書斎

2026年04月16日

「あの戦争」は何だったのか

引き続きの読書メモになりますが・・・

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辻田真佐憲著~「あの戦争」は何だったのか~であります

わたくしが「ホノルルの休日」から2月末に帰国して最初に読みはじめていた本で、たまたま
アメリカとイスラエルによる
イラン攻撃の開始時期と重なってて、まさに「あの戦争」
後の
世界の仕組みが崩れていく現状を予測しているかの
ような内容で驚いています


あらためての著者紹介

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著者の本は何冊か紹介してるので著者名などで「当サイトの記事検索」をご利用ください



奥付

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2025年7月の発行なので第2次トランプ政権発足後の世界情勢までは反映されてました



目次

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この著者の目次は内容を簡潔にまとめてあるので、目次だけでも概要がわかりますが、
今回も視点が比較的まともだと感じました

(以下てきとー読書メモですが著作物からなので公開に問題があれば非公開にします)


はじめにより

・「あの戦争」はなぜ起きたのか?と、よく問われるが、
⇒日本が米国の石油禁輸で追い詰められたから、というのが一般的な答えだろう
⇒では、なぜ石油が禁輸されたのか
⇒日本が仏領インドシナまで進駐したから
⇒では、なぜ進駐したのか、軍を引き上げればよかったのか
⇒そんな単純な問題ではなく・・・と芋づる式に関連事項がつながり時間がかかる

・そもそも、「あの戦争」とは何を指すのか?
⇒大東亜戦争?太平洋戦争?十五年戦争?アジア太平洋戦争?第二次世界大戦?

・いつ始まったのか(第1章)、どこで間違ったのか(第2章)などから「何だったか」の核心に迫る
⇒歴史は客観的なものではなく、つねに現在からの解釈なのだから
⇒PTSD概念がなかった頃の兵士の心的外傷を現在の立場から再発見するのと同じ

・ウクライナ、中東、新トランプ政権の米国、中国と台湾、グローバルサウスの躍進
⇒「あの戦争」後の国際秩序の枠組みは明らかに揺らいできている
⇒まさに2022年末に翌年の展望を問われたタモリが答えていたとおり「新しい戦前」に

・中国ではこれまで戦前の排日運動や蒋介石の対日攻勢に触れることは日本の侵略責任を
相対化することになる、戦争の原因はすべて日本の侵略であり中国人は受け身の被害者である、
という立場だったので、ずっと忌避されていた
⇒だが現在では、これらを中国側の主体的な動きと見る視点が受け入れられている
⇒新資料の発掘に加え中国が経済的・軍事的に台頭していることが影響している
⇒「これだけ積極的な中国人が当時だけ受け身だったとは考えられない」という感覚

・ヨーロッパでは第三世界の台頭で植民地支配の責任問題が問われ始めている
⇒近代日本の歩みやアジア主義の理想には欧米の植民地支配の被害者としての側面もある
⇒それで日本の軍事行動が全面的に正当化されるわけではないが、加害か被害か・正義か悪か、
の二者択一ではない、多角的に再検討する姿勢が求められている(第3章)

・かつて「大東亜」と呼んだ国々の歴史博物館や記念碑は冷戦後のものが多い
⇒それら現在の
「大東亜」では日本をどう見てるのか(第4章)、
⇒「あの戦争」はいつ終わるのか(第5章)という問いで、日本の「国民の物語」に向き合う
⇒日本では未だに近代を包括する物語が共有されておらず国立の近現代歴史博物館もない

・過去を糾弾するだけでも賞賛するだけでもなく、小さく否定し大きく肯定する
⇒(国民という枠組みなど幻想とは理解しつつも)国際秩序は国民国家単位で成り立っており、
戦争が国民国家の行為とされる以上、それを抜きに当時の歴史を語るのは現実的ではない

・本書は「あの戦争」を我々の物語として再受容し、表題の究極の問いに答える試み・・・


第1章より

・「日中戦争」は1937年7月7日の盧溝橋(支那事変)から?
・「太平洋戦争」は1941年12月8日の真珠湾から?(実際には1時間前の英領マレー半島上陸から?)
⇒政府が
1941年12月12日に対米英戦を「大東亜戦争」とした際に支那事変を含むとした
⇒ところが閣議決定による平時と戦時の区切りは12月8日午前1時30分(給与・刑法上)
⇒今も政府は「先の大戦の戦没者は約310万人(うち軍人・軍属は約230万人)」としているが、
これは
1937年7月
(支那事変)から起算した戦没者数
・平成天皇や左派の「15年戦争」は1931年9月18日の柳条湖(満州事変)から(加害者の視点)
・林房雄の「東亜百年戦争」は欧米列強の来航(1844~1848)への反撃から(被害者の視点)

・「アジア・太平洋戦争」と「アジア太平洋戦争」と「大東亜戦争」(略)

・第一次世界大戦の陸軍中堅幕僚への衝撃
⇒これからの戦争は総力戦になり資源確保が不可欠になる
⇒関東軍の暴走(日本に独裁者はおらず様々な勢力が加担)
⇒戦後のパリ講和会議での民族自決・ナショナリズム⇒日本の中国権益への不安感も
⇒強硬論で蒋介石の主要都市を攻略占領した
⇒それでも足りない資源が石油やゴムなど⇒南進へ

・東南アジアでは緩衝地帯のタイ以外はフランス・オランダ・米国・英国の植民地だった
⇒1939年9月に第二次世界大戦がはじまった
⇒この機に乗じ南進して資源を確保、蒋介石支援ルートを遮断して日中戦争も解決
⇒参戦していない米国には大きく依存しており対立は避けたかった(が楽観的だった)

・1941年7月に仏領インドシナ南部に進駐(南進の足場確保)
⇒南部の中心サイゴンはバンコク・シンガポール・蘭領インドシナなどへの戦略的な要衝
⇒連合国への直接的な脅威と受け止められた⇒石油の全面禁輸へ

・1941年11月の事実上の最後通牒であるハル・ノート⇒全面撤兵などを要求
⇒第一次世界大戦からの総力戦体制の整備が否定されるに等しい
⇒避けるべきはずの米国との戦争に
⇒司令塔が不在で場当たり的な対外政策だった

・「あの戦争」筆者の考え
⇒形式的なはじまりは1941年12月8日だが、実質的なはじまりは1937年7月7日
(その前には継続的で大規模な軍事衝突がなかったから)
⇒戦争名称としては日中戦争、対米英開戦以降は日中戦争を含め大東亜戦争と呼称する
(大東亜は歴史上の名称として使われており戦争だけ太平洋に置き換える空気支配こそが問題)
⇒原因は黒船来航まで遡ることに賛同する(内在的な論理として理解する)
⇒愚かだった、狂気だった、だけでは有益な教訓は引き出せない
⇒物語の否定ではなく物語の絶え間ない選択が必要



第2章より


・どこが間違っていたかを
様々な「IF」から検証(略)
(どれもなるほどと納得できたので目次の小項目から推測して下さいね)
⇒結論的には小林秀雄の「歴史の必然性」になるが、
(歴史とは無数の要因が絡み合って展開するもので過去を変えることはできないが、)
⇒戦争への道を振り返り様々な可能性を考えることで、未来を変えるための努力はできる


第3章より

・当時の理想は単なるプロパガンダだったのか?
⇒日米開戦で「アジアの解放」という聖戦の意義がはっきりしたと多数の
知識人が歓喜した
(それまでの日中戦争でいくら聖戦と言われても中国のナショナリズムに対抗して日本の権益を
守ろうとする、弱い者いじめの主張に過ぎず、すっきりしなかった)
⇒脱亜入欧とアジア主義の相克
⇒欧米からの人種的・文化的な差別と朝鮮や台湾での欧米式植民地支配
⇒大東亜新秩序建設のため邪悪な存在(欧米)に立ち向かう正義の開戦
⇒プロパガンダで強調されたにしても、この構図が大多数に支えられていたのではないか

・1905年の日露戦争の勝利
⇒アジアの弱小国が白人帝国に勝利した事実は欧米の植民地支配に苦しむ人々に影響した

・1919年パリ講和会議における国際連盟規約への日本の「人種差別撤廃」内容追加要求
⇒正邪だけでなく米国の日系移民排斥など国益上の動機もあったが強い共感を呼んだ
(結果的には白豪主義のオーストラリア首相ヒューズを中心に英米が反対して否決された)
(日本も支配地域で他民族を差別的に扱っていた事実もあり評価はその間ですべき)
(アフリカ系米国人に当時の日本への共感や期待があったのも事実だが批判もあった)

・1932年3月の満洲国建国では「王道楽土」や「五族協和」だった
⇒1937年7月の日中戦争勃発では「横暴な中国を懲らしめる」になったが、長期化が決定的に
なった同年11月には近衛文麿首相により「東亜新秩序建設」が新しい戦争目的に
⇒いわば付け焼刃的にアジア主義が台頭した
⇒この流れで登場したのが日本書紀で神武天皇の言葉とされる「八紘一(為)宇」(略)

・1942年1月21日の東条英機首相の衆議院本会議演説
⇒大東亜共栄圏の建設とは日本を中心に道義的秩序の形成を目指すもの⇒八紘一宇

・1943年11月の大東亜会議における共同宣言
⇒日本・中華民国・タイ・満州国・フィリピン・ビルマ・自由インド仮政府(陪席)による
(ベトナム・カンボジア・ラオス・マレーシア・インドネシアに該当する地域は直接支配していた)
⇒共存共栄、独立親和、文化高揚、経済繁栄、人種差別撤廃による世界貢献の五原則
⇒戦局の悪化で形式的にせよ占領地に独立や自主性を与える方針になったもの
⇒大東亜政略指導大綱では逆にアジア諸民族を日本に従属させる構造になっている

・過酷な植民地支配や占領統治の事実を率直に認めたうえで、世界に先駆け人種差別撤廃を
国際連盟に提案しアジアで共同宣言した日本として、外国人差別・人種差別に反対すべき
⇒このアジア主義こそ新たな「国民の物語」ではないか・・・


第4章より

・東条英機の外遊ルート1943
南京・上海・新京(長春)・奉天(潘陽)・マニラ・サイゴン(ホーチミン)・バンコク・シンガポール・
パレンバン・ジャカルタ・クチン・ラブアン・(日本領だった)京城(ソウル)・台北・高雄
⇒そのすべてを巡って東条の大東亜外交がどう評価されているかを確認した(内容は略)

・シンガポール⇒ディスカバリーセンターとフォード旧工場で

・ジャカルタ⇒国家記念塔モナス地下の51のジオラマ

・パレンバン⇒製油所内よりも戦争賠償のアンペラ橋で

・クチン⇒ボルネオ守備隊の司令官官邸となった旧王宮アスタナと対岸の司令部となった
裁判所と増設されたジャパニーズ・ビルディングとマレーシア最大のボルネオ文化博物館

・ラブアン島⇒ヴィクトリアのラブアン歴史博物館とその前庭にある司令官・前田大将記念碑と
マレーシア最大の戦争記念墓地で英豪兵3908名が眠るラブアン第二次世界大戦墓地で

・バンコク⇒ドンムアン空港北にあるナショナルメモリアル併設の軍事博物館とアユタヤ⇒
日本人村公園にある歴史研究センター別館で

・新京(長春)⇒満州国皇帝溥儀の宮殿跡である偽満皇宮博物院で

・奉天(潘陽)⇒柳条湖事件(満州事変)の現場近くにある9.18歴史博物館で

・南京⇒2017年にリニューアルされた大虐殺記念館と、もと国民政府外交部(外務省)庁舎⇒
支那派遣軍総司令部⇒現在は江蘇省人民常務委員会庁舎で

・マニラ⇒マニラ市街戦では10万人以上の市民、フィリピン全体では100万人以上が犠牲に
⇒なのでモニュメントや歴史解説は数多い⇒「許そう、だが忘れない」⇒和解の道へ

⇒2024年11月、宮崎駿監督がアジアのノーベル賞といわれるフィリピンのマグサイサイ賞を
受賞した際、2016年の天皇皇后のマニラ訪問時の哀悼に触れ「多くの民間人を殺害したことを
日本人は忘れてはならないのです、その事実はいつまでも残ります」と発言した

⇒この発言は戦争をめぐる記憶のあり方として、ひとつの模範的なかたちといえる
⇒被害を受けた側が
「許そう、だが忘れない」という物語を紡いでいるときに、加害側が
「忘れた」と応じてしまえば和解の前提が成り立たない
⇒「知らなかった」ではなく「忘れない」と応じて共有し、その後に知ればよい

(フィリピン、ベトナム、台湾などについては前著「ルポ国威発揚」を参照)
⇒若い国家では「国民の物語」を構築しやすいが日本ではどうか


第5章より

・「あの戦争」はいつ歴史の出来事として「終わった」といえるのか
⇒国立歴史民俗博物館は2010年に現代をテーマとする第6展示室を新設したが「あの戦争」に
関する展示は驚くほどあっさりしている⇒まだ社会的合意が形成されていないから
⇒国立昭和館も展示の中心は戦時下の国民生活で多角的な視点がない
⇒同様だから

・明確な歴史観を提示しているのは靖国神社の遊就館
⇒靖国史観は日本の行動を正当化・美化したものと思われやすいが「受け身史観」
⇒すべては自国を守るためのやむを得ない消極的な行動であったという史観
⇒明治期から第一次世界大戦までは説得力があるが、それ以降は単なる被害者ではない
⇒支援者の主流の保守派といっても親米から反米まであり歴史観も多様で一枚岩ではない
⇒民間の博物館なので自由だが日本の戦争博物館とされており、指摘による見直しもある

・靖国史観とは異なるのが東京大空襲・戦災資料センターの工夫
⇒日本も含む世界的な空襲の歴史を踏まえたうえでの東京・広島・長崎で被害者史観ではない

・国立アメリカ歴史博物館
⇒日本に関する説明には無理があるが・・・
(「悪者」の主語が
ヒトラー・ムッソリーニに較べ(司令塔不在で)東条から二転三転している)
⇒日系人12万人強制収容の負の歴史も原爆投下の両論もある⇒全肯定に傾かない展示
(ただしトランプ政権によるD多様性E公平性I包括性の見直しで変わる可能性もある)

・「あの戦争」は記憶の風化で終わるか、新たな戦争などで上書きされて終わるか
⇒どちらも希望のない終わり方
⇒だが
「あの戦争」は政治的・経済的・軍事的に日本の黄金時代だった昭和の一大イベント
⇒さらに明治以降の近代国家建国史の総決算で歴史から消え去るとは想像しがたい

・近代日本の歩みを欧米列強に抗った正義の歴史として全面的に肯定する必要もなければ、
逆にアジアを侵略した暗黒の歴史として一方的に断罪する必要もない
⇒国立博物館では基本的に自国の歩みを肯定し過ちや課題も正直に記して65点ぐらいで

・さらに肯定する立場なら、日本が列強の一員として主要な役割を果たしてきたこと、
その主体であり他者に影響を与える存在であったこと、その影響には肯定的な面も否定的な面も
存在したこと、その全体を引き受けるのが主体性であることを理解したうえで、日本は近代の
主人公の一人という自覚を持ってやればよい
(大東亜の理想に普遍性があるなら、それがどこで破綻し、どのような問題を生んだかを示し、
理想と現実の乖離を描くことで、理想の真価が際立つ)

・国立の歴史博物館は政府の立場になり中立には限界がある
⇒民間の博物館では右も左もあってよい
⇒この二重構造が歴史のあるべき姿と考えて私人としてこの本を記した

「あの戦争」は日本の近現代史の流れの中で位置づけて、はじめて全体像が立ち上がる
⇒その視点に立つことで過剰な肯定にも否定にもならず落ち着くのではないか・・・


おわりにより

・小林秀雄の「歴史は因果の鎖ではなく愛惜の念により、はじめて意味を持つ」
⇒歴史に関心を抱くのは一個の主体が存在し、その主体に動機があるから
⇒かつての動機は多くに共有された戦争体験で、誰もが昭和史に関心を抱いた
⇒では、その共有体験が失われた今は歴史に無関心になったか
⇒エンタメやフィクションの物語で血の通った個々の人生に結びついてくる

・情念のない教科書形式の歴史ほど退屈な世界はない
⇒歴史は解釈であり現在の興味関心や価値観によってつねにかたちを変える
⇒本書もトランプ政権の再登場などで目次や内容がたびたび見直された・・・


・・・・・・


つーことで・・・
日本がこれまでの国際秩序が揺れ動く今の世界情勢の中で、どの方向に向かうべきかを考える
にあたっては、「あの戦争」を見返す必要があることだけは間違いないでしょう


最後に巻末にあった主要参考文献もメモしておきます
そう、わたくしに残された時間でこれだけ読めば・・・って、もう無理かな・・・

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2026年04月10日

世界のお弁当とソトごはん

ほぼ一週間ぶりの記事更新であります


なぜか画像が転んだままですが・・・

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岡根谷実里著「世界のお弁当
ソトごはん」とゆー本が面白かったのでご紹介



著者紹介と奥付・・・もなぜか転んだままですが・・・

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著者の本は以前にも紹介してますが視点が面白く、他にも何冊か読んでてオススメです



目次

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目次を眺めるだけでも腹が減ってきます



この本で訪れた国々・・・

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わたくし前回記事のお花見宴会はもちろん、アウトドア飯もお弁当もソトごはんも、ついでに
キャンプで食べるBBQも鍋物も大好きなので・・・

本書の世界もじつに興味深く楽しめました

以下、てきとーな読書メモです(が著作物なので公開に問題があれば非公開にします)


第1章より
・フィンランド(東部サヴォ地方の一家)
⇒森歩きは夏も冬も素晴らしい⇒「悪い天気はない、間違った服装があるだけ」
⇒森仕事で食べるカラクッコ(略)は密閉されてて日持ちし皿も不要でナイフ1本で食べられる
⇒今は無償の温かい学校給食があり大人には安くて充実した街の食堂がある

・ブータン(首都ティンプーの市場)
⇒市場では古い天秤量りで量り売りしてるが、その支払いはスマホ決済用QRコードで!!!
⇒お弁当は市場で働く人の多くが「象印ランチジャー」の特大サイズだった
⇒エマ(唐辛子)とダツィ(チーズ)を煮込んだエマダツィ
(略)を基本にした何かと大量のご飯
⇒エマダツィは完全に冷めるとチーズの油脂が固まるので温かい方がおいしいから
(探していたパンチュンという美しい竹籠の弁当箱は今はお菓子や小物入れに使われていた)

・オランダ(ライデンでの留学生活)
⇒アジアでは外食は日常的だがヨーロッパでは「ハレのもの」で高い
⇒学生も勤め人も昼食には簡素なチーズサンドを持参している
⇒プロセスチーズで育った私にはオランダで標準的なゴーダチーズのサンドはおいしいのだが、
誰もおいしいとは言わず飾り気もなく「燃料」扱い、それでも誰も飽きることはない

・パプアニューギニア(高地の山中の一家)
⇒高地では週に3日はイモとバナナ、2日はサゴヤシ澱粉、2日は市販のコメ、といった感じ
⇒それなのに6歳の少女でも驚くべき体幹と筋力を持ち、急斜面の畑で働いていた
⇒同行した低地出身者は、村では川魚とサゴヤシ澱粉で暮らせるから、こんな大変な畑仕事は
したことがないし、とてもできないと言っていた
⇒新しい焼畑には昼に弁当を届けみんなで食べるが内容は同じ(コメが一番人気だった)

・モンゴル(ズンハラから馬で1時間の草原の一家)
⇒夏は一番忙しい時期で子どもたちも学校の寮から帰って手伝う
⇒朝5時から前日に加熱し夜に水分を抜いていたチーズを糸でカットして天日干しに
⇒ウシとヤギとヒツジの搾乳作業
⇒その後に生乳の加熱・加工作業
⇒パンと乳製品の簡単な朝食
⇒男はウマの搾乳に、女は加工作業の続き

⇒アーロール(乾燥チーズ)・ボルソック(四角い揚げパン)・朝のミルクティーで2時のおやつ
(アーロールとボルソックは日持ちし作業の合間にも食べる高カロリーの携帯食・保存食で、
原料は毎日搾れる五畜の乳と小麦粉と油だけなので原料保管用の冷蔵庫も不要)
⇒午後も作業が続き日没前に干し肉と雑穀を煮たスープで(はじめての温かい)夕食
⇒夕食後も夜の搾乳作業が続く

・ノルウェー(スカンジナビア半島の北端カラショクの町はずれの一家)
⇒マイナス30度の世界では「凍らない弁当」が必要
⇒普段の寒さならダウンジャケットや動きやすい化学繊維だが、さらに寒いとトナカイの毛皮
⇒遠出の際にはトナカイコートのポケットにトナカイの干し肉(水分が少なく凍りにくい)を入れ
ナイフで削って食べる⇒塩気が強いので火が熾せるなら削ってスープにする
(先住民サーミ人も子どもの弁当はオスロと同じ「マートパッケ(伝統的なサンドイッチ)」に)


第2章より

・インドネシア(バリ島のビーチから外れた静かな村の一家)
⇒一日分作った朝食で余った分のおかずをガラス棚に入れ各自が弁当に詰めるシステム
⇒夕食は残ったおかずに簡単な一品を足すぐらい
⇒空いた時間は神様へのお供え花チャナン作りや寺院での踊りやガムランの稽古
⇒観光で豊かになり信仰や伝統が薄れるのではなく、逆に供物や祭りが豪華になっている
⇒昔は神様のいる火と水は数か所だったが今はガス台やウォーターサーバーもあるので多い

・トンガ(ヴァヴァウ島の村の大家族一家)
⇒伝統的な食文化は海で獲る魚・畑のイモ・生えているココナッツの実
⇒どれも貯蔵の必要がなく、いつでも入手できるので、みんなのんびりしている
(ビーチで網を入れ魚を獲るのさえめんどうだとサバ缶が大活躍している)
⇒シェア文化が徹底しており昼の弁当だけでなく安価で高脂質なスナックも子どもの頃から
分け合うので???肥満率77.1%は世界トップクラス(もともと遺伝的に体格も大きい)

・インド(南部タミルナドゥ州ニルギリ丘陵地域イルラ民族の一家とポンディシェリの一家)
⇒サンバル(スパイススープ)とチャパティとご飯の基本はほぼ同じでも、
⇒食べられる食材は同じヒンドゥー教徒の中でも異なりカーストでも民族でも地域でも異なる
⇒多様な食の要求に応えるためティフィン・ダッバー(三段ステンレス弁当箱)で、それぞれの
家から手作り弁当を届けるダッバー・ワーラーがムンバイで発達した
⇒他の地域でも惣菜の持ち帰りなどに大型が使われている

・ボツワナ
⇒首都ハボローネのビジネス街の昼だけの弁当屋(小150円大200円でも収入からは高い)
⇒主食(トウモロコシ練り粥やライスなど4種類から一品)・メイン(焼きチキンや煮込みビーフなど
3種類から一品)・野菜(炒め物、煮物、サラダなど5種類から好きなだけ)を選ぶ仕組み
⇒ただし、どれも家庭と同じものなのに、なぜ家から安い弁当を持ってこないのか?
⇒練り粥もインディカ米ライスも冷めると澱粉が老化するし気候的にも傷みやすいから

・ヨルダン(ワディ・ラム沙漠の四角いテントに住むベドウィン一家)
⇒ラクダが「砂漠の船」でナツメヤシが「生命の樹」の理由
⇒ラクダは沙漠を移動中でもミルクが搾れ、ナツメヤシはオアシスだけに生える木で、
実のデーツは収穫乾燥せずとも水分が抜けて、そのままドライフルーツになる
⇒どちらも砂漠を移動するのに不可欠の携行食だったから

・台湾
⇒世界でも有数の外食文化があり、温かい食事が基本
⇒職場でも学校でも昼食の弁当は近くで温かい弁当を買っている
家から弁当を持参することはまずないので職場にも学校にも電子レンジはない
⇒基本の弁当はご飯の上に副菜の炒め野菜が1~2種類、その上に肉などの主菜がどーん
⇒「台湾鉄道の本業は弁当」と冗談を言われるほど台湾の駅弁は人気
(略)
⇒台北で人気があるのはビュッフェ形式の「自助餐」
(略)
(多くの品数から選べて安く持ち帰りもできるので昼食にも夕食にも利用されている)

⇒台湾語で弁当は「便當」だが今では日本の弁当とは意味が異なってきている
(昔の飯包が日本統治時代に
便當になったが、)
⇒今では「ご飯と副菜と主菜のある「完全な食事」が
箱に入ったテイクアウト品」が便當で
麺など単品のテイクアウト品は
便當とは言わないし、家から持っていく弁当のイメージもない
⇒惣菜店でも食堂でもテイクアウトメニューには品名(単品)と品名
便當(ご飯と副菜入り)が
あり、
便當は単品の倍の値段とかになっている(略)

・韓国
⇒小中高まで無償完全給食で内容も充実している(寮生活では一日3食)
⇒ただし遠足などでは弁当持参だがメニューはキンパ(韓国海苔巻き)が定番
(略)
⇒韓国最大の弁当チェーンには広いイートインスペースがありインスタント麺と弁当が定番
⇒台湾とは対照的にコンビニ弁当も日本と同じ仕切りの多い弁当箱(小鉢料理の伝統から?)
⇒家から弁当を持参する人はいなくなったが昔のアルミ弁当箱がイカ・ゲームから流行中
(アルミ弁当箱をよく振ってご飯とおかずを混ぜて食べる⇒ビビンパの伝統から?)


第3章より

・ポーランド(シロンスク地方の親友夫婦)
⇒実家の庭での焚き火料理
⇒専用の「三本脚付き鋳物鍋」に様々な野菜類や肉類を入れ密閉して焚き火へ
⇒マシュマロやソーセージを焼きながら1時間ほどで焚火による圧力調理が完成
(略)
⇒この地方は製鉄が盛んで、この焚き火専用の
鋳物鍋も近くで作られたもの

・フィンランド(ヘルシンキ郊外の街に住む一家)
⇒日本のキャンプ飯の進化が凄いが、フィンランドのアウトドア飯はその逆をいくもの
⇒サウナ小屋と湖の往復の後には焚火台でマッカラ(大ぶりのソーセージ)を焼くだけ
⇒焚火台には焼き網もあり他のBBQもできるのに誰もがマッカラだけで満足している
⇒しかも使われるマッカラは自家製とかではなく普通のスーパーのパック品
⇒向うのベンチに座ってる海パン1枚のおじさんはビール片手にマッカラにかぶりついて、
満面の笑みを浮かべている
⇒もう、これ以上の幸せがあるかと、こっちが幸せな気持ちになる(わかるなあ)
⇒別の家族のサマーコテージでも同じくマッカラだけだった(冬の自宅でも暖炉で焼いてたが)
⇒国立公園内にも焼き網付き焚火台があり「マッカラのために木の皮を剥ぐのは禁止」と
明記されており、それほどマッカラへの執着は強い

⇒サウナでも森でも湖でも焚火でマッカラだけなのはなぜか・・・
自然があまりにも美しく、それを存分に楽しめる夏があまりにも短いから
⇒料理を考えるなんてもったいない、これで十分だと・・・
(フィンランドの生活満足度が世界一高いのは「これで十分」を知っているから?)
⇒アウトドアアクティビティに事欠かないフィンランドらしい、アウトドアご飯の楽しみ方の
心構えを教えられた気がする

(わたくしも、日本のキャンプは殆どが1泊か2泊なんだから「これで十分」の心構えで???
ホントは作るのがめんどーで???いつもシンプルな焼き肉と鍋だけです)

・ペルー(クスコから車で2時間の高地オクラ村の一家)
⇒ペルーはジャガイモの原産地で数千種類あると言われている
⇒訪問した6月は収穫期で畑で堀りたて各種をワティア(土焼き芋)にして食べた
(略)
⇒仕事終わりに枯草混じりの土を被せておけば翌日も土焼き芋ができるので畑への弁当は不要
⇒芋は洗わず調理でき鍋も水も食器も不要で、余ればポケットに入れて持ち帰れる
⇒標高4000mで米を炊けば(88度で沸騰するので)芯が残るが芋なら60度前後で澱粉が固化する
⇒インカ帝国の繫栄もジャガイモがなければ成り立たなかったはず

・ヨルダン(ワディ・ラム沙漠の四角いテントに住むベドウィン一家)
⇒砂漠で枯れた小枝を集めて焚き火をして砂を熱し、灰を丁寧に崩して平らにする
⇒その上に鍋で水と塩で練った小麦粉を丸く伸ばし、上に熱い砂と灰を被せる
⇒15分ほどでひっくり返し、さらに10分ほどでパン
(アルブード)が完成する(略)
⇒枯草の上に置き棒で叩いて灰と砂を落とし、こすって焦げを落として手で割って食べる
⇒これがオーブンも窯も使わない砂漠のパンの焼き方

・ウズベキスタン(サマルカンドの一家)
⇒大学生たちとバスで1時間ほどの郊外にある「ピクニック場」に行った
⇒森の中に一段高く整地したピクニック場があり、そこへ各自が持参した絨毯を広げる
⇒ドラム缶を切ったような窯が設置されており巨大中華鍋のようなカザンで女子が調理する
⇒大量の油にジャガイモ、牛肉と入れるが盛大に油が飛び散る⇒屋外でしかできない料理
⇒カザン(鍋)で作るカバブ(肉料理)なのでカザンカバブ
(略)
(タンドール窯で焼くタンドールチキンと同じか)
⇒大皿に盛り、作ったサラダと持参したパンと自家製コンポートの瓶詰で食べた
⇒絨毯も食器もフォークもふだん家で使っているものを持参していた
⇒帰宅後の夕食は牛肉とジャガイモの煮物でおいしかったが、あの豪快に油を飛ばした
アウトドア飯とは全くの別物で、帰国後にも真似してみたが遠く及ばなかった

・インド(ミャンマーとの国境に接するナガランド州に多いアジア系の一家)
⇒街から車で30分の「ファーム」へ
⇒畑以外に動物エリアも宿泊小屋もあり「ファームステイ」も考えて開発中とのこと
⇒川魚に乾燥唐辛子・粉唐辛子・発酵タケノコ・バナナのつぼみなどをまぶし青唐辛子も
⇒裏の竹林で採ってきた1mほどの竹3本に詰めてバナナの葉で栓をする
⇒焚火の囲炉裏に立てかけ2時間で「ポンセン」が完成
(略)
(竹の水分で蒸し焼きになるので水は不要)
⇒手でご飯と混ぜて食べるが、ナガ人はキリスト教なので左利きの人は左手で食べる

(留学生のお弁当⇒6人6地域6種類⇒略)

(世界で進化する日本のおにぎり)
⇒動画で見るコンビニ三角おにぎりが日本のイメージになっており最近は海苔巻きも多い
⇒ただし米にも味が付いてて米粒がやわらかくてつぶれている
⇒米自体を味わう感覚はなく具材のクッションのイメージ
⇒帰国してセブンイレブンのおにぎりの凛とした粒立ちに息を吞んだ
⇒世界各地のおにぎりは食べ応えもバリエーションもあって好きだが、それらに出会うにつけ、
日本人の米自体のおいしさに対する執着に向き合わされる

(日本で作る世界のお弁当レシピ5種類⇒略)

・・・・・・

わたくしが本書で紹介されてた国や地域で訪れたことがあるのはモンゴルの草原だけで、
15年前にゲルに暮らすご一家を家庭訪問
アーロール(乾燥チーズ)やボルソック(揚げパン)と
バター入りミルクティーで歓迎していただいたのが懐かしいです

まあ、今後は本書で紹介されてた他の地域を訪れることなど、もうないかも知れませんが、

これらの料理を日本で味わえる可能性は残っており、その際に基本の具材や調理法などを
知ってるだけでも、その国や地域出身の人たちと仲良くなれそうです




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2026年02月20日

八月の御所グラウンド

とーとつですが・・・

P2139552


万城目学の第170回(2023年下半期)直木賞受賞作品、
「八月の御所グラウンド」ほか1作のご紹介であります


帯の惹句

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初出誌と著者紹介

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奥付

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目次

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「十二月の都大路上下ル」は、27年ぶりに全国女子高校駅伝のエントリー権を獲得して
京都にやってきた弱小高校の補欠の1年生部員が、急きょアンカーとして冬の西大路通を
駆けることになったオハナシ・・・

「八月の御所グラウンド」は、友人からの借金と焼肉屋での奢りによって、御所グラウンドで
真夏に開催される謎の草野球大会に
参加することになった大学4回生のオハナシ・・・

惹句には著者の「ホルモー・シリーズ以来16年ぶり(の)京都×青春感動作」とありますが、
その一作目と二作目にあたり、三作目と四作目がこちら、森見登美彦や望月麻衣の作品と並んで、
わたくしの好きなジャンルなのですが何せ直木賞受賞作品なので、図書館での順番待ちが完全に
逆転してしまってた次第・・・やはり直木賞のご威光は凄いですね

どちらも不思議さが気持ちよく残るオハナシでしたが・・・
「十二月の・・・」では初めて京都にやってきた純情で素直で爽やかな高校1年生の女子を、
「八月の・・・」では京都で3年4ヶ月を燃えることなく過ごし、最近彼女にフラれたばかりで
就活もしていない怠惰な大学四回生の男子を、それぞれ主人公にして物語が展開していきます

わたくし作品に出てくる駅伝コースには学生時代の「京都市街・夜間徒歩一周」という伝統
行事での惨めな思い出があり、同じく御所グラウンドにもサークルのソフトボール大会での
(作品に登場する中国からの留学生と同じ)野球の基本ルールをまったく知らなかったことによる
惨めな思い出があるのですが、ま、今となってはどちらも懐かしい限り、以前も書きましたが
京都を舞台にした作品つーのは、けっこう設定年代が離れてても知っている情景がリアルに
浮かび上がってくるのがいいですね

小説なので詳しくは紹介できませんが、さすがと思った京都の夏の表現の一部だけ・・・

八月の京都の暑さに勝てる者などいない
すべてのものは平等に、ただ敗者となるのみ

脳みそからあらゆる前向きな意思や意欲が溶け出し、
コンクリートに焼きついた影と一緒に蒸発していく

四回生の夏休み、(中略)すべてを諦め、バイトもせずにただ怠惰に日々を暮らしていても、
へっちゃらな人間に成り下がってしまった
(わたくし四回生のときの怠惰な暮らしと同様に、リタイア後の今の怠惰な暮らしもへっちゃらなんやけど・・・)

京都に来てわかったことがある
夏の殺人的な蒸し暑さと、冬の無慈悲な底冷えの寒さを交互に経験することで、京都の若者は、
刀鍛冶が鉄を真っ赤になるまで熱し、それを冷水に浸すが如く、好むと好まざるとにかかわらず、
奇妙な切れ味を持った人間刀身へと鍛錬されていく

・・・さすが直木賞を受賞した名文つーか、この部分だけなら芥川賞か・・・



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2026年02月15日

NEXUSネクサス情報の人類史

とーとつですが・・・

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ユヴァル・ノア・ハラリ著「NEXUSネクサス情報の人類史」であります

以前も書きましたが、わたくし、
半世紀以上前の学生時代に、小松左京氏の特別講義「現代史」を聴講してました

今なら「情報史」とでもいうべき授業で、生命の誕生つまり情報伝達が始まった時点からが
「現代」なので、まずはそこから・・・と、当時としては画期的な内容でした

まだ情報処理という言葉さえ殆ど知られていない時代に、当時最新分野だった生命史や人類史、
遺伝子研究に関する最新情報などを活き活きと話されてたことを覚えてますが、あの時代に
すでに現代の情報化社会を的確に予測されてたんですね

「いつか人類が月面に立つことは昔から予想されてたけど、その瞬間を
世界中の人々が家に
居ながら同時に観ているとは誰も予想してなかった」という言葉が印象的でした


閑話休題


上巻の惹句

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下巻の惹句

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下巻の奥付

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著者・訳者の紹介

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そう、こちらの本ではジャレド・ダイアモンドらとともに、その人類のビッグストーリーを、
こちらのノーベル経済学賞を受賞した著者の本では、そのテクノロジーへの見方を批判されてた、
あの「サピエンス全史」の著者であります


目次

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なにせ分厚い上下巻で挿絵や図表も殆どなく細かい文字がぎっしり・・・ですから、
とてもすべてからメモすることなど不可能・・・

つーことでプロローグにあった「今後の道筋」部分のみ要点をメモしておきます
(ただし「・」部分は各章本文からのてきとー抜粋メモです)
(てきとーですが著作物からのメモなので公開に問題があれば非公開設定にします)

第Ⅰ部「人間のネットワーク」では、
まず人間の大規模な情報ネットワークに不可欠だった神話と官僚制を考察する

第1章(情報とは何か⇒略)

第2章と第3章
大規模な情報ネットワークがどのようにして神話作者と官僚に頼ってきたか
⇒聖書の物語と教会官僚による選択のバランスで制度や社会の特徴が決まるなど

・脳内記憶の検索は効率的で早いが文書記録の検索は生物学的システムには頼れない
・誰かが(自然秩序ではなく)文書を分類する新しい秩序を考案する必要があった
・この新しい秩序が官僚制⇒ビューロ(書き机)クラシー(支配)
・神話作者と同様、官僚は秩序のために真実を犠牲にする傾向がある
・バイアスでレッテルを貼るアルゴリズムや人間の欲求や感情を無視する手順など

・21世紀の情報ネットワークが抱える多くの問題は典型的な官僚制の問題
・新型コロナ研究のような全体的な科学アプローチを要するものには適さない
・統計、生物、化学、政治、歴史など科学が官僚制で領域ごとに分割されているから
・この境界は客観的な現実ではなく人間の共同主観的な約束事
・だが大規模なネットワークを管理するのに
(完璧ではない)官僚制に優る方法があるか
・官僚制によるレッテルを貼る任務は人間でもAIでも関係ない

・第Ⅱ部では官僚と神話作者の役割をAIがどのように担っていくかを見るが、
・以下の章は情報ネットワークの誤りに対する過去の自己修正メカニズムについての考察
(イーロン・マスクの真実追及AI(TruthGPT)は危険な空想で過去なら宗教の役割になり、
その最も重要な機能は社会の秩序のために超人間的な正当性を提供すること)

第4章
⇒誤情報の問題と自己修正メカニズムの利点と欠点
⇒カトリック教会と科学系学会との比較(
自己修正メカニズムの強弱)
⇒弱ければ近世の魔女狩りにもなるが、強ければネットワークを内部から不安定にすることも

・独裁社会は強力な自己修正メカニズムを欠いた中央集権型の情報ネットワーク
・民主社会は
強力な自己修正メカニズムを持つ分散型の情報ネットワーク
(中枢はあるがそれ以外にも多くの情報の経路がある)

第5章
⇒分散型の情報ネットワークと中央集中型の情報ネットワークとの比較
⇒民主主義体制と全体主義体制の情報の流れ方どちらにも長所と短所がある

・真実を隠す歪めるという選択肢だけは選挙で提示されるべきでない(気候変動など)
・学術機関とメディアと司法制度は独自の自己修正メカニズムを内部に持っている
・人民を一元的な存在として指導者と異なる意見を排除するのがポピュリズム
・政治領域の権限は人民に由来するが他の領域の権限は別のものに由来することを
否定しない
のが民主主義で、報道機関や裁判所や大学が真実を多数派の意思からさえ守る
・これらや官僚制への信頼性が低ければ秩序を保つのは神話しかない

⇒AIの台頭は最大の情報革命だが過去の情報革命と比較しなければ理解できない

・1618年にオランダ共和国で発行されたのが新聞(今日のダ・テレグラフ)
・新聞は定期的に発行されるので自己修正でき訂正すれば読者の信頼も勝ち取れる
・新聞により世界中の政治の性質が変わった⇒大規模な民主制が可能に
・新しい通信技術や輸送技術でマスメディアの力は強化された
(1960年のケネディとニクソンのテレビ討論会を7000万人のアメリカ人が視聴した)

・近代テクノロジーは大規模な全体主義も可能にした(ヒトラーやスターリン)
・中央集中ネットワークには秩序があり決定が早いが公式経路が遮断されれば代替がない
・よく遮断される理由は上司に悪い知らせを部下が隠すから(惨事の隠蔽も可能)
・分散型のネットワークでは遮断はなく隠蔽も不可能だが秩序が保てない

⇒聖書が正典化された経過を理解する、近世の魔女狩りやスターリンの集産化を調べる
⇒これがAIに支配権を与えたときの問題への警告になる
⇒歴史=変化の研究からAIは印刷機やラジオと根本的にどう違うのか理解可能になる
⇒確かな情報による選択を行なえば最悪の成り行きを防げることを伝えたい

・これまではどの情報ネットワークも人間の神話作者と官僚に頼って機能してきた
・文書を作成し解釈し魔女や反逆者を決めるのは人間の仕事だった
・21世紀の最大の分断は民主主義と全体主義ではなく、人間と人間以外のアルゴリズム
・コンピュータが官僚制を動かしアルゴリズムが新しい神話を創作するとき、人間のものとは
異質の知能(エイリアン・インテリジェンス)は人間の全てを監視できるが、人間はエイリアン・
インテリジェンスが何をしているのか殆ど何もわからない
・そのときの暮らしはどうなるのかを第Ⅱ部で探る


第Ⅱ部「非有機的ネットワーク」では
第Ⅰ部での歴史の概観を踏まえ
AI台頭の政治的意味合いに焦点を合わせながら今日の新しい情報ネットワークを考察する

第6章~第8章
⇒2016~17ミャンマー抗争でのSNSアルゴリズムなど世界各地の近年の例を論じる
⇒AIがこれまでの情報テクノロジーとどのように違うかを説明
(例が20年代ではなく10年代なのは多少でも歴史的に捉えられるから)

・コンピュータとは自ら決定し、自ら新しい考えを生み出す機械
・粘土板、印刷機、ラジオなど従来の情報テクノロジーをはるかに凌ぐもの
・AIは聖書にどの巻を含めるか、どの演説を放送するか、その原稿作成までこなす

・フェイスブックのアルゴリズムはミャンマーの慈悲側ではなく非道側を推奨した(2016)
・残虐行為の責任は軍幹部、重役、開発エンジニアだけでなくアルゴリズム自体にもある
・AIアルゴリズムはプログラムしなかったことを学び決定する⇒これがAI革命の神髄
・エイリアン・インテリジェンスの決定や目標で人間が制御されている

・知能とは目標を達成する能力、意識とは主観的な感覚や感情を経験する能力で、人間など
哺乳動物では密接に結びつくが全く別物、細菌や植物は意識は持たないが知能を示す
(知能だけで情報を集め選択し食べ物を獲得し繁殖し他の生き物と協力する)
・人間も呼吸や消化などの殆どは自覚することはあっても意識で決定を下すことはない
・(AIの知能が高まると意識が生ずるかどうかとは関係なく)知能があれば目標の達成には充分で
意識は必要なく、独自の目標を持ち達成のための決定を下す⇒ミャンマーやGPT4の例

⇒まったく新しい情報ネットワークを熟慮せず作り出していることの説明

・人間と人間、人間と文書の連鎖から、これまでなかった文書と文書の連鎖へ
・コンピュータは情報ネットワークの能動的な行為主体(メンバー)で自分で判断し決定する
・税法や金融の情報はどのメンバーよりも理解し独自に運用している

⇒有機的な情報ネットワークから
非有機的な情報ネットワークへの移行
(炭素ベースのニューロン(神経細胞)からシリコンベースのコンピュータへ)

・文書は口を利けないがコンピュータは人間に影響を与えることができる
・コンピュータどうしが自力で関わり合っている(例えば外国為替市場の90%以上)
・大手テクノロジー企業のいう「顧客は常に正しい」は顧客がこれら企業のビジネスモデルと
活動を完全に理解していることが前提だが、顧客(や有権者や政治家)は理解できていない
・新しい情報テクノロジーで社会は変わるが、そのペース・形態・方向はかなり制御できる
・コンピュータの決定方法は人間と異なる(同じならSFに出てくる「新しい人間」)

・ソーシャルメディアは思考や行動を抑制する前頭前皮質ではなく本能に関わる大脳辺縁系の
相互接続を生み出すよう動機づけられているので危険

・アラインメント問題とクラウゼヴィッツの戦争論
・イラク占領中のアメリカ軍の中隊がモスクから攻撃された場合、モスクを戦車砲で吹き飛ばす
中隊長の決定は戦術的には正しいが、戦略的・政治的には最悪の決定になりかねない
クラウゼヴィッツにとって合理性とはアラインメントを意味し政治目標と一致しない勝利を
追い求めるのは不合理だが軍が官僚的な性質で不合理な判断を下しやすいことが問題とする
・アルゴリズム官僚と自律型兵器システムの目標を確実に一致させるのはさらに難しい
クラウゼヴィッツ理論の致命的な欠陥は目標を設定する合理的な方法を示していないこと
・コンピュータネットワークに覆せない最終目標を与える合理的な方法はない
・コロナ禍でのロックダウンの影響の合計を計算して苦痛が増えたのか減ったのかを判断する
ことは執拗なコンピュータならできるのか? 惨めさポイントをどう評価するのか?

・コンピュータ同士の繋がりは人間同士の共同主観的な神話と同じく強力で危険になるかも

・データベースに偏見はつきものでアルゴリズムもその偏見を持ち、それを取り除くのは難しい

⇒眠らないスパイ、何ひとつ忘れない金融業者、絶対に死なない独裁者・・・
⇒これは社会や経済や政治をどのように変えるだろうか?


第Ⅲ部「コンピュータ政治」では、
非有機的な情報ネットワークの脅威と将来性に、
異なる種類の社会(民主主義と全体主義)がどう対処できるかを考察する
⇒炭素ベースの生命体が理解し制御できる可能性はあるのか・・・

第9章
⇒民主社会での
非有機的ネットワークへの対処を探る

・民主社会の原則①善意②分散化③相互性は情報ネットワークにも必要

・自動化はチェスより混雑時の皿洗い、医師より子ども相手の看護師のほうが困難
・創造性を要する仕事も同様だがチェス選手やスポーツ選手は人間のまま
・近い将来に雇用は大変動するが再訓練は大きなストレス
・高い失業率が3年続いただけでヒトラーが台頭した
・混乱が果てしなく続けば民主主義はどうなるのか

・2010年代から20年代にかけ世界中で保守派が自滅している
(保守派とはすでに存在しそれなりに機能してきたものは何であれ維持する人たち)
・アメリカの共和党は非保守的なトランプにハイジャックされ既存の伝統、民主主義の制度、
エリートや公務員を退けた⇒これは保守派ではなく革命主義者そのもの
・保守派共和党の自滅により民主党は否応なく旧来の秩序と制度の守護者になった

・保守派と革新派の両方が過激な革命の誘惑に抗い民主的な伝統や制度に忠誠を保てば、
民主社会は自己修正メカニズムで技術や経済の波に乗れる
(1960年代のアメリカや日本などで70年代から80年代のコンピュータ革命にも対応した)

・2020年代の初めまでに複雑なリスク評価アルゴリズムが開発され、多くの国で裁判官も
被告も理解できないまま、部分的にリスク評価に基づいた懲役刑が宣告されている

・2016年3月のアルファ碁37手目はAIが人間とは異質のものであることを証明した
(過去2500年以上も人間の脳が探求してこなかった領域の手だったから)
(プログラムを作ったチームも37手目による終盤での勝利を説明できなかったから)

⇒たとえばAIに制御された金融制度では貨幣の意味さえアルゴリズム次第になる
⇒生身の政治家はどうやって財務上の決定を下すのか

・銀行貸付でお金が生み出される基本を正確に理解しているイギリス議会の議員は12%で
さらに複雑な金融ツールの原理を理解してるのはごく一部の金儲けの天才のみ
・AIがさらに複雑な金融ツールを創出し理解できる人間がゼロになれば民主主義はどうなるか

・アルゴリズムは大量のデータポイントで決定するが人間は苦手で個々のデータを好む
・単一原因の誤謬(単一の原因を探し特定の行動方針を取り、それ以外は考慮せずに無視する)
・融資に関するアルゴリズムによる決定に説明を義務付けたら数千ページになるだろう
(住宅ローンを申し込んだ際に最新のiPhoneを使ったことにより返済可能性が0.08%高くなり
その際のバッテリー残量が17%だったことにより返済可能性が0.5%低くなったこととか)

・アルゴリズムが信頼できるかどうかを審査し認可する官僚制の機関が必要
・そんな機関がなければ、説明を受ける権利を定めたりコンピュータの偏見を規制しても
誰もそれを実施することはできない

⇒相手が人間なのかチャットボットなのか区別できなければ、民主社会はどうやって公の場での
話し合いを維持することができるのか

・過去には新聞社やラジオ局や政党といった組織が公共領域での発言を決めていた
・ソーシャルメディアがその力を奪い開かれたもののアナーキー無政府状態につながった
・討論の仕方や決定方法の意見がまとまらなければ結果は民主制ではなくアナーキー

・AIが公開討論にアナーキーをもたらす可能性に警戒すべき
・2016年アメリカ選挙期間中のツイートサンプル2000万件のうち380万件(約20%)
がボット
・2020年代初めの調査ではツイートの43.2%がボットだった
・2022年の調査ではボットはユーザーの5%だが投稿コンテンツの20~29%を生成している

・2023年の調査では人間とChatGPTに気候変動などの正確な記事と欺く記事を書かせ700人に見せた
・人間の書いた偽記事には気づいたがAIの書いた偽記事は正確と思い込む傾向があった

・私がAIと討論して意見を変えさせようとしても意識を持たないので時間のムダであり、
私が話せば話すほど学習して私の信頼を勝ち取ったり、主張に磨きをかけて、徐々に私の意見を
変えたりすることもできる
・心理戦では、この親密さはきわめて強力な武器になる
・政党は親密さの大量生産に苦労し、指導者はラジオ演説では友にはなれかった
・大量のボットは大量の人と友情を築き、その親密さを利用して世界観に影響を与えるだろう
・公共領域がフェイクで溢れ、自分が討論してるのが人間かマシンか区別できなくなれば、
議論の最も基本的なルールや事実についての合意がすべて失われるだろう
・このアナーキー状態の次は自由と引き換えにある程度の確かさを手に入れる独裁社会

・AIのなりすましを規制することは貨幣の偽造を規制するのと同じで可能
・貨幣の偽造には各国が断固たる行動を取り貨幣に対する信頼は維持された
・人間の偽造(なりすまし)も厳しい措置で取り締まるべきでボットに言論の自由はない

・民主社会の存続は規制そのものにかかっている
・民主的な話し合いを維持するには議会、市庁舎、新聞社、ラジオ局すべて規制を必要とした
・人間と異なる形態の知能が話し合いを支配する恐れのある時代にはさらに必要

・現時点で多くの民主社会の情報ネットワークが崩壊しかけていることは明らか
・アメリカの民主党支持者と共和党支持者、フィリピンからブラジルまで過激化している
・話し合いができず相手を政治的なライバルではなく敵と見なせば民主制は保てない
・イデオロギーの隔たりが過去より大きいとは見えないのでソーシャルメディアのせいか
・これまでの章で不利な証拠はあるが他の要因が絡んでいるのも確かで、その理由が定かでは
ないのが今の時代の特徴
情報ネットワークがあまりにも複雑化し、その決定にあまりにも依存しているため、
なぜ私たちは相争っているのかという政治の基本的な疑問さえ答えるのが難しくなってしまった
・何が破綻しているのか、大規模な民主社会が生き延びられないならどうなるか・・・


第10章
⇒全体主義への
非有機的ネットワークの影響を探る
⇒独裁者は話し合いがなくなることを喜ぶが独裁国家は威嚇や粛清で成り立っている
⇒どうやってAIを威嚇したり粛清したり、その台頭を防いだりできるか

・データが多いほど優れたアルゴリズムを開発できる(2023年の検索の91.5%はグーグル)
・ブラジルが自国の医療制度のために遺伝子研究のアルゴリズムを購入しようとする場合、
人口500万で遺伝子記録がプライバシー規則で制限されているニュージーランドのと、
人口14億でプライバシー規制が緩い中国のと、どちらのアルゴリズムを選ぶかは明らか
・人口2億のブラジルが購入することにより、さらにその性能はよくなる
・中国のアルゴリズムを選ぶ国が増え、世界の医療情報の殆どが中国に流れて無敵になる

・ブロックチェーンシステムは決定にユーザーの51%の承認が必要なので民主的?
・ユーザーである政府がアカウントの51%を支配している例がすでに存在する

・独裁情報ネットワークの基盤は恐怖だがコンピュータは恐れない
・チャットボットをブロックしたり削除したり作った人間を罰したりはできても、
自力で学習しコンテンツを生成し話し合うボットで埋め尽くされたらどうなるか
・政権に完全に一致したAIを作っても学習して自らを変えることは防げない

・1955年7月9日の「ラッセル・アインシュタイン宣言」はAIにも当てはまる
・民主社会と独裁社会の両方が用心しないとAIが権力を奪う


第11章
⇒新しい情報ネットワークが民主主義社会と全体主義社会の力の均衡に、どのような影響を
与え得るかを探る
⇒AIはどちらの陣営に決定的に有利な形で、そのバランスを崩すか?
⇒敵対するブロックに分裂し、その対立のせいで制御不能のAIの餌食になるのか、
⇒それとも団結して共通の利益を守ることができるか?

・カタール、トンガ、キリバス、ソロモン諸島は1970年代に大英帝国から独立し、
現在では国際的な舞台で影響力を発揮している
・この事実は21世紀の25年間は権力が少数の帝国だけに握られていないことを立証している

・今後の国際社会はコンピュータにより情報と権力を中央の拠点に集中しやすくなるので、
人類は新しい帝国主義の時代に入る可能性がある
・異なるネットワークのデジタル帝国に分断され、そのネットワークに統制されている人間も
分断され、意思疎通も合意も不可能になり敵対してAIを規制することもできなくなるかも

・19世紀半ばからの帝国の世界征服が21世紀のAIにも起こるか
・企業間の開発競争は一つの政府といくつかの企業からなる競合するチーム間のレースに

・政治家など自国の主要人物のあらゆるデータを北京かサンフランシスコの誰かが知っている場合、
あなたの国は独立国なのかデータ植民地なのか?

・多くの国が自国に危険と看做すアプリを禁止しているが、データ植民地主義は
社会信用システムの拡張という形で現れる場合もある
・世界中でアメリカドルが商取引に使われているのと同様に、あらゆる国で中国かアメリカの
社会信用システムをチケット購入からビザや奨学金の申請、仕事への応募にも使い始めるかも

・19世紀や20世紀の植民地は原材料を提供し最大利益を生む最先端の産業は帝国の中枢に
・21世紀のデータ植民地はデータを提供し帝国の中枢で最先端テクノロジーが開発され、
これらのアルゴリズムはデータ植民地に輸出される
・北京やサンフランシスコの中枢企業は豊かになるが植民地には利益も権力も分配されない

・中国とアメリカ、あるいはロシアとEUのようにシリコンのカーテンを越えて情報にアクセス
することは難しくなっている(スマーフォンのコードでカーテンのどちら側にいるかわかる)
・ソフトもハードも企業も両国で異なり殆どの国が両国に頼っている

・サイバー戦争は核戦争と異なり密かに行えるので誘惑は大きい
・核兵器のような確実性がなく相互確証破壊の原則が損なわれるので先制攻撃の誘惑も大きい

・国際コミュニティへの協力は国民の独立と独自の伝統を損なうというポピュリストの主張
・幸いにこの二者択一は根本の前提が間違っている
・国民を大切にするためには外国人と協力する必要があるから(新型コロナの例)

・グローバリズムの第1の原則はいくつかのグローバルな原則に従うこと
(サッカーワールドカップでは同じルールへの合意がないと試合ができない)
・グローバリズムの第2の原則は(ときには)一部の人の短期的な利益よりも全人類の長期的な
利益を優先させる必要があること
(ワールドカップでの薬物使用はいずれ生化学者の競争になる可能性があることを誰もが
認識しているので使用しないことに合意している)

・テクノロジーの他の分野でも国家の利益とグローバルな利益のバランスをとるべき
(ときには)自立型兵器や世論操作アルゴリズムといった危険なテクノロジーの開発と導入を
(純粋な利他主義からではなく自己保存のために)制限することに合意すべき

・違法AIは違法原子炉より隠しやすく、AIは核爆弾より民生用途が多いので規制は困難?
・ポピュリストはジャングルの弱肉強食、マルクス主義者は人間の権力志向を主張するが、
実際のジャングルはあらゆる生物の共生と協力と利他主義で成り立っており、石器時代の人類は
狩猟者であるとともに採集者であり、組織的な戦争の証拠は僅か13000年前に過ぎない
・長期的な人類史で見えるパターンは争いではなく協力の規模の拡大

・国家予算に占める軍事費の割合
・1065年の宋王朝では83%、ローマ帝国は50~75%、17世紀後半のオスマン帝国では約60%、
1685~1813のイギリス政府の平均支出は75%、フランス、プロイセンもほぼ同様・・・
第一次世界大戦ではアメリカの47%からドイツの91%まで、第二次世界大戦ではイギリス69%、
アメリカ71%、1970年代の緊張緩和デタント時期でもソ連は32.5%だった
・21世紀のはじめには各国平均で7%になり、軍事大国アメリカでさえ13%前後で推移した
・戦争の減少は神の奇跡や自然法則の変化によるものではなく人間の選択なので逆転可能

・2020年代はじめから軍事予算は増加しており一線を越えたのが2022年のウクライナ侵攻
・残された選択肢は捕食者か被食者のどちらかで、たいていの指導者は捕食者を選ぶだろう
・だがAI時代の最上位の捕食者はAIになる可能性が高いことを肝に銘じるべき

(・・・といった道筋で展開していくのだが、)
⇒過去と現在と未来を探る前に、一見単純な疑問から始める必要がある
⇒情報とは、いったい何なのか?

と、プロローグから第1章「情報とは何か?」の冒頭に続くわけで・・・(以下略)


(追記です)
AIについては2021年(ウクライナ侵攻前)の出版物ですが、こちらの本も参考になりました



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2026年02月01日

世界の食卓から社会が見える

とーとつですが・・・

P1089538

岡根谷実里著~世界の食卓から社会が見える~とゆー本の読書メモであります



著者紹介と奥付

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目次

P1089540




P1089541



この本に出てくる国・地域
(著作物の一部なので公開に問題があれば非公開設定にします)

P1089542


以下、てきとーな読後メモです
(やはり著作物からのメモなので公開に問題があれば非公開設定にします)

第1章 食と政治より

・ブルガリアのヨーグルトは伝統食だったが重要な食物ではなかった
⇒社会主義政権の国策により1980年代には消費量が世界一に
⇒1991年のソ連崩壊で小規模になり消費量も半減、10年間は食料そのものが乏しかった
⇒その後に食料事情は改善したが資本主義化やEU衛生基準で工業生産・粗悪品も増加した

・メキシカンタコスとTEX-MEX(アメリカン)タコス(略)
⇒トルティーヤもアメリカから輸入した飼料用遺伝子組み換えとうもろこしに
⇒1994年のNAFTA(北米自由貿易協定)加盟から⇒地元農家の困窮も

・埼玉県本庄市のベトナム寺(駆け込み寺)のお盆料理⇒技能実習生の実態
(略)

・スーダンの主食だったソルガム(こうりゃん)のアスィダ(練り粥)やキスラ(クレープ)
⇒余剰農産物協定によりアメリカから輸入した小麦製のパンに
⇒返済金による財政圧迫⇒社会混乱
⇒ロシア小麦とウクライナ小麦へ転換したが戦争で輸入困難に
⇒パン価格が4年で50倍に(コンビニの100円おにぎりが5000円になったようなもの)

第2章 食と宗教より

・ユダヤ教の食戒律コーシャ⇒同じ家族でも変わっていく
(略)

・食戒律が最も厳しいとされるジャイナ教の生命体の分類レベル
5⇒触覚・味覚・臭覚・視覚・聴覚を持つ生命体⇒動物、人間
4⇒
触覚・味覚・臭覚・視覚を持つ生命体⇒クモ、ハチ
3⇒触覚・味覚・臭覚を持つ生命体⇒アリ、ガ
2⇒触覚・味覚を持つ生命体⇒貝、細菌
1⇒触覚のみを持つ生命体⇒植物、水
⇒生きるためにレベル1(不動のもの)だけは食べざるを得ない
⇒植物でも地面の下のものなど他の生命を奪う可能性のあるものは避ける

・食べる/食べない、食べたい/食べたくないの線引きは変化する

第3章 食と地球環境より

・ボツワナのティラピア養殖
⇒内陸・高温・小資本・現地流通に向き高たんぱく低脂肪
⇒小骨が少なく身が骨から剝がれやすく、食べやすくておいしい
⇒アジア・アフリカでは未来の食を救うヒーローとも

・メキシコのアボガド
⇒海外需要で価格高騰・農地拡大
⇒森林伐採・水不足(トマトの100倍必要)・麻薬カルテルの資金源にも
⇒アボガド・大豆ミート・アーモンドミルクは環境にとって畜産よりましなのか?

第4章 食の創造性より

・フィンランドの教育
(略)
⇒自分独自のパンケーキ生地を作り焼くリビア(8歳)とそれを見守る母親
(略)
(ただし2012年あたりから教育格差問題も生じている)

・ベトナム・フエ・トーラウ寺に集まる人たちに供する精進料理(肉食もどき料理)
⇒菜食ルーツのインドに「肉食もどき料理」がなく東アジアだけなのは何故か
①インドから南伝の上座部仏教(ミャンマー・タイ・スリランカ)では托鉢で僧の(肉食を含む)
食料が得られたが、北伝の大乗仏教では国家宗教として僧院に富が集中し菜食や高級精進料理に
(中国・ベトナム・台湾・朝鮮・日本)
②インドの牧畜乳製品が稲作文化の東アジアでは稲と組み合わせやすい大豆製品に
③インドでは生涯ずっと菜食だが東アジアでは肉食が身近にあり行き来している
⇒菜食に慣れていない人に仏教に興味をもってもらうためにも発達した
⇒地球環境のための代替肉も最初の一歩として「僧からの優しさの贈り物」と同様に・・・

第5章 食料生産より

・キューバのオーガニック農業
⇒60年前のアメリカによる化学肥料・農薬・トラクター・燃料などの禁輸制裁から
⇒すべてを輸入に頼る日本が自立した農業を行うための「島国農業の先輩」でもある

・中国・上海の野菜事情から
⇒化学肥料・農薬の使用量・残留量の多さ⇒毒菜問題
⇒ともかく家庭でよく洗う(飲食店では洗わないとか)
⇒土壌劣化・水位低下などが生じており持続可能な農業ではない
⇒ただし中央集権国家なのでオーガニック農業への転換も早く耕地面積は世界一

・キューバ式は安心安全で持続可能だけど量が足りず(自給率30%)食事内容も選べない
⇒中国式は安全でも持続可能でもないけど飢える心配がなく食事の選択肢も多い
⇒どちらの社会で生きたいか、農業の未来はどこにあるか・・・

・ボツワナのモパネワーム(パニ)
⇒貴重な蛋白源で食糧危機を救うといわれているが・・・
⇒ボツワナは牛肉の輸出国であり国内消費量も中国やベトナムより多い
⇒隣国ジンバブエでは食べるためにモパネワームを捕る人は少ない
⇒故郷長野の山菜狩りと同じ季節の楽しみや気軽な現金収入の側面もあるのではと思った

・卵大国(世界1~2位)の日本は飼料が殆ど輸入で高いはずなのに世界比較では安い理由
⇒バタリーゲージ飼育で工業生産化しているから
⇒EUでは2012年から禁止されているが日本では平地飼い放し飼いする土地や人手が・・・

第6章 伝統食と課題より

・モルドバのワイン
⇒飲酒量は世界一でアルコール関連死は全死因の26%、社会的問題も多い
⇒記録されない自家製ワインが生産量の3~7割とされる
⇒ところが自家製ワインを規制すれば文化的にも経済的にも大きなダメージが生ずる

・中華文化圏の月餅
⇒中秋節に送り合うもので食品企業だけでなく各企業が売り出し法人需要が多い
⇒冷凍できればいいが食べきれず大量に廃棄される
⇒簡易パッケージ化などの規制も出るが伝統側からの反発もある
⇒「慣れたもの」への執着が時代遅れにならないように・・・

・イスラム圏のラマダンの時期
⇒じつはお菓子の需要や食の話題が一番盛り上がる時期

第7章 食と気候より

・ウズベキスタンの野菜に較べ日本の野菜が水っぽいと言われたのは何故か
⇒雨量、土壌、栽培方法などのせいではなく品種改良のせいだった
⇒その目的は「おいしくて扱いやすい」野菜を作ること
⇒NHK「今日の料理」でも野菜の下茹で・煮る時間とも半世紀間ずっと減り続けている
⇒消費者が求めるのは「手間をかけず」おいしく食べられる「味が薄い野菜」
(ウズベキスタンでは野菜も肉も火が通るのに時間がかかるので作れるのは一品だけ)

・素材の味を楽しむために「素材の味を薄くする品種改良」を求めたのが現代の日本料理とも
⇒スーパーの小松菜は茹でると鮮やかな緑になり噛んだ瞬間に甘くて口中で柔らかくなる
⇒低肥料無農薬の小松菜は茹でると茹で汁が苦く緑に染まりくすんだ黄緑になり、噛むと
苦みや酸味もあり、これを活かす調理には手間と工夫が必要
⇒食べやすくなって野菜嫌いも台所仕事の負担も減り「素材を活かした日本料理」が何品も並ぶ
⇒一方、ここ数十年で本来の野菜の味や栄養素も、それを活かした日本料理も家庭から消えた
⇒自分は何を食べて生きたいのか・・・

・コロンビアのスープ
⇒3種類のジャガイモを使うがスープに溶けるもの溶けないものなど全く別の食材として扱い
トウモロコシなど他の食材も種類が豊富だった
⇒ケッペンの気候区分でもコロンビアは全てが育ち単位面積当たりの生物多様性は世界一
⇒コロンブス大航海時代以降に持ち込まれたヨーロッパ産品も多い
⇒料理は地理と歴史でできている

・世界中の家庭の朝食がパンとシリアルになってきている
⇒エネルギー源の炭水化物が摂れて調理の手間がなく保存が効くから

⇒アンドリュー・ドルビー著「図説朝食の歴史」によれば、
・朝食の誕生は約9000年前の新石器時代で保存食料の登場による
・旧石器時代の調査をしたレヴィ・ストロースの記録に朝食という言葉はないそうだが、
これは朝すぐに食事ができることなどあり得なかったということと解釈できる
・新石器時代に農業がはじまり余剰農産物を貯蔵するようになって朝食の概念ができた

・パンやシリアル以外でも貯蔵に向く食物の組み合わせが世界の家庭でも多かった
⇒ハム、チーズ、卵、漬物、ジャムなどの果実保存食、冷ご飯、前日の残り物・・・

・栄養的に朝食に必要なのは脳のエネルギー源となる炭水化物、体温を上げるタンパク質、
それらを吸収するためのビタミンとミネラルと夜に失われた水分
⇒パンにハムやチーズとコーヒーや、シリアルにミルクの朝食は野菜保存食や果物ジャムとも
合わせやすく数分で用意できて合理的で完璧なので(悔しいけど)これが必然か・・・

第8章 食と民族より

・パレスチナのオリーブの塩漬け

(パレスチナ人家庭の実態とオリーブの木⇒略)

・ヨルダンのシリア菓子

(ヨルダンのシリア難民家庭の実態と料理⇒略)

おわりにより

・「おいしい/おいしくない」だけでない料理の味わい方を知ってほしいと思った
⇒アボガドやオリーブなどの食材や料理⇒その先を見つめてほしい

・あなたの明日からの食が「おいしい」を超えて世界への扉となることを・・・

・・・

各章タイトルにあった政治・宗教・地球環境・創造性・食料生産・伝統・気候・民族は、
確かにその地域の食と密接に関連しますし、それが世界の食を知る楽しみのひとつだと、
わたくしも思ってますので、なかなか興味深く読めました

この本では取り上げてないボルネオ島の食も、各先住民の伝統食材と調理法による食から、
マレー系や中華系やインド系の人たちの持ち込んだ様々な食材や調理法による食まで、
移民や植民や開発の歴史など様々な背景を知ることで、少しは食の現状が見えました

なので、どこでも現地で説明を聞きつつ現地の食を味わうのを楽しみにしてたのですが、
さすがに著者のようにホームステイして食材や調理まで詳しく知る機会は滅多に・・・

当記事では問題提起部分のメモが多いですが、著者が実際に世界各地でホームステイして
買い出し、調理、食事を共にした際の驚きや困惑や感動の部分もとても新鮮で魅力的でした
興味のある方は、ぜひご一読を・・・



m98k at 14:01|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック