ルソーとホッブズに代表される神話の系譜(略)
・西洋思想と先住民による批判(とりわけイエズス会の書簡集全71巻から)
→西洋の競争、金銭に対する執着、ホームレス放置、同胞の見殺し、人の発言を遮る不作法、
弁舌の粗暴さ、女性の不自由、上に卑屈で下に厳しい態度・・・
→先住民の知識人たちから蔑むべき野蛮と批判されていた
→著者二人はこの「周縁化された知」を梃子に近代史・人類史全体にヴィジョンを拡大した
第3章
・最終氷期だった後期旧石器時代からの人類史の再検討
→ハラリ、ダイアモンドなどのビッグストーリー批判
→豪奢な埋葬やモニュメントとヒエラルキーは常時は存在しなかった(痕跡がない)
→多くが季節によってヒエラルキーを組織しては解体し複数の社会組織を往復していた
→かつての人類学者には自明だったこの事実が20世紀後半に失われ小集団で平等主義で孤立した
狩猟採集民のイメージが支配するようになった
→人類は初期より自覚的に社会を組み替える成熟した政治的アクターだったことが忘却された
・ワイアード誌ヴァージニア・ヘファーナンの書評より
→実際に先住民社会は複雑かつ変幻自在だった
→シャイアン族とラコタ族は警察部隊を組織し人々をバッファロー狩りに参加させていた
→ナチェズ族は出不精な独裁者を敬うふりをして自由に行動していた
→著者は巨大な遺跡や墓を階級制度の証拠とする通説にも見直しを迫った
(旧石器時代の墓の大半は有力者ではなく身体的異常を持つ異端者が埋葬されていた)
→人間は自然状態だったことなどなく皮肉屋で感覚的で内省的だった
→全人類に共通したプログラミングなど存在しない
・人類の社会的不平等の根源は何か、ではなく、人類はどのようにして停滞したのかの問い、
平等の喪失ではなく、自由の喪失の問いが本書の核心
第4章
・氷河期終了以降から農耕開始以前に世界各地で生まれた文化的組織法の検討
→前章の問いへの応答が開始される(どうして閉塞したのか)
→農耕開始以前の単純素朴な狩猟採集民というイメージを覆し、多様性に富んでいたことを
明らかにすることを目的にしている
・人類は時代とともに社会規模を大きくしていったという発展イメージの逆転
→長距離移動で離合集散を繰り返していた後期旧石器時代のコスモポリタン
→中石器時代から新石器時代にかけて独自の文化を形成し閉域としての社会を構成
(これが閉塞のひとつの条件→世界は狭くなったのだ!!!)
→環境や生産様式による決定ではなく、異なる価値、異なるモラルを自覚的に発展させる
政治や選択の意志の作動
・平等概念の系譜
→先住民は財産の平等については問題にしておらず相互扶助と個人の自由の発展をはばむ
ヨーロッパ社会を批判していた
→かれらには財産の多寡が権力の多寡に転換する事態は考えられなかった
→平等主義的社会の実質は自由社会であり構成員が自由民であることの確認
→狩猟採集民の社会組織の多様性(余剰生産、植物栽培を拒絶して余暇を選ぶにせよ多様性)
→フロリダのカルーサ族(王のヒエラルキーを保持)、北アメリカのポヴァティ・ポイント、
日本の三内丸山遺跡、ヨーロッパの複数モニュメント遺跡・・・
→いずれも単純素朴な非農耕民という神話を覆しアーケイック期や縄文時代という長期にわたる
「なめらかな平面」時代区分の見直しをせまる遺跡
・私的所有
→所有を知らない単純素朴な狩猟採集民といったイメージを覆すための複雑な私的所有の分析
→大半は「儀礼の檻」によって一部領域に封じられ、権力との結びつきを阻止されている
→奴隷所有に密着する古代ローマ由来の所有権観念は、人類史上では異例中の異例とする
第5章
・「なめらかな平面」から諸文化、諸社会への分化のプロセスとダイナミズム
→北アメリカ西海岸の北西文化圏とカリフォルニア文化圏の相互作用をめぐる分析(人類学)
→地理的な同一化と反同一化の運動、支配の拒絶に関わる運動・・・略
→ヒエラルキーや戦争、農耕の否定、エコロジー意識・・・略
第6章
・人類と農耕、定住しながら「コムギの奴隷」を拒絶したことを論じた章
→更新世から完新世へとステージが移行し農耕の起源にまつわる考察が展開される
→シリアスではない農耕、祝祭的雰囲気(遊戯性)、ジェンダー・・・
→「農業革命」のイメージを転覆させる諸要素が集約されている
・野生穀物の栽培開始から栽培化課程完了までの3000年のギャップ
(本来なら手をかけなくても数世代で完了する→実験考古学の成果)
→コムギの奴隷になることを拒絶し、付き合い、戯れ、イノベーションを積み重ねていた
・狩猟採集から農耕への移行を表現している新石器時代の町チャタルホユック
→シリアスではない農耕(氾濫農耕)、季節性、女性の優位性・・・
・「農業革命」→私有財産の誕生、不平等へのステップとされるが・・・
→革命より長期で多発的で最初の農業共同体の多くは身分やヒエラルキーから解放されていた
→コムギ、コメ、トウモロコシなどの知識は当初、儀礼的な遊戯農耕によって維持されていた
→新石器時代の革新の殆どは女性により何世紀にもわたって蓄積されてきた知識の集合体
→地味だが重要な発見が延々と繰り返されていた
第7章
・遊戯農耕のシリアス農耕への転化は直線的な発展段階ではなく、家畜化・栽培化の拡大も
一様のプロセスをたどっていないことを複数の領域で確認する章→シリアス農耕の多様性
→農業による食糧生産から国家への道も直線ではなかった
(肥沃な三日月地帯の「国家のようなもの」はたまたまで、農耕が必然的に伝播するイメージは、
ヨーロッパによる植民地化経験イメージの過去への投影にすぎない)
→シリアスな農耕はニッチで貧しい地域で生まれ発達した
→恵まれた地域は遊戯農耕を実践した→エコロジカルな柔軟性
→アマゾニアの事例は数千年にわたりその境界線を保持していた→人間と非人間の相互作用
(恵まれた狩猟採集民にとっては、まさに「趣味の園芸」だったんですね!!!
)
第8章
・初期都市論
→ウクライナ、メソポタミア、インダス、中国の初期都市の検討
→社会規模が大きくなれば命令権力でしかまとまらないのか?
→ウクライナとモルドバの遺跡の例
→メソポタミア最古の都市より古くて規模が大きく8世紀あまり人が居住していた
→集権的統治の痕跡もヒエラルキーの痕跡もなかった
→同様の都市をメソポタミア、インダス、中国にも見いだしていく・・・
・殷の時代以前の晋南盆地の陶寺遺跡
→都市の拡大とともに階級的分化とヒエラルキー拡大の証拠がみられる
→拡大が数世紀続いたのちに無政府状態となったが、その後も数世紀にわたり
都市自体は拡大している
→これは階級制度の廃棄(社会革命)で繁栄した世界初の記録証拠ではないか
→自覚的な社会実験の場と転じた世界最古の都市の事例ではないか
→通常イメージする時間の進展を逆転させる「都市革命」のヴィジョン・・・
第9章
・メソアメリカの政治的都市革命
→ティオティワカンも当初は都市の膨張とともにモニュメント建設など近隣のマヤ都市国家と
同様の戦士貴族文明をめざしていたようにみえた
→ところが3世紀後に神殿やモニュメント建設をやめ民衆のための集合住宅建設をはじめた
→多元的多言語都市として発展し集権制やヒエラルキーとは異なる異質な文化芸術に
→奴隷や貴族賛美が排除され共同体全体が重視された→集団的ガバナンス
→コルテスに協力したアステカの都市トラスカラの都市評議会の例(略)
第10章
・理論的総括といったおもむきの章で国家という概念をお払い箱にしようという野心的な章
→「所与の領域内で合法的な強制力の使用を独占することを主張する機関」としての国家
→この概念には近代的国民国家のみが該当する
→人類史にも適用されると、どの社会を国家とするのか見えなくなる
→さらに社会の複雑化と国家形成の連動には進化論的な含みもひそんでいる
→進化論的な国家以外にも様々な社会があったことは前章までで見てきた
→国家は現実を見えなくする概念なので国家を3つの原理に分解して考察
・社会的権力の基盤となる3つの原理→暴力、情報(知)、カリスマ
→近代国家では主権、行政装置、選挙制度だが人類史において近代国家はひな型にならない
→国家の起源の問いにかえて3つの要素の編成と支配の構造を考察
(メソアメリカ、南アメリカ、ナチェズ族、エジプトなどの事例から→略)
→殆どの社会組織は3つの要素の1つないし複数を編成している(近代国家は3つすべて)
→国家の手前の3つの要素で各社会組織を考察
・強力な王権、行政機構があったとしても「国家が存在しないという感覚」が必要
→クレタ島ミノア文明の相互扶助、社会的協働、市民的活動、歓待、他者ケアリング
→世界史の軌道を外れているが文明という視点で照射すれば生き生きとあらわれる
→考古学はサウジアラビアやペルーの砂漠、カザフスタンの大草原、アマゾンの熱帯林でも
このような「失われた文明」の証拠を今後も次々と発見していく
→それらに現代的国民国家イメージを投影するのではなく、それらが語る別の種類の社会的
可能性を考察しなければならない
第11章
・西暦200年~1600年あたりの北アメリカ史(東部ウッドランド文化)を通覧して、
国家あるいは帝国への展開と突然の(自然災害と絡み合った)拒絶をみるという構成
・第4章で既述のポヴァティ・ポイント、ホープウェル文化圏、カホキア国家の発展と解体、
多数の小王制から世襲原則を拒絶する部族的共和政体へ・・・(略)
→カホキアのような国家に引き返すことを拒絶し、独特の合意形成システムを構築して、
(それはモンテスキューを介して近代民主制に流れ込んでいるかも知れないのだ)
独特の反権威主義的哲学を発展させた
・なのでイエズス会などヨーロッパ人が新世界で遭遇したカンディアロングたち「未開人」は、
ヨーロッパのような富と暴力の文明をすでに熟知し拒絶して別の文明を構築しようとしていた
第12章
・本書の重要な論点が異なる観点から再論され、新しい情報で肉付けされた章
→著者2人のいう「3つの基本的自由」を捉え返す
(①移動し離脱する自由、②服従しない自由、③社会的関係を組み替える自由)
→ケアと暴力の結びつきが閉塞の主要な要因であるとする仮説
→慈善空間、保護と閉鎖、家父長制の形成、北西海岸の奴隷制、古代メソポタミア、古代エジプト
(以下も「訳者あとがきにかえて」からのランダムなメモです)
・本書はルソー=ホッブス的パラダイム(戦争と侵略、搾取、家父長制、供犠、モニュメント、
物質的繁栄、必然的歴史意識などの系列からなる文明観)に対立する、より基盤的な文明の
系列を浮上させることに成功した
・「文明(ラテン語のcivilis)という言葉は自発的連合による組織化を可能にする政治的知恵や
相互扶助のもつ諸性質を意味している」
・「文明とは本来インカの廷臣や殷の王朝ではなく、アンデスのアイリュ連合やバスクの村落が
示すような諸性質の類型を意味していたのである」
・「相互扶助、社会的協働、市民的活動、歓待(ホスピタリティ)、あるいは単なる他者への
ケアリングなどが文明を形成していたのだとすれば、文明史の叙述は始まったばかりなのだ」
・「英語の自由freedomは、friendを意味するゲルマン系の語源に由来する」
→友をつくる、約束を守る、平等な共同体で生きることを意味していた
→社会的紐帯を形成できない奴隷であることと対立する概念
・友情は3つの基本的自由のうち③社会的関係を組み替える自由にあたる
→①離脱する自由、②服従しない自由が微弱なら、変革もできず社会は閉塞する
→離脱できず服従を余儀なくされる社会では友情も成立せず孤立する
・最近の日本社会の「孤独礼賛」風潮は、自由の喪失と関係しているのではないか
→つらい職場でも辞められないのは離脱すれば生活に困るから
→嫌なことにも逆らえず社会変革も思えなくなる社会は閉塞していく
・世界最初の都市住民が環境や同胞に負荷を与えていたわけではないこと、
地球の未来を選挙政治にゆだねなければならない「歴史の法則」などないこと、
移民が歓待の危機と直結する必然性などないことは、新しい人類史からわかってきている
・本書は対話を呼びかける招待状だと思いたい
→地球温暖化から地球沸騰化のステージに移行して破局の時代に突入したが、
→破局のときは長期の閉塞を打ち破るカイロスのときでもある
→このチャンスをつかむ招待状を(日本語に直したので)受け取ってほしい・・・
まさに目からウロコの本だったので特に人類史・文明史に興味のない方にもオススメします

The Dawn of Everything~A New History of Humanity~
万物の黎明~人類史を根本からくつがえす~であります
表紙カバー裏にあった惹句

そう、著者2人は(瞬く間に古典となったこの本により)、
ガリレオが天文学で、ダーウィンが生物学でなしたことを人類学でおこなったのだ
裏表紙カバー裏にあった著者2人と訳者の紹介

著者2人は人類学の教授と考古学の教授で訳者は社会思想史・都市社会論の教授・・・
わたくし文明史や人類史にも興味があるのですが人類学と考古学の専門家が共同執筆した本は
はじめてで、確かに思想家などの本より説得力があって、目からウロコでした
特にこれまでの文明史には殆ど出てこなかった南北アメリカやウクライナなど、いわゆる
「〇大文明」以外の古代文明にも着目して、人類学と考古学の最新成果から、これまでの
歴史観を覆すような事実が次々と紹介されてて、あらためて自分の無知を思い知りました

奥付

初版から1ヶ月で3刷まで増刷されてますから、この分野の本としては驚異的ですね
わたくしも発行と同時に

例によって目次のみ


参考文献も含めると700頁ちかい大著で、本文も二段組の小さな文字がぎっしりと並び、
しかも図版は少なめで、長めのセンテンスがひたすら続いてました・・・

ともかく、まずは第1章の冒頭から要点などをメモ・・・
(著作物からの個人メモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
・ルソーかホッブズかの二者択一を乗り越える過去数十年の研究結果からの反論が本書
→狩猟採集世界は平等な小集団ではなく大胆な社会的実験で政治形態のオンパレードだった
→農耕社会に私有財産や不平等はなく共同体の多くは身分やヒエラルキーから解放されていた
→世界最古の都市も多くは階級的区分を有さず強い平等主義で統治者や役人は必要なかった
・歴史に「傾向」はある(それに逆らう人も多い)が、「法則」はつくりあげられたもの
・ルソー、フクヤマ、ダイアモンド批判
→小規模集団が平等主義だった根拠も大規模集団には統治者や官僚が必要だった根拠もない
→事実を知らないで偏見を歴史の法則にしているだけ
・ネイティブアメリカン社会の共同体のきずなの強さ、相互のケア、愛、幸福・・・
→ヨーロッパ環境の安全な都市より人をワクワクさせるものだったからみんな逃げた
→矢を射られた時に深く気遣ってくれる人がいるという感覚も「安全」・・・
・・・と、確かに興味津々の内容でしたが、ここまでで本文の約1/600・・・
数十年に及ぶ研究成果ですが一般向けに書かれており、訳者も一般読者を対象に訳されてて
長いセンテンスでも読み込めば面白いのですが、この調子でメモしながら読みすすめると、
とても図書館の返却期限には間に合いそうにもなく、かといって買ってしまえば、今度は
いつでも読めるとなって「積ん読」になるのは必定・・・
つーことで、とりあえず・・・
飛ばし読みする中で(けっこうお茶目だった
)各項目の見出し部分だけを要点メモ第1章の見出し要点メモ
・なぜホッブズ流とルソー流の人類史モデルが政治的に悲惨な意味合いを持つのか
・人類史の流れに関する一般的理解が間違っている簡潔な実例
(ジャン・ジャック・ルソー、フランシス・フクヤマ、ジャレド・ダイアモンド・・・)
・幸福の追求について
(アダム・スミス、アダム・ファーガソン、ジョン・ミラー、ルイス・ヘンリー・モーガン、
スティーヴン・ピンカー、ナポレオン・シャグノン・・・)
・なぜ従来の人類史の語り口は間違っているだけでなく必要以上に退屈であるのか
・これ以降の展開について
第2章の見出し要点メモ
・ヨーロッパ中心主義に対する批判がどのように裏目に出て、先住民の思想家を
「操り人形」に仕立て上げてしまうのか
・ニューフランスの住民がヨーロッパからの侵略者をどうみていたのか、とりわけ寛大さ、
社交力、物質的な豊かさ、犯罪、刑罰、自由の問題をどうみていたが考察される
・ヨーロッパ人が(ネイティブ)アメリカンから理に適った討議、個人の自由、恣意的な権力の
拒否をどう学んだかが示される
・ウェンダットの哲学者・政治家カンディアロングが紹介され、彼の人間性や見解が、
どのように啓蒙時代ヨーロッパのサロンに影響したのかが説明される
・ARJテュルゴーの世界形成力が説明され、彼がどのように先住民による批判を覆し、
現代の社会進化論の基礎を築いたかが説明される
・ルソーはいかにして(懸賞論文で)人類の歴史を制覇するにいたったか
・先住民による批判と進歩の神話、左翼誕生の関係が考察される
・「愚かな未開人の神話」を超えて(これが本書に重要である理由)
第3章の見出し要点メモ
・サイエンス・パラドクスが、なぜ煙幕であるか
・優れた研究者でさえ社会的不平等には起源があると考えてしまう理由
・氷河期社会の実態が従来の狩猟採集民イメージを覆していること、
3万年前の社会階層化の証拠とされるものの実態
・未開人には意識的思考ができないという先入観の排除、その思考の歴史的重要性
・人類学者ストロースはナンビクワラ族から首長の役割と社会生活の季節的変化について
何を学んだか
・氷河期とそれ以降の個人と季節的変異の証拠
・バッファロー警察(社会政治における季節性の役割)
・問題は「社会的不平等の起源」ではなく「どのように閉塞したのか」
・サピエンス(かしこい)であることの本当の意味
第4章の見出し要点メモ
・人類は人口が増えれば増えるほど小規模で生活したことの説明
・平等主義的社会では何が平等の対象になるのかの問い
・マーシャル・サーリンズの「初源の豊かな社会」の検討
(証拠がない状態で先史時代について書くとどうなるか・・・)
・北アメリカと日本での古代狩猟採集民に関する新たな発見が社会進化を根底から覆す
(ルイジアナ州ポヴァティ・ポイント、三内丸山や100年周期で続く縄文遺跡)
・狩猟採集民は未熟で素朴という神話が、なぜ現代まで生き延びているか
・定住する狩猟採集民は例外という馬鹿げた議論を退ける
・ついに所有の問題が語られ、不可侵なるものとの関係が探求される
第5章の見出し要点メモ
・はじめて文化的分化の問題が考察される
・文化圏という乱暴、不適切、攻撃的だが示唆に富む方法の考察
・モースの洞察が太平洋岸へ適用され、ゴールドシュタットが「プロテスタント的狩猟採集民」
と表現したことが不合理ではあるものの、いまだに何かを語りかける理由
・「プロテスタント的狩猟採集民」と「漁夫王(フィッシャーキング)」の分裂生成の論証
・奴隷制と生産様式の一般的性質について
・他人を奴隷にして一獲千金を狙う危険性を説いた先住民族の説話
(と、「銃・病原菌・鉄」についての余談)
・魚を釣るのと、どんぐりを拾うのと、どっちがいいかな?
・太平洋破片地帯(シャッターゾーン)の培養/耕作
・いくつかの結論
第6章の見出し要点メモ
・プラトンの偏見が農耕発明についての考えを曇らせている
・世界最古の町チャタルホユックの歴史
・学術世界のちょっとした立入禁止区域のひとつ、新石器時代母権制の可能性
・世界で最も有名な新石器時代の町の生活
・初期農耕共同体における社会生活の季節性
・肥沃な三日月地帯の分解
・スローなコムギといかにして農耕民になったかの通俗理論
・新石器時代農耕の進化の遅さ、ルソーに反し畑の囲い込みをしなかった理由
・科学者である女性
・耕作すべきか、せざるべきか、それは単なる思い込み(ギョベクリ・テペ遺跡)
・意味論的な罠と形而上学的な蜃気楼
第7章の見出し要点メモ
・家畜や農作物の世界的な移動を論じる際の用語法の問題
・なぜ農耕はもっと早く発達しなかったのか
・新石器時代の教訓話
中央ヨーロッパ最初の農耕民の悲惨かつ驚嘆すべき命運
・転換期のナイル川流域の転換とオセアニア島嶼部への植民
・アマゾニアの事例と遊戯農耕(プレイファーミング)の諸可能性について
・しかし、なぜそれが重要なのか(目的論的推論の危険性)
第8章の見出し要点メモ
・悪名高きスケールの問題をはじめて取り上げる
・諸都市の背景の描写、初期都市誕生の推測
・メガサイト(巨大遺跡)とウクライナでの考古学的発見が都市起源に関する常識を覆す
・メソポタミア、それほど原始的でない民主制について
・インダス文明が王権以前のカーストであったか否か
・中国先史時代の明白な都市革命の事例
第9章の見出し要点メモ
・マヤ低地の外来王の例とティオティワカンとの関係
・ティオティワカンの人々はいかにしてモニュメント建設や人身御供に背を向けて、
かわりに社会住宅プロジェクトに乗り出したのか
・アステカ帝国に抵抗してスペイン侵略者と手を組むことにした共和制トラスカラの事例
第10章の見出し要点メモ
・財産と権力を支配する3つの基本形態が提示され、人類史の探求に・・・
(ジェームス・ボンドは暴力(殺しのライセンス)、情報(秘密へのアクセス)、カリスマ性を
兼ね備えているが、前二者を支えているのは国家の官僚機構)

(カリスマ性は民主主義で相殺されると思っているが近代の民主主義は大物の勝敗ゲーム)
・アステカ、インカ、マヤ(それからスペイン)について
・脱線して時のかたち、興亡のメタファー、政治的バイアス・・・
・スポーツとしての政治→オルメカの事例
・像(イメージ)に築かれた帝国?チャビン・デ・ワンタル
・国家なき主権(ナチェズの事例)
・古代エジプト起源時のケアリング労働、儀礼的殺害、小さな泡の集合
(農耕と儀礼→パンとビール
→インカでは凍結乾燥ジャガイモとトウモロコシビール
)・中国からメソアメリカの初期国家の差異(共通点はない)
・支配3原則からのエジプト再考と暗黒時代の再検討
・官僚制の起源は以外にも小規模スケールで発見(シリアのテル・サビ・アルヤド遺跡)
・知識武装後の社会変化の基本的前提
・コーダ、文明、空虚な壁、歴史・・・
第11章の見出し要点メモ
・ジェームズCスコットの過去5000年に関する議論、今のグローバル社会組織は必然的か
・北アメリカの統一されたクラン・システム、ホープウェル交流圏の役割
・アメリカ最初の国家になりそうなカホキアのストーリー
・ミシシッピ世界の崩壊、ヨーロッパ人が侵入した頃の新しい政治への端緒
・のちにモンテスキューが「法の精神」で称賛された自己構成原理を、オーセージ族は
どのようにして体現するようになったのか?
・カンディアロングの政治哲学の再考
(第12章は見出しなし)
ま、さすがに見出しメモだけでは飛ばし読みした内容を思い出せないので・・・

巻末の「訳者あとがきにかえて」にあった、訳者が各章のポイントとして紹介されてた部分のみ
(それでも40頁ほどありましたが)要点をメモしました

以下、例によって読み違いも多いので、興味を持たれた方は本書の熟読をお願いしますね
(こちらも著作物からの個人メモなので公開に問題があれば非公開設定にします)
「訳者あとがきにかえて」より各章のポイント
第1章
・本書全体の問題設定の提示
・人は20万年の人類の歴史を知らず、知らないという自覚もないので安易な物語で埋めてきた
→それはおよそルソー版とホッブズ版に分類できる
→小集団→農業革命→都市→文明→国家・・・
(文字文献、科学、哲学、家父長制、常備軍、大量殺戮、官僚制・・・)
→最近の考古学的・人類学的な発見から別の歴史を描き出す→(人類史の)幼年期の終わり
第2章
・ルソーとホッブズに代表される神話の系譜(略)
・西洋思想と先住民による批判(とりわけイエズス会の書簡集全71巻から)
→西洋の競争、金銭に対する執着、ホームレス放置、同胞の見殺し、人の発言を遮る不作法、
弁舌の粗暴さ、女性の不自由、上に卑屈で下に厳しい態度・・・
→先住民の知識人たちから蔑むべき野蛮と批判されていた
→著者二人はこの「周縁化された知」を梃子に近代史・人類史全体にヴィジョンを拡大した
第3章
・最終氷期だった後期旧石器時代からの人類史の再検討
→ハラリ、ダイアモンドなどのビッグストーリー批判
→豪奢な埋葬やモニュメントとヒエラルキーは常時は存在しなかった(痕跡がない)
→多くが季節によってヒエラルキーを組織しては解体し複数の社会組織を往復していた
→かつての人類学者には自明だったこの事実が20世紀後半に失われ小集団で平等主義で孤立した
狩猟採集民のイメージが支配するようになった
→人類は初期より自覚的に社会を組み替える成熟した政治的アクターだったことが忘却された
・ワイアード誌ヴァージニア・ヘファーナンの書評より
→実際に先住民社会は複雑かつ変幻自在だった
→シャイアン族とラコタ族は警察部隊を組織し人々をバッファロー狩りに参加させていた
→ナチェズ族は出不精な独裁者を敬うふりをして自由に行動していた
→著者は巨大な遺跡や墓を階級制度の証拠とする通説にも見直しを迫った
(旧石器時代の墓の大半は有力者ではなく身体的異常を持つ異端者が埋葬されていた)
→人間は自然状態だったことなどなく皮肉屋で感覚的で内省的だった
→全人類に共通したプログラミングなど存在しない
・人類の社会的不平等の根源は何か、ではなく、人類はどのようにして停滞したのかの問い、
平等の喪失ではなく、自由の喪失の問いが本書の核心
第4章
・氷河期終了以降から農耕開始以前に世界各地で生まれた文化的組織法の検討
→前章の問いへの応答が開始される(どうして閉塞したのか)
→農耕開始以前の単純素朴な狩猟採集民というイメージを覆し、多様性に富んでいたことを
明らかにすることを目的にしている
・人類は時代とともに社会規模を大きくしていったという発展イメージの逆転
→長距離移動で離合集散を繰り返していた後期旧石器時代のコスモポリタン
→中石器時代から新石器時代にかけて独自の文化を形成し閉域としての社会を構成
(これが閉塞のひとつの条件→世界は狭くなったのだ!!!)
→環境や生産様式による決定ではなく、異なる価値、異なるモラルを自覚的に発展させる
政治や選択の意志の作動
・平等概念の系譜
→先住民は財産の平等については問題にしておらず相互扶助と個人の自由の発展をはばむ
ヨーロッパ社会を批判していた
→かれらには財産の多寡が権力の多寡に転換する事態は考えられなかった
→平等主義的社会の実質は自由社会であり構成員が自由民であることの確認
→狩猟採集民の社会組織の多様性(余剰生産、植物栽培を拒絶して余暇を選ぶにせよ多様性)
→フロリダのカルーサ族(王のヒエラルキーを保持)、北アメリカのポヴァティ・ポイント、
日本の三内丸山遺跡、ヨーロッパの複数モニュメント遺跡・・・
→いずれも単純素朴な非農耕民という神話を覆しアーケイック期や縄文時代という長期にわたる
「なめらかな平面」時代区分の見直しをせまる遺跡
・私的所有
→所有を知らない単純素朴な狩猟採集民といったイメージを覆すための複雑な私的所有の分析
→大半は「儀礼の檻」によって一部領域に封じられ、権力との結びつきを阻止されている
→奴隷所有に密着する古代ローマ由来の所有権観念は、人類史上では異例中の異例とする
第5章
・「なめらかな平面」から諸文化、諸社会への分化のプロセスとダイナミズム
→北アメリカ西海岸の北西文化圏とカリフォルニア文化圏の相互作用をめぐる分析(人類学)
→地理的な同一化と反同一化の運動、支配の拒絶に関わる運動・・・略
→ヒエラルキーや戦争、農耕の否定、エコロジー意識・・・略
第6章
・人類と農耕、定住しながら「コムギの奴隷」を拒絶したことを論じた章
→更新世から完新世へとステージが移行し農耕の起源にまつわる考察が展開される
→シリアスではない農耕、祝祭的雰囲気(遊戯性)、ジェンダー・・・
→「農業革命」のイメージを転覆させる諸要素が集約されている
・野生穀物の栽培開始から栽培化課程完了までの3000年のギャップ
(本来なら手をかけなくても数世代で完了する→実験考古学の成果)
→コムギの奴隷になることを拒絶し、付き合い、戯れ、イノベーションを積み重ねていた
・狩猟採集から農耕への移行を表現している新石器時代の町チャタルホユック
→シリアスではない農耕(氾濫農耕)、季節性、女性の優位性・・・
・「農業革命」→私有財産の誕生、不平等へのステップとされるが・・・
→革命より長期で多発的で最初の農業共同体の多くは身分やヒエラルキーから解放されていた
→コムギ、コメ、トウモロコシなどの知識は当初、儀礼的な遊戯農耕によって維持されていた
→新石器時代の革新の殆どは女性により何世紀にもわたって蓄積されてきた知識の集合体
→地味だが重要な発見が延々と繰り返されていた
第7章
・遊戯農耕のシリアス農耕への転化は直線的な発展段階ではなく、家畜化・栽培化の拡大も
一様のプロセスをたどっていないことを複数の領域で確認する章→シリアス農耕の多様性
→農業による食糧生産から国家への道も直線ではなかった
(肥沃な三日月地帯の「国家のようなもの」はたまたまで、農耕が必然的に伝播するイメージは、
ヨーロッパによる植民地化経験イメージの過去への投影にすぎない)
→シリアスな農耕はニッチで貧しい地域で生まれ発達した
→恵まれた地域は遊戯農耕を実践した→エコロジカルな柔軟性
→アマゾニアの事例は数千年にわたりその境界線を保持していた→人間と非人間の相互作用
(恵まれた狩猟採集民にとっては、まさに「趣味の園芸」だったんですね!!!
)第8章
・初期都市論
→ウクライナ、メソポタミア、インダス、中国の初期都市の検討
→社会規模が大きくなれば命令権力でしかまとまらないのか?
→ウクライナとモルドバの遺跡の例
→メソポタミア最古の都市より古くて規模が大きく8世紀あまり人が居住していた
→集権的統治の痕跡もヒエラルキーの痕跡もなかった
→同様の都市をメソポタミア、インダス、中国にも見いだしていく・・・
・殷の時代以前の晋南盆地の陶寺遺跡
→都市の拡大とともに階級的分化とヒエラルキー拡大の証拠がみられる
→拡大が数世紀続いたのちに無政府状態となったが、その後も数世紀にわたり
都市自体は拡大している
→これは階級制度の廃棄(社会革命)で繁栄した世界初の記録証拠ではないか
→自覚的な社会実験の場と転じた世界最古の都市の事例ではないか
→通常イメージする時間の進展を逆転させる「都市革命」のヴィジョン・・・
第9章
・メソアメリカの政治的都市革命
→ティオティワカンも当初は都市の膨張とともにモニュメント建設など近隣のマヤ都市国家と
同様の戦士貴族文明をめざしていたようにみえた
→ところが3世紀後に神殿やモニュメント建設をやめ民衆のための集合住宅建設をはじめた
→多元的多言語都市として発展し集権制やヒエラルキーとは異なる異質な文化芸術に
→奴隷や貴族賛美が排除され共同体全体が重視された→集団的ガバナンス
→コルテスに協力したアステカの都市トラスカラの都市評議会の例(略)
第10章
・理論的総括といったおもむきの章で国家という概念をお払い箱にしようという野心的な章
→「所与の領域内で合法的な強制力の使用を独占することを主張する機関」としての国家
→この概念には近代的国民国家のみが該当する
→人類史にも適用されると、どの社会を国家とするのか見えなくなる
→さらに社会の複雑化と国家形成の連動には進化論的な含みもひそんでいる
→進化論的な国家以外にも様々な社会があったことは前章までで見てきた
→国家は現実を見えなくする概念なので国家を3つの原理に分解して考察
・社会的権力の基盤となる3つの原理→暴力、情報(知)、カリスマ
→近代国家では主権、行政装置、選挙制度だが人類史において近代国家はひな型にならない
→国家の起源の問いにかえて3つの要素の編成と支配の構造を考察
(メソアメリカ、南アメリカ、ナチェズ族、エジプトなどの事例から→略)
→殆どの社会組織は3つの要素の1つないし複数を編成している(近代国家は3つすべて)
→国家の手前の3つの要素で各社会組織を考察
・強力な王権、行政機構があったとしても「国家が存在しないという感覚」が必要
→クレタ島ミノア文明の相互扶助、社会的協働、市民的活動、歓待、他者ケアリング
→世界史の軌道を外れているが文明という視点で照射すれば生き生きとあらわれる
→考古学はサウジアラビアやペルーの砂漠、カザフスタンの大草原、アマゾンの熱帯林でも
このような「失われた文明」の証拠を今後も次々と発見していく
→それらに現代的国民国家イメージを投影するのではなく、それらが語る別の種類の社会的
可能性を考察しなければならない
第11章
・西暦200年~1600年あたりの北アメリカ史(東部ウッドランド文化)を通覧して、
国家あるいは帝国への展開と突然の(自然災害と絡み合った)拒絶をみるという構成
・第4章で既述のポヴァティ・ポイント、ホープウェル文化圏、カホキア国家の発展と解体、
多数の小王制から世襲原則を拒絶する部族的共和政体へ・・・(略)
→カホキアのような国家に引き返すことを拒絶し、独特の合意形成システムを構築して、
(それはモンテスキューを介して近代民主制に流れ込んでいるかも知れないのだ)
独特の反権威主義的哲学を発展させた
・なのでイエズス会などヨーロッパ人が新世界で遭遇したカンディアロングたち「未開人」は、
ヨーロッパのような富と暴力の文明をすでに熟知し拒絶して別の文明を構築しようとしていた
第12章
・本書の重要な論点が異なる観点から再論され、新しい情報で肉付けされた章
→著者2人のいう「3つの基本的自由」を捉え返す
(①移動し離脱する自由、②服従しない自由、③社会的関係を組み替える自由)
→ケアと暴力の結びつきが閉塞の主要な要因であるとする仮説
→慈善空間、保護と閉鎖、家父長制の形成、北西海岸の奴隷制、古代メソポタミア、古代エジプト
(以下も「訳者あとがきにかえて」からのランダムなメモです)
・本書はルソー=ホッブス的パラダイム(戦争と侵略、搾取、家父長制、供犠、モニュメント、
物質的繁栄、必然的歴史意識などの系列からなる文明観)に対立する、より基盤的な文明の
系列を浮上させることに成功した
・「文明(ラテン語のcivilis)という言葉は自発的連合による組織化を可能にする政治的知恵や
相互扶助のもつ諸性質を意味している」
・「文明とは本来インカの廷臣や殷の王朝ではなく、アンデスのアイリュ連合やバスクの村落が
示すような諸性質の類型を意味していたのである」
・「相互扶助、社会的協働、市民的活動、歓待(ホスピタリティ)、あるいは単なる他者への
ケアリングなどが文明を形成していたのだとすれば、文明史の叙述は始まったばかりなのだ」
・「英語の自由freedomは、friendを意味するゲルマン系の語源に由来する」
→友をつくる、約束を守る、平等な共同体で生きることを意味していた
→社会的紐帯を形成できない奴隷であることと対立する概念
・友情は3つの基本的自由のうち③社会的関係を組み替える自由にあたる
→①離脱する自由、②服従しない自由が微弱なら、変革もできず社会は閉塞する
→離脱できず服従を余儀なくされる社会では友情も成立せず孤立する
・最近の日本社会の「孤独礼賛」風潮は、自由の喪失と関係しているのではないか
→つらい職場でも辞められないのは離脱すれば生活に困るから
→嫌なことにも逆らえず社会変革も思えなくなる社会は閉塞していく
・世界最初の都市住民が環境や同胞に負荷を与えていたわけではないこと、
地球の未来を選挙政治にゆだねなければならない「歴史の法則」などないこと、
移民が歓待の危機と直結する必然性などないことは、新しい人類史からわかってきている
・本書は対話を呼びかける招待状だと思いたい
→地球温暖化から地球沸騰化のステージに移行して破局の時代に突入したが、
→破局のときは長期の閉塞を打ち破るカイロスのときでもある
→このチャンスをつかむ招待状を(日本語に直したので)受け取ってほしい・・・
まさに目からウロコの本だったので特に人類史・文明史に興味のない方にもオススメします
